
コラム「点睛」 印刷新報・2026年6月11日付
出版科学研究所の新刊発行データによると、4月は『書物を楽しむ』(朝日新書)、『積読こそが完全な読書術である』(ちくま文庫)など“読書”をテーマにした新刊が11点と活発だった。三宅香帆氏の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書、2024年)あたりから、この傾向が強まった気がする▼スマホ、AIで簡単に情報を得られるようになった一方で、このままでいいのか? と自問する人が増えているのではないか。ただし、それは中高年以上の年齢層に限った話かもしれない▼まだ書評しか読んでいないが、稲田豊史氏は新刊『本を読めなくなった人たち』(中公新書ラクレ)で、Z世代を徹底的に取材し、「文章が長いと読む気がしない」「ネットで十分」「動画の方が楽」といった多数派の本音を引き出した▼それだけなら、さもありなん。稲田氏の一番の気づきは「本を読む習慣が全くなくても賢い子はいる」という事実だった。知性の質が変わりつつある。複雑な気持ちだが、これまで未開だった人間のある種の能力(脳力)が急速に耕され始めていることは認めるしかない。 (銀河) |
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