日付インデックス
11月23日
大日本印刷、「DNP生成AIラボ・東京」開設 パートナー企業と活用事例を創出
11月16日
東京都トラック協会 出版物輸送で荷主と具体策協議
11月9日
全印工連フォーラム SFプロトタイピングで2050年の印刷業を展望
10月26日
日印産連・GP環境大賞等表彰式 「印刷と私」トークショーも併催
10月19日
日印産連、下請適正取引推進へ 「自主行動計画徹底プラン」策定
10月5日
TOPPANグループ 新経営体制へ移行 新商号で世界統一ブランドに
9月28日
セントラルプロフィックス 「印刷屋の職人」「高品質印刷アイテム」前面に オンラインショップ開設
9月14日
三郷コンピュータHD 二次元コードの偽造防止で特許 マイクロ文字で世界も視野に
9月7日
奥村印刷 折紙食器「beak」をアピール
首都圏防災フェアで
8月31日
新聞、出版関連など4団体
生成AIに関する共同声明 「著作権保護の検討不十分」
8月24日
情報通信メディアの利用動向調査
平均利用時間、休日も「ネット」が「テレビ」上回る
8月10日
東洋美術印刷、実写VRの最新情報を提供
有効な顧客接点に企業が注目
7月27日
ミヤコシ シリーズセミナー第2回
「軟包装の未来」を読み解く interpack2023報告
7月13日
高度な色補正技術の継承へ
墨田区と千葉大学がAI活用 印刷会社2社が共同研究に参画
7月6日
大日本印刷
自治体向けにメタバースのパッケージサービスを提供
6月22日
全印工連、2050ビジョンを今秋発表
未来へのビジネスプラン示す
6月8日
出版流通改革へ実験スタート
8月刊行のコミックスからRFIDタグ装着
6月1日
大日本印刷、「P&Iラボ・東京」開設
パートナーとの共創を促進
5月25日
〈議連総会で全印工連〉
用紙の特定調達品目からの除外要望 知的財産権でも強く主張
5月18日
総合商研/小松印刷グループ/アスコン
3社共創プロジェクトを推進
5月11日
富士フイルムBI
「圧着トナー」新発売 ワンパスで印字と糊付けが可能
4月27日
国内キャッシュレス決済比率が36%に
政府の最終目標はフルデジタル化
4月20日
全印工連/MUD協会
8月に初のMUDフェア開催 ユニバーサルデザインへの理解を促進
4月6日
改正PRTR法が施行 対象が649化学物質に
SDSで該当・非該当の確認を
3月30日
経産省、DX優良事例20社を選定
グランド印刷が準グランプリに
3月16日
凸版印刷、10月に持株会社体制へ
新商号は「TOPPANホールディングス」
3月9日
新市場広げるマーチング委員会
越境EC、ご当地ガチャなど活動進展
2月23日
〈全印工連・産業戦略デザイン室〉
DX-PLAT活用の可能性探る ストアフロントで新市場開拓
2月16日
全印工連 第16回MUDコンペ
経済産業大臣賞など表彰式 MUD先進県「静岡」が活躍
2月2日
改正安衛法、今年4月施行
ばく露防止対策が義務化
1月26日
製紙連 2023年紙・板紙内需見通し
印刷・情報用紙は前年比7.2%減 2019年比では26.4%減の水準
1月12日
加藤文明社
千葉商科大生が見学と実習 未来のデザイナーに「学びの場」
1月1日
信陽堂印刷所(長野)
聴覚障害者用グッズを商品化 生活課題を解決、災害時にも有効
12月22日
【2022年の10大ニュース】
世界の動向が業界にも直結 多くの課題を引き継ぎ越年
12月15日
JAGAT大会2022
“創注”目指すDXを考える page2023で深掘り提案
12月8日
モリサワ、写研書体の改刻で進捗報告
2024年に3書体をリリース予定
11月24日
日本WPA
「Ecoカルタ」をリニューアル 環境へのより深い理解を
日本製本紙工新聞 11月20日
早和製本(京都市)
御朱印帳で次々にコラボレーション 菓子のデザイン、大胆に採用
11月10日
太美工芸(名古屋市)
フリーランス活用で個人消費を開拓 アワードで審査員特別賞
10月27日
印刷工業会/日印産連
男性社員が育休体験語る 中小企業の取得には課題あり
10月20日
全印工連CSRサミット2022
SDGsを経営に活かす 社会課題を自社の競争力に
10月6日
令和3年経済センサス
「印刷・同関連業」の2020年出荷額は前年比5.6%減
9月29日
電子チラシ「shufoo!」利用者調査
物価上昇で買い物に変化 頻度、時間、非計画購買が増える
9月15日
職長への安全衛生教育が義務化
「製本業、印刷物加工業」など対象業種に
9月8日
フォーム工連
「心理的安全性」学ぶ 組織づくりの根幹に
8月25日
メタバース関連ビジネスが活発
活用シーンも急拡大
8月18日
ムトウユニパック
本社屋上で養蜂を開始 江東区の生態系プロジェクトに参画
8月4日
第20回環境優良工場表彰が決定
経済産業大臣賞は太陽堂印刷所
7月21日
「SOPTECとうほく2022」に4,750人
複雑化するニーズに解を示す
7月14日
〈コンテンツ東京2022〉
新規ビジネス発想の宝庫 拡がるメディアの可能性を体感
7月7日
埼玉印工組
福祉施設に97万円を寄贈 障がい者アートのカレンダー収益で
6月23日
日印産連
SDGs導入を支援 ポータルサイト開設
6月16日
JPA、国内初のG7認証機関に
グレー管理で汎用的な色再現
6月2日
〈印刷議員連盟・総会〉
独禁法・下請法の運用強化へ前進 用紙判断基準の検討は前倒し
5月26日
JCメディア印刷シニア部会
伊藤達也議員を招き業界語る 下請取引適正化への強い思いも
5月19日
BSフジ「小山薫堂 東京会議」
大徳製本所で収録、GP認定をアピール
5月12日
PrintNext2022「ココカラ市場」
日本各地の魅力を集め、親子連れなどで賑わう
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2023年11月23日付
大日本印刷、「DNP生成AIラボ・東京」開設
パートナー企業と活用事例を創出
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大日本印刷(北島義斉社長、以下DNP)は、社外のパートナーが生成AIを活用した多様なユースケース(使用事例・用途例)に触れ、同社とともに生成AIの可能性を探れる施設「DNP生成AIラボ・東京」を12月4日に東京・市谷のDNP左内町ビル内に開設した。
利用者は、生成AIの活用イメージを実際に体験して、さまざまなアイデアについて議論し、具体的なユースケースに発展させ、実際に動くプロトタイプ(試作品)を開発できる。DNPは、アイデア等の検討段階から社外の多様なパートナーと協働し、新製品・サービスを創出するアプローチを具現化する。
ラボは、生成AIの利活用について議論し共創する「対話ゾーン」(2階)、アイデアから実際に動くプロトタイプをつくる「開発/工房ゾーン」(1階)、AIによる文章や画像等の生成を実際に体験し、アイデア創出に向けた情報を取得できる「デモ体験ゾーン」(地下1階)からなる。
「対話ゾーン」では、議論の内容をリアルタイムに記録し、生成AIが対話に応じた画像を自動的に画面に表示して、活発な議論を促す。「開発/工房ゾーン」では、対話から生まれたユースケースのプロトタイプを、コーディングを行わずプログラミングの専門知識が不要な「ノーコード・ローコード開発ツール」で開発する。また、3Dプリンターやレーザーカッター等のツールも準備している。
DNPは、社外のパートナーとの共創を進め、2024年度には生成AIを活用した5つのサービスを市場投入する計画。この目標達成に向けて、1年間で1000件のユースケースを創出し、その中から20件の実証実験を行う。
ユースケースの事例としては、情報端末に映る景色を生成AIが自動的に文章化し、視覚障がい者に音声で伝えるアプリや、チラシ掲載の画像から食材等を識別し、作れる料理のレシピをレコメンドするアプリなどがある。
同社は2023年10月、関連するメンバーが相乗効果を発揮しやすいように専門組織「生成AIラボ」を立ち上げており、生成AIを活用した「新製品・新サービス創出」と「既存の製品・サービスへの新たな価値の付加」を加速している。
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対話ゾーンのイメージ |
【印刷新報2023年11月23日付掲載】
その他掲載記事
・「ジャグラコンパス」来年リリース
・次期会長候補者に瀬田副会長 全印工連
・西新宿に新ショールームを開設
富士フイルムビジネスイノベーション
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2023年11月16日付
東京都トラック協会
出版物輸送で荷主と具体策協議
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一般社団法人東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会は、第45回出版物関係輸送懇談会を10月30日に四谷の東京都トラック総合会館で開催した。同部会では、出版物輸送に関わる各荷主を招いて毎年度懇談会を開いており、今回は「出版物輸送を存続していくための具体的な改善策」をテーマに、物流の2024年問題を控えて例年になく踏み込んだ意見交換が行われた。
■「ルール解体」へ土曜全休配、業量平準化など
懇談会の出席者は、東京都トラック協会15名、日本雑誌協会24名、日本出版取次協会5名、日本書籍出版協会2名、印刷工業会1名、東京都製本工業組合2名、日本書店商業組合連合会2名。
意見交換に先立ちあいさつしたトラック協会の瀧澤賢司部会長(ライオン運輸社長)は「何とか出版物輸送を止めないでやっていこうと頑張っているが、小規模零細企業が多いうえに、私たちの方から皆様に話を切り出して今の基盤を変えることは難しい。まず現状についてご理解いただき、皆様から幅広い意見をお聞きして、何ができるかを考えたい」と述べた。
また、荷主を代表して雑誌協会販売委員会の相賀昌宏委員長(小学館会長)が「互いに言いたいことを言える関係であることが大事。今日は具体的な課題について話し合うが、ただ議論するだけではなく、その成果を業界全体に広く浸透させていくことをお誓いする」と述べた。
初めにトラック協会側から業界の状況について説明が行われた。
瀧澤部会長は、ドライバー不足と燃料の高騰が常態化する一方、出版不況下での運賃収入の減少で事業者の負担増大、収益悪化が続いており、事業の縮小・撤退を余儀なくされている現状を訴えた。配達店舗別仕分けのために、屋根のある施設と人員が必須となる出版物輸送の特徴が固定費負担の増加につながっている点も指摘した。
また、手嶋章博氏(出版輸送社長)は「業量が減り続けている。対前年1割減では危機的な状況だ。当社もトラックの台数をかなり減らしたが、それにも限界がある。出版物の発行(納品)については、今日でなくてもいいのでは? 明日の分と一緒ではいけないのか? という思いがあり、少しでも柔軟な対応をお願いしたい。ここ数年、土曜休配日の増加で何とか高齢ドライバーを確保できている点については、出版界の努力に感謝している」と述べた。
トラック協会の齋藤康常務理事からは「(法改正で2024年4月からドライバーの時間外労働の上限が年960時間となるが)対策を進めても、2025年2〜3月頃にぎりぎり960時間以内で調整できているかどうか」と厳しい見通しが示された。
これに対し、雑誌協会物流委員会の隅野叙雄委員長(集英社専務)は「休配日は来年度さらに増やし、土曜は全休配を目指していく。さらに根本的な対策として、取次協会とは業量の平準化を検討している。読者を大事にし、書店の理解も得ながらになるが、発売日をもっと柔軟にしていきたい。昔からのルールの解体が必要だ」と理解を示した。
取次協会の田仲幹弘氏(トーハン副社長)は「中長期的に業量は減っていくので、作業集約と協業・協働が必須になる。配送エリア配分の見直しや、ドライバーの共同募集と不足している会社への優先配分など、やれることはいろいろありそうだ。印刷・製本会社とは、納品時の荷姿の工夫によって作業の効率化を図れないかと話している」と述べた。
大日本印刷 情報コミュニケーション製造統括本部の林雄一部長は、印刷工業会物流分科会で話し合われた内容を基に、(業量の減少に合わせた)納品先数の削減、午前集中型配送の見直し、搬入票の早期発行による配車効率の向上などを提案した。
隅野氏はその点について、「課題はあるが、雑誌協会と取次協会の内部での改善で変えられる余地は十分ある」とコメントした。
製本組合からは金子誉氏(共同製本社長)が「全体最適化の中での効率化をどう考えていくかが課題だ。まず生産性の向上を図り、その余力で輸送の効率化につなげていきたい。製本会社にも分野により得意、不得意があり、仲間の会社との仕事のシェアを認めていただきたい」と意見を述べた。
まとめにトラック協会の瀧澤部会長が「今日は思っていた以上に内容が深かった。この会合を無にすることなく、皆様のご協力をいただいて形にしていきたい」と述べて閉会し、懇親パーティーでさらに交流を図った。
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懇談会には総勢50名以上が出席した |
【印刷新報2023年11月16日付掲載】
その他掲載記事
・研文社 尼崎工場の取組み 第55回GP工場交流会
・東印工組・墨田支部 70周年を祝う
・新特練インキ事業を発表
T&K TOKA ビデオジェット・エックスライト
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2023年11月9日付
全印工連フォーラム
SFプロトタイピングで2050年の印刷業を展望
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全日本印刷工業組合連合会などが主催する「2023全日本印刷文化典広島大会」が10月13日・14日、広島市のリーガロイヤルホテル広島で開催された(10月26日付既報)。その2日目に行われた全印工連フォーラムでは、「未来はバックキャスティングで切り拓け〜事業家魂に火をつけるSFプロトタイピング経営戦略」と題し、2050年の未来から逆算して現在の経営戦略を立てる新たな手法の一端を紹介した。
開会にあたり、全印工連・産業戦略デザイン室の瀬田章弘委員長は、「本日は皆さんを30年後の未来にお連れする。30年後も人の知りたい、感動したい、伝えたいという思いは変わらないが、情報コミュニケーションやテクノロジーは大きく様変わりしている。一方、足下を見れば閉塞感が漂っているが、一番の課題は想像力をなくしていることだ。未来はわれわれが創るものであり、描いたことが次の未来になる。つまり想像しない未来はない。こういう会社にしたいと考えて、そこへ向かってわくわくした気持ちで経営することが大事になる。本日は『バックキャスティング』、『SFプロトタイピング』という手法でイマジネーションを働かせる時間にしたい」と主旨を述べた。
今回、産業戦略デザイン室ではSF映画のように自由で奇抜な発想で未来を創造することで現在に活かす「SFプロトタイピング」という手法を活用し、2050年の印刷業の姿を描いた小説『体験のインテグラル』を制作し、参加者に配付した。
その狙いについて、江森克治副委員長は「当初は新しい印刷産業のビジョンを作ろうとスタートした。しかし、現在は印刷物を商品として扱うことがわれわれに共通していることかもしれないが、数年後にはそれすらも共通項でなくなるかもしれない。そうした状況下で統一のビジョンを出すことに意味があるのかという議論になった。われわれに共通しているのは未来を見ることだ。ビジョンとはある未来に自社がどうなっているのか、何を成し遂げるかという宣言であり、そのビジョンのために未来を考えることは共通している。皆さん自身が未来を考え、自社のビジョンを作る助けになればと企画した」と説明した。
フォーラムでは、『体験のインテグラル』をプロの俳優が朗読。その内容は、かつて印刷・製本の町工場だった「星ら美」の後継者である主人公が、人体の動きや感覚をデータ化し他社へ伝達する技術を活用して書道の先生や宮大工の技法を誰でも体験共有(シェアリング)できるサービスの提供や、鉛筆内に保存された描写データから描かれた絵を復元するなど、新たな価値提供に奮闘する物語。その内容を基に、小説を執筆した吾奏伸氏、SFプロトタイピングの第一人者である藤本弘道氏(SHINJIGEN)のほか、産業戦略デザイン室の関野里美氏(セントラル印刷)、岩間奏子氏(北星印刷)、モデレータの今井孝治氏(今井印刷)が意見を交わし、未来から逆算して現在のかじ取りの方向性を定める「バックキャスティング」のメリットなどを語った。
エンジニア出身で、その経験を活かしたCM、アニメ制作、SF作家と幅広く活躍する吾奏氏は、SFプロトタイピングの利点として誰もに伝わりやすいことを挙げながら、「今の時点からアベイラブルな技術だけで将来について考えようとしてしまうのがエンジニアだが、それでは思い切った未来にはならない。パラダイムシフトを起こせることも大きい」と述べ、常識にとらわれない大胆な発想が可能になるメリットを紹介した。
また、吾奏氏と同じく大手家電メーカーのエンジニア出身の藤本氏は、「コロナ禍をきっかけに近未来が見えなくなってきているので、あえて遠い未来を見る。そこにイノベーションがある。SFプロトタイピングで未来を創造し、バックキャスティングで戻る。戻ってきたら今やるべき活動を再開し、未来に向かって進んでいく。重要なことは、目指している未来をブランディングすることだ」と述べるなど、先行きが不透明な時代だからこそ「ありたい未来の姿」を創造する重要性が語られた。
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左から今井氏、吾奏氏、藤本氏、関野氏、岩間氏 |
【印刷新報2023年11月9日付掲載】
その他掲載記事
・特集 軟包装・パッケージの今
・次期理事長候補者に瀬田章弘氏を推薦 東印工組
・ベトナム視察に成果 日本印刷産業機械工業会
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2023年10月26日付
日印産連・GP環境大賞等表彰式
「印刷と私」トークショーも併催
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日本印刷産業連合会は10月18日、2023GP環境大賞等表彰式と「印刷と私」トークショーを東京・市谷のDNP左内町ビル・ホールで開催した。グリーンプリンティング(GP)認定制度の2023年度GP環境大賞、GPマーク普及大賞、GP資機材環境大賞の受賞者を表彰するとともに、トークショーでは小山薫堂グリーンプリンティングPR大使と編集者の津田淳子氏(グラフィック社)が"印刷愛"について楽しい話題を繰り広げた。
■グリーンプリンティングが高める印刷の価値
表彰式では、初めに日印産連の堆誠一郎副会長が「GP認定制度はSDGsと連動しており、その達成に寄与する。地球環境を守るために、受賞された皆様には一層のご協力をお願いしたい」と開会あいさつを行い、表彰状の授与に移った。
GP認定制度を深く理解し積極的に活用している企業や団体に贈られるGP環境大賞は、大賞4者(あいおいニッセイ同和損害保険、東武鉄道、日本航空、あわしま堂)と準大賞8者、特別賞1者に贈られ、日本航空商品・サービス開発部の岩本正治部長が受賞者を代表して謝辞を述べた。
GPマーク普及大賞は、今年度から新設されたゴールドプライズ(※過去3回以上GPマーク普及大賞を受賞した印刷会社で継続的な実績が認められた企業に贈呈)がNTT印刷と六三印刷に、大賞が5者、準大賞が6者に贈られた。GP資機材環境大賞は、ウエノ(資材部門)と富士フイルム(機材部門)に贈られ、それぞれ六三印刷の島村信彦社長と富士フイルムグラフィックソリューションズの山田周一郎社長が代表謝辞を述べた。
日本航空の岩本部長は「飛行機を飛ばすためにたくさんの航空燃料を消費しているが、最近は家庭や飲食店から出る天ぷら油からサステナブルな燃料を作るなど、環境に配慮した取組みを行っている。紙に関しては、機内食メニューの一部を、GP認定を取得している印刷会社に頼んでいる。機内誌はほとんどFSC森林認証紙を使っているが、まだGPマークは付いていない。今回の受賞は、もっとしっかりやれということかと思う。宿題をいただいた気持ちだ」と述べた。
六三印刷の島村信彦社長は「GP認定制度ができた当初は、会社の差別化の武器になると、手段として捉えていたが、制度を知るにつれて考え方が変わった。ペーパーレスの信奉者のようなクライアントがGPマークを付けたことがきっかけで印刷物の価値を見直してくれたり、社員にも明らかに一体感が生まれた。今は純粋に、商売抜きでこの誇らしい制度を広げていきたいと考えている。皆さん、頑張っていきましょう」と呼びかけた。
また、富士フイルムグラフィックソリューションズの山田社長は、2018年に新設されたGP資機材環境大賞の第1回でも富士フイルムが資材部門で受賞したことに触れながら、「今回の機材部門では、当社が販売しているJetPressをフラッグシップとしたデジタル印刷機で資源ロスの削減などに貢献している。受賞を機に、富士フイルムグループはこれまで以上に、お客様とともに環境保全に取り組んでいく。ご期待いただきたい」と述べた。
終わりにあいさつしたグリーンプリンティングPR大使の小山薫堂氏は「今年は私のラジオ番組でGP認定制度について紹介したところ、大きな反響があった。一般の人たちも『印刷』を大事に思ってくれている。このGP環境大賞は、発注者と印刷会社、資機材を提供する会社の3つの立場を同時に表彰し、印刷を軸に環境のことを考える他にないすばらしい賞だ。大阪・関西万博で私が担当しているパビリオンのブランドブックにもぜひGPマークを付けたい」と話し、式を終了した。
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GP環境大賞と準大賞の受賞者。前列中央が小山薫堂氏、右隣が日印産連の堆副会長 |
■小山氏「期待以上の印刷に挑戦を」
表彰式の後に行われた「印刷と私」トークショーには、小山薫堂氏がパーソナリティを務めるラジオ番組のリスナーと津田淳子氏が編集長を務める『デザインのひきだし』の読者が抽選で招待され、受賞者とともにトークを楽しんだ。
初めに小山氏が、第50号の発行に至った『デザインのひきだし』を祝福し、大きな花束を贈呈。感激した津田氏から、同誌編集の舞台裏など、とっておきの話を引き出した。100社・176種類の印刷物の実物サンプルを収録した第50号「特集・現代日本の印刷加工大全」は厚さ10センチ、3,200円という値段にも関わらず、1万3,000部がわずか2日で完売したという。購買層はグラフィックデザイナーやブックデザイナーが中心だが、印刷好き・紙好きの個人や外国人にも人気がある。
「印刷オタクは日本に、世界にいっぱいいる。印刷を解っているデザイナーが増えることでも印刷物が豊かになる。印刷会社は、多く受注するだけでなく、期待以上のものに挑戦することが大事ですね」と小山氏。
「津田さんにとって、印刷とは?」と尋ねられ、「いまだに知らないことばかりで、新しい出合いがある。一番興味が尽きないテーマです」と答えた津田氏は、「印刷会社の皆さんは『うちは普通の会社です』、『他といっしょです』とよく言われるが、独自の強みが絶対にあるはず。それをもっと表に出してもらいたい」と要望した。
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一般来場者も迎えたトークショー |
【印刷新報2023年10月26日付掲載】
その他掲載記事
・5年ぶりの文化典に580名が集う
2023全日本印刷文化典 広島大会
・港北メディアサービス府中工場で見学会
・JAPAN PACK 2023に3万6,000人
社会のニーズ満たす製品に注目
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2023年10月19日付
日印産連、下請適正取引推進へ
「自主行動計画徹底プラン」策定
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日本印刷産業連合会は、昨年3月に策定、公表した印刷業界の「下請適正取引の推進に向けた自主行動計画」の改訂版を10月4日にホームページで公表した。併せて、自主行動計画に記載した事項の一層の徹底、遵守の強化を図るため「自主行動計画の徹底プラン」を策定し、会員10団体それぞれに所属企業各社への周知を依頼した。
■実施状況の定期的な調査も実施
日印産連が2022年3月に策定した「下請適正取引の推進に向けた自主行動計画」は、経済産業省に提出され、同年3月20日には中小企業庁ホームページに他18業種の自主行動計画とともに公表された。
日印産連は、同年11月にフォローアップ調査を行い、この結果を中小企業政策審議会の「取引問題小委員会」で報告した。中小企業庁下請Gメンによる中小下請会社へのヒアリング調査も行われ、業種ごとの取引上の課題と改善指摘があった。
こうした経緯を踏まえ、経済産業省・中小企業庁は各業界団体に対して、これまでの調査で指摘され、記載がない事項を「自主行動計画」に追加することを要請した。また、「自主行動計画」に記載されているが、その取組みが不十分、遵守が徹底されていない事項が確認されたため、自主行動計画での記載事項のさらなる徹底、遵守の強化を図るため「自主行動計画の徹底プラン」の策定を求めた。印刷業界においては、「取引対価」や「支払条件」などが、記載があるものの、不十分な事項として指摘された。
日印産連は昨年度、取引改善検討委員会を設置。諸資材価格の高騰、下請法の運用強化などを踏まえ、取引上の検討課題を「印刷業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」に反映するための協議を行ってきた。
そして、10月4日に同連合会ホームページで「自主行動計画」の改訂版と「自主行動計画の徹底プラン」を公表するとともに、会員10団体に対し、各団体に所属する企業各社において、代表者以下、調達部門を中心に社内一丸となり、自主行動計画の徹底に取り組むよう依頼した。
また、徹底プランではその遂行に向け、各社とも調達部門のみならず社内隅々と、取引先に対しても周知を行うこととしている。
さらに、日印産連内に「取引改善推進プロジェクト」を設置し、各事項の実施状況について定期的な調査を実施。結果を踏まえて、自主行動計画および徹底プランの見直しにも取り組んでいく。
「自主行動計画の徹底プラン」では、取引対価・価格交渉、短納期発注、支払条件、検査基準、型取引の各項目について、中小企業庁からの指摘事項および対応方針・改善方針(各社において絶対に実施しない事項/各社において可能な限り実施する事項)を記載している。
【印刷新報2023年10月19日付掲載】
その他掲載記事
・全製工連・第60回記念全国大会 大阪に200名が集う
・東京平版印刷資材同業会60周年記念座談会
・短期集中連載 最終回 中小企業のためのM&A講座
(株)M&A総合研究所
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2023年10月5日付
TOPPANグループ
新経営体制へ移行
新商号で世界統一ブランドに
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TOPPANグループは、グループのシナジー最大化とガバナンス強化の実現に向け、2023年10月1日付で持株会社体制に移行した。
これに伴い、旧凸版印刷株式会社は商号を「TOPPANホールディングス株式会社」に変更した。また、分割準備会社として今年3月1日に設立した完全子会社のTOPPAN株式会社およびTOPPANデジタル株式会社に対する吸収分割が10月1日を効力発生日として行われた。
6月29日に開催した第177回定時株主総会において定款の一部変更(商号・事業目的の変更)に係る議案が承認可決されていた。
新商号は、凸版(トッパン)の名称は継承しつつ、グローバル企業として全世界で統一したブランドとして使用していくことを意図し、英字で「TOPPAN」と表記した。また、今後さらなる事業ポートフォリオ変革を推進していく意思を込めて、既存の事業領域を規定する「印刷」を含めない商号とした。
新経営体制では、グループ経営管理事業を行う持株会社のTOPPANホールディングス株式会社(麿秀晴代表取締役社長)の下に、TOPPAN株式会社(齊藤昌典代表取締役社長)、TOPPANエッジ株式会社(添田秀樹代表取締役社長、※2023年4月1日発足)、TOPPANデジタル株式会社(坂井和則代表取締役社長)の3社が事業会社となる。
TOPPANホールディングスは、グループ全体最適の視点から事業会社を一体的に運営する。
TOPPANは、旧凸版印刷の主要部門(情報系/生活系/エレクトロニクス系事業)を承継。
TOPPANエッジは、セキュア/BPO事業等を核に情報系の事業ポートフォリオ変革を牽引。
TOPPANデジタルは、DX事業開発/IT基盤構築などグループ全体のDX事業戦略を推進する。
今年5月に発表したグループの中期経営計画(2023年4月〜2026年3月)では、「DX(Digital Transformation)」と「SX(Sustainable Transformation)」によって、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとして、経済的価値と社会的価値の両方の価値創出を行い、企業価値最大化に向けた取組みを加速させていくことを基本方針とした。
経営数値目標としては、2023年3月期(実績)の売上高1兆6,388億3,300万円、営業利益766億3,600万円、ROE4.5%に対して、2026年3月期に売上高1兆8,100億円、営業利益1,100億円、ROE5.0%を達成する計画を掲げた。
【印刷新報2023年10月5日付掲載】
その他掲載記事
・特集 全日本印刷文化典 広島大会
・第56回 造本装幀コンクール 出版の可能性に期待
・光沢化工紙全国大会 ポストコロナに向けて結束
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2023年9月28日付
セントラルプロフィックス
「印刷屋の職人」「高品質印刷アイテム」前面に
オンラインショップ開設
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セントラルプロフィックス(田畠義之社長、本社・東京都中央区)は、オンラインショップ「ARTIEE(アーティー)」(https://artiee.shop/)をオープンした。印刷・特殊加工技術を活かした雑貨やオーダーメイド製作の印刷サービスなど、「印刷屋の職人たちが作る高品質印刷アイテム」を提供する。
商品・サービスを見ると、「アートなしおり」は、文庫本に収まるサイズで、ベーコンレタストマトをリアルにかたどったしおりは、本を食パンに見立ててページにはさむ。チョコバナナ、フルーツサンドなどもある。
「アートなコースター」は、少しマニアックで珍しいフルーツや花などをかたどったコースター。高精細のレーザーカットとプロッターカットを駆使してフリーカットする。上質な紙製で吸水性に優れる。
「リアルな撮影背景パネル」は、本物と見紛うリアルな印刷の撮影台紙。マットな質感のパネルで反射しにくいので、落ち着いた高級感のある写真が撮れる。A2サイズのスチレンボード製。
「デジタル油絵」は、手持ちの写真画像を送信すると油絵調になって届く、オーダーメイド製作の印刷サービス。画像を油絵調にデジタル処理し、油絵の筆のタッチに再現させてキャンバスに直接印刷する。「うちCafeパネル」も、手持ちの画像を送信すると木製パネルになって届く、オーダーメイド製作の印刷サービス。画像を淡いテイストで木製パネルに直接印刷する。
オンラインショップ名の「ARTIEE」には、「ART=印刷技術を芸術の域まで高めたいプロ意識や職人魂」と、そうやって作られたアイテムを、暮らしを彩る日常品として「IEE=買いやすい価格で気楽に取り入れて楽しんでもらいたい」という作り手側の想いを込めた。
同社は、自動車メーカー、テーマパーク、化粧品メーカー、有名ブランドなどの交通媒体・店頭ポスター・商品カタログ関連など、非常に難易度の高い色再現の印刷・製版業務を手がけている。「一般のお客様にも、素敵な紙や、職人たちによる丁寧な印刷や、珍しい特殊加工が織りなす印刷の世界の魅力を存分に楽しんでもらいたい」とコメントしている。
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ベーコンレタスバーガーのしおり |
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フルーツのコースター |
【印刷新報2023年9月28日付掲載】
その他掲載記事
・2023年印刷の月・印刷文化典に390名
未来見据えて印刷を再定義
・特別企画 JAPAN PACK 2023
・第26回日本自費出版文化賞
大賞に『墨に五彩あり―墨の不思議な魅力』
(京阪奈情報教育出版/共同プリント)
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2023年9月14日付
三郷コンピュータHD
二次元コードの偽造防止で特許
マイクロ文字で世界も視野に
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三郷コンピュータホールディングス(福田學会長、中野雄大社長、本社・東京都台東区)は、マイクロ文字を使った二次元コード等の偽造を防ぐ印刷技術を開発し、このほど特許を取得した。コードリーダーでは読み取れない微細なマイクロ文字と罫線を二次元コード周囲の余白に印刷することで真贋を容易に判別できるもので、新たな偽造防止印刷として注目される。バーコードもバーの中にマイクロ文字を仕組んで判別できるようにした。福田会長は「消費者を脅かす偽造品や不正品が増加している中、日本国内だけでなく、世界にマイクロ文字によるセキュリティ技術を普及させたい」と話す。
近年、商品パッケージや広告などでよく目にするQRコードなどの二次元コードはその便利さから幅広く利用が進んでいる反面、コードの改ざんや偽造が問題となっている。
偽造されたコードでは本来正しい情報が入っているURLなどを書き換え、利用者をフィッシングサイトなどの不正サイトに誘導。利用者の中には不正サイトと気付かずに個人情報を入力したり、送金を行ったりと詐欺の被害に遭う危険がある。
今回、同社が取得した特許の名称は「リーダーで読み取り可能な識別子が印刷されたコード」(特許第7320309号、登録日7月26日)。
正方形の内部に白黒で表示された二次元コードなどは、コード自体を見ただけでは、本物か偽物かを判別できない。
特許技術では、二次元コードのクワイエットゾーン(コード周囲の余白)にコードリーダーでは認識しないマイクロ文字と罫線を配置することで、コードの真贋を確認できる。漢字、平仮名、数字、アルファベットなどのマイクロ文字は0.7ポイント(0.25o)から0.6ポイント(0.21o)、または0.5ポイント(0.18o)と極めて小さいためコードリーダーは認識せず、リーダーが問題なくコードを読み取ることができるというものだ。
さらに近年、国内外で商標や著作権を侵害する偽造品や模造品も増えており、不正な商品が後を絶たない。今回の特許では、コードの真贋に加えて、商品自体の偽造防止にもなる。
同社では、以前からマイクロ文字の特性を活かした商品などの偽造防止を提案してきた。
たとえば、商品のラベルに、6ポイントから0.6、0.5ポイントのマイクロ文字までポイント数を段々と落として表示する方法や、マイクロサイズの網点による平網をかけ、そこに8ポイント以上の肉眼でも見える大きな白抜き文字で会社名や商品名などを表示する方法などがある。
マイクロ文字は肉眼では文字を判読できないが、この平網と白抜き文字ならば文字を視認できる。加えてコードリーダーで認識されないことから、「この印刷と二次元コードを組み合わせることで、利用者自身が文字を読めて真贋を容易に見分けられ、より高度なセキュリティ印刷が実現できる。特許の実施についてはいろいろな方向から十分に精査した上で、マイクロ文字、罫線+平網の白抜き文字の偽造防止印刷を広めたい」と福田会長は話す。
三郷コンピュータグループでは、45年以上にわたって凸版印刷を追求し、マイクロ文字や1,810インチ(約46m)の印刷実績を持つ超長尺印刷など、他社が決してまねができないレベルの技術やノウハウを磨いてきた。今回の識別子コードの印刷は、メーカーとともに独自開発したロータリープレス式印刷機械で行われる。従来の凸版印刷機や、インクジェットプリンター等のデジタル印刷機では文字などが潰れてしまい、印刷できない。
福田会長は「他でまねができないマイクロ文字印刷は、それだけで完全な偽造防止になる。国内市場に限らず、世界に目を向ければ80億人以上が存在する。その中のごく一部、仮に1000分の1でも800万人の市場がある。マイクロ文字による偽造防止印刷のニーズは必ずあると信じており、世界を視野に挑戦していきたい」と話し、現在、優先権を確保して海外での特許取得の準備を進めている。
今回のマイクロ文字を活用した新たな偽造防止印刷技術は、多くの産業をクライアントに持つ印刷産業として、商品価値やブランドを守ることが印刷物で可能になるという提案ができるものだ。世界中で偽造防止のニーズは高まる一方であり、そのニーズに対して一石を投じ、偽造防止の新たな標準を確立する可能性を秘めている。今後の展開が注目される。
問合せ先 三郷コンピュータホールディングス
電話 03-5688-8181、FAX03-3839-8410
担当・太田圭司氏
【印刷新報2023年9月14日付掲載】
その他掲載記事
・特集 全日本光沢化工紙協同組合連合会 全国大会
・こども未来教育協議会 設立 凸版印刷など6社
・短期集中連載 第4回 中小企業のためのM&A講座
(株)M&A総合研究所
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2023年9月7日付
奥村印刷
折紙食器「beak」をアピール
首都圏防災フェアで
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関東大震災から今年9月1日で100年になるのを前に、首都圏防災フェア2023が8月23日・24日に東京・丸の内南口のJPタワー・KITTE内にある東京シティアイ パフォーマンスゾーンで開かれた。フェアには奥村印刷(奥村文泰社長、本社・東京都北区)が出展し、同社が開発・製造する防災備蓄用の折り紙食器「beak(ビーク)」を紹介した。
フェアでは、防災に取り組む企業・団体などが出展したほか、出展者を交えた基調講演・トークセッションが行われ、首都直下地震が都内を襲った時のリスクや備えについて理解を深めた。
初日のトークセッション「首都圏で防災・減災対策 『モノ』『コト』 防災アイテムの紹介」には、パネリストとして奥村印刷の山田秀生常務執行役員が登壇し、「beak」の開発の経緯やメリットなどを紹介した。
「beak」は、A4サイズの紙からカップ、皿、丼の型を切り離し、折り紙のように簡単に組み立てられる食器。山田常務は「従来の紙食器は立体的でかさばり、保管の際は場所を取っていた。しかし、beakは平たいA4用紙のまま保管できるため、たとえば1,000枚分でも積み上げた高さは約45pと省スペース。被災地に大量輸送する際にも便利だ」と話した。
また、災害時に危険な場所や避難所を示す「ハザードマップ」について、「beakはA4サイズの紙のため、そこにハザードマップを印刷することもでき、デジタル印刷で自治体やエリアごとなどに可変印刷した詳細な情報発信もできる」と説明した。
最後に、「当社は社会貢献や地域貢献を考え、折り紙食器を考案した。王子本社内にクリーンルームを設け、新たにデジタル印刷機と打抜を導入し、1日で最大8,000枚を製造できるラインを設けた。都内だけでなく全国に広げ、一人でも多くの人に役立つようなものづくりを続けていきたい」と抱負を語った。
奥村印刷のブースでは、beakの組立てを多くの来場者が体感した。
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出展ブースでは多くの来場者が「beak」の組立てを体感 |
【印刷新報2023年9月7日付掲載】
その他掲載記事
・特集 「9月印刷の月」
・9月印刷の月・印刷文化典 協賛特別講演
生成AI需要をビジネスに
・短期集中連載 第3回 中小企業のためのM&A講座
(株)M&A総合研究所
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2023年8月31日付
新聞、出版関連など4団体
生成AIに関する共同声明
「著作権保護の検討不十分」
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日本新聞協会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本写真著作権協会の4団体は8月17日、生成AIに関する共同声明を出した。声明では「生成AIと著作権の保護に関する検討が不十分な現状を大いに危惧している」とし、権利者団体と関係当局の意見交換を求めている。今後、生成AIと著作権に関する議論が高まりそうだ。
生成AIは、学習のためにインターネット上の大量データを、著作権者の同意を得ずに収集し、著作権料を支払わず利用されるケースが多い。
声明では、日本の著作権法第30条の4に触れて、「諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られていることが大きな課題」と指摘。同条のただし書きでは、著作権者の利益を不当に害する場合は学習利用できないとされているものの、その解釈は明確ではなく、海賊版の学習利用も禁止されていない点を示し、「権利を侵害するコンテンツが大量に流通する恐れがあるにもかかわらず著作権者に対する実効的な救済策は何ら示されていない」と訴えた。
そのうえで、文化の発展を阻害するリスクとして、「学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる」「海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる」「元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される。AI利用者自身が意図せず権利侵害という違法行為を行う可能性がある」を挙げた。
さらに、2018年の著作権法の改正で追加された同法第30条の4は、「生成AIのような高度なAIの負の影響は十分に想定されていたわけではない」としたうえで、解釈を明確にし、法改正の是非を見極める必要性を指摘。「生成AIが文化の発展を阻害しないよう、技術の進化に合わせた著作権保護策があらためて検討されるべき」と訴えた。
日本新聞協会では5月17日に見解を発表し、著作権、個人情報等に関する懸念を表明した。これに続き、関係団体による共同声明発出の是非に関して、同協会から著作権団体、出版関係団体に呼びかけを行い、6月19日に意見交換会を実施。議論を基にして各団体で共同声明を検討してきた。
【印刷新報2023年8月31日付掲載】
その他掲載記事
・HOPE2023 攻めのDXで「印刷創注」
・BCPに対する企業の意識調査 想定リスクは「自然災害」最多
・短期集中連載 第2回 中小企業のためのM&A講座
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2023年8月24日付
情報通信メディアの利用動向調査
平均利用時間、休日も「ネット」が「テレビ」上回る
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総務省情報通信政策研究所は今年6月、「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」報告書を公表した。調査からは、全年代の平均で「インターネット」の利用時間が「テレビ」を上回るとともに、10代と20代では日常的にニュースを得ているメディアとして「ソーシャルメディア」が最も多いことなどが明らかになった。
■情報源の重要度、10代で「テレビ」がトップ
「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」は、2012年から毎年実施しており、11回目の今回は2022年11月に実施した。対象者は全国125地点で住民基本台帳から抽出した、13歳〜69歳の男女1500人。
メディアの平均利用時間は、全年代では、平日・休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」および「インターネット利用」が長い傾向が継続。休日の「インターネット利用」の平均利用時間が「テレビ(リアルタイム)視聴」を全年代で初めて超過した(平日は3年連続で超過)。
「インターネット利用」の平均利用時間は、各年代では平日は30代を除き減少または横ばい。「テレビ(リアルタイム)視聴」は、年代が上がるとともに平均利用時間が長く、60代は平日・休日ともに200分を大きく超過した。
目的別の利用メディアの動向は次のとおり。
・いち早く世の中のできごとや動きを知る
10代〜50代では「インターネット」、60代では「テレビ」を最も利用。
・世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る
20代を除き各年代で「テレビ」を最も利用。「新聞」は、年代が上がるとともに利用する割合が高くなる傾向にあり、60代では「インターネット」を上回る水準。
・趣味や娯楽に関する情報を得る
各年代で「インターネット」を最も利用しており、10代〜30代では90%前後。
メディアの重要度、信頼度については次の結果となった。
・情報源としての重要度
20代〜40代は「インターネット」が最も高く、10代、50代および60代は「テレビ」が最も高い。
・メディアとしての信頼度
40代〜60代では「新聞」が最も高く、10代〜30代は「テレビ」が最も高い。
・娯楽としての重要度
10代〜40代は「インターネット」が最も高く、50代および60代は「テレビ」が最も高い。
インターネットの利用項目別の動向は、全年代で、「動画投稿・共有サービスを見る」が、平日は51.0分、休日は74.1分と最も長い。
年代別にみると、休日の10代および20代の「動画投稿・共有サービスを見る」、「ソーシャルメディアを見る・書く」の平均利用時間が長く、いずれも100分を超過している。
コミュニケーション系メディアの比較では、全年代における平均利用時間は、平日・休日ともに「ソーシャルメディア利用」および「メール利用」が長い傾向にある。
特に、10代、20代の「ソーシャルメディア利用」の率が高くなっている。40代〜60代では、行為者率、平均利用時間ともに、「メール利用」が 「ソーシャルメディア利用」を上回るがその差は縮小。
「スマートフォン」の利用率は、全年代では、95.3%から97.1%に増加し、ほぼ100%となっている。スマートフォンの利用率は、各年代で90%を超過した。
主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率では、全年代で「LINE」の利用率が一貫して増加し、90%を超過。年代別でも、10代〜50代で90%を超過。
「Twitter」は全年代では横ばいだが、20代では78.8%と高い利用率。「Facebook」の利用率は、全年代で減少。「Instagram」の利用率は、全年代で一貫して増加しており、「LINE」に次ぐ利用率。
動画共有系では「YouTube」の利用率が高く、10代〜30代で90%を超過。「TikTok」は10代で60%を超過している。
【印刷新報2023年8月24日付掲載】
その他掲載記事
・伝えるためのユニバーサルデザインフェア
1,250名が来場、MUDの意義を周知
・上製本をインテリアに 池袋のデパートで販売 新里製本
・短期集中連載 第1回 中小企業のためのM&A講座
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2023年8月10日付
東洋美術印刷、実写VRの最新情報を提供
有効な顧客接点に企業が注目
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東洋美術印刷(山本久喜社長、本社・東京都千代田区)は、7月21日に無料オンラインセミナー「WEBショールームで365日集客を実現する実写VR」を開催した。デジタルマーケティング推進部の石井陽太プロダクションマネージャーが講師を務め、コストを抑えたVR(仮想現実)を実現する「実写VR」の概要と活用メリットを説明、事例の紹介も行った。
同社は印刷技術をベースとしたコミュニケーションサポート事業に取り組んでおり、2012年より3DCG制作も開始した。その背景には、販促物に使用する商品撮影を行う中で、撮影コストの問題等で悩む顧客からの相談があった。
3DCGでの表現力を追求してきた結果、現在では、カメラマンや画像調整のプロが3DCGを作製することにより、フォトリアルな3DCGを提供し、高い評価を得ている。
また、2022年には実写で撮影した空間をVR化する「VR360」を提供するハートコア(東京都品川区)との協業を開始。撮影した空間をオンライン上で自由に歩き回ることができる「VR360」と3DCGを連携させた。リアルな空間の中にオブジェクト配置を実現したことで、より視覚的・直感的な顧客体験の創出が可能になるとともに、コスト面でも顧客の要望に応えやすくなった。
セミナーの初めに石井氏は、メタバースとXR(クロスリアリティ:VR・AR・MR)が混同されるケースが多いことを指摘し、「メタバースは仮想空間上で自身がアバターを用いて参加し、他者とコミュニケーションするものだが、その体験を実現する技術としてXRがある。VRを制作することが必ずしもメタバースとなるわけではない」と説明した。
また、新型コロナウイルスの感染対策でオンラインでの会議や外部との打合せ等が定着したことで、エンターテインメント分野だけでなく、企業のオンライン活用のハードルが低くなり、併せてVR市場も今後の伸びが見込まれるという。
「コロナ禍においてはリアルの代替手段としてオンライン化が進んだが、アフターコロナでは状況に応じたリアルとオンラインの使い分けが必要となる。バーチャルと組み合わせたハイブリッドな顧客体験の提供に企業も着目し、力を入れている。その有効な施策の一つにVRがある」(石井氏)
その上で、「VR360」の主な特長として、4Kでの高画質表現/スマートフォンやPCで簡単に3D空間を表示/予約リンクや施設案内動画など各種カスタマイズ機能を設置可能―の3つを挙げた。
事例紹介では、自社の埼玉県の印刷工場の設備・工程案内のほか、博物館でのリアル体験、企業における商談用のショールーム案内やリクルート向けオフィス案内など、実際の実写VRを見せながら説明した。
石井氏は実写VRの活用メリットについて、「リアルとオンラインをつなぐ施策として実写VRはとても有効。潜在顧客に対して365日、昼夜を問わず施設やイベントの体験・集客ができる。営業ツールとして、また視聴のログも取れるためデジタルマーケティングにも活用できる」とまとめた。
東洋美術印刷では、実写VRシステムの販売パートナーの募集も行っている。
【印刷新報2023年8月10日付掲載】
その他掲載記事
・第21回印刷産業環境優良工場表彰
経産大臣賞に研文社・尼崎工場
・日印産連表彰 36氏・団体が受賞
・IGAS2022のメインエントランスのデザインが
国際デザインコンペでゴールド賞獲得
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2023年7月27日付
ミヤコシ シリーズセミナー第2回
「軟包装の未来」を読み解く
interpack2023報告
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ミヤコシ(宮腰亨社長、千葉県習志野市)は6月21日、講師に住本充弘氏(技術士、住本技術士事務所所長)を迎え、「軟包装の未来」をテーマに、シリーズセミナー「MIYAKOSHI DAY」の第2回をオンラインで開催した。
セミナーの開催にあたり、司会を務めたミヤコシの亀井雅彦取締役は「パッケージの目的は、『守る』『運ぶ』『売る』ことだった。しかし、今回のinterpack2023では、新しい目的が追加されたと感じている。新たな第4の目的、『巡る』だ。『巡る』では『3R』、つまり『リデュース』『リユース』『リサイクル』が目的となっている。パッケージは設計から『巡る』ことを前提として作らなければならない。『巡る』はすでに先の3つと同列だと感じる」と述べた。
講演では住本氏が、interpack2023の展示から今後の軟包装のポイントについて次のように解説した。
「欧州では、循環型パッケージの促進のため、特にフィルム関係では、現在の回収ストリームが利用できるモノマテリアル仕様の延伸PEフィルム、二軸延伸HDPE・OPPにバリア性を付与するために、 SiOx蒸着、 AlOx蒸着より進んだアルミ蒸着、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)利用のCO‐Exフィルム、バリア性コーティング技術が組み合わされている。また、一次包装での紙の活用も、バリア性、耐油脂性、HS(ヒートシール)性、現在の回収ストリームが利用できる古紙再生がポイントとなり、一部採用が始まっている。デジタル印刷は、世界的な小ロット包装対応におけるモノマテリアル化の動きなどと連動して、徐々に普及している」
「リサイクル性については今回初めて、 第三者認証機関が出展した。欧州市場でのリサイクルプラスチック配合の義務化および、第三者認証の義務化実施への対応が現実のものとなってきている。包装製品のサプライチェーン全体を通して追跡できるシステム構築が検討されており、ブロックチェーンやその他の方法で包材面のQRコード読み取りを利用するなど対応が進んでいる」
そして、「このような動きを受けて、日本の包装はどのように動くべきか、十分な検討が必要だ。もはや1社だけでの対応には限界があり、業界あるいは国、消費者との連携も必要になる」と指摘した。
住本氏の講演の後は、ミヤコシ企画開発本部企画部の中村正道課長が、interpack2023の報告を行った。
中村課長は「海外の大手コンバータが出展せず、トルコのコンバータの出展が目立った」「素材メーカー・機械装置メーカーが連携してサンプルやデータで訴求し、QRコードを活用していた」「『SDGs』より、『サーキュラーエコノミー』という表現が目を引いた」と報告。
そして、「マテリアルが変化していく中で、印刷機やコンバーティングも順応していかなければならない。乾燥方式、接着剤の変化への対応、ブランドオーナーへの柔軟な対応も求められる。ミヤコシでは、今後、油性グラビアが置き換わるとすると徐々に水性フレキソを中心に移行していくと考えている。また、極小ロットは、当社のMJP30AXFのような水性インクジェットに移行し、インクジェットは徐々に幅を広げていくのではないか。注目しているのはEBオフセット印刷で、EB乾燥システムについては、当社も今後、調査・検討していく。JAPANPACK、drupaでの情報発信に期待していただきたい」と述べた。
【印刷新報2023年7月27日付掲載】
その他掲載記事
・原宿で「大喜利印刷店(展)」開催 全印工連
・レンゴー、水性フレキソ事業を再編 子会社の朋和産業に一元化
・SOPTECとうほく2023 6,250人が来場、活気戻る
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2023年7月13日付
高度な色補正技術の継承へ
墨田区と千葉大学がAI活用
印刷会社2社が共同研究に参画
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東京都墨田区(山本亨区長)、国立大学法人千葉大学(中山俊憲学長、本部・千葉市稲毛区)、サンコー(有薗悦克社長、東京都墨田区)、日光プロセス(原田一徳社長、東京都墨田区)は、印刷職人による色補正技術をAIに学習させる研究開発を通じて、中小製造業におけるAI活用に向けた課題・対策についての研究を進めている。
7月10日には日本印刷学会において、これまで4者が共同で行ってきたAI活用に関する調査・研究の成果について千葉大学が発表した。
■区内中小製造業の支援を目的に
墨田区には高度な職人技術を有した印刷業や金属加工業などの中小製造業が集積しているが、高齢化や人員不足、市場環境の変化などの課題を抱えている。そのため、AIをはじめとする先端技術を活用した課題解決が求められているが、事業者にそのノウハウやリソース(経営資源)が不足しており、十分に進んでいない状況にある。
墨田区では、印刷物の色補正に対して高度な技術を持つ印刷・製版会社2社と千葉大学との橋渡しを行い、共同研究を実施することで、区内の事業者がAI技術を活用した新たな製品・サービスの開発や、生産性の向上、技術承継等を進めるための課題を洗い出し、必要な支援のあり方などを明らかにすることを目指している。
また、サンコーでは、画像処理のノウハウ継承に関して次のようなコメントを発表している。
「この研究が始まったきっかけは、印刷会社共通の課題である画像処理の技術伝承だ。デジタル画像のRGBから印刷用のCMYKへ画像を変換すると、色域が狭まり、色が濁ってしまう。それを職人の技術によってデータを補正し美しい印刷物を作ってきた。
画像処理ソフトを使ったデジタルな職人技とも言えるこの技術は、印刷業界がフィルムからデジタルへ移行した時期を経験した50代の職人が突出した技術を持っており、デジタルネイティブの次世代への技術承継の難しさは業界全体での課題となっている。
今回の研究を通じて、これまで長い時間をかけて培ってきた職人の画像処理のノウハウを次世代に引き継いでいくことを目指す」
◇
墨田区と千葉大学は、2017年3月22日に包括的連携協定を締結した。さらに、2021年4月1日には、千葉大学墨田サテライトキャンパスが墨田区文花1丁目に開設された。
同キャンパスは、技術開発支援やものづくり研究など、地元企業の経営・技術支援の拠点であった「すみだ中小企業センター」を改修し、その施設を千葉大学が賃借する形を採っている。
墨田区と千葉大学は、区内をフィールドとして、産業・教育・環境など、さまざまな地域課題解決に向けた共同研究に取り組んでいる。
このたびの印刷・製版会社2社との共同研究には、中小製造業の集積地域における産業振興や、大学と中小企業による研究体制のあり方など、産学官連携の今後のモデルケースに向けた試行テーマを含んでいる。
【印刷新報2023年7月13日付掲載】
その他掲載記事
暑中特集号
・若手印刷人インタビュー
緑友会 澤田健会長/印青連 吉田智博会長
・印刷ビジネスのあり方を問う
ジャグラ文化典討論会より
・SDGs時代の高付加価値な紙製品開発
日本封筒フォーラム2023より
・成長を続けるためのマネジメント術
ヒノキヤグループ・近藤昭社長に聞く
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2023年7月6日付
大日本印刷
自治体向けにメタバースの
パッケージサービスを提供
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大日本印刷(北島義斉社長)は、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用して、全国の自治体が課題として抱える「地域の魅力発信」「産業振興の促進」「相談業務の支援」「地域コミュニティの活性化」に寄与するパッケージサービスの提供を開始する。
同社はこれまで、自治体と連携して「渋谷区立宮下公園Powered by PARALLEL SITE」や「札幌市公認PARALLEL SAPPORO KITA3JO」、「バーチャル秋葉原」、「デジタルモール嬉野」など多様なメタバースを構築してきた実績があり、自治体等がメタバースを本格導入する前の実証実験の企画設計から空間の構築、本格的な運用まで、ワンストップで支援する。
パッケージサービスの価格(税抜)は、初期費用200万円〜、月額利用料30万円〜。
サービスの内容は、地域の観光資源をより深く知ることができる謎解きイベントや地域の歴史・文化をテーマとした生涯学習など多様な企画の支援、地域の商品・サービスの販売や催事・イベントの開催支援、小中学生を対象にした地元企業の職場体験機会の提供、暮らしや子育てなどの相談業務の支援、地域の住民や関係者を集めた交流促進など。メタバースならではのインタラクティブ性やセキュリティ性、場所や時間等の制約の少なさなどを活かしたサービスとなっている。
なお、同サービスは6月28日〜30日に東京ビッグサイトで開催された第3回スマートシティ推進EXPOの大日本印刷ブースで紹介した。
■ブルボン×柏崎市の魅力を発信
大日本印刷が開発を支援しているブルボンの「ブルボンメタバース」が6月29日にリニューアルオープンした。「お菓子が持つ楽しさ」と、ブルボン本社がある「新潟県柏崎市の魅力」を一体化した新たなコミュニティとなっている。仮想の本社ビル屋上で、柏崎市の高精細360度パノラマの風景に、地元の店舗や施設を体験できる機能を追加した。
【印刷新報2023年7月6日付掲載】
その他掲載記事
・シール・ラベル特集
・SOPTECとうほく2023 開催
・旅する製本展が盛況 渋谷文泉閣
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2023年6月22日付
全印工連、2050ビジョンを今秋発表
未来へのビジネスプラン示す
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全日本印刷工業組合連合会の産業戦略デザイン室(瀬田章弘委員長)は、令和5年度第1回委員会を6月6日に日本印刷会館で開催した。
スーパーバイザーの滝澤光正全印工連会長は開会あいさつで、「コロナ前に戻ることは現実的にあり得ず、従来型の印刷需要は減少する一方だ。自ら価値を生み出していかなければ残れない。私の任期も残り1年、集大成の年度となる。5年ぶりに開かれる広島での印刷文化典の2日目のフォーラムでは2050年のビジョンの発表を行う。総力を上げてすばらしい発表にしてほしい。また、8月18日から20日まで東京でMUDフェアを開催する。全印工連は20年以上にわたりMUD(メディア・ユニバーサルデザイン)の普及に取り組んできたが、初めての対外的な発信となる。ぜひ委員の皆さんも参加してほしい」と述べた。
今年度の産業戦略デザイン室では、超長期の産業戦略として2050ビジョンを策定し、発信するほか、DXによる価値創出の戦略を推進する。また、業界外に対する組合の魅力の発信と組合員相互の活性化を目指し、対外・対内広報戦略の立案と推進を行う。各県工組活性化のための施策提言も行う。
2050ビジョン策定事業では、今年2月から3月にかけてSFプロトタイピングワークショップを5回開催。4月にはファシリテーターの吾奏伸氏(あそう・しん、映像作家・プロデューサー)と部会メンバーでミーティングを行った。
今後の計画は、ワークショップでの結果を踏まえ、吾奏氏に印刷業の未来の姿を盛り込んだ小説の執筆を依頼する。部会メンバーによる確認作業を経て9月頃に完成の予定。広島での10月14日の全印工連フォーラムにおいて、小説をベースにした印刷の未来についてのトークセッションと、小説の発表を行う。
ワークショップで取り入れたSFプロトタイピングは、サイエンス・フィクションのように、まだ実現していない未来を発想し、仮説に基づいて実現の可能性を探りながらプロトタイプを作っていく手法。今回は部会メンバーが2050年の印刷業界の姿を予測しながら、ビジネスプランを大胆に描いた。
瀬田委員長から「これまでの印刷文化典とはかなり違ったテーマを発信することになる。どう伝えていけばいいか」と問いかけがあり、委員の一人は「単に未来予想図を紹介するだけでなく、だれが、どうやれば、われわれのビジネスモデルとなっていくのか、具体的に示すことが大事だ」と提案した。
対外広報では、CMYKプロジェクト大喜利印刷第3期(組合員企業3社参加)が作品の完成に至っており、7月14日〜16日に東京・原宿デザインフェスタギャラリーで作品を公開する。ネットメディア等を使い告知を行う。
対内広報については、広報誌「日本の印刷」のリニューアル、全印工連オフィシャルWebサイトの再構築に向けて広報改革プロジェクトチーム(青木允リーダー)が準備を行い、2024年度に三役直轄の広報専門委員会を発足させる予定。
3月4日に大阪で第1回を立ち上げた経営者のためのケースメソッド研修は、今年度も東京もしくは大阪で2日制により開催する。架空の印刷会社のプロファイリングから数字に基づく事業計画づくりを行い、参加者同士で評価しあう実践的な研修となる。
【印刷新報2023年6月22日付掲載】
その他掲載記事
・ジャグラ文化典高知大会 385名が集う
・新たなグランドデザイン策定へ 日印産連
・第56回造本装幀コンクール 入賞作品発表
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2023年6月8日付
出版流通改革へ実験スタート
8月刊行のコミックスからRFIDタグ装着
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5月16日の東京都製本工業組合書籍・雑誌部会の定期総会に合わせて行われた講演会では、小学館の速水健司制作局ゼネラルマネージャー(現・制作局担当取締役)が「出版流通改革への取り組み―RFIDタグ活用への期待と課題」と題して語った。
速水氏は、丸紅、丸紅フォレストリンクス、講談社、小学館、集英社の5社が出資して2022年3月に設立したPubtex(以下、パブテックス)の事業に参画している。
出版物にRFIDタグ(ICタグ)を装着し、記録されたデータを活用して日本の出版流通の課題解決を目指すパブテックスのIoTソリューション事業は、今年8月刊行のコミックス新刊および当該重版から実装実験が本格的にスタートする。出版、取次、書店など各業界への影響の大きさはもちろん、出版物へのタグの装着作業を担うことになる製本会社は、従来なかった機器と作業、品質管理への対応が必要となる。製本会社で実施されている先行テストでは、実務における問題点の把握やノウハウの蓄積が進んでいる。
ここでは講演内容をもとに、プロジェクトの概要と製本会社に求められる対応についてまとめた。速水氏は講演の席上、「実際に走り出してみなければ見えてこない問題点も多くあるはずで、製本会社の皆さんには生の意見をできるだけ私たちに伝えてほしい」と要望した。
■コミックスから運用しタグ装着のジャンル拡大
RFID(Radio Frequency Identification)とは、無線通信によりICタグの情報を非接触で読み取る自動認識技術。出版物に関して言えば、梱包された複数の書籍の個別情報を外側から一括して読み取ることや、一冊ずつの書籍の流通履歴についてバーコードリーダーを使わずに瞬時に読み取ることなどが可能になる。
すでに小売業界をはじめとしてRFIDの導入は進んでいるが、個別企業・グループ内での運用がほとんど。対して、パブテックスを中心に推進しようとしている出版流通全体にまたがる業界横断型の仕組みは、関係する業界・企業の事情がそれぞれ異なるだけに導入のハードルは高い。それでもあえて挑戦する背景には、日本の出版流通の非効率は出版関連業界全体の課題であるという認識があるからだ。
小学館の速水氏は「本は一度市場に出ると、どこに出回っているのか把握が難しい。市場在庫数を特定することができないため、どれだけ作ればいいかが分からず、出版社はずっと苦慮してきた」と話す。
それが、RFIDタグの装着により、一冊ごとのトレーサビリティの追跡と集計管理、情報の分析・活用が可能になる。どの書店で、いつ売れたか、マーケティング情報の収集もできるため、販売促進にも有効に活かせる。
書店にとっても、RFIDタグの装着で大きなメリットが見込まれる。ひとつは万引きの防止。そしてもうひとつが、在庫管理のために書店が行う棚卸作業の効率化だ。一冊ごとに行う在庫の情報確認は大きな作業および費用負担となっているが、RFIDタグを専用リーダーで読み取ることで、即時に情報の把握が可能になる。
このように出版流通改革への寄与が期待されるRFIDタグだが、当然ながら市場の仕組みを一度に変えることは困難だ。また、実際の運用でどのような弊害が現れるかについても現時点で予測することは難しい。
そこでパブテックスでは、まずコミックスに絞って運用を始め、仕組みの早期の確立につなげていく。2023年8月刊のコミックス新刊および重版をかわきりに講談社、小学館、集英社がRFIDタグ付きの本を市場に流通させることが決定している。同時に、3社と取引する製本会社からRFIDタグの装着を手がけていくことになる。
速水氏は「コミックスからテスト運用を始め、時期未定ではあるが、ゆくゆくは文庫や新書、書籍、ムックにも拡げていきたい。市場在庫期間の長いものほどタグが効果的に機能すると考えている」と話す。
トレーサビリティの記録を残すためには、書店等でのタグの読み込みなどの協力も欠かせない。
■タグ付き台紙をトライオート機で挿入
パブテックス内では当初、タグの装着を本への「綴じ込み」で行う案も検討されたが、さまざまな意見を勘案した結果、タグラベルが貼付された上質紙台紙(125ミリ×65ミリ)を出来本にトライオート機(西岡製作所製)で挿入する「投げ込み」式が採用された。
運用方法は次のようになる。
・刊行当該月の想定総発行部数に基づき、4ヵ月程度前にパブテックスへ情報開示。パブテックスはタグ製造会社に発注し、製造を開始
・各社の運用基準に基づき正式発行部数を決定。製本各社への発注数および予備を確定
・パブテックス手配により製本各社へRFIDタグを納入
・製本会社では、納品されたタグをトライオート機により投げ込み。規定部数にて結束する
・専用機器によりRFIDタグにアクティベート作業を結束単位で行う
・従来同様パレット積みのうえ、取次会社や倉庫へ搬入
製本会社で行う「アクティベート作業」とは、タグが投げ込まれた本に、ライセンス認証を与える作業のこと。タグの生産時に書き込まれたランダムEPCデータ(個別認証)に対して、書誌情報としての【ISBNコード】データを上書きする。これによりタグに住所、氏名、生年月日とも言えるユニーク情報を確立させる。
アクティベート作業を行う専用機器としては、手動型、半自動型など3種類が用意されている。
製本会社にとって気になるのは、新たに発生する費用負担だが、アクティベート機器導入イニシャルコストについては製本会社側がいったん立て替える形となる。これに対し、出版社側からアクティベート作業費、導入費用相当額、投げ込み代などを合算して1部単価として適用し、出版社から製本代として支払われる。
出版社としては、パブテックスへのRFIDタグ材料費の支払と、製本会社への支払が生じることになるが、それ以上にトレーサビリティ情報の収集と分析、活用によるメリットを重要視している。そこを一番の目標としながら、コミックス以外のジャンルへの拡充を図っていく。
一方、課題として、倉庫会社・取次会社など流通分野各社の参加時期と規模の見通し、小売書店や出版社側の参画促進のほか、タグ仕入コストの低減、「投げ込み方式」の検証(脱落、改装作業への対応)などがある。
できるだけ多くのトレーサビリティ情報を収集し、それを活用することで生まれる有益性を出版関連業界に還元させるためには、できるだけ多くの出版社、書店、流通各社の参画が必要であり、出版サプライチェーン全体での取組みが望まれる。
速水氏は「課題は山積しているが、やり始めないことには改革はできない。始めたらやり続けるしかない。持続可能な事業とするために、製本会社の皆さんには、実運用の現場で起こる具体的なケースを教えてもらえるなどご協力をお願いしたい」と話す。
【印刷新報2023年6月8日付掲載】
その他掲載記事
・プリントネット 第三の創業で新たな成長企業へ
・大日本印刷 グループ社員に生成AI利用環境を提供
・印刷業が「産業構造転換枠」に指定 事業再構築補助金
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2023年6月1日付
大日本印刷、「P&Iラボ・東京」開設
パートナーとの共創を促進
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大日本印刷は、本社がある東京・市谷地区の再開発を進めており、今年2月にDNP市谷加賀町第3ビルを竣工した。5月8日には、パートナー企業との「対話と協働」を実践する共創施設「P&Iラボ・東京」を同ビル内にオープン。5月25日にメディア向けの内覧会を実施した。
■展示・体験を通じて未来を語る
大日本印刷は、「第三の創業」の実現に向けて、都内に分散していた営業・企画部門を市谷地区に集結させた。これにより社内の連携および、社外パートナーとのコラボレーションを促進し、「オールDNP」による価値創造を加速している。
再開発の一環として竣工したDNP市谷加賀町第3ビルは、地上5階、地下3階、延床面積は約4万u。地下1〜3階をP&Iラボ・東京が占める。メディア向け内覧会では、同ラボの推進室長である間々田修一氏からラボ開設の目的と構成が説明された。
P&Tラボ・東京は、パートナー企業との「対話と協働」を促進するための施設で、同社のP&T(Printing&Information)の強みを製品・技術の展示や体験、未来イメージの提示などを通じて感じてもらい、「対話」により業界・社会の課題を引き出し、「協働」につなげることを狙いとしている。同ラボでは約250の製品・サービスを体験することができ、次のような構成となる。
《地下1階:ウェルカムゾーン/ホール》
DNPの強みのプレゼンテーションを通じて、DNP=パートナーという意識づけを促す。ホールは、プライベート展・セミナーによる情報発信と外部パートナーとのコラボレーション活動の場となる。
《地下2階:技術ゾーン》
○暮らしを変えたDNPの技術
○技術を掛け合わせる
DNPが保有するP&Tの技術
○技術は豊かな社会のために
豊かな社会を実現するDNPの提供価値
○コラボレーションに向けて
《地下3階:体験ゾーン》
○ブループリントスタジオ
DXが実現する2030年の未来の暮らしを、複数のLEDディスプレイを活用した没入感のある映像とソリューション展示の組合せで体験
○みらいの暮らし
DNPが提案するウェルビーイングをテーマとした未来の居住空間。顧客と共にデザイン検証を行う空間シミュレーション機能も併設
○コ・ラーニング
書籍に囲まれた空間で、未来の暮らしに関する議論を行う
内覧会であいさつした杉田一彦常務執行役員は「当社は、お客様の要望に応えるだけでなく、自ら社会や生活者に価値を提供する『第三の創業』に取り組んでいる。技術・ノウハウ・製品・サービス・市場を掛け合わせ、パートナーのいろいろな強みも加えて、価値の提供を加速させていく。フェイス・トゥ・フェイスで創発を行い、多様な価値を生み出す場がP&Tラボ・東京だ。分散していた事業拠点の集結・再編についてもひと区切りつき、オールDNPの体制が整った」と述べた。
P&Tラボ・東京は、大日本印刷のすべての部門で共有・活用し、社員がパートナーを招待する形で案内する。5月8日のオープン後、毎日3〜5件の訪問があり、新たな価値の創出が期待されている。
ラボは、生活の隅々に同社の製品・サービスが使われていることが伝わり、それが未来社会に向けてどう枝葉を伸ばしていくかがイメージしやすいように工夫が凝らされている。
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未来の居住空間をシミュレーション。 2030年のキッチン(地下3階、体験ゾーン) |
【印刷新報2023年6月1日付掲載】
その他掲載記事
・特集 ジャグラ文化典高知大会
・小森コーポレーション グループパーパスを発表
・全印工連 2023全日本印刷文化典広島大会 「夢メッセ」と同時開催で学びの機会提供
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2023年5月25日付
〈議連総会で全印工連〉
用紙の特定調達品目からの除外要望
知的財産権でも強く主張
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中小印刷産業振興議員連盟(中曽根弘文会長、以下「議連」)の総会が、5月24日午前8時から東京・永田町の自由民主党本部で開かれた。全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)は、@印刷用紙をグリーン購入法における特定調達品目から外すことA自治体の仕様書・契約書から「印刷データを無償で譲渡・利用する」といった記載を削除すること、の主に2点を要望し、議連も環境省、総務省など所管省庁に強く踏み込んだ実効性ある取組みを求めた。
中曽根会長、全印工連・滝澤会長のあいさつに続き、環境省が「グリーン購入法における特定調達品目」の見直し状況(5月11日付で一部既報)、総務省が「官公需印刷物の入札・契約の実態調査」結果(5月18日付既報)を報告、全印工連から要望を伝えた後、意見交換が行われた。
■特定調達品目の見直し
昨年11月の議連総会を踏まえ、環境省は12月に、特定調達品目(古紙パルプの最低保証などグリーン購入法の判断基準を満たす印刷用紙)の調達が困難な場合には代替品の納入を認める旨を地方公共団体等に通達した。同時に、古紙パルプの配合率についても改定した。一定の成果ではあるが、その実効性は乏しく、根本的な問題解決とはなっていない。
全印工連は今回、「今秋の臨時国会までに、印刷用紙を特定調達品目から外すこと」を強く要望。理由として、@白色度が要求される印刷用紙への古紙の使用は、脱墨のための薬品やエネルギーコストにより、かえって環境に悪影響を及ぼすA再生紙の供給量が絶対的に不足しており、中小印刷会社は購入できないB判断基準を満たす印刷用紙を供給可能な製紙会社は1社だけであり、競争原理が働かない―の3点を挙げた。
環境省の担当課長は、令和5年度特定調達品目検討会の下に「印刷用紙専門委員会」を設置し、判断基準等の今年度中の見直しを検討していることを説明した。6月に第1回の委員会を開催し、10月頃に方針をとりまとめる予定。委員会は、学識経験者6名、業界関係者5名(全印工連・滝澤会長、日印産連・倉持常務理事、製紙連・河崎常務理事、古紙再生促進センター・川上専務理事ほか)で構成される。オブザーバーとして、主要製紙メーカー、印刷業界、洋紙代理店・卸商、古紙回収業も参加予定。
委員会では、@市場における古紙需給状況の変化を踏まえた指標項目のあり方A森林認証材・間伐材以外の持続可能性を目指すパルプについて製紙メーカー個社の取組みの評価のあり方―などを論点に、実状に即した印刷用紙の判断基準の見直しを行う。
■知的財産権の取扱い
総務省が実施した官公需印刷物の入札・契約調査では、発注仕様書で、印刷データ(中間生成物)を「納入する」、知的財産権は「発注者に帰属する」と記載している自治体が圧倒的に多く、コンテンツ版バイ・ドール契約を採用している自治体もわずかであることが明らかになった。
全印工連の滝澤会長は、過去の裁判の判例を紹介しながら、「印刷データは受注者(印刷会社)の所有物」であり、自治体の仕様書・契約書から「印刷データを無償で譲渡・利用する」といった記載を削除してほしい旨を要望した。また、受発注者間だけでなく、地域の発展につながる契約方法として、コンテンツ版バイ・ドール契約の積極的な採用を求めた。
◇
出席した議員からは、「(印刷用紙の判断基準見直しを)10月頃をめどとしているが、一日でも早くスピード感を持ってやってほしい。(来春の官公需の繁忙期に対応するのに)印刷会社はまず紙を確保しないことには動けない。代替品の納入にしても、本当に認められているのか? 国が率先して取り組まなければ変わらない」、「時代は大きく変わり、安いだけの調達は通用しない。公の契約は民間取引の模範であるべきだ」など次々と意見が述べられ、省庁の担当官が今後の対応方針について説明した。
閉会あいさつで議連の伊藤達也幹事長は「全印工連からの要望を基本として重ねて省庁に求めていきたい。制度がそもそも今の時代に合っているのか、さらに見直しが必要だ。単に通達を出すだけではダメで、意識改革のためにやれることは何でもやってほしい。今年度も複数回の総会を開いていく」と述べた。
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【印刷新報2023年5月25日付掲載】
その他掲載記事
・特集 生産改革2023
・各地で令和5年度の総会が開催
・来年5月に技能五輪開催 仏・リヨンで
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2023年5月18日付
総合商研/小松印刷グループ/アスコン
3社共創プロジェクトを推進
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印刷業界では、環境の激変期を乗り越えるための企業間アライアンスが活発化している。その波は、中堅印刷会社においても明確な戦略となって現れてきた。
それを象徴するのが、総合商研(片岡廣幸会長、札幌市東区)、小松印刷グループ(小松秀敏社長、香川県高松市)、アスコン(中原貴裕社長、広島県福山市)の3社による共創プロジェクトの発足だ。各社の強みと経営資源を活用し、生産設備の共同仕入れ、技術・人材連携、営業ノウハウの共有などを通じて新たな事業領域拡大と強固な経営基盤の構築を目指す。
また、全国に張り巡らされた、グループ会社を含む3社の営業所・製造拠点をフルに活用し、最適地生産で顧客へのサービス向上と受注拡大を図っていく。
東証スタンダード上場の総合商研は、小松印刷グループと2004年10月、アスコンとは2017年9月に業務提携に関する契約を締結している。
このたびのプロジェクトにおいては、それぞれ経営幹部レベルのプロジェクトスタッフを任命し、会社間の壁を超えた「営業戦略分科会」「製造部門分科会」「クリエイティブ分科会」の役割ごとに意見交換を重ね、今年2月21日に協定に至った。
印刷会社という枠を 超え、各社の強みを活かす「首都圏受注・地方製造」の3社共同事業組織として、業容の拡大、顧客基盤の拡大を図っていく。
また、発表によると、今回の枠組みは限定的・排他的なものではなく、同業・異業を問わず理念に賛同する企業との新たな協業の可能性も同時に模索していく。
3社の売上高規模は、総合商研が153億1100万円(2022年7月期)、小松印刷グループが144億円(2022年3月期)、アスコンが121億5900万円(2022年3月期)。
共創プロジェクトの内容と目指す将来像は次のとおり。
■生産・製造管理連携
3社の製造拠点を俯瞰、物流の効率化から高品質・高効率・低コストを追求し、市場競争力の強化を図る。
■営業連携
マーケティング連携による市場提案力強化及びノウハウの共有(成功事例の水平展開)から新商品・サービスの開発を推進する。
■大型設備投資
1社単独では難しい設備投資や技術開発及び商品開発を共同運用しリスク分散を図るとともに、各コンテンツの制作、製造に関する効率化連携で新たな市場開発を行う。
■その他、前項に付帯関連する業務における相互の協力・支援
【印刷新報2023年5月18日付掲載】
その他掲載記事
・「官公需印刷物の入札制度実態調査」結果概要発表
・大手印刷会社決算短信
・NISSHA 滋賀大学とDXで連携
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2023年5月11日付
富士フイルムBI
「圧着トナー」新発売
ワンパスで印字と糊付けが可能
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富士フイルムビジネスイノベーション(浜直樹社長・CEO、東京都港区、富士フイルムBI)は、ハイエンドプロ市場向けプロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120」用の特殊トナーとして、世界初となる接着機能を持った「圧着トナー」を、国内で5月16日から発売する。デジタル印刷の小ロット生産や可変(バリアブル)印刷といった特性を活かしながら、圧着はがきなどの制作工程を効率化することができる。
圧着トナーは、同社独自のトナー製法技術であるEA(Emulsion Aggregation・乳化凝集)製法により、内部に自社開発の圧力応答性樹脂を微細に分散させた無色透明のトナーで、高い圧力を加えた時にのみ樹脂が軟化し、用紙と用紙を接着する機能を発揮する。
「Revoria Press PC1120」はCMYKトナーのほか、最大2種類の特殊トナーを搭載できる。圧着トナーを搭載すれば、プリントした用紙の印字面どうしを重ねて、圧着機(後加工機メーカーが提供する汎用の圧着機)で高い圧力と熱を加えることで、圧力応答性樹脂が反応してトナーが糊のような機能を発揮し、用紙どうしを接着することができる。
CMYKトナーによる画像や文字の印刷と、圧着トナーによる接着材塗布がワンパスで完結し、従来は印刷後に別工程で行っていた糊付け工程の削減が可能となる。印刷データ上で接着箇所を自在に指定できるほか、用紙どうしの接着力の強弱をトナーの量や圧力の強さにより調整することもできる。
圧着トナーは、圧着はがきのような用紙を接着する印刷物を小ロット生産・可変印刷する用途に適している。デジタル印刷の特性と圧着トナーの機能を組み合わせて用いることで、受け取る人の嗜好や興味に合わせた内容の圧着はがきやA4サイズの圧着DMなどを、短納期で必要な分だけ効率的に制作できるようになる。
また、富士フイルムBIでは、後加工機メーカーと協業し、印刷から圧着までに必要な後加工の機器をインラインで接続する自動化ラインのシステム開発をユーザーとともに進める。印刷後の断裁や折り、圧着にいたるまでの多岐にわたる工程を、人手を介さず自動化することで、印刷生産プロセス全体の効率化を目指す。
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Z折り圧着ハガキDMイメージ |
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V折り圧着ハガキDMイメージ |
【印刷新報2023年5月11日付掲載】
その他掲載記事
・令和5年3月「用紙価格動向調査」 価格の地域差、顕著に
・グリーン購入法基本方針の変更点など解説 第53回GP工場交流会
・JP2023・印刷DX展
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2023年4月27日付
国内キャッシュレス決済比率が36%に
政府の最終目標はフルデジタル化
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経済産業省は4月6日、2022年のキャッシュレス決済額とキャッシュレス決済比率の算出結果を公表した。決済額は、民間最終消費支出308.5兆円に対して111兆円と、初の100兆円超えとなり、決済比率は36.0%に上昇した。
また、3月20日には「キャッシュレスの将来像に関する検討会」の取りまとめについても公表。キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという現行の政府目標は引き続き堅持したうえで、将来的に世界最高水準の80%を目指す方向が示された。
キャッシュレス社会の拡大に伴い、印刷会社の行政・企業・消費者に向けたサービス提供やマーケティング提案でも新たな対応が必要になっていくと予想される。
また、企業間取引においてもキャッシュレス化は必然の流れだ。小規模企業が多くを占める印刷業界だが、受発注・決済など取引関連業務のデジタル化を起点として、業務効率向上や企業間のデータ連携によるDX化の推進を図っていくことが求められる。
◇
2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%(111兆円)。内訳は、クレジットカードが30.4%(93.8兆円)、デビットカードが1.0%(3.2兆円)、電子マネーが2.0%(6.1兆円)、コード決済が2.6%(7.9兆円)。
決済比率は、2010年に13.2%だったが、2016年に20.0%、近年は2020年に29.7%、2021年に32.5%と推移している。
経済産業省の2021年の実態調査では、日常生活において「7〜8割程度以上キャッシュレスを利用する」と回答した人が全体の54%を占めるなど、消費者の中でキャッシュレスが広く浸透してきている。
今の水準が続けば、政府の成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)で示された「2025年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とする」という目標は達成される見通しだ。
キャッシュレス決済比率は、主要各国では40%〜60%台、韓国や中国では80%〜90%台となっている。2022年9月に発足した、有識者や大手決済関連企業など10人の委員からなる「キャッシュレスの将来像に関する検討会」の取りまとめでは、将来的に世界最高水準の80%を目指し、最終的には、誰もが現金を持ち歩かずに生活が完結する「決済のフルデジタル化」が目標に掲げられている。
キャッシュレス化の推進により、事業所間取引では、デジタル化による業務効率化や、取引と関連した付加データの利活用によるイノベーションの実現などを期待している。
【印刷新報2023年4月27日付掲載】
その他掲載記事
・特集 シタラフェア2023
・東印工組 支部再編に理解求める
・卒園アルバムに補償プラン 石田製本
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2023年4月20日付
全印工連/MUD協会
8月に初のMUDフェア開催
ユニバーサルデザインへの理解を促進
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全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)とNPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会(伊藤裕道会長、浦久保康裕理事長)は、メディアユニバーサルデザイン(以下、MUD)をテーマにした新企画イベントを今年8月18日(金)〜20日(日)の3日間、東京・港区の都立産業貿易センター 浜松町館で開催する。ユニバーサルデザインの必要性や、だれもが不自由なく情報を受け取ることができる社会の実現を目指すMUD活動について広く理解してもらうことを目的に、展示、セミナー、体験コーナーの実施を予定している。
■子供たちから行政・企業まで広く対象に
8月18日・19日・20日に開催するイベントの名称は「伝えるためのユニバーサルデザインフェア〜色・文字・かたちでみんなに分かりやすく」(仮称、以下MUDフェア)。全印工連とMUD協会が共催し、会期中に約5000名の来場を予想している。
実施プログラムの柱は、「MUDを見る(展示コーナー)」「MUD製品に触れる(展示コーナー)」、「MUDを深める(セミナー)」「MUDを感じる(体験コーナー)」から成る。
展示コーナーでは、MUDの基本から最新技術、ソリューションを紹介する企業や団体のブースを設ける。MUD事例やMUD認証各社のさまざまな取組み、行政や自治体の取組み、学術研究などの紹介ほか、MUDコンペティション受賞作品、MUD認証製品の展示を行う。
セミナーは、1日3講座、3日間で計9講座を予定。専門家による講演やパネルディスカッションにより、参加者は情報アクセシビリティやMUDの知識を深めることができる。
体験コーナーでは、参加者が実際にMUDの技術や製品を試せるようにする。小学生の夏休みの課題作成コーナーも用意し、楽しく学んでもらう。プロ向けには実践的なワークショップを通じて、情報アクセシビリティやMUDスキルを身につけてもらう。
フェアは、子供から大人まで幅広く対象とし、来場しやすいよう、夏休み期間中の週末に会期を設定した。
一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会など関連団体や教育機関の協力も得ていく予定。
■社会の情報伝達の課題はさらに増す
ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすい製品、環境、サービスを設計するための考え方で、高齢者、障がい者、外国人、子供などさまざまな人々が、同じように利用できることを目的としている。
また、MUDは、ユニバーサルデザインを情報伝達分野(メディア)に適用したもので、色・文字・かたち等の情報をできるだけ多くの人が理解しやすいように配慮する考え方となる。
全印工連では、情報伝達の担い手として約20年前からMUDに取り組んできた。業界内はもちろん、行政・企業の関連部署や一般市民も対象にしたセミナー開催をはじめ、MUDに配慮したデザイン手法を用いた作品を募るコンペティションをこれまで16回開催し、MUD活動の啓発につなげている。
MUD協会は2008年1月に設立し、今年15周年を迎えた。MUD製品の第三者認証制度や教育検定の実施、普及セミナーの開催、MUD対応製品を作製する際に使用できるシミュレーションツールの紹介など、各種事業を展開している。
社会に流通する情報量は増える一方だが、日本は超高齢化社会となっている。しかし、デザイン、文字の大きさや書体、色使いなどに配慮されていない情報伝達手段が多く、情報を読み取れずに不便を感じている人たちが多数存在する。
MUD協会によると、日本国内には弱視等の障がいがある人は潜在的に100万人以上、色覚障がい者は300万人以上、白内障などにより色覚の低下した高齢者を加えると、一般の人と色の感じ方が違う人は500万人以上いると考えられる。色に関する問題のほか、増える来日外国人や在留外国人に対するデザインの工夫も急がれる。
【印刷新報2023年4月20日付掲載】
その他掲載記事
特集 印刷出版研究所 創業90周年特集
・群馬大学・柴田博仁教授インタビュー
「紙と電子の使い分けで人は賢く」
・一心社・浦久保康裕社長インタビュー
「万博、MUD、ペーパーサミット」
・日本サステナブル印刷協会
「脱炭素の取組み推進」
・真興社・福田真太郎社長インタビュー
「真興社変革の歴史」
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2023年4月6日付
改正PRTR法が施行
対象が649化学物質に
SDSで該当・非該当の確認を
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化学物質排出把握管理促進法、いわゆるPRTR法(化管法)が改正され、2023年4月1日から施行された。対象となる化学物質が見直され、第1種指定化学物質が462物質から515物質、第2種指定化学物質が100物質から134物質に増加している。追加された化学物質には印刷業でもよく使われる物質が複数含まれている。使用している製品について、最新のSDS(安全データシート)で確認し、PRTR法への該当・非該当を把握したうえで、2023年度以降の集計および届出を正確に行う必要がある。
◇
1999年7月に公布されたPRTR法に基づき、「化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)」が導入された。PRTR制度では、人体や動植物に有害なおそれのある化学物質(第1種指定化学物質)について、事業者は環境中へ排出した量(排出量)や廃棄物等として処理するために事業所の外へ移動させた量(移動量)の届出を年度ごとに行うこととされている。第1種指定化学物質は、1%以上含有すると該当製品として扱われる。
また、SDS制度では、PRTR法で指定された化学物質を含む製品について、他の事業者に譲渡または提供する際に、その特性や取扱いに関する情報をSDSにより提供することが義務付けられている。SDS制度のみ対象となるのが第2種指定化学物質と区分されている。
排出量・移動量の届出対象には「出版・印刷・同関連産業」など24業種が定められており、常時使用する従業員数が21人以上、該当する第1種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上(特定第1種指定化学物質は0.5トン以上)の事業者が対象となる。
今回の改正で追加された代表的な化学物質には、トリクロロエチレン(特定第1種)、ブチルセロソルブ、ETB、ブチルカルビトール、シクロヘキサン(第1種)、ノナン、オクタン(第2種)などがあり、このうち、ブチルセロソルブ、ETB、ノナンは、印刷インキ洗浄剤やエッチ液で使用されることが多い。
これに伴い、印刷関連資材メーカー各社は、新たに追加された指定化学物質が含まれる製品の配合変更を行うなど対応を進めており、PRTR非該当となる代替品を順次リリースしている。
また、日本印刷産業連合会のGP認定事務局でも、改正PRTR法へのGP資機材認定の対応を図っている。
GP資機材認定のエッチ液は、指定化学物質を含まないことが必須条件となる。ただし経過措置として、認定済み製品は改正後の指定化学物質の含有を1年間猶予する。新規では認めない。洗浄剤等は、改正後の指定化学物質で達成点数を再評価する。
■印刷・同関連は届出排出量で業種別7番目
経済産業省および環境省は、PRTR法に基づき、事業者から届出のあった化学物質の2021年度の排出量・移動量等のデータの集計を行い、結果を3月3日に公表した。排出量は12万5000トン(前年度比0.5%増)、移動量は25万9000トン(同12.3%増)となり、排出量と移動量の合計は38万4000トン(同8.2%増)となった。
2021年度の排出量・移動量については全国3万2729事業所から届出があった。このうち、「出版・印刷・同関連産業」は284事業所、届出物質の種類は41。排出量は大気中が100%に近く、移動量は廃棄物移動がほとんど。
製造業・非製造業を合わせた全46業種のうち、製造業(23業種)における届出排出量・移動量は全体の97%を占める。
業種別の届出排出量で「出版・印刷・同関連産業」は7番目(5300トン、総届出排出量の4.3%)、届出排出量・移動量では10番目(7500トン、総届出排出量・移動量の1.9%)となる。
全国の届出排出量の多い上位10物質の合計は10万7000トンで、総届出排出量12万5000トンの86%に当たる。上位5物質はトルエン(構成比34%)、キシレン(同16%)、エチルベンゼン(同11%)、ノルマルーヘキサン(同7%)、塩化メチレン(同6.7%)。
【印刷新報2023年4月6日付掲載】
その他掲載記事
・特集 デジタルプレス
・大手3社社長 新入社員へのメッセージ
・篠原紙工 ボール紙見本帳発売
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2023年3月30日付
経産省、DX優良事例20社を選定
グランド印刷が準グランプリに
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経済産業省は、中堅・中小企業等のDXのモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション2023」として選定し、3月16日に20社を公表した。準グランプリにはグランド印刷(小泊勇志社長、北九州市門司区、従業員55名)が選ばれた。
DXセレクションは、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組みの優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDXの推進と各地域での取組みの活性化につなげていくことを目的に昨年度初めて実施された。
募集にあたっては、地域経済の発展を推進する「地方版IoT推進ラボ」の取組みに参画している企業を対象とし、経済産業省が定めたデジタルガバナンス・コードの評価項目に基づき有識者委員が審査した。
グランプリに選ばれたフジワラテクノアート(藤原恵子社長、岡山市)は、醤油・味噌・日本酒等の醸造食品の製造機械メーカー。「微生物のチカラを高度に利用するものづくり」により循環型社会への貢献を目指しており、3年間で21のシステム・ツールを導入して全工程の進化を成し遂げた。また、主要協力会社との取引をオンライン化し、各社のDXを推進した。
準グランプリのグランド印刷(推薦:北九州市IoT推進ラボ)は、スクリーン印刷、デジタルプリントを主体とした印刷会社。金属、プラスチック、ビニール、布など素材を選ばず印刷できるのが特徴で、屋外看板や垂れ幕、POPなど販促物の製作を主力商品とする。ターポリン幕専門の印刷通販「まくする」ほか、看板、壁紙など複数の印刷通販サイトを運営している。
「新たな価値の創造で、世の中を楽しく、豊かにする。」を企業理念に掲げる同社は、シナジー効果の見込める各事業をデジタルによって1つに統合。それぞれの事業が互いに連携し、理念や価値観でつながった「連邦多角化経営」を目指す。また、従業員の自己実現に向けて、楽しく働ける職場環境と物心両面での豊かさを追求している。
「DXセレクション2023」選定企業レポートには、取組みと成果が次のように紹介されている。
【デジタル人材の確保/デジタル技術活用の取組み】
・社内業務の効率化・省力化や顧客視点でのサービス改善に
おいて、自ら問題を見つけ改善案の指示を出せる人材を
「DXプロデューサー」と定義し、社内で育成している。
また、各従業員に合った「学び」を計画的に行っていく
プロジェクトを立ち上げる。
・自社開発の基幹システムとWebサイト、各種Webサービスを
連携させた社内ITシステムで情報共有している。
【成果】
・年に2〜3個の新規事業が立ち上がり、それらを育てながら
デジタル技術によって既存業務の効率化・省力化を行う
企業風土となった。また、子育てしながら働きやすい
会社となり女性従業員が全体の75%になった。
・コロナ禍でも年間7000社の顧客を獲得。既存事業の落込み
を新事業でカバーし、過去最高売上を3年連続更新した。
【DXを進める上での苦労】
・現社長がまだ支店長の立場だったときに基幹システムの
開発に着手したが、リーマンショック後ということも
あり、資金的な余裕もなく銀行からも融資は厳しいと伝え
られていた。リース会社に話を持ちかけ、リース契約に
してもらうことで費用を捻出した。
・システム会社への月額12万円の保守料と開発費のリース料
月額12万円、合計24万円の支出が必要であったが、1人分
の人件費だと思い投資を決断した。
【DXを進めるために行った工夫】
・システムの管理を外注1社のみ、また社内担当者を1人のみ
という状態は非常にリスクがある事を身に染みて経験した
ため、現在は外部エンジニアと社内エンジニアの2人体制で
開発を行っている。また、サーバー情報も自社で管理し、
日次でバックアップを取るようにしている。
【DXを進めたことによる具体的な変化】
・日々蓄積されるデータから新事業が次々と創り出せる
ようになった。
・社内ITシステムにより、ほとんどの情報が共有され、個人
への依存度が減り、有休や途中抜けなどもしやすくなり、
子育て中の女性でも活躍できる場が広がった。
・従業員のITリテラシーも向上し、自ら問題を見つけてシス
テム改修を発案し、エンジニアに依頼できるようになった。
【印刷新報2023年3月30日付掲載】
その他掲載記事
・日本WPA 水なし印刷の認知向上へ 新キャッチフレーズ決まる
・富士フイルムグラフィックソリューションズ 山田周一郎社長インタビュー
・欧州企業視察記 MailTech社(スペイン)
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2023年3月16日付
凸版印刷、10月に持株会社体制へ
新商号は「TOPPANホールディングス」
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凸版印刷(麿秀晴社長、本社・東京都文京区)は、2023年10月に予定している持株会社体制への移行にあたり、持株会社の商号を「TOPPANホールディングス株式会社」とし、凸版印刷の事業を継承する事業会社の商号を「TOPPAN株式会社」「TOPPANデジタル株式会社」にそれぞれ決定した。
新商号は、凸版(トッパン)の名称は継承しつつ、グローバル企業として全世界で統一したブランドとして使用していくことを意図し、英字で「TOPPAN」と表記した。
また、“Digital & Sustainable Transformation”をキーコンセプトに、社会や顧客、トッパングループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」によって、ワールドワイドで社会課題を解決し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しており、今後さらなる事業ポートフォリオ変革を推進していく意思を込めて、既存の事業領域を規定する「印刷」を含めない商号とした。
なお、凸版印刷の商号変更は、2023年6月開催予定の同社の第177回定時株主総会において定款の一部変更(商号・事業目的の変更)が承認可決されること、および持株会社体制への移行に向けたTOPPAN株式会社への吸収分割の効力が発生すること、ならびに必要に応じて所管官公庁の許認可等が得られることを条件としている。
【グループ再編のステップ】
■2021年11月
2023年10月頃を目途に持株会社体制へ移行することを基本方針とし、グループ組織再編に向けて検討を進めることを発表。
■2023年4月(予定)
全体再編に先駆け、同社のセキュア事業とトッパン・フォームズ株式会社の事業を統合した「TOPPANエッジ株式会社」を設立。
■2023年10月(予定)
持株会社体制へと移行し、持株会社「TOPPANホールディングス株式会社」として、グループ全体最適の視点から事業会社を一体的に運営、持株会社の傘下には、「TOPPANエッジ株式会社」、ならびに、凸版印刷の主要部門を母体とする「TOPPAN」およびトッパングループ全体でのDX事業推進を牽引する「TOPPANデジタル」を設立。
【印刷新報2023年3月16日付掲載】
その他掲載記事
・製本・後加工特集 2023
・Hunkeler innovationdays2023 レポート
・コニカミノルタジャパン 一條啓介氏が社長に
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2023年3月9日付
新市場広げるマーチング委員会
越境EC、ご当地ガチャなど活動進展
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一般社団法人マーチング委員会(井上雅博理事長)は、第12回定時総会および各事業活動報告、特別セミナーを2月24日に東京・湯島の東京ガーデンパレス会場とオンラインのハイブリッド形式で開催した。
マーチング委員会は、全国の印刷会社が核となり、地元のまちなみをイラストで発信し共感と連帯を生むことで、地域の住民・商店・企業・行政の活性化を支援している。各地で特色ある活動事例がますます増えており、相互の交流で触発され、気づきやノウハウを得ることも活発になってきた。2023年度は、相互交流を「大人の遠足」と称して事業化していくほか、新たに海外市場への商品販売展開、広報誌『in Japan next』(全国版/地方版)の発行を行う。引き続き、地域のキーマンづくりリーダー養成講座「マーチングアカデミー塾」も年5〜6回予定する。
活動報告では、かねて準備を進めてきた「越境ECサイト」を新年度から展開することが、さぬきマーチング委員会の濱田和信氏(ミヤプロ)から発表された。越境ECショッピングモール「ゼンプラス」を利用して出品者の商品を海外に向けて販売していく。
商品の標準イメージとしては、イラスト絵はがき10枚セット+額縁入りレプリカ等で1万6500円(税込)。イラストをあしらったTシャツやトートバッグ、日本酒の販売なども想定している。各地マーチング委員会の商品の横断的な販売が有効とみられる。
商品はマーチング委員会で仕入れ、写真や商品説明等を付けてゼンプラスに登録を行い、翻訳後に公開。注文が入ればゼンプラスに商品を発送。月末に販売管理の締めを行う。出品者には約6割の手数料が入る計算になる。SNSや多言語版の広報誌による販促支援なども検討していく。
津軽ひろさきマーチング委員会の齊藤元副代表(アサヒ印刷)は、イトーヨーカドー店舗で拡大しているイラスト入り年賀状とご当地ガチャの販売について報告した。
イトーヨーカドーと連携した年賀状パック販売は、来店者に非常に好評で、お客の声をもとに店舗と一緒に商品や売り方の改善を図ることで毎 年売上額が伸びている。
齊藤氏は「すばらしいコーナーになったとイトーヨーカドーさんから高く評価していただき、来年もぜひやってほしいと頼まれた。また、他に意欲のあるマーチング委員会があれば混ぜてあげてくださいとも言われた。この事業は、販売する側だけでなく、お客、地域、マスコミみんなにとっていい。イトーヨーカドーでは全国の店舗に広げていく計画がある。地元愛と熱意のある方はぜひ参加していただきたい」と話した。
年賀状にとどまらず、1月15日以降もカレンダーやポチ袋が売れるようになってきた。また、玩具にも展開できないかという相談を受け、地元の名産品やマスコットをキーホルダーにしたガチャガチャ(「ごとっちゃ」商標登録申請中)を製作し、イトーヨーカドーの売場限定で販売したところ売行きが大変好評で、弘前市のほか八戸市の店舗販売にも広がった。
いよマーチング委員会でも、まちなみイラストを入れた絵馬型のキーホルダーを松山城近くのガチャガチャで販売を始めたところ、コンスタントに売れているという。観光客向けの需要として大きい。
いわゆる、「ご当地ガチャ」の人気が高まっているが、印刷会社が仕掛人となっているケースも多い。拡がりのある新市場として注目される。
そのほか、湯島本郷マーチング委員会の利根川英二代表(TONEGAWA)がメタバースでの湯島本郷百景の展開、甲斐の国マーチング委員会の井上雅博代表(アドヴォネクスト)が山梨県中央市とのSDGs連携について報告した。
特別セミナーでは、マーチングアカデミー塾の講師も務める経営コンサルタントの並木将央氏が、マーチング委員会の原点をテーマに、日本の活性化の鍵を握っている「地域」の重要性について語った。並木氏は「地域の"共助"をつくれるプラットフォームがマーチング委員会。行動できる人をどんどん巻き込んでいきましょう」と後押しした。
【印刷新報2023年3月9日付掲載】
その他掲載記事
・全印工連・官公需実態調査アンケート
知的財産の帰属で改善要望多数
・2022年日本の広告費 ネット広告が3兆円規模に
・グッドクロス バナナペーパーに商機
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2023年2月23日付
〈全印工連・産業戦略デザイン室〉
DX-PLAT活用の可能性探る
ストアフロントで新市場開拓
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全日本印刷工業組合連合会・産業戦略デザイン室(瀬田章弘委員長)は、令和4年度第5回委員会を2月7日に日本印刷会館で開催した。その中で、全印工連が組合員に提供するDXプラットフォームシステム「DX-PLAT」の具体的な活用に向けたビジネスモデルの検証を行った。
DX-PLATを活用したビジネスモデルについては、これまで各委員から多くのアイデアが出されたが、今回はその内容を踏まえて、瀬田委員長が「DX-PLATによる新たな展開」と題してプレゼンテーションを行い、その上で改めて委員が意見を述べ、活用の実際について討議した。
同委員会でまとめた内容は、2月15日の東北地区印刷協議会から始まった今年度下期の各地区印刷協議会でも参加者にプレゼンテーションが行われ、DX-PLATが持つ価値と将来的な可能性について理解を促した。
■顧客接点と製造バックヤードをDXで結ぶ
DX-PLATは、基幹業務システム(MIS)、受発注システム(JSP)、生産管理システム(JWS)の3つから構成される。従来、電話・ファックス・メール等で人為的に行っていた見積りや受発注の作業をデジタル化・見える化し、需給・稼働状況に応じた価格決定システムと連動させることで業務を効率化する。同時に、生産データはJDFフォーマットで一元管理し、最適な生産機に振り分ける。MISとの接続により生産データはリアルタイムでの把握や自動集計・分析が可能なため、経営改善に役立てることができる。
全印工連ではDX-PLATを、共通の目的(売上拡大、合理化、設備の相互補完、等)を持つ企業グループ間で運用することで、設備過剰による過当競争と営業利益の低下という印刷業界が構造的に抱える長年の課題の解決を目指す。その基本コンセプトは、高付加価値の印刷関連サービスに特化したソリューションプロバイダー、そして製造設備と高効率生産に特化したファクトリーをDXで結びつけ、それぞれの強みを最大限に発揮しながら、最適な棲み分けを図ることにある。
重要なのは、単なる生産調整や生産合理化にとどまらず、DXにより新たな仕事を獲得することだ。既存の印刷物は今後も確実に受注数量が減少していくと予想される。仕事が減った分をカバーしなければ業界は衰退し、また、カバーするだけでなく新しい市場を開拓しなければ成長はない。
瀬田委員長のプレゼンテーションにおけるポイントは、「新たな顧客接点づくり」であり、接点をつくるための「ストアフロント」の開設だ。DX-PLATと商品販売・サービス窓口にあたるストアフロントを直結させることで、一般ユーザーやクライアント、ブランドオーナーからの受注の流れをネット上に築くことができる。1社では受注対応が難しくても、複数の企業が強みを持ち寄ることで対応が可能になる。
しかも、顧客の要望に応じられるファクトリーは全国に存在すると考えられるため、DX-PLATを通じて連携し、ネットワークを拡大していけば、小規模の印刷会社でもストアフロントからの受注を大規模に展開できる可能性がある。
瀬田委員長はビジネスモデルの例として、生活やビジネスの具体的なシーンに必要な専門グッズのショップ開設、ネット通販にはない特殊製品に絞ったプロユースショップの開設、全国各地の事情に合わせたブランドオーナー向けの販促ツール製作ストアフロントなどを挙げ、中小印刷会社の共創ネットワークによる市場開拓の可能性を示した。そこには、ファクトリー同士の協業によるコスト競争力や製品バリエーションを売りにした専門ストアフロントも含まれる。
アマゾンや楽天などの大型ショッピングモールとは異なり、専門特化したショップならではの強みを発揮することにDX-PLATは向いている。
また、顧客データの蓄積によりビッグデータを手にすることになり、それを活用したマーケティング展開、システムの柔軟な改良が可能になる。
受注産業と位置づけられてきた印刷産業が、自ら前線に進出し、新たな収益源の獲得に乗り出す時代がやってきた。多くの独創的なアイデアの活用で、DXによる業界全体の変革が期待できる。
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2月7日に開かれた産業戦略デザイン室 |
【印刷新報2023年2月23日付掲載】
その他掲載記事
・特集 輪転システム
・改正PRTR法、4月施行
・リコー 新社長に大山晃氏
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2023年2月16日付
全印工連 第16回MUDコンペ
経済産業大臣賞など表彰式
MUD先進県「静岡」が活躍
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全日本印刷工業組合連合会が主催する第16回メディア・ユニバーサルデザインコンペティションの表彰式が2月1日に東京・池袋のサンシャインシティワールドインポートマート会議室で行われ、経済産業大臣賞と優秀賞の受賞者が出席した。
初めに全印工連の滝澤光正会長が「われわれには誰にでも等しく情報を伝える役割があると、長くメディア・ユニバーサルデザイン(MUD)の活動を続けてきた。かなり業界内外に知られてきたが、まだまだと感じている。こうしたコンペティションがなくてもMUDが普及することが理想だ。これからもMUDの考えを心に置いていただき、一緒に広めていきたい」とあいさつした。
続いて表彰式に移り、経済産業大臣賞を受賞した松本印刷(静岡県榛原郡)の池野絵美さん・岡野良哉さん、専門学校浜松デザインカレッジ(静岡県浜松市)の山ア朱梨さんに対して、経済産業省コンテンツ産業課の目黒浩課長補佐から表彰状と記念品が渡された。優秀賞の受賞者には滝澤会長から授与された。
協賛企業のリコージャパンから三浦克久PP事業部事業部長があいさつし、「当社は情報を正しく早く効率的に届ける製品をずっと提供してきた。まさにMUDの考え方であり、このコンペティションに賛同している。今後も受賞されたみなさんの作品を通じてMUDを社会に広げていきたい」と述べた。
おわりに、コンペティションを主管している全印工連CSR推進委員会の浦久保康裕委員長が「デザインで世の中を良くし、人を救うことを実践するために、これからも活躍してください」と受賞者たちを励ました。
今回は255点の応募作品の中から、経済産業大臣賞2点、優秀賞5点、佳作10点を選出。静岡県は、優秀賞における学生の部(3点)も独占した。MUD先進県としての意識とレベルの高さが窺われる。
■商品化も期待される「色覚多様見本帳」
一般の部で経済産業大臣賞を受賞した松本印刷の『伝える おくすり手帳のしおり』は、薬局で薬剤師に知ってほしい情報をサポートする。大きな文字とピクトグラムでわかりやすく色分けしたステッカー等をセットにし、必要な情報の伝達が難しい人たちに便利なものとなっている。「妊娠中」「アレルギーがあります」「副作用歴あります」などの言葉を日本語と英語で表記した。
審査委員からは「高齢者が増えている社会的背景を踏まえ、くすりの飲み合わせ以外の補足情報をステッカーで対応できるのがすばらしい。この手帳を持参することで、いろいろな障がいのバリアを意識せずにコミュニケーションがとれる可能性がある」と評価された。
学生の部で経済産業大臣賞を受賞した山アさんの作品『色覚多様見本帳』は、デザイン制作の際に、一般的な色彩だけでなく、色覚多様性の人にも伝わるように意識し、デザインできる色見本帳。一般の見本帳と同じく扇子のように開ける。
誰でもひと目で色覚多様の色がわかる"ありそうでなかった"ツールを形にした行動力が高く評価された。審査委員からは、デジタルでなく、見本帳にすることですぐに比較できる点や、情報を共有できること、教育ツールとしての可能性が感じられることなど多くの意見や感想が出た。今後の商品化も期待された。
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学生の部で大臣賞に輝いた「色覚多様見本帳」 |
【印刷新報2023年2月16日付掲載】
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・特集 印青連20周年
・日蒙印刷業界がシンポジウム
・page2023 「創注」支援の提案で活気
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2023年2月2日付
改正安衛法、今年4月施行
ばく露防止対策が義務化
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日本印刷産業連合会・グリーンプリンティング認定事務局は、労働安全衛生セミナー「新たな化学物質管理規制の導入による法改正とその対応」を1月30日にオンラインで開催した。
自律的化学物質管理を主題に、圓藤吟史氏(中央労働災害防止協会 大阪労働衛生総合センター所長、大阪市立大学名誉教授)が講演し、具体的な法改正の内容と印刷事業者の対応について説明した。
■来年4月施行と2段階で管理規制強化
化学物質による災害状況をみると、法規制の対象外の物質に起因するものが約8割を占めている。こうした状況を踏まえ、従来規制対象となっていない物質への管理規制強化を図るとの方針が厚生労働省から出された。2023年4月から施行される労働安全衛生法の改正では、これまで以上に事業者の主体的な取組みを求める制度が導入される。化学物質を取り扱う印刷事業者は早急な対応が必要になる。
労働安全衛生法は、2005年改正で「化学物質の危険有害性情報などの伝達」が義務化、2014年改正で「事業場での化学物質リスクアセスメントの実施」が義務化された。
今回、2023年4月1日施行の改正では、次のような規制強化が行われ、措置義務対象が大幅に拡大する。
・「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新
・事業場内別容器保管時の措置の強化
・リスクアセスメント結果等に係る記録の作成保存
・ばく露を最小限度にすること
・ばく露低減措置等の意見聴取、記録作成・保存
・がん原性物質の作業記録の保存
・化学物質への直接接触の防止
・衛生委員会付議事項の追加
・化学物質によるがんの把握強化
さらに、2024年4月1日には次の内容が施行される。
・化学物質管理者、保護具着用責任者の選任義務化
・雇入れ時等教育の拡充
・通知事項の追加及び含有率表示の適正化
・化学物質労災発生事業場等への監督署長による指示
・ばく露をばく露管理値以下にすること
・リスクアセスメント等に基づく健康診断の実施・記録作成等
・化学物質への直接接触の防止(健康障害を起こすおそれのある物質関係)
・第三管理区分事業場の措置強化
措置義務は増えるが、国が定めた管理基準を達成する手段は、有害性情報に基づくリスクアセスメントにより事業者が自ら選択可能な、自律的な管理を基軸とする規制の仕組みに変わる。
また、化学物質の譲渡提供時の表示(ラベル表示)・文書(SDS)交付等による通知の義務対象物質も毎年追加され、近い将来約2900物質となる見込み。有害性に関する情報量は大幅に増える。
化学物質を扱う事業者には、「皮膚への刺激性・腐食性・皮膚吸収による健康影響のおそれがないことが明らかな物質以外の全ての物質について、保護眼鏡、保護手袋、保護衣等の使用義務」が生じることになる。
労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される濃度の低減措置については、労働安全衛生規則で次のことが定められている。
・代替物等を使用する(毒性の低い化学物質への切替え)
・発散源を密閉する設備、局所排気装置または全体換気装置を設置し、稼働する
・作業の方法を改善する
・有効な呼吸用保護具を使用する
このうち、代替物の使用について講師の圓藤氏は「法令で規制されていない物質だから毒性が低いとは言えない。安易な切替えは危険で、必ず専門家に相談してほしい」とアドバイスする。
また、保護具の着用も簡単にはいかないことを指摘し、例として髭を生やした人やマスク着用時の使用などを挙げ、適切な保護具を選ぶように注意を促した。
労働者の意見聴取、記録作成・保存では、措置の内容と労働者のばく露の状況について、労働者の意見を聴く機会を設け、記録を作成し、3年間保存しなければならない。ただし、がん原性(発がん性)のある物質として厚生労働大臣が定めるものは30年間の記録保存が義務となる。
2024年4月から義務化される化学物質管理者の選任は、印刷会社等では選任者を決めるにあたって資格要件はないが、専門的講習(12時間)の修了者と同等の知識を有することが求められ、受講が推奨される。中災防でも2023年度から専門的講習の実施を本格化させる予定。
【印刷新報2023年2月2日付掲載】
その他掲載記事
・アングル 「進化思考」でイノベーションを生む
・ぶんぱく(文京博覧会) 印刷関連中心に
・2022年の出版市場(紙+電子)は2.6%減
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2023年1月26日付
製紙連 2023年紙・板紙内需見通し
印刷・情報用紙は前年比7.2%減
2019年比では26.4%減の水準
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日本製紙連合会は1月20日、「2023年 紙・板紙内需見通し報告」を発表した。紙が前年比5.0%減、板紙が同0.7%増、紙・板紙合計では同2.1%減(2019年比では11.0%減)。
印刷・情報用紙は前年比7.2%減だが、2019年比では26.4%減となる。ウィズコロナの浸透による経済活動の正常化で持ち直しはあるものの、デジタル化や人口減少といった構造的な要因に加えて、需要家のコスト削減姿勢が依然強いことなどから厳しい見通しとなった。
※内需量=国内出荷量+輸入量+流通在庫量の前年比増減量
◇
製紙連では、2023年の内需のプラス要因として、景気の緩やかな回復基調、インバウンド需要の回復、ネット通販などECの拡大、脱プラ・減プラによる紙化の動きなどを挙げる一方、人口減少と少子高齢化、デジタル化の加速、包装様式の変化(省包装/簡易包装化等)、景気下振れリスクなどのマイナス要因を想定した。
紙・板紙の内需は、コロナ禍の影響を受けた2020年に前年比9.5%減と、リーマン・ショック直後の2009年(9.2%減)を上回るマイナス幅を記録、2021年は1.6%増と11年ぶりのプラスとなったものの、コロナ禍前を大きく下回る水準にとどまった。
2022年は、パッケージング用紙や衛生用紙は前年を上回ったものの、グラフィック用紙の不振が響き、紙・板紙計では1.0%減となった。
2023年の紙・板紙の内需見通しは前年比2.1%減。板紙は、ライナー、中芯原紙、段ボール原紙、白板紙、紙器用板紙いずれも0.6〜0.7%増の見通しだが、紙に関しては、包装用紙(0.3%増)、衛生用紙(1.0%増)を除くと、新聞用紙、塗工印刷用紙、非塗工印刷用紙とも前年比8.0%減と極めて厳しい見通し。情報用紙は5.0%減を見込む。
印刷・情報用紙の品種別の2023年の見通しは次のとおり。
■塗工印刷用紙
景気は経済活動の正常化で持ち直しつつあり、広告市場全体としては若干の増加が期待されるものの、紙媒体にとっては厳しい状況が続く。デジタル化や人口減少といった構造的な要因に加えて、企業のコスト削減姿勢が強いことから販促費は抑制され、カタログ、チラシ、パンフレット等の発行回数や部数の減少、判型縮小などが加速すると見られる。ワールド・ベースボール・クラシック開催等のイベントによる内需の押し上げ効果は、ごくわずかと予想。
前年比8.0%減が見込まれ、2019年比では30.7%減。過去のピークだった2006年に対しては4割の水準。
■非塗工印刷用紙
上級印刷紙は、チラシや目論見書・取扱説明書、学習参考書など、用途は広範囲に及び、汎用性は高いものの、構造的な要因に加えて物価高の影響を受け、需要家のコストダウン強化による使用量削減が加速すると見られる。中・下級印刷紙は、主たる需要先である出版業界を取り巻く環境が依然厳しく、部数の減少が続く。コミックスではアプリやWebからのヒットも期待されるが、全体としては、電子化の加速による情報源や娯楽の多様化などにより、雑誌を中心に引き続き不振が予想される。
前年比8.0%減が見込まれ、2019年比では24.6%減。過去のピークだった1991年に対しては3割強の水準。
■情報用紙
PPC用紙は在宅勤務やWeb会議の定着に加えて、企業や個人のコストダウン強化により、使用量削減が加速すると見られる。フォーム用紙は、DM向けは需要の広がりが期待できるものの、全体としては、デジタル化の進展により減少。複写原紙は、ペーパーレス化などにより減少。一方、感熱紙原紙は、人流回復・インバウンド増により、レシート用途等で回復が期待されるほか、通販向け配送ラベル用途の増加などにより、需要は引き続き底堅く推移すると予想。
前年比5.0%減が見込まれ、2019年比では18.4%減。過去のピークだった2008年に対しては7割強の水準。
【印刷新報2023年1月26日付掲載】
その他掲載記事
・特集 page2023
・東印工組 新春の集いに400名超
・「10年後の紙とくらし」展
5社が未来のパッケージの日常を提案
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2023年1月12日付
加藤文明社
千葉商科大生が見学と実習
未来のデザイナーに「学びの場」
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クリエイターとともにアイデアやプロダクトを形にしていく加藤文明社(加藤文男社長、東京都千代田区)のコラボレーションスペース「atelier gray(アトリエグレー)」では、学生たちを受け入れ、ものづくりの学びの場を提供している。
12月9日には、千葉商科大学政策情報学部のエディトリアルデザインを専攻する学生20名を対象に工場見学会と紙製ファイルをつくるワークショップを行った。当日は同大で映像制作を学ぶ学生も参加し、その模様を自ら撮影しオンライン番組の同時配信も行った。
工場(新宿生産センター)見学会では、普段はなかなか見る機会がないオフセット印刷機や折りや抜きの製本設備などを見て回り、印刷の基礎知識や本ができるまでの一連の流れを学んだ。
また、「紙を通して企業の社会活動を学ぶ」をテーマに、「お〜 いお茶」などの飲料製造時に排出される茶殻を利活用した「茶殻混抄紙」の企画・開発に携わった伊藤園の特販営業本部特販部専任部長の魚谷昭彦氏と北越コーポレーションの洋紙・白板紙事業本部卸商部卸商担当課長の細見忠史氏を講師に招いてセミナーを行った。
茶殻混抄紙は、不要になった茶殻を、パルプに混ぜ合わせてアップサイクルした環境紙。お茶に含まれるカテキンによる抗菌・消臭効果もある。
伊藤園では、年間で東京ドーム約1杯分の茶殻が廃棄されるという。同社では茶殻を使った紙のほか、建材や樹脂によるさまざまな茶殻リサイクル製品を提案している。
茶殻混抄紙は、同社の名刺をはじめとする紙製品関係や企業レポートなどに使っており、外販で利用を広げる取組みにも力を入れている。
茶殻混抄紙について、伊藤園の魚谷氏は「企業による環境へのPR、SDGsやCSR活動として、実際に商品化することで、お客様に伝わりやすい」とアピールした。
ワークショップでは、この茶殻混抄紙に、学生たちがそれぞれ事前に描いてきたデザインを枚葉インクジェット機で印刷し、オリジナルの紙ファイルを製作した。
加藤文明社営業統括本部営業部PD課課長代理・atelier grayプリンティングディレクターの平井彰氏は「今回の千葉商科大学さんによるデザインと映像・配信の2つの実地研修ができるハイブリッド授業は好評で、今回が3回目になる。未来のデザイナーの方々に印刷への興味や関心を持ってもらう機会になればうれしい。今後も継続していきたい」と話している。
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ワークショップでは紙ファイルを作成した |
【印刷新報2023年1月12日付掲載】
その他掲載記事
・特集 光文堂新春機材展 PRINT DOORS 2023
・日印産連 新年交歓会に450名
・大日本、凸版、共同社員向け年頭あいさつ
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2023年1月1日付
信陽堂印刷所(長野)
聴覚障害者用グッズを商品化
生活課題を解決、災害時にも有効
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信陽堂印刷所(有賀雅和社長、長野県塩尻市)は、聴覚障害者が生活で身に付ける自動車用ステッカー、バッグ用チャーム、缶バッジの3種類を商品化し、2022年12月に一般向け販売を開始した。
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3商品4種類のグッズを販売 |
日本国内では、新型コロナウイルス感染拡大防止のためマスクの着用が常態化しているが、聴覚障害を持つ人にとっては、相手にマスクを着用されることで口の動きが読めなくなり、コミュニケーションの取りづらい環境となった。
また、自動車を運転している際にクラクションを鳴らされても聞こえが悪いため、あおり運転につながってしまうケースや、平衡感覚の弱さから、ふらつきにより周囲と体が当たってしまい怪訝な顔をされるなど、トラブルになるケースもある。
信陽堂印刷所では、このような生活課題を解決したいという聴覚障害を持つ男性からの相談をきっかけに、共同で商品開発を行った。日常、課題に感じている場面で利用できるように、自動車に貼るステッカー、バッグにつけるチャーム、衣服や帽子につける缶バッジの3種類を製作した。
さらに、これらを社会に広げていくため、商品の販売を開始した。現在は発注を受けてからの製造となるが、今後、長期的な取組みとして販売方法を考えていく。
■有賀社長の話
聴覚障害を持つ方は、2008年より自動車に「聴覚障害者標識」の表示が義務化されたが、この自動車用ステッカーに描かれている黄色い蝶のマークの認知度が低く、ステッカーを貼っていても周囲の運転手に自分の聴覚が弱いことに気づいてもらえないと聞いていた。そんな折、当社のある塩尻市が2022年4月に長野県で3番目に手話言語条例を制定したこともあり、聴覚障害者の方の役に立ちたいと考え、商品開発に至った。見て気づいてもらいやすいようにイラストや色を意識し、文章表現もいろいろ検討した。
本商品は、聴覚障害を持つ方の生活課題を改善するだけでなく、災害時においても大きな効果を発揮すると考えている。聴覚障害を持つ方は見た目では判断することが難しいので、音声による情報が伝わらないことを周囲が認識しにくい。その結果、指示が聞こえないことで集団行動が上手くできず、場合によっては逃げ遅れてしまうことも考えられる。本商品を身に付けていれば障害について知らせることができ、災害時でも周囲が理解ある行動や対応をしやすくなる。
コロナ禍で生活が一層不便になった聴覚障害者の方の課題を少しでも解消できればと考えている。
【商品概要】
◇自動車用ステッカー(強粘剥離タイプ)
サイズ125o×125o、定価720円(税別)
◇バッグ用チャーム
サイズ85×70o、定価1,200円(税別)
◇缶バッジ
サイズ45o、定価320円(税別)
※いずれの商品も聴覚障害の種類により、「補聴(緑)」、「左耳が聞こえにくいです(青)」、「右耳が聞こえにくいです(赤)」、「声が聞こえにくいです(黄)」の4種(4色)を展開。
■(有)信陽堂印刷所
昭和42年設立。長野県塩尻市で50年以上にわたり一般商業印刷や特殊印刷等の印刷加工事業を行っている。従業員数は5名。法人から個人客までのさまざまなニーズに応え、アイデアや想いを形にし、広く社会に貢献している。2020年には、第4期長野県SDGs推進企業登録制度に登録し、塩尻市内の高等学校との商品企画の実施や、エシカル名刺の作成等も行っている。電話0263-52-0136。
【印刷新報2023年1月1日付掲載】
その他掲載記事
新年特集号
・体験の価値を再発見
・IGAS2022レポート 印刷の現在と未来をキーワードから読み解く
・各団体、企業年頭所感「DXを捉える」
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2022年12月22日付
【2022年の10大ニュース】
世界の動向が業界にも直結
多くの課題を引き継ぎ越年
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本紙が選んだ 【2022年の10大ニュース】
1. 止まらない資材・エネルギー価格高騰、価格転嫁が課題に
2. 日印産連、「2050年カーボンニュートラル宣言」公表
3. IGAS2022開催、メーカー間連携がさらに進捗
4. 全印工連、ジャグラなどDX事業を本格スタート
5. SDGsに着目する印刷会社が急増、ビジネスとのつながりが具体化
6. メタバースビジネス、大手印刷会社を中心に加速
7. コロナ禍が3年目、関連倒産が増える
8. 出版流通改革へ丸紅と出版大手3社が新会社設立、書籍へのICタグ装着を予定
9. SR調達の推進に向け全印工連がイベント開催、自治体等に訴求
10.カラー標準化のG7認証、JPAが国内初の認証機関に
中国のゼロコロナ政策やウクライナ侵攻の長期化により、世界経済の停滞が長引き、資源エネルギー価格の高騰が続いている。日本の産業、そして印刷業界にまで、部材・部品、資源、エネルギーの供給難として影響し、かつてない価格上昇を引き起こしている。
グローバル経済はヒト・モノ・カネ・情報の流動性を高め、成長発展をもたらしたが、一方で、疫病の蔓延やサプライチェーンの分断、気候変動など負の側面を増大させた。リスクは世界全体で共有されるものとなった。日本の印刷業界も世界の動きに連なり、影響が直結する状況に変わってきている。新たなリスクへの備えが必要だ。
また、課題解決も世界共通の性質を帯び、そのためにSDGsが生まれた。SDGsを達成するアイデア、ノウハウ、製品や技術、人材を提供することは、日本のみにとどまらず、世界中の社会や市場に貢献できるチャンスにもなる。正負いずれにおいても、グローバルな思考で捉えるべき時代となった。
◇
2022年、印刷業界が最も意識せざるを得なかった問題は、3年目に入ったコロナ禍もさることながら、やはり資材・エネルギー価格の高騰だろう。省資源・省エネによるコスト削減、代替製品の検討、そして、コストアップ分をいかに価格転嫁できるか、多くの企業が模索し続けた。
日本印刷産業連合会は、9月14日の日本経済新聞・朝刊に関連10団体と連名で意見広告を掲載した。印刷業界として価格転嫁への理解を求めるとともに、価格を超える価値を提供する「高付加価値コミュニケーションサービス産業」を目指し取り組んでいることを伝えた。
「9月 印刷の月」記念式典では、日印産連の北島義斉会長が「会員企業の皆様には取引先との交渉を粘り強く進め、品質やサービスの向上に努めて印刷産業への理解につなげていただきたい」と述べた。
また、日印産連は「下請適正取引の推進に向けた自主行動計画」を3月に公表。8月以降、印刷業における下請ガイドライン改訂に向けたワーキンググループ作業も開始した。
脱プラスチック・脱炭素に向けた動きもさらに高まった。日印産連は、「2050年カーボンニュートラル宣言」を3月31日に公表し、印刷産業の具体的な取組みを示すと同時に、2030年度のCO2排出量と削減率の目標を設定した。
6月には、SDGsへの理解促進と導入を支援するポータルサイトを開設。9月から10団体会員企業に向けたSDGs講習会を開始した。
SDGsへの取組みは、企業規模の大小にかかわらず広がっている。社会的責任を果たすだけでなく、差別化戦略の一環とする積極的な動きが見られる。価格競争から脱却するためにも重要な視点となる。
全日本印刷工業組合連合会は、2月にCSRシンポジウムを和歌山市で、9月にCSRサミットを名古屋市で、行政関係者や一般来場者も交えて開催。「SR調達」の重要性とその導入を行政に訴えた。また、東京都は4月から最低制限価格制度を入札に導入した。
政府の緊急融資が一段落し、借入金の返済も始まり出したことから、印刷関連会社のコロナ関連倒産が増えている。資金繰りだけでは限界があり、やはり業態変革、新市場開拓などが不可欠となる。
全印工連、ジャグラは相次いでDX事業を本格スタートした。全印工連が10月から組合員に提供を始めたDXプラットフォームシステム「DX-PLAT」の運用では、より付加価値の高い営業に特化する会社、製造に特化する会社の連携により、過当競争に歯止めをかけ、新たな価値創造に向けた反転攻勢に挑む。
11月に開催されたIGAS2022では、各工程にわたるメーカー間連携が際立ち、工程統合管理による印刷業の新時代の幕が開けた。デジタルワークフローの運用が差別化の鍵を握る。
将来的な有望市場としてメタバース関連も今年は注目された。凸版印刷は4月から、ビジネス向けのサービス基盤「ミラバース」の展開を開始。2025年度に、関連受注を含めて100億円の売上を目指す。中堅印刷会社でも新ビジネスの模索が始まっていくと予想される。
【印刷新報2022年12月22日付掲載】
その他掲載記事
・全印工連 産業戦略デザイン室 DXの収益モデル検討
・印刷関連8社 「日本サステナブル印刷協会」設立
・育英グラフィックの会 G7認証の理解深める
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2022年12月15日付
JAGAT大会2022
“創注”目指すDXを考える
page2023で深掘り提案
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日本印刷技術協会(JAGAT)は11月30日、JAGAT大会2022を東京の本部スタジオからの配信によりオンライン形式で開催した。「創注」につなげるためのDX(デジタルトランスフォーメーション)への取組み、デジタルとフィジカル(現場力)の融合などを取り上げ、明日からの経営にヒントを提供した。
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講師の亀卦川氏 |
JAGATでは、今回議論した内容をさらに深掘りし、2月1日〜3日に開催する「page2023」で提案する。Page2023の全体テーマも「創注」となる。
JAGAT大会では、基調講演として亀卦川(きけがわ)篤氏が印刷ビジネスとDXについて語った。亀卦川氏は凸版印刷で31年間にわたり、日本初のインターネット企業サイトや電子チラシサービスの立上げなど、販促プロモーションや新事業開発に携わり、今年4月からHabitat株式会社取締役、クロス・アンブレラ代表としてベンチャー企業支援などを行っている。
講演では、日本企業が抱えるDXにまつわる課題を指摘したうえで、「DXとはBT(ビジネストランスフォーメーション:ビジネス変革)のための手段・道具にすぎない。デジタル化が最優先なのではなく、社員が失敗を恐れず安心して変革に挑戦できる環境づくりや、全員で変革の目的を共有できる体制づくりが重要だ」と述べた。
また、印刷会社の現場力は確かに強いと評価したうえで、「印刷業界は『受注』という言葉に強く縛られて、得意先第一という名目があるために変わることができない。発想を転換し、『創注(自社の価値を創り出し得意先に利用を促す)』を目指す"攻めのDX"が必要だ」と強調した。
亀卦川氏は、印刷業界が変革するための具体的な切り口(チャンス)として次の8つを挙げた。
・プロダクトアウト→マーケットイン
・マス→ニッチ
・単発→継続
・同業種連携→異業種共創
・カスタマイズ→オリジナル
・フロー→ストック
・無償→有償
・表現→オンライン接続
社会課題の解決からニーズを捉えていく発想を持つ/印刷物を納めて終わりではなくノウハウを蓄積して「仕組み」でお客と付き合う/同質化ではなく差別化志向を強める/正しく美しく作るだけでなく「つながる」効果を考える、など印刷会社が今後採るべき戦略を問いかけた。
また、亀卦川氏とのやり取りの中でJAGATの郡司専務理事は「いくらデジタル化、見える化、スマートファクトリーだと言っても、注文がなければ何もできない。中小印刷会社も、仕事のサービス化やマーケティングとの連動、適材適所の人材採用で創注に向かっていきたい」と考えを述べた。
このほか、JAGATの各エキスパートからも経営戦略、DXワークフロー、人材教育などをテーマに発表が行われた。
【印刷新報2022年12月15日付掲載】
その他掲載記事
・全日シール IGAS大会に270名 「協創」テーマに
・新潟県印工組 新理事長に遠山亮氏
・製本用JDFエディターを共同開発
あけぼの/ミューラー・マルティニジャパン
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2022年12月08日付
モリサワ、写研書体の改刻で進捗報告
2024年に3書体をリリース予定
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モリサワ(森澤彰彦社長、本社・大阪市浪速区)は、写研書体の開発プロジェクトにおいて、写研(笠原義隆社長、本社・東京都豊島区)の代表的な書体である「石井明朝 ニュースタイル大がな(NKL)」「石井明朝 オールドスタイル大がな(OKL)」「石井ゴシック」をOpenTypeフォントとして改刻し、2024年にリリースすると発表した。クラウド型のフォントサービス「Morisawa Fonts」のスタンダードプランとして提供する予定。その他の写研書体に関する開発についても決定次第発表される。
11月24日にはIGAS2022の同社ブース内で、プロジェクトに関わるタイプデザイナーによる特別セミナーが行われ、開発にかける思いと進捗状況について語った。
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開発プロジェクトに携わる(左から)伊藤氏、鳥海氏、原野氏 |
■2024年は写植機発明100周年
開発プロジェクトは、石井書体を保有する写研と、モリサワおよびそのグループ会社である字游工房のタイプデザイナーが参加する3社共同の取組み。全体監修は、写研出身で現在は字游工房の書体設計士である鳥海修氏が務めている。
石井書体は、写研の創業者である石井茂吉氏が開発し、写研の写真植字機および専用のシステムを通じて、印刷書体として広く親しまれてきた。特に石井明朝は、筆書きのニュアンスを残した伸びやかで柔らかく上品なイメージが特徴で、当時全盛だった多色刷りのカラー雑誌の本文などに積極的に採用された。DTPが主流になった現在においても、デジタルフォント化を希望する声が絶えない。
改刻が予定されているOpenTypeフォントの石井明朝ファミリー、石井ゴシックファミリーは、かつての上品で精微な美しさはそのままに、現代のDTPやオンスクリーン環境に最適化したリデザインにより、さらに洗練された印象の書体に生まれ変わる。
写研では「当社の書体が、写植機発明100周年である2024年にリニューアルされる運びとなり、大変感慨深い。当社のシステムでの利用に限定されていた石井書体だが、このリリースを機により多くの皆様に幅広くご利用いただきたい」とコメントしている。
■独自の魅力を残しつつ洗練された書体に
IGASモリサワブースにおけるセミナーには、字游工房から鳥海修氏とタイプデザイナーの伊藤親雄氏、モリサワからタイプデザイナーの原野佳純氏が登壇した。
1979年に写研に入社し、書体開発に携わった鳥海氏は「このまま使われなくなるおそれもあった写研書体が、モリサワとの提携で利用できるようになり素直に嬉しい。活字文化の点でも歴史的な意味を持つ。写研書体改刻の私のスタンスは"継承"。良いところは残しながら、調整が必要な部分は変えていく。写研書体を知らない若い世代にも愛される書体となるように、今の時代に合わせて良さを残せたら幸いだ」と話した。
伊藤氏は「現在のデジタルフォントにはない手書きベースならではの魅力が写研書体にはある。写植ブーム再来で盛り上がってほしい」と話す。
また、原野氏も「プロジェクトに携わることで、温かみのある石井書体の良さを改めて見直した」と思いを述べた。
【印刷新報2022年12月8日付掲載】
その他掲載記事
・IGAS2022 5日間で3万3,000人が来場
・フォーム工連 業界の現状と課題 調査報告会開催
・全日スクリーン・デジタル印刷協組 創立50周年を祝う
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2022年11月24日付
日本WPA
「Ecoカルタ」をリニューアル
環境へのより深い理解を
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一般社団法人日本WPA(奥継雄会長)はこのほど、子ども向けの環境カルタ「Eco(エコ)カルタ」のリニューアル版を制作した。読み札の内容への理解を深めるために、丁寧な注釈をつけた説明書を同梱し、保護者や年長者が、年少者への説明の材料や資料として活用できる。また、それぞれの読み札に関連するSDGsのゴールのアイコンを掲載して一目でわかるよう工夫を凝らしている。今まで以上に幅広い層で活用されることが期待される。
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リニューアルした「Ecoカルタ」 |
日本WPAでは、2016年に「未来の環境を担う子ども」向けの環境カルタとして「Ecoカルタ」を独自に制作した。
その後、日本WPAの会員を通じて地域の教育委員会、自治会、学童保育(児童クラブ)などでの環境活動のために幅広く寄付を行い、合計4,000部近く重版してきた。
また、エコプロ展や脱炭素チャレンジカップ等のイベントでの活用も進め、「カルタ」を通じて環境意識の向上に寄与してきた。
このたびの改訂版は、昨今のSDGsへの関心の高まりを受け、環境問題や気候変動問題に対してより深い理解が深まるようリニューアルしたもの。
制作にあたり、公益財団法人日本環境協会の協力を得たほか、新しい試みとして、リニューアルした読み札の一部を、日本環境協会が運営する「こどもエコクラブ(http://www.j-ecoclub.jp/)」からの応募で決定した。
環境活動に活用を希望する場合は、日本WPA事務局(https://www.waterless.jp/inquiry/)まで連絡を。
なお、読み札・取り札およびパッケージの印刷は、水も空気も汚さない「水なしLEDUV印刷」で製作されている。
【印刷新報2022年11月24日付掲載】
その他掲載記事
・IGAS2022、開幕 フレキソ・ジャパン2022も同時に
・ジャグラ全国協議会 DXの進捗状況を共有
・第25回 自費出版文化賞 表彰式 入賞74名を称える
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日本製本紙工新聞 2022年11月20日付
早和製本(京都市)
御朱印帳で次々にコラボレーション
菓子のデザイン、大胆に採用
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早和製本(津岡正男社長、京都市南区、従業員15名)は、蛇腹和紙で持つ強みを活かしたオリジナル御朱印帳の製作・販売で独自の展開を図っている。企業や公共施設とのコラボレーションによる商品開発をさらに活発化させ、「SOWALABO(登録商標)」のブランド力を高めることに成功した。
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10月に発売したカルビーとのコラボ商品 |
■京都市のふるさと納税返礼品にも採用
早和製本は、3年前に「御朱印帳 蛇腹和紙」が2019年度超モノづくり部品大賞〈生活関連部門〉を受賞した。日本モノづくり会議と日刊工業新聞社が主催するもので、審査委員からは「日本古来の伝統工芸品を工業製品に仕上げた。一挙に用途が広がる可能性がある。日本的なモノづくりの原点として評価できる」と評された。工業系の製品が主な受賞対象だったが、製本会社として初の受賞となった。
同社はもともと、ケース入りの蛇腹和紙連続用紙を販売していたが、特殊加工の和紙を使用し、「墨が浸透しすぎず裏面に染み出ない」工夫を施したことで、御朱印帳への応用が広がった。
2021年12月には、京都市のふるさと納税返礼品に同社の京都西陣織御朱印帳(8種)が選ばれ、楽天市場、ふるなびでも取り扱われている。
販売展開で特徴的なのは、菓子メーカーを中心とした企業とのコラボレーションだ。カルビーとは「じゃがりこ」「ポテトチップス」の商品パッケージをそのままデザインに使った御朱印帳(各3種類)を開発。今年10月20日からネットショップ(https://sowalabo.shopselect.net/)などで販売し、全国から反響がある。価格は1冊990円(税込)。各種セット販売も行っている。本文は蛇腹仕様で、通常48頁を16頁に減らしてコンパクトな造りとした。
そのほか、セイカ食品の「ボンタンアメ」、オリオンの「ココア シガレット」など、ロングセラー菓子のパッケージを御朱印帳にするなど、展開を広げている。伝統的な菓子と製本様式の相性の良さが感じられる。
11月15日、坂本龍馬の生誕記念日に発売したばかりの製品は「坂本龍馬御朱印帳 SOWALABO」。高知県立坂本龍馬記念館から肖像写真(立位像)と、田中良助宛の借用証文(書簡)の画像を借り、直筆署名の「坂本龍馬」の文字をそのまま忠実に復刻した。
蛇腹加工製本で48面タイプ。表紙は京都西陣織(税込3300円)、鉄紺色(同1650円)、柿渋色(同1650円)の3種があり、京都西陣織(膨らし加工)は唐織龍織+金糸刺繍の龍馬、鉄紺色、柿渋色はコート紙+カラー印刷+艶消PP貼+金箔の龍馬となっている。京都西陣織のみ立位像のシール1枚が付録する。
同社では「全国に点在する龍馬ゆかりの神社仏閣、龍馬が駆け抜けた史跡巡礼へ龍馬と共に日本中を巡っていただきたい」と販促している。
早和製本は1953年に昭栄堂製本として創業。1989年に野崎印刷紙業の完全子会社となった。人に役立つ面白い製品づくりを目指してSOWALABOブランドを立ち上げ、香り付き名入れ御朱印帳、ミシン目入りオリジナル折り鶴なども開発している。
【日本製本紙工新聞 2022年11月20日付掲載】
その他掲載記事
・IGAS2022 11月24日から開幕
・日宝綜合製本・岩坪社長が地元テレビに出演
・勝田製作所 60周年を機に新・中浜工場を竣工
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2022年11月10日付
太美工芸(名古屋市)
フリーランス活用で個人消費を開拓
アワードで審査員特別賞
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スクリーン印刷会社の太美工芸(野田哲也社長、名古屋市西区、従業員14名)は、11月1日に行われた「フリーランスパートナーシップアワード2022」で審査員特別賞を受賞した。
同アワードは、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(平田麻莉代表理事、東京都中央区)が運営。「自律的なキャリアを築ける世の中」に向けて大きな役割を果たすフリーランスおよびフリーランス活用企業の成長・活躍を目的に、未来につながる好事例をフリーランスが選び、表彰するもので、今回が4回目。活用企業部門とエージェント部門で大賞と審査員特別賞各1社、計4社が選出された。
活用企業部門で審査員特別賞を受賞した太美工芸は、1977年の創業以来、スクリーン印刷を核とした特殊印刷加工を強みに、ステッカー等の製造請負を手がけている。屋外で使用される耐候性に優れた業務用ステッカーの製作を得意とする。
長年地場に根付いて仕事をしてきたが、コロナ禍で地場の市場が縮小し、従来の構造のままでは会社が立ち行かなくなるという危機感から、全国に販路を広げる試みの一環として一般消費者向けの商品の企画販売に取り組んだ。『人を助ける印刷屋さん』というネットショップを立ち上げ、世の中の役に立てる商品の製造・販売を行うショップ運営に挑戦した。B to Bの下請業務を主体としてきたため、それ以外のノウハウがなく、ゼロから手探り状態での取組みであった。
そこで目を付けたのが外部人材の活用。スキルのある兼業・プロボノなどの外部人材にスポットで参画してもらい、自社の課題解決に協力を得ている。フルタイムで雇うほど仕事量はないが、自社だけでは難しい企画・広報の領域を、兼業人材がチームとなり担っている。
自社の採用のあり方にも変化が生まれた。フルタイムの長期雇用を前提とした正社員採用しかしてこなかったが、リモート・業務委託という形を経験して以降、足りない領域にスポットで関わってもらう人材が増えた。現在では、企画・広報を担う兼業人材4名と、組織の教育に関わる1名と業務委託契約を結んでいる。
こうした外部人材との協働は社員の刺激にもなり、モチベーションが向上し、仕事にスピード感が出ている。
【印刷新報2022年11月10日付掲載】
その他掲載記事
・IGAS2022特集 part2
・フレキソ・ジャパン2022特集
・全日スクリーン・デジタル印刷組合 50周年
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2022年10月27日付
印刷工業会/日印産連
男性社員が育休体験語る
中小企業の取得には課題あり
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印刷工業会女性活躍推進部会と日印産連ダイバーシティ推進部会は、男性社員の育児休業取得推進を目的とした無料オンラインセミナーを10月7日に開催し、100名以上が参加した。男性育休のコンサルタントとして活躍する広中秀俊氏(育Qドットコム(株)社長)の講演に続き、広中氏をファシリテーターとして、実際に育児休業を取得した経験のある印刷業界の男性社員4人が体験談などを語った。
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育休経験者がアドバイス。男性の左端が広中氏 |
今年4月から育児・介護休業法が改正され、特に10月から「産後パパ育休制度」が始まるなど、男性の子育て参加の広がりが期待される。女性活躍を推進する側面からも重要と考えられているが、実際には「職場に言い出しにくい」、「仕事を代われる人がいない」等の理由から低い取得率にとどまっている。
広中氏は講演の中で、全国の男性社員の育児休業取得率は14%、期間は1ヵ月未満が7割、大部分は1週間程度という現状を紹介しながら、「取得していない社員で8割は取りたいと考えている。就活生の9割は男性の育児休業取得に賛成だが、経営者・役員になると賛成は74%、4人に1人は後ろ向きだ。特に中小企業では7割が反対している」と、会社の規模により余裕度に差がある点を課題として指摘した。
広中氏は、最近の法改正や政策の具体的な内容に触れ、対応が必要であることを説明する一方、企業・社員・社会の三方よしの関係を築くことで、企業の価値向上を図れるメリットがあることへの理解を求めた。
第2部では、育休を取得したことのある男性社員に広中氏がヒアリングする形で、体験談や感じた課題、これから取得する人へのアドバイスを語った。参加したのは、共同印刷、大日本印刷、電通プロモーションプラス、トッパン・フォームズから各1名。それぞれ2人の子供がいる。
4氏とも、上司や部下の協力はほぼ得られ、育休が夫婦の相互理解や子供とのスキンシップを深めた点では共通していた。職場において取得を円滑にするポイントとしては次のような点が挙げられた。
・周囲の理解を得るため、早くから社内外に周知しておく
・仕事の引継ぎマニュアル作成、自宅での最低限のメール対応など、周囲の不安を解消することで支援を得やすくなる
・育休取得を良い機会として、属人化した業務の解消、部下に任せることによる業務範囲の広がりなど、仕事に前向きに活かすことを意識する
また、「子供用品を買ったり、街でバリアフリーについて考えさせられるなど、今までにない経験が仕事にも活きた」という発言もあった。
【印刷新報2022年10月27日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連・GP環境大賞等表彰式
小池都知事が業界の評価に感謝
・TOKYO PACK 2022 5万人を超える来場者
・全国印刷緑友会 埼玉大会 開催
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2022年10月20日付
全印工連CSRサミット2022
SDGsを経営に活かす
社会課題を自社の競争力に
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全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)は、「全印工連CSRサミット2022」を9月29日に名古屋市のウインクあいちで開催した。「SDGsを企業経営にいかに活かすか〜地域のありたい未来にしていくために」をテーマに基調講演、パネルディスカッション、分科会が開かれた。
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一般来場者を交え145名が参加した |
全国の組合員のほか学生や一般参加者など145名が参加したCSRサミットでは、はじめに全印工連・CSR推進委員会の浦久保康裕委員長が一般参加者に向けて印刷業界におけるCSR活動について説明。「全印工連では環境に配慮したGP認定制度や環境推進工場の推進、メディア・ユニバーサルデザイン、個人情報保護のJPPSのほか、2013年より日本初の業界CSR認定制度を推進してきた。また、CSR認定制度にSDGsの17のターゲットを紐付けし、昨年より本格的に運用している」と紹介しながら、今回の開催趣旨について、「今後はこの活動を企業経営にどのように活かし、そして行政・企業の調達活動、いわゆるSR調達にどのように採用いただくかをテーマに委員会で取り組んでいる。われわれの取組みを企業と行政の調達に活かしていただき、三方よしの考えでわれわれ自身も進化していきたい」と述べた。
続いて滝澤会長が登壇し、「印刷産業は行政機関はもとより地域の金融・教育・医療機関や商店などあらゆる産業の顧客に支えられてきた経緯がある。地域の皆様の理解なくして私たちの企業経営、事業継続はないと考えている。全印工連では10年前にCSR認定制度を立ち上げ、4,000社の組合員のうち138社が認定を取得。今後も認定社数は伸びていくと思われる。2015年には国連でSDGsが採択されたが、われわれのCSR認定項目はSDGsの目標にマッチする部分が多い。今後も地域の理解を得るために自社の活動を認定制度という『見える化』を通じて理解いただき、今後とも印刷産業を地域の皆様と発展させていきたい」と期待を語った。
基調講演では、全印工連・CSR認定委員会の委員長を務める亀井善太郎氏(PHP総研主席研究員)が講師となり、SDGsを活かした企業経営のあり方やSR調達の現状などを紹介した。
講演で亀井氏は、これからの企業戦略について「SDGsを上手く活かし、単なる価格競争でない差別化戦略が必要だ」と指摘しながら、従来のコスト戦略に起因する価格競争から脱却するために、差別化戦略に則った付加価値経営にシフトする必要性を説いた。
その付加価値を創出するカギとして“社会課題”を挙げ、そこに専門的な技術やデザイン、データを組み合わせながら、地域や他社と連携して付加価値創出を図る「掛け算の経営」が必要であることを指摘した。
また、社会課題を自社の競争力につなげるために、企画から調達、生産、販売などに係る自社のバリューチェーン全体に社会の視点を取り入れて見直すことを勧め、「社会にとってプラスの価値がどこにあり、逆に社会にとってのマイナスを小さくする活動について考えることで、自社の強みを再発見できる」と述べた。
続いてSR調達に話を移し、グローバル企業を中心にSR調達が浸透しはじめていることや、政府調達においても人権の視点を取り入れる動きが出ていることを紹介。地域の持続可能性を高めるためにも行政がSR調達を推進する重要性を説き、「調達というインセンティブを用いて地域の企業が地域の持続性にどう貢献できるかが大事になる。地域の方向性について広く話し合い、女性活躍や障がい者雇用など、各地域が何を選択するかを決めるべきだ」と述べた上で、活動に積極的な企業を後押しする行政調達の仕組みの構築を求めた。
そのほか、パネルディスカッションでは開催地である愛知県の地元行政、企業、教育機関の担当者を招き、SDGsに則った活動の紹介や質疑応答が行われた。分科会ではCSR推進委員会の影山摩子弥特別委員(横浜市立大学国際教養学部教授)と白子欽也委員(和歌山県印刷工業組合専務理事)がそれぞれ発表を行い、印刷産業におけるSR調達の現状などが報告された。
【印刷新報2022年10月20日付掲載】
その他掲載記事
・IGAS2022特集 さあ、IGASがやってくる
富士フイルム・RMGT・SCREEN GA・デュプロ…出展紹介
・SPACE-21・全国協議会 30周年行事を挙行
・東京グラフィックス60周年
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2022年10月6日付
令和3年経済センサス
「印刷・同関連業」の2020年出荷額は前年比5.6%減
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経済産業省および総務省は9月30日、「令和3年経済センサス-活動調査」の製造業に関する結果(確報)を公表した。2020年の「印刷・同関連業」(従業者4人以上事業所)の製造品出荷額等は4兆5,755億8,800万円、前年比5.6%減となった。
◇
経済センサスは、工業統計が製造業だけを対象に調査するのに対して、すべての産業・事業所を対象に行われる。今回は5年ぶりの経済センサス調査となり、2021年6月1日に実施された。全産業に関する速報値は今年5月31日に公表済み。
集計結果は、事業所数、従業者数は2021年6月1日現在、製造品出荷額等、付加価値額などは2020年の1年間(1〜12月)の数字となっている。
「印刷・同関連業」は、事業所数9,306事業所(前年比3.7%減)、従業者数23万5,105人(同6.6%減)。2020年6月1日現在(工業統計)ではそれぞれ9,661事業所(前年比2.3%減)、25万1,733人(0.8%減)だったので、特に従業者数の減少が目立つ。
製造品出荷額等は4兆5,755億8,800万円。2019年(工業統計)の4兆8,453億2,700万円と比べて5.6%減。2019年は前年比0.4%増と2007年以来のプラスだっただけに、一転して大幅な減少となった。
2020年は年初から新型コロナウイルス禍が経済・社会に深刻な停滞をもたらしたことが数字に表れた。
ただ、製造品出荷額の上では、リーマン・ショック後の2009年の8.4%減、東日本大震災が起きた2011年の7.6%減ほどの落込みにはならなかった。巣ごもり需要で売上が伸びた分野もそれなりにあったと見られる。
付加価値額は2兆999億800万円(前年比1.4%減)。
製造業に占める「印刷・同関連業」の構成比は、事業所数5.3%、従業者数3.1%、製造品出荷額等1.5%、付加価値額2.2%。従業者数が前年比0.2%減、付加価値額が同0.1%増、事業所数と製造品出荷額等は変わらず。
製造品出荷額等の各都道府県での業種別順位では、東京都で第3位に「印刷・同関連業」が入り、都の製造品出荷額等の中で9.8%を占めている。
※経済センサスと工業統計は調査方法が異なるため、厳密には数値が整合しない部分がある。
※製造業の業種別(細分類546業種)、品目別(約1,800品目)等の詳細な集計結果は2022年12月に公表される予定
【印刷新報2022年10月6日付掲載】
その他掲載記事
・2022全印工連フォーラム 開催 DXで多様性を
・フレキソ・ジャパン2022 IGAS2022と同時開催
テーマは「イノベーション for サステナビリティ」
・JPA G7認証講座開く 受講7名が合格
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2022年9月29日付
電子チラシ「shufoo!」利用者調査
物価上昇で買い物に変化
頻度、時間、非計画購買が増える
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凸版印刷(麿秀晴社長)とグループ会社のONE COMPATH(早川礼社長)は、ONE COMPATHが運営する国内最大級の電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」を利用する全国の会員(全年齢層の男女)を対象に2020年6月から買い物に関する意識調査を不定期で行っている。20回目となる最新調査は2022年7月5日〜14日に実施し、2万2112名から回答を得た。
コロナ禍に入って以降、スーパーでの買い物頻度・時間は減少し、「計画購買派」が増加する傾向にあったが、今回は変化が見られた。買い物頻度と買い物時間が増加傾向、また事前に計画せず店頭で買うものを決める「非計画購買派」も増加傾向が見て取れた。
調査期間中は新型コロナウイルス第7波の急拡大が懸念され始めた時期でありながら緊急事態宣言などの行動制限がなかったことに加え、物価上昇の影響も大きい。
スーパーに行く頻度では、「ほぼ毎日」が13.3%で、前回の2022年3月調査から0.9ポイント上昇した。13%超えは1年ぶりで、13.3%は調査開始以降最高タイ記録。
スーパーでの買い物時間はやや長くなる傾向にある。「10分未満」が前回から0.8ポイント、「10分〜20分未満」が0.6ポイントの減少。一方、比較的長い「20分〜30分未満」は前回から0.4ポイント、「30分以上」は0.8ポイントの上昇だった。
購入するものは店頭で決める「非計画購買」も増加した。「予定を立てずに購入」が0.8ポイント上昇。コロナ禍で増えた「予定していたものだけを購入」する計画購買派が1.2ポイント減少した。
買い物頻度・時間と非計画購買派の増加からは、緊急事態宣言等の行動制限がなかったことに加え、「物価上昇」が買い物スタイルに影響していることがわかる。
自由回答の中には、「安いものを探すので時間がかかる」「コロナよりも値上げのため、チラシ日にまとめ買いするようになった」等のコメントが目立つ。
【印刷新報2022年9月29日付掲載】
その他掲載記事
・価格転嫁推進へ発信力を強化 日印産連
・2022印刷産業夢メッセ 広島で10月21・22日に開催
・HOPE2022 2,500名が来場
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2022年9月15日付
職長への安全衛生教育が義務化
「製本業、印刷物加工業」など対象業種に
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労働安全衛生法施行令の一部改正により、令和5年4月1日から「新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業」で職長等に対する安全衛生教育が義務化される。対象業種の拡大に伴うもので、計12時間以上の安全衛生教育(講習受講)を行う必要がある。まず自社が対象業種に該当するかどうかを確認し、次年度からの対応を準備する必要がある。
■職長には12時間以上の受講が必要
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令は、今年2月24日に公布された。改正により、職長等に対する安全衛生教育の対象となる業種に、これまで除外されていた「食料品製造業」と「新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業」の2業種が追加された。施行は令和5年4月1日から。
追加の理由について厚生労働省は、都道府県労働局長にあてた通達の中で、「化学物質を取り扱う業種を追加するため」と説明している。
なお、中央労働災害防止協会(中災防)の資料によると、「印刷・製本」業では、年間500件前後の労働災害が発生している。
労働安全衛生法第60条では、「事業者は(中略)新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行わなければならない。」としている。
ここでいう職長とは総称に過ぎず、事業場によっては監督、班長、リーダー、作業長などさまざまな名称で呼ばれており、要するに、仕事を行う上で現場において指揮、命令する人と言うことができる。
事業場の規模や役職で定義されているわけではなく、たとえば経営者と従業員2名の製本会社など、経営者本人が教育を受ける必要が生じるケースもある。
労働安全衛生規則第40条では、「職長等の教育」について、作業方法の決定、労働者の配置、指導・監督の方法、危険性・有害性等の調査、異常時における措置などに関して最低12時間の教育を定めている。事業場ごとに最低1名は受講し、教育修了証の発行を受けなければならない。
中災防その他の団体が2日間にわたる講習を行っている。団体によって異なるが、受講費用はおよそ1万5000円〜2万5000円。受講者人数がまとまれば出張講習などのサポートもある。
仮に、安全衛生教育を実施せず、労災事故が発生したり、労働基準監督署の監査が入った場合、行政処分を受ける可能性がある。
自社が対象業種に該当するか不明確な場合は、各地区にある中災防の安全衛生サービスセンター等に問い合わせる方法がある。
■製本組合も対応を協議
9月6日に開かれた東京都製本工業組合の理事会では、職長への安全衛生教育の義務化について、一般社団法人東京技能者協会の専門家が説明し、組合の対応について協議が行われた。多くの組合員が対象となることから、法令対応の周知・啓発セミナーの実施などが検討された。セミナーの内容や実施方法、組合での受講の取りまとめ等についてはこれから検討する。
【印刷新報2022年9月15日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連 GP関連3賞が決定
・ウィザップ ハイデルのサブスクで生産性が2倍に
・第55回造本装幀コンクール授賞式
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2022年9月8日付
フォーム工連
「心理的安全性」学ぶ
組織づくりの根幹に
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日本フォーム印刷工業連合会(小谷敬二会長)は8月25日、2022年夏季講演会「健全な組織づくりを実現する心理的安全性―個人の成長と組織の成長のために」をZoomで開催した。講師は、東京大学大学院医学系研究科客員研究員で心理学博士・臨床心理士の関屋裕希氏。
関屋氏は、働く人のメンタルヘルスを専門に研究。科学的根拠に基づいたポジティブ心理学や認知行動アプローチを提案しており、TV出演や著作など多方面で活躍している。
講演では、急速な変化を続ける社会環境で今、注目を集めている「心理的安全性」についての正しい理解を深めながら、個人の成長と組織の成長を促す組織づくりとは何かを学んだ。
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講演する関屋氏 |
「心理的安全性」とは、組織内で率直に自分の意見を伝えても、「対人関係のリスクを心配することがない」、「安全である」ことが組織に共有されている状態のことを指す。「心理的安全性」が高いと問題指摘や提言のための行動を起こしやすく、リスク防止につながる。また、新しいアイデアや新規性の高い提案も出やすくなり、成果にもつながる。
リーダーは、メンバーからのネガティブな相談や報告に対して、否定するのではなく、まず、耳を傾けることが重要。そのうえで、「メンバーの相互理解を深める」「発言しやすい環境や雰囲気を醸成する」「未来志向かつ、協働的な表現を浸透させる」といったことに取り組まねばならない。
また、職場で心理的安全性を高めるためには、管理職も含めたメンバー全員で、「あいさつの励行」「反対意見があっても不機嫌な態度をとらない」「侮蔑的な表現を使わない」といった職場の「Civility(礼節)」を高める必要がある。
関屋氏は、言いにくいことを少しでも伝えやすくする「DESC法」の実践を推奨。DESC法は「Describe(描写する=誰もが納得しやすい客観性)」、「Explain(説明する=『私は』を主語にするメッセージ)」、「Suggest(提案する=具体的で実現可能なもの)」、「Choose(選択してもらう=相手の意見を尊重し、『No』に備えた代案も準備する)」の4つの段階を踏む話法。
そのうえで、個人面談などで、組織での役割、期待、仕事の目的など伝え、「責任感」を持ってもらう必要がある。
最後に、関屋氏は「『心理的安全性』とは、上司、部下がともに作っていくもの。まずは、互いの困りごとを『助け合う』ように意識していくことから始めてみるのがいい」とアドバイスした。
【印刷新報2022年9月8日付掲載】
その他掲載記事
・特集 9月 印刷の月
・東印工組 MIS「BRAIN」の概要発表
・IGAS2022 SMART FACTORY ZONEを設置
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2022年8月25日付
メタバース関連ビジネスが活発
活用シーンも急拡大
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メタバース分野の将来性を見込み、さまざまな産業で市場参入が相次いでいる。企業間連携の動きも活発だ。バーチャル空間における関連ビジネスの可能性には、印刷業界も注視しないわけにはいかない。
大日本印刷は、リアルとバーチャルを融合する「XR(Extended Reality)」の技術を活用し、新しい体験価値と経済圏を創出するXRコミュニケーション事業を2021年から推進している。
すでに、渋谷区宮下公園、秋葉原、札幌市北3条広場を高精細に表現したメタバースを展開するなど、公共空間の高度利用でも実績を重ねている。
利用のしやすさと高いセキュリティ品質を両立させたメタバース構築・運用支援、コンテンツ関連やデジタルアーカイブ関連で培った高精細な表現技術、メタバースで得られたデータを分析・活用したマーケティング活動支援などを強みとしている。
大日本印刷はこのほど、メタバース活用を含めた事業化で実績があるPwCコンサルティング(東京都千代田区)と協業を開始した。両社の強みを掛け合わせ、自治体や企業に向けてメタバースに関するコンサルティングから構築・運用まで一貫して支援していく。
PwCコンサルティングが実施した「メタバースのビジネス利用に関する日本企業1000社調査」によると、日本企業の87%がビジネスチャンスと捉えており、市場の拡大が見込まれている。
凸版印刷は、Jリーグの浦和レッズのクラブ設立30周年を記念して「REDS 030th VIRTUAL FAN WORLD by TOPPAN」を7月29日に開設した。凸版印刷がプロデュースしたメタバース空間に、浦和レッズの歴代ユニフォームやトロフィーの3DCG、30年間のチームの歴史を振り返ることができる写真展や軌跡映像などの展示が体感できる。
ファンワールド内では、浦和レッズのユニフォームを着た3Dアバターを介してファン同士の交流も行える。また、浦和レッズの現役選手が3Dアバターとして登場し、参加者は選手やチームを身近に感じることができる。
選手のアバターの生成には、凸版印刷が提供する、1枚の写真からフォトリアルな3Dアバターを自動生成できるサービス「MetaClone(R)アバター」を使用。選手自身の顔写真をアップロードし、入力した身長と体重の情報を基に等身大で再現した。
今後は、音声によるアバターコミュニケーションをファンと一緒に楽しめるイベントなどの開催を予定している。
凸版印刷は、独自の生体認証技術を持つノルミー(東京都中央区)と連携し、「手のひら」を使った本人認証機能を実装させた、安全・安心なメタバースサービスの開発も開始した。なりすましや乗っ取りなどの不正行為を防ぎ、セキュリティ強化を実現する。メタバースにおける本人認証システムを2022年9月までに開発する。掌静脈認証技術はメタバース以外にもチケットレスやキャッシュレス、キーレス等の市場に向け展開していく。
■メタバース総合展、10月26日〜28日に開催
第1回メタバース総合展【秋】が、10月26日から28日まで千葉市の幕張メッセで開催される。主催はRX Japan。
同展は、メタバースに関する幅広い製品・サービスを集結させ、最新動向・事例を学ぶことができる初の展示会。イベント、映像・CG、広告、アバター、DX推進、プラットフォームなど、さまざまなシーンで活用できるメタバース関連の製品・サービスを一度に比較検討し、体験できる機会とする。
メタバースの現在と未来を理解できる無料セミナーも連日開催する。「メタバースが拡張するエンターテイメント」「加速するXRと産業メタバース」「バーチャルSNS最前線」など。
なお、第2回XR総合展【秋】、NewTech Week2022【秋】が併催される。
【印刷新報2022年8月25日付掲載】
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・特集「HOPE2022」
・大日本印刷 海賊版対策サービス開始
・共同印刷メディアプロダクト
SCREEN GP ジャパンの「CTP Tranceporter」を導入
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2022年8月18日付
第20回環境優良工場表彰が決定
経済産業大臣賞は太陽堂印刷所
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封筒・紙袋などの紙製品メーカー、ムトウユニパック(武藤佳資会長)は、8月3日(はちみつの日)にちなんでNPO法人江東区ハニービー・プロジェクト(略称・ハニプロ)と協力協定を締結した。
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女性社員が考えたイメージロゴ |
東京都江東区、隅田川にかかる永代橋のたもとに自社ビルをもつムトウユニパックの屋上で養蜂を開始する。女性社員の有志「封筒女子部」が中心となり、ハニプロメンバーの指導のもとミツバチを飼育し、ハチミツの生産・活用を通して、都市の生態系の回復や自然保護、地域の活性化や福祉の向上に寄与することが目的。
ハニービー・プロジェクトは、都市の緑化推進や生態系回復、生物多様性を推進するため、江東区の重点事業として「都市養蜂」を事業化し、2015年から江東区役所の屋上で開始した。セイヨウミツバチ3群から飼育を開始し、初年度は約140s、2021年には5群に増やし約330sのハチミツを収穫している。瓶詰めから販売までを区内障がい者団体に委託し、子ども食堂や小学校に寄贈するなど地域に貢献している。
ムトウユニパックは、紙を扱うメーカーとして環境問題には常に興味を持っている。SDGsの達成に向けてさらなる取組みを模索していたところ、封筒女子部に江東区ハニービー・プロジェクトとの縁があった。ミツバチは「ポリネーター(花粉媒介者)」として多くの農作物や草花の受粉など、自然を豊かにする大きな役割を担っていることから、都内で養蜂をすることの意味を知った。
ムトウユニパックの自社ビル屋上から、セイヨウミツバチが飛ぶとされている約3キロ四方には、皇居・浜離宮・木場公園・隅田川テラスといった豊富な自然環境がある。
【印刷新報2022年8月18日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連 大阪万博「共創チャレンジ」に登録
・page2023出展募集開始
・業界の課題解決、人材育成に貢献
KGCプリンティングカレッジ
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2022年8月4日付
第20回環境優良工場表彰が決定
経済産業大臣賞は太陽堂印刷所
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一般社団法人日本印刷産業連合会(北島義斉会長)は、2022年度第20回印刷産業環境優良工場表彰の受賞工場を7月29日に公表した。一般部門、小規模事業所部門合わせて65工場から応募があり、12工場が受賞した。経済産業大臣賞には(株)太陽堂印刷所 第一工場(日暮秀一社長、千葉市)が選ばれた。
同表彰は、印刷産業界における各企業の環境問題に対する取組みを促進するとともに、印刷工場の環境改善および印刷企業に対する社会の一層の支持・理解を獲得することを目的に2002年に開始。経済産業省の後援を受け、過去19回、延べ294工場が受賞している。
第18回、第19回と経済産業大臣賞に該当する工場が選出されなかったが、今回は太陽堂印刷所第一工場が大臣賞を受賞。審査委員会からは次のように評価された。
「本工場は、1990年8月に操業を開始した、千葉市内の準工業地域の印刷団地にあるビジネスフォーム、商業印刷、データ出力サービス等の委託業務を手掛ける正規従業員18名の工場である。2017年度第16回にて局長賞を受賞し、会社として環境活動の仕組みは定着しているが、その後もISO14001を活用し、廃棄物の分別・リサイクル、VOC排出抑制、空調の更新、環境ISOの目標管理に展開するなど継続的な取組みは他社の参考になるところが多い。また、工場内には、トップメッセージや品質環境方針、社員からの労働災害防止運動の川柳、コミュニケーションを活性化させるサンクスカードが貼られ、各改善活動の活発さが感じられ、社長から一般社員まで環境に対する高い理念のもとで環境改善活動を展開している。小規模事業所ながら大企業と比べても遜色ない環境活動を行っていることから、業界の模範となる環境優良工場の評価に値する」。
審査委員会では今回の受賞工場の特徴として、地球温暖化防止や廃プラスチックのリサイクルに焦点を当てた活動など、地球環境を強く意識した取組みを挙げている。
【印刷新報2022年8月4日付掲載】
その他掲載記事
・2022年度 日印産連表彰 功労賞9名、振興賞17名に
・IGAS2022出展者説明会 印刷産業界復興のシンボルに
・東印工組 印カレeラーニング 9月から提供
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2022年7月21日付
「SOPTECとうほく2022」に4,750人
複雑化するニーズに解を示す
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「SOPTECとうほく2022」が、7月13日・14日に仙台市若林区の仙台卸商センター産業見本市会館「サンフェスタ」で開かれ、2日間で4,750人が来場した。「変革で未来への扉をこじ開けろ!」をテーマに、46社出展の展示会と20講座のセミナーで充実した。来年のSOPTECとうほく2023は7月13日(木)・14日(金)に開催を予定している。
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2日間で4750人が来場した |
13日午前9時半の開場前には、感染症対策のため密になる開会式は避け、展示場入口でオープニングのあいさつが行われた。東北地区印刷協議会の針生英一会長と東北各県の印刷工業組合理事長、来賓の全印工連・滝澤会長が参列した。
主催者を代表して針生会長は次のようにあいさつした。「前回のSOPTECは昨年の11月に開催し、それから約8ヵ月しか経っていない短い準備期間の中でご出展していただき、あらためて御礼を申し上げる。今回のSOPTECのテーマは『変革で未来への扉をこじ開けろ!』とした。今、コロナの問題やウクライナ情勢など、われわれの業界だけではなく、世界中を揺るがす大きな課題を抱えている。そうした中で開かれるSOPTECは、われわれが新たな時代に向けて一歩を踏み出すためのたいへん重要な意味を持っていると思っている。この2日間が、来場者にとって、また出展者のみなさんにとって実り多きものになるよう祈念申し上げる」
■導入しやすいコンパクト仕様の機器に関心
昨年の開催から期間が短く、悪天候も重なった今回は、運営の面では厳しさもあった。しかし、出展内容には幅の広がりが見られ、メーカー・ベンダーおよび印刷・加工会社が提案した最新のソリューションから来場者は"次の一手"のヒントを得ていたようだ。
現在、あらゆる資材やエネルギー、物流費等の価格が高騰している。また、人件費は年々上昇する一方、なかなか従業員を採用できない、あるいは定着しないといった人手不足の問題も深刻になっている。そのため、多くの出展ブースで、コスト削減や省人化・多能工化につながるデジタル機器、働き方改革を支援するソリューション、仕事を見える化(数値化)するシステムなどがキーワードとなっていた。
ある出展社の地元支店長は、特にコロナ禍が起きてからの2年間の変化が大きかったことを挙げ、次のように話した。
「エンドユーザーとの対面での接触が減った企業が、デジタルマーケティングとダイレクトメールを組み合わせるといった方向性を強めた。その結果、個々の受け手の属性に応じて届ける情報がより細かくなり、当社でいえば、たとえば自動ピッキングシステムへの印刷会社からの要望が増えている。従来、内容物の仕分け作業を人手に頼っていた会社が多いが、非効率と人手不足の2つの理由から作業のデジタル化、自動化を急いでいる。工程がますます複雑になりながら、人手は足りないという状況は東北全般で見られる。お客様のそうした困り事の解決に努めたい」
同社では、郵送物の自動ラッピングシステムも提案し、実演には高い関心が寄せられていた。
小規模企業でも導入しやすいコンパクト仕様の機器に対するニーズは高い。ウチダテクノは、デジタル印刷機のフィニッシングに最適なダイカッター「AeroDieCut」を実演。曲線のカットや特殊なクリース、ミシン目、穴開け、エンボス加工などが必要なパッケージなど、特に厚紙の印刷物を付加価値の高い製品に変える提案を行った。
東京ラミネックスは、新製品のA2ロール式パウチラミネーター「ADX-450G」を発表。薄手から超厚手までのPETラミフィルムが使用可能で、挿入するだけでラミネートからカットまで自動でこなす。掲示物、メニュー、下敷き、プレートなど幅広いニーズに対応する。
日本テクノは、電気使用量の見える化(デマンド管理システム等)や電気保安・電気小売などの総合サービスを紹介し、省エネ時代の改善活動を促した。
初日午前中の講演では、全印工連副会長の鳥原久資氏((株)マルワ)が「小さな会社がつくるSDGsの世界観〜2030年も元気な組織であるために」と題して、中小企業でも取り組めるSDGsをベースとした経営戦略について講演。また、初日午後には全製工連会長の田中真文氏((株)田中紙工)が「製本産業ビジョン2025で再創業」と題して、製本業の生き残り戦略と専業者集団としての強みをアピールした。
【印刷新報2022年7月21日付掲載】
その他掲載記事
・特集・GCJ東京大会
・IGAS2022、開催概要決定
・第55回造本装幀コンクール、入賞作発表
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2022年7月14日付
〈コンテンツ東京2022〉
新規ビジネス発想の宝庫
拡がるメディアの可能性を体感
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日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京2022」(主催・RX Japan)が6月29日から7月1日の3日間、東京ビッグサイト東展示棟で開催され、約4万4600人が来場した。970社が出展し、紙・特殊素材、映像・CG・AR・VR、アニメ・イラスト、広告などあらゆるメディアにまたがる最新の製品・サービスが競演。印刷会社にとっても今後の新規ビジネスを考える上でヒント満載の内容だった。印刷・加工関連の出展社に絞って紹介する。
■オリジナル紙製品からVR、3DCGまで
コンテンツ東京2022は、ライセンシングジャパン、映像・CG制作展、広告クリエイティブ・マーケティングEXPO、クリエイターEXPO、先端デジタルテクノロジー展の5つの展示会で構成された。
印刷関連業界からも、東京圏だけでなく、大阪に本社を置く新日本カレンダー、イシイ、高速オフセット、松本印刷(7月1日にマツモトに社名変更)や新潟県三条市のサンユー印刷などが出展した。
高速オフセット(大阪市北区)は、コンテンツ画像をサイトに登録するだけで簡単にグッズ販売ができる法人向けクラウド型ECサイト「ひとこま」を運営している。一般ユーザーは、直観的に好きな画像を選択し、1部からでもグッズを注文できる。たとえば、サッカーチームが選手の画像を支給し、同社がコンテンツと発注者情報を管理。ファンは12ヵ月違った選手の写真を入れた自分だけのオリジナルカレンダーを発注し、自宅に配送してもらえる。
佐川印刷(愛媛県松山市)は、「かんばん工房」のブランドで、等身大パネル、キャラクターハンガー、ハッピィエコバッグなどを展示。新商品として、1枚から作れるハッピィハッピ(法被)シリーズに「フード付き」を加えた。屋外イベントでも安心かつお洒落な着こなしができる。また、インクジェットプリントによる刺繍へのダイレクト印刷で、動物などリアルな毛並みと色彩を再現する「リアル刺繍」(特許出願中)のサービスを開始した。
昇文堂(東京都千代田区)は、従来からのオリジナルトランプ・カードゲーム・ジグソーパズル等のほか、大人も遊べる新感覚のカードゲームや、声を出さずに応援できる紙製のハリセン・メガホン・うちわを提案した。断裁・折り加工専門の田中紙工が関係会社にあり、さまざまな要望に応じられる。昇文堂の田中千佳子常務は「初めてコンテンツ東京に出展したが、当社の取引先になり得る来場者が数多く、初日から引合いあった」と手応えを感じていた。
「印刷機能を行える広告代理店」を謳う昌和印刷(東京都中央区)は、スプレッドオーバーと共同出展。スプレッドオーバーが提供するリモートVR接客クラウド「ミニクル」をアピールした。実際の施設をVR空間上に完全再現し、ビデオ通話を使ってユーザーと会話をしながら、対面のような満足度の高い案内を行える。
ニシカワ(東京都東大和市)は、「未来テンジ」をテーマに掲げ、3DCGコンテンツソリューション、3DCGホログラムディスプレイなど、最新のバーチャル技術を活用し、驚きを演出する展示、プロモーションを紹介。実際に体験できるブース構成とし、来場者の高い関心を誘っていた。これらは同社が開設したショールーム「MG CAMP」(東京都文京区白山)でも体験できる。
北斗社(東京都文京区)は、販促コンテンツ制作の企画から制作・運用まで月額定額制でトータル支援する「Contents Stock」を提案した。サービスにはWebサイト分析やデザイン制作、記事(コラム等)作成、バナー制作、図版制作などが含まれ、月額4万円、7万円、12万円の3つのプランから選べる(初期費用は各5万円)。
併せて、初期費用5万円+月額5万円の動画制作サービスも開始した。動画自動生成に、アイコン、効果音挿入、ナレーション、BGMを加えられる。
マル・ビ(東京都新宿区)は、「インバウンド向けツールのご提案〜レンチキュラーで お・も・て・な・し」と謳い、同社得意のレンチキュラー(3Dチェンジング)技術を用いた和風グッズをサンプル展示した。
なお、来年のコンテンツ東京2023は、6月28日(水)〜30日(金)に東京ビッグサイト東展示棟で開催される予定。
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「かんばん工房」のブランドでアイデア全開の佐川印刷(愛媛) |
【印刷新報2022年7月14日付掲載】
その他掲載記事
暑中特集号
・印刷業界の人材育成を考える
・東京グラフィックス・原田新会長が描く理事会改革
・事業再構築補助金第5回公募より
印刷・加工関連の採択案件
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2022年7月7日付
埼玉印工組
福祉施設に97万円を寄贈
障がい者アートのカレンダー収益で
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埼玉県印刷工業組合(惠勇人理事長)は、障がい者アーティストの絵画作品を採用した「KOBO-SYU オリジナルアートカレンダー2022」の収益金97万3,836円を社会福祉法人みぬま福祉会(高橋孝雄理事長、本部・埼玉県川口市)に寄贈した。
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恵理事長(右)から尾崎翔悟さんと渡邉あやさんに収益金の目録が贈呈された |
埼玉県南部で障がい者の就労支援等を行っているみぬま福祉会は、障がい者によるアート活動を25年以上前から展開しており、その活動拠点である工房集を2002年に開設。現在は約150名のアーティストが活動し、現代アートとして高い評価を受けている。
埼玉工組では、昨年6月に機関誌の企画でみぬま福祉会と惠理事長らによる座談会を実施。これがきっかけとなりコラボレーションが実現し、工房集で活動するアーティスト12名の作品を採用した「KOBO-SYU オリジナルアートカレンダー2022」の名入れ販売事業を行った結果、28社・3,890部を販売した。
6月14日に惠理事長が工房集を訪れ、採用作品を制作した尾崎翔悟さんと渡邉あやさんに収益金の目録を贈呈。その後、同事業の成果などについて報告した。
これを受けて、みぬま福祉会の渡邊早葉氏からは「私たちの取組みを外部にアピールする際に紹介できるような成功事例になった。広がりも生まれ、本当に有難く思っている」と感謝の言葉が述べられた。同じくスタッフの宮本恵美氏は「障がい者雇用が進まない中、雇用ではない活かし方として障がい者アートを知っていただくきっかけになった。一緒にこの価値を発信し、本当の意味での共生社会を目指してくださることに感謝している。社会的弱者と言われる人でもすばらしい力を持っていることを社会に周知していく上で、私たちだけでは難しいことも埼玉工組さんの力をお借りしながら頑張っていきたい」と一層の活動協力に期待を寄せた。
惠理事長は「世の中には国や役所では埋められない問題や課題も多い。われわれの知識や技術、仲間のつながりを通して一緒に課題を解決していきたい。カレンダー事業は評判も良く、第2弾を望む声も届いている。今後も続けていきたい」と事業の継続を約束。日本印刷産業連合会などが主催する「全国カレンダー展」への出品も視野に入れながら活動を拡大していく意向を示した。
【印刷新報2022年7月7日付掲載】
その他掲載記事
・FFGS新社長に山田周一郎氏
・SOPTEC とうほく2022 7月13日・14日開催
・新理事長に聞く 石川県印刷工業組合 小杉善文 理事長
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2022年6月23日付
日印産連
SDGs導入を支援
ポータルサイト開設
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日本印刷産業連合会は、10団体所属会員企業のSDGsに対する理解の促進とその導入を積極的に支援するための準備を進めてきた。そして、2022年6月より第1フェーズとして、@SDGsポータルサイトの開設Ae-learning機能付きアンケート調査の実施BSDGs講習会の開催―を順次実施していく。
SDGsポータルサイトは6月15日に開設した。日印産連のWebサイト上に新たに「印刷産業とSDGs」というタブを設け、SDGsを導入するための各種サポートツールと資料の提供、SDGs取り組み事例の紹介、YouTube解説動画の配信を行っている。印刷会社として取り組める事項・事例を分かりやすくまとめた「SDGsターゲットマッピングリスト」も掲載した。
アンケート調査は、会員企業のSDGsへの理解度と取り組みの実態を把握するとともに、提供するツールや講習会の内容への反映、日印産連の今後の施策検討に活かすことを目的に行うもの。googleフォームを利用して作られており、回答するにあたっては、SDGsポータルサイトに掲載した解説動画やPDF資料などを見た上で回答する方式となっている。そのため、アンケートの回答を行いながら、SDGsの基礎的な学習ができる仕組みとなっている。
SDGs講習会は、10団体事務局へのヒアリングを行った上で、8月後半から順次開催していく予定。講習会では、「自社の取り組みとSDGsのゴール・ターゲットとの紐づけ」も行う。SDGsターゲットマッピングリストを用いたワークショップ形式での学習を行い、SDGsが企業に求めるものへの理解を深め、新たな視点の習得を試みる。
日印産連では2023年度以降、SDGsを軸とした社会課題解決に向けたビジネスに関わる研究のほか、「SDGsアワード」の創設に向けた活動に第2フェーズとして取り組むことを計画している。
【SDGsターゲットマッピングリスト】
SDGsの169のターゲットのうち、印刷会社として取り組むことのできる約100のターゲットに絞り、「ビジネス機会の創出・(企業)価値向上」と「リスク対応」の2つの視点で具体的な取り組み事項・事例を分かりやすく数多く記載、自社に該当するものがあればチェックボックスにマークを入れ、紐づけることができるダウンロード可能なM/S Excel形式のリスト。
【印刷新報2022年6月23日付掲載】
その他掲載記事
・シール・ラベル特集
・日印産連新会長に北島義斉氏
・全国に広がる「本のまちづくり」
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2022年6月16日付
JPA、国内初のG7認証機関に
グレー管理で汎用的な色再現
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学校法人日本プリンティングアカデミー(東京都文京区、略称JPA)は、国際的な印刷色管理の認証「G7」を普及推進するアメリカの団体「Idealliance」と契約を締結し、日本初の認証機関となった。G7認証の取得を国内で可能にしたカリキュラムも開発。今年7月から本格的に取得講座を開講する。G7認証は、グレーを正確に再現すれば、異なる印刷方式や用紙・インキでも同じ見え方が再現できる印刷管理手法であり、グローバルで導入が進んでいる。
■G7認証の取得講座も開始
グローバルな非営利シンクタンクであるアメリカのIdealliance(イデアライアンス)は、2007年にISO規格のGRACoLとSWOPをまとめ、カラー印刷管理方式の認証として「G7認証」を制定した。G7は、グレーバランスを指標とするキャリブレーション手法とICCプロファイルによるカラーマネジメントを組み合わせて見た目の標準化を実現する方式であり、グレーの頭文字のGとCMYKRGBの7色の7を組み合わせて名付けられた。
G7の最も大きな価値の一つは、「完全に異なる印刷プロセスであっても、それぞれが他のシステムと視覚的に類似した結果を得ることができる」点にある(JPA「G7ガイドブック」)。すなわち、CMYKインキの制御を可能にするキャリブレーションプロセスを備えたすべての印刷デバイス(オフセット印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、校正システム等)に適用でき、複数のデバイス間で色を一致させられる。さらに、資材(用紙、インキ等)の要因にも影響されない。
G7認証制度の資格には、企業を対象とした「マスター」と、個人に対する認証の「プロフェッショナル」、「エキスパート」がある。G7プロフェッショナル、エキスパート認証を取得した専門家を社内で育成することで、工程全体の印刷品質の安定が図られ、顧客満足度向上と製造現場の省力化などが期待できる。
日本ではまだ実運用が少ないG7だが、すでに世界で4000社以上(主に印刷会社)がG7マスター認証を取得している。韓国では、印刷会社がブランドオーナーから取引条件としてG7認証の取得を言い渡されることが普通になっているといい、今後、日本でも顧客からの要望が強まる可能性がある。
2021年11月にIdeallianceとJPAはパートナーシップ契約を締結した。2022年、JPAを事務局としてIdealliance Official Partner in Japanが発足。JPAは日本の認証教育機関となり、国内でG7認証の取得ができるようになった。
印刷品質管理の基軸として、NPO法人印刷OEM研究会(浅野健理事長)と「3点グレー管理法」の研究開発を進めてきたJPAは今後、多様化する印刷プロセス(方式、資材など)に対応できる品質管理法の確立と運用を目指し、G7仕様の教育と認証取得講座の開催、国内でのG7普及活動を行っていく。
昨年11月にはG7認証制度普及のための推進委員会を11名の委員で発足した。認証制度説明会と認証取得講座の開催などを行っていく。日本語の教材および日本に適したカリキュラムやソフトウェアの開発も行い、7月には第2回G7認証取得講座(全4回コース)を予定している。
6月1日にはJPA本校において、印刷OEM研究会の通常総会に合わせてG7認証制度説明会を行った。
JPAの゙于鉉(チョ・ウヒョン)学校長は「顧客満足度向上や印刷方式の多様化への対応など、G7の運用は業界にとって非常に有意義だ。印刷会社の実務にマッチした認証制度にすることが大事だと考えている」と述べた。
また、印刷OEM研究会の浅野理事長は「日本では阿吽の呼吸で仕事ができてしまうことが災いし、科学的管理による印刷品質の標準化が遅れている。OEM研究会では3点グレー管理の考え方を全面的に取り入れてきたが、もう一度ここでJPAと一緒に(正確なグレーバランス調整を指標とする)G7認証の普及を図っていきたい」と抱負を語った。
【印刷新報2022年6月16日付掲載】
その他掲載記事
・ジャグラ愛知大会に400名超が参加 新会長に岡本泰氏
「ジャグラ コンパクトDX」も始動
・令和3年度補正・省エネ投資補助金
印刷機械の採択51件
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2022年6月2日付
〈印刷議員連盟・総会〉
独禁法・下請法の運用強化へ前進
用紙判断基準の検討は前倒し
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自由民主党「中小印刷産業振興議員連盟」(中曽根弘文会長)の総会が、5月26日午前8時から東京・永田町の衆議院第一議員会館で開かれた。今年2月の総会で課題とされた印刷用紙判断基準の見直し、用紙の一斉値上げ、諸資材価格高騰に伴う価格転嫁等に対する進捗と新たな施策について各省庁の担当官が説明した。全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)からは、地方自治体におけるSR調達の必要性と積極的な導入について要望が行われた。
■印刷用紙の判断基準の見直しは今年度に
グリーン購入法基本方針における印刷用紙の取扱いについて環境省大臣官房環境経済課は、5月25日付で各府省庁および各地方公共団体等のグリーン購入法担当者に文書で再周知を図った。
国内の古紙需給が逼迫する中、グリーン購入法が規定する特定調達品目のうち、印刷用紙(再生紙)について入手困難な状況が続いている。現状求められている高い古紙パルプ配合率が再生紙の供給不足の要因の一つと考えられる。
グリーン購入法関係省庁等連絡会議では、平成31年3月22日付で「印刷用紙の調達が困難な場合には、特定調達物品以外からの調達等、柔軟に対応することを確認する」と決定したが、依然、再生紙の入手困難が続いていることから、今回発出した文書ではこの決定について再度通知し、適切な対応を求めた。
また、印刷用紙の判断基準等の定期的な見直しについては、令和5年度の実施を予定していたが、4年度に検討することとした。
■印刷業を含む22業種に書面・立入調査を実施
公正取引委員会からは、中小事業者等の取引公正化の推進に向けて、独占禁止法および下請法の運用強化を図っていく方針が示された。
「独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査」の対象として、「印刷・同関連業」を含む22業種を選定。6月に10万社程度の書面調査を開始し、夏以降に立入調査を実施。さらに、関係事業者に対して具体的な懸念事項を明示した文書を送付の上、令和4年内をめどに調査結果を取りまとめる。
今年2月には「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を新設した。関係事業者に立入調査を行う「優越Gメン」の体制も整える。
昨年9月には「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」(フリーダイヤル0120-060-110)を設置。広報活動の強化もあり、公正取引委員会への相談件数は増加傾向にある(令和3年度は1万2096件)。
■印刷・情報用紙の安定供給を意識
経済産業省製造産業局素材産業課は、製紙会社により繰り返されてきた印刷・情報用紙の同一時期・同一値上げ幅での価格改定について、印刷業界・製紙業界双方のヒアリングから見えた問題点を指摘。原料高騰で用紙値上げが必要な理由はあるにしても、供給過剰により再び値崩れし、印刷事業者が価格転嫁するタイミングを失う状況が繰り返されていることから、安定供給を重要課題に挙げ、「印刷業界と製紙業界がしっかり連携するスキームづくりを進めたい」と述べた。
■加点リストなど具体的な評価項目でSR調達を
全印工連からは、調達の将来像について鳥原久資副会長が説明した。MUD、GP認定制度、CSR認定制度など、社会課題の解決に寄与する印刷業界の取組みを紹介。地方自治体は地域の持続可能性を高めるために、価格の安さを基準とした調達ではなく、地域が抱える課題を意識した独自性のある政策手段が必要だとし、SR調達の必要性と積極的な導入について要望した。鳥原副会長は「行政は加点・減点リストなど具体的な評価項目を作り、実際の調達に反映していただきたい」と述べた。
以上を踏まえ、議員からは、「輸入紙の利用を検討してはどうか」、「最低制限価格制度は必須であり、100%でなければ意味がない。総務省が意識して自治体に指導すべきだ。印刷業に対する導入率はどの程度なのか」等の意見が出た。
総務省の担当官は「導入率の現状は把握していない。経済産業省としっかり連携して進める」と回答。
全印工連の滝澤会長は輸入紙について、「品質は向上したが安定供給に難があり、見積りをした後、確実に手に入るのか不安だ。国際市況に左右される」と現状を説明した。
まとめにあたり中曽根会長は「製紙会社によって条件は違うはずなのに、紙の一律一斉値上げは誰もが不自然に思う。公取はしっかり監視し、不正予防への取組みを広くアナウンスしてほしい」と述べた。
【印刷新報2022年6月2日付掲載】
その他掲載記事
・令和4年度スタート 各方面で総会
・空也上人写真展を開催 東洋美術印刷
・ホリゾン・スマート・ソリューションフェア活況
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2022年5月26日付
JCメディア印刷シニア部会
伊藤達也議員を招き業界語る
下請取引適正化への強い思い
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全国JCメディア印刷シニア部会は5月23日、衆議院議員の伊藤達也氏を講師に迎えた研修会を開催し、YouTubeで配信した。「日本の展望と課題から見た今後の印刷メディア業界」と題し、部会を代表して川井伸夫氏(株式会社文伸 社長)と利根川英二氏(株式会社TONEGAWA 社長)が伊藤氏から印刷業界の発展につながるヒントを引き出した。
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左から伊藤議員、利根川氏、川井氏 |
伊藤達也氏(元金融担当大臣、東京22区)は中小企業政策通として知られ、2013年12月に設立された自由民主党中小印刷産業振興議員連盟の幹事長を務めている。同議連には現在、127名の自民党国会議員が所属している。
議連の立場から見た印刷業界の課題と今後の展望について問われた伊藤氏は、印刷市場の縮小、過当競争の現実を踏まえたうえで、「新しいチャレンジにより需要を掘り起こしていかなければ先がない。一方で、あらゆる産業とつながる印刷業界には伸び代がものすごくある。お客の変化をつかまえていけば、時代をリードする中心的な産業になれると強く感じる」と答え、これまでの印刷会社の視察を通して、「利益を上げている会社は社内がとても明るい。働きやすい職場環境に成功のヒントがあるのではないか」と感想を述べた。
また、印刷業界の具体的な課題として「収益管理ができている会社の率が低い」ことを挙げ、「DXに対応し、見える化を進めることで高付加価値サービスを実現できれば、事業の改善余地はかなりある」と指摘。印刷業界のDX推進事例として全日本印刷工業組合連合会のプロジェクトを紹介し、「他の業界団体とも協力して、ぜひ成功事例にしていただきたい」と希望した。
さらに、「中小企業のIT武装が遅れている。そこへIT関連商材を投入していくにあたっても、印刷業界に加わってもらいたいとわれわれで議論している」と述べた。
「下請取引の適正化」も印刷業界が目指すべき方向のひとつに挙げた。伊藤氏は「自民党の中で競争政策を担当しているが、日本は前近代的な取引がまだ多い。直近でも多くの上場企業が最高益を上げており、その果実を分配する仕組みが必要だ。下請取引適正化にメスを入れなければいけないという強い意識は印刷議連の議員にも共通している」と述べ、特に、独占禁止法上の優越的地位の濫用に対して、政府と共に強く踏み込んでいく姿勢を強調した。
具体的な方策として、今年6月から「優越的地位の濫用に関する緊急調査」を印刷・同関連業を含む22業種を対象に開始し、5月20日に創設した「優越Gメン」により夏以降に立入調査を実施。さらに、関係事業者に対して懸念事項を明示した文書の送付等を行うことを挙げた。
また、「下請け相談窓口」(フリーダイヤル0120-060-110)、および匿名での「違反行為情報提供フォーム」が中小企業庁サイトに設置されたことを紹介し、「ぜひ活用いただきたい」と呼びかけた。
【印刷新報2022年5月26日付掲載】
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2022年5月19日付
BSフジ「小山薫堂 東京会議」
大徳製本所で収録、GP認定をアピール
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BSフジの深夜番組「小山薫堂 東京会議」で5月1日、大徳製本所(木村圭社長、東京都墨田区)が取り上げられた。日本印刷産業連合会の小野隆弘専務理事も同席し、「写真で印刷業界を応援する」企画に協力した。番組では、環境に配慮している印刷産業の実態や、紙の印刷媒体の魅力などが語られ、業界のアピールに貢献した。
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大徳製本所での番組収録。右が木村社長 左中央が小山薫堂氏 ※写真は番組の放送画面より |
■意外に知られていない? 印刷業のリサイクル
「小山薫堂 東京会議」は、放送作家で日印産連のグリーンプリンティングPR大使も務めている小山薫堂氏がゲストとともに、さまざまな人物や場所を訪ね、都会での生活を豊かにするための方法を探るトーク番組。台本は白紙、企画は番組収録中に検討するという自由さが楽しい。
今回は東京会議写真部の企画第4弾として、小山氏と音楽家の松任谷正隆氏、写真家のハービー・山口氏が「写真で印刷業界を応援する」をテーマに、東京スカイツリーを臨む下町の大徳製本所を訪問した。写真部では、視聴者から寄せられた要望に応えて写真を活かしたアイデア会議を行ってきたが、5月1日の放送は日印産連が小山氏にリクエストをして実現した。
番組の冒頭に小山氏は企画の趣旨について、「実は私、グリーンプリンティングPR大使をしております。印刷業界の話を伺っていましたら、時代の変化で業界そのものが大変なことになっていて、紙の印刷物がどんどん減り、小さな印刷会社や製本会社が減っているというんです。それを守るために写真と印刷で何かできるのではないか」と述べた。
大徳製本所は、昭和15年の創業以来、手帳やアルバム、企業向けの小冊子などの製本加工を専門に行ってきた。木村社長は三代目。現状を聞かれた木村社長は「一般的なカタログやチラシなどの加工は、仕事量が6割ぐらいまで落ち込んでいます。昔みたいに遅くまで残業することは本当になくなりました」と話した。
そこから話は、どうしたら印刷業界を盛り上げられるかに移った。松任谷氏がスケジュール帳を話題に出し、「今ぼくはデジタルでやっていますが、案外、紙の手帳を使っている人は多い。おばが京都で印刷所をやっていて、子どもの頃、毎年カレンダーや手帳が送られてきたことがすごく印象に残っています。写真ページのあるスケジュール帳を作るのはどうでしょうか」と、初めのアイデアを提起した。
会議の半ばで、「紙の回収はどうやっていますか?」と聞かれた木村社長は、「断裁した紙の切り落としなど、原料屋さんが毎日トラックでやって来て回収し、リサイクルしています。再び紙(印刷用紙)になったり、段ボールやトイレットペーパーになったりします」と答え、そうしたことも含めてGP(グリーンプリンティング)認定工場になっていると話した。画面にはGP認定制度を説明するテロップも入った。
それに対して松任谷氏は「デジタルの良さは資源を使わないことかなと思っていましたが、資源がグルグル回っているならそれはそれでいいですよね。今の話は一般の人はあまり知らないのでは」と反応。「印刷産業のリサイクル工程を撮影する」という2つめのアイデアにつながった。
撮影先を問われた小野専務理事は「印刷も製本・加工も全部の工程でリサイクルが行われているので、撮影はいろいろな場所でできます」と請け合った。
松任谷氏の「盲点がある気がするのですが、写真集を作るのはどうですか?」という提案からアイデアは具体化し、ハービー・山口氏が「和綴じもありですね。私は和綴じで写真集を何冊か作っているんです。180度開くので、見開きの写真がノドに引っかからなくていい」と加工について触れた。
話は世界を目指すところにまで発展。最終的に小山氏がアイデアをまとめ、「遺したいお店や景色、人、職業など『東京遺産』をテーマに100部限定の写真集を制作し、販売する。視聴者から『遺したいもの』を募集し、写真部が撮影に出向く。モノクロームで撮影し、和綴じで製本。海外の写真コンテストにも出品。写真集をシリーズ化し、世界の主要都市版も制作する」ことが収録中に決まった。番組では早速、視聴者に東京遺産候補の募集を開始した。
大徳製本所の木村社長は「糸で綴じるので、コート紙など硬い紙だと紐が締まりません。柔らかめの紙を使っていただければ」と要望。小野専務理事の「本の中に印刷の工程を写した写真を入れていただくことはできますか」という希望も了承された。
番組の最後には、木村社長による和綴じの作業風景の撮影が行われ、「1冊で10分くらいかかります」、「それを100冊ですよ」、「まったく問題ありません」といった会話が和やかに交わされた。
また、小山氏からは「写真集の完成までに半年はかかりますね」と発言があった。今後、番組の中で写真集制作の経過が紹介される可能性がある。
番組は、BSフジオンデマンドで配信されている。
【印刷新報2022年5月19日付掲載】
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2022年5月12日付
PrintNext2022「ココカラ市場」
日本各地の魅力を集め、親子連れなどで賑わう
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青年印刷人による業界横断型イベント「PrintNext2022」の目玉企画である「ココカラ市場」が4月29日に東京・千代田区外神田の3331 Arts Chiyodaで開かれた。業界関係者だけでなく多くの一般来場者が参加し、約1000人が全国から集まった魅力的な食や文化、パフォーマンスなどを楽しんだ。
ココカラ市場は、情報伝達を生業とする印刷産業が担う事業領域の幅広さを業界内外に広めることを目的に企画された入場無料のイベント。北海道から九州まで全国8ブロックのメンバーが日本各地のキーマンとタッグを組み、イベント限定のお菓子や紙工作のワークショップ、リサイクルアート、各地の魅力的な文化などのコンテンツを展示や物販、体験イベントを通して来場者に提供した。
廃校を利用した会場には全部で16のブースが並び、会場入口には各地の魅力的な"食"を集めた試食・販売コーナーを設置。体育館内のメイン会場には体験イベントや物販を中心としたブースが並んだ。また、会場中央のステージでは印刷廃材を活用した廃材楽器のセッションや、島根県の伝統芸能であるどじょう掬いのパフォーマンスなどが来場者も参加して行われた。
開催に合わせて会場のある千代田区内の幼稚園や小学校にチラシを配付したこともあり、当日は近隣から多くの親子連れが来場。各ブースを順に回るスタンプラリーを楽しむ子供の姿が目立った。
また、来場者には滞在している場所や時間を分析するビーコンが配付された。会場内に、印刷物を使った視覚に訴える仕掛けのほか、香料や音など五感を刺激するさまざまな仕掛けが各所に設置され、来場者の行動に与えた影響を分析する実証実験も行われた。
PrintNext2022の青木允運営委員長は「ゴールデンウィークの初日ということもあって予想以上に盛況だった」と会場の賑わいを喜びながら、ココカラ市場について、「印刷産業が担う事業領域の幅広さを業界内外に発信したいと考えていた。これだけのイベントを開催できたことは関わったメンバーにとっても自信になったと思う。この経験を踏まえ、お客様に対する提案や、地元でのイベント開催などに活かしてもらいたい」と活動のさらなる波及に期待した。
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体験イベントには多くの親子連れの姿が見られた |
【印刷新報2022年5月12日付掲載】
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