日付インデックス
11月14日
ハイデル・フォーラム21 全国大会
海外の挑戦から変革学ぶ 驚異的な先進事例を紹介

11月7日
日印産連
印刷の力で社会に貢献
 2024 GP環境大賞等表彰式

10月31日
DNP
「販促最適化AI」を開発 新店舗の宣伝予算配分を支援

10月24日
フレキソ・ジャパン2024
無限の可能性を掲げ 日本市場への広がりに期待

10月10日
全印工連フォーラムIN大阪
“価値協創”の未来を共有 400名超が参加

9月26日
DNP
書店開業支援サービスを開始 第1弾はホテルに「風呂屋書店」

9月12日
経済産業省
9月「価格交渉促進月間」で要請 労務費に関する指針の積極活用を

9月5日
埼玉県印工組
障がい者アートカレンダー事業を展開 社会福祉法人と共に販路開拓

8月29日
東印工組
都中央会委託事業 販売力強化PJを受託

8月22日
ジャグラ
印刷屋さんのお仕事展2 夏休み、親子づれで賑わう

8月8日
モリサワ
邦文写植機発明100周年を祝う 盛大に記念パーティー

7月25日
中小企業省力化投資補助金
印刷関連で4カテゴリを公表 第2回公募は8月9日から

7月11日
TOPPAN
デジタル文化財ミュージアム KOISHIKAWA XROSS新設

7月4日
全印工連 産業戦略デザイン室
4部会設置し事業推進 印刷産業の活躍の場をつかむ

6月20日
JAGAT
網野勝彦氏(研文社)が新会長に

6月13日
drupa 2024
174ヵ国から約17万人が来場 多彩なデジタル機に注目

6月6日
日本フレキソ技術協会
フレキソ・ジャパン2024、10月に開催 “無限の可能性”を謳い2日間

5月23日
下請法の運用ルール変更 60日超の手形等は行政指導対象に

5月16日
TOPPANエッジ調査
紙の郵便物、全世代で「気づきやすさ」支持 「ポイント付与」など電子化許容の条件に

5月9日
大日本印刷
挑戦的な環境目標を新たに設定 GHG排出量など中期目標を引上げ

4月25日
愛知県印刷工業組合
初の企画商品販売イベント クリエイターとのコラボで実現

4月18日
特定技能対象に「印刷・製本」追加
全印工連・全グラ・全製工連への所属が要件に

4月5日
日本製本紙工新聞
モリサワ、「甲子園フォント」を制作 阪神甲子園球場と100周年プロジェクト

3月28日
第38回全日本DM大賞
北海道産直センターがグランプリ 過去最高の受注率32%を記録

3月14日
武田薬品
組箱印刷を特色からCMYKインキに 26年までに全商品を切替え環境負荷低減

3月7日
奥村印刷
折り紙食器で被災地支援 石川県に1万シートを提供

2月29日
大和印刷紙工
絵本「原版」をNFTオークションへ 絵本作家らと協業し挑戦、16万円で落札

2月15日
ウォームアンドビューティフル
印刷業界へ派遣事業拡大 出版業界で実績重ねる

2月1日
政労使会議、中小の価格転嫁が焦点に
重点22業種に「印刷・同関連業」も

1月25日
木野瀬印刷・中島氏原作の映画が話題
『フィリピンパブ嬢の社会学』

1月18日
グリーン購入法、印刷用紙に新判断基準
適合品種が大幅に増加

1月1日
モリサワ
写植機発明から100周年 1924年7月に特許を申請

12月21日
【2023年の10大ニュース】
コロナ禍を経て新たな局面 適正取引へ動き強まる

12月14日
内閣官房・公正取引委員会
労務費の転嫁へ「行動指針」 発注者・受注者の採るべき行動を明示

12月7日
drupa2024は50ヵ国、1,300社超の規模で
日本からは41社が出展

11月23日
大日本印刷、「DNP生成AIラボ・東京」開設
パートナー企業と活用事例を創出

11月16日
東京都トラック協会
出版物輸送で荷主と具体策協議

11月9日
全印工連フォーラム
SFプロトタイピングで2050年の印刷業を展望

10月26日
日印産連・GP環境大賞等表彰式
「印刷と私」トークショーも併催

10月19日
日印産連、下請適正取引推進へ
「自主行動計画徹底プラン」策定

10月5日
TOPPANグループ
新経営体制へ移行 新商号で世界統一ブランドに

9月28日
セントラルプロフィックス
「印刷屋の職人」「高品質印刷アイテム」前面に オンラインショップ開設

9月14日
三郷コンピュータHD
二次元コードの偽造防止で特許 マイクロ文字で世界も視野に

9月7日
奥村印刷 折紙食器「beak」をアピール
首都圏防災フェアで

8月31日
新聞、出版関連など4団体
生成AIに関する共同声明 「著作権保護の検討不十分」

8月24日
情報通信メディアの利用動向調査
平均利用時間、休日も「ネット」が「テレビ」上回る

8月10日
東洋美術印刷、実写VRの最新情報を提供
有効な顧客接点に企業が注目

7月27日
ミヤコシ シリーズセミナー第2回
「軟包装の未来」を読み解く interpack2023報告

7月13日
高度な色補正技術の継承へ
墨田区と千葉大学がAI活用 印刷会社2社が共同研究に参画

7月6日
大日本印刷
自治体向けにメタバースのパッケージサービスを提供

6月22日
全印工連、2050ビジョンを今秋発表
未来へのビジネスプラン示す

6月8日
出版流通改革へ実験スタート
8月刊行のコミックスからRFIDタグ装着

6月1日
大日本印刷、「P&Iラボ・東京」開設
パートナーとの共創を促進

5月25日
〈議連総会で全印工連〉
用紙の特定調達品目からの除外要望 知的財産権でも強く主張

5月18日
総合商研/小松印刷グループ/アスコン
3社共創プロジェクトを推進

5月11日
富士フイルムBI
「圧着トナー」新発売 ワンパスで印字と糊付けが可能

4月27日
国内キャッシュレス決済比率が36%に
政府の最終目標はフルデジタル化

4月20日
全印工連/MUD協会
8月に初のMUDフェア開催 ユニバーサルデザインへの理解を促進









2024年11月14日付
ハイデル・フォーラム21 全国大会
海外の挑戦から変革学ぶ
驚異的な先進事例を紹介


 ハイデル・フォーラム21(以下、HDF21)の第27回全国大会が、11月6日午後3時から東京・丸の内の東京會舘で開かれ、全国から約200名が参加した。同時通訳で行われた高付加価値セミナーでは、印刷会社の成長戦略について、イギリスからのゲスト2名を招いたディスカッションなどが行われた。海外との比較によって日本の印刷業界の現状を浮かび上がらせ、経営者が現状認識を改め、発想を転換するためのヒントを提供した。
 
 事務局からの第28期事業報告・第29期事業計画の発表に続き、福田浩志HDF21本部会長(ウエマツ)があいさつ。10月にマイアミで開かれたAdobe MAX 2024を訪れて受けた衝撃について、「特にAIの進化の早さには驚いた。動画の自動生成や、1つの画像から3D展開図を作製することまでできるようになっている。われわれ業界のクリエイティビティの大きな変革もすぐそこまで来ている」と話した。drupaではデジタル印刷や自動化システムのさらなる進化を実感した福田会長は「クリエイティビティとプロダクティビティのどちらも大事。HDF21の目的は、経営者自身が発想を転換することであり、チェンジマネジメントを具現化する場だ。皆さんのより積極的な参加をお願いしたい」と述べた。
 セミナー第1部では、ハイデルベルグ社テクノロジー&セールス部門最高責任者のダヴィッド・シュメディング氏が講演。グローバルの視点印刷市場を俯瞰し、同社の企業戦略を紹介した。
 ドイツでは、2015年頃から印刷業界の売上高が減少傾向にあるが、平均年収は継続して増加。2005年対比で約2割増えている。自動化等の推進でコスト課題に対応したことが大きい。
 また、中国市場は、生活のオンライン化により商業印刷は微減。パッケージ分野は年3%ほどの成長を続けており、今後も成長が見込まれる。  グローバル市場のトレンドについてシュメディング氏は「デジタル印刷とオフセット印刷のバランスの取れた共存」が拡大すると見方を示した。それはハイデルベルグ社の成長戦略でもあり、グローバル市場で展開していく。
 第2部のディスカッションは、英国の先進的な印刷会社であるジェフニールプリントワークス社(以下、ジェフニール社)のスティーブ・アンダーソン社長、ハイデルベルグUKのポール・チェンバレン氏を迎え、ハイデルベルグ・ジャパンの紀世志広ゼネラルマネージャーが進行役を務めた。「競争激しい印刷市場における成長戦略」と題して、英国の印刷会社の変革への取組みから、成長する企業であるために求められる要件が明らかにされた。
 初めにチェンバレン氏が英国印刷業界の推移を紹介。リーマンショックで中小印刷会社は大きな打撃を受け、業界は縮小したが、一方でインダストリー4.0の波が起こり、1枚当たりの印刷コストの把握などデータ分析が進んだ。そして、クライアントの予算に合わせたコスト対応力を獲得し、同時に自動化システムへの投資でコスト削減を進めた会社が現在生き残っているという。
 そうした中、ジェフニール社は、商業印刷を中心にサービスプロバイダー機能も広く提供し、新規顧客の開拓で成功している。同社の2019年と2024年を比較すると、クライアント数は170社から600社、従業員数は98人から47人、年商は日本円で28億から22億、所有するオフセット印刷機は3台から1台、プリプレスオペレータは6人から1人、と劇的な変化を遂げた。生産の24時間体制は同じ。
 同社はISOスタンダードのカラー標準化を取り入れ、仕事の9割は色校正なし。また、あらゆるジョブをハイデルベルグのプリネクトワークフローで自動運転しており、オペレータのタッチポイントは約75%減った。OEE(設備総合効率)は47%を達成。MISシステムへの投資とそれにより得られた緻密な原価管理、そして社員・チームへの投資が高OEEを実現している。  アンダーソン社長は、英国でもクライアントの予算削減が進んでいる現状に対し、「テクノロジーを実装してコストに対応し、仕事を楽にして若い人に魅力ある会社に作り変えなければならない」と話し、未来への投資の必要を強調した。  セミナー終了後、ハイデルベルグ・ジャパンのヨルグ・バウアー社長があいさつ。成功している印刷会社に共通することとして、経営トップがDX化の必要を理解し、社員と共に考え方改革、働き方改革を行い、古い習慣を打ち破っている点を挙げた。

全国から約200名が参加した










【印刷新報2024年11月14日付掲載】
その他掲載記事
・物流問題で得意先に要請文 印刷インキ工業会
・全日本紙製品工業組合60周年
・「戦略的縮小」という成長モデル FFGS経営セミナー報告会

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2024年11月7日付
日印産連
印刷の力で社会に貢献
2024 GP環境大賞等表彰式


 日本印刷産業連合会(麿秀晴会長)は10月30日、2024 GP環境大賞等表彰式と「印刷と私」トークショーを東京・神田神保町の出版クラブホールで開催した。グリーンプリンティング(GP)認定制度の2024年度GP環境大賞、GPマーク普及大賞、GP資機材環境大賞の受賞者を表彰するとともに、トークショーでは小山薫堂グリーンプリンティングPR大使と2人のデザイナーが、パッケージデザインと印刷の力について語った。5年ぶりに懇親会も開かれた。

小山薫堂氏


 開会にあたり日印産連の堆誠一郎副会長が、受賞者を称えるとともに、GP認定制度について紹介。「日印産連は、クライアント企業様と一緒になって、GP認定制度の拡大や環境対応技術の開発など、地球環境を守る活動をさらに推進していく。受賞された皆様には一層のご協力をお願いしたい」とあいさつした。
 続いて表彰式に移り、受賞者に表彰状とトロフィーが手渡された。
 GP認定制度を深く理解し積極的に活用している企業や団体を表彰するGP環境大賞では初めに、過去3回大賞を受賞し、今回が4回目となる 受賞者に最大の賛辞と敬意を表す「GP環境大賞ゴールドプライズ」がジェイアール東日本企画と東武鉄道に贈られた。
 大賞は、あいおいニッセイ同和損害保険、日本航空、あわしま堂の3者、準大賞は7者。
 GPマークを表示した印刷物の拡大に最も貢献したGP認定工場を会社単位で表彰するGPマーク普及大賞は、ゴールドプライズがNTT印刷、北四国グラビア印刷、六三印刷に、大賞は4者、準大賞は7者に贈られた。
 GP資機材環境大賞は、機材部門でキヤノンが受賞した。
 受賞者を代表しての謝辞は、GP環境大賞ゴールドプライズを受けたジェイアール東日本企画の長谷川哲哉首都圏統括支社長が述べた。同社は月間60万部発行する冊子などの印刷をGP認定工場に発注している。  表彰式の終わりに、グリーンプリンティングPR大使の小山薫堂氏があいさつし、次のように印刷とGP認定制度の意義について話した。
 「PR大使をお引き受けしてから8年が経った。自分の役割を本当に果たせているのだろうかと思いつつ、毎年この場にやってくる。時代の流れの中で環境への配慮でいろいろなことをやらなければいけない。特に最近はペーパーレスが正義のように言われるが、では、お客様にとって本当にそれがいいのか。たとえば機内誌をなくした方がいいといった話もあるが、日本航空さんはいまだに機内誌にこだわっていらっしゃる。読む側からすると、とても旅の気分が盛り上がる。手紙にしても、メールのメッセージより、やっぱり心にずっしりと来る。幸せな気持ちになる。
 そういう世の中の幸せを守るために必要なことの一つが、このグリーンプリンティングの制度ではないか。クライアントもサプライヤーも一緒になって同じ方向を見つめて歩いていることが本当にすばらしいと思う。私も一緒に盛り上げていきたい」
 GP認定制度は、印刷産業の環境負荷削減を目指して日印産連が2006年に創設し、現在、GP認定工場は全国446工場となっている。
 表彰式後のトークショーは、ゲストにコーセー宣伝部の山ア茂氏(クリエイティブディレクター、元日本パッケージデザイン協会理事)、underline graphic代表の石田清志氏(アートディレクター)を迎えて、小山薫堂氏との掛け合いで、印刷や紙によって特徴が変わるパッケージの魅力が語られた。

GP環境大賞ゴールドプライズで表彰されるジェイアール東日本企画









【印刷新報2024年11月7日付掲載】
その他掲載記事
・関係業界が出版流通で意見交換
 東京都トラック協会 出版物関係輸送懇談会
・TOKYO PACK 2024、ラベルフォーラムジャパン2024、盛況
・令和6年秋の叙勲・褒章

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2024年10月31日付
DNP
「販促最適化AI」を開発
新店舗の宣伝予算配分を支援


 大日本印刷(北島義斉社長、以下DNP)は、小売業が新店舗をオープンする際の宣伝予算について、AIを活用して最適化するサービス「DNP販促最適化AI」を開発し、提供を開始した。
 このサービスは、新店舗・リニューアル店舗の開店後7日間の売上の最大化を目指して、個々の宣伝手法(YouTube広告・ポスティングチラシ・新聞折込等)への最適な予算配分をAIで算出するもの。
 DNPは同サービスの効果について、ローソンと共同で2023年7月から検証してきた。今回、その有用性が認められたため、2024年11月以降にオープンするローソンの新店舗やリニューアル店舗において正式に運用を開始し、個店販促を支援する。
 小売業の新店舗やリニューアル店舗がオープンする際は、店舗ごとに異なる特性(地域、商圏、規模、オープン時期等)を踏まえ、チラシやYouTube等の宣伝手法やその予算配分を決める必要がある。そうした決定を宣伝業務が専門ではない店舗管理の担当者が行う場合も多く、膨大なデータの分析や適切な宣伝手法の選定、予算配分を迅速に行うことが難しいという課題があった。そのため、パターン化された最小限の宣伝に抑えることが多く、宣伝による売上拡大が見込める店舗であっても十分な宣伝ができずに売上機会の損失につながるケースが多かった。
 こうした課題の解決に向けてDNPは、独自に開発したAIを活用することで、担当者の経験などに左右されることなく、適切な媒体を選定して宣伝予算を最適に配分できるサービスを開発した。各企業の担当者は、煩雑なデータ処理や分析作業が不要となる。
 宣伝予算・店舗情報・商圏情報をAIにインプットすると、開店後7日間の売上最大化に向けた最適な宣伝手法の予算配分を算出。AIが宣伝予算内で最も売上が高くなる組合せを抽出する。
 「DNP販促最適化AI」には、DNPがカタログ制作向けに開発したシステムを応用した。商品の購買データを活用し、その商品の掲載カタログを生活者が利用した際の売上を最大化するように、カタログ誌面のレイアウトとコマ割り(商品の掲載位置やサイズ等)を算出するものとなっている(特許申請中)。
 同サービスでは、登録するデータや宣伝手法の選択肢等に応じて、個別にシステムと運用プロセスの設計を行う。サービス価格は条件によって変動し、初期開発費は約1,500万円から、運用費は月額約100万円からとなる。
 DNPは今後、店舗を持つ小売業を中心に展開するとともに、サービスの精度向上や機能拡張を行い、2025年度末までに累計5億円の売上を目指す。









【印刷新報2024年10月31日付掲載】
その他掲載記事
・フレキソ印刷のトレンドを探る・下
・KGC第3次リニューアルオープン 小森コーポレーション
・「原点回帰」テーマに結束 全日シール横浜大会

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2024年10月24日付
フレキソ・ジャパン2024
無限の可能性を掲げ
日本市場への広がりに期待


 一般社団法人日本フレキソ技術協会(津田邦夫会長、FTAJ)が主催する「フレキソ・ジャパン2024」が10月10日・11日に東京・有明の東京ファッションタウン(TFT)ビル東館9階で開かれ、2日間 で約600人が来場した。フォーラムでは、ナローウェブとワイドウェブのフレキソ印刷機の紹介をはじめ、国内外の軟包装パッケージやシールラベルの市場動向、製版・インキ・周辺機器の最新トレンドに関する16講演が行われ、会場は熱心な聴講者であふれた。32者が出展したテーブルトップショーでも、各社は最新の技術や製品を紹介し、来場者との活発な情報交流が行われ盛況だった。
 フレキソ・ジャパンは2002年に国内唯一のフレキソ印刷の専門イベントとして始まり、11回目を迎えた。今回は「無限の可能性〜ナローからワイドまでポテンシャルを秘めたフレキソ印刷」をテーマに、最新トレンドを発信した。
 初日のフォーラム開始前に、FTAJの津田会長があいさつに立ち、「欧米では、フレキソ印刷はグラビアやオフセットと並んで主流の印刷方式として認知されているが、日本ではまだまだ普及が進んでいなかった。
 しかし近年、市場環境の変化や印刷技術の進化による品質向上などに伴い、徐々に広がりつつある。特に水性フレキソによるワイドウェブの軟包装印刷は大手印刷会社に採用されている。今回のテーマは『無限の可能性〜ナローからワイドまでポテンシャルを秘めたフレキソ印刷』だが、欧米ではナローからワイドまで幅広く使われている。日本でも最近、シールラベルのナロー分野も注目されており、国内メーカーによるフレキソ印刷機の開発の動きも活発化している。フレキソ・ジャパンがフレキソ印刷に携わる皆様、導入を検討されている方々にとって有益な報提供の場になることを期待する」と語った。
 フォーラムでは、初日にブランドオーナーの味の素から、食品事業本部食品研究所包装設計グループの小林義浩氏が登壇。「資源循環型社会実現に向けた味の素グループの容器包装への取組み」と題して講演した。
 味の素グループでは、すでに1991年から容器包装環境アセスメントを実施。社内エコインデックスで評価を行い、改善に反映している。現在、すべての商品についてライフサイクルCO2を測定している。また、資源循環型社会の実現に向けた世界的な流れの中で、2018年にはプラスチック廃棄物ゼロ化への取組みを開始した。
 小林氏は「2030年までにプラスチック廃棄物ゼロを掲げているが、これは脱プラではなく、有効利用されずに捨てられるプラをゼロにするという意味で、プラとの最適な付合い方を追求するものだ」と述べた。
 そして、国内外でのリデュース、リサイクルの取組み事例などを紹介。アルミ箔使用包材をいかにリサイクルに適した包材に変更し、モノマテリアル化(単一素材化)していくかを課題の一つに挙げた。その中で、紙への置換えとプラとの複合化にも期待し、実際の商品を例に、紙+ヒートシール材、紙+PETフィルム、紙+機能フィルムなどの複合紙包材の開発について語った。
 また、競合メーカーとも協力した店舗でのマヨネーズボトルの回収実験を行っていることや、インドネシアでの回収ステーション設置とポイント付与の実施などの取組みも紹介した。
 現在、味の素の容器包装で水性フレキソ印刷が使われているのは1商品のみだが、小林氏は「水性フレキソの技術的レベルの高さは承知しており、油性グラビアと品質は遜色ない。水性化のメリットも理解しているが、切換えに掛かるコストが大きく、マーケット部門が推進に積極的とはなっていない。ただ、環境のことを考慮すると、やっていかなくてはならない取組みだと思う」と考えを示した。
 2日目の講演でもトッパン・コスモ流通営業本部の松本純部長が「持続可能な社会の実現に向けてパッケージにできること」をテーマに、プラスチック資源循環促進法に基づく商品と技術などを紹介し、紙と生分解性バイオポリマーを使用した外装パッケージ、水性フレキソ印刷を使用した紙製パウチ、メカニカルリサイクルPETフィルムを使用した食品包装などの事例を解説した。
 フォーラムではそのほか、海外パッケージ市場における環境対応、フレキソ印刷の自動化・省人化・品質標準化の動向、フレキソ印刷の最新スクリーニング技術、小型化のニーズに応えた新型フレキソ輪転ラベル印刷機、CI型フレキソ印刷機の現在と将来など、幅広い内容でフレキソ印刷関連の市場・技術の全貌を捉えた。









【印刷新報2024年10月24日付掲載】
その他掲載記事
・フレキソ印刷のトレンドを探る・上
・HORIZON SMART FACTORY 2024盛況
・京都府製本工組 100周年を祝う

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2024年10月10日付
全印工連フォーラムIN大阪
“価値協創”の未来を共有
400名超が参加


  全日本印刷工業組合連合会(瀬田章弘会長)は9月27日、「2024全印工連フォーラムIN大阪」を大阪市・難波のスイスホテル南海大阪で開催した。「集おう!未来を創りに!」をテーマに401名が参加。全国の組合員が一堂に会し、印刷の未来へ決意を新たにした。

瀬田会長


 フォーラムは13時に開会し、地元を代表して大阪府印刷工業組合の高本隆彦理事長(全印工連副会長)が「現代はVUCAの時代、不確実な、先の読めない時代だと言われている。しかし、不確実だからこそビジネスチャンスもあるのではないか。今は、クラウドファンディングに代表されるような新しい方法が次々と生まれている。アイデアとやる気と行動力、そして少しの勇気があれば、新しいビジネスを始められる。本日は長丁場だが、皆さんには元気をもらって帰ってほしい」とあいさつした。
 全体会議の第1部として特別講演では、元中小企業庁長官で、経済産業省の印刷業所管課の課長も務めた前田泰宏氏が「もう そこにある未来」をテーマに印刷業への期待を語った。
 「日本人は総じて自己評価が低く、世界的に見てやる気の低い社員が多いといわれている。それでは、自己肯定感を上げていくにはどうすればいいのか。まず、組織を逆ピラミッド型の組織にすることだ。これは、顧客と接している従業員が意思決定を行い、マネジメント側は従業員が能力を発揮するための権限とサポートを与えるという形態だ。これにより、組織の価値観を確立して全体で共有し、さらに、収益印刷業性を超える価値観や使命感を共有することで、大きな、強い一体感を持つ組織になる。
 さらに、クリエイティビティの力、地域の社会課題解決と経済成長の両立を目指す『ローカルゼブラ企業』への変革、こういったものがこれからの印刷業に必要になるだろう。
 『ローカルゼブラ』のように地域課題をビジネスに結びつけて解決することへの期待感は大きい。印刷会社は自社が地域で培ってきたあらゆる有形、無形の資産を洗い出し、印刷にとらわれることなく、地域のニーズに応え、事業を再構築し、従来の印刷から脱皮、卒業することを念頭に置きながら潜在的な能力を広げていくことが必要だ。印刷業は一歩先行く、クリエイティブな産業であってほしい」
 続く会長メッセージでは、瀬田会長が「印刷業は年々シュリンクしており、このままいくと、2030年までに市場が25%縮小する。しかし、未来は変えられる。不都合な未来は変えればいい。われわれは大きな谷の前にいるが、みんなで橋を架け、渡っていこう。一社では難しくても、今日会場に集まった仲間、また、地元の同志が力を合わせれば橋が架かる。私は、多くの仲間と橋を渡りたい。そのための『価値協創』だ」と、自身の思いと全印工連が目標に掲げる「価値協創」の意義について述べ、次のようにメッセージを発した。
 「そのためには、価格の適正化、業態変革の促進に取り組まなければならない。また、全印工連からは、新しいビジネスにチャレンジする余地を生み出すための生産性向上へのアイデアを経営革新マーケティング委員会から発信し、教育研修委員会からは、人材育成のヒントを提供していく。
 その結果、一社一社が特長を持つ会社に変われば、自社の強みに特化し、仲間で協力して弱点を補う、『価値協創』する新しい未来を創ることができる。
 『印刷』は最終的な結果であって目的ではない。われわれの本来の力は『結ぶ力』、『伝える力』だ。もう一度原点に帰ってこの力を極め、地域になくてはならない『生活文化クリエイティブ産業』へと生まれ変わろう。そして、われわれは『人々の暮らしを彩り幸せを創る産業』だという意識とプライドを持とう」
 その後、理事長会、産業戦略デザイン室、DX推進、官公需対策、経営革新マーケティング、サステナビリティ・CSR、組織活性化、教育研修の各通常委員会と全青協各青年会代表者会議が行われ、全体会議の第2部に移行。各委員会が事業の進捗状況を報告し、参加者と今後の事業計画などを共有した。









【印刷新報2024年10月10日付掲載】
その他掲載記事
・特集 ラベルフォーラムジャパン2024     TOKYOPACK2024
・第57回造本装幀コンクール表彰式
・適正取引推進の自主行動計画を改訂 日印産連

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2024年9月26日付
DNP
書店開業支援サービスを開始
第1弾はホテルに「風呂屋書店」


 大日本印刷(以下、DNP)は、宿泊施設等の書店業以外の事業者に対し、従来のサービスに「本」を組み込んで利用者の体験価値を高める、書店開業支援サービスを開始した。書店以外の各種施設で本を販売することで地域の住民などが本を買える場所を提供し、国内の書店減少や書店のない自治体の増加による課題解決にも貢献する。
 同サービスの導入第一弾として、9月19日にオープンした札幌市にある定山渓第一寶亭留(ほてる)翠山亭内の温泉と読書を楽しむ空間「風呂屋書店」の開業を支援する。この書店では、宿泊者だけでなく誰もが約2,500冊の書籍を閲覧・購入できる。
 DNPによると、国内の書店が減少する一方で、書店業以外の事業者は、サービスの付加価値やリピート率、滞在時間の向上の手法として“本を活用した場づくり”に価値を見出しており、書店開業のニーズが高まっている。しかし、従来の書店経営のビジネスモデルが専業を前提して設計されていることもあり、本の仕入れ条件の厳しさ、利益創出の難しさなどの課題によって、書店開業のハードルが他業種にとっては高くなっていた。
 こうした課題の解決に向けてDNPは、出版関連事業で培ったノウハウを活かして、書店開業に向けた一連の支援サービスを提供する。
 「風呂屋書店」は、旅をテーマにした知的好奇心を刺激する本のセレクトが特徴で、「次はどこへいこう」「温泉とサウナ」「発想が生まれる」といったコーナーを設置。風呂上がりの心地よい気分で気軽に本を楽しみ、旅行・旅館という非日常空間を味わえるように、大人向けの絵本や写真集、インスピレーションが湧くような本、定山渓の地域を題材にした本を多数用意した。書籍は書店ゾーンとラウンジで、購入前でも自由に読むことができる。
 第一寶亭留の布村英俊社長は「昔から作家が作品を生み出す場として宿があったように、本と最後まで切れない場が宿だ。書店が減っている昨今、宿は、本と触れ合う大切な空間だと考えている。ただ本が読めるだけではなく、本を買えて、売場に変化があることで、リピーターのお客様にいつも違う特別な場所≠ニいう感覚を伝えたい」と話す。
 DNPは、同サービスの提供により、2026年度までに累計5億円の売上を目指す。宿泊施設のほか、サービス付き高齢者向け住宅、飲食店、オフィス、ビジネスラウンジ、リゾートマンション等に向けてサービスを提供していく

風呂屋書店の完成イメージ









【印刷新報2024年9月26日付掲載】
その他掲載記事
・特集 フレキソジャパン2024
・日印産連 2024年「9月 印刷の月」記念式典
 価値創出と事業領域拡大へ連携
・新潟県印工組 70周年を祝う

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2024年9月12日付
経済産業省
9月「価格交渉促進月間」で要請
労務費に関する指針の積極活用を


 経済産業省は、2024年9月「価格交渉促進月間」の実施に関する要請文を8月23日付で関係事業者団体に送付した。文書内容の会員企業への周知とともに、特に「価格交渉及び価格転嫁への積極的な対応」「労務費に関する『指針』の周知、及び積極的な活用」「フォローアップ調査に対する協力」「パートナーシップ構築宣言への参加」の4点について徹底することを依頼した。
 経済産業省では、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇するなか、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」に設定し、広報や講習会、業界団体を通じた価格転嫁の要請等を実施している。
 また、「月間」終了後に、受注側中小企業を対象に、主な取引先との価格交渉・価格転嫁の状況についてのフォローアップ調査を実施し、その結果を公表。取組み状況が芳しくない発注企業に対しては、下請中小企業振興法に基づき、事業所管大臣名での指導・助言を行い、自発的な改善を促している。
 今回の要請文では、「価格転嫁の現状をみると、受注企業が『コスト上昇額のうち価格転嫁できた額』の割合は5割を下回っており、一層の転嫁率の向上が課題」との見解を示している。そのうえで、重点項目について取組みを依頼した。
 「価格交渉及び価格転嫁への積極的な対応」では、発注企業に対して、「受注側中小企業からの価格交渉の申し出には遅滞なく応じ、価格転嫁に積極的に応じる等、適切に対応すること」、受注側に対しては、「積極的に価格交渉を申し出るとともに、『下請かけこみ寺』や、よろず支援拠点『価格転嫁サポート窓口』といった相談窓口を活用すること」を求めた。
 労務費に関しては、2023年11月に内閣官房と公正取引委員会が公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の内容について、価格交渉の場において積極的に活用することを双方に求めた。
 また、9月下旬以降、受注側中小企業を対象に実施を予定しているフォローアップ調査について、調査依頼があった場合、積極的かつ正確、詳細に回答するよう協力を依頼した。調査対象は30万社で、主要な発注者との価格交渉・価格転嫁の状況についてアンケート形式で回答する。下請Gメンによる重点的な実態ヒアリングも2000社程度に行う。
 さらに、政府が推進する「パートナーシップ構築宣言」に未参加の企業に対し、参加について検討することを求めた。
 これに関しては日本印刷産業連合会も、持続的な賃上げ等を実現するために、適正な取引慣行の遵守を代表者名で宣言するパートナーシップ構築宣言の重要性は一層高まっているとして、傘下団体の会員企業に対して宣言の検討を依頼している。現在、印刷関連では980社を超える企業が宣言を行っている。








【印刷新報2024年9月12日付掲載】
その他掲載記事
・第27回日本自費出版文化賞 応募総数700点を超える
・新印刷機導入 内覧会を開催 大成印刷
・トピックス 特定技能制度の運用に向けて
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2024年9月5日付
埼玉県印工組
障がい者アートカレンダー事業を展開
社会福祉法人と共に販路開拓


 埼玉県印刷工業組合は、社会福祉法人みぬま福祉会とのコラボレーションにより、2022年から障がいをもつアーティストの作品を使ったアートカレンダーの製作・販売を続けている。その活動が評価され、2024年度の日印産連表彰特別賞を団体として受賞した。活動の意義と今後の広がりについて同組合の惠勇人理事長に話を聞いた。

■地産地消を大事に継続目指す
 障がい者のアート活動に力を入れているみぬま福祉会(本部・埼玉県川口市)は、1985年に設立され、県南部で複数の通所・入所施設を運営している。設立当時、養護学校などを卒業後に就職できるのは一握りだった。自立について職員が頭を悩ませる中、施設の部屋でいつも絵を描いている人がいた。他の作業は嫌がるのに、イベントなどで使うポスターの絵を頼むとすんなり受け入れてくれる。そこから、本人が得意なことを見つけて仕事にしていく発想に転換した。
 紆余曲折を経て、1997年に初めての展覧会の開催にこぎ着けた。4日間で100万円ほどの売上げとなり、美術的な評価も高かった。次第に応援してくれる企業やデザイナーが増え、活動は広がりを見せていった。2002年には障がいのある人たちのアートを社会に発信し、つなげるための地域の活動拠点として工房集「KOBO-SYU」を開設した。現在では県内11箇所のアトリエを中心に150名ほどが仕事としてアートを生み出している。
 惠理事長は、以前から親交のある泰清紙器製作所の大木啓稔社長を通じて、障がい者アートについて知った。自身が代表を務める埼京印刷(埼玉県戸田市)では、2018年の戸田市商工祭にみぬま福祉会とアート作品を共同出展したことなどから、組合のアートカレンダー企画の立上げにつながった。
 「みぬま福祉会さんでもA4のカレンダーを作り、単品での販売をしていたが、販路が広がらず収入源となっていなかった。そこで、企業に向けて販売した方がまとまった部数になると名入れカレンダーを提案し、ものづくりの得意なわれわれがお手伝いすることになった」と惠理事長。
 表紙と12ヵ月分の13作品を掲載したアートカレンダーは、2022年版が最初。カレンダーの収益は、KOBO-SYUのアーティスト本人に作品使用料として直接支払われる。10月末日が申込み締切の2025年名入れカレンダーのサイズは縦450o×横364oで、申込み部数は50部〜300部。名入れなしも可能。
 今回は、裏面に封筒やブックカバーの型紙の印刷を施し、再利用できる仕組みを加えるなど、毎年改良を重ねている。製作は、埼京印刷はじめ県内の印刷・加工会社が協力している。年を追うごとに、組合員の理解も深まり、熱を帯びてきた。
 惠理事長は「毎年、申込みは30社ほどで、一般企業と印刷会社・印刷関連メーカーがほぼ半々。全体で3,000部ほどの注文がある。カレンダーの機能も大事だが、デザイン性を優先しており、アートに共感していただける会社に購入をお願いしたい」と話す。
 また、アートカレンダー事業の本格的なリリースを近く行うほか、専用サイトの立ち上げを検討中。来春には、県内のポップアップ店舗のレンタルスペースを借りたイベントを開催する。障がい者アート作品を使ったカレンダー以外のグッズも紹介する予定だ。
 「知的障がいのある方といっても皆さん成人で、私より年上の方もいる。初めからアートの才能があるわけではなく、心得のある職員が一所懸命に教え込んでいる。そうした努力を見ているので、小さな取組みではあるが、地元に貢献できる地産地消の事業として継続していきたい。行政がサポートしきれていない課題を、印刷組合が中核となり、印刷業の技術と知識と紙の文化を通して解決できる事業だと考えている」と惠理事長は活動の意義を語る。

アーティストの作品を集めた2025年カレンダー









【印刷新報2024年9月5日付掲載】
その他掲載記事
・9月 印刷の月 特集
・「印刷・同関連業」出荷額3.9%増
 経産省2023年製造事業所調査
・カラーマネジメントのサブスクデジタルサービス開始
 DICグラフィックス
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2024年8月29日付
東印工組
都中央会委託事業
販売力強化PJを受託


 東京都印刷工業組合(瀬田章弘理事長)は、東京都中小企業団体中央会が東京都と連携して実施する中小企業組合等新戦略支援事業に係る特別支援「デジタル技術を活用した販売力強化プロジェクト」業務委託の企画提案に参加し、受託事業者として採択された。

 受託事業者としての東印工組の採択は、令和3年「中小印刷会社向けクラウド型共通基幹システム構築による業界活性化プロジェクト」、令和4年「eラーニングを利用したリスキリングによる業界活性化プロジェクト」、令和5年「組合員をつなぐワークシェアシステムと新しいプラットフォーム構築による業界活性化プロジェクト」に続き4年連続となる。
 同事業は、デジタル技術等を活用した新たな手法による団体等の販売力強化の取組を支援し、先進事例として広く発信できるモデルケースの創出を強力に後押しして成功に導くことにより、他の団体等が追随して取り組む潮流を創出するとともに、さらなる業界活性化を目指すもの。事業予算は4,998万5,000円(消費税および地方消費税含む)。履行期間は令和6年6月1日から令和7年3月15日まで。
 東印工組の企画内容は「共同ECサイト構築と攻めのウェブマーケティング販売力強化プロジェクト」で、組合員の販売力を強化し、デジタルトランスフォーメーションを通じて業界全体の価値創造力を高めること、そして組合員間での事業活性化を目指すとともに、新しい市場へのアクセスを拡大することにより、持続可能な成長基盤を築く。
 同プロジェクトでは、次の3つの事業を実施する。
@ 共同ECサイトの構築
 組合員の商品、技術、サービスを掲載する共同ECサイトを設計・開発する。ECサイトはパソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからのアクセスでも使いやすいデザインを採用し、SEO対策、コンテンツマーケティング、ソーシャルメディア運用など、最新のデジタルマーケティングを取り入れる。
AGoogle広告キャンペーン
 組合員の商品、技術、サービスを市場へ広範囲にアプローチすることを目的に、Google広告キャンペーンを実施する。また、Googleキーワードプランナーを活用し関連性の高いキーワードを選定し、広告文やランディングページに組み込むことで、検索エンジン結果の可視性を高める。
BMAツールの導入
 MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入により、顧客データの収集と分析を行い、そのデータに基づいてパーソナライズされたデジタルマーケティングを展開し、組合員の製品、技術、サービスを効果的に市場へ推し進めるための戦略的かつ統合的なアプローチを提供する。
 これまで、特色ある商品や技術を持っていても小規模事業者ゆえに販売機会を逃していた組合員が、同プロジェクトで構築するECサイトを通じて全国規模での販売取引が可能となる。
 また、組合員各社が自社の新たな事業展開への大きなヒントや刺激となる情報を共同ECサイトから得られる効果もあり、東印工組および全印工連が目標に掲げる、価格競争ではない真の価値競争=価値協創の実現が期待できる。
 今後、システム構築と併せて事業実施報告書等を作成し、令和7年3月15日には事業報告書を提出する。









【印刷新報2024年8月29日付掲載】
その他掲載記事
・フレキソ・ジャパン2024開催 日本フレキソ技術協会
・製本愛する人の想い形に 手製本工房 まるみず組
・出版印刷事業の組織再編 大日本印刷
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2024年8月22日付
ジャグラ
印刷屋さんのお仕事展2
夏休み、親子づれで賑わう


 一般社団法人日本グラフィックサービス工業会は、「印刷屋さんのお仕事展2」を8月4日(日)・5日(月)に東京・晴海の中央区晴海地域交流センター「はるみらい」1階展示スタジオで開催し、多くの親子づれなどで賑わった。
 令和5年度ジャグラ作品展の最終選考に残った作品を展示したほか、ガリ版や缶バッジ製作の体験コーナー、色紙の釣り放題コーナーなど、大人も子供も楽しめるイベントを用意した。
 同イベントは、これまでジャグラ文化典の会場で会員しか見られなかった優れた印刷作品の数々を、広く一般の人々にも見てもらう場として昨夏に初開催したもので、今回が2回目。入場は無料。  展示では、ノートやメモ帳、絵本、パッケージ、カルタなど、印刷会社の豊かな発想と技術で作られた身近な印刷物を紹介したほか、動画編集された作品については大型スクリーンで映像を流した。印刷物ができるまでを説明したパネル、色の原理がわかる3色分版フィルムなども並べ、印刷のことを知ってもらった。
 初日は午前10時の開場から子供たちが元気よく訪れ、手描きのイラストを加工する缶バッジづくり、持ち帰り自由の“紙つり”などを楽しんでいた。
 会場入口では、ジャグラ栃木県支部の高橋亮太支部長が自ら応対し、CMYKのインクをイメージしたオリジナル飲み物(オレンジジュース&メロン・イチゴ・ブルーシロップ)をふるまった。
 また、同時開催イベントとして、ジャグラ神奈川県支部のメンバーが中心となり「親子で学ぼうガリ版体験教室」が3階の工作スタジオで行われた(4日のみ)。午前11時と午後2時からの2回とも申込みはいっぱいで、20組の以上の親子が参加して盛況だった。
 子供たちは、カブトムシ、クワガタ、ひまわり、あさがお、キャラクターなど好きな絵を選んで原画をトレースし、ロウ原紙の上から鉄筆でなぞった後、自分だけのポストカードを印刷した。版画用インクを塗ったローラーを恥ずかしそうに動かした小さな女の子が、出来上がったカードを見た瞬間に顔をほころばしていたのが印象的だった。
 イベントに大きな手ごたえを感じたジャグラの田中良平専務理事によると、近隣の月島地区などに「印刷屋さんのお仕事展2」のチラシ1万枚をポスティングしたほか、会場の「はるみらい」で行われていたパリ五輪のパブリックビューイングで催しを知った人も多かったという。会場は公共施設のため無料で使用できた。
 「今回はPRする時間が足りずに急いでチラシを撒いたが、来年は小学校などにも事前の案内を行いたい」と田中専務理事は話す。









【印刷新報2024年8月22日付掲載】
その他掲載記事
・HOPE2024開催 創注・造注へ英知を結集
・drupa報告セミナー開催 東印工組
・ナローウェブラベルの基礎を解説 日本フレキソ技術協会
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2024年8月8日付
モリサワ
邦文写植機発明100周年を祝う
盛大に記念パーティー


 モリサワ(森澤彰彦社長)は7月24日、「邦文写真植字機発明100周年記念パーティー」を大阪市のリーガロイヤルホテル大阪「光琳の間」で盛大に開いた。印刷、出版、デザインなど多岐にわたる業界から約750名が出席し、印刷産業の進化と発展を支えた技術の節目を祝った。

森澤社長

 記念パーティーでは、主催者を代表して森澤社長が次のようにあいさつを述べた。
 「今からちょうど100年前の1924年7月24日、創業者の森澤信夫が邦文写真植字機の特許を出願した。石井茂吉氏とともに研究・開発を進めた世界初の邦文写植機が世に知られる第一歩となり、日本における写植機の歴史が幕を開けた。今年はそれから100年を迎えた記念すべき年であり、これまでご支援いただいた皆様に心より感謝申し上げる。
 15世紀半ばにドイツのヨハネス・グーテンベルクが金属活字を用いた活版印刷術を発明して以来、500年に及ぶ印刷の歴史に、邦文写植機の誕生は新たな1ページを加え、印刷技術の進化を支えた。
 ものづくりの天才であり、機械づくりに並々ならぬ情熱を燃やした森澤信夫はより良いもの、より使いやすいものを社会に届けたいとの思いを胸に常に革新を目指して前進し、その魂は今日までモリサワに脈々と受け継がれている。森澤信夫から社長の任を引き継いだ現相談役の森澤嘉昭もまた時代の先を読み、革新を恐れず、果敢に決断を下すことで道を切り開いてきた。そのバトンを受け取った私は、『文字を通じて社会に貢献する』という社是のもと、さまざまな取組みを進めている。
 100年を振り返ると、手動写植機、電算写植システム、デジタルフォントと提供する商品は変わっても、文字を提供することに変わりはない。近年では紙媒体だけではなく、Webや動画、SNSなどのメディアをはじめ、ゲームソフトやデジタルデバイスでも多くのモリサワフォントをご愛用いただけるようになった。これからもモリサワは文字の未来を見つめ、文字とともに前進し、時代の変化に対応しながら、表情豊かな文字を提案し続けていく」
 来賓を代表して、日本印刷産業連合会の添田秀樹副会長は「世界初となる邦文写植機の発明は、歴史を塗り替えた画期的な出来事であり、その後の印刷工程に大きな変革を起こし、効率化とデザイン表現の広がりを可能にした。印刷工程のデジタル化にもいち早く適応し、機械メーカーからフォントメーカーへと変化を遂げられた。その歴史は、わが国の文字文化と情報コミュニケーション産業の発展の歴史と重なる。先見性と革新性、たゆまぬ挑戦と尽力に対して敬意を表する」、アドビのシャンタヌ・ナラヤン会長兼CEOはビデオメッセージで「写植機の発明は業界を一変させ、フォントデザインの可能性を飛躍的に広げた。貴社のデジタル時代への献身的な取組みはタイポグラフィの未来を形作る大きな原動力となった。貴社とのパートナーシップが今後も続くことを楽しみにしている」と祝辞を述べた。
 続いて、業界関係者による鏡開きを行い、西村康稔衆議院議員が「私は明石で生まれ育ち、地元の神戸大学附属明石中学校で、彰彦社長は私の1年後輩にあたり、大変親しくさせていただいている。小さい時から明石には『モリサワというすごい会社があるんや』と教えられて育った。まさに進取の気性の精神で切り開いてこられた」と敬意を述べ、乾杯の発声で祝宴となった。
 会場内には、戦後まもなく製作された手動写植機「A型」や、1万台以上のベストセラーとなった「MC-6型」の再現機など、貴重な機器の特別展示コーナーも設けられ、熱心に見学する姿が見られた。
 また、久々に元気な姿で会場に現れた森澤嘉昭 相談役と話すために、多くの人々が絶え間なく列を作っていた。森澤相談役はあいさつで「今日は多くの方にお越しいただき、懐かしい話もできて元気をいただいた。皆様のおかげで無事に会を執り行うことができた」と感謝を述べた。
 中締めのあいさつを、日本グラフィックデザイン協会の永井一史会長が 「われわれデザイナーにとって文字は何よりも大事なものであり、これからもモリサワさんはなくてはならない強力なパートナーである」と述べた。









【印刷新報2024年7月25日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連表彰者が決定 功労賞12名・振興賞15名
・「卒アル」を人間関係のハブに マツモト
・首都圏防災フェアで「beak」をPR 奥村印刷
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2024年8月8日付
中小企業省力化投資補助金
印刷関連で4カテゴリを公表
第2回公募は8月9日から


 今年6月から公募が開始された「中小企業省力化投資補助金」の製品カテゴリとして、「丁合機」、「印刷用紙高積装置」、「インキ自動計量装置」が7月12日に追加された。
 中小企業省力化投資補助金は、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等に対して、人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための経費の一部を補助する制度。令和8年9月頃までの間に十数回の公募が行われる予定。
 同補助金は、あらかじめ登録された汎用製品を「カタログ」から選択・導入する方式で、補助事業者と販売事業者が共同で事業計画を策定して申請を行う。補助上限額は最高1,000万円で従業員数ごとに異なる(賃上げ要件を達成した場合は最高1,500万円)。補助率は2分の1以下。
 「印刷・同関連業」の対象製品の審査担当は日本印刷産業機械工業会。「印刷・同関連業」の製品カテゴリは6月18日に初めて中小企業省力化投資補助金の専用ホームページで公表され、「デジタル紙面色校正装置(グラビア・紙器パッケージ用デジタルプルーフ)」が掲載された。
 7月12日の更新では、新たに「丁合機」、「印刷用紙高積装置」、「インキ自動計量装置」の3カテゴリが加わった。具体的な対象製品名と販売事業者の記載はまだない。
 第1回公募は7月19日で締め切られた(採択は8月下旬予定)。第2回公募は8月9日に申請受付を開始。締切日は9月24日を予定(採択は11月上旬予定)。










【印刷新報2024年7月25日付掲載】
その他掲載記事
・SOPTECとうほく 2024 前年上回る来場者
・合弁会社設立に関する株主間協定書を締結
 富士フイルムビジネスイノベーション/コニカミノルタ
・「ジャグラテスト」受験者募集開始
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2024年7月11日付
TOPPAN
デジタル文化財ミュージアム
KOISHIKAWA XROSS新設


 TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN(齊藤昌典社長)は7月3日、デジタル技術を活用した文化財の新しい鑑賞体験を提案する施設「デジタル文化財ミュージアム KOISHIKAWA XROSS(コイシカワクロス)」を東京都文京区の小石川本社ビル地下1階に開設した。同日、報道向けに内覧会を開くとともに、同社の取引先限定で公開を開始した。10月5日から一般公開も始める。
 齊藤社長は、KOISHIKAWA XROSS開設の意義と目的について次のように述べた。
 「当社では、高精細デジタル印刷、カラーマネジメント技術に加えて、3次元形状計測といった技術を背景にして文化財のデジタルアーカイブ化やそのデータを活用した文化財の高品位複製・VR作品を制作し、現在では60作品を超えている。そうしたコンテンツを『VR THEATER』での公開だけでなく、デジタル文化財として、教育や文化・観光、災害に遭った文化財の復元などさまざまな用途に活用するべく、『デジタル文化財ミュージアム KOISHIKAWA XROSS』を開設した。当面は、ビジネス向けの運営となるが、一般のお客様にも公開する。本施設での鑑賞体験を通じて、来場者には文化財の魅力を十分に感じていただきたい。同時に、新たな映像表現手法や文化施設運営のノウハウの提案によって文化財の価値を共に創っていくパートナーシップ構築の場としても活用できるように取り組んでいく」
 KOISHIKAWA XROSSは、「文化財を通じて、過去と未来、人と文化が交差する、感性で楽しむデジタル文化財のミュージアム」をコンセプトに、「GATE」「VR THEATER」「GALLERY」「EXHIBITION ROOM」の4つのセクションで構成されている。
 「GATE」はデジタル文化財ミュージアムのプロローグとして、鳥居型のLEDビジョンで来場者を迎える。ビジョンを舞う光の粒子がデジタルアーカイブの出発点を表現する。
 「VR THEATER」は全長20m、高さ5mの大型LEDカーブビジョンに16Kを超える超高精細VR映像を投影することで、圧倒的な臨場感で文化財への没入体験を提供する。国内外のさまざまな文化財の魅力やヒストリーを「デジタル文化財ナビゲーター」が案内する。
 内覧会では、奈良県吉野郡にある金峯山寺(きんぷせんじ)の本堂「蔵王堂」(国宝)と本尊の金剛蔵王大権現立像(重要文化財)をデジタルアーカイブし、その魅力を伝えるVR作品「金峯山寺」を放映した。
 「GALLERY」は、文化財の色や形を精緻に記録したデジタルアーカイブを活用し、大型ディスプレイと連動して、文化財を内部から鑑賞するといったインタラクティブな鑑賞システムや高品位複製などのデジタル文化財を展示する。  「EXHIBITION ROOM」は、デジタル文化財の最新プロジェクトを紹介する110uの企画展示スペース。壁面と床面に没入感のある映像の投影や失われた文化財の推定復元作品などの特別展示を行う。  内覧会では、江戸時代の絵師・伊藤若冲の失われた作品「釈迦十六羅漢図屏風」のデジタル複製とその復元のプロセスを展示した。
 一般公開は10月5日から開始する。土曜日、日曜日、および土日に続く祝日が開館日となる。印刷博物館のウェブサイトからの事前予約制で1日3回、各回の定員は12名、所要時間約50分。鑑賞料金は500円(印刷博物館の入場料が別途必要)。見学の予約受付開始は9月20日から。
 なお、8月24・25日には一般向け限定先行公開を行う。  そのほか、ビジネス向け公開として、TOPPANの取引先限定の見学を完全予約制で火曜日〜金曜日に行う。

VR THEATERでは、文化財ナビゲーターの解説と没入感の高い 映像が楽しめる(VR作品『金峯山寺』/製作協力:金峯山修験本 宗総本山 金峯山寺/製作・著作:TOPPAN)











【印刷新報2024年7月11日付掲載】
その他掲載記事
・暑中特集号
 米国郵便産業の変容と課題 「日本封筒フォーラム2024」より
 新生・東印工の顔 新支部支部長アンケート
 新理事長に聞く2024
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2024年7月4日付
全印工連 産業戦略デザイン室
4部会設置し事業推進
印刷産業の活躍の場をつかむ


 全日本印刷工業組合連合会の産業戦略デザイン室(江森克治委員長)は、今年度第1回委員会を6月11日に日本印刷会館で開いた。新メンバーが顔を合わせ、事業計画について意見交換した。
 冒頭にあいさつした全印工連の瀬田章弘会長は「最高の知性が集まった。ドラッカーの言葉に『未来を予測する最良の方法は未来を創ることだ』とあるように、どんな産業にしたいのか、どんどん言いたいことを言ってほしい。ファイターとして印刷産業を10年後に導いてもらうことを期待している」と話した。
 また、江森委員長も「勉強するのではなく提言する場だ。一社一社の変革はそれぞれが考えるもので、この委員会では産業としての塊を考えて提言してほしい」と求めた。
 委員の自己紹介のあと、事業の基本方針を瀬田会長(産業戦略デザイン室スーパーバイザー)、事業計画の骨格を江森委員長が説明した。
 まずは1期2年、「SR部会」「イノベーション部会」「北極星部会」「広報部会」の4つの部会活動を中心に事業を進め、成果については順次、上期・下期地区印刷協議会、全印工連フォーラムなどを通じて発信していく。
 今期は計19人の委員の顔ぶれが大幅に変わったこともあり、江森委員長は産業戦略デザイン室がなぜ設置されたのか、過去の経緯から説明した。
 「ある時、印刷産業をどうしていきたいのか、全印工連の中で戦略を誰も考えていないことに気づいて愕然とした。そこで初代の委員長を島村さん(島村博之元全印工連会長)にお願いして発足した。ビジョンとは異なり、将来のために環境を整えることが役割だ」
 委員会のミッションとしては「印刷産業が勝つための戦略の策定」と明確化し、その意味を「全印工連各社がサステナブルな経営を進める上で必要となる全局的な作戦計画を立案・実行し、われわれに有利な時代の流れを作ること」とした。
 また、急速に人口減少が進んでいく日本においてビジネスを続けていくことは、一種の「椅子とりゲーム」になるとの見方を示し、委員会の役割を、印刷業界が座れる10年後の椅子を確保しておくことにたとえた。
 また、今後の事業環境について、株主価値から統合価値への変化、無形資産が企業価値を決める時代への移行、新たな技術イノベーションの到来などを挙げ、従来と異なる尺度、ポジション、ゲームチェンジに戦略的に取り組む必要を説いた。
 当面の戦略の軸として設定されたのが4部会で、部会長には4人の副委員長が就いた。  SR部会(岩間奏子部会長)は、公共調達改革を通じた持続可能な共創型地域社会の実現を目指す。印刷に限らず全国の「官民共創」の好事例を収集・分析。ベストプラクティスの提案、官民への周知用ツール作成、全国への周知活動を行う。背景には、自治体の財政難を受けて官民共創ニーズが高まり、従来の競争入札とは異なる発注形態が増えていることがある。
 イノベーション部会(青木允部会長)は、未来における印刷産業の活躍の場を、バックキャスティングで構想する。メディアの原点としての紙媒体を意識しつつ、印刷産業のイノベーションの方向性や、イノベーティブな組織(経営)について考える。
 北極星部会(今井孝治部会長)は、かつて人々が“印刷”という仕事に憧れたように、これからの時代に人々が憧れ、目標にする新たな希望の星を創造する。誰もが目指すことのできる共通項を設定することで、バイアスを取り除き、業界の垣根を自然に溶かしていく。顧客は現在、印刷会社、広告代理店、Web制作会社など固定化した視点で仕事を発注しているが、地域クリエイターや学生なども含め、広く包含された共通項を相手とし、その中に印刷会社が所属するイメージを描く。
 広報部会(岸昌洋部会長)は、現在の経営改善に必要な情報と未来のために必要な情報を戦略的に発信していく。第一弾として、機関誌『日本の印刷』は今年6月から『感動価値創造magazine Xi〔sai〕』に刷新した。











【印刷新報2024年7月4日付掲載】
その他掲載記事
・特集 SOPTECとうほく2024
・補助金申請のポイントを学ぶ 全製工連
・広島に「ジャグラの風」吹く ジャグラ文化典広島大会

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2024年6月20日付
JAGAT
網野勝彦氏(研文社)が新会長に


 公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)は6月13日、第57回通常総会を東京・杉並のJAGAT本社で開催した。任期満了に伴う役員改選では、塚田司郎会長に代わり網野勝彦副会長(研文社代表取締役社長)が会長に就任した。
 総会は、会場出席とオンライン参加のハイブリッド形式で行われた。
 議案は、令和5年度事業・決算報告、6年度事業計画・収支予算案について原案どおり承認。任期満了に伴う役員改選では、理事・監事候補者名簿どおり承認し、臨時理事会で三役ほか理事28名、監事2名を選任した。
 三役は、会長に網野勝彦氏(研文社・新任)、副会長に森澤彰彦氏(モリサワ・留任)、山本久喜氏(東洋美術印刷・新任)、専務理事に郡司秀明氏(JAGAT・留任)。
 就任あいさつで網野会長は「塚田前会長のもと、長らくJAGATの運営に携わってきた。コロナ禍という想定外の事態があり、業界の大きな変化と時代のうねりが起こるなか、リーダーシップをもって当協会を牽引されてきた塚田前会長の後任として、非常に重い責任を感じている。力を振り絞って、皆さんとともに当協会を価値あるものにしていきたい」と決意を述べた。
 また、印刷業界とJAGATに対する思いを次のように述べた。
 「私自身は1980年代に印刷業界に入ったが、中学生の時から自分の家の工場で紙積みをしていたので、もう何十年とこの業界一本で来ている。80年代はまだ活字の母型、活版印刷、写植機があったが、DTPが出てデジタル化がものすごいスピードで進み、その後、インターネット、スマートフォンの登場と、まさかこんな時代になるとは予想していなかった。私も若い頃から技術協会で勉強してきた。まさしく技術が世の中や印刷産業をどんどん変えていくところを当事者として実感しながら、必死になって学んだ。私にとって印刷業の核は製造業であり、技術はとても大事だと思っている。当協会はその看板どおり技術の団体であり、メーカー・ベンダー、印刷・製本とその周辺会社、メディアの方々がフラットに集い、いろいろな議論をしながら、明日の印刷産業の発展を語り合える唯一の場だと思っている。時代の逆風の中にある印刷産業の未来が明るくなるよう、皆さんとともに私も精一杯努力していくので、ご協力をよろしくお願いしたい」

 page2025・テーマは「共奏」
 令和5年度事業は、通常業務への回帰を重要視して運営された。page2024展示会やJAGAT大会(オンライン配信併用)、近畿大会をリアル開催で実施。page展は出展者が前回比26社増加、集客数も同125%強となるなど一定の成果を得た。一方で、入会4社に対し、退会が29社(6月13日現在、会員625社)。決算はマイナス688万円の収支差益となり、財政は厳しい。
 6年度事業計画では、引き続きセミナー等はオンラインを中心とする。地方会員にとって参加が容易であることや、複数の社員が視聴できることが好評であり、郡司専務理事は「この流れは元に戻ることはなく、今後もオンラインは大事。教材も動画を増やすなど内容を変えていく」と話す。
 2024JAGAT大会は、前年に続きハイブリッド開催を前提に計画。ビデオや通信設備が充実しているJAGAT本社を最大限に活用する。また、JUMP(地域大会)もオンラインを予定するが、関西地区会員からはリアル開催の要望が強く、近畿大会はリアルの方向で計画中。 page2025(2月19〜21日)は、リアル展示会に加え、基調講演、スポンサーズセミナー、ミニセミナー等はリアル開催を予定する。カンファレンスは、基調講演、グラフィックス、マーケティング、クロスメディアの4カテゴリからなる6本を予定。  page2025の開催テーマは23年の「創注」、24年の「連携」に続き、25年は「共奏」とする。連携から一歩進み、さまざまなステークホルダーと共にビジネスを創っていく思いを強調した。
 研究調査事業は、印刷ビジネスのサステナビリティを重点テーマとし、月刊『JAGAT info』や『印刷白書2024』の発行、各種調査結果の分析・提供などを行っていく。
 資格認証については、DTPエキスパートの認知度向上を図るとともに、全国会場で受験できるCBT方式の導入で受験しやすくなったことから、将来的に100会場での本試験開催を目指す(23年度実績は41会場)。
 セミナー事業は、定期プログラム45講座を準備し、年間90回、総受講者数800名を予定。
 刊行物は、全面的にデジタル印刷に移行しており、カラー化とオンデマンド化による内容更新で最新情報をわかりやすく提供していく。
 収支予算は約3億円。組織のシンプル化により財政の改善を図る。











【印刷新報2024年6月20日付掲載】
その他掲載記事
・特集「枚葉・CTP」特集
・DAYブランケットをハイデルベルグ・ジャパンが販売
・新会長に麿氏 日印産連

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2024年6月13日付
drupa 2024
174ヵ国から約17万人が来場
多彩なデジタル機に注目


 世界最大の国際印刷・メディア産業展「drupa2024」が5月28日から6月7日までの11日間、「we create the future」をテーマにドイツ・デュッセルドルフ見本市会場で開催された。
 コロナ禍でリアル展としては8年ぶりに開催された今回、見本市会場の18ホール・約14万uの展示面積に、世界52ヵ国から1,643の出展者が最新のソリューションを展示。会期中には約17万人の来場があった。
 来場者の内訳では、海外からの来場者が過去最高となる計174ヵ国、全体の80%に達した。地域別ではヨーロッパに次いでアジアが22%を占めた。出展者数でも中国が開催国であるドイツを抑えてトップであり、 日本からの出展者は約50社ながら総展示面積では国別で第3位となるなど、drupaにおけるアジアの存在感が確実に高まっている。  会場で最も注目を集めたのは多彩なデジタルプレスで、各主要メーカーから世界初あるいはヨーロッパ初出展となる最新機が会場を彩った。特に枚葉型のデジタルプレスでは用紙対応力や色安定性、高度な自動化システムを搭載しながらB2サイズ以上で5,000枚/時を超える高生産モデルを各社が相次いで発表した。
 また、その生産性を最大限発揮するための工程間をつなぐワークフローシステムや、AGVやロボティクスを活用したスマートファクトリー提案も目立った。
 製品分野別では、パッケージ分野を強く意識した提案が目立った。印刷から加飾、フィニッシュ加工までの一気通貫ラインに加え、小ロットのハイブランド市場をにらんだバリアブル後加工機、大小さまざまなダイカット機など、各社の発表からは堅調なパッケージ分野へシフトする動きが顕著に表れていた。
 また、中国企業ブースも目立ち、著名なデジタルプレスメーカーが並ぶホール8にも多数出展。世界的なブランド力はまだ乏しいものの、今後の成長性を感じさせた。
 出展者ブース以外では5つのテーマに沿った特別エリアも設置され、特別展示や専門家による講演など多彩なプログラムが企画された。
 drupa2024を主催するメッセ・デュッセルドルフのザビーネ・ゲルダーマンdrupa2024本部長兼印刷・メディア産業メッセ統括は、「さまざまな大陸や業界の人々と意見を交換することは、非常に有意義で刺激的な経験だった。われわれは、さまざまな国から約50の大規模な代表団を迎えることができた。世界各国の市場関係者と直接会い、ネットワークを形成して共に市場を前進させていく」と閉幕にあたりコメントしている。
 なお、次回展については2028年に開催される。












【印刷新報2024年6月13日付掲載】
その他掲載記事
・特集 ジャグラ文化典広島大会
・全印工連 瀬田新体制がスタート
・キヤノンとハイデルが協業

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2024年6月6日付
日本フレキソ技術協会
フレキソ・ジャパン2024、10月に開催
"無限の可能性"を謳い2日間


 日本唯一のフレキソ印刷専門イベントである「フレキソ・ジャパン2024」が、10月10日・11日の2日間、東京・有明の東京ファッションタウンビルで開催される。主催する一般社団法人日本フレキソ技術協会(津田邦夫会長)は、5月21日に都内で記者発表を行った。

■フォーラム16講座、テーブルトップショー34小間を予定
 フレキソ・ジャパンは、2002年以降、隔年で開かれており、毎回約1000人の来場者がある。前回は2022年11月にIGAS2022と同時開催された。
 11回目を迎えるフレキソ・ジャパン2024のテーマは「無限の可能性〜ナローからワイドまでポテンシャルを秘めたフレキソ印刷」とし、フレキソ印刷の市場の広がりを体感できる内容とする。
 構成の2本柱は、プリンター・コンバーター、サプライヤーなどが講師を務め、フレキソ印刷の国内外の市場、技術、環境対応等の最新情報を提供する「フォーラム」と、フレキソ印刷に関わる資材、システムおよび印刷サンプルを展示する「テーブルトップショー」。
 フォーラムは、分野別(紙器、シール・ラベル、軟包装等)、工程別(プリプレス、版、プレス、インキ、ロール、周辺機器等)の多彩な内容で16講演を予定。参加費は、2日通しが会員2万円、一般2万5000円、1日のみが会員1万2000円、一般1万5000円(いずれもテキスト代込み、税込)。
 また、今年は全日本シール印刷協同組合連合会が10月11日に横浜で年次大会を開催することから、フォーラム初日の10日にはナローウェッブを中心とした内容を予定している。
 テーブルトップショーは入場無料。カタログ、製品見本、印刷サンプル等の机上展示などが行われる。機械の実演や製品販売は不可。出展料金は1小間(幅2m×奥行1.5m)あたり主催者団体会員18万円(税込)、一般23万円(税込)。料金にはフォーラムテキストPR料などを含む。34小間の枠を設定している。
 記者発表会には、津田会長と大西敏治フレキソ・ジャパン実行委員長、岡田龍則副委員長が出席。津田会長が次のようにあいさつした。
 「主催団体である日本フレキソ技術協会は、1976年に日本フレキソ印刷技術懇談会として設立以来、会員各位ならびに業界の皆様のご支援をいただき、48年にわたり国内のフレキソ印刷技術の向上と普及に寄与すべく、会報の発行、技術研究会の開催、調査研究などさまざまな活動を行っている。そのような活動をより幅広く業界の皆様にお伝えするために企画したのがフレキソ・ジャパンであり、2002年に第1回を開催した。国内外のメーカー・ベンダーの最新技術の紹介や、プリンター・コンバーターのフレキソ印刷活用事例などの情報を得ることができるフォーラム、そして、メーカー・ベンダーが自社のフレキソ関連製品を展示するテーブルトップショーで構成しており、今ではフレキソ印刷の目覚ましい進化を体感していただける日本唯一のフレキソ印刷専門イベントとしてご好評をいただいている。
 11回目となる今回は、『無限の可能性〜ナローからワイドまでポテンシャルを秘めたフレキソ印刷』をテーマに開催する。コロナ禍を受けてフレキソ印刷を取り巻く環境が大きく変化している中、フォーラムでは時代のニーズに応える最新の技術や市場動向を紹介し、テーブルトップショーでも各社から、品質の向上はもちろん、自動化、省人化、スキルレスなどをコンセプトとした多彩なソリューションが提案される。現在のフレキソ印刷の優位性、さらなる将来性を感じていただけるイベントとして、来場者ならびに出展者のご期待に応えることができるよう準備を進めている。また、多くの方々との交流を通じて課題解決のヒントを得られる場、新しいビジネスチャンスを創出する場としてもご活用いただきたい」

【フレキソ・ジャパン2024の開催概要】
会期 10月10日(木)・11日(金)
開場時間 午前9時〜午後5時(11日のテーブルトップショーは午後4時まで)
会場 東京ファッションタウン(TFT)ビル 東館9階
〈東京都江東区有明3-6-11、りんかい線 国際展示場駅・徒歩5分、ゆりかもめ 東京ビッグサイト駅・徒歩1分〉
・フォーラム「研修室906」(定員240名)
・テーブルトップショー「研修室904/905」
主催 一般社団法人日本フレキソ技術協会(事務局=活刷出版研究所内)
入場料 無料(フォーラムは有料)












【印刷新報2024年6月6日付掲載】
その他掲載記事
・タイヨーパッケージ 新規上場を申請
・AIで損紙削減 ミヤコシ精機
・総会シーズンスタート

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2024年5月23日付
下請法の運用ルール変更
60日超の手形等は行政指導対象に


 中小企業庁および公正取引委員会では、中小企業の取引適正化の重点課題の一つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイトの短縮を推進してきた。
 このほど、改めて各業界の商慣行や金融情勢等を総合的に勘案し、下請法の運用の見直しを公表した。2024年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となる。
 4月30日には、各業界の事業者団体、金融機関および監督する省庁等に対して要請文を発出した。内容は次のとおり。
■サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用が、2024年11月1日から始まること。
■ファクタリング等の一括決済方式については、サイトを60日以内とすることに加え、引き続き、一括決済方式への加入は下請事業者の自由な意思によること、ならびに親事業者、下請事業者および金融機関の間の三者契約によることを徹底すること。
■下請法対象外の取引についても、手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。
■手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。











【印刷新報2024年5月23日付掲載】
その他掲載記事
・印刷工業会、会長に麿秀晴氏(TOPPANホールディングス)
・板橋区が区内の印刷・製本を紹介する冊子作成
・印刷博物館「GRAPHIC TRIAL 2024―あそび―」開催

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2024年5月16日付
TOPPANエッジ調査
紙の郵便物、全世代で「気づきやすさ」支持
「ポイント付与」など電子化許容の条件に


 TOPPANエッジ(添田秀樹社長)は、20歳以上の男女3,000人を対象に、企業・自治体が送付することのある郵便物121種類について、通知の電子化に対する受け取り手の意向に関する調査を実施した。
 スマートフォンの普及や行政によるDXの推進などによって、従来企業や自治体から郵便物で届けられていた生活者への通知は電子化が進んでいる。また、2024年秋頃に実施が予定される郵便料金の値上げは、企業・自治体にとってコスト負担の増加につながるため、郵便物の電子化が今後さらに加速していくと考えられる。
 TOPPANエッジでは、今回の調査結果とともに、郵便物の種別や性質、受け取り手の年代などによる電子化に対する意向の変化についての分析結果を発表した。概要は次のとおり。

■銀行や保険会社からの通知物は「必ず紙の郵便で受け取りたい」という回答が多数。一方でメーカーや小売店などの商品・サービス案内は「電子化を許容する」割合が高い傾向に。
 銀行や保険会社からの通知物は、読まないことによって損失を被る可能性が高い重要な通知が多く、生活者自身の利益に関わる通知物だと認識されている。また、「自分にとって難しい内容の通知」という印象が、「よく読まないといけない」「読み返せるようにしないといけない」という不安を生じさせている可能性があるため、存在に気づきやすく、じっくり読んで内容を確認できる紙での通知を求められる傾向が強いと考えられる。
 一方、メーカーや小売店からの通知は、商品・サービスの販促的な情報が記載されたものが多く、読まないことによる損失が少ないため、スキマ時間に読める手軽な内容であれば、スマートフォンなどでの通知が好まれると考えられる。しかし、同じメーカーからの通知の中でも、読まないことによって損害を被る可能性が高い「リコール通知」は、「通知が埋没しづらい」紙での通知が求められる傾向があると考えられる。

■郵便物の電子化は、高齢層より若年層の方が「許容する」割合が高い。
 「必ず紙で」という回答は、20代・30代では10%台なのに対し、60代・70代では30%台だった。高齢層は主な情報源に「新聞」と回答している人が多く、情報と紙媒体の親和性が高い傾向にある。電子通知と言われる中でも、視力の衰えなどから、画面が小さいスマートフォンではなくパソコンから情報を得る割合が高いのも特徴。
 ただし高齢層であっても、電子通知を許容する生活者は多数いることも調査から確認できている。高齢層への電子での情報伝達は、通知方法の説明や文字の大きさ、色使いなどのコンテンツの見せ方に一段と配慮して行う必要があると考えられる。

■通知物を「必ず紙の郵便で受け取りたい」と思う理由は、約57%が「届いたことに気づきやすいから」。
 電子通知物、特にメールは1日に数10通、時には100通以上届くこともあり、重要な通知が埋没してしまいやすい傾向にある。「埋没しづらい」「あとで見返しやすい」といった理由から、特に金融機関・自治体などの重要な内容については、紙での通知が求められている。紙の通知物は「保管がしやすい」「じっくり読める」という意向が高齢層ほど高いのに対し、「届いたことに気づきやすい」はどの年代でも高い割合を示した。

■「必ず紙の郵便で受け取りたい」通知物の電子化に許容できる条件は、「ポイントの付与」や「保管・検索の利便性」という回答が多数。
 今まで紙で受領していたものが、紙でなくなることで不安に感じる「現状維持バイアス」が働いていることが結果に影響していると考えられる。しかし、企業側が通知の電子化を試みる際に、「ポイントの付与」といった実利的なインセンティブを与えることで、受け取り手の心理的なハードルを下げることができる可能性がある。
 さらに、「検索行動などのネット利用と連動させやすい」「後から情報を探しやすい」(キーワード検索で容易に欲しい情報にアクセスできる)など電子通知の利便性を丁寧に説明する支援策も実施すれば、通知の電子化は一層受容されやすくなると考えられる。

【調査手法】
 WEBアンケート形式。調査対象は、全国の20代〜70代以上の男女3,000名で、自分宛ての郵便物を1週間に1通以上受け取り、かつ開封している人。実施期間は2024年2月15日〜22日。
 対象の郵便物は、企業や自治体などが送付することがある121種類。TOPPANエッジが受託しているビジネスメールに加え、同社が2003年から収集している「DMライブラリ?」で保管しているダイレクトメール約6万点の中から、代表的な通知物である121種類を選定した。











【印刷新報2024年5月16日付掲載】
その他掲載記事
・drupa2024特集
・エコスリージャパン 藤和・戸田工場で内覧会
・DNP・TOPPAN決算 売上高堅調

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2024年5月9日付
大日本印刷
挑戦的な環境目標を新たに設定
GHG排出量など中期目標を引上げ


 大日本印刷(北島義斉社長、以下DNP)は、2030年度に向けた温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を早期に達成できる見通しとなったことから、今回、環境中期目標を国際基準である「1.5℃目標」に準じて引き上げた。より挑戦的な環境目標に更新することで、持続可能な社会の実現を目指す「DNPグループ環境ビジョン2050」に向けた取組みを加速させる。4月25日にはオンライン記者発表会を開催した。
 DNPグループは、2020年3月に「環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けて取り組んでいる。
 自社事業活動によるGHG排出量に関しては2050年までに実質ゼロとする目標を掲げた。進捗は計画を上回っており、2022年度末には、2030年度をターゲットとしたGHG排出量削減目標の9割を達成していることから、取組みをさらに加速させるため、2024年4月に環境目標を引き上げた。また、資源循環率や水使用量削減などについても2030年度の目標を更新し、より挑戦的な目標とした。
 記者発表会であいさつした坂田英人執行役員技術・研究開発本部担当は「DNPグループは『未来のあたりまえをつくる。』をブランドステートメントとして、新しい価値を創出することで、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしの実現を目指している。それはサステナブルな地球環境の上で成り立つものでもある。今回、グループ社員が『よし、やってやるぞ』と思えるような挑戦的な環境目標を設定した。これを旗印にして環境トップランナーとして取組みを進めていきたい」と語った。
 設定した「挑戦的な環境目標」では、2030年度をターゲットとしたGHG排出量の削減について、旧目標の2015年度比40%削減から、2019年度比46.2%削減に更新した。目標を達成するためDNPグループでは、ポートフォリオの転換、製造拠点の再編のほか、工場・オフィスへの再生可能エネルギーによる電力の導入、より省エネ効果の高い設備の導入を積極的に進めていく。
 また、「GHG排出量削減」と合わせて、「資源循環率向上」「水使用量削減」「環境配慮製品・サービスの売上高拡大」を環境中期目標引上げの重点テーマとした。
 資源循環では、プラスチックのリサイクルスキーム確立に注力し、2030年度に資源循環率70%達成を目指す。 水資源については、水使用量の多い事業部門を中心に効率的な利用を推進し、2030年度に水使用量原単位の2019年度比30%削減を目指す。
 環境配慮製品については、DNP独自の評価により特定しているライフサイクル全体で環境負荷の低いDNP製品・サービス「スーパーエコプロダクツ」の市場への提供を促進し、2030年度に総売上高比率30%への拡大を目指す。スーパーエコプロダクツは現在約70品目、総売上高の約11%(約1600億円)を占める。
 中長期の事業ポートフォリオにおいてDNPグループは、成長牽引事業領域に集中投資を行っていく。その中には、モビリティ・産業用高機能材関連分野が含まれ、環境価値の提供でも社会に大きく貢献する。
 また、DNPは新たに、両面採光型の「太陽光発電所用反射シート」の提供を開始した。85%以上と高い反射率で発電量を向上させる。発電所での実証実験では約6%の発電量向上を確認した。
 原材料の調達についても、持続可能性を重視した取組みを進めていく。「DNPグループ印刷・加工用紙調達ガイドライン」は、2030年度までに適合率100%が目標。2022年度までの実績は94%。
 今後も、サプライヤーと連携し、原材料の合法性の確認、トレーサビリティの確保を進める。DNPサステナビリティ推進委員会事務局の鈴木由香氏は「サプライヤーとの対話、議論を直接進めている。当社グループとしても、低GHG排出量のプラスチックやアルミ材などを使いこなしていく努力が求められる」と話す。










【印刷新報2024年5月9日付掲載】
その他掲載記事
・令和6年春の叙勲・褒章
・全印政連 新会長に滝澤光正氏
・JP2024・印刷DX展

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2024年4月25日付
愛知県印刷工業組合
初の企画商品販売イベント
クリエイターとのコラボで実現


 愛知県印刷工業組合(鳥原久資理事長)は、組合員企業(総数180社、24年3月現在)の26社と、43名の外部クリエイターがアイデアを出し合い、印刷産業だからこそできるオリジナル商品やサービスを開発するコラボレーションプロジェクトを2023年9月より始動した。
 その成果披露として、5月11日・12日の2日間、星が丘テラス(名古屋市千種区)で「ワクワクぷりんと博覧会」を初開催する。当日は、企画商品を販売するほか、ワークショップ(当日参加可)、プレゼントをもらえるシールラリーなどを行う。
 プロジェクトの背景、およびイベント開催趣旨について、主催する愛知県印刷工業組合では次のように説明している。
「私たち印刷産業は、あらゆる産業に関わりながら『情報伝達の担い手』としての役割を果たしてきました。その形態は基本的に受注産業であり、お客様や社会のサポート役というものでした。
 本プロジェクトは、受注産業であった印刷産業が、事業領域の選択肢を広げるために業界団体として行っているものです。クリエイターと共に自ら商品を開発し販売し、印刷産業だからこそできる『印刷を活用した魅力あふれる商品やサービス』を提案する場として企画を進めています。
 本プロジェクトを通して、印刷産業の魅力と可能性、多様性をより多くの皆様に知っていただくこと、さらに、参加する組合員企業各社の新たな価値創造と事業創出のヒントになることを期待しています。
 社会全体においてDXへの取組みが進み、ペーパーレス化の速度が増している環境下で、印刷産業では各社生き残りをかけて試行錯誤をしています。私たちだからこそできる価値提案を続けていきます」
 大阪府印刷工業組合でも、クリエイターと印刷・加工会社とのコラボレーションによる商品開発を行い、印刷の魅力と可能性を広く発信する「ペーパーサミット」を開催している。3回目となった今年2月のペーパーサミット2024には、2日間で2248人が来場するなど盛況だった。
 クリエイターの創造力と印刷・加工会社の技術力を組み合わせた新たなイベントが印刷業界で広がりを見せている。全国各地域での今後の展開が期待できる。

【イベント概要】
開催日時 2024年5月11日(土)・12日(日) 11時〜16時(小雨決行、荒天中止)
会場 星が丘テラス(愛知県名古屋市千種区星が丘元町16-50)屋外スペース(地下鉄東山線「星ヶ丘」6番出口より徒歩1分)
参加企業 26社
参加クリエイター 43名
販売商品 インテリア雑貨、文具、おもちゃ、服飾品、生活雑貨、楽器など印刷加工を活用した新開発プロダクト、およびワークショップ
Webサイトhttps://www.waku-p.jp/
Instagram https://www.instagram.com/waku_p_expo/
主催 愛知県印刷工業組合
共催 株式会社国際デザインセンター
協力 中部デザイン団体協議会(CCDO)、ペーパーサミット(主催・大阪府印刷工業組合)、柳智賢(RYU-DESIGN)
■参加企業
 愛知印刷工業、アイビーネット、アクアス、一粒社、伊藤手帳、岩月末広堂、エムアイシーグループ、神田印刷工業、鬼頭印刷、クイックス、近藤印刷、サンアート印刷、昭和印刷、鈴木紙工所、太美工芸、タック、知多印刷、豊橋印刷社、丹羽グランド、半田中央印刷、プリ・テック、マツモト印刷、マルワ、名鉄局印刷、モリカワペーパー、ユキ印刷工業









【印刷新報2024年4月25日付掲載】
その他掲載記事
・東印工組次期事業計画 9支部体制で再出発
・シタラフェア2024
・drupa2024プレビュー第2回 ランダ

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2024年4月18日付
特定技能対象に「印刷・製本」追加
全印工連・全グラ・全製工連への所属が要件に


 政府は3月29日、外国人労働者を中長期的に受け入れる特定技能制度の対象に「印刷・製本」を追加する方針を閣議決定した。新たに創設される「育成就労制度」への移行に伴い、すでに廃止が決まっている技能実習制度の職種であった印刷・製本の扱いが注目されていたが、新制度に組み込まれることになった。
 介護、建設、農業など既存の12野に加えて、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加するとともに、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」の名称を「工業製品製造業分野」に変更し、「印刷・製本(指導者の指示を理解し、または自らの判断により、オフセット印刷、グラビア印刷、製本の製造工程の作業に従事)」など、新たに7業務区分を追加することを決めた。
 そのほか7業務区分には、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、紡織製品製造、縫製などが含まれる。
 特定技能制度は、人手不足が深刻化する産業分野で外国人労働者を受け入れる在留資格で、最長5年間働ける「1号」と、より高度な技術が求められ、家族が帯同できて事実上永住できる「2号」がある。「印刷・製本」は「1号」となる。
 特定技能の受け入れ見込み数は、2024年度から5年間で最大82万人と設定した。この数字は国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。工業製品製造業分野における受け入れ見込み数は、最大17万3,300人。同分野は5年後の2028年度に42万4,300人程度の人手不足が生じると推計している。
 また、技能実習制度では長時間労働や賃金未払いなど労働搾取が問題化したことなどを踏まえ、特定技能の利用要件として、印刷・同関連業(印刷・製本区分)については、全日本印刷工業組合連合会、全国グラビア協同組合連合会、全日本製本工業組合連合会のいずれかに所属していることが設けられた。
 それを受けて、4月12日に三団体合同によるプレス発表会が全印工連の滝澤光正会長、全製工連の田中眞文会長、全国グラビアの田口薫会長が出席して行われた。
 代表してあいさつを述べた滝澤会長は「従来から組合員のみならず、印刷産業として技能実習生を受け入れていた実績があり、組合の調査では約3,000名の実習生が印刷産業で活躍している。一方で、顕著な人手不足の状況は続いており、この特定技能の分野に追加していただき、外国人を直接的な現場の戦力として優秀な人材を受け入れたいという声が高まり、申請に至った。その結果、『印刷・製本』を加えていただいた。今後、この特定技能の外国人労働者の受け入れに際しては、その受け入れ体制の構築を行っていく必要があるが、まずは認めていただいたことが業界にとって大変大きな前進であることは間違いない」と今回の決定についてコメントした。
 政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として特定技能制度に移行する「育成就労制度」創設を柱とする関連法案を今国会に提出している。
 三団体では、こうした政府の決定を待って、ガイドライン等の策定を進めていく方針。








【印刷新報2024年4月18日付掲載】
その他掲載記事
本紙創刊4900号記念特集
・若手経営者の情熱が世界を変える
・印刷産業にAIが与える影響−私はこう考える
・drupa2024プレビュー第1回 富士フイルム

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2024年4月5日付
日本製本紙工新聞
モリサワ、「甲子園フォント」を制作
阪神甲子園球場と100周年プロジェクト


 モリサワ(森澤彰彦社長)は、阪神甲子園球場のスコアボードで使われてきた伝統の「甲子園文字」を受け継ぎ、「甲子園フォント」として制作、デジタルフォント化することを決定した。
 今年7月24日に、モリサワ創業者の森澤信夫氏らが「邦文写真植字機」を発明して100周年を迎える。同じく阪神電気鉄道(久須勇介社長)が運営する阪神甲子園球場も、8月1日に開場100周年を迎える。これを記念して、モリサワと阪神甲子園球場は100周年記念共同プロジェクトとして「甲子園フォント」の制作に取り組む。
 阪神甲子園球場のスコアボードでは、1983年まで、職人が黒い板に毛筆で手書きをした文字を使っていた。その独特な字形が「甲子園文字」として親しまれ、スコアボードを電光掲示に改修した1984年以降も、その伝統を受け継ぐべく、同球場の職員がオリジナルの文字データを制作し表示してきた。
 同プロジェクトは、文字のプロフェッショナルとして歴史を紡いできたモリサワが、阪神甲子園球場が大切に受け継いできた「甲子園文字」を、現代の実用に即した「甲子園フォント」として制作する。「甲子園文字」の伝統を次の時代につなぐコンセプトで、より多くの人の読みやすさに配慮したUD(ユニバーサルデザイン)フォントをベースとする。
 「甲子園フォント」の完成は今年12月頃を予定し、2025年シーズンから阪神甲子園球場のスコアボードで使われる予定。
 また、同プロジェクトを記念して、4月17日に阪神甲子園球場で行われる阪神タイガース公式戦で、モリサワによる初めての冠協賛試合を行う予定。

手書き時代のスコアボード(左)と選手名板
(提供:阪神電気鉄道)









【日本製本紙工新聞2024年4月5日付掲載】
その他掲載記事
・日販、ローソンの連携店舗増加
・第65回全国カタログ展 各賞決定
・AIで簡単に動画作成 電通

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2024年3月28日付
第38回全日本DM大賞
北海道産直センターがグランプリ
過去最高の受注率32%を記録


 日本郵便は、第38回全日本DM大賞の受賞者を3月14日に発表した。応募総数703点の中から金賞グランプリに、北海道産地直送センターの「購入履歴反映ビンゴDM/ほたて型DM」が選ばれた。制作者は富士フイルムビジネスイノベーションジャパン、プラナクリエイティブ。
 北海道産地直送センターは、年3回以上購入の顧客へ向けた「購入履歴反映ビンゴDM」と、購入単価の低い顧客に向けた「ほたて型DM」を制作。いずれもDMを入口にクロスセルを駆使し既存顧客のリピート率を上げる施策となっている。
 「ビンゴDM」では対象顧客専属のコールセンタースタッフらの、顔写真入りの自筆メッセージを載せた感謝状と、対象顧客の2年分の購入履歴から導き出した商品を縦・横・斜めに配置した「ビンゴカード」を同封。マス目に記載の商品を購入し1列揃うごとに同社商品がプレゼントされるルールで、最低でも年4回以上の購入促進を図った。紙面上でいかにビンゴのルールを分かりやすく伝えられるかが課題だったが、スタッフの顔写真を掲載したことの相乗効果もあり、投函後すぐにゲーム参加と商品購入に意欲的な声が多数寄せられた。結果的に同社の既存DMにおいて過去最高の受注率32.2%を記録。顧客との間にもより深いつながりができた。
 一方の「ほたて型DM」は、ECサイトで購入した顧客のリピート率が低いという課題に対し、人気のほたてとのセット商品を勧める案と、ほたて以外の別商品を単品で勧める案でABテストを行った。商品は過去の購買データに基づきランキング形式で紹介した。表紙の「ほたて」だけでなく、カニやイクラ、コロッケなどの"推し"商品をチラ見せさせることで興味を喚起。さらに、ECだけの割引特典を設け、Webに誘導した。個別の二次元バーコードを掲載することでDMからECサイト流入時の行動パターンを解析できるようにした。DM+アウトコール+ECの相乗効果で前年最高時のレスポンス率3.1%から5.6%へとアップし顧客単価が2倍以上に。中でもECサイトでの売上が顕著で、ほたてのリピート購入率は約66%となった。あらかじめ顧客のもとに印象に残るDMを届けることで、アウトバウンドのクロスセルが行いやすくなり、売上向上にも寄与した。
 恩藏直人審査委員長(早稲田大学商学学術院教授)は「ビンゴという誰でも知っているゲームを取り入れた。購入履歴がビンゴカードの獲得箇所として反映されるので、『ビンゴ』を目指すお客の購買意欲を引き上げる。受注率の高さが、このDMの効果を示している」と評価した。
※解説は、全日本DM大賞年鑑ダイジェスト版を参照した

購入履歴反映ビンゴDM

ほたて型のリピート促進DM









【印刷新報2024年3月28日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連 労務費の価格転嫁を強化
 自主行動計画フォローアップ調査結果
・日本WPA 総カーボンオフセット量が1万d超

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2024年3月14日付
武田薬品
組箱印刷を特色からCMYKインキに
26年までに全商品を切替え環境負荷低減


 武田薬品工業(クリストフ・ウェバー代表取締役社長CEO、本社・東京都中央区)は、国内で製造する製品の二次包装(組箱)の印刷における環境負荷低減を目的に、使用するインキを、特色インキからCMYKインキに切り替えていくことを決めた。今回の決定は、同社がグローバルで進めるアートワーク管理※による環境負荷低減を目指した取組みにおける第一段階となり、日本以外でも今後展開していく予定。
※医薬品の二次包装材料(組箱、取扱説明書、ラベル等を含む)の印刷や表示の設計・編集や管理

最近発売した新製品の組箱全体の印刷に初めてCMYKインキを採用した

■他の製薬企業とも共有し、業界を挙げての取組みへ
 武田薬品は、皮下注用人免疫グロブリン製剤として日本で2023年9月に製造販売承認を取得し、最近発売した「キュービトル20%皮下注」について、製薬企業として国内でいち早く、組箱全体の印刷にCMYKインキを採用。「これにより、サプライヤーの印刷工程におけるインキの使用量および廃棄量、さらに印刷機の洗浄に使用する溶剤の使用量および廃棄量の削減につながる。当社においても、この取組みにより将来的なコスト削減につながるものと期待している」とコメントしている。
 日本の医療用医薬品業界では、製品の二次包装は特色インキによる印刷がスタンダードとなっている。これをCMYKによる4色の組合せに切り替えることにより、特色インキを使う印刷に比べて使用するインキの種類・量を低減できるとともに、製品を切り替える際の印刷機洗浄が不要になる。
 武田薬品はグローバル全体で、環境負荷低減に関するデータを収集し、印刷工程の詳細なライフサイクルアセスメントに取り組んでいる。
 今後、2026年までに新製品・既存品を問わず、国内で製造する同社製品のすべての二次包装をCMYKインキに切り替える予定。日本以外でも同様の取組みを予定している。
 将来的には、刷版を使用せず、刷版製作時の水や溶剤の削減も可能なデジタル印刷の採用についても検討していく。
 同社のグローバル マニュファクチャリング & サプライ ジャパンヘッドであるグレッグ・ティモンズ氏は「企業理念の一つとして、地球環境の負荷を低減しながら、患者さんに高品質な医薬品を安定的にお届けし続けることを約束しており、この取組みは約束を果たすための一環だ。私たちはこれからも、医療用医薬品業界における環境サステナビリティへの取組みを積極的にリードしていく」と述べている。
 また、今回の取組みを主導した同社ジャパン リージョナル ローンチエクセレンス&プロダクトライフサイクル マネジメントの野々村浩二氏は「今後は、スケールメリットによって環境への影響をさらに低減するために、状況の進展や成果を他の製薬企業と共有し、本取組みへの参加を積極的に呼びかけていく」と話し、他社とも共有することで、業界を挙げての二次包装印刷における環境負荷低減を目指す。








【印刷新報2024年3月14日付掲載】
その他掲載記事
・視点 低収益性を疑う目を
・AIを活用した職人技の研究が日本印刷学会奨励賞
・大印工 印刷×SDGsフェス2024
 印刷とMUDの力を発信
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2024年3月7日付
奥村印刷
折り紙食器で被災地支援
石川県に1万シートを提供


 奥村印刷(奥村文泰社長、本社・東京都北区)は、元日に発生した能登半島地震に対する支援として、折り紙食器「beak(ビーク)」を被災地に提供した。石川県健康福祉部厚生政策課の要請を受け、1月11日に皿や丼など合わせて1万シートを発送した。山田秀生取締役常務執行役員プリプレスセンター長と藤枝鋼至郎コミュニケーションプロデュース本部執行役員本部長に話を聞いた。

奥村印刷本社入口の「beak」大型ディスプレイの前で、山田常務(右)と藤枝執行役員

■被災地の人々に温かい食事を
 beakは、A4サイズの紙から折り紙のように組み立てられ、スプーンとフォーク付きの皿、丼、カップの型を切り離して折るだけで簡単に作れる。耐水・耐熱・耐油ペーパーを採用しているため、豚汁、ラーメンなど温かい汁物やカレーなどあらゆる料理に使うことができる。
 同社は2022年12月にクリーンルームを設置。富士フイルムビジネスイノベーション製プロダクションカラープリンターRevoria Press PC1120Sと型抜き機(トムソン加工機 OT-SRP)などの最新機を導入し、衛生的な環境下で「beak」の製造を行っている。
 今回のbeakによる支援について山田常務は「元日に地震が発生して以降、現地の情報収集とともに、紙の手配などを行い、すぐに被災地への提供を決めた」と話す。
 藤枝執行役員は「被災地への電話連絡を試みたが、パンク状態でつながらなかった。その後、石川県が開設した義援物資受入れサイトを通じて1月5日夕方に申し入れを行った。申請フォームはテキストしか書き込めなかったため、『折り紙食器beak。糊もハサミも使わずに組み立てられます』とだけ記した。7日の日曜の夜には石川県の担当者から『ぜひご支援いただきたい。いつ納品できるか』との連絡が来た」と話す。
 車両の混雑や現地での対応の難しさから直接運ぶことはできず、指定場所に宅配便で届けた。石川県からの要望もあり、箱の各面に大きなシールを貼り、QRコードから組立て方法が分かる動画を視聴できるように工夫した。
 山田常務は「東日本大震災の被災者の方から、配布用の食器が足りずに、せっかくの炊き出しをお断わりしたという話を聞いたことがある。一部の人だけに温かい食事を出すとトラブルの原因になるため、やむなく冷たいおにぎりやパンしか配れない日々が続いたそうだ。beakは折り紙のように即座に食器が作れ、余って置いてあっても邪魔にならない。防災備蓄品として開発したのが今から約2年前だが、今回こうして被災地で実際に使われるとなると、とても感慨深い」と話す。
 「クリアファイルや子供のランドセルに入れられる」という理由から、サイズはA4にこだわった。開発のポイントは、紙のシートのままで「組み立てない」という斬新な発想にある。
 「平たいA4の紙のまま保管でき、コンパクトで置き場所に困らない。たとえば1000人分の食器もわずか45pの厚さで収納でき、大量備蓄、搬送性に優れているのが特長だ。市販の紙皿や紙コップなどは保管時に潰れると使えなくなってしまうが、beakはたとえ紙が折れ曲がっても組み立てれば遜色なく使用できる」と山田常務。
 beakは国内特許を取得済みで、一般社団法人防災安全協会の「防災製品等推奨品」にも指定されている。  現在、各方面でbeakの認知度は急速に高まっている。防災グッズとしてだけなく、アウトドア用や外国人旅行者・インバウンド用、お土産用など、今後の用途の拡大が期待される。
 山田常務は「beakの販売を通じて自社のブランディングにつながっており、印刷営業にも相乗効果が生まれている。地域社会に広く貢献し、印刷会社としての使命をしっかりと果たしていきたい」と話す。


折り紙食器「beak」はスプーン・フォーク付きの皿、丼、カップの3種類









【印刷新報2024年3月7日付掲載】
その他掲載記事
・製本特集2024
・2023年日本の広告費 前年の過去最高を更新
・印刷革新会 SCREEN GAが加入

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2024年2月29日付
大和印刷紙工
絵本「原版」をNFTオークションへ
絵本作家らと協業し挑戦、16万円で落札


 大和印刷紙工(小林汰功社長、京都府宇治市)は、印刷工程で製版された「原版」を販売するという絵本制作の事業モデル を考案し、Web3絵本作家の「えみ森の木こりさん家。」、オーダーメイドの木工雑貨を手がけるZUKOUSHITUとの協業で「原版」×NFTオークションを行い、約16万円で落札された。売上の一部は、新たな絵本の制作支援金として寄付され、「原版」からも制作費用を調達でき、クリエーターにとって絵本制作に挑戦しやすい仕組みが実現した。
 オフセット印刷の過程で製版された「原版」(アルミ版)は、印刷完了後、廃棄またはリサイクルされることが一般的である。大和印刷紙工では、この“「原版」=単なるオフセット印刷の用具”という常識を “「原版」=芸術作品の原点”という常識に変えたいと考えた。そこで、ZUKOUSHITUとタッグを組み、「原版」の魅力を最大限引き立てる木製フレームを組み合わせ、オークションに挑んだ。
 世界最大規模のNFTマーケットプレイスの OpenSea で、「えみ森の木こりさん家。」が初めて制作した絵本『やさしいきもち』のブックカバーの印刷で使われた「原版」とその画像NFTのオークションを、昨年12月22日・23日に行った。販売は大和印刷紙工「えみ森の木こりさん家。」、ZUKOUSHITUとの協業体制で臨んだ。
 オークション開始から予想を大きく上回る反響を呼び、最終的に仮想通貨0.5ETH( 約16万円)で落札された。

絵本『やさしいきもち』のブックカバー 印刷時に製版された「原版」。木製フレ ームはZUKOUSHITU製。RGBで色調が 変化させられるLEDライトが付いている








【印刷新報2024年2月29日付掲載】
その他掲載記事
・全印工連の次期スローガン「さあ行こう、未来を創りに。」
・page2024 「連携」で新たな価値創出
・東印工組 京橋支部100周年

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2024年2月15日付
ウォームアンドビューティフル
印刷業界へ派遣事業拡大 出版業界で実績重ねる


 ウォームアンドビューティフル(津島憲豪社長、東京都千代田区、以下W&B)は、大手出版社をはじめ、広告・新聞業界など、さまざまなメディア企業の希望に沿った人材を派遣している。このほど印刷業界へも領域を広げ、印刷会社の利用実績も出始めた。同社が印刷会社への人材派遣を始めたのはなぜか。同社の阪本直樹氏に話を聞いた。

◆出版界に人材を派遣して30年
 W&Bは創業以来30年間、出版業界への人材派遣に特化している。派遣先は大手出版社をはじめ20社を超え、業界からの信頼は厚く、人材の評価も高い。社名はポール・マッカートニーの名曲に由来している。
 登録は現在、50名ほど。その7割が20代〜30代の若い世代で、女性が8割近くを占めている。この中から、企業側の希望に応じて最適な人材が手配される。
 同社を活用する最大のメリットは、いわゆる「3年の壁」がないことだ。
 一般的に派遣社員は、3年間同じ会社に勤務すると、その会社で雇用するか、または派遣を停止し、他の人材にするかを選択しなければならない。しかし同社の人材は原則、入社6ヵ月後に、契約社員からW&Bの正社員となるため、「3年の壁」は存在しない。ようやく社風や仕事に慣れてきたという人材を「3年の壁」のために継続雇用をあきらめる必要がなくなるのだ。
 W&Bは、その会社に最適と判断した人材を派遣するが、どうしても環境になじめない、仕事が合わない、という可能性もある。その際には相談の上、人材の変更も可能となっている。そのため、採用のミスマッチがなくなり、受け入れる企業のリスクも少なく、安心して採用できる。もちろん、派遣先の企業と派遣した人材が合意すればその派遣先の社員にできる。
 新卒採用でミスマッチによる離職が多いといわれている昨今、採用にかけた時間と費用がムダになることもない。これもメリットに数えられる。
 加えて、派遣先の企業と同じ業界の人材を派遣することはないという。これは、「前の会社ではこうだった」という先入観を避けるためで、派遣先の企業で仕事を一から覚え、その企業のやり方になじみやすくするためだ。  また、W&Bでは派遣先の企業に対し、必要な人材を「いつまで待てるか」「依頼を延長するか/しないか」などを、そのつど確認しているという。

◆印刷業界に人材面で貢献を
 印刷業界への人材派遣について、その経緯を阪本氏は次のように説明する。
 「出版業界と同じく、印刷業界も人手不足だと聞いている。印刷と出版は近い関係にあり、当社も印刷会社との付き合いがある。それならば印刷業界にも貢献したいと考えた。実際に人材派遣事業を開始したのは、お付き合いのある大手出版社から『取引先の印刷会社が人材で困っている』という相談を受けたからだ。そこで当社から内勤の営業補助・事務の人材を派遣することになった」  現状では、印刷業界への人材派遣はまだ内勤の事務系のみだが、今後、需要があれば、DTPオペレータなどにも人材の幅を広げることを考えている。  印刷業界として気になるのは、派遣される人材が業界独自の用語や慣習にどれだけ対応できるかということだろう。
 その点について阪本氏は「今後、印刷業界については当社も勉強し、人材も教育していく。当社グループの出版社が取引している印刷会社の見学や研修などで、業界向けの人材教育をすることも可能だ」と語る。
 そして、「当社には30年培ったノウハウがあり、人材については自信を持っている。前向きで精神的にもしっかりとした人材を揃えているので、採用や人材不足で課題を抱えている印刷会社には、ぜひ、相談してほしい」と呼びかける。




【印刷新報2024年2月15日付掲載】
その他掲載記事
・全青協、新議長に西岡天芳氏(新星印刷・大印工)
・自動化、省力化システムに注目
 ホリゾンスマートソリューションフェア
・東印工組荒川支部 70周年祝う 新支部へ決意新た

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2024年2月1日付
政労使会議、中小の価格転嫁が焦点に
重点22業種に「印刷・同関連業」も


 政府は1月22日、経団連、連合と政労使会議を総理大臣官邸で開いた。昨年11月に開催した政労使の意見交換を受けて、中小企業の労務費の転嫁対策の徹底状況などをフォローアップし、労務費や原材料費の上昇分などの価格転嫁が進んでいない22の重点業種を公表した。「印刷・同関連業」も含まれる。今後、所管官庁を通じて改善をさらに促していく。
 政労使会議は、24年春季労使交渉の開始に先立って行われたもので、岸田総理、十倉雅和経団連会長、芳野友子連合会長、森洋全国中小企業団体中央会会長ほか関係者が出席。中小企業の賃上げ促進が議題の柱となった。
 24年春闘における経営側の基本スタンスとして経団連は、「中小企業における構造的な賃金引上げが重要」との考えを示し、労務費の増加分を含めた適正な価格転嫁に向けた取組みとして、発注者と受注者双方の企業に価格交渉を進める行動を求めること、意見交換の場の設置など中小企業団体との連携を推進すること等を挙げた。
 全国中小企業団体中央会は「令和5年度中小企業労働事情実態調査」の結果を資料として提出。原材料費・人件費等の増加による販売・受注価格への転嫁が、規模の小さい事業所ほどできていない状況を説明した。
 また、同調査による「賃金改定の決定要素」(複数回答)では、「労働力の確保・定着」が約60%と最も割合が高く、次いで「企業の業績」(約49%)、「物価の動向」(約45%)が続く。
 政府は、昨年11月29日に「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を発表し、周知徹底のために全国8ブロックで説明会を開催した。12月には全省庁に対して所管業種のすべての業界団体等に周知・フォローアップを行うように要請。計1873団体に及んだ。
 その実効性を高めるため政府は、価格転嫁が進んでいない業種、事業コストに占める労務費の割合が高い業種など、価格転嫁を促進する22の重点業種を選出した。印刷・同関連業をはじめ、生産用機械器具製造業、情報サービス業、映像・音声・文字情報制作業、インターネット付随サービス業、広告業、道路貨物運送業等が入っている。
 政労使の意見交換の場で価格転嫁の重要性について認識が共有され、賃金上げに向けた価格交渉の機運が高まっていることは、中小企業性が極めて高い印刷関連業にとっては歓迎すべきだ。一方、業績の低迷によりそもそも賃上げに踏み込めない企業も多い。今後、労働力の確保において企業間格差が大きく開く状況が予想されるだけに、中小企業自身の生産性改善や付加価値向上への一層の取組みが欠かせない。







【印刷新報2024年2月1日付掲載】
その他掲載記事
・特集 page2024
・製紙連 2024年紙・板紙内需見通し
・光文堂 第60回新春機材展 Print Doors2024
 前回上回る規模で開催

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2024年1月25日付
木野瀬印刷・中島氏原作の映画が話題
『フィリピンパブ嬢の社会学』


 日本で働く外国人女性労働者の実態をリアルに描いたラブストーリー映画『フィリピンパブ嬢の社会学』が2月17日から新宿のK's cinemaで上映される。それに先立ち、1月11日と23日に試写会が東京で開かれた。
 同作は愛知県春日井市に本社がある木野瀬印刷のPOD課係長、中島弘象(なかしま・こうしょう)氏による同名の新潮新書が原作。続編として『フィリピンパブ嬢の経済学』も刊行されている。
 作品は、中島氏が大学院の修士論文に「フィリピンパブ」で働く女性をテーマに選んだことを発端に、論文のフィールドワークとして「フィリピンパブ」に通い続けるうちに、そこで働く女性と恋愛関係となり…という実話に基づくもの。現在、四刷まで版を重ねている。
 映画化は、原作を読んだ監督の白羽弥仁(しらは・みつひと)氏が中島氏に直接メッセージを送り、熱望したことから実現した。昨年、愛知県内の3館で先行上映されると、地元新聞、テレビなどで多文化共生の好例として取り上げられ、1館では現在も上映中。3ヵ月を超えるロングランとなっている。
 スクリーンでは、主人公・中島翔太(前田航基)とフィリピン人女性・ミカ(一宮レイゼル)との波乱の純愛ストーリーを主軸に、日本で働くフィリピン人女性の強さ、逞しさ、危うさを描く。若い二人の恋愛模様がまぶしい。
 外国人に優しいとは言えない日本社会を、前向きに、したたかに生き抜く彼女たちに感心し、勇気づけられるとともに、日本で「フィリピンパブ」がなぜ成り立っているのか、その一端が理解できる。見終わった後、ミカの「ダイジョウブ、なんとかなるって」というセリフに背中を押してもらえる、そんな作品だ。私生活や仕事に悩む若い世代に、ぜひ鑑賞してほしい。







【印刷新報2024年1月25日付掲載】
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・drupa2024 日本からは46社が出展
 全体では世界50ヵ国から1,300社超
・大川印刷 スキャニング事業を開始
・2024年の印刷業界スタート
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2024年1月18日付
グリーン購入法、印刷用紙に新判断基準
適合品種が大幅に増加


 環境省よるグリーン購入法に基づく「印刷用紙に係る判断の基準等の見直し」が実施され、昨年12月22日に新しい「グリーン購入法印刷用紙に係る判断基準」が閣議決定された。古紙パルプ配合率の最低保証が撤廃されたほか、適合基準の見直しによって適合品が大幅に増加し、製品の供給量が拡大すると見られる。また、入手困難な場合は従来どおり代替品の使用が認められる。A2コート紙の流通など一部の印刷用紙に課題は残すものの、官公需の繁忙期を迎える中、長年の懸案であった判断基準を満たす用紙の調達状況は大きく改善する見通しとなった。

■経済産業省内に相談窓口も設置
 官公需において仕様書に記載されるグリーン購入法適合品の印刷用紙が市場に十分に供給されていないことから、印刷会社が受注機会を逸してしまう問題がかねてからあった。
 全国の組合員から改善要望が寄せられていた全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)では、ここ数年にわたり全日本印刷産業政治連盟と連携し、自由民主党中小印刷産業振興議員連盟の支援を得て、国に対して全国各地に適合品の十分な流通が図られるよう「グリーン購入法印刷用紙に係る判断基準の見直し」を求めてきた。
 この要望を受け環境省は、1年前倒しで2023年6月に特定調達品目検討会のもとに11名の委員からなる印刷用紙専門委員会を設置。滝澤会長も委員として召集され、課題の早期解決と改善策の検討を強く訴えてきた。その結果、2023年12月22日に新しい「グリーン購入法印刷用紙に係る判断基準」が閣議決定された。
 今回の基準見直しは、次の2つの柱からなる。
1)古紙の需給環境等を踏まえ、従前の古紙パルプ配合率(40%)の最低保証を撤廃。古紙パルプ、森林認証材パルプ、間伐材等パルプを同等に高く評価した。
2) 森林認証制度に基づき、その適格性が第三者認証機関により検証された木材を原料とするパルプとして「管理木材パルプ」を新たに位置づけた。
 これにより、適合品の品種が大幅に増加。供給量の増大が見込まれ、グリーン購入法印刷用紙の入手が容易になる。
 従来17品種だった適合印刷用紙は、メーカー7社から112品種となった(12月22日公表時点)。内訳は、王子製紙17、日本製紙9、大王製紙25、北越コーポレーション33、三菱製紙9、丸住製紙6、中越パルプ工業13。
 適合品リストは、各製紙メーカーのホームページほか、日印産連・全印工連のホームページには一覧表を掲載。環境省グリーン購入法ポータルサイトにもリンク先を掲載している。
 また、環境省は、調達者である各府省庁および地方公共団体等にあてた12月22日付の発出文書で、「判断の基準を満たす印刷用紙の調達が困難となる場合には、国等の業務・事業の継続を確保するため、代替品の納入を認める取扱いを今後も継続する」旨を明確に周知した。
 さらに、印刷用紙の供給に問題が発生した際の相談先として、政府相談窓口を経済産業省(コンテンツ産業課)に設置し、個別相談に応じる体制を構築する。日印産連・全印工連にも窓口を設置し、政府窓口との連携を図ることにより、官民で迅速な対応を行っていく。すでに、日印産連・全印工連のホームページには「相談窓口フォーム」が設けられている。
 日印産連および全印工連は今後、相談窓口などへの相談件数、内容を見ながら、その実効性を確実にしていく取組みを進めていく方針。

■議連総会でグリーン購入法の根本的なあり方にも言及
 グリーン購入法基本方針における印刷用紙の取扱いを議案とした昨年11月30日の中小印刷産業振興議員連盟の総会で、全印工連の滝澤会長は「A2コート紙については市場流通に若干懸念が残ると判断している。今回の基準ですべての課題が解決するわけではないと思っているが、その部分に関しては、環境省ならびに経済産業省でも引き続き方策を考えていただいているので、年度末の官公需印刷物の需要期に向けて、いったんはこの制度で私どもとしても様子を見たいと考えている」とあいさつした。
 また、議連の伊藤達也幹事長は総会のまとめにあたり、「今後の取組状況を見て、やはり実効性の上で問題があると明らかになった場合には、グリーン購入法のそもそもの判断基準のあり方を見直していくことを、環境省としてしっかり受け止めてほしい」と話し、環境省もこれを了承した。










【印刷新報2024年1月18日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連 新年交歓会に480名
・令和6年能登半島地震 被災企業の支援に全力
・2024年の印刷業界スタート
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2024年1月1日付
モリサワ
写植機発明から100周年
1924年7月に特許を申請


 モリサワ(森澤彰彦社長、本社・大阪市浪速区)は、2024年7月24日に、創業者・森澤信夫氏による邦文写真植字機(写植機)の発明から100周年を迎える。
 その歴史を振り返るプロジェクトとして昨年7月、今では数台のみしか現役で存在しない当時の写植機「MC-6型」を、一部機能をデジタル化し、現代の技術を融合させた形で再現した。

 写植機は、「光学写真の原理で文字を現して組む」画期的な方法で、従来の活版印刷に代わる新たな印刷技術を体現した機械。モリサワ創業者の森澤信夫氏が発明し、写研の創業者である石井茂吉氏とともに1924年に特許を申請した。「MC-6型」は、1967年発売の万能型手動写植機で、当時1万台の販売を記録したロングセラー機。再現した「MC-6型(2024)」は、「現像」の工程を踏むことなく、備え付けのモニター上で文字の版下を確認することができるため、写植機の仕組みを理解しながら、植字を模擬体験できる。

 1月23日に「MORISAWA FAIR」開催
 写植機体感イベントも

 モリサワは、1月23日に新春イベント「MORISAWA FAIR 2024」を会場(オフライン)、オンラインのハイブリッド形式で開催する。
 これからのビジネスに役立つセミナーが行われるほか、会場では限定イベントの「MC-6型(2024)」ガイドツアー、フォントやアドビ製品の相談コーナーが設けられる。
【セミナー内容】
 定員 会場(オフライン)各回50名、オンライン各回450名
@「DXと事業創造の印刷ビジネス」(13時30分〜14時35分)
 講師・藤井建人氏(日本印刷技術協会主幹研究員研究調査部長)
A「Adobe Firefly 生成AIの最新活用術」(14時55分〜16時)
 講師・横堀直和氏(アドビ・デジタルメディア事業統括本部ソリューションズコンサルタント)
B「Morisawa Fonts移行方法と新書体のご紹介」(16時20分〜17時)
 講師・山浦聡氏(モリサワユーザーサポート部サポートセンター)

【会場限定イベント】
@写植機「MC-6型(2024)」ガイドツアー(12時45分〜13時15分)定員・20名
 邦文写真植字機の発明100周年を記念して、手動写植機の一部機能をデジタルで再現した「MC-6型(2024)」を紹介。手軽に写植を疑似体験できる。
AMORISAWA SQUARE(ショールーム)見学(12時45分〜17時30分)
 モリサワの歴史を紹介する「ヒストリーゾーン」、文字と書物に関する展示の「コレクションゾーン」を自由に見学できる。
BMorisawa Fonts・アドビ製品相談コーナー(12時45分〜17時30分)
 仕事での悩みや課題解決などについて専門スタッフが対応。

【開催概要】
日時
1月23日
開催時間
会場(オフライン)12時45分〜17時30分(12時30分開場)
オンライン(Zoom)13時30分〜17時(13時20分開場)
会場
モリサワ本社(大阪市浪速区敷津東2-6-25)

一部の機能をデジタル化し、再現した写植機「MC-6 型(2024)」











【印刷新報2024年1月1日付掲載】
その他掲載記事
・新年特集号
 巡回・循環を社会に 地球環境と心の問題は同根
 団体・メーカートップ年頭所感
 光文堂新春機材展 特集
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2023年12月21日付
【2023年の10大ニュース】
コロナ禍を経て新たな局面
適正取引へ動き強まる


 本紙が選んだ【2023年 10大ニュース】
1.新型コロナが5類に移行、需要回復と倒産増の光と陰
2.原材料・エネルギー価格が高止まり、労務費の価格転嫁では国が行動指針を打ち出す
3.日印産連、下請取引適正化の自主行動計画「徹底プラン」を策定
4.生成AIの活用が印刷業界でも本格化
5. 凸版印刷がTOPPANホールディングスに社名変更、新体制発足
6.改正PRTR法が施行
7.大手出版社発行のコミックスにICタグ装着開始
8.全印工連、メディアユニバーサルデザインで初の周知・啓発イベントを開催
9.東印工組、支部再編に取り組み来年度実行へ
10.メーカーの工程間連携で組織的な動きが進む

 2023年は、5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行し、経済活動の正常化が進んだ。印刷需要も、個人消費やイベント関連、インバウンド関連の増加によって回復が見られたが、コロナ禍で加速したデジタルシフト、ペーパーレスの影響から、市場構造そのものが変化し、コロナ禍前の水準には戻っていない。また、いわゆるゼロゼロ融資の返済を迫られ、この数年で事業変革ができなかった企業の破産が増加するなど、アフターコロナは光と陰が混在している。
 そこに、原材料・エネルギー価格の高止まり、さらに最低賃金の上昇、物価高対策など賃金引上げの流れが生じ、印刷会社の経営を大きく圧迫している。国は原材料・エネルギー価格に加え、労務費上昇分の価格転嫁を喫緊の課題と捉え、11月29日に内閣官房と公正取引委員会が「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を打ち出した。
 今年は適正取引、価格転嫁が昨年以上に重要なテーマとして浮上した。日本印刷産業連合会は10月、「下請適正取引の推進に向けた自主行動計画」の改訂版を公表するとともに、内容の一層の徹底、遵守を図るため、「自主行動計画の徹底プラン」を策定し、会員10団体への周知を進めている。
 生成AIが全世界、全産業に衝撃的な影響をもたらしている。印刷業界でも、印刷機やカラーマネジメント、動画制作、校正作業等でAI技術の導入が進んだ。大日本印刷は12月4日に「生成AIラボ・東京」を開設。社外パートナーとの生成AIを活用した新製品・新サービスの創出に向けて動き出した。
 凸版印刷は、10月1日付でTOPPANホールディングスに社名を変更し、持株会社体制に移行した。創業以来の「印刷」の文字を外し、グローバルブランド統一と事業変革への意識強化を図った。
 4月1日には改正PRTR法(化管法)が施行された。対象となる化学物質が見直され、第1種・第2種を合わせた指定化学物質が従来の562物質から649物質に増えた。改正により印刷インキやエッチ液等で使用されるブチルセルソルブ等の物質が追加され、メーカー、印刷会社ともに新たな対応が必要になった。
 8月には、講談社、小学館など大手出版社が新刊コミックスへのICタグ装着を開始した。タグラベルを貼付した台紙を挿入する方式。一冊ごとのトレーサビリティの追跡・集計・分析によるデータ活用で出版流通改革と販売増加を目指す。将来は単行本、文庫、新書等にも拡大を図る。
 8月18日から3日間、全日本印刷工業組合連合会とメディア・ユニバーサル・デザイン協会の共催で「伝えるためのユニバーサルデザインフェア」が東京で開かれた。1,250名が来場し、展示・体験コーナーやセミナーを通じてMUDへの理解を深めた。将来的にSR調達を拡大していく目的もある。
 東京都印刷工業組合は、長年の課題であった支部再編に取り組んだ。現行の22支部を9支部に統合する案がおおむね了承され、来年度から新体制に移る。賛否両論、さまざまな意見が出たが、執行部は説明を尽くしたうえで、持続可能な組合とするための改革を断行した。
 今年は、メーカーの工程間連携でも組織的な動きが目立った。小森コーポレーションは、同社のソフトウェア「KP-コネクト」のAPIを開発・公開し、接続するMIS、プリプレス、ポストプレス、ロジスティクス分野の各社との連携を強化した。リョービMHIグラフィックテクノロジーは、昨年9月に立ち上げたコンソーシアム「CSPI」の拡大を図り、参加企業は約50社となった。工程間連携、自動化・省力化など4つのカテゴリーで協業し、同業の垣根を超えたソリューションを提案している。










【印刷新報2023年12月21日付掲載】
その他掲載記事
・印刷工業会 年末懇親会
 高付加価値業態への転換を加速
・インキ工業会 カーボンニュートラルミッションを策定
・マンローランド ジャパン 100年企業が討論会
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2023年12月14日付
内閣官房・公正取引委員会
労務費の転嫁へ「行動指針」
発注者・受注者の採るべき行動を明示


 政府は、公正取引委員会が実施した業界ごとの実態調査を踏まえ、労務費の転嫁のあり方について年内に指針をまとめることを決め ていたが、11月29日に内閣官房と公正取引委員会の連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表した。労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者・受注者に向けた12の「行動指針」を取りまとめたもので、これに沿わない行為を行い、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、公正取引委員会において独占禁止法および下請代金法に基づき厳正に対処していくとしている。賃金の上昇分を価格に転嫁することが難しいという課題に踏み込み、明確な行動指針を策定した。

 政府は、デフレ脱却、経済好循環の実現のために必要な「賃上げ」について、賃上げ原資の確保を含め、労務費の適切な価格転嫁をサプライチェーン全体で進めることが不可欠との認識を示している。
 公正取引委員会が実施した「令和5年度独占禁止法上の『優越的地位の濫用』に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」では、原材料価格やエネルギーコストに比べ、労務費の価格転嫁が進んでいないことが数字から明らかになった。
 この結果を踏まえて今回の指針では、「事業者は多くの場合、発注者の方が取引上の立場が強く、受注者からは、コストの中でも労務費は特に価格転嫁を言い出しにくい状況にある」と説明した上で、労務費の転嫁を進めるための基本的な考え方として次の点を挙げた。
・ 発注者として、経営トップが関与すること、発注者から協議の場を設けること、説明や根拠資料を求める場合は公表資料に基づくものとすること、受注者から労務費の上昇を理由とした価格転嫁を求められたら協議のテーブルにつくこと、労務費の転嫁を求められたことを理由に取引を停止するなど不利益な取扱いをしないこと、必要に応じ労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること、等
・ 受注者として、国・地方公共団体、中小企業の支援機関などに相談するなどして積極的に情報を収集して交渉に臨むこと、根拠資料としては公表資料を用いること、適切なタイミングで自ら発注者に価格転嫁を求めること
・ 発注者、受注者共通の取組みとして、定期的に双方がコミュニケーションをとる機会を設けること、価格交渉の記録を作成して双方が保管すること
 ※公表資料とは、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率、等
 指針では、この基本的な考え方をさらに具体化し、発注者および受注者それぞれが採るべき行動/求められる行動を12の行動指針として取りまとめた。各行動指針に該当する取組事例も取り上げた。
 受注者が「労務費」についても価格交渉を申し込みやすいよう、「労務費、原材料費、エネルギー費」それぞれの費目を明示した価格交渉の様式例も添付されている。
 今後の対応として、内閣官房は各業種に対して指針の周知活動を実施するほか、公正取引委員会は「発注者が行動指針に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、独占禁止法および下請代金法に基づき厳正に対処していく」こと、また、「受注者が匿名で労務費という理由で価格転嫁の協議のテーブルにつかない事業者等に関する情報を提供できるフォームを設置し、第三者に情報提供者が特定されない形で、公正取引委員会が行う各種調査において活用していく」ことを、指針の中で明記した。










【印刷新報2023年12月14日付掲載】
その他掲載記事
・コニカミノルタが新加入 印刷革新会
・第一印刷所(新潟市)、社名を「DI Palette」へ変更
・国際プラスチック条約 企業連合(日本)が発足
 プラスチック汚染根絶へ国内10社が参画
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2023年12月7日付
drupa2024は50ヵ国、1,300社超の規模で
日本からは41社が出展


 来年5月28日から6月7日までドイツ・デュッセルドルフ市の見本市会場で開催される世界最大の印刷・メディア産業展「drupa2024」について、その見どころを発信するイベントが東京・市ヶ谷で行われた。drupa本部長兼印刷技術メッセ統括のS.ゲルダーマン氏がプレゼンテーションを行い、drupa2024の概要と今回の特徴が紹介された。
■次世代へのアピールも重要視
 drupa2024は14万uの展示面積に約50ヵ国から1,300社超が出展する。ドイツを中心とした欧州諸国に加え、日本、中国などアジアからの出展も目立つ。最大の出展者はホール17号館をすべて使用するHPで、展示スペースは6,000u。
 日本企業の出展は41社。キヤノン、エプソン、富士フイルム、ホリゾン、小森コーポレーション、コニカミノルタ、京セラ、ミマキ、武藤工業、リコー、理想科学工業、リョービMHI、SCREEN、東芝、ウシオ電機ほかが出展する。
 国別規模で実質的なトップ10は、@ドイツ(4万320u)A中国(2万2,380u)B日本(1万8,521u)Cイタリア(1万3,106u)Dオランダ(9,352u)、以下スイス、米国、インド、英国、スペインと続く。
 今回は、touchpointと銘打ち包装・パッケージング、サステナビリティ、テキスタイルなど5つの分野にフォーカスしたフォーラムと、関連した展示が行われるエリアも設置される。
【特別エリア】
 最新製品や技術が集まるだけでなく、情報交換の場という観点から5つの特別エリアを設けた。また、印刷・包装産業がどれだけ魅力的なものかを若者に訴えていくという観点で重要視されている。
・drupa cube
 各種講演が行われるエリアで、すでに48セッションが決定済み。特筆すべきはアジア地域について触れられる講演が多いことで、20ヵ国の国際色豊かなスピーカーが多様な側面で、さまざまな立場、話題について述べる。
・touchpoint sustainability
 クライアント側がより強く求めているテーマでもあり、循環型経済、製品・技術の持続可能性の検証、新たな素材などをフォーラム形式で紹介する。
・touchpoint packaging
 過去2回のdrupaでも開催しているが、さらに内容を拡充。段ボール、ラベルなど革新的でスマートな包装とは何かを議論の対象とする。
・DNA(drupa next age)
 スタートアップの企業と既存のグローバルプレーヤーとの接点となることを目指し、さまざまなテーマについて議論を重ねる場となる。
・touchpoint textile
 新たに設置されるエリア。インクジェットやデジタル印刷がテキスタイルにおいてどのような応用があるのか発表、情報交換する。また、ガイドツアーも企画している。
             ◇
 ゲルダーマン氏はdrupa2024のマーケティングについて、「全方向の媒体、イベントを通して1300社を超える出展者が参加することを伝えていく」と述べ、drupaワールドツアーを通じた来場を促すプロモーションを行っていく方針を語った。
※本紙(印刷出版研究所)では、drupa2024に合わせた欧州グラフィックアーツ視察ツアーを主催する。現在、3コースで参加者を募集中。パンフレットを用意しているほか、印刷出版研究所ホームページにも詳細を載せている。









【印刷新報2023年12月7日付掲載】
その他掲載記事
・業界内外の連携の場に page2024
・ともに新たなステージへ モリサワ会秋季研修会
・第20回 千修イラストレーションコンテスト 28作品を表彰
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2023年11月23日付
大日本印刷、「DNP生成AIラボ・東京」開設
パートナー企業と活用事例を創出


 大日本印刷(北島義斉社長、以下DNP)は、社外のパートナーが生成AIを活用した多様なユースケース(使用事例・用途例)に触れ、同社とともに生成AIの可能性を探れる施設「DNP生成AIラボ・東京」を12月4日に東京・市谷のDNP左内町ビル内に開設した。
 利用者は、生成AIの活用イメージを実際に体験して、さまざまなアイデアについて議論し、具体的なユースケースに発展させ、実際に動くプロトタイプ(試作品)を開発できる。DNPは、アイデア等の検討段階から社外の多様なパートナーと協働し、新製品・サービスを創出するアプローチを具現化する。
 ラボは、生成AIの利活用について議論し共創する「対話ゾーン」(2階)、アイデアから実際に動くプロトタイプをつくる「開発/工房ゾーン」(1階)、AIによる文章や画像等の生成を実際に体験し、アイデア創出に向けた情報を取得できる「デモ体験ゾーン」(地下1階)からなる。 「対話ゾーン」では、議論の内容をリアルタイムに記録し、生成AIが対話に応じた画像を自動的に画面に表示して、活発な議論を促す。「開発/工房ゾーン」では、対話から生まれたユースケースのプロトタイプを、コーディングを行わずプログラミングの専門知識が不要な「ノーコード・ローコード開発ツール」で開発する。また、3Dプリンターやレーザーカッター等のツールも準備している。
 DNPは、社外のパートナーとの共創を進め、2024年度には生成AIを活用した5つのサービスを市場投入する計画。この目標達成に向けて、1年間で1000件のユースケースを創出し、その中から20件の実証実験を行う。
 ユースケースの事例としては、情報端末に映る景色を生成AIが自動的に文章化し、視覚障がい者に音声で伝えるアプリや、チラシ掲載の画像から食材等を識別し、作れる料理のレシピをレコメンドするアプリなどがある。
 同社は2023年10月、関連するメンバーが相乗効果を発揮しやすいように専門組織「生成AIラボ」を立ち上げており、生成AIを活用した「新製品・新サービス創出」と「既存の製品・サービスへの新たな価値の付加」を加速している。


対話ゾーンのイメージ










【印刷新報2023年11月23日付掲載】
その他掲載記事
・「ジャグラコンパス」来年リリース
・次期会長候補者に瀬田副会長 全印工連
・西新宿に新ショールームを開設
 富士フイルムビジネスイノベーション
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2023年11月16日付
東京都トラック協会
出版物輸送で荷主と具体策協議


 一般社団法人東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会は、第45回出版物関係輸送懇談会を10月30日に四谷の東京都トラック総合会館で開催した。同部会では、出版物輸送に関わる各荷主を招いて毎年度懇談会を開いており、今回は「出版物輸送を存続していくための具体的な改善策」をテーマに、物流の2024年問題を控えて例年になく踏み込んだ意見交換が行われた。

■「ルール解体」へ土曜全休配、業量平準化など
 懇談会の出席者は、東京都トラック協会15名、日本雑誌協会24名、日本出版取次協会5名、日本書籍出版協会2名、印刷工業会1名、東京都製本工業組合2名、日本書店商業組合連合会2名。
 意見交換に先立ちあいさつしたトラック協会の瀧澤賢司部会長(ライオン運輸社長)は「何とか出版物輸送を止めないでやっていこうと頑張っているが、小規模零細企業が多いうえに、私たちの方から皆様に話を切り出して今の基盤を変えることは難しい。まず現状についてご理解いただき、皆様から幅広い意見をお聞きして、何ができるかを考えたい」と述べた。
 また、荷主を代表して雑誌協会販売委員会の相賀昌宏委員長(小学館会長)が「互いに言いたいことを言える関係であることが大事。今日は具体的な課題について話し合うが、ただ議論するだけではなく、その成果を業界全体に広く浸透させていくことをお誓いする」と述べた。
 初めにトラック協会側から業界の状況について説明が行われた。
 瀧澤部会長は、ドライバー不足と燃料の高騰が常態化する一方、出版不況下での運賃収入の減少で事業者の負担増大、収益悪化が続いており、事業の縮小・撤退を余儀なくされている現状を訴えた。配達店舗別仕分けのために、屋根のある施設と人員が必須となる出版物輸送の特徴が固定費負担の増加につながっている点も指摘した。
 また、手嶋章博氏(出版輸送社長)は「業量が減り続けている。対前年1割減では危機的な状況だ。当社もトラックの台数をかなり減らしたが、それにも限界がある。出版物の発行(納品)については、今日でなくてもいいのでは? 明日の分と一緒ではいけないのか? という思いがあり、少しでも柔軟な対応をお願いしたい。ここ数年、土曜休配日の増加で何とか高齢ドライバーを確保できている点については、出版界の努力に感謝している」と述べた。
 トラック協会の齋藤康常務理事からは「(法改正で2024年4月からドライバーの時間外労働の上限が年960時間となるが)対策を進めても、2025年2〜3月頃にぎりぎり960時間以内で調整できているかどうか」と厳しい見通しが示された。
 これに対し、雑誌協会物流委員会の隅野叙雄委員長(集英社専務)は「休配日は来年度さらに増やし、土曜は全休配を目指していく。さらに根本的な対策として、取次協会とは業量の平準化を検討している。読者を大事にし、書店の理解も得ながらになるが、発売日をもっと柔軟にしていきたい。昔からのルールの解体が必要だ」と理解を示した。
 取次協会の田仲幹弘氏(トーハン副社長)は「中長期的に業量は減っていくので、作業集約と協業・協働が必須になる。配送エリア配分の見直しや、ドライバーの共同募集と不足している会社への優先配分など、やれることはいろいろありそうだ。印刷・製本会社とは、納品時の荷姿の工夫によって作業の効率化を図れないかと話している」と述べた。
 大日本印刷 情報コミュニケーション製造統括本部の林雄一部長は、印刷工業会物流分科会で話し合われた内容を基に、(業量の減少に合わせた)納品先数の削減、午前集中型配送の見直し、搬入票の早期発行による配車効率の向上などを提案した。
 隅野氏はその点について、「課題はあるが、雑誌協会と取次協会の内部での改善で変えられる余地は十分ある」とコメントした。
 製本組合からは金子誉氏(共同製本社長)が「全体最適化の中での効率化をどう考えていくかが課題だ。まず生産性の向上を図り、その余力で輸送の効率化につなげていきたい。製本会社にも分野により得意、不得意があり、仲間の会社との仕事のシェアを認めていただきたい」と意見を述べた。
 まとめにトラック協会の瀧澤部会長が「今日は思っていた以上に内容が深かった。この会合を無にすることなく、皆様のご協力をいただいて形にしていきたい」と述べて閉会し、懇親パーティーでさらに交流を図った。

懇談会には総勢50名以上が出席した










【印刷新報2023年11月16日付掲載】
その他掲載記事
・研文社 尼崎工場の取組み 第55回GP工場交流会
・東印工組・墨田支部 70周年を祝う
・新特練インキ事業を発表
 T&K TOKA ビデオジェット・エックスライト
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2023年11月9日付
全印工連フォーラム
SFプロトタイピングで2050年の印刷業を展望


 全日本印刷工業組合連合会などが主催する「2023全日本印刷文化典広島大会」が10月13日・14日、広島市のリーガロイヤルホテル広島で開催された(10月26日付既報)。その2日目に行われた全印工連フォーラムでは、「未来はバックキャスティングで切り拓け〜事業家魂に火をつけるSFプロトタイピング経営戦略」と題し、2050年の未来から逆算して現在の経営戦略を立てる新たな手法の一端を紹介した。
 開会にあたり、全印工連・産業戦略デザイン室の瀬田章弘委員長は、「本日は皆さんを30年後の未来にお連れする。30年後も人の知りたい、感動したい、伝えたいという思いは変わらないが、情報コミュニケーションやテクノロジーは大きく様変わりしている。一方、足下を見れば閉塞感が漂っているが、一番の課題は想像力をなくしていることだ。未来はわれわれが創るものであり、描いたことが次の未来になる。つまり想像しない未来はない。こういう会社にしたいと考えて、そこへ向かってわくわくした気持ちで経営することが大事になる。本日は『バックキャスティング』、『SFプロトタイピング』という手法でイマジネーションを働かせる時間にしたい」と主旨を述べた。
 今回、産業戦略デザイン室ではSF映画のように自由で奇抜な発想で未来を創造することで現在に活かす「SFプロトタイピング」という手法を活用し、2050年の印刷業の姿を描いた小説『体験のインテグラル』を制作し、参加者に配付した。
 その狙いについて、江森克治副委員長は「当初は新しい印刷産業のビジョンを作ろうとスタートした。しかし、現在は印刷物を商品として扱うことがわれわれに共通していることかもしれないが、数年後にはそれすらも共通項でなくなるかもしれない。そうした状況下で統一のビジョンを出すことに意味があるのかという議論になった。われわれに共通しているのは未来を見ることだ。ビジョンとはある未来に自社がどうなっているのか、何を成し遂げるかという宣言であり、そのビジョンのために未来を考えることは共通している。皆さん自身が未来を考え、自社のビジョンを作る助けになればと企画した」と説明した。
 フォーラムでは、『体験のインテグラル』をプロの俳優が朗読。その内容は、かつて印刷・製本の町工場だった「星ら美」の後継者である主人公が、人体の動きや感覚をデータ化し他社へ伝達する技術を活用して書道の先生や宮大工の技法を誰でも体験共有(シェアリング)できるサービスの提供や、鉛筆内に保存された描写データから描かれた絵を復元するなど、新たな価値提供に奮闘する物語。その内容を基に、小説を執筆した吾奏伸氏、SFプロトタイピングの第一人者である藤本弘道氏(SHINJIGEN)のほか、産業戦略デザイン室の関野里美氏(セントラル印刷)、岩間奏子氏(北星印刷)、モデレータの今井孝治氏(今井印刷)が意見を交わし、未来から逆算して現在のかじ取りの方向性を定める「バックキャスティング」のメリットなどを語った。
 エンジニア出身で、その経験を活かしたCM、アニメ制作、SF作家と幅広く活躍する吾奏氏は、SFプロトタイピングの利点として誰もに伝わりやすいことを挙げながら、「今の時点からアベイラブルな技術だけで将来について考えようとしてしまうのがエンジニアだが、それでは思い切った未来にはならない。パラダイムシフトを起こせることも大きい」と述べ、常識にとらわれない大胆な発想が可能になるメリットを紹介した。
 また、吾奏氏と同じく大手家電メーカーのエンジニア出身の藤本氏は、「コロナ禍をきっかけに近未来が見えなくなってきているので、あえて遠い未来を見る。そこにイノベーションがある。SFプロトタイピングで未来を創造し、バックキャスティングで戻る。戻ってきたら今やるべき活動を再開し、未来に向かって進んでいく。重要なことは、目指している未来をブランディングすることだ」と述べるなど、先行きが不透明な時代だからこそ「ありたい未来の姿」を創造する重要性が語られた。

左から今井氏、吾奏氏、藤本氏、関野氏、岩間氏










【印刷新報2023年11月9日付掲載】
その他掲載記事
・特集 軟包装・パッケージの今
・次期理事長候補者に瀬田章弘氏を推薦 東印工組
・ベトナム視察に成果 日本印刷産業機械工業会

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2023年10月26日付
日印産連・GP環境大賞等表彰式
「印刷と私」トークショーも併催


 日本印刷産業連合会は10月18日、2023GP環境大賞等表彰式と「印刷と私」トークショーを東京・市谷のDNP左内町ビル・ホールで開催した。グリーンプリンティング(GP)認定制度の2023年度GP環境大賞、GPマーク普及大賞、GP資機材環境大賞の受賞者を表彰するとともに、トークショーでは小山薫堂グリーンプリンティングPR大使と編集者の津田淳子氏(グラフィック社)が"印刷愛"について楽しい話題を繰り広げた。
■グリーンプリンティングが高める印刷の価値
 表彰式では、初めに日印産連の堆誠一郎副会長が「GP認定制度はSDGsと連動しており、その達成に寄与する。地球環境を守るために、受賞された皆様には一層のご協力をお願いしたい」と開会あいさつを行い、表彰状の授与に移った。
 GP認定制度を深く理解し積極的に活用している企業や団体に贈られるGP環境大賞は、大賞4者(あいおいニッセイ同和損害保険、東武鉄道、日本航空、あわしま堂)と準大賞8者、特別賞1者に贈られ、日本航空商品・サービス開発部の岩本正治部長が受賞者を代表して謝辞を述べた。
 GPマーク普及大賞は、今年度から新設されたゴールドプライズ(※過去3回以上GPマーク普及大賞を受賞した印刷会社で継続的な実績が認められた企業に贈呈)がNTT印刷と六三印刷に、大賞が5者、準大賞が6者に贈られた。GP資機材環境大賞は、ウエノ(資材部門)と富士フイルム(機材部門)に贈られ、それぞれ六三印刷の島村信彦社長と富士フイルムグラフィックソリューションズの山田周一郎社長が代表謝辞を述べた。
 日本航空の岩本部長は「飛行機を飛ばすためにたくさんの航空燃料を消費しているが、最近は家庭や飲食店から出る天ぷら油からサステナブルな燃料を作るなど、環境に配慮した取組みを行っている。紙に関しては、機内食メニューの一部を、GP認定を取得している印刷会社に頼んでいる。機内誌はほとんどFSC森林認証紙を使っているが、まだGPマークは付いていない。今回の受賞は、もっとしっかりやれということかと思う。宿題をいただいた気持ちだ」と述べた。
 六三印刷の島村信彦社長は「GP認定制度ができた当初は、会社の差別化の武器になると、手段として捉えていたが、制度を知るにつれて考え方が変わった。ペーパーレスの信奉者のようなクライアントがGPマークを付けたことがきっかけで印刷物の価値を見直してくれたり、社員にも明らかに一体感が生まれた。今は純粋に、商売抜きでこの誇らしい制度を広げていきたいと考えている。皆さん、頑張っていきましょう」と呼びかけた。
 また、富士フイルムグラフィックソリューションズの山田社長は、2018年に新設されたGP資機材環境大賞の第1回でも富士フイルムが資材部門で受賞したことに触れながら、「今回の機材部門では、当社が販売しているJetPressをフラッグシップとしたデジタル印刷機で資源ロスの削減などに貢献している。受賞を機に、富士フイルムグループはこれまで以上に、お客様とともに環境保全に取り組んでいく。ご期待いただきたい」と述べた。
 終わりにあいさつしたグリーンプリンティングPR大使の小山薫堂氏は「今年は私のラジオ番組でGP認定制度について紹介したところ、大きな反響があった。一般の人たちも『印刷』を大事に思ってくれている。このGP環境大賞は、発注者と印刷会社、資機材を提供する会社の3つの立場を同時に表彰し、印刷を軸に環境のことを考える他にないすばらしい賞だ。大阪・関西万博で私が担当しているパビリオンのブランドブックにもぜひGPマークを付けたい」と話し、式を終了した。

GP環境大賞と準大賞の受賞者。前列中央が小山薫堂氏、右隣が日印産連の堆副会長

■小山氏「期待以上の印刷に挑戦を」
 表彰式の後に行われた「印刷と私」トークショーには、小山薫堂氏がパーソナリティを務めるラジオ番組のリスナーと津田淳子氏が編集長を務める『デザインのひきだし』の読者が抽選で招待され、受賞者とともにトークを楽しんだ。
 初めに小山氏が、第50号の発行に至った『デザインのひきだし』を祝福し、大きな花束を贈呈。感激した津田氏から、同誌編集の舞台裏など、とっておきの話を引き出した。100社・176種類の印刷物の実物サンプルを収録した第50号「特集・現代日本の印刷加工大全」は厚さ10センチ、3,200円という値段にも関わらず、1万3,000部がわずか2日で完売したという。購買層はグラフィックデザイナーやブックデザイナーが中心だが、印刷好き・紙好きの個人や外国人にも人気がある。
 「印刷オタクは日本に、世界にいっぱいいる。印刷を解っているデザイナーが増えることでも印刷物が豊かになる。印刷会社は、多く受注するだけでなく、期待以上のものに挑戦することが大事ですね」と小山氏。
 「津田さんにとって、印刷とは?」と尋ねられ、「いまだに知らないことばかりで、新しい出合いがある。一番興味が尽きないテーマです」と答えた津田氏は、「印刷会社の皆さんは『うちは普通の会社です』、『他といっしょです』とよく言われるが、独自の強みが絶対にあるはず。それをもっと表に出してもらいたい」と要望した。

一般来場者も迎えたトークショー










【印刷新報2023年10月26日付掲載】
その他掲載記事
・5年ぶりの文化典に580名が集う
 2023全日本印刷文化典 広島大会
・港北メディアサービス府中工場で見学会
・JAPAN PACK 2023に3万6,000人
 社会のニーズ満たす製品に注目

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2023年10月19日付
日印産連、下請適正取引推進へ
「自主行動計画徹底プラン」策定


 日本印刷産業連合会は、昨年3月に策定、公表した印刷業界の「下請適正取引の推進に向けた自主行動計画」の改訂版を10月4日にホームページで公表した。併せて、自主行動計画に記載した事項の一層の徹底、遵守の強化を図るため「自主行動計画の徹底プラン」を策定し、会員10団体それぞれに所属企業各社への周知を依頼した。

■実施状況の定期的な調査も実施
 日印産連が2022年3月に策定した「下請適正取引の推進に向けた自主行動計画」は、経済産業省に提出され、同年3月20日には中小企業庁ホームページに他18業種の自主行動計画とともに公表された。
 日印産連は、同年11月にフォローアップ調査を行い、この結果を中小企業政策審議会の「取引問題小委員会」で報告した。中小企業庁下請Gメンによる中小下請会社へのヒアリング調査も行われ、業種ごとの取引上の課題と改善指摘があった。
 こうした経緯を踏まえ、経済産業省・中小企業庁は各業界団体に対して、これまでの調査で指摘され、記載がない事項を「自主行動計画」に追加することを要請した。また、「自主行動計画」に記載されているが、その取組みが不十分、遵守が徹底されていない事項が確認されたため、自主行動計画での記載事項のさらなる徹底、遵守の強化を図るため「自主行動計画の徹底プラン」の策定を求めた。印刷業界においては、「取引対価」や「支払条件」などが、記載があるものの、不十分な事項として指摘された。
 日印産連は昨年度、取引改善検討委員会を設置。諸資材価格の高騰、下請法の運用強化などを踏まえ、取引上の検討課題を「印刷業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」に反映するための協議を行ってきた。
 そして、10月4日に同連合会ホームページで「自主行動計画」の改訂版と「自主行動計画の徹底プラン」を公表するとともに、会員10団体に対し、各団体に所属する企業各社において、代表者以下、調達部門を中心に社内一丸となり、自主行動計画の徹底に取り組むよう依頼した。
 また、徹底プランではその遂行に向け、各社とも調達部門のみならず社内隅々と、取引先に対しても周知を行うこととしている。
 さらに、日印産連内に「取引改善推進プロジェクト」を設置し、各事項の実施状況について定期的な調査を実施。結果を踏まえて、自主行動計画および徹底プランの見直しにも取り組んでいく。
 「自主行動計画の徹底プラン」では、取引対価・価格交渉、短納期発注、支払条件、検査基準、型取引の各項目について、中小企業庁からの指摘事項および対応方針・改善方針(各社において絶対に実施しない事項/各社において可能な限り実施する事項)を記載している。








【印刷新報2023年10月19日付掲載】
その他掲載記事
・全製工連・第60回記念全国大会 大阪に200名が集う
・東京平版印刷資材同業会60周年記念座談会
・短期集中連載 最終回 中小企業のためのM&A講座
 (株)M&A総合研究所


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2023年10月5日付
TOPPANグループ
新経営体制へ移行
新商号で世界統一ブランドに


 TOPPANグループは、グループのシナジー最大化とガバナンス強化の実現に向け、2023年10月1日付で持株会社体制に移行した。
 これに伴い、旧凸版印刷株式会社は商号を「TOPPANホールディングス株式会社」に変更した。また、分割準備会社として今年3月1日に設立した完全子会社のTOPPAN株式会社およびTOPPANデジタル株式会社に対する吸収分割が10月1日を効力発生日として行われた。
 6月29日に開催した第177回定時株主総会において定款の一部変更(商号・事業目的の変更)に係る議案が承認可決されていた。
 新商号は、凸版(トッパン)の名称は継承しつつ、グローバル企業として全世界で統一したブランドとして使用していくことを意図し、英字で「TOPPAN」と表記した。また、今後さらなる事業ポートフォリオ変革を推進していく意思を込めて、既存の事業領域を規定する「印刷」を含めない商号とした。
 新経営体制では、グループ経営管理事業を行う持株会社のTOPPANホールディングス株式会社(麿秀晴代表取締役社長)の下に、TOPPAN株式会社(齊藤昌典代表取締役社長)、TOPPANエッジ株式会社(添田秀樹代表取締役社長、※2023年4月1日発足)、TOPPANデジタル株式会社(坂井和則代表取締役社長)の3社が事業会社となる。
 TOPPANホールディングスは、グループ全体最適の視点から事業会社を一体的に運営する。
 TOPPANは、旧凸版印刷の主要部門(情報系/生活系/エレクトロニクス系事業)を承継。
 TOPPANエッジは、セキュア/BPO事業等を核に情報系の事業ポートフォリオ変革を牽引。
 TOPPANデジタルは、DX事業開発/IT基盤構築などグループ全体のDX事業戦略を推進する。
 今年5月に発表したグループの中期経営計画(2023年4月〜2026年3月)では、「DX(Digital Transformation)」と「SX(Sustainable Transformation)」によって、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとして、経済的価値と社会的価値の両方の価値創出を行い、企業価値最大化に向けた取組みを加速させていくことを基本方針とした。
 経営数値目標としては、2023年3月期(実績)の売上高1兆6,388億3,300万円、営業利益766億3,600万円、ROE4.5%に対して、2026年3月期に売上高1兆8,100億円、営業利益1,100億円、ROE5.0%を達成する計画を掲げた。







【印刷新報2023年10月5日付掲載】
その他掲載記事
・特集 全日本印刷文化典 広島大会
・第56回 造本装幀コンクール 出版の可能性に期待
・光沢化工紙全国大会 ポストコロナに向けて結束

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2023年9月28日付
セントラルプロフィックス
「印刷屋の職人」「高品質印刷アイテム」前面に
オンラインショップ開設


 セントラルプロフィックス(田畠義之社長、本社・東京都中央区)は、オンラインショップ「ARTIEE(アーティー)」(https://artiee.shop/)をオープンした。印刷・特殊加工技術を活かした雑貨やオーダーメイド製作の印刷サービスなど、「印刷屋の職人たちが作る高品質印刷アイテム」を提供する。
 商品・サービスを見ると、「アートなしおり」は、文庫本に収まるサイズで、ベーコンレタストマトをリアルにかたどったしおりは、本を食パンに見立ててページにはさむ。チョコバナナ、フルーツサンドなどもある。
 「アートなコースター」は、少しマニアックで珍しいフルーツや花などをかたどったコースター。高精細のレーザーカットとプロッターカットを駆使してフリーカットする。上質な紙製で吸水性に優れる。
 「リアルな撮影背景パネル」は、本物と見紛うリアルな印刷の撮影台紙。マットな質感のパネルで反射しにくいので、落ち着いた高級感のある写真が撮れる。A2サイズのスチレンボード製。
 「デジタル油絵」は、手持ちの写真画像を送信すると油絵調になって届く、オーダーメイド製作の印刷サービス。画像を油絵調にデジタル処理し、油絵の筆のタッチに再現させてキャンバスに直接印刷する。「うちCafeパネル」も、手持ちの画像を送信すると木製パネルになって届く、オーダーメイド製作の印刷サービス。画像を淡いテイストで木製パネルに直接印刷する。
 オンラインショップ名の「ARTIEE」には、「ART=印刷技術を芸術の域まで高めたいプロ意識や職人魂」と、そうやって作られたアイテムを、暮らしを彩る日常品として「IEE=買いやすい価格で気楽に取り入れて楽しんでもらいたい」という作り手側の想いを込めた。
 同社は、自動車メーカー、テーマパーク、化粧品メーカー、有名ブランドなどの交通媒体・店頭ポスター・商品カタログ関連など、非常に難易度の高い色再現の印刷・製版業務を手がけている。「一般のお客様にも、素敵な紙や、職人たちによる丁寧な印刷や、珍しい特殊加工が織りなす印刷の世界の魅力を存分に楽しんでもらいたい」とコメントしている。

ベーコンレタスバーガーのしおり

フルーツのコースター








【印刷新報2023年9月28日付掲載】
その他掲載記事
・2023年印刷の月・印刷文化典に390名
 未来見据えて印刷を再定義
・特別企画 JAPAN PACK 2023
・第26回日本自費出版文化賞
 大賞に『墨に五彩あり―墨の不思議な魅力』
 (京阪奈情報教育出版/共同プリント)

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2023年9月14日付
三郷コンピュータHD
二次元コードの偽造防止で特許
マイクロ文字で世界も視野に


 三郷コンピュータホールディングス(福田學会長、中野雄大社長、本社・東京都台東区)は、マイクロ文字を使った二次元コード等の偽造を防ぐ印刷技術を開発し、このほど特許を取得した。コードリーダーでは読み取れない微細なマイクロ文字と罫線を二次元コード周囲の余白に印刷することで真贋を容易に判別できるもので、新たな偽造防止印刷として注目される。バーコードもバーの中にマイクロ文字を仕組んで判別できるようにした。福田会長は「消費者を脅かす偽造品や不正品が増加している中、日本国内だけでなく、世界にマイクロ文字によるセキュリティ技術を普及させたい」と話す。
 近年、商品パッケージや広告などでよく目にするQRコードなどの二次元コードはその便利さから幅広く利用が進んでいる反面、コードの改ざんや偽造が問題となっている。
 偽造されたコードでは本来正しい情報が入っているURLなどを書き換え、利用者をフィッシングサイトなどの不正サイトに誘導。利用者の中には不正サイトと気付かずに個人情報を入力したり、送金を行ったりと詐欺の被害に遭う危険がある。
 今回、同社が取得した特許の名称は「リーダーで読み取り可能な識別子が印刷されたコード」(特許第7320309号、登録日7月26日)。
 正方形の内部に白黒で表示された二次元コードなどは、コード自体を見ただけでは、本物か偽物かを判別できない。
 特許技術では、二次元コードのクワイエットゾーン(コード周囲の余白)にコードリーダーでは認識しないマイクロ文字と罫線を配置することで、コードの真贋を確認できる。漢字、平仮名、数字、アルファベットなどのマイクロ文字は0.7ポイント(0.25o)から0.6ポイント(0.21o)、または0.5ポイント(0.18o)と極めて小さいためコードリーダーは認識せず、リーダーが問題なくコードを読み取ることができるというものだ。
 さらに近年、国内外で商標や著作権を侵害する偽造品や模造品も増えており、不正な商品が後を絶たない。今回の特許では、コードの真贋に加えて、商品自体の偽造防止にもなる。  同社では、以前からマイクロ文字の特性を活かした商品などの偽造防止を提案してきた。
 たとえば、商品のラベルに、6ポイントから0.6、0.5ポイントのマイクロ文字までポイント数を段々と落として表示する方法や、マイクロサイズの網点による平網をかけ、そこに8ポイント以上の肉眼でも見える大きな白抜き文字で会社名や商品名などを表示する方法などがある。
 マイクロ文字は肉眼では文字を判読できないが、この平網と白抜き文字ならば文字を視認できる。加えてコードリーダーで認識されないことから、「この印刷と二次元コードを組み合わせることで、利用者自身が文字を読めて真贋を容易に見分けられ、より高度なセキュリティ印刷が実現できる。特許の実施についてはいろいろな方向から十分に精査した上で、マイクロ文字、罫線+平網の白抜き文字の偽造防止印刷を広めたい」と福田会長は話す。
 三郷コンピュータグループでは、45年以上にわたって凸版印刷を追求し、マイクロ文字や1,810インチ(約46m)の印刷実績を持つ超長尺印刷など、他社が決してまねができないレベルの技術やノウハウを磨いてきた。今回の識別子コードの印刷は、メーカーとともに独自開発したロータリープレス式印刷機械で行われる。従来の凸版印刷機や、インクジェットプリンター等のデジタル印刷機では文字などが潰れてしまい、印刷できない。
 福田会長は「他でまねができないマイクロ文字印刷は、それだけで完全な偽造防止になる。国内市場に限らず、世界に目を向ければ80億人以上が存在する。その中のごく一部、仮に1000分の1でも800万人の市場がある。マイクロ文字による偽造防止印刷のニーズは必ずあると信じており、世界を視野に挑戦していきたい」と話し、現在、優先権を確保して海外での特許取得の準備を進めている。
 今回のマイクロ文字を活用した新たな偽造防止印刷技術は、多くの産業をクライアントに持つ印刷産業として、商品価値やブランドを守ることが印刷物で可能になるという提案ができるものだ。世界中で偽造防止のニーズは高まる一方であり、そのニーズに対して一石を投じ、偽造防止の新たな標準を確立する可能性を秘めている。今後の展開が注目される。
 問合せ先 三郷コンピュータホールディングス
 電話 03-5688-8181、FAX03-3839-8410
 担当・太田圭司氏









【印刷新報2023年9月14日付掲載】
その他掲載記事
・特集 全日本光沢化工紙協同組合連合会 全国大会
・こども未来教育協議会 設立 凸版印刷など6社
・短期集中連載 第4回 中小企業のためのM&A講座
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2023年9月7日付
奥村印刷
折紙食器「beak」をアピール
首都圏防災フェアで


 関東大震災から今年9月1日で100年になるのを前に、首都圏防災フェア2023が8月23日・24日に東京・丸の内南口のJPタワー・KITTE内にある東京シティアイ パフォーマンスゾーンで開かれた。フェアには奥村印刷(奥村文泰社長、本社・東京都北区)が出展し、同社が開発・製造する防災備蓄用の折り紙食器「beak(ビーク)」を紹介した。
 フェアでは、防災に取り組む企業・団体などが出展したほか、出展者を交えた基調講演・トークセッションが行われ、首都直下地震が都内を襲った時のリスクや備えについて理解を深めた。
 初日のトークセッション「首都圏で防災・減災対策 『モノ』『コト』 防災アイテムの紹介」には、パネリストとして奥村印刷の山田秀生常務執行役員が登壇し、「beak」の開発の経緯やメリットなどを紹介した。
 「beak」は、A4サイズの紙からカップ、皿、丼の型を切り離し、折り紙のように簡単に組み立てられる食器。山田常務は「従来の紙食器は立体的でかさばり、保管の際は場所を取っていた。しかし、beakは平たいA4用紙のまま保管できるため、たとえば1,000枚分でも積み上げた高さは約45pと省スペース。被災地に大量輸送する際にも便利だ」と話した。
 また、災害時に危険な場所や避難所を示す「ハザードマップ」について、「beakはA4サイズの紙のため、そこにハザードマップを印刷することもでき、デジタル印刷で自治体やエリアごとなどに可変印刷した詳細な情報発信もできる」と説明した。
 最後に、「当社は社会貢献や地域貢献を考え、折り紙食器を考案した。王子本社内にクリーンルームを設け、新たにデジタル印刷機と打抜を導入し、1日で最大8,000枚を製造できるラインを設けた。都内だけでなく全国に広げ、一人でも多くの人に役立つようなものづくりを続けていきたい」と抱負を語った。  奥村印刷のブースでは、beakの組立てを多くの来場者が体感した。

出展ブースでは多くの来場者が「beak」の組立てを体感








【印刷新報2023年9月7日付掲載】
その他掲載記事
・特集 「9月印刷の月」
・9月印刷の月・印刷文化典 協賛特別講演
 生成AI需要をビジネスに
・短期集中連載 第3回 中小企業のためのM&A講座
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2023年8月31日付
新聞、出版関連など4団体
生成AIに関する共同声明
「著作権保護の検討不十分」


 日本新聞協会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本写真著作権協会の4団体は8月17日、生成AIに関する共同声明を出した。声明では「生成AIと著作権の保護に関する検討が不十分な現状を大いに危惧している」とし、権利者団体と関係当局の意見交換を求めている。今後、生成AIと著作権に関する議論が高まりそうだ。
 生成AIは、学習のためにインターネット上の大量データを、著作権者の同意を得ずに収集し、著作権料を支払わず利用されるケースが多い。
 声明では、日本の著作権法第30条の4に触れて、「諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られていることが大きな課題」と指摘。同条のただし書きでは、著作権者の利益を不当に害する場合は学習利用できないとされているものの、その解釈は明確ではなく、海賊版の学習利用も禁止されていない点を示し、「権利を侵害するコンテンツが大量に流通する恐れがあるにもかかわらず著作権者に対する実効的な救済策は何ら示されていない」と訴えた。
 そのうえで、文化の発展を阻害するリスクとして、「学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる」「海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる」「元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される。AI利用者自身が意図せず権利侵害という違法行為を行う可能性がある」を挙げた。
 さらに、2018年の著作権法の改正で追加された同法第30条の4は、「生成AIのような高度なAIの負の影響は十分に想定されていたわけではない」としたうえで、解釈を明確にし、法改正の是非を見極める必要性を指摘。「生成AIが文化の発展を阻害しないよう、技術の進化に合わせた著作権保護策があらためて検討されるべき」と訴えた。
 日本新聞協会では5月17日に見解を発表し、著作権、個人情報等に関する懸念を表明した。これに続き、関係団体による共同声明発出の是非に関して、同協会から著作権団体、出版関係団体に呼びかけを行い、6月19日に意見交換会を実施。議論を基にして各団体で共同声明を検討してきた。











【印刷新報2023年8月31日付掲載】
その他掲載記事
・HOPE2023 攻めのDXで「印刷創注」
・BCPに対する企業の意識調査 想定リスクは「自然災害」最多
・短期集中連載 第2回 中小企業のためのM&A講座
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2023年8月24日付
情報通信メディアの利用動向調査
平均利用時間、休日も「ネット」が「テレビ」上回る


 総務省情報通信政策研究所は今年6月、「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」報告書を公表した。調査からは、全年代の平均で「インターネット」の利用時間が「テレビ」を上回るとともに、10代と20代では日常的にニュースを得ているメディアとして「ソーシャルメディア」が最も多いことなどが明らかになった。

■情報源の重要度、10代で「テレビ」がトップ
 「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」は、2012年から毎年実施しており、11回目の今回は2022年11月に実施した。対象者は全国125地点で住民基本台帳から抽出した、13歳〜69歳の男女1500人。
 メディアの平均利用時間は、全年代では、平日・休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」および「インターネット利用」が長い傾向が継続。休日の「インターネット利用」の平均利用時間が「テレビ(リアルタイム)視聴」を全年代で初めて超過した(平日は3年連続で超過)。
 「インターネット利用」の平均利用時間は、各年代では平日は30代を除き減少または横ばい。「テレビ(リアルタイム)視聴」は、年代が上がるとともに平均利用時間が長く、60代は平日・休日ともに200分を大きく超過した。
 目的別の利用メディアの動向は次のとおり。
・いち早く世の中のできごとや動きを知る
 10代〜50代では「インターネット」、60代では「テレビ」を最も利用。
・世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る
 20代を除き各年代で「テレビ」を最も利用。「新聞」は、年代が上がるとともに利用する割合が高くなる傾向にあり、60代では「インターネット」を上回る水準。
・趣味や娯楽に関する情報を得る
 各年代で「インターネット」を最も利用しており、10代〜30代では90%前後。
 メディアの重要度、信頼度については次の結果となった。
・情報源としての重要度
 20代〜40代は「インターネット」が最も高く、10代、50代および60代は「テレビ」が最も高い。
・メディアとしての信頼度
 40代〜60代では「新聞」が最も高く、10代〜30代は「テレビ」が最も高い。
・娯楽としての重要度
 10代〜40代は「インターネット」が最も高く、50代および60代は「テレビ」が最も高い。
 インターネットの利用項目別の動向は、全年代で、「動画投稿・共有サービスを見る」が、平日は51.0分、休日は74.1分と最も長い。
 年代別にみると、休日の10代および20代の「動画投稿・共有サービスを見る」、「ソーシャルメディアを見る・書く」の平均利用時間が長く、いずれも100分を超過している。
 コミュニケーション系メディアの比較では、全年代における平均利用時間は、平日・休日ともに「ソーシャルメディア利用」および「メール利用」が長い傾向にある。
 特に、10代、20代の「ソーシャルメディア利用」の率が高くなっている。40代〜60代では、行為者率、平均利用時間ともに、「メール利用」が 「ソーシャルメディア利用」を上回るがその差は縮小。
 「スマートフォン」の利用率は、全年代では、95.3%から97.1%に増加し、ほぼ100%となっている。スマートフォンの利用率は、各年代で90%を超過した。
 主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率では、全年代で「LINE」の利用率が一貫して増加し、90%を超過。年代別でも、10代〜50代で90%を超過。
 「Twitter」は全年代では横ばいだが、20代では78.8%と高い利用率。「Facebook」の利用率は、全年代で減少。「Instagram」の利用率は、全年代で一貫して増加しており、「LINE」に次ぐ利用率。
 動画共有系では「YouTube」の利用率が高く、10代〜30代で90%を超過。「TikTok」は10代で60%を超過している。














【印刷新報2023年8月24日付掲載】
その他掲載記事
・伝えるためのユニバーサルデザインフェア
 1,250名が来場、MUDの意義を周知
・上製本をインテリアに 池袋のデパートで販売 新里製本
・短期集中連載 第1回 中小企業のためのM&A講座
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2023年8月10日付
東洋美術印刷、実写VRの最新情報を提供
有効な顧客接点に企業が注目


 東洋美術印刷(山本久喜社長、本社・東京都千代田区)は、7月21日に無料オンラインセミナー「WEBショールームで365日集客を実現する実写VR」を開催した。デジタルマーケティング推進部の石井陽太プロダクションマネージャーが講師を務め、コストを抑えたVR(仮想現実)を実現する「実写VR」の概要と活用メリットを説明、事例の紹介も行った。
 同社は印刷技術をベースとしたコミュニケーションサポート事業に取り組んでおり、2012年より3DCG制作も開始した。その背景には、販促物に使用する商品撮影を行う中で、撮影コストの問題等で悩む顧客からの相談があった。
 3DCGでの表現力を追求してきた結果、現在では、カメラマンや画像調整のプロが3DCGを作製することにより、フォトリアルな3DCGを提供し、高い評価を得ている。
 また、2022年には実写で撮影した空間をVR化する「VR360」を提供するハートコア(東京都品川区)との協業を開始。撮影した空間をオンライン上で自由に歩き回ることができる「VR360」と3DCGを連携させた。リアルな空間の中にオブジェクト配置を実現したことで、より視覚的・直感的な顧客体験の創出が可能になるとともに、コスト面でも顧客の要望に応えやすくなった。
 セミナーの初めに石井氏は、メタバースとXR(クロスリアリティ:VR・AR・MR)が混同されるケースが多いことを指摘し、「メタバースは仮想空間上で自身がアバターを用いて参加し、他者とコミュニケーションするものだが、その体験を実現する技術としてXRがある。VRを制作することが必ずしもメタバースとなるわけではない」と説明した。
 また、新型コロナウイルスの感染対策でオンラインでの会議や外部との打合せ等が定着したことで、エンターテインメント分野だけでなく、企業のオンライン活用のハードルが低くなり、併せてVR市場も今後の伸びが見込まれるという。
 「コロナ禍においてはリアルの代替手段としてオンライン化が進んだが、アフターコロナでは状況に応じたリアルとオンラインの使い分けが必要となる。バーチャルと組み合わせたハイブリッドな顧客体験の提供に企業も着目し、力を入れている。その有効な施策の一つにVRがある」(石井氏)
 その上で、「VR360」の主な特長として、4Kでの高画質表現/スマートフォンやPCで簡単に3D空間を表示/予約リンクや施設案内動画など各種カスタマイズ機能を設置可能―の3つを挙げた。
 事例紹介では、自社の埼玉県の印刷工場の設備・工程案内のほか、博物館でのリアル体験、企業における商談用のショールーム案内やリクルート向けオフィス案内など、実際の実写VRを見せながら説明した。
 石井氏は実写VRの活用メリットについて、「リアルとオンラインをつなぐ施策として実写VRはとても有効。潜在顧客に対して365日、昼夜を問わず施設やイベントの体験・集客ができる。営業ツールとして、また視聴のログも取れるためデジタルマーケティングにも活用できる」とまとめた。
 東洋美術印刷では、実写VRシステムの販売パートナーの募集も行っている。













【印刷新報2023年8月10日付掲載】
その他掲載記事
・第21回印刷産業環境優良工場表彰
 経産大臣賞に研文社・尼崎工場
・日印産連表彰 36氏・団体が受賞
・IGAS2022のメインエントランスのデザインが
 国際デザインコンペでゴールド賞獲得

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2023年7月27日付
ミヤコシ シリーズセミナー第2回
「軟包装の未来」を読み解く
interpack2023報告


 ミヤコシ(宮腰亨社長、千葉県習志野市)は6月21日、講師に住本充弘氏(技術士、住本技術士事務所所長)を迎え、「軟包装の未来」をテーマに、シリーズセミナー「MIYAKOSHI DAY」の第2回をオンラインで開催した。
 セミナーの開催にあたり、司会を務めたミヤコシの亀井雅彦取締役は「パッケージの目的は、『守る』『運ぶ』『売る』ことだった。しかし、今回のinterpack2023では、新しい目的が追加されたと感じている。新たな第4の目的、『巡る』だ。『巡る』では『3R』、つまり『リデュース』『リユース』『リサイクル』が目的となっている。パッケージは設計から『巡る』ことを前提として作らなければならない。『巡る』はすでに先の3つと同列だと感じる」と述べた。
 講演では住本氏が、interpack2023の展示から今後の軟包装のポイントについて次のように解説した。  「欧州では、循環型パッケージの促進のため、特にフィルム関係では、現在の回収ストリームが利用できるモノマテリアル仕様の延伸PEフィルム、二軸延伸HDPE・OPPにバリア性を付与するために、 SiOx蒸着、 AlOx蒸着より進んだアルミ蒸着、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)利用のCO‐Exフィルム、バリア性コーティング技術が組み合わされている。また、一次包装での紙の活用も、バリア性、耐油脂性、HS(ヒートシール)性、現在の回収ストリームが利用できる古紙再生がポイントとなり、一部採用が始まっている。デジタル印刷は、世界的な小ロット包装対応におけるモノマテリアル化の動きなどと連動して、徐々に普及している」
 「リサイクル性については今回初めて、 第三者認証機関が出展した。欧州市場でのリサイクルプラスチック配合の義務化および、第三者認証の義務化実施への対応が現実のものとなってきている。包装製品のサプライチェーン全体を通して追跡できるシステム構築が検討されており、ブロックチェーンやその他の方法で包材面のQRコード読み取りを利用するなど対応が進んでいる」
 そして、「このような動きを受けて、日本の包装はどのように動くべきか、十分な検討が必要だ。もはや1社だけでの対応には限界があり、業界あるいは国、消費者との連携も必要になる」と指摘した。
 住本氏の講演の後は、ミヤコシ企画開発本部企画部の中村正道課長が、interpack2023の報告を行った。
 中村課長は「海外の大手コンバータが出展せず、トルコのコンバータの出展が目立った」「素材メーカー・機械装置メーカーが連携してサンプルやデータで訴求し、QRコードを活用していた」「『SDGs』より、『サーキュラーエコノミー』という表現が目を引いた」と報告。
 そして、「マテリアルが変化していく中で、印刷機やコンバーティングも順応していかなければならない。乾燥方式、接着剤の変化への対応、ブランドオーナーへの柔軟な対応も求められる。ミヤコシでは、今後、油性グラビアが置き換わるとすると徐々に水性フレキソを中心に移行していくと考えている。また、極小ロットは、当社のMJP30AXFのような水性インクジェットに移行し、インクジェットは徐々に幅を広げていくのではないか。注目しているのはEBオフセット印刷で、EB乾燥システムについては、当社も今後、調査・検討していく。JAPANPACK、drupaでの情報発信に期待していただきたい」と述べた。












【印刷新報2023年7月27日付掲載】
その他掲載記事
・原宿で「大喜利印刷店(展)」開催 全印工連
・レンゴー、水性フレキソ事業を再編
 子会社の朋和産業に一元化
・SOPTECとうほく2023 6,250人が来場、活気戻る

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2023年7月13日付
高度な色補正技術の継承へ
墨田区と千葉大学がAI活用
印刷会社2社が共同研究に参画


 東京都墨田区(山本亨区長)、国立大学法人千葉大学(中山俊憲学長、本部・千葉市稲毛区)、サンコー(有薗悦克社長、東京都墨田区)、日光プロセス(原田一徳社長、東京都墨田区)は、印刷職人による色補正技術をAIに学習させる研究開発を通じて、中小製造業におけるAI活用に向けた課題・対策についての研究を進めている。
 7月10日には日本印刷学会において、これまで4者が共同で行ってきたAI活用に関する調査・研究の成果について千葉大学が発表した。

■区内中小製造業の支援を目的に
 墨田区には高度な職人技術を有した印刷業や金属加工業などの中小製造業が集積しているが、高齢化や人員不足、市場環境の変化などの課題を抱えている。そのため、AIをはじめとする先端技術を活用した課題解決が求められているが、事業者にそのノウハウやリソース(経営資源)が不足しており、十分に進んでいない状況にある。
 墨田区では、印刷物の色補正に対して高度な技術を持つ印刷・製版会社2社と千葉大学との橋渡しを行い、共同研究を実施することで、区内の事業者がAI技術を活用した新たな製品・サービスの開発や、生産性の向上、技術承継等を進めるための課題を洗い出し、必要な支援のあり方などを明らかにすることを目指している。
 また、サンコーでは、画像処理のノウハウ継承に関して次のようなコメントを発表している。
 「この研究が始まったきっかけは、印刷会社共通の課題である画像処理の技術伝承だ。デジタル画像のRGBから印刷用のCMYKへ画像を変換すると、色域が狭まり、色が濁ってしまう。それを職人の技術によってデータを補正し美しい印刷物を作ってきた。
 画像処理ソフトを使ったデジタルな職人技とも言えるこの技術は、印刷業界がフィルムからデジタルへ移行した時期を経験した50代の職人が突出した技術を持っており、デジタルネイティブの次世代への技術承継の難しさは業界全体での課題となっている。
 今回の研究を通じて、これまで長い時間をかけて培ってきた職人の画像処理のノウハウを次世代に引き継いでいくことを目指す」
                ◇
 墨田区と千葉大学は、2017年3月22日に包括的連携協定を締結した。さらに、2021年4月1日には、千葉大学墨田サテライトキャンパスが墨田区文花1丁目に開設された。
 同キャンパスは、技術開発支援やものづくり研究など、地元企業の経営・技術支援の拠点であった「すみだ中小企業センター」を改修し、その施設を千葉大学が賃借する形を採っている。
 墨田区と千葉大学は、区内をフィールドとして、産業・教育・環境など、さまざまな地域課題解決に向けた共同研究に取り組んでいる。
 このたびの印刷・製版会社2社との共同研究には、中小製造業の集積地域における産業振興や、大学と中小企業による研究体制のあり方など、産学官連携の今後のモデルケースに向けた試行テーマを含んでいる。












【印刷新報2023年7月13日付掲載】
その他掲載記事
 暑中特集号
・若手印刷人インタビュー
 緑友会 澤田健会長/印青連 吉田智博会長
・印刷ビジネスのあり方を問う
 ジャグラ文化典討論会より
・SDGs時代の高付加価値な紙製品開発
 日本封筒フォーラム2023より
・成長を続けるためのマネジメント術
 ヒノキヤグループ・近藤昭社長に聞く

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2023年7月6日付
大日本印刷
自治体向けにメタバースの
パッケージサービスを提供


 大日本印刷(北島義斉社長)は、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用して、全国の自治体が課題として抱える「地域の魅力発信」「産業振興の促進」「相談業務の支援」「地域コミュニティの活性化」に寄与するパッケージサービスの提供を開始する。
 同社はこれまで、自治体と連携して「渋谷区立宮下公園Powered by PARALLEL SITE」や「札幌市公認PARALLEL SAPPORO KITA3JO」、「バーチャル秋葉原」、「デジタルモール嬉野」など多様なメタバースを構築してきた実績があり、自治体等がメタバースを本格導入する前の実証実験の企画設計から空間の構築、本格的な運用まで、ワンストップで支援する。
 パッケージサービスの価格(税抜)は、初期費用200万円〜、月額利用料30万円〜。
 サービスの内容は、地域の観光資源をより深く知ることができる謎解きイベントや地域の歴史・文化をテーマとした生涯学習など多様な企画の支援、地域の商品・サービスの販売や催事・イベントの開催支援、小中学生を対象にした地元企業の職場体験機会の提供、暮らしや子育てなどの相談業務の支援、地域の住民や関係者を集めた交流促進など。メタバースならではのインタラクティブ性やセキュリティ性、場所や時間等の制約の少なさなどを活かしたサービスとなっている。
 なお、同サービスは6月28日〜30日に東京ビッグサイトで開催された第3回スマートシティ推進EXPOの大日本印刷ブースで紹介した。

■ブルボン×柏崎市の魅力を発信
 大日本印刷が開発を支援しているブルボンの「ブルボンメタバース」が6月29日にリニューアルオープンした。「お菓子が持つ楽しさ」と、ブルボン本社がある「新潟県柏崎市の魅力」を一体化した新たなコミュニティとなっている。仮想の本社ビル屋上で、柏崎市の高精細360度パノラマの風景に、地元の店舗や施設を体験できる機能を追加した。











【印刷新報2023年7月6日付掲載】
その他掲載記事
・シール・ラベル特集
・SOPTECとうほく2023 開催
・旅する製本展が盛況 渋谷文泉閣

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2023年6月22日付
全印工連、2050ビジョンを今秋発表
未来へのビジネスプラン示す


 全日本印刷工業組合連合会の産業戦略デザイン室(瀬田章弘委員長)は、令和5年度第1回委員会を6月6日に日本印刷会館で開催した。
 スーパーバイザーの滝澤光正全印工連会長は開会あいさつで、「コロナ前に戻ることは現実的にあり得ず、従来型の印刷需要は減少する一方だ。自ら価値を生み出していかなければ残れない。私の任期も残り1年、集大成の年度となる。5年ぶりに開かれる広島での印刷文化典の2日目のフォーラムでは2050年のビジョンの発表を行う。総力を上げてすばらしい発表にしてほしい。また、8月18日から20日まで東京でMUDフェアを開催する。全印工連は20年以上にわたりMUD(メディア・ユニバーサルデザイン)の普及に取り組んできたが、初めての対外的な発信となる。ぜひ委員の皆さんも参加してほしい」と述べた。
 今年度の産業戦略デザイン室では、超長期の産業戦略として2050ビジョンを策定し、発信するほか、DXによる価値創出の戦略を推進する。また、業界外に対する組合の魅力の発信と組合員相互の活性化を目指し、対外・対内広報戦略の立案と推進を行う。各県工組活性化のための施策提言も行う。
 2050ビジョン策定事業では、今年2月から3月にかけてSFプロトタイピングワークショップを5回開催。4月にはファシリテーターの吾奏伸氏(あそう・しん、映像作家・プロデューサー)と部会メンバーでミーティングを行った。
今後の計画は、ワークショップでの結果を踏まえ、吾奏氏に印刷業の未来の姿を盛り込んだ小説の執筆を依頼する。部会メンバーによる確認作業を経て9月頃に完成の予定。広島での10月14日の全印工連フォーラムにおいて、小説をベースにした印刷の未来についてのトークセッションと、小説の発表を行う。
 ワークショップで取り入れたSFプロトタイピングは、サイエンス・フィクションのように、まだ実現していない未来を発想し、仮説に基づいて実現の可能性を探りながらプロトタイプを作っていく手法。今回は部会メンバーが2050年の印刷業界の姿を予測しながら、ビジネスプランを大胆に描いた。
 瀬田委員長から「これまでの印刷文化典とはかなり違ったテーマを発信することになる。どう伝えていけばいいか」と問いかけがあり、委員の一人は「単に未来予想図を紹介するだけでなく、だれが、どうやれば、われわれのビジネスモデルとなっていくのか、具体的に示すことが大事だ」と提案した。
 対外広報では、CMYKプロジェクト大喜利印刷第3期(組合員企業3社参加)が作品の完成に至っており、7月14日〜16日に東京・原宿デザインフェスタギャラリーで作品を公開する。ネットメディア等を使い告知を行う。
 対内広報については、広報誌「日本の印刷」のリニューアル、全印工連オフィシャルWebサイトの再構築に向けて広報改革プロジェクトチーム(青木允リーダー)が準備を行い、2024年度に三役直轄の広報専門委員会を発足させる予定。
 3月4日に大阪で第1回を立ち上げた経営者のためのケースメソッド研修は、今年度も東京もしくは大阪で2日制により開催する。架空の印刷会社のプロファイリングから数字に基づく事業計画づくりを行い、参加者同士で評価しあう実践的な研修となる。










【印刷新報2023年6月22日付掲載】
その他掲載記事
・ジャグラ文化典高知大会 385名が集う
・新たなグランドデザイン策定へ 日印産連
・第56回造本装幀コンクール 入賞作品発表

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2023年6月8日付
出版流通改革へ実験スタート
8月刊行のコミックスからRFIDタグ装着


 5月16日の東京都製本工業組合書籍・雑誌部会の定期総会に合わせて行われた講演会では、小学館の速水健司制作局ゼネラルマネージャー(現・制作局担当取締役)が「出版流通改革への取り組み―RFIDタグ活用への期待と課題」と題して語った。
 速水氏は、丸紅、丸紅フォレストリンクス、講談社、小学館、集英社の5社が出資して2022年3月に設立したPubtex(以下、パブテックス)の事業に参画している。
 出版物にRFIDタグ(ICタグ)を装着し、記録されたデータを活用して日本の出版流通の課題解決を目指すパブテックスのIoTソリューション事業は、今年8月刊行のコミックス新刊および当該重版から実装実験が本格的にスタートする。出版、取次、書店など各業界への影響の大きさはもちろん、出版物へのタグの装着作業を担うことになる製本会社は、従来なかった機器と作業、品質管理への対応が必要となる。製本会社で実施されている先行テストでは、実務における問題点の把握やノウハウの蓄積が進んでいる。
 ここでは講演内容をもとに、プロジェクトの概要と製本会社に求められる対応についてまとめた。速水氏は講演の席上、「実際に走り出してみなければ見えてこない問題点も多くあるはずで、製本会社の皆さんには生の意見をできるだけ私たちに伝えてほしい」と要望した。

■コミックスから運用しタグ装着のジャンル拡大
 RFID(Radio Frequency Identification)とは、無線通信によりICタグの情報を非接触で読み取る自動認識技術。出版物に関して言えば、梱包された複数の書籍の個別情報を外側から一括して読み取ることや、一冊ずつの書籍の流通履歴についてバーコードリーダーを使わずに瞬時に読み取ることなどが可能になる。
 すでに小売業界をはじめとしてRFIDの導入は進んでいるが、個別企業・グループ内での運用がほとんど。対して、パブテックスを中心に推進しようとしている出版流通全体にまたがる業界横断型の仕組みは、関係する業界・企業の事情がそれぞれ異なるだけに導入のハードルは高い。それでもあえて挑戦する背景には、日本の出版流通の非効率は出版関連業界全体の課題であるという認識があるからだ。
 小学館の速水氏は「本は一度市場に出ると、どこに出回っているのか把握が難しい。市場在庫数を特定することができないため、どれだけ作ればいいかが分からず、出版社はずっと苦慮してきた」と話す。
 それが、RFIDタグの装着により、一冊ごとのトレーサビリティの追跡と集計管理、情報の分析・活用が可能になる。どの書店で、いつ売れたか、マーケティング情報の収集もできるため、販売促進にも有効に活かせる。
 書店にとっても、RFIDタグの装着で大きなメリットが見込まれる。ひとつは万引きの防止。そしてもうひとつが、在庫管理のために書店が行う棚卸作業の効率化だ。一冊ごとに行う在庫の情報確認は大きな作業および費用負担となっているが、RFIDタグを専用リーダーで読み取ることで、即時に情報の把握が可能になる。
 このように出版流通改革への寄与が期待されるRFIDタグだが、当然ながら市場の仕組みを一度に変えることは困難だ。また、実際の運用でどのような弊害が現れるかについても現時点で予測することは難しい。
 そこでパブテックスでは、まずコミックスに絞って運用を始め、仕組みの早期の確立につなげていく。2023年8月刊のコミックス新刊および重版をかわきりに講談社、小学館、集英社がRFIDタグ付きの本を市場に流通させることが決定している。同時に、3社と取引する製本会社からRFIDタグの装着を手がけていくことになる。
 速水氏は「コミックスからテスト運用を始め、時期未定ではあるが、ゆくゆくは文庫や新書、書籍、ムックにも拡げていきたい。市場在庫期間の長いものほどタグが効果的に機能すると考えている」と話す。
 トレーサビリティの記録を残すためには、書店等でのタグの読み込みなどの協力も欠かせない。

■タグ付き台紙をトライオート機で挿入
 パブテックス内では当初、タグの装着を本への「綴じ込み」で行う案も検討されたが、さまざまな意見を勘案した結果、タグラベルが貼付された上質紙台紙(125ミリ×65ミリ)を出来本にトライオート機(西岡製作所製)で挿入する「投げ込み」式が採用された。
 運用方法は次のようになる。
・刊行当該月の想定総発行部数に基づき、4ヵ月程度前にパブテックスへ情報開示。パブテックスはタグ製造会社に発注し、製造を開始
・各社の運用基準に基づき正式発行部数を決定。製本各社への発注数および予備を確定
・パブテックス手配により製本各社へRFIDタグを納入
・製本会社では、納品されたタグをトライオート機により投げ込み。規定部数にて結束する
・専用機器によりRFIDタグにアクティベート作業を結束単位で行う
・従来同様パレット積みのうえ、取次会社や倉庫へ搬入
 製本会社で行う「アクティベート作業」とは、タグが投げ込まれた本に、ライセンス認証を与える作業のこと。タグの生産時に書き込まれたランダムEPCデータ(個別認証)に対して、書誌情報としての【ISBNコード】データを上書きする。これによりタグに住所、氏名、生年月日とも言えるユニーク情報を確立させる。
 アクティベート作業を行う専用機器としては、手動型、半自動型など3種類が用意されている。
 製本会社にとって気になるのは、新たに発生する費用負担だが、アクティベート機器導入イニシャルコストについては製本会社側がいったん立て替える形となる。これに対し、出版社側からアクティベート作業費、導入費用相当額、投げ込み代などを合算して1部単価として適用し、出版社から製本代として支払われる。
 出版社としては、パブテックスへのRFIDタグ材料費の支払と、製本会社への支払が生じることになるが、それ以上にトレーサビリティ情報の収集と分析、活用によるメリットを重要視している。そこを一番の目標としながら、コミックス以外のジャンルへの拡充を図っていく。
 一方、課題として、倉庫会社・取次会社など流通分野各社の参加時期と規模の見通し、小売書店や出版社側の参画促進のほか、タグ仕入コストの低減、「投げ込み方式」の検証(脱落、改装作業への対応)などがある。
 できるだけ多くのトレーサビリティ情報を収集し、それを活用することで生まれる有益性を出版関連業界に還元させるためには、できるだけ多くの出版社、書店、流通各社の参画が必要であり、出版サプライチェーン全体での取組みが望まれる。
 速水氏は「課題は山積しているが、やり始めないことには改革はできない。始めたらやり続けるしかない。持続可能な事業とするために、製本会社の皆さんには、実運用の現場で起こる具体的なケースを教えてもらえるなどご協力をお願いしたい」と話す。










【印刷新報2023年6月8日付掲載】
その他掲載記事
・プリントネット 第三の創業で新たな成長企業へ
・大日本印刷 グループ社員に生成AI利用環境を提供
・印刷業が「産業構造転換枠」に指定 事業再構築補助金
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2023年6月1日付
大日本印刷、「P&Iラボ・東京」開設
パートナーとの共創を促進


 大日本印刷は、本社がある東京・市谷地区の再開発を進めており、今年2月にDNP市谷加賀町第3ビルを竣工した。5月8日には、パートナー企業との「対話と協働」を実践する共創施設「P&Iラボ・東京」を同ビル内にオープン。5月25日にメディア向けの内覧会を実施した。

■展示・体験を通じて未来を語る
 大日本印刷は、「第三の創業」の実現に向けて、都内に分散していた営業・企画部門を市谷地区に集結させた。これにより社内の連携および、社外パートナーとのコラボレーションを促進し、「オールDNP」による価値創造を加速している。
 再開発の一環として竣工したDNP市谷加賀町第3ビルは、地上5階、地下3階、延床面積は約4万u。地下1〜3階をP&Iラボ・東京が占める。メディア向け内覧会では、同ラボの推進室長である間々田修一氏からラボ開設の目的と構成が説明された。
 P&Tラボ・東京は、パートナー企業との「対話と協働」を促進するための施設で、同社のP&T(Printing&Information)の強みを製品・技術の展示や体験、未来イメージの提示などを通じて感じてもらい、「対話」により業界・社会の課題を引き出し、「協働」につなげることを狙いとしている。同ラボでは約250の製品・サービスを体験することができ、次のような構成となる。

《地下1階:ウェルカムゾーン/ホール》
 DNPの強みのプレゼンテーションを通じて、DNP=パートナーという意識づけを促す。ホールは、プライベート展・セミナーによる情報発信と外部パートナーとのコラボレーション活動の場となる。
《地下2階:技術ゾーン》
○暮らしを変えたDNPの技術
○技術を掛け合わせる
DNPが保有するP&Tの技術
○技術は豊かな社会のために  豊かな社会を実現するDNPの提供価値
○コラボレーションに向けて
《地下3階:体験ゾーン》
○ブループリントスタジオ
 DXが実現する2030年の未来の暮らしを、複数のLEDディスプレイを活用した没入感のある映像とソリューション展示の組合せで体験
○みらいの暮らし
 DNPが提案するウェルビーイングをテーマとした未来の居住空間。顧客と共にデザイン検証を行う空間シミュレーション機能も併設
○コ・ラーニング
 書籍に囲まれた空間で、未来の暮らしに関する議論を行う

 内覧会であいさつした杉田一彦常務執行役員は「当社は、お客様の要望に応えるだけでなく、自ら社会や生活者に価値を提供する『第三の創業』に取り組んでいる。技術・ノウハウ・製品・サービス・市場を掛け合わせ、パートナーのいろいろな強みも加えて、価値の提供を加速させていく。フェイス・トゥ・フェイスで創発を行い、多様な価値を生み出す場がP&Tラボ・東京だ。分散していた事業拠点の集結・再編についてもひと区切りつき、オールDNPの体制が整った」と述べた。
 P&Tラボ・東京は、大日本印刷のすべての部門で共有・活用し、社員がパートナーを招待する形で案内する。5月8日のオープン後、毎日3〜5件の訪問があり、新たな価値の創出が期待されている。
 ラボは、生活の隅々に同社の製品・サービスが使われていることが伝わり、それが未来社会に向けてどう枝葉を伸ばしていくかがイメージしやすいように工夫が凝らされている。



未来の居住空間をシミュレーション。
2030年のキッチン(地下3階、体験ゾーン)











【印刷新報2023年6月1日付掲載】
その他掲載記事
・特集 ジャグラ文化典高知大会
・小森コーポレーション グループパーパスを発表
・全印工連 2023全日本印刷文化典広島大会
 「夢メッセ」と同時開催で学びの機会提供
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2023年5月25日付
〈議連総会で全印工連〉
用紙の特定調達品目からの除外要望
知的財産権でも強く主張


 中小印刷産業振興議員連盟(中曽根弘文会長、以下「議連」)の総会が、5月24日午前8時から東京・永田町の自由民主党本部で開かれた。全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)は、@印刷用紙をグリーン購入法における特定調達品目から外すことA自治体の仕様書・契約書から「印刷データを無償で譲渡・利用する」といった記載を削除すること、の主に2点を要望し、議連も環境省、総務省など所管省庁に強く踏み込んだ実効性ある取組みを求めた。
 中曽根会長、全印工連・滝澤会長のあいさつに続き、環境省が「グリーン購入法における特定調達品目」の見直し状況(5月11日付で一部既報)、総務省が「官公需印刷物の入札・契約の実態調査」結果(5月18日付既報)を報告、全印工連から要望を伝えた後、意見交換が行われた。
■特定調達品目の見直し
 昨年11月の議連総会を踏まえ、環境省は12月に、特定調達品目(古紙パルプの最低保証などグリーン購入法の判断基準を満たす印刷用紙)の調達が困難な場合には代替品の納入を認める旨を地方公共団体等に通達した。同時に、古紙パルプの配合率についても改定した。一定の成果ではあるが、その実効性は乏しく、根本的な問題解決とはなっていない。
 全印工連は今回、「今秋の臨時国会までに、印刷用紙を特定調達品目から外すこと」を強く要望。理由として、@白色度が要求される印刷用紙への古紙の使用は、脱墨のための薬品やエネルギーコストにより、かえって環境に悪影響を及ぼすA再生紙の供給量が絶対的に不足しており、中小印刷会社は購入できないB判断基準を満たす印刷用紙を供給可能な製紙会社は1社だけであり、競争原理が働かない―の3点を挙げた。
 環境省の担当課長は、令和5年度特定調達品目検討会の下に「印刷用紙専門委員会」を設置し、判断基準等の今年度中の見直しを検討していることを説明した。6月に第1回の委員会を開催し、10月頃に方針をとりまとめる予定。委員会は、学識経験者6名、業界関係者5名(全印工連・滝澤会長、日印産連・倉持常務理事、製紙連・河崎常務理事、古紙再生促進センター・川上専務理事ほか)で構成される。オブザーバーとして、主要製紙メーカー、印刷業界、洋紙代理店・卸商、古紙回収業も参加予定。
 委員会では、@市場における古紙需給状況の変化を踏まえた指標項目のあり方A森林認証材・間伐材以外の持続可能性を目指すパルプについて製紙メーカー個社の取組みの評価のあり方―などを論点に、実状に即した印刷用紙の判断基準の見直しを行う。
■知的財産権の取扱い
 総務省が実施した官公需印刷物の入札・契約調査では、発注仕様書で、印刷データ(中間生成物)を「納入する」、知的財産権は「発注者に帰属する」と記載している自治体が圧倒的に多く、コンテンツ版バイ・ドール契約を採用している自治体もわずかであることが明らかになった。
 全印工連の滝澤会長は、過去の裁判の判例を紹介しながら、「印刷データは受注者(印刷会社)の所有物」であり、自治体の仕様書・契約書から「印刷データを無償で譲渡・利用する」といった記載を削除してほしい旨を要望した。また、受発注者間だけでなく、地域の発展につながる契約方法として、コンテンツ版バイ・ドール契約の積極的な採用を求めた。
                 ◇
 出席した議員からは、「(印刷用紙の判断基準見直しを)10月頃をめどとしているが、一日でも早くスピード感を持ってやってほしい。(来春の官公需の繁忙期に対応するのに)印刷会社はまず紙を確保しないことには動けない。代替品の納入にしても、本当に認められているのか? 国が率先して取り組まなければ変わらない」、「時代は大きく変わり、安いだけの調達は通用しない。公の契約は民間取引の模範であるべきだ」など次々と意見が述べられ、省庁の担当官が今後の対応方針について説明した。
 閉会あいさつで議連の伊藤達也幹事長は「全印工連からの要望を基本として重ねて省庁に求めていきたい。制度がそもそも今の時代に合っているのか、さらに見直しが必要だ。単に通達を出すだけではダメで、意識改革のためにやれることは何でもやってほしい。今年度も複数回の総会を開いていく」と述べた。












【印刷新報2023年5月25日付掲載】
その他掲載記事
・特集 生産改革2023
・各地で令和5年度の総会が開催
・来年5月に技能五輪開催 仏・リヨンで

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2023年5月18日付
総合商研/小松印刷グループ/アスコン
3社共創プロジェクトを推進


 印刷業界では、環境の激変期を乗り越えるための企業間アライアンスが活発化している。その波は、中堅印刷会社においても明確な戦略となって現れてきた。
 それを象徴するのが、総合商研(片岡廣幸会長、札幌市東区)、小松印刷グループ(小松秀敏社長、香川県高松市)、アスコン(中原貴裕社長、広島県福山市)の3社による共創プロジェクトの発足だ。各社の強みと経営資源を活用し、生産設備の共同仕入れ、技術・人材連携、営業ノウハウの共有などを通じて新たな事業領域拡大と強固な経営基盤の構築を目指す。
 また、全国に張り巡らされた、グループ会社を含む3社の営業所・製造拠点をフルに活用し、最適地生産で顧客へのサービス向上と受注拡大を図っていく。
 東証スタンダード上場の総合商研は、小松印刷グループと2004年10月、アスコンとは2017年9月に業務提携に関する契約を締結している。
 このたびのプロジェクトにおいては、それぞれ経営幹部レベルのプロジェクトスタッフを任命し、会社間の壁を超えた「営業戦略分科会」「製造部門分科会」「クリエイティブ分科会」の役割ごとに意見交換を重ね、今年2月21日に協定に至った。
 印刷会社という枠を 超え、各社の強みを活かす「首都圏受注・地方製造」の3社共同事業組織として、業容の拡大、顧客基盤の拡大を図っていく。
 また、発表によると、今回の枠組みは限定的・排他的なものではなく、同業・異業を問わず理念に賛同する企業との新たな協業の可能性も同時に模索していく。
 3社の売上高規模は、総合商研が153億1100万円(2022年7月期)、小松印刷グループが144億円(2022年3月期)、アスコンが121億5900万円(2022年3月期)。
共創プロジェクトの内容と目指す将来像は次のとおり。
■生産・製造管理連携
3社の製造拠点を俯瞰、物流の効率化から高品質・高効率・低コストを追求し、市場競争力の強化を図る。
■営業連携
マーケティング連携による市場提案力強化及びノウハウの共有(成功事例の水平展開)から新商品・サービスの開発を推進する。
■大型設備投資
1社単独では難しい設備投資や技術開発及び商品開発を共同運用しリスク分散を図るとともに、各コンテンツの制作、製造に関する効率化連携で新たな市場開発を行う。
■その他、前項に付帯関連する業務における相互の協力・支援










【印刷新報2023年5月18日付掲載】
その他掲載記事
・「官公需印刷物の入札制度実態調査」結果概要発表
・大手印刷会社決算短信
・NISSHA 滋賀大学とDXで連携

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2023年5月11日付
富士フイルムBI
「圧着トナー」新発売
ワンパスで印字と糊付けが可能


 富士フイルムビジネスイノベーション(浜直樹社長・CEO、東京都港区、富士フイルムBI)は、ハイエンドプロ市場向けプロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120」用の特殊トナーとして、世界初となる接着機能を持った「圧着トナー」を、国内で5月16日から発売する。デジタル印刷の小ロット生産や可変(バリアブル)印刷といった特性を活かしながら、圧着はがきなどの制作工程を効率化することができる。
 圧着トナーは、同社独自のトナー製法技術であるEA(Emulsion Aggregation・乳化凝集)製法により、内部に自社開発の圧力応答性樹脂を微細に分散させた無色透明のトナーで、高い圧力を加えた時にのみ樹脂が軟化し、用紙と用紙を接着する機能を発揮する。
 「Revoria Press PC1120」はCMYKトナーのほか、最大2種類の特殊トナーを搭載できる。圧着トナーを搭載すれば、プリントした用紙の印字面どうしを重ねて、圧着機(後加工機メーカーが提供する汎用の圧着機)で高い圧力と熱を加えることで、圧力応答性樹脂が反応してトナーが糊のような機能を発揮し、用紙どうしを接着することができる。
 CMYKトナーによる画像や文字の印刷と、圧着トナーによる接着材塗布がワンパスで完結し、従来は印刷後に別工程で行っていた糊付け工程の削減が可能となる。印刷データ上で接着箇所を自在に指定できるほか、用紙どうしの接着力の強弱をトナーの量や圧力の強さにより調整することもできる。
 圧着トナーは、圧着はがきのような用紙を接着する印刷物を小ロット生産・可変印刷する用途に適している。デジタル印刷の特性と圧着トナーの機能を組み合わせて用いることで、受け取る人の嗜好や興味に合わせた内容の圧着はがきやA4サイズの圧着DMなどを、短納期で必要な分だけ効率的に制作できるようになる。
 また、富士フイルムBIでは、後加工機メーカーと協業し、印刷から圧着までに必要な後加工の機器をインラインで接続する自動化ラインのシステム開発をユーザーとともに進める。印刷後の断裁や折り、圧着にいたるまでの多岐にわたる工程を、人手を介さず自動化することで、印刷生産プロセス全体の効率化を目指す。

Z折り圧着ハガキDMイメージ


V折り圧着ハガキDMイメージ











【印刷新報2023年5月11日付掲載】
その他掲載記事
・令和5年3月「用紙価格動向調査」 価格の地域差、顕著に
・グリーン購入法基本方針の変更点など解説
 第53回GP工場交流会
・JP2023・印刷DX展

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2023年4月27日付
国内キャッシュレス決済比率が36%に
政府の最終目標はフルデジタル化


 経済産業省は4月6日、2022年のキャッシュレス決済額とキャッシュレス決済比率の算出結果を公表した。決済額は、民間最終消費支出308.5兆円に対して111兆円と、初の100兆円超えとなり、決済比率は36.0%に上昇した。
 また、3月20日には「キャッシュレスの将来像に関する検討会」の取りまとめについても公表。キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという現行の政府目標は引き続き堅持したうえで、将来的に世界最高水準の80%を目指す方向が示された。
 キャッシュレス社会の拡大に伴い、印刷会社の行政・企業・消費者に向けたサービス提供やマーケティング提案でも新たな対応が必要になっていくと予想される。
 また、企業間取引においてもキャッシュレス化は必然の流れだ。小規模企業が多くを占める印刷業界だが、受発注・決済など取引関連業務のデジタル化を起点として、業務効率向上や企業間のデータ連携によるDX化の推進を図っていくことが求められる。
                ◇
 2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%(111兆円)。内訳は、クレジットカードが30.4%(93.8兆円)、デビットカードが1.0%(3.2兆円)、電子マネーが2.0%(6.1兆円)、コード決済が2.6%(7.9兆円)。
 決済比率は、2010年に13.2%だったが、2016年に20.0%、近年は2020年に29.7%、2021年に32.5%と推移している。
 経済産業省の2021年の実態調査では、日常生活において「7〜8割程度以上キャッシュレスを利用する」と回答した人が全体の54%を占めるなど、消費者の中でキャッシュレスが広く浸透してきている。
 今の水準が続けば、政府の成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)で示された「2025年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とする」という目標は達成される見通しだ。
 キャッシュレス決済比率は、主要各国では40%〜60%台、韓国や中国では80%〜90%台となっている。2022年9月に発足した、有識者や大手決済関連企業など10人の委員からなる「キャッシュレスの将来像に関する検討会」の取りまとめでは、将来的に世界最高水準の80%を目指し、最終的には、誰もが現金を持ち歩かずに生活が完結する「決済のフルデジタル化」が目標に掲げられている。
 キャッシュレス化の推進により、事業所間取引では、デジタル化による業務効率化や、取引と関連した付加データの利活用によるイノベーションの実現などを期待している。












【印刷新報2023年4月27日付掲載】
その他掲載記事
・特集 シタラフェア2023
・東印工組 支部再編に理解求める
・卒園アルバムに補償プラン 石田製本

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2023年4月20日付
全印工連/MUD協会
8月に初のMUDフェア開催
ユニバーサルデザインへの理解を促進


 全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)とNPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会(伊藤裕道会長、浦久保康裕理事長)は、メディアユニバーサルデザイン(以下、MUD)をテーマにした新企画イベントを今年8月18日(金)〜20日(日)の3日間、東京・港区の都立産業貿易センター 浜松町館で開催する。ユニバーサルデザインの必要性や、だれもが不自由なく情報を受け取ることができる社会の実現を目指すMUD活動について広く理解してもらうことを目的に、展示、セミナー、体験コーナーの実施を予定している。

■子供たちから行政・企業まで広く対象に
 8月18日・19日・20日に開催するイベントの名称は「伝えるためのユニバーサルデザインフェア〜色・文字・かたちでみんなに分かりやすく」(仮称、以下MUDフェア)。全印工連とMUD協会が共催し、会期中に約5000名の来場を予想している。
 実施プログラムの柱は、「MUDを見る(展示コーナー)」「MUD製品に触れる(展示コーナー)」、「MUDを深める(セミナー)」「MUDを感じる(体験コーナー)」から成る。
 展示コーナーでは、MUDの基本から最新技術、ソリューションを紹介する企業や団体のブースを設ける。MUD事例やMUD認証各社のさまざまな取組み、行政や自治体の取組み、学術研究などの紹介ほか、MUDコンペティション受賞作品、MUD認証製品の展示を行う。
 セミナーは、1日3講座、3日間で計9講座を予定。専門家による講演やパネルディスカッションにより、参加者は情報アクセシビリティやMUDの知識を深めることができる。
 体験コーナーでは、参加者が実際にMUDの技術や製品を試せるようにする。小学生の夏休みの課題作成コーナーも用意し、楽しく学んでもらう。プロ向けには実践的なワークショップを通じて、情報アクセシビリティやMUDスキルを身につけてもらう。
 フェアは、子供から大人まで幅広く対象とし、来場しやすいよう、夏休み期間中の週末に会期を設定した。
一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会など関連団体や教育機関の協力も得ていく予定。

■社会の情報伝達の課題はさらに増す
 ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすい製品、環境、サービスを設計するための考え方で、高齢者、障がい者、外国人、子供などさまざまな人々が、同じように利用できることを目的としている。
 また、MUDは、ユニバーサルデザインを情報伝達分野(メディア)に適用したもので、色・文字・かたち等の情報をできるだけ多くの人が理解しやすいように配慮する考え方となる。
 全印工連では、情報伝達の担い手として約20年前からMUDに取り組んできた。業界内はもちろん、行政・企業の関連部署や一般市民も対象にしたセミナー開催をはじめ、MUDに配慮したデザイン手法を用いた作品を募るコンペティションをこれまで16回開催し、MUD活動の啓発につなげている。
 MUD協会は2008年1月に設立し、今年15周年を迎えた。MUD製品の第三者認証制度や教育検定の実施、普及セミナーの開催、MUD対応製品を作製する際に使用できるシミュレーションツールの紹介など、各種事業を展開している。
 社会に流通する情報量は増える一方だが、日本は超高齢化社会となっている。しかし、デザイン、文字の大きさや書体、色使いなどに配慮されていない情報伝達手段が多く、情報を読み取れずに不便を感じている人たちが多数存在する。
 MUD協会によると、日本国内には弱視等の障がいがある人は潜在的に100万人以上、色覚障がい者は300万人以上、白内障などにより色覚の低下した高齢者を加えると、一般の人と色の感じ方が違う人は500万人以上いると考えられる。色に関する問題のほか、増える来日外国人や在留外国人に対するデザインの工夫も急がれる。











【印刷新報2023年4月20日付掲載】
その他掲載記事
 特集 印刷出版研究所 創業90周年特集
 ・群馬大学・柴田博仁教授インタビュー
  「紙と電子の使い分けで人は賢く」
 ・一心社・浦久保康裕社長インタビュー
  「万博、MUD、ペーパーサミット」
 ・日本サステナブル印刷協会
  「脱炭素の取組み推進」
 ・真興社・福田真太郎社長インタビュー
  「真興社変革の歴史」

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2023年4月6日付
改正PRTR法が施行
対象が649化学物質に
SDSで該当・非該当の確認を


 化学物質排出把握管理促進法、いわゆるPRTR法(化管法)が改正され、2023年4月1日から施行された。対象となる化学物質が見直され、第1種指定化学物質が462物質から515物質、第2種指定化学物質が100物質から134物質に増加している。追加された化学物質には印刷業でもよく使われる物質が複数含まれている。使用している製品について、最新のSDS(安全データシート)で確認し、PRTR法への該当・非該当を把握したうえで、2023年度以降の集計および届出を正確に行う必要がある。
                 ◇
 1999年7月に公布されたPRTR法に基づき、「化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)」が導入された。PRTR制度では、人体や動植物に有害なおそれのある化学物質(第1種指定化学物質)について、事業者は環境中へ排出した量(排出量)や廃棄物等として処理するために事業所の外へ移動させた量(移動量)の届出を年度ごとに行うこととされている。第1種指定化学物質は、1%以上含有すると該当製品として扱われる。
 また、SDS制度では、PRTR法で指定された化学物質を含む製品について、他の事業者に譲渡または提供する際に、その特性や取扱いに関する情報をSDSにより提供することが義務付けられている。SDS制度のみ対象となるのが第2種指定化学物質と区分されている。
 排出量・移動量の届出対象には「出版・印刷・同関連産業」など24業種が定められており、常時使用する従業員数が21人以上、該当する第1種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上(特定第1種指定化学物質は0.5トン以上)の事業者が対象となる。
 今回の改正で追加された代表的な化学物質には、トリクロロエチレン(特定第1種)、ブチルセロソルブ、ETB、ブチルカルビトール、シクロヘキサン(第1種)、ノナン、オクタン(第2種)などがあり、このうち、ブチルセロソルブ、ETB、ノナンは、印刷インキ洗浄剤やエッチ液で使用されることが多い。
 これに伴い、印刷関連資材メーカー各社は、新たに追加された指定化学物質が含まれる製品の配合変更を行うなど対応を進めており、PRTR非該当となる代替品を順次リリースしている。
 また、日本印刷産業連合会のGP認定事務局でも、改正PRTR法へのGP資機材認定の対応を図っている。
 GP資機材認定のエッチ液は、指定化学物質を含まないことが必須条件となる。ただし経過措置として、認定済み製品は改正後の指定化学物質の含有を1年間猶予する。新規では認めない。洗浄剤等は、改正後の指定化学物質で達成点数を再評価する。

■印刷・同関連は届出排出量で業種別7番目
 経済産業省および環境省は、PRTR法に基づき、事業者から届出のあった化学物質の2021年度の排出量・移動量等のデータの集計を行い、結果を3月3日に公表した。排出量は12万5000トン(前年度比0.5%増)、移動量は25万9000トン(同12.3%増)となり、排出量と移動量の合計は38万4000トン(同8.2%増)となった。
 2021年度の排出量・移動量については全国3万2729事業所から届出があった。このうち、「出版・印刷・同関連産業」は284事業所、届出物質の種類は41。排出量は大気中が100%に近く、移動量は廃棄物移動がほとんど。
 製造業・非製造業を合わせた全46業種のうち、製造業(23業種)における届出排出量・移動量は全体の97%を占める。
 業種別の届出排出量で「出版・印刷・同関連産業」は7番目(5300トン、総届出排出量の4.3%)、届出排出量・移動量では10番目(7500トン、総届出排出量・移動量の1.9%)となる。
 全国の届出排出量の多い上位10物質の合計は10万7000トンで、総届出排出量12万5000トンの86%に当たる。上位5物質はトルエン(構成比34%)、キシレン(同16%)、エチルベンゼン(同11%)、ノルマルーヘキサン(同7%)、塩化メチレン(同6.7%)。

















【印刷新報2023年4月6日付掲載】
その他掲載記事
・特集 デジタルプレス
・大手3社社長 新入社員へのメッセージ
・篠原紙工 ボール紙見本帳発売

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2023年3月30日付
経産省、DX優良事例20社を選定
グランド印刷が準グランプリに


 経済産業省は、中堅・中小企業等のDXのモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション2023」として選定し、3月16日に20社を公表した。準グランプリにはグランド印刷(小泊勇志社長、北九州市門司区、従業員55名)が選ばれた。
DXセレクションは、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組みの優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDXの推進と各地域での取組みの活性化につなげていくことを目的に昨年度初めて実施された。
 募集にあたっては、地域経済の発展を推進する「地方版IoT推進ラボ」の取組みに参画している企業を対象とし、経済産業省が定めたデジタルガバナンス・コードの評価項目に基づき有識者委員が審査した。
 グランプリに選ばれたフジワラテクノアート(藤原恵子社長、岡山市)は、醤油・味噌・日本酒等の醸造食品の製造機械メーカー。「微生物のチカラを高度に利用するものづくり」により循環型社会への貢献を目指しており、3年間で21のシステム・ツールを導入して全工程の進化を成し遂げた。また、主要協力会社との取引をオンライン化し、各社のDXを推進した。
 準グランプリのグランド印刷(推薦:北九州市IoT推進ラボ)は、スクリーン印刷、デジタルプリントを主体とした印刷会社。金属、プラスチック、ビニール、布など素材を選ばず印刷できるのが特徴で、屋外看板や垂れ幕、POPなど販促物の製作を主力商品とする。ターポリン幕専門の印刷通販「まくする」ほか、看板、壁紙など複数の印刷通販サイトを運営している。
 「新たな価値の創造で、世の中を楽しく、豊かにする。」を企業理念に掲げる同社は、シナジー効果の見込める各事業をデジタルによって1つに統合。それぞれの事業が互いに連携し、理念や価値観でつながった「連邦多角化経営」を目指す。また、従業員の自己実現に向けて、楽しく働ける職場環境と物心両面での豊かさを追求している。
 「DXセレクション2023」選定企業レポートには、取組みと成果が次のように紹介されている。

【デジタル人材の確保/デジタル技術活用の取組み】
・社内業務の効率化・省力化や顧客視点でのサービス改善に
 おいて、自ら問題を見つけ改善案の指示を出せる人材を
 「DXプロデューサー」と定義し、社内で育成している。
 また、各従業員に合った「学び」を計画的に行っていく
 プロジェクトを立ち上げる。
・自社開発の基幹システムとWebサイト、各種Webサービスを
 連携させた社内ITシステムで情報共有している。

【成果】
・年に2〜3個の新規事業が立ち上がり、それらを育てながら
 デジタル技術によって既存業務の効率化・省力化を行う
 企業風土となった。また、子育てしながら働きやすい
 会社となり女性従業員が全体の75%になった。
・コロナ禍でも年間7000社の顧客を獲得。既存事業の落込み
 を新事業でカバーし、過去最高売上を3年連続更新した。

【DXを進める上での苦労】
・現社長がまだ支店長の立場だったときに基幹システムの
 開発に着手したが、リーマンショック後ということも
 あり、資金的な余裕もなく銀行からも融資は厳しいと伝え
 られていた。リース会社に話を持ちかけ、リース契約に
 してもらうことで費用を捻出した。
・システム会社への月額12万円の保守料と開発費のリース料
 月額12万円、合計24万円の支出が必要であったが、1人分
 の人件費だと思い投資を決断した。

【DXを進めるために行った工夫】
・システムの管理を外注1社のみ、また社内担当者を1人のみ
 という状態は非常にリスクがある事を身に染みて経験した
 ため、現在は外部エンジニアと社内エンジニアの2人体制で
 開発を行っている。また、サーバー情報も自社で管理し、
 日次でバックアップを取るようにしている。
【DXを進めたことによる具体的な変化】
・日々蓄積されるデータから新事業が次々と創り出せる
 ようになった。
・社内ITシステムにより、ほとんどの情報が共有され、個人
 への依存度が減り、有休や途中抜けなどもしやすくなり、  子育て中の女性でも活躍できる場が広がった。
・従業員のITリテラシーも向上し、自ら問題を見つけてシス
 テム改修を発案し、エンジニアに依頼できるようになった。
















【印刷新報2023年3月30日付掲載】
その他掲載記事
・日本WPA 水なし印刷の認知向上へ 
 新キャッチフレーズ決まる
・富士フイルムグラフィックソリューションズ
 山田周一郎社長インタビュー
・欧州企業視察記 MailTech社(スペイン)

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