日付インデックス
4月8日
工業統計調査速報
印刷・同関連業の2019年出荷額は増減なし
事業所数は前年比2.5%減に

4月1日
大日本印刷、XRコミュニケーション事業を開始
地域共創型空間の構築へ

3月18日
東京製本工組、業界調査分析事業で報告会
成長分野を見極め専門性に磨きを

3月11日
〈page2021カンファレンス〉
コロナ後の対応に変革の視点を提供
フュージョン花井会長が講演

3月4日
日印産連、「じゃぱにうむ」をWeb開催
広島県のDX事例を山田副知事が紹介

2月25日
全印工連、DX運用システムが完成
生産協調に向け全国でモデル試行

2月18日
文伸、物産販売で東京諸島を応援
期間限定のアンテナショップを開設

2月4日
日本HP、コロナ禍での変化取り込む
デジタル印刷需要が表面化

1月28日
〈日印産連/全国グラビア/日印機工〉
廃プラ リユース・リサイクルソリューションを発表

1月14日
〈第14回MUDコンペティション〉
受賞22点、経済産業大臣賞はともに災害対応関連ツール

1月1日
【本紙アンケート】
2020年の気付きと2021年への挑戦 ―各社の課題を明確にしたコロナ危機―

12月17日
本紙が選んだ2020年十大ニュース
コロナ禍に翻弄された一年

12月10日
page2021、初のハイブリッド開催
セミナー含め2月末まで長期に

12月3日
第46回技能五輪国際大会 中国・上海大会
「印刷職種」代表候補に 甲斐田光さん(丸信)

11月26日
J-NOA 「折込論文広告大賞」決定
〈金賞論文〉折込は"地域商店街"と再定義

11月12日
東京製本二世連合会・勉強会
先輩経営者の体験談に学ぶ いかに危機を克服するか

11月5日
経産省、実践的なVOC対策セミナー開催
少しの工夫で労働衛生向上

10月29日
電通デジタル「デジタルネイティブ世代調査」
コロナ禍での転換に前向き “好きを極める消費”へシフト

10月15日
佐川印刷
FESPAで金賞ダブル受賞
UVインクジェットで立体感を表現

10月1日
青森県印刷工業組合 知的財産権の適正な取扱いを要望 県、「留意した発注の周知」に言及

9月24日
〈2020全印工連オンラインフォーラム〉
組合の重点事業を広く発信 10月9日13時より配信開始

9月10日
日印産連、「知的財産権」サイトを刷新
トラブル未然防止へ内容充実

9月3日
〈神奈川県印刷工業組合〉
コロナ影響アンケート第2弾を実施
行政機関等へ要望文書送る

8月27日
印刷産業の感染防止対策
変容する社会に商機あり

8月13日
〈令和元年度「技能検定」〉
「印刷」、「製本」で増加が顕著 今年度前期検定は中止に

8月6日
日印機工、新会長に森澤彰彦氏
印刷産業機械SDGsに対応

7月23日
全印工連・産業戦略デザイン室
新産業ビジョンの策定へ 新たな価値創出の事業領域を研究

7月16日
DXで勝ち残る印刷産業
―村松礼二氏が恒常的なDX推進を提唱
コロナ禍後の新局面に向け

7月2日
〈中小印刷産業振興議員連盟 総会〉
新型コロナ対策で意見交換
全印工連、地元優先発注など強く要望

6月25日
東京グラフィックス
在宅勤務における労務管理を学ぶ
ルール作りと適性判断が課題

6月11日
紙の物流ガイドライン策定
関係業者間の協力を促す

6月4日
〈全印工連・対外広報プロジェクト〉
「大喜利印刷」第2弾作品を公開 さらに独自性と完成度高め

5月28日
経団連、コロナ対策ガイドラインを公表
印刷業界も指針として活用

5月21日
東印工組、滝澤執行部が発足
連帯、共済、対外窓口機能を前面に

5月14日
〈コロナ関連アンケート情報〉
4月の売上高は2割減か 代替先との連携も課題

4月30日
〈真興社のテレワーク取組み事例〉
人材確保にテレワーク 顧客の業務改革支援にも

4月23日
スーパーのチラシ激減
コロナ自粛で東京・埼玉は「半減」

4月9日
日印産連、〈世界印刷会議〉報告より
中国とインドの印刷業界動向
人件費高騰で人員確保難の中国

4月2日
コロナウイルス禍、印刷業界も直撃
政府支援施策のチェック十分に

3月19日
〈全印工連・事業承継支援センター〉
組合員間のM&A事例を紹介 支援センター活用で実現

3月12日
〈新型コロナの影響による「官公需対策」〉
国が中小企業への配慮を要請 柔軟な納期、予定価格の見直し等

3月5日
〈国交省 トラック附帯作業実態調査〉
「手荷役」が作業時間増に 契約書面への明記も不十分

2月27日
〈page2020 基調講演より〉
ライト出版市場の広がり 展示即売会が開く新領域

2月20日
日本印刷産業連合会 「じゃぱにうむ2020」
6社が地方創生事業の事例発表 地元愛が事業の推進力に

2月13日
【日印産連・第4回女性活躍推進セミナー】
"無意識の偏見"に焦点 組織・個人の克服法を教授

2月6日
全製工連、「製本産業ビジョン2025」発表
"再・創業"を掲げ変革へ

1月30日
紙と印刷の力、健在
藤原印刷と平和紙業が共催
「効果のある/なしの境界線展」が好評

1月23日
日本印刷産業機械工業会
情報管理の業界標準モデル策定へ
アジアプリント連盟でも活動

1月16日
経済産業省 令和元年度補正予算・2年度当初予算
「生産性革命」予算は3倍超に(元年度補正)

1月2日
映画『つつんで、ひらいて』が公開
装幀者・菊地信義のドキュメンタリー
本づくりの現場に密着した話題の異色作

12月19日
編集部が選んだ2019年の十大ニュース
SDGs時代の取組みを志向 災害、用紙、物流の制限も

12月12日
〈東ト協 出版物輸送関係懇談会〉
発売日、配送時間の緩和を検討
雑協「週休2日を大前提に」

12月5日
大日本印刷、渋谷に次世代型実験店舗
分析データを企業に提供









2021年4月8日付
工業統計調査速報
印刷・同関連業の2019年出荷額は増減なし
事業所数は前年比2.5%減に


 経済産業省は3月26日、工業統計調査速報を公表した。2019年の「印刷・同関連業」の製造品出荷額等は4兆8270億5300万円となり、前年比0.0%と横ばい。通常、確報値は速報値よりもやや上振れすることが多く、2019年は前年比プラスとなった可能性が高い。
          ◇
 速報値は、産業中分類別に従業者4人以上の事業所について集計・分析したもので、事業所数、従業者数は2020年(令和2年)6月1日現在、製造品出荷額等、付加価値額、現金給与総額、原材料使用額等は2019年(令和元年)1〜12月の実績により調査している。
 「印刷・同関連業」は、事業所数9636事業所(前年比2.5%減)、従業者数25万579人(同1.2%減)、製造品出荷額等4兆8270億5300万円(同0.0%)、付加価値額2兆1218億8500万円(同0.1%増)、現金給与総額1兆229億3700万円(同1.2%減)、原材料使用額等2兆4141億2300万円(同0.4%減)となった。
 製造業全体の動向は、事業所数18万1299事業所(前年比2.1%減)、従業者数769万7536人(同1.0%減)、製造品出荷額等322兆1259億円(同2.9%減)、付加価値額100兆650億円(同4.1%減)。
 事業所数は大阪府が最も多く、従業員数と製造品出荷額等は愛知県が1位となっている。
 製造業に占める「印刷・同関連業」の現在の構成比と過去との比較(カッコ内は2000年)では、事業所数5.3%(7.3%)、従業者数3.3%(5.5%)、製造品出荷額等1.5%(2.7%)、付加価値額2.1%(6.0%)となり、この20年で「印刷・同関連業」の比重はかなり低下している。
 都道府県別に見た「印刷・同関連業」の事業所数は、全国9862事業所のうち、東京1696(前年比0.2%減)、大阪1090(同0.6%増)、埼玉810(同5.9%減)、愛知623(同1.9%減)が上位。
 製造品出荷額等は、東京7399億2700万円(前年比0.3%減)、埼玉7007億8700万円(同3.3%減)、大阪4513億4600万円(同1.7%増)、愛知3084億7900万円(同1.4%増)、京都2064億4200万円(同0.5%減)、福岡1812億8900万円(同0.7%増)、神奈川1741億1500万円(同2.6%減)、静岡1498億1200万円(同0.4%増)など。
■東京都は事業所数、従業者数ともに1位
 東京都は3月30日、工業統計調査速報「東京の工業」を公表した。
 2020年6月1日現在の「印刷・同関連業」の事業所数は1696(構成比17.2%)、従業者数は4万1486人(構成比16.9%)で、ともに産業中分類別では最も多い。
 また、2019年の製造品出荷額等は7399億2700万円(構成比10.4%)で、輸送用機械、電気機械に次いで第3位。付加価値額は3582億600万円(構成比12.7%)で、輸送用機械に次いで第2位となっている。
 出荷額は減少傾向にあるとはいえ、東京の地場産業としての地位は変わっていない。














【印刷新報2021年4月8日付掲載】
その他掲載記事
・富士フイルムHD 次期社長・CEOに後藤禎一取締役
 古森会長・CEOは最高顧問に
・2021年度大手3社の「新入社員へのメッセージ」
・全日スクリーン 『作業マニュアル』発行
 30年ぶりの改訂版
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2021年4月1日付
大日本印刷、XRコミュニケーション事業を開始
地域共創型空間の構築へ


 大日本印刷は、現実(リアル)の街と並列(パラレル)で仮想(バーチャル)の街・施設を開発する、自治体や施設管理者公認のXR(eXtended Reality)コミュニケーション事業を開始する。リアルとバーチャルの融合によって現実の地域や施設が持つ価値や機能を拡張させ、生活者に新しい体験価値を提供し、地域創生につなげる「地域共創型XRまちづくり PARALLEL CITY(パラレルシティ)」を推進する。
 ニューノーマルの構築が進むなか、時間や距離による制限を受けない仮想空間を活用したサービスが拡大している。また、IoTなどを活用して現実の情報をリアルタイムに仮想空間に反映し、リアルとバーチャルの2つの空間を鏡像のように存在させる「ミラーワールド」のサービスも誕生している。このミラーワールドの構築を支えるXR関連の国内市場も毎年拡大傾向が続き、2025年度には1兆1952億円にまで伸びると予測されている(矢野経済研究所の推計)。
 大日本印刷は独自の強みである表現技術と安全・安心に大量の情報を処理する能力に、パートナーの強みを掛け合わせて新しい体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション事業」を展開していく。
 事業展開にあたり、誰もが簡単かつ安全・安心に楽しめる空間の構築に必要な機能を備えたXRロケーションシステム「PARALLEL SITE(パラレルサイト)」を提供する。パラレルサイトでは、実在する場所を精緻なCGデータでバーチャル化し、リアルとバーチャルをパラレルに展開する。誰もが自由に利用でき、同時に複数の体験が進行する。あらゆる地域やロケーションをXR化するパラレルサイトを用いることで地域のミラーワールド化による新たなまちづくりを実現し、地域や施設が持つ価値や機能を拡張させ、生活者に新しい体験価値を提供して地域創生につなげる「地域共創型XRまちづくりパラレルシティ」を推進する。
 また、大日本印刷ではアニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツホルダーと協業し、多様な表現手法でコンテンツの魅力を発信する事業を推進している。デジタル処理技術を活用した国内外の美術館・博物館の所蔵作品や有形・無形の文化遺産に関するアーカイブ事業と、それらのデータをメディアに展開する事業も推進しており、これらの良質なコンテンツとXRコミュニケーションを掛け合わせ、生活者が多様な文化に触れる新しい体験価値を創出していく。
 さらに、コロナ禍により非対面・非接触のコミュニケーションが求められるなか、「企業と生活者」「生活者同士」が安全・安心につながる新しいコミュニケーションサービスを提供する。リアルとバーチャルが連動して買い物が楽しめる「リテールテイメント」などをすでに展開しており、これらのサービスとパラレルサイトで構築した自治体や施設管理者に公認された空間と連動させることで、地域交流の場を拡張していく。
 3月23日に行われたオンライン記者会見で、大日本印刷の蟇田栄専務執行役員はXRコミュニケーション事業について、「近い未来の社会や生活者のコミュニケーションのあり方を変えていける事業だ」と評しながら、「新型コロナウイルスを機に新たなコミュニケーション手段として、バーチャル空間サービスをはじめとするXR技術の普及が急速に加速している。生活者のコミュニケーションは転換期にある」、「XR技術を活用することで提供できる体験や生活者のコミュニケーションが今まで以上に広がる。DNPは価値ある情報を時代に合ったコミュニケーション手段の活用によって人々の生活や社会に価値提供していく」と述べた。
 先行展開エリアとして、北海道札幌市北3条広場(4月末予定)と東京都渋谷区立宮下公園(5月末予定)においてXRコミュニケーション事業を展開する空間のオープンを予定している。
 今後、自治体や地域のパートナー企業などと共創しながら、日本各地の街や施設の公認空間を開発していき、2025年までに全国30拠点の構築を目指す。また、各地の公認空間を基軸にXRコミュニケーション事業を展開していき、2025年度までに関連事業も含めて100億円の売上を目指す。













【印刷新報2021年4月1日付掲載】
その他掲載記事
・第19回環境優良工場表彰 大臣賞は該当なし
 局長賞に光陽社、大川印刷
・全印工連 介護共済を開始 割安な掛け金で
・ハイデルベルグ サブスクリプションを導入
 ウィザップ(新潟)
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2021年3月18日付
東京製本工組、業界調査分析事業で報告会
成長分野を見極め専門性に磨きを


 東京都製本工業組合(鈴木博理事長)は3月11日、都中小企業団体中央会の「令和2年度団体向け小規模事業者持続化支援事業」の一環として実施した製本業界の実態調査分析の報告会を製本会館で開催した。組合員へのアンケート(昨年9月実施、78社回答)と組合幹部へのヒヤリング(同7月実施、12社)を担当した日本生産性本部から報告が行われた。製本業者の「機会と脅威」を分析したうえで、ターゲット市場を明確にする必要が強調された。
■事業領域の"区画整理"も提言
 アンケートにみる組合員企業の平均像は、設立が1970年以前、経営者は2〜3代目、従業員の平均年齢は46歳、平均年収は約350万円。売上高構成比は、「商業印刷」40.7%、「書籍・辞書・雑誌」27.5%、「紙製品」15.2%、「特殊製本」5.2%、「その他」11.5%となり、増益の17社では「商業印刷」の比率が低く、「紙製品」、「その他」が多い傾向にある。
 後継者については、「あり」33%、「未定・不明」21%、「不在」42%となっており、後継者不在と答えた33社のうち21社は廃業を予定している。
 今後の市場展望では、ペーパーレス化による市場規模縮小を予想する見方が大半だが、その中にあって、「お薬手帳・血圧手帳」、「絵本等児童書」、「御朱印帳」、「感染予防配布物」等については「中長期的に需要増加」と見る企業が多い。
 今後の経営方針・課題の上位に挙がったのは、「得意領域・専門性強化による利益確保」、「利益重視の受注選別・不採算取引の削減」、「 既存商材拡販による新規顧客開拓強化」、「都度の見積作成・値上げ交渉強化」、「組合内協業による取引改善」など。
 調査結果を分析した日本生産性本部では、事業ポートフォリオの見直しを中心に次のようなアドバイスを行った。
◆製本組合の各社は、営業よりは製造を、新規よりは既存品を重視・優先する傾向が見受けられる。価値観の変化に負けないよう、今まで以上に、独自の領域・技術を磨くことは重要であり、そのためにはターゲット市場(重点顧客)を明確にする必要がある。
◆ノート・手帳・封筒・アルバム等の「紙製品」の市場規模は1600億円前後で推移し、スマートフォンの普及期にあっても安定している。コロナ禍による巣ごもり需要の追い風もあり、紙製品を含めた文具市場は底堅い。首都圏はオフィスワーカー、特に働く女性が多く、文具市場は極めて重要な市場といえる。
◆47都道府県で今後の高齢化率の増加が顕著なエリアは1都3県(神奈川・千葉・埼玉)であり、余暇を楽しむ時間が豊富なアクティブシニア層は、読書やコレクション等、紙を用いる市場性が大きい。製本業にとっては大きなチャンスになる。
◆市場規模の縮小が早期化する可能性は大きい。業務連携・M&A・事業承継による差別化とコスト競争力の向上は避けられず、製本組合の統合的機能は重要さを増す。事業承継の一つの方策として、各社の事業領域(ドメイン)を"区画整理"することで、専門領域の明確化、収益性の向上を図ることも必要だと考えられる。
◆見積書・契約書・発注書など使用頻度の多いフォーマットの整備も重要になる。製本組合が共通フォーマットの使用を推奨することで、組合加入メリットを享受できる。













【印刷新報2021年3月18日付掲載】
その他掲載記事
・製本・加工特集
・TOKYO PACK 2021 時勢に即した提案目立つ
・Print Doors2021 過去最大規模で開催、盛況に
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2021年3月11日付
〈page2021カンファレンス〉
コロナ後の対応に変革の視点を提供
フュージョン花井会長が講演


 日本印刷技術協会(JAGAT)が主催したpage2021のオンライン・カンファレンスでは、一連のセッションの締めくくりとして、2月26日に「コロナ後の印刷業界を占い〈未来をどのようにリセットするか?〉考える」と題し、フュージョン(札幌市)の花井秀勝会長が講演、JAGATの郡司秀明専務理事と対談した。花井氏は、コロナ禍での一年を振り返りながら、デジタル庁の新設、ネットワーク分散印刷、設備と人員の再配置、デジタルとマーケティング教育への投資などの話題を取り上げ、「地方からの視点がポイントになる」と語った。
 
 ■地方の視点で体制づくり/設備と人員の再配置を
 フュージョンは、印刷会社を母体に、顧客のダイレクトマーケティング支援を展開している。同社でもコロナ禍の影響により関係する多くのイベントやキャンペーンが中止になった。一方、EC関連の仕事は活発で、スマホアプリの開発依頼が増えたという。
 リモート営業については、営業の不慣れ、顧客とのコンタクトの難しさ等から不振だった。そのため、早い段階からWebセミナーの自社開催を始めた。また、より対面に近いテレビ会議システムに効果を感じ、今後活用に力を入れていく。
 市場の変化では、まず人口減少と高齢化への対応を挙げた。高齢者の増加で印刷物の作り方が大きく変わる。花井氏は「特にデザイナーは手に取る人のことをよく知る必要がある」と指摘。また、都市部に比べ、地方の市町村からの発注量が減少しており、「新しい市場を創っていかなければいけない」と述べた。
 メディアの多様化により、あらゆるツールを介して商品注文が送られてくる「タッチポイントのボーダーレス化」への対応も大きな課題に挙げた。その中で、「行動を喚起させる紙媒体の特長への理解と再定義が求められる」とし、「家庭や会社内で滞留時間の長い、捨てられない印刷物がポイントになる」と述べた。
 コロナ禍で加速する紙の減少とデジタル化に関しては、新聞折込チラシを例に、新たな情報発信とミクロマーケティングをポイントに挙げた。スーパーは特売・価格訴求から商品情報(レシピ等)の提供に移りつつある。そのほか、店舗エリアごとの時間差での催し、土日集客から平日集客(在宅勤務の増加により)、チラシからのネット宅配注文などの変化が見られる。ミクロマーケティングでは、エリア選定と戸別配布(ポスティング)が大事になる。
 政府や企業のデジタル化推進、銀行・信金の業務変革期に関連した変化もチャンスになる。自治体の印刷物(広報・統計書・イベント案内等)のネット配信への移行、企業での明細書・請求書等のデジタル化にいかに絡むか。また、家庭の金融資産残高が過去最高となる中、花井氏は「官公庁は消費喚起のためのセールスプロモーションへの要望を強めている。特に地方の印刷会社にとって、地域特性に合わせたSP企画・提案が重要だ。データの収集・分析、編集の仕事にも積極的に取り組みたい」と述べた。
 運転免許証・健康保険証との一体化が予定されるマイナンバーカードについては、「カードで何でもできる流れになり、BPOの概念が崩れるだろう。BPOの形が変わる」と考えを述べた。
 "印刷の地産地消"を実現するためのネットワーク化の必要にも触れた。全国の印刷会社同士の連携による分散印刷と各エリアでの出荷により、短納期対応とインフラ障害回避が可能になる。関連して、DM・カタログ等で全国版(共通内容)と地方版の内容の作り分けが進んでいく流れも予想した。
 さらに、印刷会社の設備と人員の再配置について提案。都市部には24時間体制・フルサービスの会社が適している一方、地方都市では、「地域色も活かし、デザイン・編集・撮影などクリエイティブな能力やWebスキルのある人材確保が望まれる。デジタル印刷も活用しやすい。東京からではなく地方からの視点がポイントになる」と棲み分けの形を描いた。
 結びに花井氏は、デジタルとマーケティングに関する教育と人材育成の重要性を強調し、特にリモート営業の拡大により、デジタル用語の理解、説得力、プレゼンテーション力が問われてくると指摘した。
 講演内容を受けてJAGATの郡司専務理事は「マーケティングに立脚した印刷会社でないと生き残れないが、各地域で印刷会社にはそれができると言い切りたい」とまとめた。












【印刷新報2021年3月11日付掲載】
その他掲載記事
・印刷工業企業年金基金、東日本基金と合併へ
・東洋美術印刷 アートギャラリーを飯田橋に開設
・マーチング委員会 第10回総会とセミナーを開催
 地域のキーパーソンづくりを推進
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2021年3月4日付
日印産連、「じゃぱにうむ」をWeb開催
広島県のDX事例を山田副知事が紹介


 日本印刷産業連合会は、「じゃぱにうむ2021―印刷産業の地方創生事業事例発表会」を2月15日から「じゃぱにうむ」専用サイトで公開している。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からオンライン開催となった今回は、広島県副知事で元経済産業省メディアコンテンツ課課長の山田仁氏による基調講演「地方創生に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」で広島県の取組み事例を紹介したほか、日印産連価値創出委員会の瀬田章弘委員長の開会あいさつ、印刷会社6社による事例発表など、8つの動画コンテンツが公開された。
■"適散・適集社会"を目指す
 「じゃぱにうむ2021」は、印刷会社が取り組む地方創生・地域活性化に関わる事業の事例を共有することで、印刷会社が地域のコーディネータ役として地方創生・地域活性化に関わる事業を推進し、その創出をさらに加速させていくことを目的としている。また、イベントを通じて印刷産業の持つ幅広いネットワークや課題解決に向けた柔軟な対応力などを、各地方自治体、地方金融機関等に訴求していくことも目的の一つ。
 動画による開会あいさつで、瀬田委員長は印刷会社による地方創生事業への期待を次のように述べている。
 「地方創生や経済、環境による好循環の創出は印刷産業にとって重要な課題である。特に地方創生は、印刷会社がそれぞれの地域で活躍できる場だと考えている。印刷会社は全国に存在し、ほぼすべての産業と接点を持っている。その私たちが地域のハブとなることで、地域の課題を解決することが地域の未来、そして印刷会社の明日につながると考えている。基調講演と地域の最新事例をご覧いただき、自社の強みを活かして地域の課題解決に取り組んでいただきたい」
 基調講演の講師の山田氏は、経済産業省商務情報政策局コンテンツ産業課の課長を務めていた経歴を持ち、現在は広島県副知事として県のDX推進本部長を兼務している。動画では地方創生の推進におけるDXの取組みや地方創生を進める上での印刷会社に求められる役割、期待等が語られた。
 広島県では、概ね30年後の「あるべき姿」を構想し、10年後の「目指すべき姿」とその実現に向けた取組みを描いたビジョン「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」を昨年10月に策定した。山田氏はその狙いについて、「将来にわたり広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かったと心から思える広島県の実現だ」と説明する。さらに、新型コロナウイルスにより東京一極集中といった課題が顕在化したことで、「過度に進行した密集・密接・密閉を避け、人との距離を保つ"分散"がもたらす価値に気が付かせてくれた」と指摘する一方、「日本がこれからも発展していくには、さまざまなイノベーションを生み出す知の集積・集合も必要だ」との認識を示し、「われわれのビジョンでは、分散化・集中化の二者択一ではなく、適切な分散と集中を組み合わせた『適散・適集社会』を目指している」と紹介した。
 適散・適集社会のフロントランナーを目指す広島県は、「広島たちまちDX」という取組方針を掲げながらDXを推進している。「たちまち」は広島の方言で「とりあえず」を意味し、暮らしや地域社会、スポーツ、行政などの各分野で細かなトライ&エラーを繰り返しながら知見やデータの蓄積を図っている。
 これらのデータを有効活用すべく、官民連携のオープンな実証実験の場として「ひろしまサンドボックス」を構築。県内外の民間事業者がデータを活用した取組みを進めことで人材の集積や新しいソリューションの創出を目指している。
さらに、昨年11月には「広島DX推進コミュニティ」を創設し、県内企業や教育機関、行政等と協調・協働しながらDXの実践を進めていることなどが紹介された。
 最後に、印刷業界のDXにおける期待として、「先ほど紹介したプロジェクトをはじめ、全国でさまざまな取組みが行われている。印刷業界と直接的には関係がなさそうな取組みに対しても意欲的に参画されることを期待している。今回の講演が印刷業界として、あるいは個社として何ができるかを考え、取り組むきっかけになってほしい。印刷業界の課題は、日本の製造業や中小企業にとっても共通であることが非常に多い。進展するデジタル社会で自らの付加価値を高める取組みに期待している。それが日本の製造業全体を明るくすることにつながる。デジタル化を含めて地方の取組みに協力いただきたい」と講演を締めた。
 そのほか、印刷会社による事例発表ではアインズ(滋賀県蒲生郡)、ニシキプリント(広島市)、プロゴワス(鹿児島市)、大風印刷(山形市)、平野屋物産(福岡県大野城市)、ツジマキ(横浜市)の6社が取組みを発表している。











【印刷新報2021年3月11日付掲載】
その他掲載記事
・IGAS2022、開催決定
・電通「2020年日本の広告費 」 リーマンに次ぐ減少幅
・光文堂新春機材展 Print Doors 2021
 「変革を掴もう」テーマに
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2021年2月25日付
全印工連、DX運用システムが完成
生産協調に向け全国でモデル試行


 全日本印刷工業組合連合会の今年度下期の地区印刷協議会が、2月17日に東北、19日に中部と中国、22日に東京など、オンライン形式により順次開かれた。各協議会では、全印工連DX推進プロジェクトについて本部から進捗状況を説明し、このほど完成した運用システム「DX-Plat(ディーエックス・プラット)」の機能概要も明らかにした。
 説明ではまず、印刷産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)について、「デジタル技術とデータの活用により、印刷産業が抱える諸問題を改善し、生産の効率化やビジネスモデルの変革を促進することで、印刷産業全体の構造改革をもたらすこと」と定義。単なるデジタル化とは異なる点に注意を向けている。
 全印工連が2019年度に実施した印刷産業の取引環境実態調査からは、印刷需要の減少、供給過剰による受注単価下落と営業利益率の低下、収益管理の不十分といった実態が明らかになり、課題として「個々の印刷企業の得意分野の把握、稼働情報データの連携、管理コストの引下げをDXでドライブすることによる、印刷産業全体としての生産性向上と付加価値創出の実現」が挙がった。そこで全印工連では、同質化競争からの脱却(競争から生産協調への転進)と高付加価値サービス提供産業への転換を目指し、DX推進プロジェクトを立ち上げた。
 構想したのは、印刷産業版の「DXジョブシェアリングネットワーク」。ネットワークを介して、生産を縮小、あるいはサービスに特化する会社は、顧客接点を最大化することに経営資源を投下し、高い付加価値を創出。生産に経営資源を投下する会社は、さらなる生産性向上によるスマートファクトリー化を図れる。
 2020年度は、経済産業省の補助金を活用し、システム開発に専念。このほど、全印工連DXシステム「DX-Plat」として完成した。2月2日にシステムの検収、2月10日に経済産業省によるシステム検査を終了している。
 DX-Platを構成する「組合員間受発注システム(JSP)」は全印工連が独自に開発。生産管理システム(JWS)」は富士ゼロックスより使用許諾権を取得し、メーカー横断型のオープンプラットフォームとなっている。「基幹業務システム(MIS)」はNECネクサソリューションズより推奨MISの一つとして使用許諾権を取得した。
 システムは、参加各社のITの実装を前提として、小規模企業でも運用可能となっている。クラウド上に置かれ、各社が個々にサーバー等を導入することなく使用できる。参加企業は、経営情報と生産情報の見える化により大きなメリットを得られる。需給による価格決定システムを採用した。
 全印工連では2021年度、全国10地区程度のモデル地区での試行を通じて、効果検証とシステム改修を実施。2022年度に全国での説明会開催と参加企業の募集を開始する予定。計画の前倒しも検討している。










【印刷新報2021年2月25日付掲載】
その他掲載記事
・特集・輪転システムのいま
・全印工連、年度末の官公需取引で経産省に要望書を提出
 再生紙の入手、難しく
・全青協 第34回全国協議会
 「四方よしのデザイン」へ討論
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2021年2月18日付
文伸、物産販売で東京諸島を応援
期間限定のアンテナショップを開設


 東京都商工会連合会は「島嶼(とうしょ)魅力発信事業」の一環として、「東京諸島アンテナショップ」を期間限定(2月10日〜3月7日)で小金井市のnonowa東小金井「商工会ギャラリー」にオープンした。コロナ禍で大きなダメージを受ける東京諸島の応援イベントであり、兜カ伸(川井信良社長、東京都三鷹市)が受託し、企画・運営・宣伝を担当した。文伸の川井社長は「この事業に参加して印刷業との親和性の高さを感じた。当社の新しい領域として広げていきたい」と、プロモーション事業の今後に可能性を見出している。

島の魅力紹介も兼ねたショップ内

◆好評の「吉祥寺」に続き「東小金井」で第二弾
 東京都には、伊豆諸島と小笠原諸島に計11の人々が暮らす島があり、合わせて「東京諸島」と呼ばれる。現在、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け来島者が激減し、観光産業に多大な影響が及んでいる。また、不特定多数の来場がある物産展やイベントなど、島内外での販売促進や集客促進事業も中止となり、影響の広がりは大きい。
 そうした背景を踏まえ、東京都商工会連合会と東京諸島の6商工会は、特産品の販売と情報発信による支援を行うことで、島の小規模事業者等の販路確保と島への集客促進を目指した。
 アンテナショップ形式による島の応援事業としては、2020年12月12日から今年1月24日にかけて東京・吉祥寺の商店街の一角で実施したイベントが第一弾。期間中に6千人以上が来店し、売上は目標の3倍となる約300万円に達した。過去の物産展と比べても予想外の大きな成果に、島の人々も驚きをもって受けとめたという。
 島特産の塩や青唐辛子を使った調味料、明日葉などの珍しい品が主婦に受けたことや、島焼酎・塩辛などの売行きも良く、家飲み消費の高まりなどが影響したと考えられる。購入者にはリピーターが多く、口コミで売れた椿油配合のハンドクリームなどの商品もあった。
 事業委託に際して行われたコンペでは、地域活性化の手伝いで豊富な実績がある文伸が事業者に指名された。文伸では、商店街にある空き店舗を借り、販売商品を買取りで仕入れて販売。販売スタッフはイベント企画・運営会社の協力を得た。
 初回の評価は大変高く、東京都商工会連合会では、三宅村と友好都市関係にある小金井市で第二弾の期間限定アンテナショップを企画し、再び文伸が受託した。
 今回は、JR東小金井駅前の商工会ギャラリーを一時的に改装してショップを設営。島の特産品販売を中心に、東京諸島のガイドブックなども配布し、島の魅力や楽しみ方などの情報を発信している。
 集客にあたり、ポスターやチラシ、のぼり等、得意とする印刷関連はもちろん、さまざまな特別企画を用意した。アンケートに回答・応募した人の中から抽選で1名に「三宅島への往復ペア航空券」が当たる企画や、2月11日の祝日には計60本の景品が当たるガラポン抽選会を実施。公式フェイスブックでは商品の入荷状況などの最新情報を随時発信している。
 2月10日のオープン初日には約17万円、翌11日の祝日には約30万円の売上があり、幸先の良いスタートを切った。
 文伸の川井社長は「印刷業と親和性のある事業として面白さを感じた。社員たちも部署を超えて意見を出し合い、盛り上がっている。仕入や販売の難しさなどはあるが、吉祥寺での経験を踏まえて今回改善できた点は多い。仕入・発注のタイミングもつかめてきた。手がけるほどノウハウを蓄積できる。価格競争から抜け出し、新しい領域を開拓する上で良い経験になった。印刷物を納めるだけでなく、その先の効果を求めるお客様のニーズに応えられる事業として拡がりを感じている」と話す。













【印刷新報2021年2月18日付掲載】
その他掲載記事
・特集・パッケージの進化
・page2021オンラインが開幕 2月28日まで開催
・レンゴー、金羊社を子会社化
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2021年2月4日付
日本HP、コロナ禍での変化取り込む
デジタル印刷需要が表面化


 日本HP(岡隆史代表取締役社長執行役員)は1月20日、報道関係者向けの事業説明会をオンラインで開催した。岡社長が全体概況を説明した後、主要事業分野ごとに各事業責任者が2021年の市場戦略について紹介した。
 2020年のHPのグローバルビジネスは、売上高が約5.9兆円、利益が約4200億円。岡社長は「一時期、売上が対前年10%マイナスの時は会社全体がざわついたが、5〜7月頃から復調し、利益は最終的に前年並みとなった。グローバル経済が停滞した割には堅調と見ることができる。HPの製品ポートフォリオの幅広さがこの結果に表れた」と語った。
 ウイルス対策でテレワークが拡大し、個人向けのPC、プリンターが伸びたことで、オフィス向けの減少をカバーした。また、オフィス向けもデスクトップ型は厳しかったが、ノートPCは好調であるなど、補完できている。
 国内事業で最も力を入れたのはテレワークへの対応だった。セキュリティと環境配慮を重視した軽量ノートPCのラインアップを強化したほか、ハードウェアとサービスをパッケージ化した「テレワーク支援パック」など、中小企業が導入しやすいサービスを展開した。そのほか、プロフェッショナルから個人向けまでのクリエイターPCを13機種投入。オンデマンド印刷ニーズの高まりを受け、次世代デジタル印刷機10機種も一気に市場投入した。
 ビジネス環境の大きな変化としては、「ステイホーム」と「非接触」が挙げられた。岡社長は今後のトレンドについて次のように見ている。
 「ビジネスマンから子供まで、一人一台のPCが当たり前になりつつある。今まで使いこなしていなかった人も使う時代となり、ITリテラシーが向上している。PCの台数は今の倍近くまでいくだろう。A3複合機からA4プリンターへの需要の移行、AI/VRなどのツールの取込みも進んだ。今もSNSでの情報発信が活発だが、コンテンツがもっとリッチになっていく中で、スマートフォン中心からPCの世界に移るだろう。人々は、自分にとって一番良い環境やツールは何かを探し求めるようになる。個人でも大きなビジネスができる時代となり、それがすべての人に開かれている。デジタルプリントにもつながっていく。合わせて、安心の担保、すなわちセキュリティへのニーズも高まる。ビジネス上のキーワードは、社会要請としての『サステナビリティ』だ。コロナとも関連するが、環境破壊や地球温暖化など、自分が触れ得ないところの影響を人々がさらに意識するようになる」
 そうした認識に立ちながらも岡社長は「HPの基本戦略は変わらない」と話す。「なぜなら、もともと10年、20年先のメガトレンドを予測し、社会が求める製品やサービスを開発・提供してきたからであり、今回のコロナ禍では変化が早まったにすぎない。従来どおりの戦略を進めるが、ただし、さらにスピードアップしていく。サステナビリティとセキュリティをビジネスの共通軸とし、お客様のパートナーとしてさまざまなサービスを共に創り上げていく。それがHPのミッションだ」
 デジタル印刷事業に関しては、常務執行役員デジタルプレス事業本部本部長の岡戸伸樹氏が説明した。  2020年は、社会、個人、企業の急激な変化によりデジタル印刷需要が増加した。安心安全の確保のため、不織布マスクやフェイスシールドなどが求められ、HPのラベル&パッケージ印刷量は対前年比2桁成長(グローバル)だった。個人の自由時間が増加し、書籍の需要やフォトブック製作などが活発になり、高速インクジェットデジタル輪転機「HP PageWide Web Press」の印刷量は2020年8月に5000億ページを達成した(グローバル累計)。予定よりも早い達成であり、成長率は市場のほぼ2倍となる。また、企業の事業再開への工夫として、ニューノーマル対応の小ロット印刷物(ソーシャルディスタンス表示など)が増加した。HP PrintOSの導入も活発で、対前年比2倍の売上となった(グローバル)。岡戸氏は「全体にデジタルプレス事業は堅調に推移し、コロナ禍でデジタル印刷機の必要性が表面化した」と総括する。
 デジタルプレス事業のキーワードとしては、アナログ to デジタルの加速による「成長」と、印刷物の価値向上のソリューション提供よる「付加価値」(持続可能な社会への貢献、セキュリティ対応等による差別化)の2つを挙げた。
 具体的な事業戦略の一つは、「次世代新製品の導入加速」。2020年はHP史上最多の10製品を新たにリリースした。商業印刷・フォト・出版向けには、オフセット印刷機を凌駕する印刷品質の「HP Indigo 15K」(高解像度6色HDFM、1600dpi RIP搭載)、オフセット印刷機に匹敵する印刷速度の「HP Indigo 100K」(従来比1.3倍の毎時最大6000シートを出力)など。フォトブックや同人誌、ダイレクトメールなどのニーズが特に高い。さらに、ラベル&パッケージ向けには、2022年に出荷開始予定の「HP Indigo V12」が控えている。同機は、1600dpi RIP搭載×毎分最大120m(従来比4倍)と、高度な印刷品質とフレキソ同等の印刷速度を両立している。
 事業戦略の柱の二つめは、「デジタル印刷を活用したビジネス創造」。岡戸氏は事例として、2019年にKADOKAWAと実施したオンデマンド出版を紹介した。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が、科学を志したきっかけとして『ロウソクの科学』を挙げたことから書店に注文が殺到。これに対し、日々売れる量だけを印刷・製本し、在庫ロスを防止しながら、注文から2営業日(従来の5分の1)で出荷した。結果として累計10.8万部の増版を達成した。











【印刷新報2021年2月4日付掲載】
その他掲載記事
・特集「page2021オンライン」
・印刷加工連 ホームページ刷新、直販も
・紙+電子で4.8%増 2020年の出版市場
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2021年1月28日付
〈日印産連/全国グラビア/日印機工〉
廃プラ リユース・リサイクルソリューションを発表


 日本印刷産業連合会(藤森康彰会長)、全国グラビア協同組合連合会(田口薫会長)、日本印刷産業機械工業会(森澤彰彦会長)は1月20日、東京都港区の機械振興会館において共同記者発表会を開催、グラビア印刷工場からヤレ紙として排出される廃プラスチックのリユースおよびリサイクルを可能とするソリューション開発プロジェクトを発表した。
■プロトタイプ機で運用テスト、非石油由来の洗浄液を使用
 発表会は小野隆弘日印産連専務理事、田口薫全国グラビア会長、森澤彰彦日印機工会長、里見和男同専務理事、協力メーカーとしてオリエント総業の原田秀典社長、富士機械工業の和田龍昌社長が出席して行われた。
 現在、全国の軟包装印刷工場からテスト印刷として排出されるヤレ紙は年間5000〜8000トンと推定されている。
 しかし、従来は一部が燃料として利用されるほかは産廃として回収されており、昨今のカーボンオフセット目標、および廃プラ問題解消のためにはリユース、リサイクルを進めなければならない状況にあった。
 今回のプロジェクトはこの問題のソリューション開発について日印産連、全国グラビアから日印機工に打診があったことがきっかけとなっている。
 その後、3団体共同で約1年半かけ検討し、日印機工会員企業であるオリエント総業、富士機械工業の2社がテストプラントの開発を行ってきた。このたび開発がほぼ終了し、ヤレ紙の運用テストに入る段階となった。
 これについて、小野専務理事は「田口会長から海外の動向について情報をいただき、印刷業界としてプラスチックの有効性を周知するだけでなく、自ら廃プラを少なくしていくべく、日印機工に相談したところ、2社をご紹介いただいた。今後、機械メーカーと印刷業者が情報交換をしながら、できるだけ早く性能が良く安価なものを提供できるよう努めたい」とこれまでの経緯を紹介。
 また、田口会長は「欧州に洗浄機があることを知っていたが、生産台数も少なく高価だったため、国内で生産すべきと考えた。グラビア業界ではシリンダーを洗浄する機械を各会社が持っており、超音波洗浄機が使われている。今回の機械にも組み込まれており、すばらしいものができれば、われわれがこれを導入し、プラごみを減らし、再利用する方法などを研究していきたい」と述べた。
 さらに、森澤会長は今回の取組みの背景について「グラビア印刷機械部会に諮り、グラビア印刷機を製造しているメーカーの責任として今回のご依頼に応えていこうという意見がまとまった。当工業会はSDGsを推進していくという立場にあり、今回の取組みは非常に意義のあるものと考えている」と説明。
 さらに、装置で使用する洗浄液の準備について次のように紹介した。
 「一般に石油由来インキの溶解・洗浄には石油由来の溶剤を使用するが、今回は非石油由来であり、かつ、さまざまな面で安全な洗浄液である必要があった。
 また、リユース、すなわちテスト用フィルムとして再利用するには、フィルムにキズや他のダメージを与えることを最小限にとどめるため、洗浄段階で極度のブラッシング等を行うことができず、洗浄液に高いインキ用対応力が求められる。
 工業会としては化学薬品メーカーにご協力をいただきながら、この条件にマッチする植物由来の洗浄液の評価・テストを繰り返し、基本性能を満たした洗浄液の準備を行うことができた。
 今後は正式製品の開発、市場への展開を行っていくこととなるので、ぜひご期待いただきたい」
 発表会ではこのほか、開発を行う2社からそれぞれの装置の特長と今後の計画が紹介された。
 オリエント総業の原田社長からは「3月頃に最終的なアセンブリングとデモができる環境を作り、4月にはコンバータ様に洗浄済みフィルムサンプルを提供し、夏頃には初号機を出荷したい」、富士機械工業の和田社長からは「現在、試運転を行っている。環境省の補助金を利用していることから、1月末から2月末までに基礎データ収集し報告を行ったのち、ロングランテスト、販売機の検討・設計を12月頃まで行っていく」との方針が述べられた。










【印刷新報2021年1月28日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連『じゃぱにうむ2021』
 印刷業の地方創生事例を紹介
・東京ビジネスデザインアワード テーマ賞7件が決定
・モリサワと写研
 オープンタイプフォントの共同開発で合意
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2021年1月14日付
〈第14回MUDコンペティション〉
受賞22点、経済産業大臣賞は
ともに災害対応関連ツール


 全日本印刷工業組合連合会が主催する「第14回メディア・ユニバーサルデザインコンペティション」では、経済産業大臣賞はじめ全22点の受賞作品が決定した。
 今回は、応募総数227点(一般64点、学生163点)、部門の内訳は「グラフィックテクニック」94点、「商品企画」127点、「製本、加工技術」6点だった。
 経済産業大臣賞の受賞者は次のとおり(敬称略)。
・一般の部
 松本印刷梶i静岡県)、「災害時情報共有ツール」(出品者=高山七海、奥山ひとみ)
・学生の部
 専門学校浜松デザインカレッジ(静岡県)、「I.SCALE〜災害の見える化計」(出品者=土川彩音)
◆切って貼って、情報を共有
 経済産業大臣賞の2作品は、いずれも災害対応に関連したもの。
 「災害時情報共有ツール」は2つのツールから成る。
「キリトリミニブック」は、衛生・体の健康・心の健康の3つをテーマに、災害時でも健康的に過ごすためのアドバイスをまとめたガイドブック。すべてのページを切り離せ、小さなポスターとして必要な場所に掲示することで情報を共有できる。
 「パーソナルデータ記載抗菌マルチケース」は、抗菌加工が施された収納ケースで、3つのポケットには衛生グッズのほか、カードやお金が入れられる。中面には基本情報を書き込めるほか、日本語と英語の2ヵ国語で項目を載せている。情報を伝えにくい子どもや高齢者、障がい者なども、必要な情報を他者に伝えられる。
 各ツールともに、文字はUDフォントを使用。判別しやすい色と柄で、誰にでも見やすいデザインにしている。
 役所などで住民に配布、学校で生徒に配布、災害時に避難所で配布など、いろいろな使い方が考えられる。
 また、「I.SCALE〜災害の見える化計」は、日常的に防災を意識・実感できる計測アイテム。自分の身長を基準に、数字や映像では分からないリアルな高さをマークし、可視化できる。高さに合わせてカットしやすく、貼って剥がせるステッカータイプとなっている。
 想定される使用場面としては、公共施設において、過去の記録から「(洪水や氾濫が)ここまで来る」という高さを住民が共通認識にしたり、緊急時に避難誘導などを任される職員の防災意識と責任感の向上が期待できる。家庭では、子どもの身長を測るというコミュニケーションを取りつつ、防災意識を保つことができる。















【印刷新報2021年1月14日付掲載】
その他掲載記事
・特集 第57回光文堂新春機材展
 「変革を掴もう」をテーマに
・政府、デジタル教科書の普及促進に
・大手3社の社員向け年頭あいさつ
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2021年1月1日付
【本紙アンケート】
2020年の気付きと2021年への挑戦
―各社の課題を明確にしたコロナ危機―


 新型コロナウイルスによりビジネス環境が一変してしまった2020年。否応なく業界を襲ったコロナ危機は、それぞれの印刷会社が抱える弱点や課題を浮かび上がらせるリトマス試験紙でもあった。変革を先延ばしにしてきた会社にとっては、寝耳に水のような出来事であっただろう。
 各社は非常事態にどのように向き合い、新たな気付きを得たのか。そして、試練を2021年にいかに活かしていくのか。取引先に起こった変化も含めて、本紙では100社余りに記入式アンケートを依頼し、関東圏を中心に14社(印刷会社13社、製本会社1社)から回答を得た。会社規模や業務内容、回答者の役職はさまざま異なるが、回答からは共通する課題や今後の取組みに関する一定の方向性が浮かび上がった(個々の回答は省略。詳細は本紙)。

【質問1】
 2020年を振り返り、コロナ禍による非常事態、環境激変の中で見えた自社の課題や新たな気付きはどのようなものでしたか?
【質問2】
 2021年は、新たに見えた課題に対してどのように取り組んでいかれますか? あるいは、すでに取り組まれている場合、それをどのように発展させていかれますか?
【質問3】
 貴社の主要な顧客における2020年のビジネス上の特徴的な変化と新たな要望、および2021年の見通しについて聞かせてください。

◇◇◇ アンケートから見えたこと ◇◇◇
非対面での営業手法を模索
顧客のデジタルシフトさらに

◆複雑さを増した働き方改革
 対内的、対外的な課題のいずれにも影響したのが、コロナ対策でまず求められた「非接触」。テレワークでの在宅勤務や非対面営業の運用と成果に心を砕いた様子が窺える。
 在宅テレワークに関しては、すでに導入していた会社もあり、おおむねハード面での制約は少なかったようだ。挙げられた課題は、テレワークができない製造スタッフと在宅勤務者の間の意識の差やコミュニケーション、評価の公平性など、ソフト面に多かった。2021年も引き続き、全社員が納得できる形での勤務形態、勤務評定などが模索されている。
 在宅テレワークへの業務適性が比較的高いDTP・デザイン部門に比べ、やはり営業部門には戸惑いがある。経験の少ないテレワークの中で、顧客接点づくり、新規顧客開拓をどのように行っていくか、対面営業を軸としてきた印刷会社にとって2021年以降の大きなテーマとなっている。
 また、デジタルマーケティングを営業戦略に取り入れていく方針が複数の会社から示された。ソリューション営業を展開したくても、顧客の抱える課題を把握することが非対面では難しい。"顧客の顧客"から入り込み、その分析を通じて印刷会社が主導権を握る戦略が今後さらに志向されていくだろう。

◆コロナ禍のプラスの面も
 デジタル化の加速については多くの会社が強く意識し、対応を課題に挙げた。
 「お客様はあらゆる面でデジタルにシフトチェンジされている」、「"デジタルオリエンテッド"な考え方にシフトしていく必要がある」、「SNSや動画も含めて、業界を超えた多メディアで認知を促す必要性が増している」など、印刷会社のデジタル武装は待ったなしの状況にある。
 自社のデジタルメディアへの対応力不足、ITインフラ整備の不十分さを改めて気付かされた会社も多い。
 また、デジタルメディアとの融合だけでなく、デジタルメディアのアンチテーゼとして「紙媒体の意義とは何か」を問い掛ける声もあった。情報伝達以外の現物としての物理的な価値、印刷物ならではの高品質による付加価値に意義を見出している。
 経営者にとって、2020年に消え去った仕事の穴をどう埋めるか、そして今後も一定程度戻らないであろう仕事に代わる「新しい事業」をいかに確立するか、新たな挑戦が始まっている。「付加価値製品の開発による新販路の拡大」、「B2C向けの商品開発と販売チャネル開拓」、「上流工程への取組みを通じた業務範囲の拡大」といった取組みが挙がった。
 コロナ禍はマイナス面ばかりではない。非常時だからこそ社内に向ける意識も高まり、改善を進めるきっかけとなる。  アンケートでは、社員の健康管理や人事制度、人材の採用、社員教育、社内勉強会、BCPの見直し、作業標準化、多能工化などへの取組みが見られた。
 「このコロナ禍で、一歩踏み出す機会と、変わらなければいけない危機感を得られたことが何よりの収穫と考える」(秋田県・S社、専務)、「大変革期と言われるニュー・ノーマル(新常態)を楽しみながら、前に向かってより良い未来造りに少しでも貢献できるような企業運営を心がけていきたい」(東京都・I社、部長)。
 いずれも若い世代が見せたこうした前向きな姿勢は、今後の印刷業界にとって大変心強く、希望を感じさせる。














【印刷新報2021年1月1日付掲載】
その他掲載記事
 2021年新年号
・新しい風を感じて
・ジャグラ緊急座談会 我々はどのように生き残るか!
・ビジネス展の新潮流
 リードエグジビション ジャパン 田中 岳志社長に聞く
・業界トップの年頭所感「新時代を拓く」
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2020年12月17日付
本紙が選んだ2020年十大ニュース
コロナ禍に翻弄された一年


本紙が選んだ2020年十大ニュース
@コロナ禍が経営を直撃
Aテレワーク、時差出勤など働き方改革が一気に加速
B業界イベントの中止・延期が相次ぐ
Cセミナー・会合などのオンライン化が普及
D巣ごもり需要、感染防止対策商品など特需も
Edrupa2020、延期から中止に
F全印工連、「令和版構造改善」を提言、DX推進へ
G全製工連、製本産業ビジョン2025で"再・創業"掲げる
HSDGs経営の意識強まる
I政府がデジタル教科書の普及に向け本腰

■価値感と行動様式が変容
 2020年は、なんと言っても"コロナ禍"に尽きる。経済・社会が麻痺する中で、印刷業界も大打撃を受けた。各種調査からは、売上高で平均2〜3割減という数字が出ている。仮に2割減として印刷産業全体に当てはめると、2020年の出荷額は4兆円を切ることも予想され、5年先の変化が一気に起こったということができる。
 印刷業界に限った話ではないが、コロナ禍への対応は、働き方や顧客対応の面でも変化を急加速させた。3密回避、非接触営業を余儀なくされた結果、まだ先だと思われていたテレワークや時差出勤等の導入が各社で当たり前のこととなった。新入社員研修を在宅オンラインで実施した企業も多かった。
 3密の回避は、業界のあらゆるイベントや会合の開催にも影響し、主催者は苦渋の決断で中止・延期に追い込まれた。全印工連、ジャグラ、全製本工連、全日スクリーン・デジタルの全国大会が中止・延期となったほか、地方展やメーカーのユーザー全国大会・ブロック会が中止、または一部オンラインでの開催となった。
 すでに2021年も、業界関連団体の多くの新年会ほか、ジャグラ大阪大会が中止されている。
 世界最大の印刷・メディア産業展であるdrupa2020も、今年6月の開催を2021年4月に延期、さらに中止が決定し、次回は2024年の開催となった。
 リアルのセミナー・会合等のオンライン化も広がった。多くの視聴や参加が得られる、時間や場所の制約を受けないといったプラス面が評価され、活用する流れは続いていくだろう。
 JAGATは、page2021を展示会・セミナーともオンラインを併用したハイブリッド開催とした。
 コロナ禍は、印刷会社からイベントやインバウンド関連需要、販促関連需要などを奪う一方で、『鬼滅の刃』に代表されるコミックス、絵本、休校の長期化による学参物などの出版物需要を伸ばしたほか、抗菌マスクやフェイスシールド、パーテーション等の感染防止対策関連の特需も生み、商品化に参入する印刷加工会社が相次いだ。
 社会の価値観を変容させたコロナ禍は、その終息後も印刷産業に大きな変革を迫る。社会全体にSDGsへの意識がさらに高まる中、社会課題に寄り添うソリューション経営が必須となる。
 「令和版構造改善」を提言した全印工連は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進プロジェクトにより、生産集約と高付加価値ソリューションの提供を目指す。
 全製本工連は、「製本産業ビジョン2025」を発表。"再・創業"の旗印を掲げ、出版・印刷の二大市場に次ぐ第三の市場開拓に挑む。













【印刷新報2020年12月17日付掲載】
その他掲載記事
・drupa2021は中止、次回は2024
・印刷博物館 現代日本のパッケージ展
 社会・時代に合わせ進化
・太陽光発電と蓄電池の稼働開始
 紅屋オフセット川島工場
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2020年12月10日付
page2021、初のハイブリッド開催
セミナー含め2月末まで長期に


 日本印刷技術協会(塚田司郎会長、JAGAT)は、来年2月に開催する「page2021」の記者発表を12月7日に東京・杉並区のJAGAT本社で行った。今回は展示会、カンファレンスともに、リアルとオンラインの両方で実施するpage初のハイブリッド開催となり、ほぼ2月を通して継続的かつ豊富な情報発信を行う。

page2021のポスター

◆30本を超える無料セミナーも配信
 新型コロナウイルス感染対策を余儀なくされたpage2021は、JAGATとしてできる最大限の安心・安全確保を行う。2月3〜5日に東京・池袋のサンシャインシティ文化会館で開催するリアルの展示会およびカンファレンスでは、入場者数をカウントしながら密になる状況を避け、慎重に運営する。
 さらに、オンラインでの展示会・セミナー配信(目標登録数50万PV、ユニークID数1万)を2月8日から28日まで、ライブストリーミング配信で行う「ハイブリッドカンファレンス」を8日から26日まで行う。配信される講演・セミナーは計40以上になる。
 記者発表で塚田会長は次のように述べた。
 「今年は業界の多くのイベントが中止、あるいはオンライン開催となっている。JAGATの地方大会や会員大会もオンラインとなり、page2021をどうしようかと悩んだが、page展をやってほしいという出展者の声が多かったと聞く。すべてリアルというわけにはいかないが、JAGATスタッフもよく勉強したオンライン配信とのハイブリッド開催とした。意味のある展示会になると思う」
 また、JAGATの郡司秀明専務理事は、緊急事態が起きた場合のことも想定し、早くからハイブリッド型を決めた経緯を説明。今回のテーマである「リセット・ザ・フューチャー」については、「ここまでコロナで状況が変わると、未来自体が変わってくる」とし、従来のテーマの延長線上ではなく、印刷産業の未来を一から捉え直す方向性を示した。
 12月7日現在、リアル展示会の出展企業数・小間数は95社・350小間(前回は166社・562小間)。およそ6割の規模となっている。展示ホールは文化会館2〜4階を使用し、3階にスポンサーズセミナー(13本)、2階にJAGAT企画のフレッシュミニセミナー(13本)の特設コーナーを設ける。
 2月3日の開会式に続く「基調講演」は「リセット・ザ・フューチャー」をテーマにJAGATの塚田会長、森澤副会長、網野副会長、郡司専務理事が語り合う。
 これらの講演、セミナー等は聴講無料で、年初から申込み受付を行う予定(先着順)。会場の収容人数は約100名。また、2月8日〜28日にも順次無料配信される。
 有料の「ハイブリッドカンファレンス」は計9本、参加費は各1万円(税込)で、期間中の月・水・金曜に配信される。2月8日のオープニングセッションは「コロナで変化した世の中の常識について語り、対策を考える」、2月26日のクロージングセッションは「コロナ後の印刷業界をうらない、具体的にどうするか」を予定。
 リアルとの相乗効果、および遠隔地からの来場が期待できるオンライン展示会の出展社数は30社(12月7日現在)。内容は、動画や製品紹介などビジネス展に最適なシンプル設計とし、チャット機能、名刺交換機能、アンケート機能を使い、来場者と直接コミュニケーションを取れる。
【開催概要】
■会期
・リアル展示会 2月3日(水)〜5日(金)
・オンライン展示会・セミナー 2月8日(月)〜28日(日)
・ハイブリッドカンファレンス 2月8日(月)〜26日(金)の月・水・金
■会場 サンシャインシティ文化会館(2〜4階) 展示ホールB・C・D
■入場料 1000円(税込)※Webによる事前登録で無料












【印刷新報2020年12月10日付掲載】
その他掲載記事
・大日本印刷 市谷の杜 本と活字館
 来年2月に正式オープン
・TOKYO PACK 2021 315社・1525コマで開催へ
・SDGs実践には「サーキュラーエコノミー」
 印刷同友会 11月研修会 から
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2020年12月3日付
第46回技能五輪国際大会 中国・上海大会
「印刷職種」代表候補に
甲斐田光さん(丸信)


 第46回技能五輪国際大会( 中国・上海大会)「印刷職種」日本代表選考会の結果が発表され、丸信(平木洋二社長、福岡県久留米市)の甲斐田光さん( かいだ・ひかる、21歳、オフセット印刷課)が代表候補者に選出された。今後、中央職業能力開発協会に推薦される。

表彰状を手に笑顔の甲斐田さん

 11月26日に日本印刷会館で行われた発表記者会見には甲斐田さんのほか、日印産連の小野隆弘専務理事、田中剛審査委員長(ハイデルベルグ・ジャパン)、丸信の手島忠治工場長代理が出席し、選考過程などが報告された。
 技能五輪では、印刷職種が2007年の第39回静岡大会から正式競技種目となり、日本も同大会から代表選手を毎回派遣している。
 第46回大会の選考会は東京都の後援と関係企業・団体の協賛を得て8月から10月にかけて行われ、全国から3社・6名が参加。その結果、甲斐田さんが優勝し、日本代表候補者に選出された。
 甲斐田さんは高校を卒業後、先に入社していた高校時代の先輩の勧めもあって2017年に丸信に入社。その後、わずか3ヵ月で機長を務め、その実力について上司の手島工場長代理は「今までにないほどの技術力」と評する。同社の平木社長からの勧めもあって初挑戦した前回の第45回大会の選考会では惜しくも銀賞だったものの、2度目の挑戦で代表の座を射止めた。
 会見で甲斐田さんは、「誰でも経験できることではなく、これからの社会を歩む上で役立つと思う。参加するからには1位を目指したい」と意気込みを見せた。
 田中審査委員長は、選考会講評の中で甲斐田さんについて、「印刷の絵柄が難しいなかでもスピード、品質ともに優れていた。これから上海大会に向けてトレーニングをしていくが、十分に上位を狙えると期待している」と高く評価した。  また、第46回大会は新型コロナウイルス感染症の影響により開催が1年延期となり、2022年に行われる。その影響については、「1年延期されたことで少し余裕をもって臨める。大会では油性の印刷機を使用するが、丸信さんの機械はすべてUVで、インキの違いやパウダーの扱いには慣れていない。そうしたトレーニングも必要になる」と言及。2年後の本番に向けて甲斐田さんも「普段は厚紙の印刷がほとんどなので、薄紙にも慣れていきたい」と前向きに語った。  日印産連の小野専務理事は、「近年は新興国が伸びてきており、苦戦を強いられているが、過去の実績としては金メダルを獲得しており、ぜひ頑張ってほしい」と期待を寄せた。
 過去には第40回カナダ・カルガリー大会の菊池憲明さん(凸版印刷)と41回イギリス・ロンドン大会の伊東真規子さん(亜細亜印刷)が日本代表として金メダルを獲得。前回の第45回ロシア連邦・カザン大会では湯地龍也さん(凸版印刷)が敢闘賞(6位)の成績を収めており、甲斐田さんの活躍にも期待が集まる。
 中国・上海大会は2022年、第47回フランス・リヨン大会は2024年に開催される。











【印刷新報2020年12月3日付掲載】
その他掲載記事
・全印工連、47工組に一律10万円を支給
・JP2020・ICTと印刷展 「印刷業界に元気取り戻す」
・第24回 日本自費出版文化賞 作品募集を開始
 来年3月31日まで
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2020年11月26日付
J-NOA 「折込論文広告大賞」決定
〈金賞論文〉折込は"地域商店街"と再定義


 一般社団法人日本新聞折込広告業協会(長屋和男理事長、略称J-NOA)が主催する「折込広告論文大賞2020」の入賞作品が決まった。「折込広告の未来〜折込広告の新価値創造と、新しい領域への挑戦」をテーマに論文を募集していたもので、最優秀の金賞に輝いた論文では、折込広告の価値を「新聞に折り込まれた商店街」と再定義し、地域密着や集客力といった折込広告の力を発揮した新たなサービス提案による変革を提言した。
 同論文大賞は、広告メディアのデジタルシフトが急速に進行していることを背景に、J-NOAが初めて実施したもの。新聞折込広告業界が取り組むべき課題は何か、課題解決や新しい領域への挑戦により業界の発展にどうつなげるかという視点で、新聞折込広告および業界のあるべき方向性について共通認識を持つことを目的とした。
 今年4月から7月まで論文を募集。J-NOA会員社はじめ、広告業界、異業種、学生などから計32編の応募があった。授賞式は11月12日に東京都内で開かれた「2020折込広告全国大会」の中で行われ、金賞1、銀賞1、銅賞2の計4作品が表彰された。
■より地域、生活者に密着を―デジタルとの融合や買い物代行など提案
 金賞を受賞した論文は、読売IS社長室経営政策部の戸部浩氏による「折込広告が"地元"を魅力的な街にする〜折込広告価値の再定義と新サービス提案」。
 新聞折込広告市場は2006年をピークに市場規模は年々減少し、現在、ピーク時の半分にまで落ち込んでいる。論文では、折込広告市場は「衰退期」に差しかかっているとした上で、衰退期の戦略として、「折込広告価値の再定義(リポジショニング)」と「折込広告の新サービス提案(イノベーション)」を論じている。
 折込広告価値の再定義について、「折込広告を見るということは、地元の商店街をブラブラ歩きながら各店の売り場や商品を見て回っているのと同じ機能がある」と指摘し、「折込広告=新聞に折り込まれた商店街」と再定義した。
 たとえば、小売業広告主ならば実店舗の売場、メーカー広告主ならばショールーム、教育系広告主ならば塾や学校のような役割として活用され、さらに地域の催事や学校の行事など、あらゆる地元情報を発信できる仕組みを整えれば、折込広告に新たな価値が生まれると訴える。
 折込広告の新サービス提案については、広告主それぞれの店舗情報が表示されたデジタルマップの作成を挙げる。
 折込広告が商店街とすると、店舗一覧やフロアマップのような情報が必要となる。そこで、折込広告を出稿しているすべての広告主の店舗位置情報がインターネット上のマップに表示されるようなサービスを構築し、生活者の利便性向上を図ることを提案。また、折込チラシを写真に撮るとクーポンが自動でダウンロードできる仕組みなど、デジタル技術を用いたサービス情報取得の簡略化も必要とした。
 さらに、高齢化社会に伴う「買い物弱者」の救済策として、折込広告会社と新聞販売店が連携した「買い物代行事業」を提案する。
 広告主はチラシ紙面に「買い物代行あり」と分かる表記をつけ、折込広告会社に配布と買い物代行業務を依頼する。読者は折込広告を見て買い物代行事業者に連絡し、商品を家まで届けてもらう仕組み。買い物だけでなく、修理サービスや買取サービスなどのサービス業務も対象とし、買い物代行事業者が各広告主に連絡して読者との橋渡しを行うというものだ。
 最後に「折込広告は商店街であり、売場であり、喜びを与えられるメディア。『買い物をする』という体験は何ものにも代えがたく、人が生活していく上では決して消えることがない行動である。折込広告はこれら生活者の願望を実現できる稀有なメディアである」と、折込広告が持つ潜在価値を強調している。
 金賞以外の入賞作品は次のとおり。
・銀賞=「潜在ニーズの具現化による次世代ビジネス」(熊倉和哉氏・新潟日報サービスネット広告部営業課)
・銅賞=「折込広告の未来〜折込と効果検証」(長瀬孝興氏・オリコミサービス営業本部第5営業部)、「折込広告の突破を考える」(笠原滋人氏・電通アウト・オブ・ホーム・メディア局)











【印刷新報2020年11月26日付掲載】
その他掲載記事
・北印工組、創立80周年を祝う
・ジャグラ、「DTPオペレーション技能テスト」スタート
・東京4団体、都の来年度予算に要望
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2020年11月12日付
東京製本二世連合会・勉強会
先輩経営者の体験談に学ぶ
いかに危機を克服するか


 東京製本二世連合会(竹内靖貴会長)は10月23日、オンライン勉強会を開催し、35名が聴講した。コロナ禍で多くの製本会社が業績の悪化を免れない中にあって、これまで多くの苦難を乗り越えてきた先輩経営者の体験談を聴くことにより、必要な心構えと具体的な行動について学んだ。講師は、田中紙工・田中真文社長(全日本製本工業組合連合会会長)、島村製本工場・島村幸夫社長(東京都製本工業組合文京支部長)、和光堂・井上正社長(同副理事長)が務めた。

製本会館の会議室を簡易スタジオ化しリモート配信した

 勉強会は板橋区の製本会館を拠点に午後6時半から2時間近く行われた。会議室を簡易スタジオに仕立て、島村氏は会議室から、田中氏と井上氏はリモート参加で二連のメンバーに語りかけた。二連の青木孝憲氏(松岳社)が司会進行を務め、竹内会長(菁文堂)が開会にあたり次のように企画の趣旨を説明した。
 「コロナ禍で大変な状況となり、立ち止まる方、これから走られる方、また、今までも走ってきたがさらに倍速で走られる方など、いろいろな選択を採られていることと思う。その中で、行動は皆さんそれぞれ違っても、行動を止めないこと、走る意志を持ち続けることが大事だと考えている。私たちはまだ経験が浅いが、これまでいろいろな経験をされてきた3人の先輩方が、どのようなマインドで危機を乗り切ってこられたかを学び、そこから元気をもらいたいと考えて今回の勉強会を企画した」
 続いて、三氏が順に講演し、終わりに聴講者からの質問に答えた。
 田中氏は、2007年に父親が他界し、すでに自身が社長に就任してはいたものの、相続の問題に頭を悩ませた。その後、海外出張中に本社工場が近隣のボヤにより類焼、3階・4階部分が焼けてしまい、多額の損失が出た。不安でいっぱいの社員に対して田中社長は、必ず立ち直れるので安心してほしいと言い切り、受注製品の作り直し、保険金の手続き、新工場の確保などの具体的な行動に移った。
 その後、印刷会社の買収による印刷からのワンストップ受注、エンドユーザーからの直請への転換などを果たした。
 田中社長は「必ず克服できると信じ、覚悟を決めて行動することが大事だ。思考は現実化する。今のコロナ禍も、戦争時を思えばまだ恵まれている状況だと考え、胆を据えて乗り越えてほしい」とメッセージを送った。
 島村氏も、工場の全焼、相続問題、リーマンショック後の手形事故など、さまざまな危機に遭ってきたが、大きな時代の流れとして、自社のメインであるマンガ雑誌が少子化により減少することへの危機感が強かった。そのため、30代の後半から、雑誌以外の他の製品の研究、機械の測定とデータ化などに取り組み、それが現在の仕事につながっている。
 島村氏は「製本技術は確立されているが、材料は常に変化する。また、メーカーは機械を造ることはできても改造まではしてくれない」と話し、自分で研究し、挑戦することの大切さを語った。また、二連時代の仲間の助けが非常に大きかったことにも触れた。
 井上氏は、先代である父との葛藤を越え、会社の強すぎる職人気質、非効率な工場設備をいかに変えていったか、苦労話を披露。売上げの4割を占める得意先の破綻や父の死を経験しながら、決算書の読み方から勉強し、がむしゃらに働いて借金を返済した30代、50歳を過ぎてから大学院で学んだ2年間の経験など、多彩なエピソードから学び続ける経営者の姿勢について伝えた。










【印刷新報2020年11月12日付掲載】
その他掲載記事
・デジタル・ガバメント加速へ
 トッパン・フォームズと4市が「広域研究会」を発足
・大日本印刷 「バーチャル図書館」開発
・Horizon Innvation Park グランドオープン
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2020年11月5日付
経産省、実践的なVOC対策セミナー開催
少しの工夫で労働衛生向上


 経済産業省関東経済産業局の主催、日本印刷産業連合会の共催による「VOC(揮発性有機化合物)排出抑制セミナー」が10月30日に日本印刷会館2階会議室で開催され、オンラインでも同時配信された。中小印刷会社が取り組みやすい低コストで簡単なVOC排出抑制対策などについて4氏が講演し、労働安全衛生の側面を含めて具体的な事例を紹介した。

■ばく露可視化システムも紹介
 環境省による2018年度のVOC排出データによると、業種別VOC排出量は40業種中、「印刷・同関連業」が上位6番目で、全体の5.0%を占める。発生源品目別(全31品目)VOC排出量は、1位の「塗料」が37.8%、2位の「燃料(蒸発ガス)」が20.6%。「工業用洗浄剤」は5.8%で5位、「印刷インキ」は5.5%で6位、「湿し水」は0.04%で25位となっている。
 セミナーの中で全国グラビア分析センター代表取締役の石塚千吾氏は、数多くのグラビア印刷会社の現場を見てきた経験を基に、VOC排出抑制と職場環境改善の事例を紹介した。
 グラビア印刷工場内では、主にインキパン中でインキを分散させる溶剤および塗布・乾燥後のフィルムが開放系の状態にある。また、溶剤管理備品からの溶剤の蒸発・拡散・滞留などにより、工場内の環境が悪化しやすい。そこで、局所排気や全体換気を行うことが重要だが、その効果の確認は容易ではない。そこで石塚氏は、少しの工夫で作業環境改善に結びつける取組みを勧める。
 改善例としてまず、VOCの発生源である印刷ユニットを難燃性カバーで覆う方法を挙げた。各印刷ユニットに拡散防止用フィルムを吊り下げている工場もあり、改善に役立てている。
 インキパンの上部・側部にインキ飛散防止カバーを取り付けることも有効だ。ただし、注意点として石塚氏は、カバーで覆いすぎて排気口を塞がないことを挙げる。
 十分な排気を確認するためには、スモークテスター(白煙)を使用して工場内の気流の状態を可視化する方法が簡単。任意ポイントの風速測定、作業環境測定の実施(作業環境管理区分の確認)も行っておきたい。
 印刷ユニット上に外付けの給気・排気設備を設置することで気流を確保する方法もある。
 局所排気の効率化(インキパン下)では、ブロワー(乾燥用熱風吹付け)に近い排気口の開口部面積の縮小、遠い側からの引込み能力アップによる流量の均等化が有効な対策となる。局所排気口の目詰まり防止も大事だ。
 ドライラミネート機の塗布部へのカバー設置、デリケートな校正機設置室内の換気改善も大事なポイントとなる。
 校正機設置室にプッシュ─プル方式の気流を確立した事例としては、
・校正機真上(可能な限り近く)に換気扇を設置
・水平方向の換気扇流を仕切り板により下降気流に変更
・校正機周辺設置の局所排気装置で溶剤を室外に排出
といった工夫がある。
 その他、溶剤缶やインキ容器に蓋をすることは基本であり、希釈溶剤用ジョウロにひも付き(紛失防止)の蓋を付けている工場もある。
 石塚氏は「経営者、監督者、作業者が全員で環境安全を推進することが大切だ。有機溶剤発生源の管理・点検は日々、定期的に実施していただきたい」と述べた。
 中央労働災害防止協会(中災防)の宮内祐介氏は「VOCばく露状況の見える化」について話した。作業環境測定や個人ばく露測定では、測定時間中の平均値しか得られず、ばく露の瞬間を特定することができないため、適切なVOC低減対策を行うことが難しい。
 そこで中災防では、日本版VEM(ビデオばく露モニタリング)システムを企業と共同開発した。ウェアラブルカメラやセンサーを使って撮影・測定し、データを可視化できる。
 中災防がオフセット印刷会社の協力を得て実施したローラー洗浄作業、ブランケット払拭作業のVEM調査では、モニタリング結果の折れ線グラフと、グラフに連動した作業映像から、印刷ユニットに近接した時、ウエス缶を開けた時、払拭作業時などに明らかにばく露濃度が高くなることが確認された。作業者のスキルによっても大きな差が出る。また、ウエス缶のサイズを小さくする、換気扇の近くに置くなどの工夫による、ばく露低減効果も確認できた。
 宮内氏は「作業管理にVEMを活用することで、原因の特定ができ、効果的な改善対策ができる。教育用としても有効で、映像を見た作業者がマスクを常に着用するようになった会社もある。ぜひ活用いただきたい」とシステムを推奨した。
















【印刷新報2020年11月5日付掲載】
その他掲載記事
・特集 パッケージ最前線
・令和2年 秋の叙勲・褒章
・DTPオペレーション技能テスト新設 ジャグラ
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2020年10月29日付
電通デジタル「デジタルネイティブ世代調査」
コロナ禍での転換に前向き
"好きを極める消費"へシフト


 電通デジタル(東京都港区)は、「コロナ禍におけるデジタルネイティブ世代の消費・価値観調査」を今年7月中旬に1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)在住の15〜34歳の男女を対象に実施し、このほど調査結果を発表した。
 新型コロナウイルス感染症の影響による新生活様式への移行に伴い、生活者の消費行動のデジタル化は加速し、同時に多くの企業がデジタル変革を迫られている。
 電通デジタルでは、Z世代/ミレニアル世代(1980年代〜2000年代生まれ)に代表されるデジタルネイティブ世代が、コロナ禍を通じて起こした行動・消費動向の変化に着目し、インターネット調査を実施した。
 デジタルネイティブ世代で700サンプルを算出したほか、比較するうえで大人世代の35〜59歳の男女200サンプルを回収した。
 主な調査結果は次のとおり。
■「コロナ=社会・生活の転換点」と前向きな意識─新生活様式への移行を期待
 デジタルネイティブはコロナ禍の生活について、「コロナ禍がきっかけでより効率化が進み暮らしやすくなる」(45.1%)、「暮らしはデジタルで完結するようになる」(58.9%)、「(収束したら)生活がより自由になっていく」(48.3%)などと回答。いずれも大人世代に比べ10ポイント以上の差が見られ、コロナ禍で変わった生活をポジティブに捉えていることが分かった。
■サブスク化・キャッシュレス化が加速―3分の2が利用
 コロナ禍をきっかけに、デジタルサービスの利用も増加。デジタルネイティブの回答が特に多かったのは「サブスクリプションサービス」(63.7%)、「オンライン対話サービス」(53.7%)となった。また、「キャッシュレス決済」(63.7%)は世代を問わず使われ、デジタルサービスの利用移行が加速していることが窺える。
■反面、ライブや飲み会など「体感・場の共有」はアナログの価値が高まる―デジタルとの使い分けが二極化
 コロナ禍で利用したデジタルサービスの継続意向について聞いたところ、「決済」や「動画配信サービス」などの継続意向が強く見られる一方、「オンラインライブ」や「オンラインでの食事」といったリアルでの体験を置き換えたサービスは継続意向が弱い傾向が見られた。
 今後はデジタルで効率化していきたい分野とリアルでの価値を大事にしたい分野の2つで、サービスが使い分けられていく兆しが窺える。
■節約意識は高まるが、「熱中対象」は別腹─趣味・好きなものへの消費はコロナ前より増加傾向
 コロナ禍で「貯金をしたいと思い始めた」(51.0%)など貯蓄意向が高まった一方、好きなことや趣味に費やすお金は「増加・または変わらない」という回答が63.7%、時間はさらに多く77.9%に上った。理由としては「交際費が減った」、「余暇時間が増えた」といった声が多く、デジタルで効率化した生活を土台に好きなことには積極的に投資する姿勢が窺える。















【印刷新報2020年10月29日付掲載】
その他掲載記事
・特集 北海道情報・印刷文化典札幌大会
    北印工組創立80周年記念事業
・経産省 「地域未来牽引企業」追加選定 印刷関連も多数
・最高賞に精英堂印刷 第30回シールラベルコンテスト
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2020年10月15日付
佐川印刷
FESPAで金賞ダブル受賞
UVインクジェットで立体感を表現


 世界的なデジタル印刷の「FESPAアワード2020」において、佐川印刷(佐川正純社長、愛媛県松山市)の「Japanese Fishes Calender」(日本の魚カレンダー2020年スペシャル版)が、Creative Special Effects(創造的特殊効果印刷部門)とPeople's Choice Award(一般人気投票部門)で金賞を受賞した。
 FESPAはスクリーン印刷、デジタル印刷、およびテキスタイル印刷コミュニティの連合会であり、同アワードはその展示会において世界各国のプリント作品を展示し、投票によって選ばれた作品に各部門賞が授与される。

日本の魚カレンダー2020

2.5D厚盛プリント部分

 日本の魚カレンダーは、愛媛の水産業を応援するフリーマガジン「Eのさかな」の掲載写真などを活用し、同社の70周年を記念して3年前から企画・販売している。
 今回受賞した「日本の魚カレンダー2020年スペシャル版」は、UVインクジェット技術で立体感のあるレリーフのような2.5D厚盛プリントに仕上げることで、実物に近い質感や色味、テカリなどを表現した。FESPAアワード以外にも、第71回全国カレンダー展で入選しているほか、アグフアSublima印刷コンテスト2019‐2020ではカレンダー・ポスター部門の審査員特別賞を受賞しており、その印刷技術は国内外で高く評価されている。
 「受賞したことは社員にも自信になった」と喜ぶ佐川社長は、「印刷を取り巻く環境は大変難しい状況にあり、特徴のある製品や技術がないと生き残っていけない。デジタル印刷はイージーだと思われがちだが、デジタル印刷だからこそ極められる技術がある。UVインクジェットプリンターは多様な素材に印刷ができ、可能性は大きい」と考えており、同カレンダーは技術研究の題材として、さらに同社の見本帳として大きな役割を果たしている。
 現在、2021年カレンダーの制作を進めており、12月に販売を予定している。佐川社長は、「デジタル印刷の分野で日本より進んでいる海外で評価されたことは大きい。一つの号を完成させるために試作を繰り返す中で、技術力も高まってきている」と話し、カレンダー制作を通じて技術力だけでなく、企画力やクリエイティブ力の向上にも努めていく姿勢を強調した。














【印刷新報2020年10月15日付掲載】
その他掲載記事
・全印工連オンラインフォーラム2020
 印刷業の構造改革を宣言
・印刷博物館、20周年を機にリニューアルオープン
・災害時の施設利用で川島町と協定 紅屋ホールディングス
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2020年10月1日付
青森県印刷工業組合
知的財産権の適正な取扱いを要望
県、「留意した発注の周知」に言及


 青森県印刷工業組合(澤田義治理事長)は9月9日、青森県知事に対し、「知的財産権の適正な取り扱い」を求める要望書を提出した。県はこれを受け、「知的財産権に留意した発注を庁内や市町村に周知していく」と発言した。
 当日は、青森県印工組の澤田義治理事長、秋元清仁副理事長、田中日露史常務理事、三上伸理事相談役が県庁を訪れ、柏木司副知事に、県が印刷物を発注する際、知的財産の具体的な利用範囲の明確化や、財産的価値に配慮した契約内容に改めるよう要望書を提出した。
 官公需取引においては、国の方針(中小企業者に関する国等の契約の基本方針)でも「知的財産権の財産的価値について十分に留意した契約内容とするように努めるものとする」とされているが、青森県の印刷物発注時の仕様書には「一切の権利は県に帰属する」などの記述があり、著作権の濫用や侵害に当たる可能性がある。
 組合では、「知的財産を明確化することで、トラブルの未然防止や二次活用の推進が期待できる」と説明し、柏木副知事からは知財について、「県知的財産支援センターで相談に応じている」旨の県の取組みについて紹介があり、「案件ごとに判断することになるが、知的財産権に留意した発注を庁内や市町村に周知していく」との発言があった。
 また、当日の要望書提出に対して県内の新聞3紙(東奥日報・青森市、デーリー東北・八戸市、陸奥新報・弘前市)の取材があり、翌日の朝刊に写真入りで記事が掲載された。

右から柏木副知事、青森工組の澤田理事長、秋元副理事長、田中常務理事、三上理事相談役、伊吹信一県議会議員

 青森県三村申吾知事あてに提出された要望書では、「青森県は、印刷物等の発注に当たり、発注内容に著作権等の知的財産権が含まれる場合には、当該知的財産権の取り扱いについて書面をもって明確にするとともに、当該知的財産権の財産的価値について十分に留意した契約内容とすることを要望致します」と冒頭に主旨を記したうえで、
1.譲渡・利用範囲の検討
2.権利範囲の明確化
3.財産的価値への配慮
の3項目について要望事項を具体的に示した。
 これらを踏まえた契約内容とすることにより、「受注者が譲渡する知的財産権の財産的価値の算定が可能となり、また、譲渡した権利の処理に関するトラブルを未然に防止することにも繋がる。更に受注者の著作物制作に係るインセンティブの向上が図られ、コンテンツの二次的活用推進が期待される」としている。














【印刷新報2020年10月1日付掲載】
その他掲載記事
・特集・紙上全国交流大会
・森澤彰彦 日印機工 新会長インタビュー
・令和2年度 東京都功労者表彰 工藤久志氏、中村輝雄氏に
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2020年9月24日付
〈2020全印工連オンラインフォーラム〉
組合の重点事業を広く発信
10月9日13時より配信開始


 全日本印刷工業組合連合会(滝澤光正会長)は、新型コロナウイルス感染症による国内情勢に鑑みて来年に延期した全日本印刷文化典長野大会に代わる情報発信の場として、10月9日の13時より「2020全印工連オンラインフォーラム」を配信する。テーマは「Make the Future!〜未来を見つめ、ともに未来を創る」。滝澤会長によるトップメッセージに加え、全印工連の各事業について解説した動画コンテンツを配信し、全国の組合員が組合事業への理解を深める機会とする。

記者会見で、左から浦久保副会長、瀬田副会長
滝澤会長、鳥原副会長

 9月16日の記者会見には、滝澤会長、瀬田章弘副会長、鳥原久資副会長、浦久保康裕副会長、池尻淳一専務理事が出席し、概要を発表した。  会見の冒頭、滝澤会長はオンライン配信とした経緯について、「従来の全日本印刷文化典には、毎回多くの組合員のみなさんに参加いただき、その場で情報を発信していたが、全印工連の4,300社のうち、文化典に足を運んでいる組合員は数が限られていた。コロナ禍において、残念ながら長野大会は1年延期となったが、この状況を逆手に取り、ウェブというニューノーマルの時代にふさわしい情報発信のツールを使い、今まで文化典に足を運んでいただけなかった組合員にも全印工連の取組みを直接伝える場を設けた。組合員企業の社長のみならず、従業員のみなさんもご覧いただくことが可能だ」と述べ、今後もリアルとオンラインを併用した情報発信を行っていく意向を示した。
 開催概要について説明した瀬田副会長は、テーマについて、「コロナ禍でほぼすべての会社が大変な苦労をされている。こうした状況だからこそ足元をしっかり見つめ、組合として互いに手を携えて未来を創っていこう」と思いを語った。
 長野大会の開催予定日であった10月9日の13時にスタートするオンラインフォーラムでは、始めに滝澤会長のトップメッセージがライブ配信される。続けてスペシャルコンテンツとして、全印工連が今期の中心事業に据えるDX(デジタルトランスフォーメーション)について、DX推進PTの福田浩志委員長が印刷業界における必要性などを解説する。
 加えて、幸せな働き方改革や営業戦略、社員教育など、1本30分程度の動画コンテンツが6つ用意されており、これらの配信コンテンツは10月9日13時以降、いつでも視聴することができる。
 オンラインフォーラムについて、会見で鳥原副会長は、「アイデアを出すための一助として、未来を創るための一つのポイントとして、オンラインフォームにご参加いただきたい」と参加を呼びかけた。浦久保副会長は「現況の厳しさの中で、希望や自らが変わろうとする大きなモチベーションになるフォーラムにしたい」と期待を語った。
 配信は当日に開設予定のオンラインフォーラム専用サイト(https://www.aj-pia.or.jp/of2020/)から事前登録不要で誰でも視聴することができる。
【2020全印工連オンラインフォーラム】
▽日時 ライブ配信 10月9日13時〜/スペシャル・動画コンテンツ 10月9日13時より配信開始
▽配信コンテンツ
・トップメッセージ
「YouTubeによるTOPメッセージLIVE配信」全日本印刷工業組合連合会・滝澤光正会長
・スペシャルコンテンツ
「なぜDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要なのか? 印刷産業の未来を拓くデジタルトランスフォーメーションとは」DX推進PT・福田浩志委員長
▽動画コンテンツ
 「幸せな働き方改革〜業績向上につながるHappiness Companyを目指して」環境労務委員会・惟村唯博委員長/「ニューノーマル時代の営業戦略」経営革新マーケティング委員会・田畠義之委員長/「コロナ下における支援策〜国と組合ができること」組織共済委員会・小島武也委員長/「調達が変われば、企業が変わる、社会が変わる!」CSR推進委員会・浦久保康裕委員長/「利益を上げるなら、社員を育てろ!」教育研修委員会・富澤隆久委員長/「皆様の声を国政に反映させます─それが全印政連のミッションです」全日本印刷産業政治連盟・橋本唱一会長













【印刷新報2020年9月24日付掲載】
その他掲載記事
・特別企画「新時代の環境対応」
・大規模展示会、徐々に開催 コロナ対策徹底して実施
・テレワーク導入率は58% 都内企業実態調査
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2020年9月10日付
日印産連、「知的財産権」サイトを刷新
トラブル未然防止へ内容充実


 一般社団法人日本印刷産業連合会は2020年度より、日印産連Webサイトの「知的財産権」のページのリニューアルを行った。知的財産権の基本的事項をとりまとめた「印刷業務に関わる知的財産の全体像」と、印刷会社の実務上で起こり得る知的財産に関するトラブルのケースに合わせ防止施策をQ&A形式で紹介する「こんなときどうする?! 知的財産アドバイス」を新たに配信する取組みを始めている。
 デジタル化とネットワーク化の進展により、印刷会社の業務も、Webサイトの構築やデータベースの開発から、AI、IoTを駆使した新しい分野に拡がりを見せる中、知的財産権の重要度は増し、これまでとは違った視点で知的財産権について注意する必要が出てきている。
 日印産連では、価値創出委員会の下部組織として知的財産部会を設置し、文化庁、特許庁、経済産業省、知的財産戦略本部等、関連する省庁・団体の知財動向情報の集約と共有、知財に関わるパブリックコメントに対する意見表明を行っている。また、2010年以来、印刷業務および周辺業務に携わる人のための知的財産権に関する啓発を目的として、印刷業務で日常起こりうるトラブルを想定した課題研究を行っている。その研究結果は、日印産連の機関誌『JFPI REPORT』(年4回発行)に設けられた「こんなときどうする?! 知的財産アドバイス」のコーナーにおいて、さまざまな事例をテーマにQ&A形式で取り上げ、詳しい解説とアドバイスとともに記事を連載している。これらをまとめたガイドブックはこれまで2冊発行した。
 今回、Webサイトの「知的財産権」ページのリニューアルにおいては、印刷関係者が広く閲覧でき、理解を深めてもらうため、トップページに、ガイドブック『こんなときどうする?! 知的財産アドバイス Vol・2』に掲載されている知的財産権に関わる基本的事項を体系的に表した「印刷業務に関わる知的財産の全体像」をほぼ丸ごと掲載した。著作権のほか、特許権・実用新案権、意匠権、商標権、肖像権と、不正競争防止法に関わる基本的な知識が簡潔にまとめられている。
 また、ガイドブックおよび直近の『JFPI REPORT』に掲載された「こんなときどうする?! 知的財産アドバイス」計38事例のQ&A部分をテーマごとに一覧化するとともに、各事例を閲覧できるページを用意し、Q&Aをイラストによってわかりやすく掲載した。さらに、最新の『JFPI REPORT』に掲載されている「こんなときどうする ?!知的財産アドバイス」の記事をPDF形式で閲覧できる仕組みも用意した。
 これにより、知的財産権に対する意識の向上と、知的財産権に関わるトラブルの未然防止や問題解決の一助となることを期待している。













【印刷新報2020年9月10日付掲載】
その他掲載記事
・特集「9月 印刷の月」
・文化典と80周年事業を11月6日に 北印工組
・太陽堂印刷所 「千葉市健康づくり優良事業所」認定
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2020年9月3日付
〈神奈川県印刷工業組合〉
コロナ影響アンケート第2弾を実施
行政機関等へ要望文書送る


 神奈川県印刷工業組合(江森克治理事長)は、新型コロナウイルス禍の影響についての緊急アンケート(第2弾)を8月に組合員を対象に実施した。5月に実施した第1弾に続くもので、5月時点の見込みよりもさらに厳しい現状が浮き彫りとなっている。
 同工組ではアンケートの結果に基づき、8月18日に「第2弾アンケート結果のご報告とお願い」と題した文書を黒岩祐治神奈川県知事はじめ関係官庁、公共機関、政治家などに届けた。文書の概要は次のとおり。
 「所属組合員166社に対し、Googleフォームを利用したWebでのアンケートを8月3日から12日までの期間に実施し、約19%にあたる31社から回答を得ました。
 5〜7月の業績については、昨年比15%以上の売上減となっている企業が全体の9割超と、前回調査での3、4月実績の7割超を上回っています。また、前回調査で5〜7月の売上見込「30%以上の減収」と予測した企業が41.7%だったのに対し、今回の調査で明らかになった実績は58.2%と、予想を上回る減収となったことが窺えます。同様に今後3ヶ月間の減収幅についても、30%超が54.9%、50%超が19.4%と大変厳しい見通しであり、先行きに大きな不安を抱えています。
 公的な中小企業支援策に対する要望では、「持続化給付金の追加給付」「地方自治体独自の支援策の充実」「地方自治体が発注する印刷物の地元優先発注」が多く、「雇用調整助成金の特例措置の期間延長」が続きます。地方自治体への期待の大きさが窺える結果となっていますが、地方自治体の印刷発注については、地元企業に優先的に発注していただくのはもちろんのこと、小規模企業の受注機会の確保という観点からも、大量での一括発注ではなく、地域ごとなどに分割し、少量でも多くの企業の受注機会が確保できるよう、発注の際の工夫をしていただきたくお願い申し上げます。
 また、その他の意見として、民間金融機関の融資態度が厳しく、それが公共調達の落札価格の下落につながっているとの指摘もあり、低入札に対する規制や監視の必要性も感じられます。
 印刷業界は欠かすことのできない市民の情報インフラを担っており、市民生活の質の向上、地域文化の発展に大きく寄与している業界と自負しております。貴職におかれましては、この未曾有の危機に際して印刷業界のおかれている厳しい状況をご理解いただき、現実に即した適時適切なご支援を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。」
■低価格落札に対する憤りも
 神奈川工組は今回のアンケートの中で、国や県に対する要望事項などの回答欄も設けた。組合員から次のような声が挙がっている。
・家賃支援給付金の支給対象の項目で、自らの事業のために占有する建物の賃料ですが、賃貸人と賃借人が親子であるため申請ができません。法人と個人で双方とも申告はしております。どうしてでしょうか? 不公平で理不尽だと思います。国の方で検討していただけるとありがたいです。
・セーフティネットの保証枠があっても、実際の信用保証協会の審査で減額になってしまい、希望金額の融資は行われませんでした。今後の長引く不況で不安ばかりです。
・休業要請をするのなら、補償を伴う強制力でお願いします。 ・ものづくり他、補助金の枠を広げてほしい。
・銀行に運転資金を借りることができたのですが、借入れができなかった企業が利益に関係なく低価格で落札することが5月頃から目立つようになりました。法人・個人業の経営は雪だるま式に悪くなり、このまま進むと日本国が倒産する感じがします。今は、与党も野党も関係なく団結して国民を守らないと収拾のつかない日本国になってしまいます。決断は待ったなしです。












【印刷新報2020年9月3日付掲載】
その他掲載記事
・通期業績予想、厳しく 大手印刷会社、2021年3月期
・オフ輪用ローラ再生装置、本格稼働 紅屋オフセット
・日印産連GP認定、新規に2工場
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2020年8月27日付
印刷産業の感染防止対策
変容する社会に商機あり


 新型コロナウイルスの国内初の感染者が発生してから約7ヵ月が経過した現在、日本を含めた世界各国は感染症予防対策と経済活動を並行して行う「ウィズコロナ」の社会へと変容した。ソーシャルディスタンスや三密を避けるといった新たな社会マナーも定着してきている。
 日本経済に目を向ければ、経済活動の自粛や制限の影響を受け、第2四半期のGDPは過去最大の下げ幅を記録した。印刷業界においても、新型コロナウイルスの影響が強くなった4月以降、印刷・情報用紙の国内出荷量は対前年同月比で2割から3割の減少が続いており、多くの企業が厳しい経営状況に直面している。
 しかし、変容する社会には新たに生まれた課題を解決するビジネスチャンスも潜む。従来の仕事が減少している今、社内リソースを有効活用して新たな事業領域に挑戦する印刷関連企業が増えている。
 安心・安全が以前にも増して求められるウィズコロナの社会において、印刷業界で最も注目を集めているのが抗菌印刷だ。抗菌成分を配合したインキやニスで印刷物の表面をコーティングすることにより、細菌の増殖を抑える効果を付与することができる。
 抗菌SIAAマークを運用する抗菌製品技術協議会(SIAA)には、今年の4月以降だけで90社を超える印刷関連企業が加盟するなど、新たなムーブメントとなっている。
 現在、SIAAに正式に登録されている抗菌インキ・ニス製品を扱っているのはサカタインクス と都インキの2社だが、他のインキメーカーからも抗菌成分を配合した製品の発表が相次いでいる。メーカーによる後押しを受けて抗菌印刷への流れは一層加速していくことが予想される。
 抗菌印刷に限らず、ソーシャルディスタンスを促すグラフィックシールや飛沫感染防止用のパーテーション、今や生活必需品となったマスクを収納するマスクケースなど、社会ニーズを捉えたさまざまな製品が印刷関連企業から続々と発表されている。
 こうした感染防止対策に資する商材を開発し、世の中に提供することは、ビジネスの側面だけでなく、社会貢献としても大きな意味を持つ。また、注目度の高い話題であるため、地元紙などの各メディアに取り上げられるケースも目立ち、さまざまな相乗効果も期待できる。












【印刷新報2020年8月27日付掲載】
その他掲載記事
・特集 感染防止対策
・宝島社のマーケティング戦略 出版と物販は好相性
・東京製本工組コロナ影響アンケート
 変革の好機とする姿勢も
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2020年8月13日付
〈令和元年度「技能検定」〉
「印刷」、「製本」で増加が顕著
今年度前期検定は中止に


 厚生労働省は、令和元年度「技能検定」の実施状況をまとめ、7月31日に公表した。受検申請者数の合計は87万1451人で、前年度比6万4145人(7.9%)増加し、合格者数は36万3733人となった。合格率は41.7%で前年度(40.1%)とほぼ同水準。
 技能検定制度は、働く上で身につけるべき、または必要とされる技能の程度を国が証明するもので、この検定に合格した人だけが「技能士」を名乗ることができる。現在、130職種で実施されており、印刷関連では「プリプレス」、「印刷」、「製本」の3職種が含まれる。
 令和元年度の印刷関連職種の実施状況は次のとおり(受検申請者数、合格者数、合格率の順)。
・プリプレス 147人、54人、36.7%
・印刷 1445人、861人、59.6%
・製本 1337人、895人、66.9%
 「プリプレス」の受検申請者数は2年続けて減少したが、「印刷」、「製本」は毎年増え続けており、令和元年度は「印刷」で前年度比292人増加、「製本」で同256人増加となっている。
 なお、厚生労働省は、令和2年度前期(6月〜11月)の技能検定(57職種・95作業)については中止しており、「印刷(オフセット印刷作業)」も含まれる。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえたもので、「状況を見ながら可能な限り令和2年度内に実施できるよう、関係機関と調整を進めていく」としている。

■安定しない「プリプレス」の受検者数
 プリプレス技能検定は、平成30年(2018年)にそれまでの製版技能検定から改称された。実務経験により1級・2級の資格があり、プリプレス技能士は、DTP作業のスペシャリストとして認定される国家資格。
 同検定は受検者数の減少から厚生労働省の制度見直しの対象となったことがある。平成26年度には58人となり、平成21年度の123人から5年間で半減した。受検者数が一定基準(年平均100名)に満たないことから、平成27年度の検定実施は休止された。
 全日本印刷工業組合連合会の運動などもあり、翌28年度に復活し、200人近い受検者数にまで戻したが、再び減少に転じている。令和元年度の受検者数147人は、検定実施のなかった職種を除く全125職種の中で多い順から数えて108番目だった。
 今後の受検者数の推移によっては、再び存廃が検討される事態も考えられ、検定についての周知や、印刷業界を支える人材の育成に向けた有効活用策などが重要になってくる。
印刷工業組合の中には、県職業能力開発協会からの業務委託により「印刷」「製本」「プリプレス」の3職種の検定業務を一括して実施し、技能検定を通じた人材育成を図った例もある。












【印刷新報2020年8月13日付掲載】
その他掲載記事
・2020年度日印産連表彰 功労賞・振興賞に31名
・出版ビジネスの将来を研究する委員会を発足 書協
・全印工連 経営戦略アンケートを公開
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2020年8月6日付
日印機工、新会長に森澤彰彦氏
印刷産業機械SDGsに対応


 一般社団法人日本印刷産業機械工業会は、2020年度定時総会を7月21日に東京プリンスホテルで開催した。任期満了に伴う役員改選では、新会長に森澤彰彦副会長(モリサワ)が昇任、新副会長に小森善信常任理事(小森コーポレーション)が昇任した。副会長に飯島肇氏と堀英二郎氏が留任、専務理事には里見和男氏が留任した。2020年度の基本方針は、『印刷産業機械のSDGs(持続可能な開発目標)への対応に関する調査研究』を実施し、SDGsが示した17の持続可能な開発目標が求める内容に関する調査とともに、印刷産業機械業界としての対応指針の策定に取り組む。

森澤新会長

 ■IGAS2022の開催準備も
 総会の冒頭にあいさつした宮腰会長は、2019年度の市場動向について、「パッケージ、段ボール関連および軟包装関連機械分野では生産と輸出がともに堅調に増加しているが、市場全体では全世界的なペーパーレス化の進展および不透明な経済情勢の影響を受けて生産および輸出ともにマイナス成長になる見込み。また、昨年は度重なる自然災害に見舞われた一年でもあった」と概括した。
 また、2019年度の工業会の事業活動について、「調査研究事業では『Iotを活用した印刷産業機械の次世代技術に関する調査研究』の実施をはじめ、Japan Color認証事業で標準印刷認証が210工場を超えるとともに認証取得会社から高い評価をいただいた。また、展示会事業ではIGAS2022の開催準備をIGAS2022実行委員会を中心に推進した。さらに、IGAS2022の広報活動の一環として、日本以外のアジア13ヵ国の印刷関連団体が加盟する会議体であるアジアプリント連盟に加盟した」と述べた。
 2019年度収支決算では、当期収支差額がマイナス4585万円で、前期収支差額3億5181万円との相殺で次期繰越収支差額は3億596万円余となった。
 2020年度の基本方針は、『印刷産業機械のSDGsへの対応に関する調査研究』を実施し、SDGsが示した17の持続可能な開発目標が求める内容に関する調査とともに、印刷産業機械業界としての対応指針の策定に取り組む。
 また、IGAS2022に向けて、実行委員会の活動を中心に基本方針、運営方法、スケジュール等を含むグランドデザインの策定およびビジネスプランの作成を行っていく。
 2020年度収支予算は、損益計算方式の正味財産期末残高が5億4133万円、資金収支方式で、当期収支差額マイナス6464万円。前期収支差額の3億596万円と相殺し、次期繰越収支差額は2億4131万円。
 任期満了に伴う役員改選では、次期理事を選任し、別室で特別理事会を開催。正副会長と専務理事、常任理事を選出した。
 新会長には副会長の森澤彰彦氏が昇任、新副会長に常任理事の小森善信氏が昇任した。
 新任役員を代表して森澤会長が次のようにあいさつした。
 「当工業会の会長という大任を仰せつかり、身の引き締まる思いだ。宮腰前会長におかれては、4期8年間の長きにわたり、強力なリーダーシップでさまざまな難局を乗り越えてこられたことに改めて敬意を表したい。
 われわれ製造業がいかにして健全な事業活動を維持し、社会に貢献し続けるかが大きな課題であり、難題でもある。当工業会においても、今年度から調査研究事業として『印刷産業機械のSDGsへの対応に関する調査研究』に取り組んでいく。また、会議・展示会のあり方も、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大きく変容しようとしている。このような環境の中で、宮腰前会長の取組みを引き継ぎ、みなさまと共に製造業が直面しているさまざまな難題の解決に全力を尽くす所存だ。ご指導とご協力を賜るようお願いしたい」












【印刷新報2020年8月6日付掲載】
その他掲載記事
・B to C取引は約8%成長
 経産省・電子商取引の実態調査
・佐川印刷(京都)、京都府亀岡市に新工場
・全国グラビア、「技能実習評価試験 認定通知書」授受
 外国人技能労働者受け入れへ前進
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2020年7月23日付
全印工連・産業戦略デザイン室
新産業ビジョンの策定へ
新たな価値創出の事業領域を研究


 全日本印刷工業組合連合会の産業戦略デザイン室(瀬田章弘委員長)は7月15日、第1回委員会を日本印刷会館で開催し、新たな産業ビジョンの策定など今期の事業計画について情報共有した。産業ビジョンでは、コロナ後の社会において印刷会社が創出できる価値と提供できる事業領域に関して戦略提言を行う。また、第1回はビジョン策定の土台となるテーマ(地域イノベーション)について、新規の委員を迎えて活発に議論した。

遠方の委員のZoom参加も交えて開かれた

 委員会では初めに、前期まで委員長を務めた全印工連の滝澤光正会長があいさつし、委員会発足の経緯を改めて説明した後、「過去にさまざまな戦略提言を行ってきた。2013年には『印刷道─ソリューション・プロバイダーへの深化』を発表したが、そろそろ組合員が進むべき道を示すべき時期だと考え、瀬田委員長にはミッションとして新たな産業ビジョンの策定をお願いした。今まで産業戦略デザイン室からの発信が全印工連の中心事業につながっている。全国の組合員の期待は大きいものと思う。新しい委員も加わり心機一転、取り組んでいきたい」と述べた。
 令和版構造改善事業については、「ITを活用した印刷産業全体の生産性向上を目指して三役直轄のプロジェクトチームを立ち上げた。組合員同士の生産協調を行うべく事業がスタートしている。これまでのファックスでの受発注や手書きの伝票でのやり取りなどもオンライン化を進め、余った経営資源を別のことに使っていく」と説明した。
 また、今期から就任した瀬田委員長は、事業計画の発表にあたり次のようにあいさつした。
 「すでにDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入による生産集約と生産性向上に向けて取り組んでいるが、同時に、市場は縮小傾向にあり、新しい価値を創造していくことも重要だ。
 日本の産業の7割はローカルに存在し、特にサービス産業で占められている。ポテンシャルはまだまだ大きく、新しいビジネスを生み出せる。地域で長くやってきた印刷会社が旗振り役となり、重要なプレーヤーになれると考える。
 リーマンショックの後、イノベーションの必要が言われてきたが、コロナに直面して、日本は何も変わっていないことが分かってしまった。インバウンド需要が失われて経済が落ち込むのは、既存のものを新しいお客に売っていたにすぎないということだ。根本的なイノベーションはなかった。
 私は、コロナによって一気に変わらざるをえなくなった今がチャンスだと思う。これを引っ張ることができるのは地域のハブとなる印刷会社だ。コトづくりの視点をしっかりとらえながら、われわれが提供できる新しい価値について委員会で議論し、ポストコロナの未来のシナリオを描いていきたい」
 今期の事業テーマには次の4つを掲げた。
@産業ビジョン(仮称)の策定
 組合員の新たな価値創出の事業領域研究と戦略提言
A対外広報活動
 大喜利印刷の個展開催とPR活動(2020年秋に渋谷で大喜利印刷プロジェクトの作品個展、トークショーなどを予定)
B海外業界トレンド調査
 ポストDXの印刷市場(ヨーロッパ企業の視察を予定)
C仕様書策定と積算フォーマットの普及・啓発
 企画・制作、新事業領域の積算価格について調査と啓発(経済調査会の実勢価格調査を通じた受注価格の適正化)
 このうち、産業ビジョンの策定に関わる事業計画書の中には次の表現がある。
 「これまで地方はインバウンド需要に頼り過ぎてきた。そのためイノベーションは行われず、観光需要を取り込み、既存の製品やサービスを量的に拡大してきた。各地の強みを活かし産業として発展させた例は稀である。今後グローバリゼーションが進む中でローカリゼーションを興し、国内と海外双方で売上を上げていく必要がある。各地の産業や企業・団体では何が求められ、何をわれわれは提供できるのか。委員会で議論し、価値創出の新領域を模索し提言する」
 2013年11月に全印工連が発表した『印刷道』では、目指すべきソリューション・プロバイダーの姿として、地域活性プロモーター、特定機能プロバイダーなど6類型を示したが、今回は、新型コロナウイルス拡大の影響を含むその後の社会環境の変化を加味しながら、印刷会社の進むべき方向を提示する。
 第1回委員会では、産業ビジョンにつながるテーマとして、地域イノベーションのための問題点について議論した。
 はじめに、江森克治副委員長が「売上を構成する〈数量〉×〈単価〉のどちらも下がっている印刷業界には、デジタル技術の導入などでビジネスの新しい方程式を作る必要がある」と切り口の一端を示し、Zoomでの参加者(愛知・広島・愛媛)を含む各委員が意見を述べた。
 その中には、「昔は儲かるので印刷業をやった。数量と単価が元に戻ることはない。時代の潮流がICTとなった今はそこに取り組む」、「印刷業はハード志向。しかし今、トヨタ自動車もサービス業への転換を急いでいるように、製造業全体がサービス業化に向かっている。印刷業も変わるべきだ」、「経営者自身のマインドセットが今こそ大事。情報は腐るほどある。要は、やるか、やらないか。DXの前にまずCX(コーポレートトランスフォーメーション)。会社とビジネスを変えることが先だ」等の発言があった。

















【印刷新報2020年7月23日付掲載】
その他掲載記事
・塚田会長が再任 JAGAT
・組合員専用賠償責任保険 『プリント・リバースα』
 8月3日から提供開始
・今後の製本業界と経営はどう変わるのか
 全製工連 田中真文会長が読む
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2020年7月16日付
DXで勝ち残る印刷産業
―村松礼二氏が恒常的なDX推進を提唱
コロナ禍後の新局面に向け


 本紙姉妹誌の月刊『印刷情報』7月号に、生産技術コンサルタントの村松礼二氏(MSE事務所)が「新型コロナウイルス後の印刷産業─防疫で不景気、勝ち残るにはDXだ」と題して寄稿し、「印刷業務にDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入と運用は避けられない」と提唱している。その趣旨と村松氏の近未来予測を紹介する。
           ◇
 村松氏は、テレワークで露呈した印刷会社の弱点として、ある電子機器メーカーの印刷物発注担当者の次のような声を紹介している。
 「印刷会社やグラフィックデザイン、編集専門の会社は、マッキントッシュやウインドウズ10などの高機能PCやサーバーシステム、クラウドを使いこなして仕事をしているので先進的だと思っていたが、顧客や他社とのコミュニケーションが電子メールだけというケースが多いのに驚いた。仕事上の詳細なやり取りは、関係者が一堂に会して話し合うことがほとんどで、DXについてはとても遅れている」
 村松氏は、DXの具体的な目的は、業務のデジタル化を推進して潜在する幾多のムダを削減し、生産性を向上させ、企業の収益力を高めることだと言う。そして、コロナ禍後の新たな印刷マーケットに向けて進展できる唯一の条件は、「恒常的にDXを推進していく企業」だと断言する。
 DXの推進で期待できる効果には、営業の移動時間や、プリプレス作業者を含めた社内連絡や待ち時間の短縮、伝票処理の重複作業の回避、取引の標準化(企業間EC)による経理・購買・外注処理での事務生産性の向上などがある。
 村松氏は、聞き取り調査で驚いた内容として、「プリプレスや印刷工場のスタッフはWtP(Web to Print)などのオンラインツールの存在を知っていても、営業や経営者が知らないケースが多い」ことを挙げ、「これでは顧客にテレコミュニケーションやテレワークに関する問題解決の提案などできるわけがない」と指摘。「DXを理解できない人、理解しようとしない人、DXの必要性を認識できない人、DXへの投資を拒む人は、まことに失礼ではあるが、経営者、管理者としての実務から降りるべきであろう」と厳しく迫る。
 さらに、村松氏は新型コロナウイルスと共生する近未来として、2020年7月以降の印刷業界について次のような予測を示した。
@情報伝達目的の印刷物の発注は減る
 コロナ禍以前よりも情報のデジタルメディア利用が強まり、印刷物利用が減る(自粛した業務形態に慣れ、印刷物発注のプロセスを煩わしいと感じる人が増加する)
A受注しても平均ロットは昨年を下回る
 オンライン印刷の利用が増えることにより、作り溜めの習慣が薄れ、必要な時に必要な量をリアルタイムに調達するようになり、オーダー単位のロットは減る。
B小ロット物件の増加により印刷会社の印刷通販への外注が増える
 印刷通販会社は一回の発注で印刷から製本仕上げ加工、納品配送までやってくれるので、小ロット物件に限らず、工程ごとに外注する手間と人的接触を避けるために印刷通販を利用する印刷会社が増える。
C小規模印刷会社の生産設備の老朽化が進み、内製をあきらめ、印刷通販や協力工場への外注が増える(小規模会社の廃業がコロナ禍を契機に増加)
D中堅、準大手印刷企業の吸収合併や資本参入など、企業統合、提携などが増える
 ただし、コロナ禍で資金調達が停滞し、短期的にこの動きは鈍るかもしれない。
E顧客サポートの印刷営業マン不足を補うためにWtPを運用する企業が増える
 関係者との打合せなどで「3密」を避けるために、オンライン会議システムやWtPを導入する会社が増える。また、5Gの活用によりDXに取り組む企業が増える。
Fグラフィックデザイナーや書籍編集者、校正校閲者などの(特に大都市部での)専門職不足を補うためのWtPを活用したテレ・ワーキングが増える
G小規模出版社が、少部数の個人出版や専門図書の印刷製本を印刷通販で行うようになる
 他人との接触回避で利用者が増える。
Hスマートフォンユーザー(潜在ユーザーは数千万人)向けの写真保管の代行とフォトプリントやフォトブックサービスが伸びる
 ステイホームの楽しみの一つにフォトブック作りが加わる。他人との接触回避で利用者が増える。
















【印刷新報2020年7月16日付掲載】
その他掲載記事
 2020年暑中特集号
・全印工連DX推進プロジェクト いざ始動
・広がる「抗菌」印刷 新たなスタンダードになるか
・団体トップインタビュー
 全日本光沢化工紙協同組合連合会 堀 知文会長
 東京グラフィックサービス工業会 清水隆司会長
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2020年7月2日付
〈中小印刷産業振興議員連盟 総会〉
新型コロナ対策で意見交換
全印工連、地元優先発注など強く要望


 自由民主党「中小印刷産業振興議員連盟」の総会が6月18日午前9時から東京・永田町の衆議院第二議員会館で開催された。印刷業界側から全日本印刷工業組合連合会の滝澤光正会長、全日本印刷産業政治連盟の橋本唱一会長ほか10名が出席、新型コロナウイルス感染症で苦境に立つ中小印刷業界の現状について説明し、地元優先発注、持続化給付金の適用要件の緩和など、新たに6項目を要望した。これに対し政府の取組みについて各省庁担当者が説明、議員と意見交換を行った。

議員連盟の総会のようす

■新たに6項目を追加要望
 開会にあたり、議連の中曽根弘文会長、伊藤達也幹事長があいさつ。伊藤幹事長は「議連が発足して6年半、会員は126名となり、これまでさまざまな課題を解決してきた。本日はコロナの影響の実情と要望についてお話を聞き、何としてもこの厳しい状況を先生方と力を合わせて乗り越え、印刷産業の応援団として精一杯活動してまいりたい」と述べた。
 全印工連の滝澤会長は、コロナ危機で大きな売上減少に直面する業界の現状に触れ、政府の緊急対策に感謝を述べつつ、「国民への10万円の特別定額給付金に関連した印刷物では、多くの市町村で随意契約が結ばれていた大手印刷会社に発注されたという情報がある。今後は、どうか地元に根差した印刷会社に優先発注をいただきたい。われわれも地域社会への貢献を果たしたいと強く願っている。今後行われる『Go To キャンペーン』などにおいても地域経済の再活性化に役割を果たしてまいりたい」とあいさつ。続いて、全印工連の池尻専務理事が詳しい現状説明を行った。
 全印工連が組合員に行った調査では、4月・5月の対前年比売上高予測は全国平均で20%減。6月以降、売上の減少幅はさらに拡大し、重大な影響が生じる見通しとなっている。
 直近でも各地の組合員から、「官公需印刷物の発注が約70%減少、仕事の奪い合いで過度の値下げ競争が発生している」、「各種支援金は申請受理後に入金日を早急に連絡してほしい。いつまで待てばいいのか分からず、入金までの期間の手立てを講じられない」等の声が届いている。
 アンケート結果を受けて全印工連は4月22日、議連の会員にあてて、新たな補助金・助成金等の創設、審査の迅速化、各種制度の緩和措置など感染症対策に関する要望書を提出した。そして今回、新たな要望として次の6項目を示し、「強くお願いしたい」と訴えた。
 @今こそ、自治体の印刷物は地元の中小企業に優先発注を(さしたる理由もなく随意契約で県外大手業者に発注が行われている)
 A持続化給付金の適用要件の緩和(売上減50%以上から30%以上へ緩和)
 B特定求職者雇用開発助成金の対象の拡大や新たな助成制度の創設(新たに雇用〈解雇した従業員の再雇用を含む〉した場合も含めるよう拡大すること、あるいは雇い入れに係る新たな助成制度の創設)
 C最低賃金の凍結
 D売上増加局面における運転資金等の確保(増加局面において運転資金の確保に支障をきたす恐れがあり、融資を受ける際に「売上減少」要件が妨げになる。コロナ終息までの一定期間、要件の緩和あるいは撤廃を)
 E観光ビジネスに特化した施策の実施
 これら全印工連からの要望を受け、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省、財務省ほか各省庁が政府の取組みについて説明した。厚労省からは、臨時特例法として成立した雇用調整助成金の個人給付制度(休業支援金)などの措置が示され、施行に向けて準備中であることが述べられた。
 続いて議連の議員から、全印工連が4月に提出した要望書の内容を含め、各省庁に対して取組みの進捗確認や質問などが行われた。
 「(雇用調整助成金に関して)社会保険労務士の連帯保証責任はまだ続いているのか」の質問には、「不正対策が目的だったが、故意に違反した場合のみ適用すると通知した。(社労士は)より依頼を引き受けやすくなった」と厚労省から回答があった。
 地元優先発注では、「随意契約は地元業者のためにあるという認識でいたので大きな違和感がある。地元の区議会議員などを通じて各自治体に指示を出すべきだ」といった意見が出され、別の東京の議員も「区民まつりなども相次いで中止となっている。需要を創出することが大事だ。防犯関係の印刷物や広報紙など、地元優先発注をしやすい分野から、区議会を通じて取り組んでいきたい」と述べた。
 また、「オリンピック・パラリンピックの延期でどれだけ需要がなくなったのか。1年延期されたのであれば、中小企業にいかに仕事を回すか、この辺を議論すべきだ」という発言があった。
 閉会あいさつでは中曽根会長が「本日は全印工連から新たな要望をいただき、議員の皆さんからも多くの意見をいただいた。これを宿題とし、よく整理したうえで取り組んでまいりたい。以前からの大きな問題である地元優先発注については、議員の皆さんにもご協力いただき、各自治体に対して働きかけをやっていかなければいけない」と述べた。















【印刷新報2020年7月2日付掲載】
その他掲載記事
・新理事長に佐野栄二氏 全印健保
・ITP 印刷通販「いろぷり」提供開始
・新理事長に聞く 静岡県印刷工業組合 松下 誠二氏
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2020年6月25日付
東京グラフィックス
在宅勤務における労務管理を学ぶ
ルール作りと適性判断が課題


 東京グラフィックサービス工業会(清水隆司会長)は、東京しごと財団から受託した「団体別採用力スパイラルアップ事業」のオンラインセミナー「テレワークの困りごと解決?管理者の役割」を開催し、特定社会保険労務士の假谷美香氏(潟Gジオ代表)が在宅勤務における労務管理などについて解説した。
 テレワークには、労働者が自由に働く場所を選択できる「モバイル勤務」、自宅近くや通勤途中の場所等で働く「サテライトオフィス勤務」、自宅で業務を行う「在宅勤務」の3つがあるが、不要不急の移動自粛が求められる現況下では、在宅勤務を導入する企業が圧倒的に多い。そのためセミナーは、在宅勤務における留意点、特に労務管理での注意すべきポイントを中心に進められた。
 在宅勤務における労務管理の課題として、假谷氏が挙げたのは、「勤怠管理」、「労働のパフォーマンスと評価/ルール作り(規定)」、「心理的なケア」の3点。そのうち、勤怠管理については、自身も導入しているというクラウド管理システムを紹介し、無料のトライアルを試験的に導入することを勧める。
 また、厚生労働省が公開しているテレワーク向けの就業規則モデルを活用するなどして、自社に適した規程整備の必要性を唱えた。
 さらに、「厚生労働省のモデルでは通信費や電気代は在宅者の負担としているが、これはマストではない。夏場にクーラーをつければ当然ながら光熱費は上がる。従業員が負担に感じる働き方が長期間続けばモチベーションにも関わる。最初にきちんと決めずになし崩し的に始めていることが問題だ」とルール作りの重要性を強調した。
 在宅勤務者のメンタルケアの問題については、テレビ会議などでこまめなコミュニケーションを取ることに加え、「新型コロナウイルスの影響で一斉に在宅勤務が強制されたが、本来はワークスタイルとして在宅勤務に合う人を選別する必要がある。自宅で仕事をしているのか不安に感じている上司もいるだろう。しかし、そもそも不安感を抱かせる人を在宅勤務させていることが問題だ。在宅勤務に適している社員を上司が判断しなければならない」と根本的な問題点を指摘。向き不向きを見分ける必要性を説いた。














【印刷新報2020年6月25日付掲載】
その他掲載記事
・特集・パッケージ新市場
・第11代会長に藤森康彰氏が就任 日印産連
・新理事長に聞く 愛知県印刷工業組合 鳥原 久資氏
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2020年6月11日付
紙の物流ガイドライン策定
関係業者間の協力を促す


 経済産業省、国土交通省、厚生労働省は5月29日、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 紙・パルプ(洋紙・板紙分野)物流編」を公表した。リードタイムの確保、発注量の平準化、共同輸送の実施、納品場所・回数等の集約、附帯作業の見直しなどの対応策を具体的に示している。今後、洋紙・板紙分野の物流に関わるサプライチェーン関係者(製紙会社、出版社、印刷会社、物流会社等)が課題解決を前進させるため、各省庁が連携して関係業界団体や個別企業にガイドラインの周知を図り、活用を強く促していく考えだ。
 今回のガイドラインは、2018年に設置した「紙・パルプ(洋紙・板紙分野)の物流における生産性向上及びトラックドライバーの時間労働改善に関する懇談会」(全5回)において検討された結果を踏まえて策定したもの。トラック運送業においては、ドライバー不足が大きな課題になっており、調査の結果、荷待ち時間が特に多かった輸送分野(紙・パルプ、加工食品、建設資材)について、それぞれ懇談会を設置し、検討を重ねてきた。
 洋紙・板紙分野では、印刷媒体の電子化等に伴い物量の減少が予想される中、運送事業者やドライバーの負荷が大きい不十分なリードタイムでの発注や少量多頻度納品など旧来の商習慣を見直すことが急務とされた。
 ガイドラインでは、課題解決策として次の項目を挙げ、それぞれ取組みのポイントと改善事例を示している。
▽車両集中の分散化(荷卸し時間の事前指定、混雑時を避けた配送など)
▽手荷役の解消(荷主とのパレットの共用化の促進、専用パレットの活用)
▽円滑な出荷・荷受け態勢の整備(発荷主からの配送情報の提供、出荷効率を優先した生産体制の構築)
▽輸送効率改善に向けた荷姿の変更(荷主側施設の仕様変更に伴う荷姿の見直し)
▽附帯作業の見直し(軒先荷卸し後の附帯作業を分離)
▽リードタイムの見直し、厳格な運用(受注締切時間の厳格な運用、受発注締切時間の早期化、納品リードタイムの緩和)
▽運行方法の効率化(往復ともに全線高速道路を利用)
▽発注量の平準化(着荷主の生産計画に即した納品数量の平準化、パレット単位受注への移行、週単位・日単位における発注量の平準化)
▽納品場所、納品回数等の集約(納品場所、納品回数、納品日・時間・曜日の集約)
▽事業者連携による保管・輸送の共同化(共同保管・共同輸送)
■共同輸送の実現へ協力関係の構築を
 ガイドラインでは、洋紙・板紙分野の物流における今後の取組みの方向性について解説を加えている。
 共同輸送の実施には十分なリードタイムの確保が必要となることから、発注期限の前倒しを提唱。可能な限り発注から納品までの期限を中1日以上とすることが望ましいとした。また、「印刷工場等の紙の発注元、印刷工場に印刷を依頼する出版社・広告代理店等の関係者と、下版日の早期化を検討することも含め、速やかに協力関係を構築する必要がある」と取組みを促した。
 物量の平準化については、「出版物の発売日や出版社の印刷会社への発注の納期の設定が洋紙・板紙のサプライチェーン全体の物量に大きな影響を与える」との認識に立ち、特に物量の多い雑誌の発売日の速やかな分散化を望んだ。
 コンビニエンスストア等の小売店舗への配送も、書籍・雑誌の少量多頻度輸送となり、運送事業者の収益確保の困難につながっている。これについても、ストアチェーンにまたがった共同輸送や、納品方法の簡素化など、輸送効率化に向けた取組みの必要を強調した。













【印刷新報2020年6月11日付掲載】
その他掲載記事
・2019年インキ需給実績 出荷量・額ともに減少
・東京製本 各支部の現況を報告
・コロナ後はIT化加速 矢野経済研究所調査
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2020年6月4日付
〈全印工連・対外広報プロジェクト〉
「大喜利印刷」第2弾作品を公開
さらに独自性と完成度高め


 全日本印刷工業組合連合会が展開する対外広報プロジェクトの「大喜利印刷」第2弾が5月20日に一般公開された。昨年大きな反響を呼んだ第1弾に続き、参加した組合員企業11社が独創的なアイデアと工夫で生み出した作品が楽しめる。前回同様、主要なマスメディア、Web系メディアへのリリースなどを通じて、印刷産業に対するプラスイメージが拡散することが期待される。作品は「大喜利印刷」Webサイト(https://oogiri-insatsu.com)ユーチューブ動画で見ることができる。

大喜利印刷第2弾に参加した11社の作品

■業界のイメージ戦略が拡大
 全印工連の対外広報プロジェクト(CMYKプロジェクト)として企画された「大喜利印刷」は、ツイッター上でつぶやかれた「こんなものが欲しい」という声を拾い上げ、印刷会社が持つ技術とノウハウを駆使して作品化する実験的な試み。作品の材料には工場などから廃棄される印刷廃材を利用する。これまでにない斬新な手法によって生活者に「印刷会社はここまで考え、形にできる力がある」というインパクトを与え、印刷業界のポジティブな姿と魅力を社会に広めていく広報戦略の一環だ。
 第1弾では、ネット上での反響のほか、個別の参加企業に対して、上場企業からタイアップ企画の相談、共感した人の入社希望(※実際に入社)などの実績を生んだ。参加企業では、社内および社外(デザイナー、素材メーカー等)のネットワーク活性化、製造ノウハウの開発といったメリットも確認されている。
 昨年7月に活動をキックオフした第2弾では前回以上に多彩な作品が揃った。
 エイエイピーの「名画入浴剤」は、入浴剤に有名絵画を印刷することで、風呂でリラックスしながら芸術鑑賞ができる。ありそうでなかったアイデアを印刷技術によって形にした。入浴剤が溶けると無地のイラストが浮かび上がり、塗り絵としても使える、廃材にはパレットと損紙を使用した。審査員からは「ぜひ商品化してほしい」と高く評価された。
 アインズの「FLOWERINK」は、本来はインクを拭き取るために使われる洗浄布の高い保湿性に着目したバラの花の形の加湿器。水分を吸い上げ、花弁の中のインクと混ざり合い、花びらがゆっくりと色づく。「肌荒れする妻になにかしてあげたい」という声をヒントに生まれた。
 栄光プリントの「カレーう道」は、「汁の飛びハネを気にせずにカレーうどんを思いっきりすすりたい」の声に応えた。専用胴着、特注の岡持ち、すすり方の四十八手などを残紙や製版梱包材で作製。遊び心あふれる作品となっている。  全印工連では、実際に作品を見られる展示機会の設定を検討するとともに、全国各地で自主的にプロジェクトを立ち上げる印刷・加工会社の登場を期待している。

【大喜利印刷第2弾参加企業と作品】(五十音順)
・アインズ(滋賀県蒲生郡)  花の加湿器「FLOWERINK」、音をかき消す食べれるメモ帳「紙姫」
・エイエイピー(静岡県田方郡)  名画入浴剤
・栄光プリント(石川県金沢市)  カレーう道
・鹿島印刷(佐賀県鹿島市)  手形を残すあぶらとり紙
・カシヨ(長野県長野市)  感情解放空間
・篠原紙工(東京都江東区)  はがせるテーブル
・三共印刷所(福島県福島市)  ひまつぶしカレンダー
・三和印刷(島根県出雲市)  その場で名刺印刷『凹』
・トータルプルーフ(福岡県福岡市)  印刷を再現した途方もない塗り絵
・ヒラヤマ(沖縄県豊見城市)  顔ハメ名刺
・UMO(山梨県甲斐市)  RE:TTER












【印刷新報2020年6月4日付掲載】
その他掲載記事
・全日本光沢・新会長に堀 知文氏
 東京グラは清水隆司氏
・令和2年度総会シーズン 各工組で真理上長
・全印工連実態調査 新型コロナウイルスの影響拡大
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2020年5月28日付
経団連、コロナ対策ガイドラインを公表
印刷業界も指針として活用


 日本経済団体連合会(中西宏明会長)は5月14日、「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表した。政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」や専門家会議の分析・提言などを踏まえ、個々の業界や事業場の実態に応じた予防対策を行う際の参考として整理したもの。オフィス向け、製造事業場向けの2つのガイドラインを作成した。日本印刷産業連合会では、印刷業界が守るべきガイドラインとしても今回の経団連のガイドラインの内容が適合すると確認しており、これを活用していく方針だ。
■オフィス向け、製造事業場向けにガイドライン
 経団連では、同ガイドラインで示した「感染防止のための基本的な考え方」と「講じるべき具体的な対策」、および各企業が所属する業界団体などで示される指針等を踏まえたうえで、「創意工夫を図りながら、新型コロナウイルスの感染予防に取り組むとともに、社会基盤としての役割を引き続き果たしていただきたい」と企業に呼びかけている。
 政府は5月25日、緊急事態宣言の全面解除を表明したが、経団連ではガイドラインについて、緊急事態宣言が終了した段階においても、「新型コロナウイルス感染症の感染リスクが低減し、早期診断から重症化予防までの治療法の確立、ワクチンの開発などにより企業の関係者の健康と安全・安心を十分に確保できる段階に至るまでの間の事業活動に用いられるべきもの」としている。
 ガイドラインの内容について経団連では、今後の感染症の動向や専門家の知見、対処方針の改定等を踏まえたうえで、適宜、必要な見直しを行っていく。
 また、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室は5月19日、81業種の感染拡大予防ガイドラインをまとめた資料をホームページで公開した。業種・団体名・担当官庁・ガイドライン掲載URLが一覧となっている。このうち、印刷業界は「製造業全般」および「オフィス事務全般」(ともに、団体は一般社団法人日本経済団体連合会、担当官庁は経済産業省)を活用していく。日本印刷産業連合会では、経団連のガイドライン策定段階から経済産業省と刷り合わせをしながら、経団連ガイドラインの「製造業全般」、「オフィス事務全般」の内容について、印刷事業所が活用するうえで問題ないと確認している。このため、印刷業界独自のガイドラインは策定せず、経団連のガイドラインを活用し、啓発に努めていく。
 「製造業全般」および「オフィス事務全般」のガイドラインの詳細はホームページに公開されている。両ガイドラインの内容はかなり重複しているが、「勤務」に関しては、製造事業所とオフィスの特徴に配慮した独自の項目がそれぞれ盛り込まれている。
 たとえば、「窓が開く場合、1時間に2回以上、窓を開け換気する。建物全体や個別の作業スペースの換気に努める。なお、機械換気の場合は窓開放との併用は不要である。」は両方に共通するが、製造事業場には「シフト勤務者のロッカールームをグループごとに別々の時間帯で使用することなどにより、混雑や接触を可能な限り抑制する。」、オフィスには「人と人が頻繁に対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する」「会議やイベントはオンラインで行うことも検討する。」「採用説明会や面接などについては、オンラインでの実施も検討する。」等の指針が入っている。
 両ガイドラインの中から、「感染防止のための基本的な考え方」と「講じるべき具体的な対策 (1)感染予防対策の体制」について掲載しておく。
■感染防止のための基本的な考え方
 事業者は、職場における感染防止対策の取り組みが、社会全体の感染症拡大防止に繋がることを認識した上で、対策に係る体制を整備し、個々の職場の特性に応じた感染リスクの評価を行い、それに応じた対策を講ずる。
 特に、従業員への感染拡大を防止するよう、通勤形態などへの配慮、個々人の感染予防策の徹底、職場環境の対策の充実などに努めるものとする。
■講じるべき具体的な対策
(1)感染予防対策の体制
・経営トップが率先し、新型コロナウイルス感染防止のための対策の策定・変更について検討する体制を整える。
・感染症法、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の関連法令上の義務を遵守するとともに、労働安全衛生関係法令を踏まえ、衛生委員会や産業医等の産業保健スタッフの活用を図る。
・国、地方自治体、業界団体などを通じ、新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を常時収集する。











【印刷新報2020年5月28日付掲載】
その他掲載記事
・特集「リモートワークで変わる印刷業」
・新会長に藤森康彰氏 印刷工業会
・令和版 印刷産業構造改善を提言 全印工連
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2020年5月21日付
東印工組、滝澤執行部が発足
連帯、共済、対外窓口機能を前面に


 東京都印刷工業組合(臼田真人理事長)は5月11日、書面決議を活用した総代会を開催、滝澤光正副理事長の理事長への昇格と、IoT技術を活用した収益の見える化、各組合員企業の生産システムの連携と高効率化を目指したDX(デジタルトランスフォーメーション)の調査研究・推進などを盛り込んだ令和2年度事業計画が承認された。総代会終了後には日本印刷会館で記者発表会が開催され、総代会の報告が行われた。
■収益見える化促進、DX事例研究など取り組み

滝澤新理事長

 発表会には滝澤・臼田新旧理事長のほか、副理事長、専務理事、常務理事ら新執行部のメンバーが出席した。
 冒頭に池尻淳一専務理事が、総代会が本人出席3名、書面による議決権行使125名により成立し、6議案が可決・承認されたことを報告。また、その後の今年度第3回理事会で新執行部が選任されたことが併せて報告された。
 続いて、就任あいさつに立った滝澤理事長は「新型コロナウイルスまん延により、印刷産業も需要減、売上減に見舞われていることは組合で行っているアンケート調査でも明らかだ。こうした状況で組合の使命を考えると、かつて水上理事長が示された、連帯、共済、対外窓口という機能に尽きる。まずは経営に有用な情報の収集といち早い発信に努めるとともに、行政や議会にしっかり要望し、それぞれの経営改善に資する施策の実現に努力していく」と迅速な対応を表明した。
 そして、人口減少に伴う市場縮小と急速なデジタル化への対応について、「印刷会社にはお客様の課題を解決するソリューション・プロバイダーの役割が求められており、新しい印刷産業への模索が現在も続いている。また、コロナ後の社会を考えるとその重要性は加速度的に増していくだろう。今年度も印刷産業本来の魅力を広く社会に発信し、印刷に関わるすべての人々を幸せにする産業の確立を目指し、すべての組合員にメリットを感じていただける事業運営に努めていく」と方針を述べた。
 続いて、退任あいさつを述べた臼田前理事長は「滝澤新理事長の強いリーダーシップのもと東印工組がますます発展し、コロナを乗り越えることを期待している」と新執行部への期待を表明。また、滝澤理事長から臼田前理事長に感謝状が贈呈された。
 令和2年度事業計画では、印刷産業の構造改革、組合員企業の力強い経営と持続的な成長、発展を目指すべく、IoT技術を活用した各社の収益の見える化の促進と、各組合員企業の生産システムの連携と高効率化を目指したDXの調査研究と推進を図っていく。
 同時に、各社がソリューション・プロバイダーとしてさらに特色を磨くことによる収益性の向上と、「幸せな働き方改革」の推進による人材確保と育成などによる印刷産業全体の構造改革に着手する。
 具体的な各委員会の取組みでは、経営革新マーケティング委員会でDX実装の事例研究・情報発信、事業承継センターの活用推進と啓発、デザイン経営の事例研究・情報発信など。環境労務委員会ではGP認定制度の普及推進、「幸せな働き方改革プロジェクト」の推進など。組織共済委員会では組合員増強・加入促進、各種共済事業の運営・加入促進など。教育研修委員会では社員教育プログラムの実施、経営者教育に向けた取組み、遠隔教育システムのコンテンツの普及と協力などに取り組んでいく。
 なお、これら事業に伴う予算規模は1億5983万円となった。

【令和2・3年度常任理事・常任監事】 ※敬称略
 理事長 滝澤光正
 副理事長(所管委員会) 瀬田章弘(東京青年印刷人協議会)、福田浩志(経営革新マーケティング)、土屋勝則(教育研修)、白橋明夫(環境労務、組織共済)
 専務理事 池尻淳一(東印工組)
 常務理事(委員長委員会) 惟村唯博(環境労務)、小島武也(組織共済)、田畠義之(経営革新マーケティング)、富澤隆久(教育研修)
 常任監事 名取顕一、五十嵐直也











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2020年5月14日付
〈コロナ関連アンケート情報〉
4月の売上高は2割減か
代替先との連携も課題


 印刷業界の各団体から新型コロナウイルスに関する緊急アンケートの結果が発表されている。
 全日本印刷工業組合連合会は、4月1〜10日の期間で組合員に調査を実施(回答571社)。全国平均で2月の売上が対前年比96.8%、3月が同91.3%、4月予測が同80.2%、5月予測が同81.4%となっており、緊急事態宣言の延長等により実態はさらに悪化しているものと見られる。
 業態別の5月予測では、出版印刷の90.3%を除くと、事務用・商業・包装・特殊印刷とも20%前後の減少。ソフト・サービスは4月予測61.4%、5月予測55.1%と特に厳しい状況にある。
 宮城県印刷工業組合は、4月27日現在で組合員・賛助会員119社を対象に実施したアンケート調査結果(回答55社)を集計・分析し、課題を明らかにした。
 社員への検温や体調ヒアリングを「これから実施」が40%。早急な対応の必要を指摘した。在宅勤務の実施については「考えていない」が36%と高いが、実験的にでも進めた方が良いとしている。パンデミック時の対応方針、行動指針については「作成予定なし」と「どのように作ればいいか分からない」を合わせて36%となった。生産停止・休業時の代替先との連携では、「これから検討」35%、「その時になったら考える」20%。資材の安定的な調達に関する仕入れ先との交渉については、「これから検討」が38%となり、いずれも検討課題とされている。
 日本印刷技術協会の調査(4月6〜15日に全国の会員印刷会社77社を対象に実施)では、3月実績が売上高8%減、4月見通しは19%減。地域別では大都市圏を中心に影響が大きい。イベントの延期・中止のほか、取引先の減産、顧客のテレワークへの移行による営業難などの影響が挙げられている。










【印刷新報2020年5月14日付掲載】
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・可変印刷の訴求強まる
 日印産連「デジタル印刷アンケート調査」
・廣済堂、佐川印刷と業務提携
・東京都、印刷物制作費などに助成
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2020年4月30日付
〈真興社のテレワーク取組み事例〉
人材確保にテレワーク
顧客の業務改革支援にも


 新型コロナウイルス発生の前と後では、世界が大きく様変わりすることになる。それが最も顕著に現れると考えられるのが、人と人の関係性であり、働き方、職場のあり方だ。感染症対策は、企業に否応なくテレワークや時差出勤、テレビ会議システム、オンライン研修の導入など、働き方改革への取組みを迫る。経済産業省は政府の緊急事態宣言を受け、4月13日に日本商工会議所など所管の中小企業関連948団体に対して、在宅勤務等の推進について要請した。もはや旧来の働き方に戻ることはあり得ない。もちろん課題は多いが、職場に縛られない働き方のメリットを、すでに企業も従業員も感じ始めている。
 ここでは、10年ほど前から業界に先駆けてテレワーク実現に向けて取り組んできた真興社(福田真太郎社長、東京都渋谷区)の事例を紹介する。同社は、テレワークの活用で自社の経営基盤の強化を図るとともに、主要顧客である専門書出版社に対してオンライン業務システムを提案し、働き方改革の支援にまで踏み込んでいる。
◆コロナ禍を機に強まる企業の変革意識
 真興社の売上のほとんどは医学書・工学書など専門書籍によるもので、高度な編集ノウハウと組版・印刷技術、社内一貫生産が強みだ。社員は約70名。2017年にはテレワークシステムをハブサーバー化するなど、21世紀型の新しい印刷業のあり方に挑戦している。
 今、新型コロナウイルス対策により医療現場は混乱を極めている。とても医学関連書籍の原稿執筆を行えるような状況にはなく、同社の仕事にも影響が及んでいる。福田社長は、この機会を利用して変則勤務シフトや制作部門で一層の在宅勤務などを試み、社員にアンケートを実施して今後の新しい働き方の可能性を探るつもりだ。
 同社のリモートワークフローやテレワークへの取組みは約10年前からで、オンライン校正システムの運用がきっかけだった。競争優位性を確立するため顧客の業務支援に乗り出すにあたり、まず出版社の業務分析から始めた。そして、編集者がいかに執筆者や監修者、外部スタッフとの煩雑なやり取りに苦労しているかを理解した。負担を少しでも軽くしたいとの思いからデジタルシステムの構築を目指した。
 現在、出版社と制作・製版現場をつなぐリモートデスクトップシステム「Web Factory」を運用し、オンラインでの打合せ、原稿整理、入稿、編集、文字校正、色校正を行い、CIP4/JDFにより製版、印刷、製本まで自動生産システムで完結するワークフローを実現している。編集者にとって時間とコストの大幅な軽減につながる。
 業界の体質として、現状の仕事のやり方を変えたくないという出版社もまだまだ多い。だが、今回の新型コロナウイルスによる未曾有の危機は、多くの出版社の意識を変えたようだ。2020年に入り、同社の提案に耳を傾ける出版社が明らかに増えたという。
◆在宅勤務は仕組みと環境整備で可能に
 福田社長はテレワークのメリットとして、人材確保、見える化、経費削減などを挙げる。中でもテレワーク導入の必要を感じた一番の理由は、社内の人材確保だった。せっかく教育しても、DTPオペレータとして「さあ、これから」という時に退職する社員は多い。特に制作部門は女性が多く、結婚や出産・育児、夫の転勤、親の介護などが勤続を妨げる。培ったスキルを社内に残し、継続して働いてもらうため、福田社長はテレワークに着目した。
 「印刷会社の業務はデジタルデータですべて流れるのでテレワークに向いている。特にDTP作業は導入しやすい。家庭の事情で出社できなくなった場合でも、自宅に作業環境を整えてあげることで、スキルが維持され、豊富な経験を活かせる。本人にとっても会社にとっても喜ばしい。今後は、通勤時間の長さやワークライフバランスを理由にテレワークを希望する社員も増えるだろう」と福田社長は見る。
 真興社ではすでに、DTPオペレータ30名のうち5名がテレワークで働いている。給与体系は通常勤務の社員と変わらず、制作したDTPパーツ点数に応じた成果給が支給される。これに、時間管理システムによる業務評価が加わる。
 真興社ではVPN接続のコニカミノルタ Neostream Proを使った監視システムを導入することで、本社側で在宅勤務者の作業状況を把握できる。また、「DTPパーツごとの仕上げは成果が目に見えてわかりやすく、彼女たちは意欲的に仕事をしてくれる。在宅の自分にまで仕事を回してほしいという気持ちも根底にあるため、手を抜くことはない」と福田社長は話す。
 同社の制作部門では、4人の職長がそれぞれ6、7人の社員からなるチームを受け持っている。また、印刷原稿に必要な文字/罫表/図版/写真データを「DTPパーツ」として、各データを格納する4つの"キャビネット"を作り、作業を分業化するライン生産方式を作り上げたことも業務をわかりやすくした。
 テレワーカーを含めた社内の円滑なコミュニケーションのため、スケジュールボード、伝言メモ、テレビ会議システム、メッセンジャー、IP電話なども活用している。
 テレワークに必要な会社側の経費として、自宅で使うMacやフォント等の支給(場合によりスキャナやプリンタ)、管理サーバーの導入などがあるが、通勤費やオフィス維持費などは節減される。なにより、優秀な人材をつなぎ留めておけるメリットは大きい。資料の電子化、業務改善、情報共有、コミュニケーションのリアルタイム化などの効果もある。
 福田社長は「これからの印刷会社は、編集制作も営業も人海戦術に頼ることはできない。ネットワークを通じた仕事の遂行でお客様から評価される時代に変わりつつあるのではないか」と話す。
















【印刷新報2020年4月30日付掲載】
その他掲載記事
・特別企画 枚葉印刷最前線
・令和2年春の叙勲・褒章
・新規に11工場を認定 日印産連GP認定
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2020年4月23日付
スーパーのチラシ激減
コロナ自粛で東京・埼玉は「半減」


 国内最大級のデジタルチラシサービス「トクバイ」を展開するロコガイドが実施した調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、首都圏などを中心にスーパーマーケットでチラシの配布や配信を控える店舗が増えていることが分かった。
 「トクバイ」にチラシを投稿しているスーパー小売店のチラシ投稿状況の変化を分析。対象データ数は1万2234店舗。データの分析期間は2018年12月30日〜2020年4月4日。
 スーパー各社は政府の緊急事態宣言発令前から混雑を避けるため自粛対応を実施。チラシ投稿店舗数の減少は3月中旬から本格化した。緊急事態宣言の発令が近いとうわさされた3月29日〜4月4日の週には、感染者が急増していた関東1都3県および大阪・兵庫・福岡で、2月23日時点に比べ約3分の1減少した。東京・埼玉は「半減」、千葉・神奈川は「3割減」、大阪・兵庫・福岡でも「1〜2割減」と著しく減少した。
 一方、全国の「トクバイ」アプリユーザーに行った生活者調査(有効回答1218人、調査日4月8日〜10日)によると、チラシへのニーズが高まっていることが明らかになった。
買い物で困っていることでは、「欲しい商品が欠品している」(75%)の次に、「チラシの休止が増えて特売品情報が分からない」(35%)が多かった。先行きの不安から節約意識の高まりとともに、日常生活に必要な特売情報を求めていることがうかがえる。
 生活者からのチラシに関する意見では、「チラシは買い物の時短に役立つ」「お買い得情報を把握してパッと買い物を済ませたい」「営業時間も掲載してほしい」「レジの混み具合も知りたい」などが寄せられた。















【印刷新報2020年4月23日付掲載】
その他掲載記事
・コロナの影響深刻 6割が売り上げ減少
 本紙緊急アンケート
・五輪延期に伴い、要望書を提出 日本展示会協会
・機械稼働率で価格変動 グッズ通販で 大同至高印刷
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2020年4月9日付
日印産連、〈世界印刷会議〉報告より
中国とインドの印刷業界動向
人件費高騰で人員確保難の中国


 日本印刷産業連合会は、2020年1月8〜10日にインドのムンバイで開催されたWPCF(世界印刷会議)に参加した。同連合会による会議報告から中国とインドの動向を中心に紹介する。
             ◇
 9ヵ国と欧州地域が参加した。各国の代表者による講演では、日印産連が日本の印刷業界の現状、小森コーポレーションがスマートファクトリーの取組みを報告。人口超大国の中国とインドが印刷業界の現状を紹介した。
 日本の報告では、紙メディアの大量生産は減少し、より対象顧客に特化した効率的な少部数生産と今まで以上の付加価値の提供が求められている現状を説明し、スマートファクトリーの考え方の重要性を強調した。
 インドやインドネシアなどの市場では、今すぐにスマートファクトリー化を進めなければいけない状況にはないが、日本や欧米が現在経験している状況が遠くない将来、アジア各国にも訪れることは参加者の共通認識としてあったようだ。
 次に中国とインドの印刷業界の特徴を見る。
■中国の印刷業界
 印刷会社9万8000社、従業員数270万人、総出荷額は12兆7000億元(約17.4兆円)。全体の約4%にあたる大手印刷会社が総出荷額の60%を占め、96%の中小が残りを分け合っている。過当競争による淘汰で、印刷会社の数は最盛期から8%減少した。印刷サービスの供給過多で、業界の再編成を余儀なくされている。
 印刷市場は、中間層の人口の劇的な増加に伴い、軟包装・ラベル類が高い成長率。個人消費がパッケージ市場の成長を牽引していることもあり、印刷産業全体の77%が包装、建装材などの生活産業資材が占める。
 中国の印刷業界における変革のテーマは次のとおり。
◇政府の環境保護政策に沿って積極的に対応。最優先課題はVOCの削減であり、全産業中でも包装・印刷業界の動向は最も注目されている。
◇大手・中堅印刷会社のデジタル化が進み、eコマースによる個人からの受注も急増。ラベル製作のデジタル化で個人向けカスタマイズ、小ロット対応が始まった。製造サービスだけでなく、トータルソリューションによる付加価値提供が求められている。
◇人件費の高騰で、労働者の確保困難に直面しており、物流・倉庫の自動化、無人化が加速。大手・中堅では工場全体のスマートファクトリー化に着手している。
■インドの印刷業界
 インドのGDPは世界第5位。2019年の成長率は7%後半(世界平均3.7%)。ただし、インフレ率は5.54%(世界平均3.41%)と高く、失業率も8.5%(世界平均4.95%)とかなり高水準。
 インドでは、25万社、250万人が印刷産業に従事。識字率は年々上がり74%に達した。13億人の人口の識字率向上は印刷業界にとって好材料となっている。書籍出版市場は世界で6番目の大きさで、年率30%に迫る勢いで成長。印刷と包装産業を合わせると年間4.5兆円になり、その成長率は13%〜15%で推移している。
 2020年以降の国民平均年齢は28歳で労働力も豊富。印刷業界では労働者の技術向上が重要な課題である。














【印刷新報2020年4月9日付掲載】
その他掲載記事
・コロナ対策でテレワーク広がる 国交省調査
・大手3社新入社員へのメッセージ
・京セラドキュメントソリューション、デジタル印刷参入
 京セラドキュメントソリューションズジャパン
 谷口昌 営業本部副本部長に聞く
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2020年4月2日付
コロナウイルス禍、印刷業界も直撃
政府支援施策のチェック十分に


 新型コロナウイルスの感染拡大に印刷関連業界も翻弄されている。イベント等の中止・延期に伴う発注のキャンセル、営業活動の自粛・停滞、それらによる業績へのダメージは深刻だ。設備投資や採用活動にも影響が及ぶ。業界内のイベント・会議も軒並み中止・延期されている。一方、感染防止対策がテレワークの導入など働き方改革を推し進め、学校の一斉休校が出版市場を潤すなどの効果も生まれた。収束の兆しが一向に見えない中、政府支援施策の活用や顧客フォロー、日常業務の見直し、社員研修、認定取得など、今できることに取り組み、環境の好転を待つ以外にない。
■業務見直し等の好機にも
 日本政府観光局が3月19日に発表した2月の訪日外客数推計は、前年同月比58.3%減の108万5100人となった。特に中国は9割近く、韓国は8割近くの減少となった。インバウンド需要の急減は、百貨店やドラッグストア、ホテル等の経営を直撃。加えて、国内での人の移動制限も強まる一方で、観光地や飲食業界から悲鳴が上がっている。
 印刷業界においても、飲食業や小売業、旅行業、運輸業、宿泊関連、商業・娯楽施設などと取引の多い会社は特に打撃を被っている。観光客減で土産物需要も急減し、商品のパッケージや包装紙を製造する印刷会社の苦境が伝わる。
 都市圏にあるテーマパークを得意先とする印刷会社の社長は「本来なら最も忙しい春休みに休園となり、再開のめどが立たない。2月、3月と続けて売上は3割程度落ち込んだ」と話す。
 また、販促プロモーションに強みを持つ10人規模の企画制作・印刷会社の社長は「今の状況がもし年内いっぱい続くようなら、会社を持ちこたえることはとてもできない」と、表情から笑顔がすっかり消えた。
 もともと2019年年初からの印刷用紙の大幅値上げ、原材料価格や物流費の高騰などで経営体力を削がれていたところへ、昨年10月の消費税率の引上げ、異例の暖冬による消費不振が加わり、そこにコロナウイルス禍に巻き込まれた。
 日本製紙連合会の紙の需給統計を見ても、昨年10月からの減少が顕著で、塗工紙を中心に印刷・情報用紙の前年同月比は2ケタ前後の落込みで推移している。用紙の動向だけを見れば、底が抜けてしまった状況と言えるだろう。
 ここでは政府による個々の支援施策を紹介することはできないが、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省、日本政策金融公庫、商工中金など、関連する省庁、金融機関のホームページを細かくチェックし、利用できる助成金、補助金、融資等について調べておきたい。
 不要不急の外出自粛要請は、生活者の自宅での滞在時間を長くする。室内でデジタルメディアへの接触が増えれば、さらに生活のデジタルシフトが進む。3月に発表された電通「2019年 日本の広告費」に見られるインターネット広告費の著しい伸びからも、印刷業界は大転換期に直面していることが分かる。
 一方、日本出版販売の調査では、2020年2月期の店頭売上前年比が105%となり、前月より3.1ポイント上昇、3ヵ月連続での対前年増となった。コミック・学参が特に好調で、コミックは2013年11月の集計開始後、初めて対前年130%を超えた。学参は新型コロナウイルス感染症対策のための小中学校等の一斉休校の影響により、学習ドリルなどの売上が急伸。児童書も好調で、出版市場には明るい面も表れている。
 今後、延期された東京五輪関連の印刷需要や、政府の消費喚起策として商品券配付の可能性などもあり、市場動向が注目される。
 また、感染症対策はテレワーク(在宅勤務)や時差出勤、柔軟な勤務シフト、テレビ会議システム、オンライン研修の導入など、働き方改革への取組みの背中を押す効果も生んだ。4月1日から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されたが、自社の働き方について見直すプラスの機会としたい。
 東京五輪の延期により、2021年の祝日の移動も避けられない。カレンダー、ダイアリー、手帳等に関わる印刷・製本会社にとって、2019年の天皇陛下の退位・即位に伴う変則的な暦から、3年続けてぎりぎりまで製作を後らせる状況となることは必至で、経営への影響が心配される。













【印刷新報2020年4月2日付掲載】
その他掲載記事
・JPA後援会を発足 後継者育成と学校運営の拡充へ
・第59回ジャパンパッケージングコンペティション
 入賞49作品を発表
・「明美ちゃん基金」に寄託 日印産連

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2020年3月19日付
〈全印工連・事業承継支援センター〉
組合員間のM&A事例を紹介
支援センター活用で実現


 全日本印刷工業組合連合会の事業承継支援センターはこのほど、同センターの活用事例の一つをまとめた冊子を制作し、全組合員に配付した。M&Aの成功事例を当事者同士の対談スタイルで紹介し、生の情報を伝えるとともに、早めの事業承継の必要性、事業承継支援センターの有用性について啓発する内容となっている。タイトルは「『これがわが社の生きる道!─組合員2人の決断と出会い』 企業の価値を将来に残し、有望な事業を引き継ぐ『事業承継型M&A』」。

成功事例を全組合員に紹介した

 対談したのは、有望なアナログゲーム市場を対象とした印刷事業でたしかな基盤がありながらも、後継者の問題から廃業も検討していた株式会社萬印堂(現・顧問)の作道昌弘氏と、事業の裾野を広げ、経営の安定を目的にM&Aを模索していた山口証券印刷株式会社代表取締役社長の山口明義氏。両者とも全印工連の組合員であり、事業承継支援センターを通じたマッチングが、円滑なM&Aと事業承継につながった。
 両者は、それぞれが抱える課題の解決に参考になればと、センターが開催した4回シリーズの事業承継支援セミナーに参加したことでM&Aへの認識が深まり、センターの活用を考えた。
 萬印堂を経営していた作道氏は、自社のゲーム関連(カードゲーム、ボードゲーム等)の印刷ビジネスが堅調、かつ将来性も感じていたものの、後継者探しに苦労していた。一方の山口氏は、「未来永劫続く会社をめざす」という経営理念を実現するため、新規分野の開拓を考えていた。
 作道氏に対しては、譲渡先候補として10社(社名は秘匿、関連情報のみ提示)が紹介され、うち3社をピックアップ。2社と実際に面談した結果、山口証券印刷を相手先に選んだ。
 山口氏は「まったく知らない会社、あるいは組合員でないと、どうしても身構えてしまうが、作道さんとは東印工組の同じ委員会で活動していた時期もあり、交渉に入りやすかった」と語る。
 萬印堂は、社名、社員、顧客がそのまま残る形で山口証券印刷に事業承継型M&Aが行われた(2018年9月に契約調印、売却時の社員数は萬印堂が9名、山口証券印刷が約60名)。現在、山口氏が代表取締役、息子の山口真司氏が取締役を務めるほか、山口証券印刷から社員1名が出向。M&A後も事業は順調に進展し、相乗効果も生んでいる。
 全印工連の事業承継支援センターは、事業承継で悩む組合員、他社との提携や買収を考えている組合員などを対象に、課題解決の相談に乗っている。全印工連と業務提携を結んだ山田コンサルティンググループ株式会社が運営を担う。同社と全印工連は機密情報を一切共有しないため、安心して相談できる。また、相談無料、手数料割引有りなど、組合員ならではの特典がある。













【印刷新報2020年3月19日付掲載】
その他掲載記事
・「2019年日本の広告費」デジタルシフト鮮明に
・第34回全日本DM大賞・金賞作品紹介
・みらい企業年金基金 異業種の基金と統合

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2020年3月12日付
〈新型コロナの影響による「官公需対策」〉
国が中小企業への配慮を要請
柔軟な納期、予定価格の見直し等


 国(経済産業省・中小企業庁)は3月3日、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対する官公需における配慮について、各府省や都道府県等に要請を行った。「要請文書」は中小企業庁長官名で一斉に配信された。柔軟な納期設定に加え、予定価格の積算見直しまで踏み込んだ内容となっている。
 全日本印刷工業組合連合会(臼田真人会長)では2月25日付で経済産業大臣に対して緊急要請文を提出していたが、異例の速さで国からの「配慮要請」ならびに「要請文書」の発表・発出が実現した。

◆全印工連の緊急要請に異例のスピード対応
 今回の国の要請は、各府省等、都道府県知事、人口10万人以上の市の長及び特別区の長に対して発出された。
 「各府省等中小企業官公需担当官」に宛てた要請文書では、「足下の状況を踏まえ、影響を受けている中小企業・小規模事業者に対しても、補助制度や金融支援等により、幅広く中小企業支援施策を講じることになりました。つきましては、貴府省等の官公需の発注にあたっては、契約の着実な履行はもとより、下記の事項に関する特段の御配慮についてお願い申し上げます。また、本内容に関しては、所管各部局(地方支分部局を含む)及び独立行政法人等の契約担当窓口に至るまで、周知徹底していただくよう、お願いいたします。」としたうえで、3項目の要請事項を示した。
 また、都道府県知事に宛てた文書では、各府省等への要請に準じた特段の配慮を、各都道府県下の人口10万人以上の市及び特別区、加えて、各市(区)町村に対して周知するよう求めた。
 今回の要請事項は次のとおり。
1、柔軟な納期・工期の設定・変更及び迅速な支払
 中小企業・小規模事業者との物件等の契約において、例えば翌年度にわたる納期の変更など、年度末等の納期・工期について柔軟な対応を行うとともに、支払時期については、発注に係る工事等の完了後(前金払、中間前金においてはその都度)、速やかに支払いを行うよう努めるものとする。
2、適切な予定価格の見直し
 新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けている需給の状況、原材料費及び輸送費等の最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき、適切に予定価格の見直しを行うものとする。
3、官公需相談窓口における相談対応
 官公需相談窓口において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者の相談に適切に対応するものとする。
 特に注目すべき点として、原材料費から輸送費までサプライチェーンの影響を意識した予定価格の見直しまで踏み込んでいることが挙げられる。

◆年度末集中の問題解決の糸口に
 全日本印刷工業組合連合会では、新型コロナウイルス感染拡大による日本経済全体への深刻な影響、特に印刷産業として年度末に集中する全国各地の官公需業務の停滞を懸念し、2月25日付で梶山経済産業大臣に対して「今年度末における官公需対応のお願い」の緊急要請文を提出。官公需(印刷物の発注・納品)について、翌年度への納期延長など柔軟な対応への配慮を求めていた。この要請に対し、わずか1週間という異例の速さで国の対応が実現した。
 全印工連は、これまでも国に対して、@適正価格での受注、A知的財産権の保護、B官公需業務の年度末集中の解決─の3つの課題への対応を求めてきた。
 特に昨年は、臼田会長が「都道府県中小企業者調達推進会議」に出席し、印刷産業の官公需取引の改善、特に年度末集中発注の問題解決を訴えた。また、中小企業庁事業環境部取引課に対しても、発注の平準化や前倒し、年度にとらわれない予算執行、複数年度にまたがる契約制度の実現、過度の校正や修正作業の見直しなどを要望してきた。今回、まさにそれらの成果が実るかたちとなった。
 全印工連では、今回の国の対応を受け、産業界を挙げて官公需への対応に全力を注ぐと同時に、全印工連に加盟する全国の組合員企業の経営を守るため、官公需取引改善活動に一層努めていく方針だ。
 今回の国の配慮要請については、すぐに47都道府県の全理事長に連絡し、年度末の官公需への有効活用を促した。
 また、新型コロナウイルスの経営への影響を含め、今年度末の官公需業務の実態について、後日、組合員にアンケート調査を実施する予定だ。
 現在、池尻専務理事を窓口として新型コロナウイルス関連の相談も受け付けている。
 3月5日に行ったプレス発表の席上、臼田会長は次のように述べた。
 「国の異例のスピード感での対応に驚くと同時に、われわれ中小印刷産業が置かれた状況を深く理解し、迅速に動いていただいた高木課長をはじめとする経済産業省コンテンツ産業課のみなさま、そして、中小企業庁の前田長官に心から感謝申し上げる。新型コロナウイルス対策は始まったばかりだが、今回のような官公需の年度末集中の見直しや従業員の働き方の見直しなど、前向きな方向にも活かしていきたい。官公需の見直しは、いずれ民間取引における商習慣の改善にもつながるものと期待している」












【印刷新報2020年3月12日付掲載】
その他掲載記事
・製本・加工特集
・新型コロナ影響調査 9割超が企業活動に影響
・「印刷・同関連業」5兆円下回る
 平成30年「製造品出荷額等」

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2020年3月5日付
〈国交省 トラック附帯作業実態調査〉
「手荷役」が作業時間増に
契約書面への明記も不十分


 国土交通省は、洋紙・板紙分野におけるトラックドライバーの長時間労働の要因となっている荷降ろしなどの附帯作業の現状を把握するための実態調査を行った。調査結果(中間報告)によると、「手荷役」による附帯作業が作業時間を要して負担になっているほか、契約書面で附帯作業の明確化が十分にされていない実態が明らかになった。
 調査結果は、2月26日に開いた「第5回紙・パルプ(洋紙・板紙分野)の物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)の中で明らかにされた。
 調査は、出荷・荷受等でトラック輸送を利用する荷主事業者を対象に、業界団体を通して調査依頼・郵送で2000事業者に実施(調査期間は2月13日〜28日)。全体の回答者数(1258サンプル)のうち、輸送品目として「書籍・印刷物」10サンプル、「洋紙(ロール紙・市販紙等)」11サンプル、「板紙、段ボール(原紙・シート・製品等)」75サンプルの合計96サンプルを集計した。
 出荷時および納品時(場所=メーカーの工場・倉庫、卸・商社等の倉庫、印刷会社等の工場・倉庫)による附帯作業の発生場所は「積込み作業・荷降ろし作業」が最も多い。その方法は「フォークリフト(パレット)」が最も多かったものの、「手荷役」も次いで多く、すべての場所で約3割を占めた。
 附帯作業の問題点としては、メーカーおよび印刷会社の工場・倉庫において「手荷役があり、作業時間を要する」が最も多く、大きな負担となっていることが分かった。
 契約書面で附帯作業が明確化されていない実態も明らかになった。
 契約書面への附帯作業の記載は、洋紙35%、板紙・段ボール28%、書籍・印刷物25%が「明確にされていない」(そもそも契約書面がない)と回答。
 また、トラック運送事業者(回答1145サンプル)への調査でも、契約書面に附帯作業の内容、料金等を明記している比率は2割前後にとどまり、半数の事業者が附帯作業料金を取れていないと答えている。
 国交省では「附帯作業の内容や料金などの条件はあくまで発荷主側と着荷主側との間の契約で決まる。そのため、トラック事業者側の改善や要望が届きにくい状況にある」と指摘。平成29年に改正された標準運送約款では附帯作業の内容と運賃とを契約上別々に明記することを定めており、取引環境と長時間労働の改善に向けて、荷主事業者との確実な交渉・契約と記載を進めていきたいとしている。

◆洋紙代理店の共同配送で課題が浮き彫りに
 一方、今年に入って実施を予定していた洋紙代理店による印刷工場への共同配送とリードタイム延長の実証実験は中止となった。
 主な理由として、製紙メーカーから集荷した洋紙・板紙を、共同輸送するため代理店の倉庫で集約する際、「横持ち輸送コストが増加し、共同化によるコスト減少分を上回ってしまい、コストメリットが出ないことが明らかになったため」(国交省)。さらに、出版社や広告代理店において、発注期限を前倒しする調整が難しかった。
 国交省では、今後の課題解決策として、洋紙代理店はロットが大きいために横持ちコストが大きいことから、「代理店在庫の共同化などで横持ち輸送を不要にできないか」、リードタイム関連では「着荷主のメリット(工場操業の平準化等)を示すべきではないか」などの方向性を示した。
 第5回の懇談会では、洋紙・板紙分野の物流改善に向けた調査・実証実験の結果を報告するとともに、ガイドライン案を議論。これら結果を踏まえ、3月末までに「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 紙パルプ(洋紙・板紙分野)編」として取りまとめる予定。











【印刷新報2020年3月5日付掲載】
その他掲載記事
・新型コロナ対応で経産省に要望書 全印工連
・「脱炭素カップ」で賞を贈呈 日本WPA
・第31回世界ラベルコンテスト
 日本から4社・4作品が入賞

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2020年2月27日付
〈page2020 基調講演より〉
ライト出版市場の広がり
展示即売会が開く新領域


 page2020では、2月6日に「ライト出版市場の誕生と広がり〜縮小する既存出版の外側で膨らむ市場」をテーマに基調講演が行われた。日本印刷技術協会(JAGAT)の藤井建人研究調査部部長がコーディネーターとなり、活発に創作・印刷・売買される新たな出版市場について、代表的な即売会コミュニティである文芸書の「文学フリマ」、技術書の「技術書典」、ビジネス書の「ビズケット」の各主催者が登壇し、熱気あふれるイベント会場の裏側、運営の内側を明かすとともに、JAGATが名づける「ライト出版」市場が注目される背景について意見を述べた。

◆印刷・造本で適切な提案を
 JAGATでは、「コミックマーケット(コミケ)」に代表されるアニメ・マンガなどの現代的な同人誌出版、そして、出版社による従来からの正規出版の中間に位置する領域として、近年、文芸書や技術書、ビジネス書など文字物を主体とした「ライト出版」とも呼ぶべき新しい市場が勃興してきたことに注目し、今年のpage基調講演で焦点を当てた。
 まず、各イベントの熱気に驚く。「文学フリマ」は2002年に始まった文学作品の展示即売会。プロ・アマを問わず誰でも、「自分が文学≠ナあると信じた作品」なら何でも出品できるところが、いわゆる同人誌とは違う。年々、開催地域の広がり、規模の拡大が進み、2020年度は全国8都市で9回開催される。昨年1月24日の東京開催では、1072者が出展、6044人が来場、1000万円を超える取引が行われた。来場者の年齢層は20代、30代が合わせて約6割。過去に、文学フリマへの出品がプロの編集者の目に留まり、数十万部のベストセラーに発展した例もある。
 事務局代表の望月倫彦氏は「一時的なブームではなく、『ちょっとした本好きが足を運ぶイベント』に変貌した。出展者と来場者が直接やりとりできるのがいい。出版社や印刷会社との連携や企画を増やし、アナログの"本"という文化そのものに貢献したい。将来は東京ビッグサイトで開催できる規模や全国100都市での開催を実現したい」と意気込む。
 「技術書典」はコンピュータ・IT書等の展示即売会で、こちらは紙の本と電子書籍版の販売を併せて行う。2016年6月にスタートし、昨年は東京の池袋サンシャインシティ文化会館で2回開催。1回あたり600店の参加、約1万人の来場者があった。今年は3回開催する。JAGATの藤井部長によると「身の危険を感じるほどの混雑」だという。
 この分野はニッチな上に本の寿命が短く、出版社が積極的になれない。一方で、意欲的な読者のボリュームは厚く、書くことそのものを楽しむ筆者(技術者)も大勢いる。そこに「技術書典」がピタリはまった。
 主催者の一人である達人出版会の高橋征義代表取締役は「紙の本はデバイスとして優秀で、読みやすく、電子本と違いライセンス問題のハードルも低い」、「来場する人は初めから買う気が満々。売る側も商業ものと違い値引き販売しなくていい。アマゾンで買えないコンテンツがあれば来場者は増える」と話す。
 「ビズケット」は昨年9月に第1回を開催し、出展40者、400人が来場。2020年は2回の開催を予定する。主催者の一人、ブックビネガーの坂本海氏は「法人の出展が意外だった。リアルイベントならではの強さを感じた」と話す。
 講演の中での共通項は、デジタル印刷やITの普及が出版のハードルを下げたこと。一方、まだまだ一般の人はデジタル印刷を知らないため、行き場のないコンテンツがあふれているという指摘もあった。
 また、「即売会のプロから『本の装丁をもっと見た目よくした方がいい』とアドバイスされた」(坂本氏)、「作る人は表紙に一番困っている。簡単に作れる雛型が欲しい。本のいろいろな作り方を印刷会社に会場で提案してもらえたらありがたい」(望月氏)といった声も聞かれた。










【印刷新報2020年2月27日付掲載】
その他掲載記事
・特別企画「輪転システム最前線」
・Print Next 2020 全国から510名が秋田に集結
・全国青年印刷人協議会 今井印刷・今井孝治氏が新議長に

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2020年2月20日付
日本印刷産業連合会 「じゃぱにうむ2020」
6社が地方創生事業の事例発表
地元愛が事業の推進力に


 日本印刷産業連合会は、印刷産業の地方創生事業事例発表会「じゃぱにうむ2020」を2月10日午後2時から日本印刷会館で開催し、100名を超える参加者があった。昨年度の開催に続くもので、全国の印刷会社の中から選ばれた先進的な取組みの6社が事例発表とパネルディスカッションを行った。発表したのは、みやもと(栃木県宇都宮市)、進和ラベル印刷(山形県上山市)、第一印刷所(新潟市)、ホウユウ(大阪府堺市)、三洋グラビア(長野県伊那市)、ケイズ(岐阜県郡上市)。

パネルディスカッションのもよう

◆"つながれる"印刷業に強み
 「じゃぱにうむ」は、地方創生・地域活性化に取り組む印刷会社の成功事例を共有することで、印刷会社が地域のコーディネータ役として活躍していくことを目的に開催している。
 当日は、初めに日本政策投資銀行の竹ヶ原啓介執行役員が「地方創生SDGs金融の狙いと地域金融」と題して基調講演を行った。
 日本でも企業への長期投資の視点としてESG投資(E=環境、S=社会、G=ガバナンス)が広がっている。国連のSDGsとも同期し、現在、社会課題の解決と事業との関連、ビジネスモデルの持続可能性を示す必要が高まっている。
 竹ヶ原氏は「地域を支える金融機関も同じロジックに乗っている。印刷産業のみなさんの地域創生への取組みは、間違いなく地域金融機関が評価するものであり、ぜひSDGsを活用して共に地域を元気にしていただきたい」と述べた。
 事例発表では、6社の活き活きとしたプレゼンテーションが光った。
 みやもとは、地域も社員も学べる毎月開催の無料セミナー「印刷工場課外授業」を続けて11年目に入った。また、地元の民話を元にした栃木のブランド向上や観光集客など、幅広い地方創生の取組みを展開している。
 進和ラベル印刷は、コンテストで受賞常連のデザイン力、技術力を活かし、山形県朝日町と地元農協が共同出資運営する企業と連携して女性をターゲットとしたワイン造りに参画。ボトルに貼るラベルが世界コンテストで最優秀賞に輝き、メディアにも大きく取り上げられたことで販売本数が倍増するなど、販売促進に貢献した。
 第一印刷所は、地元女性クリエイターのデザインによる新潟をモチーフにしたカラフルでかわいい模様を「新潟手帳」やさまざまなグッズに展開するなど、新潟の魅力を発信している。
 ホウユウは、従業員13人と小さな所帯ながら、堺市への愛にあふれた活動が大きなネットワークに拡大。紙雑貨「堺カミモノ」、オリジナル図案「堺柄」、古墳関連のグッズ製作、イベント開催にまで携わり、100アイテムもの土産品を開発・販売するまでに業態変革している。
 三洋グラビアは、食品用フィルムパッケージの製造会社だが、地元伊那市に密着した企業として、企業見学バスツアーや就活準備合宿への参画、大学への出前授業など、将来の地域経済の担い手である学生を対象にキャリア教育を推進している。  ケイズは、デザインを学び、世界を放浪した末に、出身地の郡上市の魅力を再発見した2代目が、家業のシルクスクリーン印刷の技術を現代風に蘇らせながら、地域の職人や住民たちと「郡上ものづくりプロジェクト」を通じて地場のものづくりを活性化した。パリやミラノにも出展し、話題を呼んでいる。
 パネルディスカッションでは、日印産連価値創出委員会の滝澤光正委員長がモデレーターとなり、発表した6名から苦労話や成功のポイントなどを引き出した。
 「なかなか儲からないが、だからこそ楽しくやる。地元での知名度は確実にアップした」(みやもと・宮本氏)、「優秀なリーダーとデザイナーがいたので上手くいったが、次も再現性があるかどうかが課題だ」(第一印刷所・柳沢氏)、「イベントを開催すると役所さんに寄って来てもらえる。いろいろ相談できるし、自分たちでできない仕事を頼める。堺市独自の補助金も活用させてもらった」(ホウユウ・田中氏)、「従来型の観光に依存せず、自分たちが豊かになることを考えた。世界最先端のいなか町でありたい」(ケイズ・上村氏)など、さまざまな発言が聞かれた。

















【印刷新報2020年2月20日付掲載】
その他掲載記事
・特集・「省人・省力化機器」
・「大喜利印刷」第2期完成 全印工連
・マーチング委員会 第9回全国大会

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2020年2月13日付
【日印産連・第4回女性活躍推進セミナー】
"無意識の偏見"に焦点
組織・個人の克服法を教授


 日本印刷産業連合会は2月3日、第4回女性活躍推進セミナーを日本印刷会館で開催し、約90人が参加した。
 今回は「皆が働きやすい職場の実現に向けて〜アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)をなくす方法!」をテーマに、アパショナータ.Inc代表のパク・スックチャ氏が講演。その前段として、日印産連の櫻井醜副会長が「ダイバーシティ・マネジメント─"ガラスの天井"を打ち破る」と題し、トッパン・フォームズ社長としてダイバーシティ経営を推進してきた自身の経験を基に、諸外国に比べて大きく遅れている日本の女性活躍推進に対する考え方と改革へのヒントについて語った。

◆男女の違いを認識し、感性社会への対応を
 櫻井氏が指摘する"ガラスの天井"とは「女性の組織内での昇進を妨げる見えない障壁」のこと。初めに、世界と比較して日本がいかに後進国であるかを、女性就業率、男女格差、女性議員の割合、女性中堅企業幹部の数などのデータから説明した。日本の産業の業種別分析でも、印刷産業が属する「その他製造業」は、(社内・社外)女性取締役・監査役のいる企業の比率で最も低い位置にとどまっている。
 櫻井氏は「男性のコミュニケーションは同質性であり、付き合いを増やして互いにわかり合える部分が多いほどうまくいく。対して女性は、『そこまではしたくない』という離れたコミュニケーションが基本になる。そうした感性を企業は理解しなければいけない。これからの社会は、AIで代行できない人間の能力が問われる。感性、品性、直感、独自性、美意識などだ。それらは女性が長けている部分であり、時代認識を誤る企業は感性社会に対応できない。すなわち業績も付いてこない」と持論を述べた。また、「女性たちが声に出して言わなければ男性は変わらない。上司に対してはっきり意見を言うことを心がけ、行動することが大事だ。それに対して男性は、その主張を受け入れ、同質性だけで組織をコントロールすることがないように意識を変革してほしい」と求めた。

◆「偏見」を認め、存在を明らかにする

講師のパク・スックチャ氏

 続いて講演したパク・スックチャ氏は、日本生まれで韓国籍。米国の大学でMBAを取得し、米国と日本で米国系企業に勤務後、コンサルタントとして独立した経歴の持ち主。パク氏は、企業が目指すべき「誰もが受け入れられ、違いが活かされ、気持ちよく能力が発揮できる環境作り」に向かううえで、それを阻害するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が誰にも、どんな組織にも存在することをわかりやすく説明したうえで、「完全になくすことはできないが、影響をできるだけ少なくすることはできる。簡単なことからでいいので、明日からぜひ実践してほしい」と呼びかけた。
 パク氏によると、育った環境、個人的な経験、マスコミ・メディアの描写、周囲からの影響などにより、人は自分自身でも気付かずに偏った見方・考え方を持つようになり、それがダイバーシティ・マネジメントを妨げる。それらは、組織の意思決定、採用、評価、昇進、人材育成、役割分担、会議での発言など、あらゆる場面に影響を及ぼす。
 パク氏が一例として挙げたボストン交響楽団では、1970年代まで男性、しかも白人の採用がほとんどで、女性の割合はわずか5%だった。それが、純粋に演奏だけを審査員が聴く「ブラインド・オーディション」に変えたことにより、女性の楽団員の採用率が50%アップしたという。現在は女性の比率が40%に達しており、今は欧米のほとんどの楽団がこのオーディショ方法を採用するに至っている。アジア、ヒスパニック系の採用も増えた。
 このように、人は偏見から逃れられない宿命を持つが、意識の持ち方や工夫次第で状況は変えることができる。
 偏見の影響を抑えるために組織ができることとしてパク氏が挙げたポイントは次の4つ。
 @偏見についての教育を行い、意識を高める。
 A組織や部署に存在する意識・無意識のバイアスを見極める。
 B主観を排除し、公平性を確保する仕組みを作る。
 C決断や判断に適切な理由を持つことを求める(データの裏づけ)。
 また、個人レベルでもできることは多くあると指摘。「自分の価値観は変えなくていいが、ビジネスに適した行動はとらなくてはいけない。そのために、自分に偏見があることを認め、意識を高めること。人の判断や評価をする時はゆっくり考えること。多様な人たちと接し、相手をまず個人として知ること。これらが大事になる」と述べた。
 さらに、言葉、話し方、表情、しぐさ、視線、声のトーン、対話の量など、ささいな言動や振舞いでも相手に強いメッセージを与えることを注意したいポイントに挙げた。
 セミナーの最後には参加者の一人から、「まず明日から、誰に対しても『おはよう』、『ありがとう』といった言葉をきちんと使えるようになりたい」と感想が述べられた。
















【印刷新報2020年2月13日付掲載】
その他掲載記事
・page2020、6万7000人が来場
・「デジタル×紙×マーケティング」を総括
 page2020初日基調講演
・近畿印刷産業機材協同組合、創立70周年を祝う

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2020年2月6日付
全製工連、「製本産業ビジョン2025」発表
"再・創業"を掲げ変革へ


 全日本製本工業組合連合会(田中真文会長)は、このほど新製本産業ビジョンを完成させ、「製本産業ビジョン2025」として発表した。東京では1月28日に組合員向けの説明会を開催した。「再・創業(リ・スタート)」をコンセプトに、製本ビジネスの業態変革のヒントを提言書にまとめた。印刷市場、出版市場に続く第3の市場創造に挑む。

■第3の市場創造を提案
 「製本産業ビジョン2025」は昨年来、ビジョン策定委員会(木戸敏雄委員長)で作業を進めてきた。前回の「ビジョン2018」に続くもので、2025年を目標に、組合員の業態変革を促す内容となっている。
 「ビジョン2025」が変革のためのキーワードとしたのが「再・創業(リ・スタート)」。製本以外の事業への進出(新・創業)ではなく、あくまでも製本ビジネスを主軸としながら、「あらためて自らの製本価値を問い直し、自らの強い意志のもと未来を創り出す」ことを謳っている。
 また、ビジョンでは、製本業だけが実現できる「製本されたモノそのものの価値」と「それが使われるコトの価値」の2つを正々堂々と伝え、「もっと使う人に寄り添った製本ビジネスを追求することで、人や社会やビジネスの中でかけがえのない存在≠目指します」と宣言している。
 提言書(A4判、144頁)は全7章で構成される。「ビジョン2018」の総括、製本業の現状と課題、2025年の日本と製本ビジネスを取り巻く環境について、豊富な資料と、組合員・顧客・メーカー・周辺関連業へのインタビューや座談会で紹介。4章以降は、「もし製本会社がなくなったら…」、「わが社の2025年は『再・創業』で創りあげる」、「第3の市場創りへの取り組み」、「わが社の『再・創業』を描く」として、再・創業を実現するために必要な自社の分析、市場の分析、有望な市場、戦略的パートナーシップの可能性等について解説し、5年後の自社の姿を描き、変革のゴールを定めるところまで誘導している。
 1月28日に東京で行われた説明会では、ビジョン策定委員会に参画した(株)ビジネスコミュニケーション研究所の田中信一社長が提言書について解説。新たな市場創りのポイントについて次のように語った。
 「これまでは"製本語"を話す業界人(出版社・印刷会社)のみを顧客に、彼らが要求する製本仕様を満たすことで事業を継続してきた。もちろん、業界人はこれからも大切にし、もっと必要とされる努力はしていくが、それだけでは外部環境の激しい変化に対応できない。自ら需要を創り出すためには、今までやってこなかったことをやることだ。それには何かを待つのではなく、自ら動くこと。選んだお客様(見込み客)のところに出かけ、話をし、話を聞くことをしてほしい。1社で行きにくいのであれば、誰かと連携し、得意な人に任せる。連携は戦略的パートナーシップにより進めたい。特に公共性の高い相手には、事業協同組合という組織で対応することが有効になる」
 ビジョン2025の第7章では、自社の現在について「機能」、「顧客」、「技術(強み)」の3点から分析するうえでの評価ポイントを示し、5年後の自社の居場所を「4つの成長の場」から選択する手引きを行っている。
 また、ビジョンでは印刷、出版以外の第3の市場の可能性として、全国3277ヵ所の公共図書館、4万ヵ所近い学校図書館など「図書館市場」のほか、「学校市場」、「市町村役場市場」、「個人市場」等を例に挙げ、周辺サービスを含めた需要開拓について示唆した。















【印刷新報2020年2月6日付掲載】
その他掲載記事
・特集・PRINTNEXT2020 舞台は秋田
・紙は4.3%減、1兆2,360億円 2019年出版市場
・マーチング委員会 来年で設立10周年

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2020年1月30日付
紙と印刷の力、健在
藤原印刷と平和紙業が共催
「効果のある/なしの境界線展」が好評


 藤原印刷(藤原愛子社長、本社・長野県松本市)は平和紙業と共催で「効果のある/なしの境界線展〜知っているようでまだまだ知らない紙とオフセット印刷の4つのこと」を東京・中央区のペーパーボイス東京で開いた。1月14日から18日までの5日間、デザイナーや出版関係者をはじめ、紙好きのユーザーなど約1500人が来場し、終日にぎわった。
 同展は、「紙×印刷で起こり得る、もっと身近な事例を取り上げた展示会をしよう!」との想いから企画がスタートした。「紙や印刷の展示会では、複雑な印刷手法を使った技術力の高い作品が並ぶ。しかし、紙や印刷のことを熟知していないと展示内容がよく分からないという声をよく聞く」と、藤原章次東京支店営業部次長は話す。
 そこで「身近な事例」に着目。「金インキを使って刷ったのに黄土色にしか見えなかった」「黒い紙に白インキを刷ったらグレーになった」など、「デザイナーあるあるネタ」(藤原次長)を取り上げた。
 具体的には、「残念な金」「残念な白」「微妙なニス」「なぞの奥行」の4つをテーマに設定。藤原印刷のオフセット印刷(油性・UV)と平和紙業のファンシーペーパーを多様に組み合わせたものを、来場者それぞれに効果の「ある/なし」を検証してもらうスタイルにした。
  「もちろん、どの印刷、どの紙が正しいという正解はない。人の好みも境界線も曖昧なもの。紙と印刷のさまざまな組み合わせ、可能性を楽しんでもらえたら」と藤原次長は話す。展示品は、サンプルとしてすべて持ち帰れるようにした。
 今回、展示会の告知をSNSに投稿したところ、紙好きの人たちを中心にじわじわと広がり、2600(1月16日現在)近くリツイートされたという。
 「こんなにも関心がある人がたくさんいることに驚き、うれしい思いだ。今後も、紙と印刷の魅力を伝えていきたい」と藤原次長は手応えを感じている。

大盛況だった展示会。5日間で目標の3倍以上となる
約1,500人が来場
















【印刷新報2020年1月30日付掲載】
その他掲載記事
・特集・page2020
 テーマは「デジタル×紙×マーケティング for Business」  過去最多の166社が出展、見どころ紹介
・75%はデジタルマーケティングは「ビジネスに貢献」
 「大企業のデジタルマーケティング取組み実態調査」

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2020年1月23日付
日本印刷産業機械工業会
情報管理の業界標準モデル策定へ
アジアプリント連盟でも活動


 一般社団法人日本印刷産業機械工業会(宮腰巖会長)は、2020年年始会を1月16日に東京プリンスホテルで開催した。
 年頭あいさつを述べた宮腰会長は、昨年の経済情勢について、「米中貿易摩擦による世界経済の減速、また新興国においての景気悪化等の懸念で、非常に厳しい一年であった」とし、「IMFによると、本年には世界景気が持ち直す見込みとのことだが、不透明かつ予断を許さない状況であることには変わりない」と述べた。
印刷産業機械市場については、「段ボール関連装置等、一部の業界向け装置については、生産金額・輸出金額ともに堅調に推移したが、全体では不透明な世界経済情勢の影響を受けて、生産金額・輸出金額ともに対前年マイナス成長となった」と紹介した。
 そして、「昨年は度重なる自然災害に見舞われた一年であったが、自然災害に対しては今後より一層の対策を講じる必要性を感じている」と述べた。
 本年の市場環境については、「しばらくは厳しい環境が続くと予想されるが、東京オリンピック・パラリンピックが国内景気の起爆剤となることを期待している」と述べた。
 また、「本年6月にドイツで世界最大の印刷機材展示会drupa2020が開催される。主催するメッセ・デュッセルドルフによると、昨年11月末現在の出展申込状況で、日本企業の実質展示面積は2万1452uであり、国別出展規模はドイツに次いで世界2位となっている」と紹介、「これは、わが国の印刷産業機械が世界市場において重要な位置づけにあることの表れであり、drupa2020を通じて世界の印刷産業の発展に貢献できるものと確信している」と述べた。
 本年の工業会活動においては、「昨年に引き続きJapan Color認証制度による標準化を推進し、IoT活用による効率化を推進していく。次に、設備投資を促す『中小企業等経営強化法』、『生産性向上特別措置法』に関わる証明書発行業務に力を入れていく」。
 2020年度は「モノづくり・商業・サービス高度連携促進事業」・「事業継承・世代交代集中支援事業」等、さまざまな政府施策が行われる予定だが、「本年も関係省庁とのコミュニケーションを一層密に、いち早い情報収集および提供に努めてまいりたい」。
 展示会事業については、「昨年発足したIGAS2022実行委員会の活動を中心にIGAS2022のテーマ、イベント企画、運営方針等を検討し、ビジネスプランの作成を行っていく」。
 本年から開始する新たな活動については次の2つを紹介した。
 「一つは、経済産業省が推進している『技術等情報管理認証制度』に基づいた情報管理の業界標準モデルの策定を行うことである。三菱総合研究所様のご指導の下、JPMA情報管理標準モデルを策定し、委員会・部会を通じて普及に努めてまいりたい」。
 「二つめは、アジアプリント連盟加盟国としての活動。今後、重要性を増す市場であるアジア市場に目を向け、アジア各国とのネットワークを強化するため、アジア13ヵ国の印刷関連団体が加盟するアジアプリント連盟に昨年末に加盟した。本年より加盟国としての活動を行ってまいりたい」。
 また、祝辞を述べた経済産業省製造産業局産業機械課の安田正一課長補佐は「第4次産業革命時代に日本が勝ち残り、世界をリードしていくためにはさまざまな業種や企業、人、機械が、データを介してつながる『Connected Industries』によって、さまざまな社会課題を解決し、新しい価値を生み出す『Society5.0』を世界に先駆けて実現することが重要な鍵となる」とし、「日本の強みはものづくりの現場にあると言われるが、その生産現場においてもデジタル技術の活用は不可欠。今後は、工場のみならず、開発設計段階と工場、工場と工場、工場と物流も含めた最適化が競争領域になる」と述べた。













【印刷新報2020年1月23日付掲載】
その他掲載記事
・東京都、最低制限価格制度の試行案件を拡大
・印青連サミット2019
 青年会の現状を確認、メリットをアピール
・各地で新年会

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2020年1月16日付
経済産業省 令和元年度補正予算・2年度当初予算
「生産性革命」予算は3倍超に(元年度補正)


 経済産業省は、令和元年度補正予算案で、「ものづくり・商業・サービス補助金(ものづくり補助金)」「持続化補助金」「IT導入補助金」を一体運用する「中小企業生産性革命推進事業」(中小機構運営費交付金)に3600億円を充てた。前年度(平成30年度)補正予算(1100億円)より3倍超と拡充し、生産性向上を継続的に支援する。
 中小企業生産性革命推進事業のうち、「ものづくり補助金」(一般型)では、新製品・新サービス開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資および試作開発を支援する。補助額は100万円〜1000万円。補助率は中小企業が2分の1、小規模事業者が3分の2。3月頃から公募を開始する。公募は通年で行い、複数の締切りを設けて審査・採択する。
 また、一般型のほかに、新たに「グローバル展開型」と「ビジネスモデル構築型」を設ける。
 「グローバル展開型」は、海外事業(海外拠点での活動を含む)の拡大や強化を目的とした設備投資などを支援するもので、補助上限3000万円、補助率は中小企業2分の1、小規模事業者3分の2。「ビジネスモデル構築型」は、中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助するもので、補助上限1億円、補助率は定額。
 さらに、令和2年度当初予算で、「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」を盛り込み、複数の企業が連携して行う「企業間連携型」(連携体は5者まで)と、新規で「サプライチェーン効率化型」(連携体は10者まで)で取組みを支援する。
 「持続化補助金」は、小規模事業者が取り組む販路開拓などを支援するもので、補助額は50万円(共同申請は上限500万円〈50万円×10者〉)まで。補助率は3分の2で、店舗の改装やホームページの作成・改良、チラシ・カタログの作成、広告掲載などが補助対象となる。
 「IT導入補助金」は、バックオフィス業務の効率化など付加価値向上につながるITツール導入を支援する。補助額は30万円〜450万円。補助率は2分の1。製造業も対象となる。
 税制面でも優遇措置で設備投資を後押しする。
 固定資産税の軽減では、先端設備導入計画の認定を受けると市町村の判断により、新たに購入した機械設備などの固定資産税を3年間ゼロにできる。
 中小企業経営強化税制では、経営力向上計画の認定を受け、機械装置・器具備品等を取得する場合に、即時償却または最大10%の税額控除が受けられる。
 また、中小企業防災・減災投資促進税制では、事業継続力強化計画の認定を受け、防災・減災設備を取得する場合に20%の特別償却が適用される。
 中小企業・小規模事業者関係の令和2年度当初予算は総額1111億円(平成31年度当初予算は1117億円)、令和元年度補正予算は総額4067億円(平成30年度補正予算は2634億円)を計上した。












【印刷新報2020年1月16日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連新年交歓会に650名が出席
 時代の変化に適応し進化を
・大手3社、社長年頭あいさつ
・30期の節目に感謝の集い 埼京印刷

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2020年1月2日付
映画『つつんで、ひらいて』が公開
装幀者・菊地信義のドキュメンタリー
本づくりの現場に密着した話題の異色作


 日本のブックデザイン界の第一人者である菊地信義(76)の仕事ぶりに足かけ4年寄り添い完成した広瀬奈々子監督(32)の映画『つつんで、ひらいて』。今までカメラが入ることのなかった装幀の現場、そして、本づくりを支える出版・印刷・製本の現場を丹念に追った異色の作品が、静かにファンを広げつつある。この映画の公開は、印刷業に携わる者にとって嬉しい限りだ。昨年12月14日に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開され、順次、全国でロードショーが予定されている。
          ◇
 映画の中に、「本のデザインは設計ではなく、こさえる(拵える)こと」と菊地氏が蕎麦屋で語る印象的な場面がある。発注があって初めて装幀の仕事は成り立つ。「こさえる」とは、まさに他者のために仕事をすることであり、決して装幀は自己表現ではない。自らを一人の「装幀者」と呼ぶ菊地氏の生き方がそのまま表れている言葉だ。
 与えられた条件の中で、本を手に取る人に作品の世界観が伝わるように細部まで気を配り、ある時は大胆なまでのデザインを施す。弟子は「あらゆることを先にやり尽くされてしまっている。菊地さんの罪のおかげで僕らは悩み、日々戦っている」(水戸部功氏)と苦労を語り、作家は自分の本について「まるで菊地さんのデザインに寄与するために書かれたかのようだ」(平野啓一郎氏)と不思議がる。
 魔術師のような仕事ぶりだが、これまで手がけてきた1万5000冊以上の文芸書、評論書の装幀の仕事は、すべて手作業から生み出されたものだ。職人なのである。
 映画は冒頭、菊地氏が紙をくしゃくしゃに丸めては伸ばすことを繰り返すシーンから始まる。『酒と戦後派』(埴谷雄高)というタイトルから想起される印象を、文字にあえてカスレを出すことで表そうとする作業だ。のっけから意表を突かれる。
          ◇
 作品の監督・編集・撮影を務めた広瀬監督は、昨年11月に日本印刷産業連合会が開いた記者会見の場で、DTPを使った作業が当たり前の今、「版下にピンセットを使って切り貼りをされ、手作業への強いこだわりを持つ、まさに職人。モノとしての本と活字を大切にされ、文字を紙に載せることで初めてデザインになるという信念を持たれている」と、新鮮な驚きを語った。
 映画では、菊地氏の手になる装幀の本が、印刷会社、製本会社で製品として完成していく現場撮影シーンもふんだんにあり、多くの職人たちが登場する。彼らの存在が、編集者、装幀者に並々ならぬ信頼を与えていることが映像から伝わってくる。
 撮影を通じて広瀬監督は「一冊の本ができるまでに、こんなにもたくさんの人が関わっていることを初めて知った。印刷、製本の工場はダイナミズムがあり、わくわく感でいっぱい。撮影はひたすら楽しく、ものづくりを知りたくなった。私たちの世代は携帯やパソコンで読むことが多くなっているが、五感が研ぎ澄まされる『紙』について改めて考える機会になった」と話す。
          ◇
 2019年12月14日、渋谷での公開初日。満員の客席を前に広瀬監督、菊地氏、弟子である水戸部氏が舞台挨拶を行った。ここでも菊地氏の存在感は圧倒的で、広瀬監督からの質問に早口で一気に語り通した。
 「言葉の意味と印象の織物が本であり、紙はその器。本屋で触れた瞬間に、一人ひとりの新しい私が立ち上がる。触感の有り無しで言葉との出会いはまったく変わる。グーテンベルク以来、今日まで、紙の本が人の感性をつくってきた。『私』をつくるのが紙の本だと思っている」
 「装幀ほど直球で投げられる表現はない。『いい本だな』と手に取ったあなた、装幀にひっかけられ読み始めたあなたは、消費者から生産者へと一気に変わる。どう一瞬にして変えられるか。僕にはまだ出来ていない」
 「産業としての出版はなくなりつつある。言葉を大量生産して送り出すあまりにひどい現状がある。編集者はもっと、言葉と人を出会わせることをやらないといけない」
 まくしたてられ苦笑していた広瀬監督は、「この映画を観ると、きっと帰りに本屋さんに寄りたくなります」と舞台挨拶を締めた。
 その言葉どおり、暮色迫る街の書店に立ち寄った。本を装幀から感じて眺めるとまったく別の風景が現れる。多くのプロフェッショナルの力が合わさり、私たちは五感を育てられている。(克)











【印刷新報2020年1月2日付掲載】
その他掲載記事
・2020年新年特集号
 ・インタビュー 滝澤光正全印工連副会長
         東海林正豊PrintNext2020運営委員長
 ・2020年、注目のキーワードを読み解く
  「DX(デジタルトランスフォーメーション)」
  「自動化」「BCP」など
・第55回光文堂新春機材展特集

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2019年12月19日付
編集部が選んだ2019年の十大ニュース
SDGs時代の取組みを志向
災害、用紙、物流の制限も


【編集部が選んだ2019年十大ニュース】

@「SDGs」への流れが加速、具体的な取組みが進む
A印刷用紙の大幅値上げに加え、品薄により供給が大混乱
B働き方改革への対応本格化
C記録的な台風で印刷業界にも深刻な被害
D「スマートファクトリー」を掲げ、TSF2019開催
E物流問題が深刻化、改革急ぐ
Fサブスクリプション契約の製品サービスが拡がる
GB1インクジェット機時代が到来
H全印工連の対外広報プロジェクト「大喜利印刷」に大きな反響
IDM・出版のPODビジネスが進化

 世界全体の流れが「SDGs(持続可能な開発目標)」に向いている。印刷業界も大きな枠組みの中で責任を果たしていくことになる。日印産連は3月、地方創生とSDGsをテーマにシンポジウム「じゃぱにうむ2019」を開催。脱プラスチック化へ、凸版印刷が生分解性プラ製品の販売を開始、ミヤコシが紙ストロー生産機を開発・販売するなど、具体的な取組みが増えている。
 主要製紙各社による年初からの10〜20%の大幅値上げ、供給能力ダウンを理由にした品薄状態の長期化が業界に大混乱をもたらした。用紙の調達ができず失注するなど、値上げと合わせて二重の打撃となった。
 4月に施行された働き方改革関連法は、印刷会社に業務効率向上、多能工化などの対応を迫った。東印工組は、都から「テレワーク促進事業」として2000万円を超える補助金の交付を受けた。
 超大型の台風(9月の15号、10月の19号)が東日本を中心に深刻な被害を与えた。地震に加え、水害への対策の必要を改めて意識させた。
 「THINK SMART FACTORY 2019 IN KYOTO」が11月に開催された。スマートファクトリーの実現に向けメーカーが共同で企画し情報発信する新しいスタイルが注目を集めた。
 ドライバー不足、業務非効率などによる物流問題がさらに深刻化。日販とトーハンが物流で協業、国交省が洋紙代理店による印刷工場への共同配送の実証実験の実施を決めるなど、改革に向けた取組みを模索している。
 サブスクリプション方式による製品サービスが拡がりを見せた。北陸サンライズは10月、ハイデルベルグ・ジャパンと国内初のサブスクリプション契約を締結。導入設備に対し、月額の固定費と印刷用紙枚数の代価を支払う新ビジネスモデルで競争力強化を狙う。
 小森コーポレーションが「インプレミアNS40」、ハイデルベルグが「プライムファイア106」の開発、販売を強化するなど、インクジェット印刷機はB1サイズ市場で拡大を見せた。
 ツイッターでつぶやかれた"お題"にユニークな印刷製品で応える全印工連の対外広報プロジェクト「大喜利印刷」が大きな反響を呼び、SNSや多数のメディアに取り上げられた。
 DM・出版関連でIoTを駆使した24時間対応のPODシステムが複数発表され、プラットフォームを進化させた。全日本DM大賞では、グーフと協業したディノス・セシールのパーソナライズDM印刷・発送システムが大賞を受賞した。
 今年は、水性フレキソ促進協議会が発足、改定グリーン購入法に「水なし印刷」がオフセット印刷における環境配慮基準に採用されるなど、環境対応でも進展が多かった。

















【印刷新報2019年12月19日付掲載】
その他掲載記事
・印刷大手2社がGP工場初認定 業界全体の環境負荷低減へ
・デザイングランプリ TOHOKU 2019 「魂」テーマに
 入賞79点を表彰
・次期副理事長候補が内定 東印工組

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2019年12月12日付
〈東ト協 出版物輸送関係懇談会〉
発売日、配送時間の緩和を検討
雑協「週休2日を大前提に」


 東京都トラック協会(東ト協)は、第41回出版物関係輸送懇談会を11月27日に四谷のトラック総合会館で開き、出版・取次・書店・印刷・製本の各関係業界の代表が出席した。改革待ったなしの状況にある出版物輸送に対して、課題解決のために各業界に何ができるのか、具体策を交えて意見交換した。
 東ト協 出版・印刷・製本・取次専門部会の瀧澤賢司部会長は冒頭のあいさつで、「人手不足を背景に出版物輸送が立ち行かなくなり、部会員は恐怖感を持っている。大変な難問ではあるが、解決に向けてスピード感が重要だ。共通理解の上に、次の一歩を進めるための話し合いを本日は行いたい」と述べた。現況と課題について瀧澤部会長が説明した後、各業界の代表が意見を述べた。
 出版物輸送は現在、輸送量が減少する一方、配達先店舗は増加傾向にあり、特にコンビニエンスストア向け配達の収支の悪化が拡大。さらに、ドライバーの高齢化、人手不足、付帯作業の負担増などの要因が加わり、運送会社の経営は難しくなる一方だ。
 瀧澤部会長は、共通の利益につながる持続的・安定的な出版物流の実現に向けて、従来からの慣習の再検討と見直しは急務であるとして、すべての関係業界が末端まで課題を周知させるとともに、「土曜日など運ぶ物がほとんどないコンビニもある。本当に朝から入荷しなければいけないのかという問いも必要だ。車と人をできるだけ節約したいわれわれにとって切実な問題となっている。『こうすればコストに見合った輸送が可能』というところを、少しでもみなさんに考えていただきたい」と訴えた。
 また、「今年の夏の休配日の設定は、高齢ドライバーが多い中、大変助かった。来年もぜひお願いしたい」と要望した。
 これに対して、日本雑誌協会の隅野叙雄 物流委員会委員長(集英社)は「今年よりも来年、来年よりも再来年が良い環境になるように努力していくことを約束したい。現在、週休2日を大前提に話し合いを進めている。言い方は悪いが、皆で血を流す覚悟で取り組みたい。同時に、売れる本を作っていくことも大事な使命だと考えている」、佐藤雅伸副委員長(講談社)は「特にこの1、2年はわれわれの問題意識も大きく変わった。真剣に取り組み、解決を急ぐ。ダイナミックな改革も必要になるだろう」と述べた。
 日本出版取次協会の田仲幹弘氏(トーハン副社長)は「特に雑誌が毎年10%近く下落する中、従量課金制の取引は成り立たず、代わる方法を考えなければいけない。発売日、配送時間を緩和する話も雑協と話し合っている」と報告した。
 日本書店商業組合連合会の藤原直副会長(金港堂)は「土曜日の休配が増えるのは致しかたない」とコメントした。
 東京都製本工業組合からは金子誉書籍・雑誌部会長(共同製本)が出席し、組合員の数がピーク時から3分の1に減り、直近でも生産ライン数の減少が目立つ現状から、繁忙期への対応がかなり難しくなっており、輸送業界と同様に残業規制や人手不足の問題を抱えていることを説明。「毎月の発行量の平準化を継続課題としてぜひ検討いただきたい」、「発行量の減少で積載効率が非常に悪くなっている。トラックの共有化(混載)や、複数の製本会社が協力しあう共同納品の工夫のほか、1つの生産ラインで複数の版元さんの仕事をこなすことなども必要になる」と述べた。
 瀧澤部会長は「そうした具体案について話し合いの場を持つことが必要だ」と後押しした。

















【印刷新報2019年12月12日付掲載】
その他掲載記事
・静止画ダウンロード違法化へ 文化庁、検討を再開
・日本タウン誌・フリーペーパー大賞
 服部プロセスが特別賞
・静岡MUDデザインコンテスト 7作品12名を表彰

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2019年12月5日付
大日本印刷、渋谷に次世代型実験店舗
分析データを企業に提供


 大日本印刷梶i北島義斉社長、以下DNP)は11月28日、未発売を含む国内外の最新IoT機器を実際に体験できるショールーミング店舗「boxsta(ボクスタ)」を東京の渋谷スクランブルスクエアにオープンした。12月25日までの期間限定で運営する。来店客の反応を映像と音声データで収集・分析し、結果を出品企業にフィードバックする。同社では来年度の事業化を目指している。

12月25日まで開設されている
渋谷スクランブルスクエア内の「boxsta」


■渋谷スクランブルスクエアで最新IoT機器を体験
 boxstaは、11月1日にオープンしたばかりの話題のスポット、渋谷スクランブルスクエアの2階POPUPスペース入口付近に位置し、12月25日まで毎日10時〜21時の営業時間。
 ここには、未来をイメージさせる全25点の最新IoT機器が展示されている。一例を挙げると、生活習慣の改善をサポートするスマートウェアラブルベルト、スマホに取り付けてアプリで簡単操作できる世界初のスマホ美顔器、コードレスタイプの高性能ポータブル空気清浄機、学習機能を備えた愛を育む家族型ロボット、等。未来のプロダクトに出会える体験型スペースとなっており、オープン初日から大勢の来店客が商品に触れて楽しみ、大きな関心を寄せていた。
 全25商品のうち14点は、新しいものや体験を応援する日本最大級のクラウドファンディングサービス「Makuake」を展開する潟}クアケと協業し、選定した。
 boxstaは、主にスタートアップ企業への新しいマーケティング手法を提供するためにDNPが期間限定で開設する実験店舗。店内に設置されたカメラ(映像)とマイク(音声)によって来店客の商品に対するデータ(属性・行動導線・態度・感情など)を収集し、統計化することができる。
 取得したデータは、個人が特定できる情報のみを取得と同時に破棄し、AIによる画像・音声解析などを経て統計化を行い、出品企業にレポートとしてフィードバックする。現時点で、映像に加えて音声データ(テキスト化して取得)の解析まで可能な店舗はboxstaのみだという。
 また、トレーニングされた専門スタッフが常駐し、来店客に体験を提供することで新商品をわかりやすく理解してもらえることも店舗の大きな特徴となっている。
 商品を展示販売する企業は、店舗でのコミュニケーションを通じた顧客の生の声を得ることができ、効率的なテストマーケティングや、発売前・発売後の商品の改良などが可能になる。
 DNP情報イノベーション事業部C&Iセンターでプロジェクトを担当する浅野陽介グループリーダーは「近い試みはあるが、先端技術を使ってここまで客観的な分析と判断ができる店舗はない。一方で、AIソフトを活用しながらも、頻度は少ないが特徴的な反応が見られる部分を人が判断してレポートに載せることも行っている」と話す。
 DNPでは、今回のboxstaでの運営結果を活かし、2020年度にセンシング技術とAI技術を組み合わせた次世代型ショールーミング店舗の事業化を目指す。
















【印刷新報2019年12月5日付掲載】
その他掲載記事
・テーマは「デジタル×紙×マーケティング for Business」
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・生産性向上、働き方改革など、議論深める
 ジャグラ全国協議会
・印刷博物館で「世界のブックデザイン展」開催
 菊地氏映画記念トークショーも

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