日付インデックス
8月6日
〈令和元年度「技能検定」〉
「印刷」、「製本」で増加が顕著 今年度前期検定は中止に

7月23日
全印工連・産業戦略デザイン室
新産業ビジョンの策定へ 新たな価値創出の事業領域を研究

7月16日
DXで勝ち残る印刷産業
―村松礼二氏が恒常的なDX推進を提唱
コロナ禍後の新局面に向け

7月2日
〈中小印刷産業振興議員連盟 総会〉
新型コロナ対策で意見交換
全印工連、地元優先発注など強く要望

6月25日
東京グラフィックス
在宅勤務における労務管理を学ぶ
ルール作りと適性判断が課題

6月11日
紙の物流ガイドライン策定
関係業者間の協力を促す

6月4日
〈全印工連・対外広報プロジェクト〉
「大喜利印刷」第2弾作品を公開 さらに独自性と完成度高め

5月28日
経団連、コロナ対策ガイドラインを公表
印刷業界も指針として活用

5月21日
東印工組、滝澤執行部が発足
連帯、共済、対外窓口機能を前面に

5月14日
〈コロナ関連アンケート情報〉
4月の売上高は2割減か 代替先との連携も課題

4月30日
〈真興社のテレワーク取組み事例〉
人材確保にテレワーク 顧客の業務改革支援にも

4月23日
スーパーのチラシ激減
コロナ自粛で東京・埼玉は「半減」

4月9日
日印産連、〈世界印刷会議〉報告より
中国とインドの印刷業界動向
人件費高騰で人員確保難の中国

4月2日
コロナウイルス禍、印刷業界も直撃
政府支援施策のチェック十分に

3月19日
〈全印工連・事業承継支援センター〉
組合員間のM&A事例を紹介 支援センター活用で実現

3月12日
〈新型コロナの影響による「官公需対策」〉
国が中小企業への配慮を要請 柔軟な納期、予定価格の見直し等

3月5日
〈国交省 トラック附帯作業実態調査〉
「手荷役」が作業時間増に 契約書面への明記も不十分

2月27日
〈page2020 基調講演より〉
ライト出版市場の広がり 展示即売会が開く新領域

2月20日
日本印刷産業連合会 「じゃぱにうむ2020」
6社が地方創生事業の事例発表 地元愛が事業の推進力に

2月13日
【日印産連・第4回女性活躍推進セミナー】
"無意識の偏見"に焦点 組織・個人の克服法を教授

2月6日
全製工連、「製本産業ビジョン2025」発表
"再・創業"を掲げ変革へ

1月30日
紙と印刷の力、健在
藤原印刷と平和紙業が共催
「効果のある/なしの境界線展」が好評

1月23日
日本印刷産業機械工業会
情報管理の業界標準モデル策定へ
アジアプリント連盟でも活動

1月16日
経済産業省 令和元年度補正予算・2年度当初予算
「生産性革命」予算は3倍超に(元年度補正)

1月2日
映画『つつんで、ひらいて』が公開
装幀者・菊地信義のドキュメンタリー
本づくりの現場に密着した話題の異色作

12月19日
編集部が選んだ2019年の十大ニュース
SDGs時代の取組みを志向 災害、用紙、物流の制限も

12月12日
〈東ト協 出版物輸送関係懇談会〉
発売日、配送時間の緩和を検討
雑協「週休2日を大前提に」

12月5日
大日本印刷、渋谷に次世代型実験店舗
分析データを企業に提供

11月28日
映画『つつんで、ひらいて』 広瀬奈々子監督作
装幀者・菊地信義のドキュメンタリー
本が出来るまでの過程も現場撮影

11月21日
ハイデルベルグ「プライムファイア106」国内1号機
共進ペイパー&パッケージで起動式

11月14日
日印産連・VOC排出抑制セミナー
業界の"安全神話"打破を VOC削減の具体例も紹介

11月7日
富士フイルム「Samba JPC」発売
「Jet Press 750S」の基幹部品を提供

10月31日
「帳票マーケット情報研究会」が発足
行政・金融機関の動向いち早く

10月24日
日印産連10団体
2020年度主要行事日程

10月10日
アイリスオーヤマ・大山健太郎会長が語る
"ユーザーイン経営"のすすめ

10月3日
産業構造審議会 成長戦略部会
第4次産業革命に対応した政策課題を検討 法・環境整備を早急に完了

9月26日
中小企業庁 「国等の契約の基本方針」
消費税の適正な転嫁を確保
知的財産権の取扱いも明記

9月19日
東印工組、テレワーク事業が本格始動
木元省美堂が事例を発表

9月12日
経済産業省令和2年度概算要求
事業承継対策に倍額
AIなど最新技術導入も支援

9月5日
第45回技能五輪国際大会
日本の湯地選手は6位(敢闘賞)
「印刷職種」上位は僅差の大激戦

8月29日
Print Next 2020
「0次産業革命」で人間力再考
来年2月15日、秋田で開催

8月22日
紙不足解消の目処立たず
製紙連、J-NOAの要望書に回答

8月8日
クールジャパン、民間主導に転換
政府が戦略見直しへ

8月1日
ジャグラ主催
「2020年 子年・年賀状デザインコンテスト」
入賞作品100点を発表
会員は無償で商用利用可能

7月25日
全印工連「CMYKプロジェクト」
大喜利印刷、第2期キックオフ 全国から12チームが参加

7月18日
「SOPTECとうほく2019」
2日間で1万1300人が来場 来年は7月3日・4日に開催

7月11日
凸版印刷・麿新社長が経営方針を語る
グループ一丸で「社会的価値創造企業」へ

7月4日
フォーム工連/PODi 共催セミナー
DM普及に向け発注者と議論 印刷会社の提案力に課題

6月27日
全印工連 第2回「用紙動向調査」
8割が上昇分を価格転嫁
再生紙の代替品使用進む

6月20日
中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」
生産性向上、需要獲得など評価 人材活用の好事例も

6月13日
紙不足が新聞折込に打撃
J-NOAが製紙連に要望書
広告主減少拡大に危機感

6月6日
水上印刷、新本社屋を来年7月に竣工
機能集約で新たなステージへ

5月30日
〈全日本印刷工業組合連合会通常総会〉
産業の再定義で永続を
商取引自主行動計画の作成も

5月23日
〈日本の世帯数の将来推計〉
単独世帯の割合がさらに増加 65歳以上世帯主は40%超










2020年8月6日付
〈令和元年度「技能検定」〉
「印刷」、「製本」で増加が顕著
今年度前期検定は中止に


 厚生労働省は、令和元年度「技能検定」の実施状況をまとめ、7月31日に公表した。受検申請者数の合計は87万1451人で、前年度比6万4145人(7.9%)増加し、合格者数は36万3733人となった。合格率は41.7%で前年度(40.1%)とほぼ同水準。
 技能検定制度は、働く上で身につけるべき、または必要とされる技能の程度を国が証明するもので、この検定に合格した人だけが「技能士」を名乗ることができる。現在、130職種で実施されており、印刷関連では「プリプレス」、「印刷」、「製本」の3職種が含まれる。
 令和元年度の印刷関連職種の実施状況は次のとおり(受検申請者数、合格者数、合格率の順)。
・プリプレス 147人、54人、36.7%
・印刷 1445人、861人、59.6%
・製本 1337人、895人、66.9%
 「プリプレス」の受検申請者数は2年続けて減少したが、「印刷」、「製本」は毎年増え続けており、令和元年度は「印刷」で前年度比292人増加、「製本」で同256人増加となっている。
 なお、厚生労働省は、令和2年度前期(6月〜11月)の技能検定(57職種・95作業)については中止しており、「印刷(オフセット印刷作業)」も含まれる。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえたもので、「状況を見ながら可能な限り令和2年度内に実施できるよう、関係機関と調整を進めていく」としている。

■安定しない「プリプレス」の受検者数
 プリプレス技能検定は、平成30年(2018年)にそれまでの製版技能検定から改称された。実務経験により1級・2級の資格があり、プリプレス技能士は、DTP作業のスペシャリストとして認定される国家資格。
 同検定は受検者数の減少から厚生労働省の制度見直しの対象となったことがある。平成26年度には58人となり、平成21年度の123人から5年間で半減した。受検者数が一定基準(年平均100名)に満たないことから、平成27年度の検定実施は休止された。
 全日本印刷工業組合連合会の運動などもあり、翌28年度に復活し、200人近い受検者数にまで戻したが、再び減少に転じている。令和元年度の受検者数147人は、検定実施のなかった職種を除く全125職種の中で多い順から数えて108番目だった。
 今後の受検者数の推移によっては、再び存廃が検討される事態も考えられ、検定についての周知や、印刷業界を支える人材の育成に向けた有効活用策などが重要になってくる。
印刷工業組合の中には、県職業能力開発協会からの業務委託により「印刷」「製本」「プリプレス」の3職種の検定業務を一括して実施し、技能検定を通じた人材育成を図った例もある。

















【印刷新報2020年8月6日付掲載】
その他掲載記事
・新会長に森澤彰彦氏 日本印刷産業機械工業会
・佐川印刷(京都)、京都府亀岡市に新工場
・全国グラビア、「技能実習評価試験 認定通知書」授受
 外国人技能労働者受け入れへ前進
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2020年7月23日付
全印工連・産業戦略デザイン室
新産業ビジョンの策定へ
新たな価値創出の事業領域を研究


 全日本印刷工業組合連合会の産業戦略デザイン室(瀬田章弘委員長)は7月15日、第1回委員会を日本印刷会館で開催し、新たな産業ビジョンの策定など今期の事業計画について情報共有した。産業ビジョンでは、コロナ後の社会において印刷会社が創出できる価値と提供できる事業領域に関して戦略提言を行う。また、第1回はビジョン策定の土台となるテーマ(地域イノベーション)について、新規の委員を迎えて活発に議論した。

遠方の委員のZoom参加も交えて開かれた

 委員会では初めに、前期まで委員長を務めた全印工連の滝澤光正会長があいさつし、委員会発足の経緯を改めて説明した後、「過去にさまざまな戦略提言を行ってきた。2013年には『印刷道─ソリューション・プロバイダーへの深化』を発表したが、そろそろ組合員が進むべき道を示すべき時期だと考え、瀬田委員長にはミッションとして新たな産業ビジョンの策定をお願いした。今まで産業戦略デザイン室からの発信が全印工連の中心事業につながっている。全国の組合員の期待は大きいものと思う。新しい委員も加わり心機一転、取り組んでいきたい」と述べた。
 令和版構造改善事業については、「ITを活用した印刷産業全体の生産性向上を目指して三役直轄のプロジェクトチームを立ち上げた。組合員同士の生産協調を行うべく事業がスタートしている。これまでのファックスでの受発注や手書きの伝票でのやり取りなどもオンライン化を進め、余った経営資源を別のことに使っていく」と説明した。
 また、今期から就任した瀬田委員長は、事業計画の発表にあたり次のようにあいさつした。
 「すでにDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入による生産集約と生産性向上に向けて取り組んでいるが、同時に、市場は縮小傾向にあり、新しい価値を創造していくことも重要だ。
 日本の産業の7割はローカルに存在し、特にサービス産業で占められている。ポテンシャルはまだまだ大きく、新しいビジネスを生み出せる。地域で長くやってきた印刷会社が旗振り役となり、重要なプレーヤーになれると考える。
 リーマンショックの後、イノベーションの必要が言われてきたが、コロナに直面して、日本は何も変わっていないことが分かってしまった。インバウンド需要が失われて経済が落ち込むのは、既存のものを新しいお客に売っていたにすぎないということだ。根本的なイノベーションはなかった。
 私は、コロナによって一気に変わらざるをえなくなった今がチャンスだと思う。これを引っ張ることができるのは地域のハブとなる印刷会社だ。コトづくりの視点をしっかりとらえながら、われわれが提供できる新しい価値について委員会で議論し、ポストコロナの未来のシナリオを描いていきたい」
 今期の事業テーマには次の4つを掲げた。
@産業ビジョン(仮称)の策定
 組合員の新たな価値創出の事業領域研究と戦略提言
A対外広報活動
 大喜利印刷の個展開催とPR活動(2020年秋に渋谷で大喜利印刷プロジェクトの作品個展、トークショーなどを予定)
B海外業界トレンド調査
 ポストDXの印刷市場(ヨーロッパ企業の視察を予定)
C仕様書策定と積算フォーマットの普及・啓発
 企画・制作、新事業領域の積算価格について調査と啓発(経済調査会の実勢価格調査を通じた受注価格の適正化)
 このうち、産業ビジョンの策定に関わる事業計画書の中には次の表現がある。
 「これまで地方はインバウンド需要に頼り過ぎてきた。そのためイノベーションは行われず、観光需要を取り込み、既存の製品やサービスを量的に拡大してきた。各地の強みを活かし産業として発展させた例は稀である。今後グローバリゼーションが進む中でローカリゼーションを興し、国内と海外双方で売上を上げていく必要がある。各地の産業や企業・団体では何が求められ、何をわれわれは提供できるのか。委員会で議論し、価値創出の新領域を模索し提言する」
 2013年11月に全印工連が発表した『印刷道』では、目指すべきソリューション・プロバイダーの姿として、地域活性プロモーター、特定機能プロバイダーなど6類型を示したが、今回は、新型コロナウイルス拡大の影響を含むその後の社会環境の変化を加味しながら、印刷会社の進むべき方向を提示する。
 第1回委員会では、産業ビジョンにつながるテーマとして、地域イノベーションのための問題点について議論した。
 はじめに、江森克治副委員長が「売上を構成する〈数量〉×〈単価〉のどちらも下がっている印刷業界には、デジタル技術の導入などでビジネスの新しい方程式を作る必要がある」と切り口の一端を示し、Zoomでの参加者(愛知・広島・愛媛)を含む各委員が意見を述べた。
 その中には、「昔は儲かるので印刷業をやった。数量と単価が元に戻ることはない。時代の潮流がICTとなった今はそこに取り組む」、「印刷業はハード志向。しかし今、トヨタ自動車もサービス業への転換を急いでいるように、製造業全体がサービス業化に向かっている。印刷業も変わるべきだ」、「経営者自身のマインドセットが今こそ大事。情報は腐るほどある。要は、やるか、やらないか。DXの前にまずCX(コーポレートトランスフォーメーション)。会社とビジネスを変えることが先だ」等の発言があった。

















【印刷新報2020年7月23日付掲載】
その他掲載記事
・塚田会長が再任 JAGAT
・組合員専用賠償責任保険 『プリント・リバースα』
 8月3日から提供開始
・今後の製本業界と経営はどう変わるのか
 全製工連 田中真文会長が読む
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2020年7月16日付
DXで勝ち残る印刷産業
―村松礼二氏が恒常的なDX推進を提唱
コロナ禍後の新局面に向け


 本紙姉妹誌の月刊『印刷情報』7月号に、生産技術コンサルタントの村松礼二氏(MSE事務所)が「新型コロナウイルス後の印刷産業─防疫で不景気、勝ち残るにはDXだ」と題して寄稿し、「印刷業務にDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入と運用は避けられない」と提唱している。その趣旨と村松氏の近未来予測を紹介する。
           ◇
 村松氏は、テレワークで露呈した印刷会社の弱点として、ある電子機器メーカーの印刷物発注担当者の次のような声を紹介している。
 「印刷会社やグラフィックデザイン、編集専門の会社は、マッキントッシュやウインドウズ10などの高機能PCやサーバーシステム、クラウドを使いこなして仕事をしているので先進的だと思っていたが、顧客や他社とのコミュニケーションが電子メールだけというケースが多いのに驚いた。仕事上の詳細なやり取りは、関係者が一堂に会して話し合うことがほとんどで、DXについてはとても遅れている」
 村松氏は、DXの具体的な目的は、業務のデジタル化を推進して潜在する幾多のムダを削減し、生産性を向上させ、企業の収益力を高めることだと言う。そして、コロナ禍後の新たな印刷マーケットに向けて進展できる唯一の条件は、「恒常的にDXを推進していく企業」だと断言する。
 DXの推進で期待できる効果には、営業の移動時間や、プリプレス作業者を含めた社内連絡や待ち時間の短縮、伝票処理の重複作業の回避、取引の標準化(企業間EC)による経理・購買・外注処理での事務生産性の向上などがある。
 村松氏は、聞き取り調査で驚いた内容として、「プリプレスや印刷工場のスタッフはWtP(Web to Print)などのオンラインツールの存在を知っていても、営業や経営者が知らないケースが多い」ことを挙げ、「これでは顧客にテレコミュニケーションやテレワークに関する問題解決の提案などできるわけがない」と指摘。「DXを理解できない人、理解しようとしない人、DXの必要性を認識できない人、DXへの投資を拒む人は、まことに失礼ではあるが、経営者、管理者としての実務から降りるべきであろう」と厳しく迫る。
 さらに、村松氏は新型コロナウイルスと共生する近未来として、2020年7月以降の印刷業界について次のような予測を示した。
@情報伝達目的の印刷物の発注は減る
 コロナ禍以前よりも情報のデジタルメディア利用が強まり、印刷物利用が減る(自粛した業務形態に慣れ、印刷物発注のプロセスを煩わしいと感じる人が増加する)
A受注しても平均ロットは昨年を下回る
 オンライン印刷の利用が増えることにより、作り溜めの習慣が薄れ、必要な時に必要な量をリアルタイムに調達するようになり、オーダー単位のロットは減る。
B小ロット物件の増加により印刷会社の印刷通販への外注が増える
 印刷通販会社は一回の発注で印刷から製本仕上げ加工、納品配送までやってくれるので、小ロット物件に限らず、工程ごとに外注する手間と人的接触を避けるために印刷通販を利用する印刷会社が増える。
C小規模印刷会社の生産設備の老朽化が進み、内製をあきらめ、印刷通販や協力工場への外注が増える(小規模会社の廃業がコロナ禍を契機に増加)
D中堅、準大手印刷企業の吸収合併や資本参入など、企業統合、提携などが増える
 ただし、コロナ禍で資金調達が停滞し、短期的にこの動きは鈍るかもしれない。
E顧客サポートの印刷営業マン不足を補うためにWtPを運用する企業が増える
 関係者との打合せなどで「3密」を避けるために、オンライン会議システムやWtPを導入する会社が増える。また、5Gの活用によりDXに取り組む企業が増える。
Fグラフィックデザイナーや書籍編集者、校正校閲者などの(特に大都市部での)専門職不足を補うためのWtPを活用したテレ・ワーキングが増える
G小規模出版社が、少部数の個人出版や専門図書の印刷製本を印刷通販で行うようになる
 他人との接触回避で利用者が増える。
Hスマートフォンユーザー(潜在ユーザーは数千万人)向けの写真保管の代行とフォトプリントやフォトブックサービスが伸びる
 ステイホームの楽しみの一つにフォトブック作りが加わる。他人との接触回避で利用者が増える。
















【印刷新報2020年7月16日付掲載】
その他掲載記事
 2020年暑中特集号
・全印工連DX推進プロジェクト いざ始動
・広がる「抗菌」印刷 新たなスタンダードになるか
・団体トップインタビュー
 全日本光沢化工紙協同組合連合会 堀 知文会長
 東京グラフィックサービス工業会 清水隆司会長
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2020年7月2日付
〈中小印刷産業振興議員連盟 総会〉
新型コロナ対策で意見交換
全印工連、地元優先発注など強く要望


 自由民主党「中小印刷産業振興議員連盟」の総会が6月18日午前9時から東京・永田町の衆議院第二議員会館で開催された。印刷業界側から全日本印刷工業組合連合会の滝澤光正会長、全日本印刷産業政治連盟の橋本唱一会長ほか10名が出席、新型コロナウイルス感染症で苦境に立つ中小印刷業界の現状について説明し、地元優先発注、持続化給付金の適用要件の緩和など、新たに6項目を要望した。これに対し政府の取組みについて各省庁担当者が説明、議員と意見交換を行った。

議員連盟の総会のようす

■新たに6項目を追加要望
 開会にあたり、議連の中曽根弘文会長、伊藤達也幹事長があいさつ。伊藤幹事長は「議連が発足して6年半、会員は126名となり、これまでさまざまな課題を解決してきた。本日はコロナの影響の実情と要望についてお話を聞き、何としてもこの厳しい状況を先生方と力を合わせて乗り越え、印刷産業の応援団として精一杯活動してまいりたい」と述べた。
 全印工連の滝澤会長は、コロナ危機で大きな売上減少に直面する業界の現状に触れ、政府の緊急対策に感謝を述べつつ、「国民への10万円の特別定額給付金に関連した印刷物では、多くの市町村で随意契約が結ばれていた大手印刷会社に発注されたという情報がある。今後は、どうか地元に根差した印刷会社に優先発注をいただきたい。われわれも地域社会への貢献を果たしたいと強く願っている。今後行われる『Go To キャンペーン』などにおいても地域経済の再活性化に役割を果たしてまいりたい」とあいさつ。続いて、全印工連の池尻専務理事が詳しい現状説明を行った。
 全印工連が組合員に行った調査では、4月・5月の対前年比売上高予測は全国平均で20%減。6月以降、売上の減少幅はさらに拡大し、重大な影響が生じる見通しとなっている。
 直近でも各地の組合員から、「官公需印刷物の発注が約70%減少、仕事の奪い合いで過度の値下げ競争が発生している」、「各種支援金は申請受理後に入金日を早急に連絡してほしい。いつまで待てばいいのか分からず、入金までの期間の手立てを講じられない」等の声が届いている。
 アンケート結果を受けて全印工連は4月22日、議連の会員にあてて、新たな補助金・助成金等の創設、審査の迅速化、各種制度の緩和措置など感染症対策に関する要望書を提出した。そして今回、新たな要望として次の6項目を示し、「強くお願いしたい」と訴えた。
 @今こそ、自治体の印刷物は地元の中小企業に優先発注を(さしたる理由もなく随意契約で県外大手業者に発注が行われている)
 A持続化給付金の適用要件の緩和(売上減50%以上から30%以上へ緩和)
 B特定求職者雇用開発助成金の対象の拡大や新たな助成制度の創設(新たに雇用〈解雇した従業員の再雇用を含む〉した場合も含めるよう拡大すること、あるいは雇い入れに係る新たな助成制度の創設)
 C最低賃金の凍結
 D売上増加局面における運転資金等の確保(増加局面において運転資金の確保に支障をきたす恐れがあり、融資を受ける際に「売上減少」要件が妨げになる。コロナ終息までの一定期間、要件の緩和あるいは撤廃を)
 E観光ビジネスに特化した施策の実施
 これら全印工連からの要望を受け、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省、財務省ほか各省庁が政府の取組みについて説明した。厚労省からは、臨時特例法として成立した雇用調整助成金の個人給付制度(休業支援金)などの措置が示され、施行に向けて準備中であることが述べられた。
 続いて議連の議員から、全印工連が4月に提出した要望書の内容を含め、各省庁に対して取組みの進捗確認や質問などが行われた。
 「(雇用調整助成金に関して)社会保険労務士の連帯保証責任はまだ続いているのか」の質問には、「不正対策が目的だったが、故意に違反した場合のみ適用すると通知した。(社労士は)より依頼を引き受けやすくなった」と厚労省から回答があった。
 地元優先発注では、「随意契約は地元業者のためにあるという認識でいたので大きな違和感がある。地元の区議会議員などを通じて各自治体に指示を出すべきだ」といった意見が出され、別の東京の議員も「区民まつりなども相次いで中止となっている。需要を創出することが大事だ。防犯関係の印刷物や広報紙など、地元優先発注をしやすい分野から、区議会を通じて取り組んでいきたい」と述べた。
 また、「オリンピック・パラリンピックの延期でどれだけ需要がなくなったのか。1年延期されたのであれば、中小企業にいかに仕事を回すか、この辺を議論すべきだ」という発言があった。
 閉会あいさつでは中曽根会長が「本日は全印工連から新たな要望をいただき、議員の皆さんからも多くの意見をいただいた。これを宿題とし、よく整理したうえで取り組んでまいりたい。以前からの大きな問題である地元優先発注については、議員の皆さんにもご協力いただき、各自治体に対して働きかけをやっていかなければいけない」と述べた。















【印刷新報2020年7月2日付掲載】
その他掲載記事
・新理事長に佐野栄二氏 全印健保
・ITP 印刷通販「いろぷり」提供開始
・新理事長に聞く 静岡県印刷工業組合 松下 誠二氏
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2020年6月25日付
東京グラフィックス
在宅勤務における労務管理を学ぶ
ルール作りと適性判断が課題


 東京グラフィックサービス工業会(清水隆司会長)は、東京しごと財団から受託した「団体別採用力スパイラルアップ事業」のオンラインセミナー「テレワークの困りごと解決?管理者の役割」を開催し、特定社会保険労務士の假谷美香氏(潟Gジオ代表)が在宅勤務における労務管理などについて解説した。
 テレワークには、労働者が自由に働く場所を選択できる「モバイル勤務」、自宅近くや通勤途中の場所等で働く「サテライトオフィス勤務」、自宅で業務を行う「在宅勤務」の3つがあるが、不要不急の移動自粛が求められる現況下では、在宅勤務を導入する企業が圧倒的に多い。そのためセミナーは、在宅勤務における留意点、特に労務管理での注意すべきポイントを中心に進められた。
 在宅勤務における労務管理の課題として、假谷氏が挙げたのは、「勤怠管理」、「労働のパフォーマンスと評価/ルール作り(規定)」、「心理的なケア」の3点。そのうち、勤怠管理については、自身も導入しているというクラウド管理システムを紹介し、無料のトライアルを試験的に導入することを勧める。
 また、厚生労働省が公開しているテレワーク向けの就業規則モデルを活用するなどして、自社に適した規程整備の必要性を唱えた。
 さらに、「厚生労働省のモデルでは通信費や電気代は在宅者の負担としているが、これはマストではない。夏場にクーラーをつければ当然ながら光熱費は上がる。従業員が負担に感じる働き方が長期間続けばモチベーションにも関わる。最初にきちんと決めずになし崩し的に始めていることが問題だ」とルール作りの重要性を強調した。
 在宅勤務者のメンタルケアの問題については、テレビ会議などでこまめなコミュニケーションを取ることに加え、「新型コロナウイルスの影響で一斉に在宅勤務が強制されたが、本来はワークスタイルとして在宅勤務に合う人を選別する必要がある。自宅で仕事をしているのか不安に感じている上司もいるだろう。しかし、そもそも不安感を抱かせる人を在宅勤務させていることが問題だ。在宅勤務に適している社員を上司が判断しなければならない」と根本的な問題点を指摘。向き不向きを見分ける必要性を説いた。














【印刷新報2020年6月25日付掲載】
その他掲載記事
・特集・パッケージ新市場
・第11代会長に藤森康彰氏が就任 日印産連
・新理事長に聞く 愛知県印刷工業組合 鳥原 久資氏
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2020年6月11日付
紙の物流ガイドライン策定
関係業者間の協力を促す


 経済産業省、国土交通省、厚生労働省は5月29日、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 紙・パルプ(洋紙・板紙分野)物流編」を公表した。リードタイムの確保、発注量の平準化、共同輸送の実施、納品場所・回数等の集約、附帯作業の見直しなどの対応策を具体的に示している。今後、洋紙・板紙分野の物流に関わるサプライチェーン関係者(製紙会社、出版社、印刷会社、物流会社等)が課題解決を前進させるため、各省庁が連携して関係業界団体や個別企業にガイドラインの周知を図り、活用を強く促していく考えだ。
 今回のガイドラインは、2018年に設置した「紙・パルプ(洋紙・板紙分野)の物流における生産性向上及びトラックドライバーの時間労働改善に関する懇談会」(全5回)において検討された結果を踏まえて策定したもの。トラック運送業においては、ドライバー不足が大きな課題になっており、調査の結果、荷待ち時間が特に多かった輸送分野(紙・パルプ、加工食品、建設資材)について、それぞれ懇談会を設置し、検討を重ねてきた。
 洋紙・板紙分野では、印刷媒体の電子化等に伴い物量の減少が予想される中、運送事業者やドライバーの負荷が大きい不十分なリードタイムでの発注や少量多頻度納品など旧来の商習慣を見直すことが急務とされた。
 ガイドラインでは、課題解決策として次の項目を挙げ、それぞれ取組みのポイントと改善事例を示している。
▽車両集中の分散化(荷卸し時間の事前指定、混雑時を避けた配送など)
▽手荷役の解消(荷主とのパレットの共用化の促進、専用パレットの活用)
▽円滑な出荷・荷受け態勢の整備(発荷主からの配送情報の提供、出荷効率を優先した生産体制の構築)
▽輸送効率改善に向けた荷姿の変更(荷主側施設の仕様変更に伴う荷姿の見直し)
▽附帯作業の見直し(軒先荷卸し後の附帯作業を分離)
▽リードタイムの見直し、厳格な運用(受注締切時間の厳格な運用、受発注締切時間の早期化、納品リードタイムの緩和)
▽運行方法の効率化(往復ともに全線高速道路を利用)
▽発注量の平準化(着荷主の生産計画に即した納品数量の平準化、パレット単位受注への移行、週単位・日単位における発注量の平準化)
▽納品場所、納品回数等の集約(納品場所、納品回数、納品日・時間・曜日の集約)
▽事業者連携による保管・輸送の共同化(共同保管・共同輸送)
■共同輸送の実現へ協力関係の構築を
 ガイドラインでは、洋紙・板紙分野の物流における今後の取組みの方向性について解説を加えている。
 共同輸送の実施には十分なリードタイムの確保が必要となることから、発注期限の前倒しを提唱。可能な限り発注から納品までの期限を中1日以上とすることが望ましいとした。また、「印刷工場等の紙の発注元、印刷工場に印刷を依頼する出版社・広告代理店等の関係者と、下版日の早期化を検討することも含め、速やかに協力関係を構築する必要がある」と取組みを促した。
 物量の平準化については、「出版物の発売日や出版社の印刷会社への発注の納期の設定が洋紙・板紙のサプライチェーン全体の物量に大きな影響を与える」との認識に立ち、特に物量の多い雑誌の発売日の速やかな分散化を望んだ。
 コンビニエンスストア等の小売店舗への配送も、書籍・雑誌の少量多頻度輸送となり、運送事業者の収益確保の困難につながっている。これについても、ストアチェーンにまたがった共同輸送や、納品方法の簡素化など、輸送効率化に向けた取組みの必要を強調した。













【印刷新報2020年6月11日付掲載】
その他掲載記事
・2019年インキ需給実績 出荷量・額ともに減少
・東京製本 各支部の現況を報告
・コロナ後はIT化加速 矢野経済研究所調査
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2020年6月4日付
〈全印工連・対外広報プロジェクト〉
「大喜利印刷」第2弾作品を公開
さらに独自性と完成度高め


 全日本印刷工業組合連合会が展開する対外広報プロジェクトの「大喜利印刷」第2弾が5月20日に一般公開された。昨年大きな反響を呼んだ第1弾に続き、参加した組合員企業11社が独創的なアイデアと工夫で生み出した作品が楽しめる。前回同様、主要なマスメディア、Web系メディアへのリリースなどを通じて、印刷産業に対するプラスイメージが拡散することが期待される。作品は「大喜利印刷」Webサイト(https://oogiri-insatsu.com)ユーチューブ動画で見ることができる。

大喜利印刷第2弾に参加した11社の作品

■業界のイメージ戦略が拡大
 全印工連の対外広報プロジェクト(CMYKプロジェクト)として企画された「大喜利印刷」は、ツイッター上でつぶやかれた「こんなものが欲しい」という声を拾い上げ、印刷会社が持つ技術とノウハウを駆使して作品化する実験的な試み。作品の材料には工場などから廃棄される印刷廃材を利用する。これまでにない斬新な手法によって生活者に「印刷会社はここまで考え、形にできる力がある」というインパクトを与え、印刷業界のポジティブな姿と魅力を社会に広めていく広報戦略の一環だ。
 第1弾では、ネット上での反響のほか、個別の参加企業に対して、上場企業からタイアップ企画の相談、共感した人の入社希望(※実際に入社)などの実績を生んだ。参加企業では、社内および社外(デザイナー、素材メーカー等)のネットワーク活性化、製造ノウハウの開発といったメリットも確認されている。
 昨年7月に活動をキックオフした第2弾では前回以上に多彩な作品が揃った。
 エイエイピーの「名画入浴剤」は、入浴剤に有名絵画を印刷することで、風呂でリラックスしながら芸術鑑賞ができる。ありそうでなかったアイデアを印刷技術によって形にした。入浴剤が溶けると無地のイラストが浮かび上がり、塗り絵としても使える、廃材にはパレットと損紙を使用した。審査員からは「ぜひ商品化してほしい」と高く評価された。
 アインズの「FLOWERINK」は、本来はインクを拭き取るために使われる洗浄布の高い保湿性に着目したバラの花の形の加湿器。水分を吸い上げ、花弁の中のインクと混ざり合い、花びらがゆっくりと色づく。「肌荒れする妻になにかしてあげたい」という声をヒントに生まれた。
 栄光プリントの「カレーう道」は、「汁の飛びハネを気にせずにカレーうどんを思いっきりすすりたい」の声に応えた。専用胴着、特注の岡持ち、すすり方の四十八手などを残紙や製版梱包材で作製。遊び心あふれる作品となっている。  全印工連では、実際に作品を見られる展示機会の設定を検討するとともに、全国各地で自主的にプロジェクトを立ち上げる印刷・加工会社の登場を期待している。

【大喜利印刷第2弾参加企業と作品】(五十音順)
・アインズ(滋賀県蒲生郡)  花の加湿器「FLOWERINK」、音をかき消す食べれるメモ帳「紙姫」
・エイエイピー(静岡県田方郡)  名画入浴剤
・栄光プリント(石川県金沢市)  カレーう道
・鹿島印刷(佐賀県鹿島市)  手形を残すあぶらとり紙
・カシヨ(長野県長野市)  感情解放空間
・篠原紙工(東京都江東区)  はがせるテーブル
・三共印刷所(福島県福島市)  ひまつぶしカレンダー
・三和印刷(島根県出雲市)  その場で名刺印刷『凹』
・トータルプルーフ(福岡県福岡市)  印刷を再現した途方もない塗り絵
・ヒラヤマ(沖縄県豊見城市)  顔ハメ名刺
・UMO(山梨県甲斐市)  RE:TTER












【印刷新報2020年6月4日付掲載】
その他掲載記事
・全日本光沢・新会長に堀 知文氏
 東京グラは清水隆司氏
・令和2年度総会シーズン 各工組で真理上長
・全印工連実態調査 新型コロナウイルスの影響拡大
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2020年5月28日付
経団連、コロナ対策ガイドラインを公表
印刷業界も指針として活用


 日本経済団体連合会(中西宏明会長)は5月14日、「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表した。政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」や専門家会議の分析・提言などを踏まえ、個々の業界や事業場の実態に応じた予防対策を行う際の参考として整理したもの。オフィス向け、製造事業場向けの2つのガイドラインを作成した。日本印刷産業連合会では、印刷業界が守るべきガイドラインとしても今回の経団連のガイドラインの内容が適合すると確認しており、これを活用していく方針だ。
■オフィス向け、製造事業場向けにガイドライン
 経団連では、同ガイドラインで示した「感染防止のための基本的な考え方」と「講じるべき具体的な対策」、および各企業が所属する業界団体などで示される指針等を踏まえたうえで、「創意工夫を図りながら、新型コロナウイルスの感染予防に取り組むとともに、社会基盤としての役割を引き続き果たしていただきたい」と企業に呼びかけている。
 政府は5月25日、緊急事態宣言の全面解除を表明したが、経団連ではガイドラインについて、緊急事態宣言が終了した段階においても、「新型コロナウイルス感染症の感染リスクが低減し、早期診断から重症化予防までの治療法の確立、ワクチンの開発などにより企業の関係者の健康と安全・安心を十分に確保できる段階に至るまでの間の事業活動に用いられるべきもの」としている。
 ガイドラインの内容について経団連では、今後の感染症の動向や専門家の知見、対処方針の改定等を踏まえたうえで、適宜、必要な見直しを行っていく。
 また、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室は5月19日、81業種の感染拡大予防ガイドラインをまとめた資料をホームページで公開した。業種・団体名・担当官庁・ガイドライン掲載URLが一覧となっている。このうち、印刷業界は「製造業全般」および「オフィス事務全般」(ともに、団体は一般社団法人日本経済団体連合会、担当官庁は経済産業省)を活用していく。日本印刷産業連合会では、経団連のガイドライン策定段階から経済産業省と刷り合わせをしながら、経団連ガイドラインの「製造業全般」、「オフィス事務全般」の内容について、印刷事業所が活用するうえで問題ないと確認している。このため、印刷業界独自のガイドラインは策定せず、経団連のガイドラインを活用し、啓発に努めていく。
 「製造業全般」および「オフィス事務全般」のガイドラインの詳細はホームページに公開されている。両ガイドラインの内容はかなり重複しているが、「勤務」に関しては、製造事業所とオフィスの特徴に配慮した独自の項目がそれぞれ盛り込まれている。
 たとえば、「窓が開く場合、1時間に2回以上、窓を開け換気する。建物全体や個別の作業スペースの換気に努める。なお、機械換気の場合は窓開放との併用は不要である。」は両方に共通するが、製造事業場には「シフト勤務者のロッカールームをグループごとに別々の時間帯で使用することなどにより、混雑や接触を可能な限り抑制する。」、オフィスには「人と人が頻繁に対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する」「会議やイベントはオンラインで行うことも検討する。」「採用説明会や面接などについては、オンラインでの実施も検討する。」等の指針が入っている。
 両ガイドラインの中から、「感染防止のための基本的な考え方」と「講じるべき具体的な対策 (1)感染予防対策の体制」について掲載しておく。
■感染防止のための基本的な考え方
 事業者は、職場における感染防止対策の取り組みが、社会全体の感染症拡大防止に繋がることを認識した上で、対策に係る体制を整備し、個々の職場の特性に応じた感染リスクの評価を行い、それに応じた対策を講ずる。
 特に、従業員への感染拡大を防止するよう、通勤形態などへの配慮、個々人の感染予防策の徹底、職場環境の対策の充実などに努めるものとする。
■講じるべき具体的な対策
(1)感染予防対策の体制
・経営トップが率先し、新型コロナウイルス感染防止のための対策の策定・変更について検討する体制を整える。
・感染症法、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の関連法令上の義務を遵守するとともに、労働安全衛生関係法令を踏まえ、衛生委員会や産業医等の産業保健スタッフの活用を図る。
・国、地方自治体、業界団体などを通じ、新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を常時収集する。











【印刷新報2020年5月28日付掲載】
その他掲載記事
・特集「リモートワークで変わる印刷業」
・新会長に藤森康彰氏 印刷工業会
・令和版 印刷産業構造改善を提言 全印工連
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2020年5月21日付
東印工組、滝澤執行部が発足
連帯、共済、対外窓口機能を前面に


 東京都印刷工業組合(臼田真人理事長)は5月11日、書面決議を活用した総代会を開催、滝澤光正副理事長の理事長への昇格と、IoT技術を活用した収益の見える化、各組合員企業の生産システムの連携と高効率化を目指したDX(デジタルトランスフォーメーション)の調査研究・推進などを盛り込んだ令和2年度事業計画が承認された。総代会終了後には日本印刷会館で記者発表会が開催され、総代会の報告が行われた。
■収益見える化促進、DX事例研究など取り組み

滝澤新理事長

 発表会には滝澤・臼田新旧理事長のほか、副理事長、専務理事、常務理事ら新執行部のメンバーが出席した。
 冒頭に池尻淳一専務理事が、総代会が本人出席3名、書面による議決権行使125名により成立し、6議案が可決・承認されたことを報告。また、その後の今年度第3回理事会で新執行部が選任されたことが併せて報告された。
 続いて、就任あいさつに立った滝澤理事長は「新型コロナウイルスまん延により、印刷産業も需要減、売上減に見舞われていることは組合で行っているアンケート調査でも明らかだ。こうした状況で組合の使命を考えると、かつて水上理事長が示された、連帯、共済、対外窓口という機能に尽きる。まずは経営に有用な情報の収集といち早い発信に努めるとともに、行政や議会にしっかり要望し、それぞれの経営改善に資する施策の実現に努力していく」と迅速な対応を表明した。
 そして、人口減少に伴う市場縮小と急速なデジタル化への対応について、「印刷会社にはお客様の課題を解決するソリューション・プロバイダーの役割が求められており、新しい印刷産業への模索が現在も続いている。また、コロナ後の社会を考えるとその重要性は加速度的に増していくだろう。今年度も印刷産業本来の魅力を広く社会に発信し、印刷に関わるすべての人々を幸せにする産業の確立を目指し、すべての組合員にメリットを感じていただける事業運営に努めていく」と方針を述べた。
 続いて、退任あいさつを述べた臼田前理事長は「滝澤新理事長の強いリーダーシップのもと東印工組がますます発展し、コロナを乗り越えることを期待している」と新執行部への期待を表明。また、滝澤理事長から臼田前理事長に感謝状が贈呈された。
 令和2年度事業計画では、印刷産業の構造改革、組合員企業の力強い経営と持続的な成長、発展を目指すべく、IoT技術を活用した各社の収益の見える化の促進と、各組合員企業の生産システムの連携と高効率化を目指したDXの調査研究と推進を図っていく。
 同時に、各社がソリューション・プロバイダーとしてさらに特色を磨くことによる収益性の向上と、「幸せな働き方改革」の推進による人材確保と育成などによる印刷産業全体の構造改革に着手する。
 具体的な各委員会の取組みでは、経営革新マーケティング委員会でDX実装の事例研究・情報発信、事業承継センターの活用推進と啓発、デザイン経営の事例研究・情報発信など。環境労務委員会ではGP認定制度の普及推進、「幸せな働き方改革プロジェクト」の推進など。組織共済委員会では組合員増強・加入促進、各種共済事業の運営・加入促進など。教育研修委員会では社員教育プログラムの実施、経営者教育に向けた取組み、遠隔教育システムのコンテンツの普及と協力などに取り組んでいく。
 なお、これら事業に伴う予算規模は1億5983万円となった。

【令和2・3年度常任理事・常任監事】 ※敬称略
 理事長 滝澤光正
 副理事長(所管委員会) 瀬田章弘(東京青年印刷人協議会)、福田浩志(経営革新マーケティング)、土屋勝則(教育研修)、白橋明夫(環境労務、組織共済)
 専務理事 池尻淳一(東印工組)
 常務理事(委員長委員会) 惟村唯博(環境労務)、小島武也(組織共済)、田畠義之(経営革新マーケティング)、富澤隆久(教育研修)
 常任監事 名取顕一、五十嵐直也











【印刷新報2020年5月21日付掲載】
その他掲載記事
・印刷DX推進プロジェクトを始動 全印工連
・他業種の事例から考える―感染症BCP 中小企業白書より
・新会長に橋本唱一氏 全印政連
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2020年5月14日付
〈コロナ関連アンケート情報〉
4月の売上高は2割減か
代替先との連携も課題


 印刷業界の各団体から新型コロナウイルスに関する緊急アンケートの結果が発表されている。
 全日本印刷工業組合連合会は、4月1〜10日の期間で組合員に調査を実施(回答571社)。全国平均で2月の売上が対前年比96.8%、3月が同91.3%、4月予測が同80.2%、5月予測が同81.4%となっており、緊急事態宣言の延長等により実態はさらに悪化しているものと見られる。
 業態別の5月予測では、出版印刷の90.3%を除くと、事務用・商業・包装・特殊印刷とも20%前後の減少。ソフト・サービスは4月予測61.4%、5月予測55.1%と特に厳しい状況にある。
 宮城県印刷工業組合は、4月27日現在で組合員・賛助会員119社を対象に実施したアンケート調査結果(回答55社)を集計・分析し、課題を明らかにした。
 社員への検温や体調ヒアリングを「これから実施」が40%。早急な対応の必要を指摘した。在宅勤務の実施については「考えていない」が36%と高いが、実験的にでも進めた方が良いとしている。パンデミック時の対応方針、行動指針については「作成予定なし」と「どのように作ればいいか分からない」を合わせて36%となった。生産停止・休業時の代替先との連携では、「これから検討」35%、「その時になったら考える」20%。資材の安定的な調達に関する仕入れ先との交渉については、「これから検討」が38%となり、いずれも検討課題とされている。
 日本印刷技術協会の調査(4月6〜15日に全国の会員印刷会社77社を対象に実施)では、3月実績が売上高8%減、4月見通しは19%減。地域別では大都市圏を中心に影響が大きい。イベントの延期・中止のほか、取引先の減産、顧客のテレワークへの移行による営業難などの影響が挙げられている。










【印刷新報2020年5月14日付掲載】
その他掲載記事
・可変印刷の訴求強まる
 日印産連「デジタル印刷アンケート調査」
・廣済堂、佐川印刷と業務提携
・東京都、印刷物制作費などに助成
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2020年4月30日付
〈真興社のテレワーク取組み事例〉
人材確保にテレワーク
顧客の業務改革支援にも


 新型コロナウイルス発生の前と後では、世界が大きく様変わりすることになる。それが最も顕著に現れると考えられるのが、人と人の関係性であり、働き方、職場のあり方だ。感染症対策は、企業に否応なくテレワークや時差出勤、テレビ会議システム、オンライン研修の導入など、働き方改革への取組みを迫る。経済産業省は政府の緊急事態宣言を受け、4月13日に日本商工会議所など所管の中小企業関連948団体に対して、在宅勤務等の推進について要請した。もはや旧来の働き方に戻ることはあり得ない。もちろん課題は多いが、職場に縛られない働き方のメリットを、すでに企業も従業員も感じ始めている。
 ここでは、10年ほど前から業界に先駆けてテレワーク実現に向けて取り組んできた真興社(福田真太郎社長、東京都渋谷区)の事例を紹介する。同社は、テレワークの活用で自社の経営基盤の強化を図るとともに、主要顧客である専門書出版社に対してオンライン業務システムを提案し、働き方改革の支援にまで踏み込んでいる。
◆コロナ禍を機に強まる企業の変革意識
 真興社の売上のほとんどは医学書・工学書など専門書籍によるもので、高度な編集ノウハウと組版・印刷技術、社内一貫生産が強みだ。社員は約70名。2017年にはテレワークシステムをハブサーバー化するなど、21世紀型の新しい印刷業のあり方に挑戦している。
 今、新型コロナウイルス対策により医療現場は混乱を極めている。とても医学関連書籍の原稿執筆を行えるような状況にはなく、同社の仕事にも影響が及んでいる。福田社長は、この機会を利用して変則勤務シフトや制作部門で一層の在宅勤務などを試み、社員にアンケートを実施して今後の新しい働き方の可能性を探るつもりだ。
 同社のリモートワークフローやテレワークへの取組みは約10年前からで、オンライン校正システムの運用がきっかけだった。競争優位性を確立するため顧客の業務支援に乗り出すにあたり、まず出版社の業務分析から始めた。そして、編集者がいかに執筆者や監修者、外部スタッフとの煩雑なやり取りに苦労しているかを理解した。負担を少しでも軽くしたいとの思いからデジタルシステムの構築を目指した。
 現在、出版社と制作・製版現場をつなぐリモートデスクトップシステム「Web Factory」を運用し、オンラインでの打合せ、原稿整理、入稿、編集、文字校正、色校正を行い、CIP4/JDFにより製版、印刷、製本まで自動生産システムで完結するワークフローを実現している。編集者にとって時間とコストの大幅な軽減につながる。
 業界の体質として、現状の仕事のやり方を変えたくないという出版社もまだまだ多い。だが、今回の新型コロナウイルスによる未曾有の危機は、多くの出版社の意識を変えたようだ。2020年に入り、同社の提案に耳を傾ける出版社が明らかに増えたという。
◆在宅勤務は仕組みと環境整備で可能に
 福田社長はテレワークのメリットとして、人材確保、見える化、経費削減などを挙げる。中でもテレワーク導入の必要を感じた一番の理由は、社内の人材確保だった。せっかく教育しても、DTPオペレータとして「さあ、これから」という時に退職する社員は多い。特に制作部門は女性が多く、結婚や出産・育児、夫の転勤、親の介護などが勤続を妨げる。培ったスキルを社内に残し、継続して働いてもらうため、福田社長はテレワークに着目した。
 「印刷会社の業務はデジタルデータですべて流れるのでテレワークに向いている。特にDTP作業は導入しやすい。家庭の事情で出社できなくなった場合でも、自宅に作業環境を整えてあげることで、スキルが維持され、豊富な経験を活かせる。本人にとっても会社にとっても喜ばしい。今後は、通勤時間の長さやワークライフバランスを理由にテレワークを希望する社員も増えるだろう」と福田社長は見る。
 真興社ではすでに、DTPオペレータ30名のうち5名がテレワークで働いている。給与体系は通常勤務の社員と変わらず、制作したDTPパーツ点数に応じた成果給が支給される。これに、時間管理システムによる業務評価が加わる。
 真興社ではVPN接続のコニカミノルタ Neostream Proを使った監視システムを導入することで、本社側で在宅勤務者の作業状況を把握できる。また、「DTPパーツごとの仕上げは成果が目に見えてわかりやすく、彼女たちは意欲的に仕事をしてくれる。在宅の自分にまで仕事を回してほしいという気持ちも根底にあるため、手を抜くことはない」と福田社長は話す。
 同社の制作部門では、4人の職長がそれぞれ6、7人の社員からなるチームを受け持っている。また、印刷原稿に必要な文字/罫表/図版/写真データを「DTPパーツ」として、各データを格納する4つの"キャビネット"を作り、作業を分業化するライン生産方式を作り上げたことも業務をわかりやすくした。
 テレワーカーを含めた社内の円滑なコミュニケーションのため、スケジュールボード、伝言メモ、テレビ会議システム、メッセンジャー、IP電話なども活用している。
 テレワークに必要な会社側の経費として、自宅で使うMacやフォント等の支給(場合によりスキャナやプリンタ)、管理サーバーの導入などがあるが、通勤費やオフィス維持費などは節減される。なにより、優秀な人材をつなぎ留めておけるメリットは大きい。資料の電子化、業務改善、情報共有、コミュニケーションのリアルタイム化などの効果もある。
 福田社長は「これからの印刷会社は、編集制作も営業も人海戦術に頼ることはできない。ネットワークを通じた仕事の遂行でお客様から評価される時代に変わりつつあるのではないか」と話す。
















【印刷新報2020年4月30日付掲載】
その他掲載記事
・特別企画 枚葉印刷最前線
・令和2年春の叙勲・褒章
・新規に11工場を認定 日印産連GP認定
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2020年4月23日付
スーパーのチラシ激減
コロナ自粛で東京・埼玉は「半減」


 国内最大級のデジタルチラシサービス「トクバイ」を展開するロコガイドが実施した調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、首都圏などを中心にスーパーマーケットでチラシの配布や配信を控える店舗が増えていることが分かった。
 「トクバイ」にチラシを投稿しているスーパー小売店のチラシ投稿状況の変化を分析。対象データ数は1万2234店舗。データの分析期間は2018年12月30日〜2020年4月4日。
 スーパー各社は政府の緊急事態宣言発令前から混雑を避けるため自粛対応を実施。チラシ投稿店舗数の減少は3月中旬から本格化した。緊急事態宣言の発令が近いとうわさされた3月29日〜4月4日の週には、感染者が急増していた関東1都3県および大阪・兵庫・福岡で、2月23日時点に比べ約3分の1減少した。東京・埼玉は「半減」、千葉・神奈川は「3割減」、大阪・兵庫・福岡でも「1〜2割減」と著しく減少した。
 一方、全国の「トクバイ」アプリユーザーに行った生活者調査(有効回答1218人、調査日4月8日〜10日)によると、チラシへのニーズが高まっていることが明らかになった。
買い物で困っていることでは、「欲しい商品が欠品している」(75%)の次に、「チラシの休止が増えて特売品情報が分からない」(35%)が多かった。先行きの不安から節約意識の高まりとともに、日常生活に必要な特売情報を求めていることがうかがえる。
 生活者からのチラシに関する意見では、「チラシは買い物の時短に役立つ」「お買い得情報を把握してパッと買い物を済ませたい」「営業時間も掲載してほしい」「レジの混み具合も知りたい」などが寄せられた。















【印刷新報2020年4月23日付掲載】
その他掲載記事
・コロナの影響深刻 6割が売り上げ減少
 本紙緊急アンケート
・五輪延期に伴い、要望書を提出 日本展示会協会
・機械稼働率で価格変動 グッズ通販で 大同至高印刷
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2020年4月9日付
日印産連、〈世界印刷会議〉報告より
中国とインドの印刷業界動向
人件費高騰で人員確保難の中国


 日本印刷産業連合会は、2020年1月8〜10日にインドのムンバイで開催されたWPCF(世界印刷会議)に参加した。同連合会による会議報告から中国とインドの動向を中心に紹介する。
             ◇
 9ヵ国と欧州地域が参加した。各国の代表者による講演では、日印産連が日本の印刷業界の現状、小森コーポレーションがスマートファクトリーの取組みを報告。人口超大国の中国とインドが印刷業界の現状を紹介した。
 日本の報告では、紙メディアの大量生産は減少し、より対象顧客に特化した効率的な少部数生産と今まで以上の付加価値の提供が求められている現状を説明し、スマートファクトリーの考え方の重要性を強調した。
 インドやインドネシアなどの市場では、今すぐにスマートファクトリー化を進めなければいけない状況にはないが、日本や欧米が現在経験している状況が遠くない将来、アジア各国にも訪れることは参加者の共通認識としてあったようだ。
 次に中国とインドの印刷業界の特徴を見る。
■中国の印刷業界
 印刷会社9万8000社、従業員数270万人、総出荷額は12兆7000億元(約17.4兆円)。全体の約4%にあたる大手印刷会社が総出荷額の60%を占め、96%の中小が残りを分け合っている。過当競争による淘汰で、印刷会社の数は最盛期から8%減少した。印刷サービスの供給過多で、業界の再編成を余儀なくされている。
 印刷市場は、中間層の人口の劇的な増加に伴い、軟包装・ラベル類が高い成長率。個人消費がパッケージ市場の成長を牽引していることもあり、印刷産業全体の77%が包装、建装材などの生活産業資材が占める。
 中国の印刷業界における変革のテーマは次のとおり。
◇政府の環境保護政策に沿って積極的に対応。最優先課題はVOCの削減であり、全産業中でも包装・印刷業界の動向は最も注目されている。
◇大手・中堅印刷会社のデジタル化が進み、eコマースによる個人からの受注も急増。ラベル製作のデジタル化で個人向けカスタマイズ、小ロット対応が始まった。製造サービスだけでなく、トータルソリューションによる付加価値提供が求められている。
◇人件費の高騰で、労働者の確保困難に直面しており、物流・倉庫の自動化、無人化が加速。大手・中堅では工場全体のスマートファクトリー化に着手している。
■インドの印刷業界
 インドのGDPは世界第5位。2019年の成長率は7%後半(世界平均3.7%)。ただし、インフレ率は5.54%(世界平均3.41%)と高く、失業率も8.5%(世界平均4.95%)とかなり高水準。
 インドでは、25万社、250万人が印刷産業に従事。識字率は年々上がり74%に達した。13億人の人口の識字率向上は印刷業界にとって好材料となっている。書籍出版市場は世界で6番目の大きさで、年率30%に迫る勢いで成長。印刷と包装産業を合わせると年間4.5兆円になり、その成長率は13%〜15%で推移している。
 2020年以降の国民平均年齢は28歳で労働力も豊富。印刷業界では労働者の技術向上が重要な課題である。














【印刷新報2020年4月9日付掲載】
その他掲載記事
・コロナ対策でテレワーク広がる 国交省調査
・大手3社新入社員へのメッセージ
・京セラドキュメントソリューション、デジタル印刷参入
 京セラドキュメントソリューションズジャパン
 谷口昌 営業本部副本部長に聞く
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2020年4月2日付
コロナウイルス禍、印刷業界も直撃
政府支援施策のチェック十分に


 新型コロナウイルスの感染拡大に印刷関連業界も翻弄されている。イベント等の中止・延期に伴う発注のキャンセル、営業活動の自粛・停滞、それらによる業績へのダメージは深刻だ。設備投資や採用活動にも影響が及ぶ。業界内のイベント・会議も軒並み中止・延期されている。一方、感染防止対策がテレワークの導入など働き方改革を推し進め、学校の一斉休校が出版市場を潤すなどの効果も生まれた。収束の兆しが一向に見えない中、政府支援施策の活用や顧客フォロー、日常業務の見直し、社員研修、認定取得など、今できることに取り組み、環境の好転を待つ以外にない。
■業務見直し等の好機にも
 日本政府観光局が3月19日に発表した2月の訪日外客数推計は、前年同月比58.3%減の108万5100人となった。特に中国は9割近く、韓国は8割近くの減少となった。インバウンド需要の急減は、百貨店やドラッグストア、ホテル等の経営を直撃。加えて、国内での人の移動制限も強まる一方で、観光地や飲食業界から悲鳴が上がっている。
 印刷業界においても、飲食業や小売業、旅行業、運輸業、宿泊関連、商業・娯楽施設などと取引の多い会社は特に打撃を被っている。観光客減で土産物需要も急減し、商品のパッケージや包装紙を製造する印刷会社の苦境が伝わる。
 都市圏にあるテーマパークを得意先とする印刷会社の社長は「本来なら最も忙しい春休みに休園となり、再開のめどが立たない。2月、3月と続けて売上は3割程度落ち込んだ」と話す。
 また、販促プロモーションに強みを持つ10人規模の企画制作・印刷会社の社長は「今の状況がもし年内いっぱい続くようなら、会社を持ちこたえることはとてもできない」と、表情から笑顔がすっかり消えた。
 もともと2019年年初からの印刷用紙の大幅値上げ、原材料価格や物流費の高騰などで経営体力を削がれていたところへ、昨年10月の消費税率の引上げ、異例の暖冬による消費不振が加わり、そこにコロナウイルス禍に巻き込まれた。
 日本製紙連合会の紙の需給統計を見ても、昨年10月からの減少が顕著で、塗工紙を中心に印刷・情報用紙の前年同月比は2ケタ前後の落込みで推移している。用紙の動向だけを見れば、底が抜けてしまった状況と言えるだろう。
 ここでは政府による個々の支援施策を紹介することはできないが、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省、日本政策金融公庫、商工中金など、関連する省庁、金融機関のホームページを細かくチェックし、利用できる助成金、補助金、融資等について調べておきたい。
 不要不急の外出自粛要請は、生活者の自宅での滞在時間を長くする。室内でデジタルメディアへの接触が増えれば、さらに生活のデジタルシフトが進む。3月に発表された電通「2019年 日本の広告費」に見られるインターネット広告費の著しい伸びからも、印刷業界は大転換期に直面していることが分かる。
 一方、日本出版販売の調査では、2020年2月期の店頭売上前年比が105%となり、前月より3.1ポイント上昇、3ヵ月連続での対前年増となった。コミック・学参が特に好調で、コミックは2013年11月の集計開始後、初めて対前年130%を超えた。学参は新型コロナウイルス感染症対策のための小中学校等の一斉休校の影響により、学習ドリルなどの売上が急伸。児童書も好調で、出版市場には明るい面も表れている。
 今後、延期された東京五輪関連の印刷需要や、政府の消費喚起策として商品券配付の可能性などもあり、市場動向が注目される。
 また、感染症対策はテレワーク(在宅勤務)や時差出勤、柔軟な勤務シフト、テレビ会議システム、オンライン研修の導入など、働き方改革への取組みの背中を押す効果も生んだ。4月1日から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されたが、自社の働き方について見直すプラスの機会としたい。
 東京五輪の延期により、2021年の祝日の移動も避けられない。カレンダー、ダイアリー、手帳等に関わる印刷・製本会社にとって、2019年の天皇陛下の退位・即位に伴う変則的な暦から、3年続けてぎりぎりまで製作を後らせる状況となることは必至で、経営への影響が心配される。













【印刷新報2020年4月2日付掲載】
その他掲載記事
・JPA後援会を発足 後継者育成と学校運営の拡充へ
・第59回ジャパンパッケージングコンペティション
 入賞49作品を発表
・「明美ちゃん基金」に寄託 日印産連

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2020年3月19日付
〈全印工連・事業承継支援センター〉
組合員間のM&A事例を紹介
支援センター活用で実現


 全日本印刷工業組合連合会の事業承継支援センターはこのほど、同センターの活用事例の一つをまとめた冊子を制作し、全組合員に配付した。M&Aの成功事例を当事者同士の対談スタイルで紹介し、生の情報を伝えるとともに、早めの事業承継の必要性、事業承継支援センターの有用性について啓発する内容となっている。タイトルは「『これがわが社の生きる道!─組合員2人の決断と出会い』 企業の価値を将来に残し、有望な事業を引き継ぐ『事業承継型M&A』」。

成功事例を全組合員に紹介した

 対談したのは、有望なアナログゲーム市場を対象とした印刷事業でたしかな基盤がありながらも、後継者の問題から廃業も検討していた株式会社萬印堂(現・顧問)の作道昌弘氏と、事業の裾野を広げ、経営の安定を目的にM&Aを模索していた山口証券印刷株式会社代表取締役社長の山口明義氏。両者とも全印工連の組合員であり、事業承継支援センターを通じたマッチングが、円滑なM&Aと事業承継につながった。
 両者は、それぞれが抱える課題の解決に参考になればと、センターが開催した4回シリーズの事業承継支援セミナーに参加したことでM&Aへの認識が深まり、センターの活用を考えた。
 萬印堂を経営していた作道氏は、自社のゲーム関連(カードゲーム、ボードゲーム等)の印刷ビジネスが堅調、かつ将来性も感じていたものの、後継者探しに苦労していた。一方の山口氏は、「未来永劫続く会社をめざす」という経営理念を実現するため、新規分野の開拓を考えていた。
 作道氏に対しては、譲渡先候補として10社(社名は秘匿、関連情報のみ提示)が紹介され、うち3社をピックアップ。2社と実際に面談した結果、山口証券印刷を相手先に選んだ。
 山口氏は「まったく知らない会社、あるいは組合員でないと、どうしても身構えてしまうが、作道さんとは東印工組の同じ委員会で活動していた時期もあり、交渉に入りやすかった」と語る。
 萬印堂は、社名、社員、顧客がそのまま残る形で山口証券印刷に事業承継型M&Aが行われた(2018年9月に契約調印、売却時の社員数は萬印堂が9名、山口証券印刷が約60名)。現在、山口氏が代表取締役、息子の山口真司氏が取締役を務めるほか、山口証券印刷から社員1名が出向。M&A後も事業は順調に進展し、相乗効果も生んでいる。
 全印工連の事業承継支援センターは、事業承継で悩む組合員、他社との提携や買収を考えている組合員などを対象に、課題解決の相談に乗っている。全印工連と業務提携を結んだ山田コンサルティンググループ株式会社が運営を担う。同社と全印工連は機密情報を一切共有しないため、安心して相談できる。また、相談無料、手数料割引有りなど、組合員ならではの特典がある。













【印刷新報2020年3月19日付掲載】
その他掲載記事
・「2019年日本の広告費」デジタルシフト鮮明に
・第34回全日本DM大賞・金賞作品紹介
・みらい企業年金基金 異業種の基金と統合

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2020年3月12日付
〈新型コロナの影響による「官公需対策」〉
国が中小企業への配慮を要請
柔軟な納期、予定価格の見直し等


 国(経済産業省・中小企業庁)は3月3日、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対する官公需における配慮について、各府省や都道府県等に要請を行った。「要請文書」は中小企業庁長官名で一斉に配信された。柔軟な納期設定に加え、予定価格の積算見直しまで踏み込んだ内容となっている。
 全日本印刷工業組合連合会(臼田真人会長)では2月25日付で経済産業大臣に対して緊急要請文を提出していたが、異例の速さで国からの「配慮要請」ならびに「要請文書」の発表・発出が実現した。

◆全印工連の緊急要請に異例のスピード対応
 今回の国の要請は、各府省等、都道府県知事、人口10万人以上の市の長及び特別区の長に対して発出された。
 「各府省等中小企業官公需担当官」に宛てた要請文書では、「足下の状況を踏まえ、影響を受けている中小企業・小規模事業者に対しても、補助制度や金融支援等により、幅広く中小企業支援施策を講じることになりました。つきましては、貴府省等の官公需の発注にあたっては、契約の着実な履行はもとより、下記の事項に関する特段の御配慮についてお願い申し上げます。また、本内容に関しては、所管各部局(地方支分部局を含む)及び独立行政法人等の契約担当窓口に至るまで、周知徹底していただくよう、お願いいたします。」としたうえで、3項目の要請事項を示した。
 また、都道府県知事に宛てた文書では、各府省等への要請に準じた特段の配慮を、各都道府県下の人口10万人以上の市及び特別区、加えて、各市(区)町村に対して周知するよう求めた。
 今回の要請事項は次のとおり。
1、柔軟な納期・工期の設定・変更及び迅速な支払
 中小企業・小規模事業者との物件等の契約において、例えば翌年度にわたる納期の変更など、年度末等の納期・工期について柔軟な対応を行うとともに、支払時期については、発注に係る工事等の完了後(前金払、中間前金においてはその都度)、速やかに支払いを行うよう努めるものとする。
2、適切な予定価格の見直し
 新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けている需給の状況、原材料費及び輸送費等の最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき、適切に予定価格の見直しを行うものとする。
3、官公需相談窓口における相談対応
 官公需相談窓口において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者の相談に適切に対応するものとする。
 特に注目すべき点として、原材料費から輸送費までサプライチェーンの影響を意識した予定価格の見直しまで踏み込んでいることが挙げられる。

◆年度末集中の問題解決の糸口に
 全日本印刷工業組合連合会では、新型コロナウイルス感染拡大による日本経済全体への深刻な影響、特に印刷産業として年度末に集中する全国各地の官公需業務の停滞を懸念し、2月25日付で梶山経済産業大臣に対して「今年度末における官公需対応のお願い」の緊急要請文を提出。官公需(印刷物の発注・納品)について、翌年度への納期延長など柔軟な対応への配慮を求めていた。この要請に対し、わずか1週間という異例の速さで国の対応が実現した。
 全印工連は、これまでも国に対して、@適正価格での受注、A知的財産権の保護、B官公需業務の年度末集中の解決─の3つの課題への対応を求めてきた。
 特に昨年は、臼田会長が「都道府県中小企業者調達推進会議」に出席し、印刷産業の官公需取引の改善、特に年度末集中発注の問題解決を訴えた。また、中小企業庁事業環境部取引課に対しても、発注の平準化や前倒し、年度にとらわれない予算執行、複数年度にまたがる契約制度の実現、過度の校正や修正作業の見直しなどを要望してきた。今回、まさにそれらの成果が実るかたちとなった。
 全印工連では、今回の国の対応を受け、産業界を挙げて官公需への対応に全力を注ぐと同時に、全印工連に加盟する全国の組合員企業の経営を守るため、官公需取引改善活動に一層努めていく方針だ。
 今回の国の配慮要請については、すぐに47都道府県の全理事長に連絡し、年度末の官公需への有効活用を促した。
 また、新型コロナウイルスの経営への影響を含め、今年度末の官公需業務の実態について、後日、組合員にアンケート調査を実施する予定だ。
 現在、池尻専務理事を窓口として新型コロナウイルス関連の相談も受け付けている。
 3月5日に行ったプレス発表の席上、臼田会長は次のように述べた。
 「国の異例のスピード感での対応に驚くと同時に、われわれ中小印刷産業が置かれた状況を深く理解し、迅速に動いていただいた高木課長をはじめとする経済産業省コンテンツ産業課のみなさま、そして、中小企業庁の前田長官に心から感謝申し上げる。新型コロナウイルス対策は始まったばかりだが、今回のような官公需の年度末集中の見直しや従業員の働き方の見直しなど、前向きな方向にも活かしていきたい。官公需の見直しは、いずれ民間取引における商習慣の改善にもつながるものと期待している」












【印刷新報2020年3月12日付掲載】
その他掲載記事
・製本・加工特集
・新型コロナ影響調査 9割超が企業活動に影響
・「印刷・同関連業」5兆円下回る
 平成30年「製造品出荷額等」

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2020年3月5日付
〈国交省 トラック附帯作業実態調査〉
「手荷役」が作業時間増に
契約書面への明記も不十分


 国土交通省は、洋紙・板紙分野におけるトラックドライバーの長時間労働の要因となっている荷降ろしなどの附帯作業の現状を把握するための実態調査を行った。調査結果(中間報告)によると、「手荷役」による附帯作業が作業時間を要して負担になっているほか、契約書面で附帯作業の明確化が十分にされていない実態が明らかになった。
 調査結果は、2月26日に開いた「第5回紙・パルプ(洋紙・板紙分野)の物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)の中で明らかにされた。
 調査は、出荷・荷受等でトラック輸送を利用する荷主事業者を対象に、業界団体を通して調査依頼・郵送で2000事業者に実施(調査期間は2月13日〜28日)。全体の回答者数(1258サンプル)のうち、輸送品目として「書籍・印刷物」10サンプル、「洋紙(ロール紙・市販紙等)」11サンプル、「板紙、段ボール(原紙・シート・製品等)」75サンプルの合計96サンプルを集計した。
 出荷時および納品時(場所=メーカーの工場・倉庫、卸・商社等の倉庫、印刷会社等の工場・倉庫)による附帯作業の発生場所は「積込み作業・荷降ろし作業」が最も多い。その方法は「フォークリフト(パレット)」が最も多かったものの、「手荷役」も次いで多く、すべての場所で約3割を占めた。
 附帯作業の問題点としては、メーカーおよび印刷会社の工場・倉庫において「手荷役があり、作業時間を要する」が最も多く、大きな負担となっていることが分かった。
 契約書面で附帯作業が明確化されていない実態も明らかになった。
 契約書面への附帯作業の記載は、洋紙35%、板紙・段ボール28%、書籍・印刷物25%が「明確にされていない」(そもそも契約書面がない)と回答。
 また、トラック運送事業者(回答1145サンプル)への調査でも、契約書面に附帯作業の内容、料金等を明記している比率は2割前後にとどまり、半数の事業者が附帯作業料金を取れていないと答えている。
 国交省では「附帯作業の内容や料金などの条件はあくまで発荷主側と着荷主側との間の契約で決まる。そのため、トラック事業者側の改善や要望が届きにくい状況にある」と指摘。平成29年に改正された標準運送約款では附帯作業の内容と運賃とを契約上別々に明記することを定めており、取引環境と長時間労働の改善に向けて、荷主事業者との確実な交渉・契約と記載を進めていきたいとしている。

◆洋紙代理店の共同配送で課題が浮き彫りに
 一方、今年に入って実施を予定していた洋紙代理店による印刷工場への共同配送とリードタイム延長の実証実験は中止となった。
 主な理由として、製紙メーカーから集荷した洋紙・板紙を、共同輸送するため代理店の倉庫で集約する際、「横持ち輸送コストが増加し、共同化によるコスト減少分を上回ってしまい、コストメリットが出ないことが明らかになったため」(国交省)。さらに、出版社や広告代理店において、発注期限を前倒しする調整が難しかった。
 国交省では、今後の課題解決策として、洋紙代理店はロットが大きいために横持ちコストが大きいことから、「代理店在庫の共同化などで横持ち輸送を不要にできないか」、リードタイム関連では「着荷主のメリット(工場操業の平準化等)を示すべきではないか」などの方向性を示した。
 第5回の懇談会では、洋紙・板紙分野の物流改善に向けた調査・実証実験の結果を報告するとともに、ガイドライン案を議論。これら結果を踏まえ、3月末までに「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 紙パルプ(洋紙・板紙分野)編」として取りまとめる予定。











【印刷新報2020年3月5日付掲載】
その他掲載記事
・新型コロナ対応で経産省に要望書 全印工連
・「脱炭素カップ」で賞を贈呈 日本WPA
・第31回世界ラベルコンテスト
 日本から4社・4作品が入賞

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2020年2月27日付
〈page2020 基調講演より〉
ライト出版市場の広がり
展示即売会が開く新領域


 page2020では、2月6日に「ライト出版市場の誕生と広がり〜縮小する既存出版の外側で膨らむ市場」をテーマに基調講演が行われた。日本印刷技術協会(JAGAT)の藤井建人研究調査部部長がコーディネーターとなり、活発に創作・印刷・売買される新たな出版市場について、代表的な即売会コミュニティである文芸書の「文学フリマ」、技術書の「技術書典」、ビジネス書の「ビズケット」の各主催者が登壇し、熱気あふれるイベント会場の裏側、運営の内側を明かすとともに、JAGATが名づける「ライト出版」市場が注目される背景について意見を述べた。

◆印刷・造本で適切な提案を
 JAGATでは、「コミックマーケット(コミケ)」に代表されるアニメ・マンガなどの現代的な同人誌出版、そして、出版社による従来からの正規出版の中間に位置する領域として、近年、文芸書や技術書、ビジネス書など文字物を主体とした「ライト出版」とも呼ぶべき新しい市場が勃興してきたことに注目し、今年のpage基調講演で焦点を当てた。
 まず、各イベントの熱気に驚く。「文学フリマ」は2002年に始まった文学作品の展示即売会。プロ・アマを問わず誰でも、「自分が文学≠ナあると信じた作品」なら何でも出品できるところが、いわゆる同人誌とは違う。年々、開催地域の広がり、規模の拡大が進み、2020年度は全国8都市で9回開催される。昨年1月24日の東京開催では、1072者が出展、6044人が来場、1000万円を超える取引が行われた。来場者の年齢層は20代、30代が合わせて約6割。過去に、文学フリマへの出品がプロの編集者の目に留まり、数十万部のベストセラーに発展した例もある。
 事務局代表の望月倫彦氏は「一時的なブームではなく、『ちょっとした本好きが足を運ぶイベント』に変貌した。出展者と来場者が直接やりとりできるのがいい。出版社や印刷会社との連携や企画を増やし、アナログの"本"という文化そのものに貢献したい。将来は東京ビッグサイトで開催できる規模や全国100都市での開催を実現したい」と意気込む。
 「技術書典」はコンピュータ・IT書等の展示即売会で、こちらは紙の本と電子書籍版の販売を併せて行う。2016年6月にスタートし、昨年は東京の池袋サンシャインシティ文化会館で2回開催。1回あたり600店の参加、約1万人の来場者があった。今年は3回開催する。JAGATの藤井部長によると「身の危険を感じるほどの混雑」だという。
 この分野はニッチな上に本の寿命が短く、出版社が積極的になれない。一方で、意欲的な読者のボリュームは厚く、書くことそのものを楽しむ筆者(技術者)も大勢いる。そこに「技術書典」がピタリはまった。
 主催者の一人である達人出版会の高橋征義代表取締役は「紙の本はデバイスとして優秀で、読みやすく、電子本と違いライセンス問題のハードルも低い」、「来場する人は初めから買う気が満々。売る側も商業ものと違い値引き販売しなくていい。アマゾンで買えないコンテンツがあれば来場者は増える」と話す。
 「ビズケット」は昨年9月に第1回を開催し、出展40者、400人が来場。2020年は2回の開催を予定する。主催者の一人、ブックビネガーの坂本海氏は「法人の出展が意外だった。リアルイベントならではの強さを感じた」と話す。
 講演の中での共通項は、デジタル印刷やITの普及が出版のハードルを下げたこと。一方、まだまだ一般の人はデジタル印刷を知らないため、行き場のないコンテンツがあふれているという指摘もあった。
 また、「即売会のプロから『本の装丁をもっと見た目よくした方がいい』とアドバイスされた」(坂本氏)、「作る人は表紙に一番困っている。簡単に作れる雛型が欲しい。本のいろいろな作り方を印刷会社に会場で提案してもらえたらありがたい」(望月氏)といった声も聞かれた。










【印刷新報2020年2月27日付掲載】
その他掲載記事
・特別企画「輪転システム最前線」
・Print Next 2020 全国から510名が秋田に集結
・全国青年印刷人協議会 今井印刷・今井孝治氏が新議長に

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2020年2月20日付
日本印刷産業連合会 「じゃぱにうむ2020」
6社が地方創生事業の事例発表
地元愛が事業の推進力に


 日本印刷産業連合会は、印刷産業の地方創生事業事例発表会「じゃぱにうむ2020」を2月10日午後2時から日本印刷会館で開催し、100名を超える参加者があった。昨年度の開催に続くもので、全国の印刷会社の中から選ばれた先進的な取組みの6社が事例発表とパネルディスカッションを行った。発表したのは、みやもと(栃木県宇都宮市)、進和ラベル印刷(山形県上山市)、第一印刷所(新潟市)、ホウユウ(大阪府堺市)、三洋グラビア(長野県伊那市)、ケイズ(岐阜県郡上市)。

パネルディスカッションのもよう

◆"つながれる"印刷業に強み
 「じゃぱにうむ」は、地方創生・地域活性化に取り組む印刷会社の成功事例を共有することで、印刷会社が地域のコーディネータ役として活躍していくことを目的に開催している。
 当日は、初めに日本政策投資銀行の竹ヶ原啓介執行役員が「地方創生SDGs金融の狙いと地域金融」と題して基調講演を行った。
 日本でも企業への長期投資の視点としてESG投資(E=環境、S=社会、G=ガバナンス)が広がっている。国連のSDGsとも同期し、現在、社会課題の解決と事業との関連、ビジネスモデルの持続可能性を示す必要が高まっている。
 竹ヶ原氏は「地域を支える金融機関も同じロジックに乗っている。印刷産業のみなさんの地域創生への取組みは、間違いなく地域金融機関が評価するものであり、ぜひSDGsを活用して共に地域を元気にしていただきたい」と述べた。
 事例発表では、6社の活き活きとしたプレゼンテーションが光った。
 みやもとは、地域も社員も学べる毎月開催の無料セミナー「印刷工場課外授業」を続けて11年目に入った。また、地元の民話を元にした栃木のブランド向上や観光集客など、幅広い地方創生の取組みを展開している。
 進和ラベル印刷は、コンテストで受賞常連のデザイン力、技術力を活かし、山形県朝日町と地元農協が共同出資運営する企業と連携して女性をターゲットとしたワイン造りに参画。ボトルに貼るラベルが世界コンテストで最優秀賞に輝き、メディアにも大きく取り上げられたことで販売本数が倍増するなど、販売促進に貢献した。
 第一印刷所は、地元女性クリエイターのデザインによる新潟をモチーフにしたカラフルでかわいい模様を「新潟手帳」やさまざまなグッズに展開するなど、新潟の魅力を発信している。
 ホウユウは、従業員13人と小さな所帯ながら、堺市への愛にあふれた活動が大きなネットワークに拡大。紙雑貨「堺カミモノ」、オリジナル図案「堺柄」、古墳関連のグッズ製作、イベント開催にまで携わり、100アイテムもの土産品を開発・販売するまでに業態変革している。
 三洋グラビアは、食品用フィルムパッケージの製造会社だが、地元伊那市に密着した企業として、企業見学バスツアーや就活準備合宿への参画、大学への出前授業など、将来の地域経済の担い手である学生を対象にキャリア教育を推進している。  ケイズは、デザインを学び、世界を放浪した末に、出身地の郡上市の魅力を再発見した2代目が、家業のシルクスクリーン印刷の技術を現代風に蘇らせながら、地域の職人や住民たちと「郡上ものづくりプロジェクト」を通じて地場のものづくりを活性化した。パリやミラノにも出展し、話題を呼んでいる。
 パネルディスカッションでは、日印産連価値創出委員会の滝澤光正委員長がモデレーターとなり、発表した6名から苦労話や成功のポイントなどを引き出した。
 「なかなか儲からないが、だからこそ楽しくやる。地元での知名度は確実にアップした」(みやもと・宮本氏)、「優秀なリーダーとデザイナーがいたので上手くいったが、次も再現性があるかどうかが課題だ」(第一印刷所・柳沢氏)、「イベントを開催すると役所さんに寄って来てもらえる。いろいろ相談できるし、自分たちでできない仕事を頼める。堺市独自の補助金も活用させてもらった」(ホウユウ・田中氏)、「従来型の観光に依存せず、自分たちが豊かになることを考えた。世界最先端のいなか町でありたい」(ケイズ・上村氏)など、さまざまな発言が聞かれた。

















【印刷新報2020年2月20日付掲載】
その他掲載記事
・特集・「省人・省力化機器」
・「大喜利印刷」第2期完成 全印工連
・マーチング委員会 第9回全国大会

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2020年2月13日付
【日印産連・第4回女性活躍推進セミナー】
"無意識の偏見"に焦点
組織・個人の克服法を教授


 日本印刷産業連合会は2月3日、第4回女性活躍推進セミナーを日本印刷会館で開催し、約90人が参加した。
 今回は「皆が働きやすい職場の実現に向けて〜アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)をなくす方法!」をテーマに、アパショナータ.Inc代表のパク・スックチャ氏が講演。その前段として、日印産連の櫻井醜副会長が「ダイバーシティ・マネジメント─"ガラスの天井"を打ち破る」と題し、トッパン・フォームズ社長としてダイバーシティ経営を推進してきた自身の経験を基に、諸外国に比べて大きく遅れている日本の女性活躍推進に対する考え方と改革へのヒントについて語った。

◆男女の違いを認識し、感性社会への対応を
 櫻井氏が指摘する"ガラスの天井"とは「女性の組織内での昇進を妨げる見えない障壁」のこと。初めに、世界と比較して日本がいかに後進国であるかを、女性就業率、男女格差、女性議員の割合、女性中堅企業幹部の数などのデータから説明した。日本の産業の業種別分析でも、印刷産業が属する「その他製造業」は、(社内・社外)女性取締役・監査役のいる企業の比率で最も低い位置にとどまっている。
 櫻井氏は「男性のコミュニケーションは同質性であり、付き合いを増やして互いにわかり合える部分が多いほどうまくいく。対して女性は、『そこまではしたくない』という離れたコミュニケーションが基本になる。そうした感性を企業は理解しなければいけない。これからの社会は、AIで代行できない人間の能力が問われる。感性、品性、直感、独自性、美意識などだ。それらは女性が長けている部分であり、時代認識を誤る企業は感性社会に対応できない。すなわち業績も付いてこない」と持論を述べた。また、「女性たちが声に出して言わなければ男性は変わらない。上司に対してはっきり意見を言うことを心がけ、行動することが大事だ。それに対して男性は、その主張を受け入れ、同質性だけで組織をコントロールすることがないように意識を変革してほしい」と求めた。

◆「偏見」を認め、存在を明らかにする

講師のパク・スックチャ氏

 続いて講演したパク・スックチャ氏は、日本生まれで韓国籍。米国の大学でMBAを取得し、米国と日本で米国系企業に勤務後、コンサルタントとして独立した経歴の持ち主。パク氏は、企業が目指すべき「誰もが受け入れられ、違いが活かされ、気持ちよく能力が発揮できる環境作り」に向かううえで、それを阻害するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が誰にも、どんな組織にも存在することをわかりやすく説明したうえで、「完全になくすことはできないが、影響をできるだけ少なくすることはできる。簡単なことからでいいので、明日からぜひ実践してほしい」と呼びかけた。
 パク氏によると、育った環境、個人的な経験、マスコミ・メディアの描写、周囲からの影響などにより、人は自分自身でも気付かずに偏った見方・考え方を持つようになり、それがダイバーシティ・マネジメントを妨げる。それらは、組織の意思決定、採用、評価、昇進、人材育成、役割分担、会議での発言など、あらゆる場面に影響を及ぼす。
 パク氏が一例として挙げたボストン交響楽団では、1970年代まで男性、しかも白人の採用がほとんどで、女性の割合はわずか5%だった。それが、純粋に演奏だけを審査員が聴く「ブラインド・オーディション」に変えたことにより、女性の楽団員の採用率が50%アップしたという。現在は女性の比率が40%に達しており、今は欧米のほとんどの楽団がこのオーディショ方法を採用するに至っている。アジア、ヒスパニック系の採用も増えた。
 このように、人は偏見から逃れられない宿命を持つが、意識の持ち方や工夫次第で状況は変えることができる。
 偏見の影響を抑えるために組織ができることとしてパク氏が挙げたポイントは次の4つ。
 @偏見についての教育を行い、意識を高める。
 A組織や部署に存在する意識・無意識のバイアスを見極める。
 B主観を排除し、公平性を確保する仕組みを作る。
 C決断や判断に適切な理由を持つことを求める(データの裏づけ)。
 また、個人レベルでもできることは多くあると指摘。「自分の価値観は変えなくていいが、ビジネスに適した行動はとらなくてはいけない。そのために、自分に偏見があることを認め、意識を高めること。人の判断や評価をする時はゆっくり考えること。多様な人たちと接し、相手をまず個人として知ること。これらが大事になる」と述べた。
 さらに、言葉、話し方、表情、しぐさ、視線、声のトーン、対話の量など、ささいな言動や振舞いでも相手に強いメッセージを与えることを注意したいポイントに挙げた。
 セミナーの最後には参加者の一人から、「まず明日から、誰に対しても『おはよう』、『ありがとう』といった言葉をきちんと使えるようになりたい」と感想が述べられた。
















【印刷新報2020年2月13日付掲載】
その他掲載記事
・page2020、6万7000人が来場
・「デジタル×紙×マーケティング」を総括
 page2020初日基調講演
・近畿印刷産業機材協同組合、創立70周年を祝う

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2020年2月6日付
全製工連、「製本産業ビジョン2025」発表
"再・創業"を掲げ変革へ


 全日本製本工業組合連合会(田中真文会長)は、このほど新製本産業ビジョンを完成させ、「製本産業ビジョン2025」として発表した。東京では1月28日に組合員向けの説明会を開催した。「再・創業(リ・スタート)」をコンセプトに、製本ビジネスの業態変革のヒントを提言書にまとめた。印刷市場、出版市場に続く第3の市場創造に挑む。

■第3の市場創造を提案
 「製本産業ビジョン2025」は昨年来、ビジョン策定委員会(木戸敏雄委員長)で作業を進めてきた。前回の「ビジョン2018」に続くもので、2025年を目標に、組合員の業態変革を促す内容となっている。
 「ビジョン2025」が変革のためのキーワードとしたのが「再・創業(リ・スタート)」。製本以外の事業への進出(新・創業)ではなく、あくまでも製本ビジネスを主軸としながら、「あらためて自らの製本価値を問い直し、自らの強い意志のもと未来を創り出す」ことを謳っている。
 また、ビジョンでは、製本業だけが実現できる「製本されたモノそのものの価値」と「それが使われるコトの価値」の2つを正々堂々と伝え、「もっと使う人に寄り添った製本ビジネスを追求することで、人や社会やビジネスの中でかけがえのない存在≠目指します」と宣言している。
 提言書(A4判、144頁)は全7章で構成される。「ビジョン2018」の総括、製本業の現状と課題、2025年の日本と製本ビジネスを取り巻く環境について、豊富な資料と、組合員・顧客・メーカー・周辺関連業へのインタビューや座談会で紹介。4章以降は、「もし製本会社がなくなったら…」、「わが社の2025年は『再・創業』で創りあげる」、「第3の市場創りへの取り組み」、「わが社の『再・創業』を描く」として、再・創業を実現するために必要な自社の分析、市場の分析、有望な市場、戦略的パートナーシップの可能性等について解説し、5年後の自社の姿を描き、変革のゴールを定めるところまで誘導している。
 1月28日に東京で行われた説明会では、ビジョン策定委員会に参画した(株)ビジネスコミュニケーション研究所の田中信一社長が提言書について解説。新たな市場創りのポイントについて次のように語った。
 「これまでは"製本語"を話す業界人(出版社・印刷会社)のみを顧客に、彼らが要求する製本仕様を満たすことで事業を継続してきた。もちろん、業界人はこれからも大切にし、もっと必要とされる努力はしていくが、それだけでは外部環境の激しい変化に対応できない。自ら需要を創り出すためには、今までやってこなかったことをやることだ。それには何かを待つのではなく、自ら動くこと。選んだお客様(見込み客)のところに出かけ、話をし、話を聞くことをしてほしい。1社で行きにくいのであれば、誰かと連携し、得意な人に任せる。連携は戦略的パートナーシップにより進めたい。特に公共性の高い相手には、事業協同組合という組織で対応することが有効になる」
 ビジョン2025の第7章では、自社の現在について「機能」、「顧客」、「技術(強み)」の3点から分析するうえでの評価ポイントを示し、5年後の自社の居場所を「4つの成長の場」から選択する手引きを行っている。
 また、ビジョンでは印刷、出版以外の第3の市場の可能性として、全国3277ヵ所の公共図書館、4万ヵ所近い学校図書館など「図書館市場」のほか、「学校市場」、「市町村役場市場」、「個人市場」等を例に挙げ、周辺サービスを含めた需要開拓について示唆した。















【印刷新報2020年2月6日付掲載】
その他掲載記事
・特集・PRINTNEXT2020 舞台は秋田
・紙は4.3%減、1兆2,360億円 2019年出版市場
・マーチング委員会 来年で設立10周年

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2020年1月30日付
紙と印刷の力、健在
藤原印刷と平和紙業が共催
「効果のある/なしの境界線展」が好評


 藤原印刷(藤原愛子社長、本社・長野県松本市)は平和紙業と共催で「効果のある/なしの境界線展〜知っているようでまだまだ知らない紙とオフセット印刷の4つのこと」を東京・中央区のペーパーボイス東京で開いた。1月14日から18日までの5日間、デザイナーや出版関係者をはじめ、紙好きのユーザーなど約1500人が来場し、終日にぎわった。
 同展は、「紙×印刷で起こり得る、もっと身近な事例を取り上げた展示会をしよう!」との想いから企画がスタートした。「紙や印刷の展示会では、複雑な印刷手法を使った技術力の高い作品が並ぶ。しかし、紙や印刷のことを熟知していないと展示内容がよく分からないという声をよく聞く」と、藤原章次東京支店営業部次長は話す。
 そこで「身近な事例」に着目。「金インキを使って刷ったのに黄土色にしか見えなかった」「黒い紙に白インキを刷ったらグレーになった」など、「デザイナーあるあるネタ」(藤原次長)を取り上げた。
 具体的には、「残念な金」「残念な白」「微妙なニス」「なぞの奥行」の4つをテーマに設定。藤原印刷のオフセット印刷(油性・UV)と平和紙業のファンシーペーパーを多様に組み合わせたものを、来場者それぞれに効果の「ある/なし」を検証してもらうスタイルにした。
  「もちろん、どの印刷、どの紙が正しいという正解はない。人の好みも境界線も曖昧なもの。紙と印刷のさまざまな組み合わせ、可能性を楽しんでもらえたら」と藤原次長は話す。展示品は、サンプルとしてすべて持ち帰れるようにした。
 今回、展示会の告知をSNSに投稿したところ、紙好きの人たちを中心にじわじわと広がり、2600(1月16日現在)近くリツイートされたという。
 「こんなにも関心がある人がたくさんいることに驚き、うれしい思いだ。今後も、紙と印刷の魅力を伝えていきたい」と藤原次長は手応えを感じている。

大盛況だった展示会。5日間で目標の3倍以上となる
約1,500人が来場
















【印刷新報2020年1月30日付掲載】
その他掲載記事
・特集・page2020
 テーマは「デジタル×紙×マーケティング for Business」  過去最多の166社が出展、見どころ紹介
・75%はデジタルマーケティングは「ビジネスに貢献」
 「大企業のデジタルマーケティング取組み実態調査」

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2020年1月23日付
日本印刷産業機械工業会
情報管理の業界標準モデル策定へ
アジアプリント連盟でも活動


 一般社団法人日本印刷産業機械工業会(宮腰巖会長)は、2020年年始会を1月16日に東京プリンスホテルで開催した。
 年頭あいさつを述べた宮腰会長は、昨年の経済情勢について、「米中貿易摩擦による世界経済の減速、また新興国においての景気悪化等の懸念で、非常に厳しい一年であった」とし、「IMFによると、本年には世界景気が持ち直す見込みとのことだが、不透明かつ予断を許さない状況であることには変わりない」と述べた。
印刷産業機械市場については、「段ボール関連装置等、一部の業界向け装置については、生産金額・輸出金額ともに堅調に推移したが、全体では不透明な世界経済情勢の影響を受けて、生産金額・輸出金額ともに対前年マイナス成長となった」と紹介した。
 そして、「昨年は度重なる自然災害に見舞われた一年であったが、自然災害に対しては今後より一層の対策を講じる必要性を感じている」と述べた。
 本年の市場環境については、「しばらくは厳しい環境が続くと予想されるが、東京オリンピック・パラリンピックが国内景気の起爆剤となることを期待している」と述べた。
 また、「本年6月にドイツで世界最大の印刷機材展示会drupa2020が開催される。主催するメッセ・デュッセルドルフによると、昨年11月末現在の出展申込状況で、日本企業の実質展示面積は2万1452uであり、国別出展規模はドイツに次いで世界2位となっている」と紹介、「これは、わが国の印刷産業機械が世界市場において重要な位置づけにあることの表れであり、drupa2020を通じて世界の印刷産業の発展に貢献できるものと確信している」と述べた。
 本年の工業会活動においては、「昨年に引き続きJapan Color認証制度による標準化を推進し、IoT活用による効率化を推進していく。次に、設備投資を促す『中小企業等経営強化法』、『生産性向上特別措置法』に関わる証明書発行業務に力を入れていく」。
 2020年度は「モノづくり・商業・サービス高度連携促進事業」・「事業継承・世代交代集中支援事業」等、さまざまな政府施策が行われる予定だが、「本年も関係省庁とのコミュニケーションを一層密に、いち早い情報収集および提供に努めてまいりたい」。
 展示会事業については、「昨年発足したIGAS2022実行委員会の活動を中心にIGAS2022のテーマ、イベント企画、運営方針等を検討し、ビジネスプランの作成を行っていく」。
 本年から開始する新たな活動については次の2つを紹介した。
 「一つは、経済産業省が推進している『技術等情報管理認証制度』に基づいた情報管理の業界標準モデルの策定を行うことである。三菱総合研究所様のご指導の下、JPMA情報管理標準モデルを策定し、委員会・部会を通じて普及に努めてまいりたい」。
 「二つめは、アジアプリント連盟加盟国としての活動。今後、重要性を増す市場であるアジア市場に目を向け、アジア各国とのネットワークを強化するため、アジア13ヵ国の印刷関連団体が加盟するアジアプリント連盟に昨年末に加盟した。本年より加盟国としての活動を行ってまいりたい」。
 また、祝辞を述べた経済産業省製造産業局産業機械課の安田正一課長補佐は「第4次産業革命時代に日本が勝ち残り、世界をリードしていくためにはさまざまな業種や企業、人、機械が、データを介してつながる『Connected Industries』によって、さまざまな社会課題を解決し、新しい価値を生み出す『Society5.0』を世界に先駆けて実現することが重要な鍵となる」とし、「日本の強みはものづくりの現場にあると言われるが、その生産現場においてもデジタル技術の活用は不可欠。今後は、工場のみならず、開発設計段階と工場、工場と工場、工場と物流も含めた最適化が競争領域になる」と述べた。













【印刷新報2020年1月23日付掲載】
その他掲載記事
・東京都、最低制限価格制度の試行案件を拡大
・印青連サミット2019
 青年会の現状を確認、メリットをアピール
・各地で新年会

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2020年1月16日付
経済産業省 令和元年度補正予算・2年度当初予算
「生産性革命」予算は3倍超に(元年度補正)


 経済産業省は、令和元年度補正予算案で、「ものづくり・商業・サービス補助金(ものづくり補助金)」「持続化補助金」「IT導入補助金」を一体運用する「中小企業生産性革命推進事業」(中小機構運営費交付金)に3600億円を充てた。前年度(平成30年度)補正予算(1100億円)より3倍超と拡充し、生産性向上を継続的に支援する。
 中小企業生産性革命推進事業のうち、「ものづくり補助金」(一般型)では、新製品・新サービス開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資および試作開発を支援する。補助額は100万円〜1000万円。補助率は中小企業が2分の1、小規模事業者が3分の2。3月頃から公募を開始する。公募は通年で行い、複数の締切りを設けて審査・採択する。
 また、一般型のほかに、新たに「グローバル展開型」と「ビジネスモデル構築型」を設ける。
 「グローバル展開型」は、海外事業(海外拠点での活動を含む)の拡大や強化を目的とした設備投資などを支援するもので、補助上限3000万円、補助率は中小企業2分の1、小規模事業者3分の2。「ビジネスモデル構築型」は、中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助するもので、補助上限1億円、補助率は定額。
 さらに、令和2年度当初予算で、「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」を盛り込み、複数の企業が連携して行う「企業間連携型」(連携体は5者まで)と、新規で「サプライチェーン効率化型」(連携体は10者まで)で取組みを支援する。
 「持続化補助金」は、小規模事業者が取り組む販路開拓などを支援するもので、補助額は50万円(共同申請は上限500万円〈50万円×10者〉)まで。補助率は3分の2で、店舗の改装やホームページの作成・改良、チラシ・カタログの作成、広告掲載などが補助対象となる。
 「IT導入補助金」は、バックオフィス業務の効率化など付加価値向上につながるITツール導入を支援する。補助額は30万円〜450万円。補助率は2分の1。製造業も対象となる。
 税制面でも優遇措置で設備投資を後押しする。
 固定資産税の軽減では、先端設備導入計画の認定を受けると市町村の判断により、新たに購入した機械設備などの固定資産税を3年間ゼロにできる。
 中小企業経営強化税制では、経営力向上計画の認定を受け、機械装置・器具備品等を取得する場合に、即時償却または最大10%の税額控除が受けられる。
 また、中小企業防災・減災投資促進税制では、事業継続力強化計画の認定を受け、防災・減災設備を取得する場合に20%の特別償却が適用される。
 中小企業・小規模事業者関係の令和2年度当初予算は総額1111億円(平成31年度当初予算は1117億円)、令和元年度補正予算は総額4067億円(平成30年度補正予算は2634億円)を計上した。












【印刷新報2020年1月16日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連新年交歓会に650名が出席
 時代の変化に適応し進化を
・大手3社、社長年頭あいさつ
・30期の節目に感謝の集い 埼京印刷

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2020年1月2日付
映画『つつんで、ひらいて』が公開
装幀者・菊地信義のドキュメンタリー
本づくりの現場に密着した話題の異色作


 日本のブックデザイン界の第一人者である菊地信義(76)の仕事ぶりに足かけ4年寄り添い完成した広瀬奈々子監督(32)の映画『つつんで、ひらいて』。今までカメラが入ることのなかった装幀の現場、そして、本づくりを支える出版・印刷・製本の現場を丹念に追った異色の作品が、静かにファンを広げつつある。この映画の公開は、印刷業に携わる者にとって嬉しい限りだ。昨年12月14日に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開され、順次、全国でロードショーが予定されている。
          ◇
 映画の中に、「本のデザインは設計ではなく、こさえる(拵える)こと」と菊地氏が蕎麦屋で語る印象的な場面がある。発注があって初めて装幀の仕事は成り立つ。「こさえる」とは、まさに他者のために仕事をすることであり、決して装幀は自己表現ではない。自らを一人の「装幀者」と呼ぶ菊地氏の生き方がそのまま表れている言葉だ。
 与えられた条件の中で、本を手に取る人に作品の世界観が伝わるように細部まで気を配り、ある時は大胆なまでのデザインを施す。弟子は「あらゆることを先にやり尽くされてしまっている。菊地さんの罪のおかげで僕らは悩み、日々戦っている」(水戸部功氏)と苦労を語り、作家は自分の本について「まるで菊地さんのデザインに寄与するために書かれたかのようだ」(平野啓一郎氏)と不思議がる。
 魔術師のような仕事ぶりだが、これまで手がけてきた1万5000冊以上の文芸書、評論書の装幀の仕事は、すべて手作業から生み出されたものだ。職人なのである。
 映画は冒頭、菊地氏が紙をくしゃくしゃに丸めては伸ばすことを繰り返すシーンから始まる。『酒と戦後派』(埴谷雄高)というタイトルから想起される印象を、文字にあえてカスレを出すことで表そうとする作業だ。のっけから意表を突かれる。
          ◇
 作品の監督・編集・撮影を務めた広瀬監督は、昨年11月に日本印刷産業連合会が開いた記者会見の場で、DTPを使った作業が当たり前の今、「版下にピンセットを使って切り貼りをされ、手作業への強いこだわりを持つ、まさに職人。モノとしての本と活字を大切にされ、文字を紙に載せることで初めてデザインになるという信念を持たれている」と、新鮮な驚きを語った。
 映画では、菊地氏の手になる装幀の本が、印刷会社、製本会社で製品として完成していく現場撮影シーンもふんだんにあり、多くの職人たちが登場する。彼らの存在が、編集者、装幀者に並々ならぬ信頼を与えていることが映像から伝わってくる。
 撮影を通じて広瀬監督は「一冊の本ができるまでに、こんなにもたくさんの人が関わっていることを初めて知った。印刷、製本の工場はダイナミズムがあり、わくわく感でいっぱい。撮影はひたすら楽しく、ものづくりを知りたくなった。私たちの世代は携帯やパソコンで読むことが多くなっているが、五感が研ぎ澄まされる『紙』について改めて考える機会になった」と話す。
          ◇
 2019年12月14日、渋谷での公開初日。満員の客席を前に広瀬監督、菊地氏、弟子である水戸部氏が舞台挨拶を行った。ここでも菊地氏の存在感は圧倒的で、広瀬監督からの質問に早口で一気に語り通した。
 「言葉の意味と印象の織物が本であり、紙はその器。本屋で触れた瞬間に、一人ひとりの新しい私が立ち上がる。触感の有り無しで言葉との出会いはまったく変わる。グーテンベルク以来、今日まで、紙の本が人の感性をつくってきた。『私』をつくるのが紙の本だと思っている」
 「装幀ほど直球で投げられる表現はない。『いい本だな』と手に取ったあなた、装幀にひっかけられ読み始めたあなたは、消費者から生産者へと一気に変わる。どう一瞬にして変えられるか。僕にはまだ出来ていない」
 「産業としての出版はなくなりつつある。言葉を大量生産して送り出すあまりにひどい現状がある。編集者はもっと、言葉と人を出会わせることをやらないといけない」
 まくしたてられ苦笑していた広瀬監督は、「この映画を観ると、きっと帰りに本屋さんに寄りたくなります」と舞台挨拶を締めた。
 その言葉どおり、暮色迫る街の書店に立ち寄った。本を装幀から感じて眺めるとまったく別の風景が現れる。多くのプロフェッショナルの力が合わさり、私たちは五感を育てられている。(克)











【印刷新報2020年1月2日付掲載】
その他掲載記事
・2020年新年特集号
 ・インタビュー 滝澤光正全印工連副会長
         東海林正豊PrintNext2020運営委員長
 ・2020年、注目のキーワードを読み解く
  「DX(デジタルトランスフォーメーション)」
  「自動化」「BCP」など
・第55回光文堂新春機材展特集

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2019年12月19日付
編集部が選んだ2019年の十大ニュース
SDGs時代の取組みを志向
災害、用紙、物流の制限も


【編集部が選んだ2019年十大ニュース】

@「SDGs」への流れが加速、具体的な取組みが進む
A印刷用紙の大幅値上げに加え、品薄により供給が大混乱
B働き方改革への対応本格化
C記録的な台風で印刷業界にも深刻な被害
D「スマートファクトリー」を掲げ、TSF2019開催
E物流問題が深刻化、改革急ぐ
Fサブスクリプション契約の製品サービスが拡がる
GB1インクジェット機時代が到来
H全印工連の対外広報プロジェクト「大喜利印刷」に大きな反響
IDM・出版のPODビジネスが進化

 世界全体の流れが「SDGs(持続可能な開発目標)」に向いている。印刷業界も大きな枠組みの中で責任を果たしていくことになる。日印産連は3月、地方創生とSDGsをテーマにシンポジウム「じゃぱにうむ2019」を開催。脱プラスチック化へ、凸版印刷が生分解性プラ製品の販売を開始、ミヤコシが紙ストロー生産機を開発・販売するなど、具体的な取組みが増えている。
 主要製紙各社による年初からの10〜20%の大幅値上げ、供給能力ダウンを理由にした品薄状態の長期化が業界に大混乱をもたらした。用紙の調達ができず失注するなど、値上げと合わせて二重の打撃となった。
 4月に施行された働き方改革関連法は、印刷会社に業務効率向上、多能工化などの対応を迫った。東印工組は、都から「テレワーク促進事業」として2000万円を超える補助金の交付を受けた。
 超大型の台風(9月の15号、10月の19号)が東日本を中心に深刻な被害を与えた。地震に加え、水害への対策の必要を改めて意識させた。
 「THINK SMART FACTORY 2019 IN KYOTO」が11月に開催された。スマートファクトリーの実現に向けメーカーが共同で企画し情報発信する新しいスタイルが注目を集めた。
 ドライバー不足、業務非効率などによる物流問題がさらに深刻化。日販とトーハンが物流で協業、国交省が洋紙代理店による印刷工場への共同配送の実証実験の実施を決めるなど、改革に向けた取組みを模索している。
 サブスクリプション方式による製品サービスが拡がりを見せた。北陸サンライズは10月、ハイデルベルグ・ジャパンと国内初のサブスクリプション契約を締結。導入設備に対し、月額の固定費と印刷用紙枚数の代価を支払う新ビジネスモデルで競争力強化を狙う。
 小森コーポレーションが「インプレミアNS40」、ハイデルベルグが「プライムファイア106」の開発、販売を強化するなど、インクジェット印刷機はB1サイズ市場で拡大を見せた。
 ツイッターでつぶやかれた"お題"にユニークな印刷製品で応える全印工連の対外広報プロジェクト「大喜利印刷」が大きな反響を呼び、SNSや多数のメディアに取り上げられた。
 DM・出版関連でIoTを駆使した24時間対応のPODシステムが複数発表され、プラットフォームを進化させた。全日本DM大賞では、グーフと協業したディノス・セシールのパーソナライズDM印刷・発送システムが大賞を受賞した。
 今年は、水性フレキソ促進協議会が発足、改定グリーン購入法に「水なし印刷」がオフセット印刷における環境配慮基準に採用されるなど、環境対応でも進展が多かった。

















【印刷新報2019年12月19日付掲載】
その他掲載記事
・印刷大手2社がGP工場初認定 業界全体の環境負荷低減へ
・デザイングランプリ TOHOKU 2019 「魂」テーマに
 入賞79点を表彰
・次期副理事長候補が内定 東印工組

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2019年12月12日付
〈東ト協 出版物輸送関係懇談会〉
発売日、配送時間の緩和を検討
雑協「週休2日を大前提に」


 東京都トラック協会(東ト協)は、第41回出版物関係輸送懇談会を11月27日に四谷のトラック総合会館で開き、出版・取次・書店・印刷・製本の各関係業界の代表が出席した。改革待ったなしの状況にある出版物輸送に対して、課題解決のために各業界に何ができるのか、具体策を交えて意見交換した。
 東ト協 出版・印刷・製本・取次専門部会の瀧澤賢司部会長は冒頭のあいさつで、「人手不足を背景に出版物輸送が立ち行かなくなり、部会員は恐怖感を持っている。大変な難問ではあるが、解決に向けてスピード感が重要だ。共通理解の上に、次の一歩を進めるための話し合いを本日は行いたい」と述べた。現況と課題について瀧澤部会長が説明した後、各業界の代表が意見を述べた。
 出版物輸送は現在、輸送量が減少する一方、配達先店舗は増加傾向にあり、特にコンビニエンスストア向け配達の収支の悪化が拡大。さらに、ドライバーの高齢化、人手不足、付帯作業の負担増などの要因が加わり、運送会社の経営は難しくなる一方だ。
 瀧澤部会長は、共通の利益につながる持続的・安定的な出版物流の実現に向けて、従来からの慣習の再検討と見直しは急務であるとして、すべての関係業界が末端まで課題を周知させるとともに、「土曜日など運ぶ物がほとんどないコンビニもある。本当に朝から入荷しなければいけないのかという問いも必要だ。車と人をできるだけ節約したいわれわれにとって切実な問題となっている。『こうすればコストに見合った輸送が可能』というところを、少しでもみなさんに考えていただきたい」と訴えた。
 また、「今年の夏の休配日の設定は、高齢ドライバーが多い中、大変助かった。来年もぜひお願いしたい」と要望した。
 これに対して、日本雑誌協会の隅野叙雄 物流委員会委員長(集英社)は「今年よりも来年、来年よりも再来年が良い環境になるように努力していくことを約束したい。現在、週休2日を大前提に話し合いを進めている。言い方は悪いが、皆で血を流す覚悟で取り組みたい。同時に、売れる本を作っていくことも大事な使命だと考えている」、佐藤雅伸副委員長(講談社)は「特にこの1、2年はわれわれの問題意識も大きく変わった。真剣に取り組み、解決を急ぐ。ダイナミックな改革も必要になるだろう」と述べた。
 日本出版取次協会の田仲幹弘氏(トーハン副社長)は「特に雑誌が毎年10%近く下落する中、従量課金制の取引は成り立たず、代わる方法を考えなければいけない。発売日、配送時間を緩和する話も雑協と話し合っている」と報告した。
 日本書店商業組合連合会の藤原直副会長(金港堂)は「土曜日の休配が増えるのは致しかたない」とコメントした。
 東京都製本工業組合からは金子誉書籍・雑誌部会長(共同製本)が出席し、組合員の数がピーク時から3分の1に減り、直近でも生産ライン数の減少が目立つ現状から、繁忙期への対応がかなり難しくなっており、輸送業界と同様に残業規制や人手不足の問題を抱えていることを説明。「毎月の発行量の平準化を継続課題としてぜひ検討いただきたい」、「発行量の減少で積載効率が非常に悪くなっている。トラックの共有化(混載)や、複数の製本会社が協力しあう共同納品の工夫のほか、1つの生産ラインで複数の版元さんの仕事をこなすことなども必要になる」と述べた。
 瀧澤部会長は「そうした具体案について話し合いの場を持つことが必要だ」と後押しした。

















【印刷新報2019年12月12日付掲載】
その他掲載記事
・静止画ダウンロード違法化へ 文化庁、検討を再開
・日本タウン誌・フリーペーパー大賞
 服部プロセスが特別賞
・静岡MUDデザインコンテスト 7作品12名を表彰

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2019年12月5日付
大日本印刷、渋谷に次世代型実験店舗
分析データを企業に提供


 大日本印刷梶i北島義斉社長、以下DNP)は11月28日、未発売を含む国内外の最新IoT機器を実際に体験できるショールーミング店舗「boxsta(ボクスタ)」を東京の渋谷スクランブルスクエアにオープンした。12月25日までの期間限定で運営する。来店客の反応を映像と音声データで収集・分析し、結果を出品企業にフィードバックする。同社では来年度の事業化を目指している。

12月25日まで開設されている
渋谷スクランブルスクエア内の「boxsta」


■渋谷スクランブルスクエアで最新IoT機器を体験
 boxstaは、11月1日にオープンしたばかりの話題のスポット、渋谷スクランブルスクエアの2階POPUPスペース入口付近に位置し、12月25日まで毎日10時〜21時の営業時間。
 ここには、未来をイメージさせる全25点の最新IoT機器が展示されている。一例を挙げると、生活習慣の改善をサポートするスマートウェアラブルベルト、スマホに取り付けてアプリで簡単操作できる世界初のスマホ美顔器、コードレスタイプの高性能ポータブル空気清浄機、学習機能を備えた愛を育む家族型ロボット、等。未来のプロダクトに出会える体験型スペースとなっており、オープン初日から大勢の来店客が商品に触れて楽しみ、大きな関心を寄せていた。
 全25商品のうち14点は、新しいものや体験を応援する日本最大級のクラウドファンディングサービス「Makuake」を展開する潟}クアケと協業し、選定した。
 boxstaは、主にスタートアップ企業への新しいマーケティング手法を提供するためにDNPが期間限定で開設する実験店舗。店内に設置されたカメラ(映像)とマイク(音声)によって来店客の商品に対するデータ(属性・行動導線・態度・感情など)を収集し、統計化することができる。
 取得したデータは、個人が特定できる情報のみを取得と同時に破棄し、AIによる画像・音声解析などを経て統計化を行い、出品企業にレポートとしてフィードバックする。現時点で、映像に加えて音声データ(テキスト化して取得)の解析まで可能な店舗はboxstaのみだという。
 また、トレーニングされた専門スタッフが常駐し、来店客に体験を提供することで新商品をわかりやすく理解してもらえることも店舗の大きな特徴となっている。
 商品を展示販売する企業は、店舗でのコミュニケーションを通じた顧客の生の声を得ることができ、効率的なテストマーケティングや、発売前・発売後の商品の改良などが可能になる。
 DNP情報イノベーション事業部C&Iセンターでプロジェクトを担当する浅野陽介グループリーダーは「近い試みはあるが、先端技術を使ってここまで客観的な分析と判断ができる店舗はない。一方で、AIソフトを活用しながらも、頻度は少ないが特徴的な反応が見られる部分を人が判断してレポートに載せることも行っている」と話す。
 DNPでは、今回のboxstaでの運営結果を活かし、2020年度にセンシング技術とAI技術を組み合わせた次世代型ショールーミング店舗の事業化を目指す。
















【印刷新報2019年12月5日付掲載】
その他掲載記事
・テーマは「デジタル×紙×マーケティング for Business」
 page2020
・生産性向上、働き方改革など、議論深める
 ジャグラ全国協議会
・印刷博物館で「世界のブックデザイン展」開催
 菊地氏映画記念トークショーも

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2019年11月28日付
映画『つつんで、ひらいて』 広瀬奈々子監督作
装幀者・菊地信義のドキュメンタリー
本が出来るまでの過程も現場撮影


 装幀家ではなく、自らを「装幀者」と呼び、本を愛する一人の人間として実直に向き合ってきた菊地信義。俵万智『サラダ記念日』をはじめ、大江健三郎、古井由吉、吉本隆明、浅田次郎、平野啓一郎、金原ひとみなど、1万5000冊以上もの本の装幀を手がけてきた。76歳となる今も、圧倒的な存在感で日本のブックデザイン界をリードしている。
 その菊地氏を中心に、本づくりに携わる人々の姿を、製作現場への密着と関係者の証言により綴ったドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』が、12月14日に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開される。


 監督は、これが2作目となる期待の新鋭、広瀬奈々子氏。1987年、神奈川県出身。武蔵野美術大学を卒業後、是枝裕和監督のもとで監督助手を務め、今年1月に長編映画『夜明け』で監督デビューを果たした。『つつんで、ひらいて』では監督・編集・撮影をこなし、製作には約3年をかけた。
 実は、広瀬監督の亡くなった父親が装幀家で、実家の本棚にあった菊地氏の『装幀談義』という本を読んで初めて装幀という仕事を理解し、「この人に逢ってみたい」と思ったことがきっかけだった。最初に「僕は映像は好きじゃない」と菊地氏の厳しい言葉があったが、やがて演出のアイデアまで出してくれるようになった。撮影を進めながら、監督と"主役"は理解と信頼を深めていった。
 日本印刷産業連合会が11月19日午後4時から日本印刷会館で開いた記者会見で広瀬監督は、間近で見てきた菊地氏の仕事ぶりについて、「(だれもがDTPでデザインする今、)いまだに版下に切り貼りをされ、手作業への強いこだわりを持っている、まさに職人。本も活字もモノであると考え、字を紙に載せることで初めてデザインになるという信念を持たれている」と、驚きとともに語った。
 作中では、本のデザインが決定した後、作者と菊地氏の思いを再現すべく、そこでもまた職人技を発揮する印刷・製本会社の現場が登場し、本が出来上がるまでの過程を緻密に追っている。撮影は東京都板橋区の旭印刷、牧製本印刷などで行われた。この映画は、貴重な映像記録としての価値も持っている。
 撮影を通して広瀬監督は「一冊の本ができるまでに、こんなにもたくさんの人が関わっていると初めて知った。作業する人たちがみんな恰好よく、道を究めているという感じだった。印刷、製本の工場はダイナミズムがあり、わくわく感でいっぱい。撮影はひたすら楽しく、ものづくりを知りたくなった」と新鮮な感動を口にし、「これから撮る映画の中で、登場人物の設定や撮影場所に印刷工場を使うことがあるかもしれません」と話してくれた。
 また、プロデューサーの北原栄治氏も「本のすばらしさを感じた。できるだけ紙の本を買うようにしたいと思うようになった。この映画では、印刷への細かいこだわりが伝わるのも見どころの一つだ」と話す。
 また、若い広瀬監督自身、「私たちの世代は携帯やパソコンで読むことが多くなっているが、五感が研ぎ澄まされる『紙』について、改めて考える機会にしてもらえたら」と映画の意義を語った。紙や印刷技術の居場所が次第に狭まっていることに対する菊地氏の強い危機感からも影響を受けた。
 今回の映画のプロモーションでは、日本印刷産業連合会が支援・協力しているほか、報道用のパンフレットや宣伝ポスターの作り方にも工夫が凝らされており、紙の手触り、装幀の面白さを感じさせる表現が、篠原紙工(東京都江東区)の特殊な綴じ・折りの技術を使って生まれた。
 『つつんで、ひらいて』は、東京に続いて、大阪(第七藝術劇場)・神戸(神戸アートビレッジセンター)で1月11日に公開。名古屋(シネマテーク)、京都(出町座)でも上映が決まっている。
 配給会社によると「おそらく世界初のブックデザイン・ドキュメンタリー」。出版・印刷業界関係者はもとより、本に思いを寄せる多くの人々に観てほしい映画である。















【印刷新報2019年11月28日付掲載】
その他掲載記事
・THINK SMART FACTORY 2019 in KYOTO レポート
・環境優良工場が語る 中小の環境対応の実際
・UCDAアワード選考結果報告会
 育成と文化醸成へ継続支援

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2019年11月21日付
ハイデルベルグ「プライムファイア106」国内1号機
共進ペイパー&パッケージで起動式


 オリジナルパッケージの小ロット・短納期の印刷通販サービス「ハコプレ」で成長する共進ペイパー&パッケージ(鍛治川清司社長、本社・神戸市)とハイデルベルグ・ジャパンは11月7日、国内1号機となるB1インクジェットデジタル印刷機「プライムファイア106」の起動式および記者会見を、同社関東工場(千葉市花見川区)で行った。同機の導入により共進ペイパー&パッケージは、パッケージ、POP、紙袋等の印刷通販市場で圧倒的な競争力の獲得を目指す。

稼働開始したプライムファイア106

■色域とサイズの拡大でさらに成長
 記者会見では、初めに鍛治川和広常務取締役ハコプレ事業部長があいさつし、「本日をもって国内初のB1デジタル印刷機『プライムファイア106』を稼働する。起動式を迎えられた喜びと、これから私どものビジネス、そして印刷業界、パッケージ業界に与える大きな影響を想像して非常に興奮している。ゲームチェンジャーとして、いかにプライムファイア106を活用していくか紹介したい」と述べた。
 次にハイデルベルグ・ジャパンのヨルグ・バウアー社長が「今回は記念すべき日本での1号機であり、世界ではすでに6台のプライムファイア106が稼働している。Web to Packageビジネスを成功させたイノベーティブな会社である共進ペイパー&パッケージ様に選択していただいたことは、ハイデルベルグにとって大きな誇りであり、同時に、日本の先進的なお客様からハイレベルな品質と生産性に対するニーズを学ぶことができることは、私どもにとって大変ありがたいことでもある。性能が最大限に発揮されるよう全面的にサポートし、さらにWIN-WINのパートナーシップを築いていきたい」と述べた。
 バウアー社長から鍛治川常務に日本1号機導入記念の楯が贈られた後、ハイデルベルグ・ジャパンの西野元庸デジタルテクノロジー本部デジタルビジネス部長から製品説明が行われた。
 プライムファイア106は、7色(CMYK+オレンジ、グリーン、バイオレット)のマルチカラー技術によりパントーンの色領域の95%をカバーし、特色の多いパッケージでも高い生産性とコストダウンをもたらす。対応用紙サイズは75×106p。
 枚葉印刷機スピードマスターXLと共通のコンポーネントを使用しながら、用紙1枚あたり最大120億のインクドロップを制御する高精度システムであり、最新のデジタル技術とハイデルベルグが培ってきた信頼性を融合している。
 実機のある新工場に移動し、テープカットでは鍛治川社長、鍛治川常務、バウアー社長がテープに大きなハサミを入れた。続いて行われた起動式で、鍛治川常務がスイッチを押すと、鮮やかな色彩の印刷物が次々と出力され、オフセット印刷機を凌駕する高品質が報道関係者に披露された。
 その後、鍛治川常務が会社概要とハコプレ事業、プライムファイア106の導入目的、新サービスについて説明した。
 共進ペイパー&パッケージは、国内6工場、海外(タイ)2工場を持ち、海外グループ含め社員数300人、売上高65億円。印刷・紙器・段ボールを中心に、あらゆる周辺事業領域にトータルサービスを提供している。2013年に立ち上げたハコプレ(Hacoplay)では、「ほしいハコを、ほしい時に、ほしい量だけ、ほしい価格で」提供する専用サービスを展開し、成長を加速した。
 プライムファイア106は、同社にとって7台目のデジタル印刷機となる。2015年に初めてのB2デジタル印刷機として富士フイルムJet Press 720Sを導入し、対応可能なサイズ・厚み・品質を拡大。受注するパッケージの90%をデジタル印刷で可能にし、事業が大きく飛躍するきっかけとなった。
 しかし、「オフセット印刷とのシームレスな切替えのためには、サイズや作業負荷の大きい特色対応などの面でまだ不足していた」(鍛治川常務)ことから、パッケージのデジタル領域の拡大、紙袋サービスへの注力などを目的にB1デジタル印刷機の導入に踏み切った。鍛治川常務は、優れた印刷の安定性、色再現領域の高カバー率などからプライムファイア106を選択。「理論上、ハコプレ事業の100%がデジタル印刷で対応可能になった」と話す。
 さらに、脱プラスチックの流れが今後強まると予想されることから、紙袋の需要の大きな伸びを見込み、紙袋市場で最も一般的なA3サイズに対応できるB1デジタル印刷機を活用して、小ロット紙袋受注の活性化を図っていく。

記念の楯がバウアー社長(左)から鍛治川常務に贈られた

■3つの新ビジネスプランを発表
 記者会見では、プライムファイア106を使って計画している3つの新サービスについても発表した。
 1つめは「PPP(Pop play professional)サービス」。ポスターやPOPなど商業印刷に近い領域を対象に、定額使用料金制でサービスを提供する。月額8000円で、ロットに関わらず使った分だけ一定単価で利用することができる。
 2つめは「紙袋の革新的サービス」。A3サイズ、A4横サイズの2種類に特化し、基本料金5000円+1枚150円の低価格で提供する。フルカラー対応、口折りあり、Web上でデザイン指定を簡単に行える。
 3つめが「BeONE Clubサービス」。印刷会社向けの会員制B1印刷提供サービスで、月額5万円でWeb入稿に限り印刷通販のようにプライムファイア106を使える。仕様の限定はあるが、各種特典が付く。大判ポスター、フロア什器、POP、色校正などの用途を想定している。
 鍛治川常務は「2020年にハコプレ事業で20億円の売上を視野に入れ、Web to Package分野で最強ブランドを構築したい」と目標を語り、drupa2020での2台目のB1インクジェット印刷機の導入計画や、ハコプレ事業の海外フランチャイズ展開の計画も明らかにした。















【印刷新報2019年11月21日付掲載】
その他掲載記事
・東印工組 創立70周年、未来につなぐ
・日印機協 創立60周年を祝う
・近畿小森会講演録 IT活用とM&Aでマーケット拡大
 アサプリホールディングス 松岡祐司社長

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2019年11月14日付
日印産連・VOC排出抑制セミナー
業界の"安全神話"打破を
VOC削減の具体例も紹介


 経済産業省関東経済産業局が主催する「中小企業のためのVOC排出抑制セミナー」が11月1日に日本印刷会館で開催された。日本印刷産業連合会の共催により印刷業界に重点を置いた内容とされ、中央労働災害防止協会(略称・中災防) 大阪労働衛生総合センターの圓藤吟史所長による基調講演のほか、オフセット印刷工場の職場環境改善事例として、第18回印刷産業環境優良工場表彰で経済産業省商務情報政策局長賞を受賞した褐、文社 尼崎工場の河田和弘生産管理課課長、グラビア印刷工場の事例として、大日本パックェージ轄驪ハ工場の濱野陽成印刷課ライン長が発表した。
 中災防の圓藤所長の基調講演は「印刷産業における化学物質管理の取組み」をテーマに行われた。
 圓藤氏は初めに、一般的な企業の認識に「安全神話」が根強いところに大きな落とし穴があると指摘した。たとえば、「有機則や特化則に載っている物は使っていない」、「仕入先が大丈夫と言っている」、「労働基準監督署から指摘を受けたことはない」、「SDS(安全データシート)に発がん性があると書いていない」、だから大丈夫といった思い込みであり、これが印刷業界全体に見られるという。
 圓藤氏は「私どもは安全神話を疑っている。SDSや作業環境測定でさえも疑ってかかる。SDSに成分が書かれていないこともあれば、作業環境測定の結果にも限界はある」と迫り、化学物質のリスクアセスメントの手順をしっかり守ることによる有害な化学物質の使用の中止や代替化、リスク低減措置の実施などを強く求めた。
 その上で、2012年に業界を揺るがした胆管がん問題の発信源となった大阪市のオフセット印刷会社の事例を取り上げた。同社が、ジクロロメタンの取扱いで義務づけられている局所排気装置(またはプッシュプル型換気装置)の設置について、局所排気装置と単なる空調を施工業者への発注段階で取り違えていたことが現場検証の結果、判明したと説明した。その後、同社はプッシュプル型換気装置の設置等の措置を施すことで、抜本的な作業環境の改善を果たした。
 圓藤氏は、化学物質の個人曝露状態をリアルタイムで正確に測定でき、検出された作業位置のグラフ化(分布図)など目に見える形で把握できる「個人曝露濃度計」の有効活用も薦めた。
 研文社の河田課長は、同社が実施してきたノンVOCインキの採用、湿し水からのアルコール(IPA・代替液)の完全撤廃などの取組みを紹介。また、自動洗浄装置の導入による洗浄液の削減、ドクター刃の角度を60度から40度に改良することによる洗浄性の改善、ローラー洗浄パターンの変更による乾燥性の改善(洗浄時間の短縮)、VOC警報器の設置による従業員の意識変革など、具体的な改善活動の成果について示した。
 そのほか日本政策金融公庫からは、中小企業向けの特別貸付として「環境・エネルギー対策資金」の長期固定金利型融資制度が紹介された。














【印刷新報2019年11月14日付掲載】
その他掲載記事
・東印工組 次期理事長候補に滝澤光正氏を推薦
・JAPAN PACK 2019 4日間で3万人超の来場者
・FFGS 本社ショールームにホーナー「HSB 9.000」導入

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2019年11月07日付
富士フイルム「Samba JPC」発売
「Jet Press 750S」の基幹部品を提供


 富士フイルム(助野健児社長)は、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェアなどのインクジェットコンポーネントを「Samba JPC(Jet Press Component)」として、11月1日から発売した。日米欧の印刷機メーカーやインクジェット印刷装置のインテグレーター向けに提供し、ユーザーのインクジェット印刷装置の開発課題の解決に貢献する。
 Samba JPCは、高画質インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」の基幹部品を提供するもので、産業用インクジェットヘッドのリーディングカンパニーである米国FUJIFILM Dimatix社製の高精細プリントヘッド「SAMBA」を組み込んだプリントバー、画像処理ソフトウェア、ヘッドクリーナーなど9つのユニットをラインアップしている。 Samba JPCを活用することで、ユーザーはSAMBAヘッドの性能を最大限に活かした、高画質で信頼性の高い装置を開発することができる。
 プリントバーは、印刷幅10インチ(約25センチ)と30インチ(約76センチ)の2種類を用意し、用途に合わせた印刷幅にカスタマイズすることもできる。また、富士フイルム製インクと組み合わせた各ユニットの単品提供も可能。
 Samba JPCは、高精細なシングルパスインクジェット印刷装置を短期間で開発したい印刷機メーカーや、SAMBAヘッドを使ったインクジェット印刷装置を開発中の印刷機メーカー、ブランドオーナーの生産工程内に組み込むインクジェット印刷装置の信頼性を高めたいインテグレーターに最適となる。
 インクジェット技術は年々進化しており、近年では書籍、ポスター等の商業印刷、紙器、段ボール、ラベル印刷などの分野において採用が進んでいる。今後、さらに食品パッケージなどの軟包装をはじめとした分野にも採用が広がると、インクジェット印刷装置には印刷物の画質向上や生産性向上など、一層の機能向上が求められる。













【印刷新報2019年11月07日付掲載】
その他掲載記事
・特集・東京都印刷工業組合創立70周年
・富士ゼロックスを100%子会社化 富士フイルムHD
・ハイデルベルグ・ジャパン、新社長にヨルグ・バウアー氏

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2019年10月31日付
「帳票マーケット情報研究会」が発足
行政・金融機関の動向いち早く


 帳票関連マーケットの最新動向とともに、印刷業界周辺の取組み事例などの情報を提供する「帳票マーケット情報研究会」(戸矢雅道代表)が発足した。10月17日には、研究会の概要説明と直近の情報提供を目的としたセミナーを東京・麹町の海事センタービルで開催し、ユニバーサルデザインの広がりや健康保険証、マイナンバーカードの発行等に関する動向が紹介された。当日は53名が参加して満員の盛況となり、関心の高さを窺わせた。同研究会では現在、年会費制の会員企業を募集している。

戸矢代表

 帳票マーケット情報研究会は、代表の戸矢氏が社長を務めている樺票デザイン研究所が運営し、株式会社ミック、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(略称UCDA)が協力する。
 17日のセミナーでは、冒頭に戸矢代表が次のようにあいさつした。
 「私自身は小さなフォーム印刷屋だが、みなさんに助けられながら今日まで、キャリアだけは積み上げてきた。旧フォーム印刷研究会のように毎月のセミナー開催とはいかないが、情報交換の場を作りたいと相談を受け、今回、新しい研究会を立ち上げた。フォーム印刷は、世の中の変化に連れて商品がめまぐるしく変わる非常におもしろい仕事。よその真似をしていたのでは業界全体が廃れてしまう。自分たちでどのような付加価値を付けられるのか、それがすべての考え方の基になる。3社で協力して高度な情報を提供していきたい」
 研究会では、行政機関、金融機関など帳票関連印刷業界の主要なマーケットにおいて、制度や仕組みが大きく変化し、印刷物に求められる機能もますます多様化している中、最新情報を毎月1回のレポート・ニュース配信、年間3〜4回の会員企業向けセミナー開催により提供する。参加費用は年会費3万円(1社)。
 問合せ先は、戸矢氏 mtoy@ny.air.jp、またはエニカ株式会社 電話03-3221-0137まで。
■企業・自治体で広がるUD化の採用
 この日のセミナーでは、UCDAの武田一孝専務理事が「ユーザーと印刷業界の最新情報」、ミックの細川謙三社長ほかが「ペーパーレス化とそのトレンド」、そして、戸矢氏が「健康保険証とマイナンバーカードの動き」等について講演した。
 武田氏は初めに、情報の送り手(企業・行政)が説明責任を果たそうと印刷物に情報を盛り込むほど、内容は複雑になり、受け手(生活者)にとってわかりにくく、結果として見られていない現状を指摘し、「情報の"壁"による伝達効率の低さは大きな社会問題。この壁を低くする目的でUCDAが設立された」と説明した。
 UCDAでは、「わかりにくさ」の基準づくり、客観的な評価・分析手法の確立、認証制度・資格認定制度の運用、広報活動、UDフォント等の研究開発など、さまざまな事業を展開している。
 武田氏は、各業界で現在求められている「情報品質」の例として、保険・金融業界における「顧客本位の業務運営に関する原則」(金融庁)、自治体の電子申請・届出の推進(総務省)、2020年4月からの食品表示法の改定(消費者庁)などを挙げた。
 今年の「UCDAアワード2019」のテーマも「『情報品質』への挑戦」とし、アワード受賞企業3社のパンフレット等の制作はすべてUCDA賛助会員の印刷会社であったことを報告した。
 また、「購入基準としてUD化を採用する企業・行政機関が増えている」と述べ、UCDA賛助会員が受注した具体的な事例を紹介した。
 高松市では全国に先駆けて2013年から納税通知書の入札においてUCDA認証の取得を条件とした。通知内容が伝わりやすくなったことで、市民からの問合せ件数が減り、窓口対応の業務コストが削減された。堺市も2016年からUD化を図ったところ、年間5万件の問合せが4万件に減少したという。
 京都中央信用金庫では、住宅ローン申込書をUD化し、記入時間が平均1分44秒短縮され、年間で200時間以上の業務短縮につながった。
 このほか武田氏は、多くの保険会社が、保険・給付金の請求等に必要な案内をスマートフォンやPCから見られるサービスを始めていることを紹介した。こうした動きに対応し、UCDAでも「映像の伝わるデザイン」認証を開始した。
 戸矢氏からは、健康保険証に関して、国民健保、後期高齢者、生活保護者を対象とした約5000万人分、総数の約44%が、ビジネスフォーム業界の供給対象となる定期更新される保険証であり、後期高齢者(75歳以上)への移行が進み、更新も毎年になりつつあるため、需要の伸びが期待できると説明があった。後期高齢者証の形式も、旧来のハガキ大から、偽造防止機能付きのカード大へと、すでに約半数以上の県で切り替わっている。












【印刷新報2019年10月31日付掲載】
その他掲載記事
・特集・THINK SMART FACTORY 2019
・新規開拓の必勝法学ぶ 千葉県印工組支部合同研修会
・包装の世界的アワードで最高賞
 大日本印刷「Complex Bottle」

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2019年10月24日付
日印産連10団体
2020年度主要行事日程


 10月16日に開催された日本印刷産業連合会の今年度第3回ステアリング・コミッティにおいて、会員団体の2020年度主要行事日程が発表された。現在決定している主な行事は次のとおり。
■日本印刷産業連合会
・第35回定時総会、第2回理事会(改選期)
 6月11日(木) 15時〜、ホテルニューオータニ
・2020年「9月印刷の月」記念行事
 9月16日(水) 14時30分〜、ホテルニューオータニ
・2021年新年交歓会
 1月6日(水) 16時30分〜、The Okura Tokyo
■印刷工業会
・定期総会(改選期)
 5月21日(木) 14時〜、日本印刷会館
・年末会員懇談会
 12月15日(火) 16時30分〜、明治記念館
■全日本印刷工業組合連合会
・通常総会(改選期)
 5月22日(金) 14時〜、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ
■日本フォーム印刷工業連合会
・通常総会(改選期)
 6月2日(火)16時〜、ホテル椿山荘東京
■日本グラフィックサービス工業会
・定時総会(改選期)、ジャグラ文化典・式典
 6月6日(土) 13時30分〜、ホテル三翠園(高知市)
■全日本製本工業組合連合会
・通常総会(改選期)
 5月29日(金)15時〜、KKRホテル東京
・全国大会
 10月3日(土) 江陽グランドホテル(仙台市)
■全国グラビア協同組合連合会
・通常総会
 6月8日(月) 15時30分〜、ホテルニューオータニ
■全日本スクリーン・デジタル印刷協同組合連合会
・通常総会、全国大会
 5月31日(日) 長良川温泉 十八楼
■全日本光沢化工紙協同組合連合会
・通常総会(改選期)
 5月26日(火) 18時〜、東京會舘











【印刷新報2019年10月24日付掲載】
その他掲載記事
・環境特集2019
・2019全印工連フォーラム
 「デジタルトランスフォーメーションの実装を」
・国内初のサブスクリプション契約を締結
 北陸サンライズ/ハイデルベルグ・ジャパン

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2019年10月10日付
アイリスオーヤマ・大山健太郎会長が語る
"ユーザーイン経営"のすすめ


 「印刷業は情報伝達産業。安値で勝負するのではなく、印刷物を使う人のことを第一に考え、情報を伝える役割から発想したユーザーイン経営をしていけば、まだまだチャンスはある」。
 居並ぶ印刷会社の経営者を前にそう語ったのは、アイリスグループ会長・アイリスオーヤマ株式会社会長の大山健太郎氏。9月18日に仙台市で開催された小森コーポレーション「小森みちのく会」での講演だ。
 大山会長は、徹底してユーザー目線に立つ大切さを強調し、「すでにある技術や商品、アイデアをキャッチアップするのではなく、開発者自身が生活者の代弁者たれ」と話す。その経営哲学が、父の急死により19歳で引き継いだ小さな町工場を、グループ26社、総売上高4750億円(2018年度)のグローバル企業に育て上げた。
 同社が開発・製造・販売する生活用品は、家電・インテリア・園芸用品・ペット用品など多岐にわたるが、1年間に発売する新商品が約1000アイテム、過去3年以内に発売された商品が売上全体の6割強を占めるというから驚きだ。
 そんな同社も、バブル崩壊により一時期は倒産寸前にまで追い込まれた。大山会長は考え方を180度転換させた。
 「プロダクトアウト志向でやってきたが、世の中の環境が変われば生き残れないことを身にしみて感じた。いくら技術力や価格競争力、ブランド力があっても、業界全体がダメになれば共倒れになる。かといって、マーケットインに転じて市場参入しても、先発組との競争によって疲弊することは避けられない。企業は、『ユーザーイン』の発想で、さらに先を行くことが大事。ユーザーインとは、最終ユーザーにとっての価値を追求することで、潜在的なニーズの掘り起こしと新しい需要の創造を目指すもの。ものづくりとは目的ではなく、人々の不満を解消する手段だ」
 そこから、世界の収納文化の常識を変えた透明な「クリア収納ケース」などが生まれた。ペットブームやガーデニングブームも同社が火付け役であり、ライフスタイルにまで大きな影響を及ぼしている。
 大山会長は「革新は常に生活のシーンから始まる。業界や企業にとっての損得勘定ではなく、いかにユーザーインの発想で本当のソリューションを提供し続けていけるかが分かれ目だ」と話す。










【印刷新報2019年10月10日付掲載】
その他掲載記事
・特集・パッケージ印刷
・JAPAN PACK 2019開催
 「日本包装産業展」として内容拡充
・ニシカワ 「MG CAMP(エムジーキャンプ)」オープン
 3DCGホログラムの専用ショールーム

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2019年10月3日付
産業構造審議会 成長戦略部会
第4次産業革命に対応した政策課題を検討
法・環境整備を早急に完了


 経済産業省は9月17日、第4次産業革命時代の企業組織・経営、仕事、政府・政策のあり方について討議する「産業構造審議会成長戦略部会」の第1回会合を開催した。
 同部会は、今年6月21日に閣議決定した「成長戦略実行計画」を受けて設置されたもの。実行計画では、第4次産業革命に対応し、生産性向上や経済成長につなげるためには、「企業組織の在り方や個人の仕事の内容・仕方など、経済社会システム全体の再構築を図る必要がある」と指摘している。これを踏まえて部会では、「企業組織・経営」や「人」の変革の方向性、日本企業が提供する顧客価値の向上を通じた販売価格の引上げ、付加価値の創出による日本企業のマークアップ率(付加利益率)の向上、これらによる労働生産性の向上等に向けた政策課題を検討する。検討結果は、経済産業大臣が未来投資会議に提言する。年内に中間とりまとめ、来春にとりまとめを行う。
 背景には、AI、IoT、ロボット、ビッグデータ、分散台帳技術(ブロックチェーン)など、世界中で急激に進む第4次産業革命を日本がリードできるかどうか、「この1、2年が勝負」という認識がある。政府が、早期かつ具体的に対応策を打ち出し、民間がこれに応え具体的なアクションを起こすため、必要な法制面を含む環境整備を早急に進め、2020年の通常国会において国の基本的なインフラ整備・ルール整備を完了すべく取り組む。
 日本の労働生産性の低さに関しては、マークアップ率の低さ、すなわち製造コストに対して販売価格が低いことを原因に挙げている。2010年以降、第4次産業革命を推進してきた米国や欧州企業では急速にマークアップ率が上昇する一方、日本企業は低水準で推移している。
 第1回の成長戦略部会では、マークアップ率の向上という課題に対して、「日本企業はデジタル技術とデータを活用し、顧客視点でみた付加価値の高い新たな製品・サービスを生み出す必要がある」との論点から議論を行った。
 また、企業のイノベーション実行の担い手として、資金面・人材面で豊富なリソースを有する大企業の積極的な役割にも期待する。リスクテイクした研究開発、成果に応じた処遇・昇進、スタートアップとの協働・M&A、オープンイノベーションの推進などが挙げられ、その中には、大企業と中小企業の共存共栄の関係構築も課題として捉えられている。
 財務省の「法人企業統計」によると、業種・企業規模により売上高や粗利益の伸び率にばらつきが見られる。大企業と中小企業の1社当たり売上高・粗利益の伸び率を比較(※2010〜2012年度平均と2016〜2018年度平均を比較)すると、主要業種22業種の中で「印刷」は、売上高・粗利益ともに伸び率の格差の大きい業種の2番目に位置しており、中小企業の伸び率はマイナスとなっている。
 成長戦略実行計画では、「中小企業・小規模事業者の生産性向上」に関して、「親事業者からのコスト低下圧力が原因となって、中小企業が賃金や設備投資の水準を上げられない可能性」について指摘。対応策として、「利益や付加価値の状況、労働や資本への分配状況等を、産業・業種、企業規模ごとの分析等を行った上で、親事業者と下請事業者との格差が特に大きい産業等を中心に調査を重点的に行うなど、個別の産業に応じた取引関係の課題を明らかにし、競争法制や中小企業法制等をフル活用して、きめ細かな改善を図っていく」としている。










【印刷新報2019年10月3日付掲載】
その他掲載記事
・GP認定に新規4工場 全400工場を超える
・「水なし」弾みに SDGs企業へ ホーナンドー
・浅野健氏、安永研二氏に栄誉
 令和元年度東京都功労者表彰

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2019年9月26日付
中小企業庁 「国等の契約の基本方針」
消費税の適正な転嫁を確保
知的財産権の取扱いも明記


 「令和元年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」が9月10日に閣議決定された。働き方改革、事業継続、消費税率引き上げ等に関連した措置を追加している。印刷業界の強い働きかけで平成29年度から加えられた「知的財産権の取り扱いの明記」についても、引き続き明確に記されている。
 同基本方針は、官公需における中小企業・小規模事業者向け契約目標や、受注機会増大のための措置事項等を定め、毎年閣議決定しているもの。
 令和元年度における国等の契約のうち、官公需予算総額に占める中小企業・小規模事業者向け契約比率は55.1%、契約金額は約4兆3369億円が目標とされた(30年度実績は契約比率51.2%、契約金額4兆27億円)。
 令和元年度に新たに講じる主な措置としては次の3事項がある。
 1. 関係省庁が連携して、地方公共団体等に対して、発注時期等の平準化に必要な取組の共有や要請等を直接行う体制を強化する。
 2. 中小企業等経営強化法に基づく事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業・小規模事業者を積極的に活用し、受注機会の増大に努める。
 3. 年度途中に消費税率が10%に変更されることを踏まえ、引上げ前後いずれの状況でも適正な転嫁を確保する。
 平成29年度に初めて盛り込まれた「知的財産権の取り扱いの明記」については、今年度も同じ表現ながら次のように明確にしている。
 「国等は、物件及び役務の発注に当たっては、発注内容に著作権等の知的財産権が含まれる場合には、当該知的財産権の取り扱いについて書面をもって明確にするよう努めるものとする。また、当該知的財産権の財産的価値について十分に留意した契約内容とするよう努めるものとする。」
 また、印刷業では用紙その他諸資材の値上げ、用紙の供給不足が経営を圧迫しているが、「適切な予定価格の作成」に触れた事項では、「国等は、役務及び工事等の発注に当たっては、需給の状況、原材料及び人件費等の最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき、消費税及び地方消費税の負担等を勘案し、適切に予定価格を作成するものとする。」とあり、さらに、「燃料や原材料等の市況価格の変動が激しい商品等については、特に、最新の実勢価格や需給の状況等を考慮するよう努めるものとする。」と付記している。










【印刷新報2019年9月26日付掲載】
その他掲載記事
・特集・第44回 全日本光沢化工紙全国大会
・「印刷と私」エッセイ・作文コンテスト
 小山薫堂最優秀作品賞作品紹介
・第53回 造本装幀コンクール 表彰式

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2019年9月19日付
東印工組、テレワーク事業が本格始動
木元省美堂が事例を発表


 東京都印刷工業組合(臼田真人理事長)は、東京都から受託した「業界団体連携によるテレワーク導入促進事業」のキックオフセミナーを8月30日に東京都トラック総合会館(新宿区四谷)で開催し、事業参加企業の経営者や実務担当者などが参加した。
 東京都が業界団体を通じて組合員企業のテレワーク導入を支援する同事業では、キックオフセミナーを皮切りに参加企業への個社別コンサルティングを実施。計3回の面談を通じて各社に適したテレワークシステムを洗い出し、東京都のテレワーク導入促進整備補助金「はじめてテレワーク」への申請作業までをサポートする。同補助金では、テレワーク環境の整備に必要な機器の購入費や就業規則の整備費用として、従業員数100人未満の企業には40万円、100人から299人までの企業には70万円、300人から999人までの企業には110万円が補助される。
 東印工組・ダイバーシティ推進委員会の小野綾子委員長は、東印工組が進める「幸せな働き方改革」に絡め、「これから参加80社のみなさんとともに活動していくことになる。各社の社員の幸せ、そして企業の生産性向上の両立を実現してほ しい」と述べた。
 キックオフセミナーでは事業の概要と今後の支援スケジュールについて説明が行われたほか、印刷業界におけるテレワーク導入企業として、木元省美堂(木元哲也社長、東京都文京区)の事例が同社社長室の根本優子課長から発表された。
 同社では従業員70名のうち女性社員が4割を超えている。そのため、女性社員が働きやすい環境整備の一環として育児・介護休業制度やフレックス勤務制度などを整えており、テレワーク制度も2017年に導入している。
 これまで3名がテレワーク制度を活用し、現在も夫の地方転勤によって愛知県に移住した事務職の女性社員が自宅で業務を行っている。
 企業側にとっては、出産や移住などを理由とした離職の防止に加え、リクルート面でもアピール材料になる。また、根本課長は「部署内で業務フローの見直しなどを行うことにより、今までの仕事のやり方を見直すきっかけにもなった」とメリットを語り、利用者からも「今までやっていなかった作業などを任せてもらうことで、知識も増えてレベルアップにつながる」といった声が出ているという。
 デメリットについては「ない」としながらも、「やり始めてから問題点がその都度出てくるので、社員と話し合いながら解決している」と現状の取組みを紹介した。
 最後に、環境労務委員会の惟村唯博委員長が、「この事業は無償でテレワーク導入ができ、企業にとっては大きなチャンスとなる。参加80社のみなさまにはしっかりと取り組んでいただき、各社の従業員の幸せと繁栄につなげてもらいたい」と期待を示した。



















【印刷新報2019年9月19日付掲載】
その他掲載記事
・日印産連 「2019印刷文化典」に680名
・絵本で子供たちを元気に
 板橋のプロレス団体が地元印刷・製本会社の協力で
・HOPE2019 変革へのヒントを提供

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2019年9月12日付
経済産業省令和2年度概算要求
事業承継対策に倍額
AIなど最新技術導入も支援


 経済産業省は8月30日、令和2年度の地域・中小企業・小規模事業者関係の概算要求を発表した。中小企業対策として事業承継対策、生産性向上対策、地域・インバウンド対策などに重点を置き、1386億円(平成31年度当初予算1117億円)を要求した。
 事業承継対策では、平成31年度当初予算129億円の約2倍に当たる232億円を要求した。新規として「事業承継・世代交代集中支援事業」に50億円を計上。事業承継を契機とした事業者の新たな挑戦のための設備投資・販路拡大や、後継者不在の中小企業におけるトライアル雇用などを支援する。
 さらに、第三者への事業承継の促進に資する税制措置を創設する。近年、後継者が不在であることなどを背景に、黒字企業を含めた企業の休廃業・解散件数が増加傾向にある。後継者不在の中小企業の事業承継を後押しするため、株式・事業の譲渡やM&Aを通じた親族以外の第三者による事業承継を促進するための税制措置を行う。
 生産性向上対策では、平成31年度当初予算の369億円から424億円に増額要求した。
 「AI人材連携による中小企業課題解決促進事業」として15億円を新規で要求。AI・ロボット・ブロックチェーン等の最新技術の導入による新たなビジネス創出のため、中小企業の研究開発・試作品開発・人材投資を支援する。
 「共創型サービスIT連携支援事業」も新規で20億円を計上。中小サービス業等の分野で、ITベンダーと中小企業等が共同で既存のITツールの組み合わせなどを行い、当該ITツールの汎用化による業種内、他地域への横展開を目指す取組みを支援する。
 平成31年度から当初予算化した「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」は70億円(平成31年度予算50億円)の予算拡充で要求。複数の中小企業・小規模事業者等が、事業者間でデータを共有・活用することで生産性を高める高度なプロジェクトを支援する。
 単独企業が申請できる「ものづくり商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金 一般型・小規模型)」ほか、「IT導入補助金」「小規模事業持続化補助金」は、補正予算(令和元年補正)で組み込まれる見通し。
 地域・インバウンド対策では、平成31年度当初予算286億円に対し、297億円を要求した。



















【印刷新報2019年9月12日付掲載】
その他掲載記事
・18年度は0.9%増の見込み
 矢野経済研究所 パッケージ市場調査
・大賞に『No NUKES ビキニの海は忘れない』
 第22回日本自費出版文化賞
・全青協 全国6ヵ所でブロック協議会を開催
 ハイ・サービスを実践・共有

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2019年9月5日付
第45回技能五輪国際大会
日本の湯地選手は6位(敢闘賞)
「印刷職種」上位は僅差の大激戦


 ロシア・カザンで開催された第45回技能五輪国際大会(8月22〜26日)で、「印刷職種」の日本代表として参加した湯地龍也選手(トッパンコミュニケーションプロダクツ勤務、1999年生まれ、宮崎県出身)はわずかにメダルに届かず、第6位(敢闘賞)という結果となった。
 印刷職種には過去最多の15の国と地域が参加した。金メダルはオーストリアとロシア、銅メダルはスイスの選手が獲得。以下、4位中国、5位フランス、6位日本だった。

敢闘賞の湯地選手

 金メダルを分け合った両国は726点と725点で、3位のスイスは721点。4位から7位までは712点から708点まで、わずか5点の間に4人がひしめき合う激戦となった。各国の技能がレベルアップし、非常に高い得点での争いになった結果、少しのミスがメダル獲得の大きく影響したもよう。
 今回、「印刷職種」では、オフセット印刷を中心に調色(インキの調合)、デジタル印刷、印刷メンテナンス(印刷機の保守点検)、印刷シミュレーター(印刷トレーニングシミュレーターでのトラブル発見と修正)、断裁、印刷不良発見など14の課題で競技が行われた。
 技能五輪国際大会は、満22歳以下の青年技能者の技術振興と国際交流を目的に隔年で開催されており、次回第46回は2021年に中国・上海で開催される。


















【印刷新報2019年9月5日付掲載】
その他掲載記事
・特集 2019年 印刷文化典
・第18回印刷産業環境優良工場表彰 
・『平野号 平野富二生誕の地碑建立の記録』発刊
 活版印刷の普及に貢献、再評価

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2019年8月29日付
Print Next 2020
「0次産業革命」で人間力再考
来年2月15日、秋田で開催


 2020年2月15日に秋田県の秋田市文化会館で開催される「Print Next 2020」の記者会見が8月21日に都内で開かれた。東海林正豊運営委員長(東海林印刷)をはじめとするPrint Next 実行委員会のメンバーのほか、全国青年印刷人協議会の青木允議長、全国印刷緑友会の小林賢行会長、日本グラフィックサービス工業会青年部・SPACE‐21の本村豪経代表幹事が出席し、開催概要や現在の進捗状況などが紹介された。

東海林運営委員長

 Print Next は、印刷業界の青年組織の垣根を超えた合同イベントで、9回目となる今回は「Find the Future〜人間力で世界価値を創造しよう!」をテーマに秋田県で開催される。
 会見の冒頭、東海林運営委員長は秋田での開催について、「これまでは東名阪など首都圏が多かったが、今回は第3回以来の地方開催であり、しかも東北では初めてとなる。これは非常に意義があると考えており、地方の経営者の方にも今後の印刷業界がどうなるのか、いかに未来を創り出していくのかを伝えたい」と述べ、その意義を強調した。
 また、開催テーマについては、「その根底にあるのが『0次産業革命』であり、これは人間力を見直す考え方で、それを表現したい」と狙いを説明。当日は、中小企業庁の前田泰宏長官が「0次産業革命について」をテーマにセミナーを行い、その重要性について学ぶ。
 メイン企画のブロック別発表では、全国8ブロック(北海道、関東、東京、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄)が秋田≠テーマに、各地域の特徴やノウハウとの掛け合わせによって新たなイノベーションの創出を図る。発表内容は審査員が5項目で採点し、金賞・銀賞・銅賞・部門賞を決定する。
そのほか、協賛企業によるパートナーズセッションや懇親会なども企画する。
 また、今回は運営面についても新たな試みがなされ、従来は開催地が担当していた広報部会をSPACE‐21が、企画部会を全青協が、集客等は緑友会がそれぞれ担当し、人手の限られる地方での開催をバックアップする体制を築いている。
 東海林運営委員長は、「新たな体制により、オールジャパンでのPrint Next を実現できる」と述べ、今後の地方開催におけるロールモデルとしての役割にも期待を示した。
 イベントの詳細については公式ホームページ(http://www.printnext.jp/)で順次公開していく。また、参加登録についてもサイト上で9月中に開始する予定。登録料は1万5000円。目標人数は400人。

【Print Next 2020の概要】
■開催日 2020年2月15日
■会場 本会場・秋田市文化会館/懇親会・秋田キャッスルホテル
■テーマ 「Find the Future〜人間力で世界価値を創造しよう!」
■主催 Print Next 実行委員会、全国青年印刷人協議会、全国印刷緑友会、日本グラフィックサービス工業会青年部・SPACE‐21
■タイムスケジュール
・パートナーズセッション 11時〜12時
・オープニング 13時〜13時30分
・セミナー「0次産業革命について」(中小企業庁・前田泰宏長官) 13時30分〜14時
・ブロック別発表 14時10分〜17時05分
・審査員講評 17時10分〜17時30分
・懇親会 19時〜21時

















【印刷新報2019年8月29日付掲載】
その他掲載記事
・特集 新潟県印工組65周年
・MUDガイド10年ぶりに改訂
・ポストプレスの視点でスマートファクトリー実現へ
 ホリゾン・ジャパン 宮ア進新社長に聞く など

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2019年8月22日付
紙不足解消の目処立たず
製紙連、J-NOAの要望書に回答


 一般社団法人日本新聞折込広告業協会(土橋誠志理事長、略称J-NOA)は、日本製紙連合会に提出した新聞折込広告の印刷用紙不足解消を求める要望書に対し、製紙連から文書で回答があったことを明らかにした。回答では、用紙不足改善に向けた具体的な施策や解消できる目処などについては一切触れておらず、「該当品目を生産する会員企業に周知する」との回答にとどまっている。
 製紙連からの回答文書によると、デジタル化の進展による情報伝達手段の変化や、新聞・書籍・雑誌の発行部数の減少にみられる紙離れなど印刷用紙の国内需要の減少が続いている事業環境に触れ、「(製紙連の)会員各社は需要の減少、市場の均質化に対し、最適生産体制の構築を含めた事業再構築を継続的に進めている」と主張。その上で、「ただ、昨年は、台風、豪雨、地震といった自然災害による物流網の寸断や生産設備のトラブル等により、想定外に供給が減少する事態となった」と説明し、「これにより調達に困難が生じたお取引先様もあると聞いており、ご心配をお掛けしていることに対して申し訳なく思っている」と謝意を示している。
 J-NOAは製紙連に対して、印刷用紙不足の解消を求める要望書を6月12日付で提出。製紙連からは6月28日付で回答があった。
 J-NOAによると、印刷用紙が調達できず、広告主が新聞折込広告を中止するケースが相次いでいるという。要望書では「2018年は、首都圏の新聞折込広告主件数の減少幅が4割に達するまで拡大した(2010年比)」と広告主の減少傾向を示した上で、「このような負の連鎖により、広告主の急減による市場のダウンサイジングが加速する可能性が高い」と懸念を示し、紙不足の早期解消を求めていた。










【印刷新報2019年8月22日付掲載】
その他掲載記事
・HOPE2019 9月6・7日に開催
・経産省商務情報政策局長賞に研文社 尼崎工場
 第18回印刷産業環境優良工場表彰
・大日本印刷 記者懇談会
 「第3の創業」路線で営業増益7%を達成 など

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2019年8月8日付
クールジャパン、民間主導に転換
政府が戦略見直しへ


 政府は、日本の魅力を海外に発信する「クールジャパン戦略」の見直しに向けた新たな戦略の素案をまとめた。発信力のある個人、事業者、自治体など関係者をネットワーク化する中核的な機能を担う民間組織の立ち上げを支援するなど、これまでの行政主導から民間主導への転換を掲げた。
 素案は、7月26日に開かれた知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会で示され、大筋で了承された。政府は8月中に新戦略を決める方針。
 クールジャパンはこれまでアニメや漫画をはじめとするポップカルチャーが中心だった。しかし近年、日本を訪れる外国人旅行客が増える中、食や文化の体験など外国人が日本に求める興味やニーズは多様化している。また、SNSなどの新たな情報メディアをいかに効果的に活用できるかが重要になってくる。
 そこで世界の人々の目線から日本の魅力を発信するため、民間組織をつくり、購買意思決定に大きな影響力を持つインフルエンサーや地域プロデューサー・アンバサダー、外国人有識者、団体、自治体など関係者のネットワークを構築。日本の魅力を深掘りし、情報発信することで、日本ファンの拡大・再生産を狙う。
 平井卓也内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略担当)は「百人いれば百通りのクールジャパンがある。クリエイティブな日本をどのように持続させていくかがポイントだ。それには国がイニシアチブをずっと取るには限界がある。基本的な戦略を持ちつつも戦術は柔軟に対応し、民間の人たちが常にチャレンジできるような環境を整えたい」と述べ、民間組織を支援していく考えを示した。










【印刷新報2019年8月8日付掲載】
その他掲載記事
・湯地龍也選手、技能五輪に向け最終調整
・共同印刷 記者懇談会
 成長分野への注力と既存事業の収益向上へ
・マーチングEXPO2019 全国大会
 SDGsと地方創生を深耕 など

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2019年8月1日付
ジャグラ主催 
「2020年 子年・年賀状デザインコンテスト」
入賞作品100点を発表
会員は無償で商用利用可能


 公益社団法人日本グラフィックサービス工業会は、経営基盤強化委員会(中村盟委員長)主催の「2020年 子年・年賀状デザインコンテスト」の入賞作品100点を発表した。
 今回は「カラー」「モノクロ」「学生」「喪中案内」の4部門で作品を募集。会員企業417点(59社)、学生280点(17校)の計697点の応募があった。最高賞のジャグラ会長賞には、長瀬印刷(カラー部門)、ながと(モノクロ部門)、日高里菜氏(学生部門)の作品が選ばれた。
 会長賞を含め、協賛企業賞(9点)、優秀賞(8点)、作品賞(78点)、喪中部門賞(2点)の各入賞作品は、コンテスト特設サイト(http://www.jagra.or.jp/nenga2020)で公開している。ジャグラ会員企業は入賞作品データを無償で商用利用が可能で、入賞作品で作製する『年賀見本帳』のデータダウンロード開始日は8月23日の予定。
【会長賞作品講評】
◆カラー部門 長瀬印刷株式会社(坂本和久社長、福島県いわき市)
 着物を着た女性の繊細な表情とは逆に、富士山を配した大胆な背景とのバランスがとても素晴らしい作品。一度見たら忘れられないインパクトあるデザインで、満場一致で決まった。
◆モノクロ部門 株式会社ながと(長渡憲次郎社長、宮崎県延岡市)
 ねずみの家族が、初日の出をみんなで眺めている様子を描いている。柔らかい筆のタッチと墨の濃淡で優しい印象の作品。もらった人が笑顔になるデザインで高評価を得た。
◆学生部門 日高里菜氏(専門学校HAL名古屋)
 お正月らしいオブジェクトをバランス良く配置した作品。シンプルで落ち着いた配色で、多くの人に使ってもらえるデザイン。
【中村盟審査委員長談】
 今年のポイントは、ねずみを軸にどこまでイメージを膨らませるか、そして、できるだけ広げたイメージを実用的なデザインに着地させるかというところが問われた。「令和」を効果的にデザインしたもの、オリンピックをイメージしたものなど、独創的で時流に合わせたデザインも多く、審査員を大いに悩ませた。選ばれた100点は幅広いニーズに応える、個性的かつ実用的なデザインが集まったと思う。
 年々SNS等に押されて、減少傾向にある年賀状だが、デザインの力で若年層を取り込んでいけるのではないかと期待している。

















【印刷新報2019年8月1日付掲載】
その他掲載記事
・図書印刷 記者懇談会
 市場変化を先取りした製造体制の実現へ
・ラベルフォーラムジャパン2019
 過去最高の5013人が来場
・全製工連 新製本産業ビジョン策定委員会
 木戸敏雄委員長に聞く など

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2019年7月25日付
全印工連「CMYKプロジェクト」
大喜利印刷、第2期キックオフ
全国から12チームが参加


 全日本印刷工業組合連合会が展開する対外広報戦略「CMYKプロジェクト」では昨年度、実験的な試みの第一弾として、ツイッター上でつぶやかれた"こんなものが欲しい"の声をお題に、それを勝手に実現する「大喜利印刷」に挑戦した。そこから誕生した9つの斬新なプロダクトは、マスコミ(テレビ、新聞、雑誌)や各種ネットメディアで広く取り上げられ、大きな宣伝効果を生み出した。
 そして、大喜利印刷の話題をさらに社会に拡散し、印刷産業に対するイメージをクリエイティブで前向きなものに変えていこうと、「大喜利印刷」第2期プロジェクトに全国から12社が参加、7月19日に東京・芝浦のリコープリンティングイノベーションセンターを会場にキックオフミーティングが行われた。

各チームがプロダクトの初期アイデアを紹介した

 当日は、プロデューサーとして関わるコネルの出村光世氏から大喜利印刷の狙いが改めて説明された後、第1期にも参加し成果を得た篠原紙工の篠原慶丞社長、三共印刷所の井上貴寛社長の両名から、取組みの苦労やポイント、参加メリット、第2期にかける思いなどが語られた。また、各チームがプロダクトの初期段階のアイデアを参加者の前で発表し、互いに大きな刺激を受けた。
 当初は、8チームほどに絞る予定だったが、第1期の取組みに触発された会社が多く、組合員の中から多くの手が上がった。そこで枠を拡大し、12チームでの取組みとなった。
 今回も第1期と同様、実際のツイートの中から、プロダクト製作につながりそうな「つぶやき」を探し、そこから発想したテーマを印刷工場から出る廃材を利用して形に仕上げることが基本となる。  コンセプトを説明した出村氏は「多くの人に役立つような便利・量産の視点ではなく、たった一人のニーズを満たせればいい。迷ったら無茶な方向へ。できるだけ尖ったものをイメージし、『印刷会社って、こんな事までやれるんだ』と思わせ、相談される業界になっていただきたい」とアドバイスした。
 この日は、12チームの社長や役員、営業・企画・制作・マーケティング等の部門長、デザイナーなど21名が参加。紹介されたプロダクトアイデアの中には、「パレットを使った家具製作」、「思わず途中下車したくなる駅のアイキャッチ」、「365日、毎日違う折り方で紙飛行機が楽しめる日めくり」、「棺に納められるよう故人の大事な品を再現した紙製クラフト」、「カレーうどんを思い切り食べられる服」等々、まだ原石ながら早くも先が楽しみなアイデアが続々と出ていた。
 第2期プロジェクトは今後、8〜9月に個別のオンラインミーティングで対象アイデアを絞り込み、10〜12月を制作期間に充てる。2020年1月に合同プロジェクト報告会とWebサイト掲載用のスチール撮影会を予定。2月以降にWebで一般公開を行う。
 参加者を前にあいさつした全印工連の滝澤光正副会長は、プロジェクトの意義に触れて、「これからの印刷会社はお客様の課題解決のお手伝いをしていく役割を担わなければいけないと組合員に発信してきた一方で、世間には相変わらず紙に印刷する従来からのイメージが定着し、私たちの変革への取組みの足かせになっているのではないかという議論もしてきた。そこで、印刷業が持つ柔軟な発想とポテンシャルを広く社会にご理解いただくために手がけたのが大喜利印刷だ。みなさんにはご負担もお掛けするが、リターンも大きいと思う。印刷の魅力をアピールすることに挑戦していただきたい」と述べた。
【大喜利印刷・第2期参加企業】※五十音順
 アインズ梶i滋賀県)、UMO(山梨県)、潟Gイエイピー(静岡県)、渇h光プリント(石川県)、鹿島印刷梶i佐賀県)、カシヨ梶i長野県)、去O共印刷所(福島県)、且O和印刷(島根県)、去ツ原紙工(東京都)、潟gータルプルーフ(福岡県)、兜ス山印刷(沖縄県)、潟}ルモ印刷(香川県)
















【印刷新報2019年7月25日付掲載】
その他掲載記事
・出版界の革新を総合的に支援
 大日本印刷 出版メディア事業部
・アングル シール業界の変化に危機感
 全日シール 田中祐会長
・コラボ製品の出展目立つ
 第30回【国際】文具・紙製品展 など

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2019年7月18日付
「SOPTECとうほく2019」
2日間で1万1300人が来場
来年は7月3日・4日に開催


 東北地区印刷協議会(青森、岩手、秋田、山形、福島、宮城県印刷工業組合)が主催する「SOPTECとうほく2019」が、7月5日・6日に仙台市の仙台卸商センター産業見本市会館「サンフェスタ」で開催され、2日間で1万1300人が来場した。今年で16回目となった同展は、東北印刷業界最大のイベントとして定着している。今回は出展63社、セミナー全25講座で行われ、顧客の課題解決、業務プロセス支援のためのさまざまなソリューション提案が光った。来年の「SOPTECとうほく2020」は7月3日(金)・4日(土)に開催される。

63社が出展し最新ソリューションを提案した

◆全印工連・対外広報プロジェクト紹介セミナーも
 オープニングセレモニーは、5日の9時30分からサンフェスタ会場入口で多くの来賓を迎えて行われた。
 主催者を代表して東北地区印刷協議会・SOPTECとうほく2019実行委員会の針生英一会長が次のようにあいさつした。
 「おかげさまで16回目を迎えることができ、ここまで育てていただいたことに厚く御礼を申し上げる。昨年はIGASがあったことで9月末の変則的な開催となったが、今年は毎年の7月に戻すことができた。来年も7月3日・4日にこの会場で開催することが決まっている。また、前日の7月2日に仙台で東北地区印刷協議会を行い、役員のみなさんにはSOPTECに足を運んでもらえる段取りをしている。よろしくお願いしたい。
 印刷産業はいくつかの大きな課題を抱えている。一つは、イノベーションへのチャレンジだ。全印工連では業態変革に取り組み、付加価値を追求してきたが、これはいつの時代も追い求めていかなければならない課題だ。もう一つは働き方改革で、社員の働きがいと働きやすさという2つの軸を考えなければいけない。二律背反の面があるが、両方を追い求めることが必要で、今の経営の難しいところでもある。
 今回のSOPTECの開催テーマは『印刷業は「TOKYO2020」後をどう生きるか?』とした。東北は人口減少や労働生産人口の減少で厳しい時代を迎えているが、いろいろな知恵を出し、対策を立てて取り組んでいかなければならない。
 イノベーションと働き方改革という2つの課題に対しても、SOPTECでさまざまなヒントをいただき、出展者、来場者のみなさんにとって実り多きに2日間になればと願う」
来賓として祝辞を述べた宮城県中小企業団体中央会の今野敦之会長は「全中の総会で選ばれた9名の副会長のうち、私を含めて3名が印刷関係となった。また、昨年の全国大会では、『中小企業』という呼び方を止め、『地域産業』『地域企業』に改めようという話が出た。規模で測るのではなく、特徴ある企業として取り上げていくのは当を得ていると思う。国の礎の気概を持って進んでいきたい。伝統あるSOPTECを盛り上げ、得た情報を自社でぜひ活用していただきたい」と述べた。
全日本印刷工業組合連合会の滝澤光正副会長からは「われわれがブランドスローガンに掲げるハッピー・インダストリー、幸せな印刷産業に向けて、このSOPTECが道標となることを期待する」とあいさつがあった。
テープカットで開幕し、さっそく午前中には主催者企画セミナーが開催され、多くの聴講者があった。
全印工連の対外広報プロジェクトに関するセミナーには、事業の推進役である滝澤副会長が自ら登壇。プロデュースした出村光世氏、プロジェクトに参加し魅力ある作品を完成させた篠原慶丞氏(東京・篠原紙工)、井上貴寛氏(福島・三共印刷所)とともに、対外広報戦略「CMYKプロジェクト」で大きな注目を集めた取組み、「大喜利印刷」について作品を紹介しながら苦労と成果について語った。
 「大喜利印刷」は、まだ世の中にない製品を形にし、印刷会社のクリエイティブな発想と能力を広くアピールする試みとして昨年発足した。ともするとネガティブな印象を持たれやすい印刷産業のイメージを払拭し、特に次世代の若者やビジネスパーソンたちに未来志向の印刷業の魅力を認知してもらうことを目指した。全国から4チームが参加し、Web動画やSNS等による拡散で話題づくりを行った。NHKはじめ多くのマスコミ、ネットメディアも取り上げ、印刷業界への注目度を高めた。
 作品の題材は、ツイッター上でつぶやかれている「こんな物があったらいいな」の声。それに応える形で企画立案を行い、印刷・製本工場から出る廃材などを再利用して、斬新なアイデアの9点のプロダクトが誕生した。
 篠原紙工が取り組んだ作品のひとつ、「HALTONE」は、「古本の匂いが好きなんだけど、わかる人いない?」のつぶやきを基に、古本の懐かしい匂いを沁み込ませた付箋のように貼って?がせる紙。芳香剤の調合メーカーと組んで匂いを再現し、残紙を使って製品化した。パソコンなどに貼り付けることで、デジタル作業の間も心地よい安らぎを得られる。
 篠原社長は「作る過程で、匂いのディレクターになった気がした。印刷加工会社のあるべき形だと思う。いろいろな業種と付き合っている印刷業界はプロデューサーに向いている」と感想を述べた。また、プロジェクトを通して、参加した同じ業界の仲間たちとのワクワクする出会いがあり、夢を持てたことを大きなメリットに挙げた。
 人材採用の面でも、同社の「大喜利印刷」への取組みを知って共感し、入社を希望してきた女性が実際に活躍しているなど、思わぬ効果も生まれた。
 すでに「大喜利印刷」第2期のプロジェクト発足も決まり、新しいチームが自由な発想と独自の技術で作品づくりに挑んでいる。来年2月の一般公開を目指す。
 63社・団体が96小間に出展した1階の展示会場では、メーカー・ベンダー、および印刷・製本加工会社による多彩なソリューション提案が行われた。
 1日2回行われた解説付きの「見どころツアー」は今年も好評で、コンダクターに続いて長い列ができていた。















【印刷新報2019年7月18日付掲載】
その他掲載記事
・2019暑中特集号
 「より、外へ。より、広く。打って出る!」
・宝印刷、12月に持ち株会社体制へ
・DM Connectの提供開始 印刷〜発送を一括受注可能
  JPメディアダイレクト など

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2019年7月11日付
凸版印刷・麿新社長が経営方針を語る
グループ一丸で「社会的価値創造企業」へ


 凸版印刷は7月3日、トッパン小石川ビルにおいて記者懇談会を開催、6月27日に就任した麿秀晴代表取締役社長が経営方針を語った。麿新社長は急速に変化する市場環境にチャンスを見出し、変革を牽引するトッパン・デジタルトランスフォーメーション(T−DX)を全社挙げた取組みと位置づけ、事業ポートフォリオの転換を急ぐ考えを述べた。

麿秀晴社長

◆3ヵ年で事業ポートフォリオを転換
 麿社長は「マーケットは大きく変化し続け市場環境は非常に厳しい」との認識を示しつつも、「しかし、ここに新しいやり方ができれば非常に大きなビジネスチャンスがあり、売上げを増やし、利益も拡大できると考えている」と述べ、デジタルトランスフォーメーションを推進し、グローバル展開を加速させる考えを示した。
 グローバル展開について麿社長は「海外売上高比率は現在、18%とまだ小さく伸びしろが大きい。海外でビジネス展開していくにあたり、技術開発力を強化し、改めて技術オリエンテッドなトッパンをつくっていくことが肝要だ」と強調。
 また、サービスの提供とモノづくりというソフト・ハード両面から顧客の課題解決に貢献できる同社の強みを活かし、永年培ってきた「印刷テクノロジー」と新たなテクノロジーを組み合わせ、他にないトータルソリューションの開発・提供を行っていく方針も述べた。
 特にビジネスモデルの変革を牽引するトッパン・デジタルトランスフォーメーション(T−DX)では、デジタルマーケティングや製造DXなどに注力し、ソフトとハードの両面からさらなる挑戦を続けていく。
 さらに、グローバルにおいては、今後の人口増大に伴い市場拡大が期待できるパッケージや建装材分野と、技術的な優位性が発揮できるセキュア関連分野において事業拡大を図っていく。いずれも、事業の方向性と技術開発テーマの整合性を図り、他にはない武器づくりを進めながら市場を攻略していく方針だ。
 麿社長は「これらの取組みを通して当社は、真のパートナーとして常に必要とされる『社会的価値創造企業』を目指し、グループ一丸となって変革と挑戦を続けていく」と述べ、グループ全体最適の視点に立ち、2019年度からの3ヵ年で事業ポートフォリオを転換していく考えを述べた。
















【印刷新報2019年7月11日付掲載】
その他掲載記事
・「情報銀行」で大規模実証実験 電通
・若手製本人が「覚悟」示す 全日本製本青年会・東京大会
・SDGsを強力に推進 E3PA など

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2019年7月4日付
フォーム工連/PODi 共催セミナー
DM普及に向け発注者と議論
印刷会社の提案力に課題


 日本フォーム印刷工業連合会(櫻井醜会長)は、一般社団法人POD@(亀井雅彦代表理事)との共催セミナー「なぜ、いまDMなのか!」を6月17日に東京・江東区のテレコムセンタービルで開催し、約100名が参加した。ブランドオーナー企業によるDM活用事例や、一層の普及拡大に向けた課題について議論が交わされた。パネリストは、ディノス・セシールの石川森生CECO、IDOMの目黒友オムニメディアマーケティングユニットリーダー、グーフの岡本幸憲社長、フュージョンの吉川景博営業2部部長の4名。POD@の亀井氏がファシリテータを務めた。

4人のパネリストが熱く議論

 ディノス・セシールとIDOMは、DMを活用した顧客アプローチで成果を上げており、ともに第33回全日本DM大賞の受賞企業でもある。
 ディノス・セシールは、同社ECサイトで商品をカートに入れてから離脱した顧客に対して、DMを最短24時間以内に印刷・発送する"カート落ちDM"の施策に加え、顧客が購入した商品の類似アイテムをAIがインスタグラムから自動抽出し、顧客別にパーソナライズした8頁の"小冊子DM"を展開している。
 中古車販売大手のガリバーを運営するIDOMでは、過去に中古車を購入した顧客に対し、提携先のローン会社のローン残額情報と自社商品の相場情報を紐づけることで乗り換え軍資金をワントゥワンで提供し、次の車への買い換えを促すDMを実施。過去のDM施策と比べて4.85倍の反応率を記録した。
 両社のように、デジタルと紙を組み合わせた事例は国内でも増えてきたが、欧米に比べて遅れていることがたびたび指摘される。
 アメリカでは郵便総量やDM通数はともに2007年頃をピークに、その後の10年間で約4分の1減少しているものの、デジタルとの組合せによって付加価値を上げることで、金額ベースではDM(カタログ含む)は市場規模を維持している。
 亀井氏は、アメリカでは印刷会社がデジタル印刷機を上手く活用して積極的にマーケターに対してDMの有効性を発信しており、「たとえば印刷のことをよく知らないWebマーケターなどに対して、Webメディアにはない閲覧性、保存性などを強調しながら提案している」と紹介。  日本でもDMへの注目度は高まってきており、多くのDM案件を手がける吉川氏は、「ここ2、3年でものすごく引き合いがある」と実情を話す。外資系の企業では、海外で展開しているDM施策の国内展開について相談もあるそうで、「DMのニーズは年々強まっている」と指摘した。
 しかし、そのニーズを汲み取るだけの提案が印刷業界から行われていない現実も浮きぼりになった。目黒氏は、「当社に対して提案などはあまりない。チラシやDMハガキは昔から文化としてあったが、改善などについてもほぼ当社発信」と内情を話す。
 また石川氏も、「今は提案いただいているが、今回の取組み以前は私に直接はなかった。聞いた話では、マーケティング部には提案いただいていたが、こちらのスキルが不足していたのでその価値が分からなかったのだと思う」と述べ、提案側と発注側の意思疎通が上手くいっていなかったことを明かした。
 さらに石川氏からは、「今回のDM施策が構想から2年を要したのは、サポートしてくれるベンダーに出会えなかったから。社内も決まったROIの中でしかコスト投下できず、普通のマーケターが突破するにはハードルが高い。今回は良い出会いがあったから助かった。一番つらかったのは、後からそういう技術は昔からあったと言われたこと。それならばもっと早く一緒に動いてほしかった。ベンダー側が取るべきスタンスはあったと思う」と苦言を呈する場面もあった。
 こうした現状に岡本氏は、「サービサー側が使い手側に正しい情報を提供できていない事実は間違いなくある。どうしても装置産業的なマインドがはびこっているのだと思う。中には今回の2人のように勇気ある決断を下す方もいるだろうが、今もデータを見ながら悩んでいるマーケターが世の中には多いのではないか」と推察する。
 さらに、自身の経験も踏まえ、「印刷業界側が良かれと思って提案しても、あくまでも印刷の既成を前提に組み立てられたものなので、相手に理解されないことが長く続いた」と述べ、発注者に理解される工夫の必要性を強調した。















【印刷新報2019年7月4日付掲載】
その他掲載記事
・シール・ラベル特集
・第53回造本装幀コンクール 入賞作品を発表
・田中手帳で見学会 大阪印刷関連団体協議会 など

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2019年6月27日付
全印工連 第2回「用紙動向調査」
8割が上昇分を価格転嫁 再生紙の代替品使用進む


 全日本印刷工業組合連合会の資材対策委員会(池田幸寛委員長)はこのほど、今年2回目の実施となる「用紙動向調査」の結果をまとめ、印刷用紙問題における全国的な対応状況が明らかとなった。
 全印工連では、年初から続く印刷用紙の値上げおよび供給不足の実態を明らかにすべく、今年1月に第1回の用紙動向調査を実施。全国から約1,500件の回答が寄せられ、得られた実態データを基に、2月に開催された中小印刷産業振興議員連盟(中曽根弘文会長)の総会において窮状を訴えた。その結果、特に入手が困難になっている再生紙について、環境省はグリーン購入法基本方針における印刷用紙の取扱いについて、再生紙の調達が困難な場合は代替品の使用を認める措置を講じることを決め、その運用文書を3月22日付で各府省庁や独立行政法人、地方自治体等に発出した。
 今回、改めて用紙問題における全国的な対応状況を把握するべく、5月14日から31日にかけて第2回の調査を実施。全国4,460社の組合員を対象に、1,284社(回収率28.8%)から回答を得た。
 まず、「印刷用紙の値上げ要請に対してどう対応したか」という設問では、「すべて値上げを受け入れた」が83.5%と大多数を占め、「まだ交渉中のところがある」は14.9%、「値上げ要請はない」は1.6%に止まった。
 値上げを受け入れた時期については、「2月から」36.2%、「3月から」28.3%、「4月から」24.3 %、「その他」11.1%。値上げ幅については、「5 %未満」6.9%、「6〜10%」41.6 %、「11〜19%」39.1%、「20〜25%」11.3%、「25%以上」1.1%。どの地区も「6%〜19%」の回答が約8割を占める。
 また、「値上げを受け入れて以降、注文に対して『ない』や『揃わない』と言われたことがあるか」という設問では、「全くない」は19.4%に止まり、「大いにある」20.3%、「時々ある」27.3%、「多少ある」33.0%という結果になった。
 「用紙のコスト上昇分を印刷製品価格に反映させているか」という設問では、「一部反映できている」が61.1%と大多数で、「ほぼ反映できている」(14.6%)と合わせると約8割が上昇分を価格転嫁できていることが分かった。「交渉中だが反映できていない」は18.1%、「まだ交渉していない」は6.2%。
 また環境省による通知を受け、実際に再生紙が入手困難な場合に代替品が認められたかについては、「認められた」(43.9%)が「認められていない」(12.0%)を大きく上回る結果となった。
 調査結果を受けて、全印工連の池尻淳一専務理事は、「この結果を基に、最新の状況を踏まえながら今後の対応策を講じていきたい。ご意見ご要望があれば本部までお寄せいただきたい」と要請した。















【印刷新報2019年6月27日付掲載】
その他掲載記事
・特集 SOPTECとうほく2019
・SDGs軸に事業推進 日印産連
・SDGsを磨け 小冊子まとめる E3PA など

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2019年6月20日付
中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」
生産性向上、需要獲得など評価 人材活用の好事例も


 中小企業庁は、生産性向上や需要獲得、多様な人材活用など、さまざまな分野で活躍している中小企業・小規模事業者を「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として選定し、6月4日に公表した。印刷業関連からは、ユーメディア(今野均社長、宮城県)、進和ラベル印刷(晋道純一社長、山形県)、ウエマツ(福田浩志社長、東京都)、大川印刷(大川哲郎社長、神奈川県)、ミヤギパッケージ(宮城通治社長、沖縄県)ほかが選ばれた。
 「はばたく中小企業・小規模事業者300社」は、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、日本政策金融公庫など、全国から推薦された企業の中から、外部有識者によって厳正に審査され、選定されたもの。「生産性向上」、「需要獲得」、「担い手確保」の3つの分野で推薦された。
 中小企業庁は、選定企業の取組みを収録した冊子を作成し、ホームページでも公開している。主な印刷関連企業の選定ポイントは次のとおり。

■ユーメディア(宮城県仙台市、従業員135人)
 新事業進出のため、自社主催イベントや観光事業開発、IT戦略・Web部門拡大を図るメディアプロモーション事業を展開。主催するプロモーション事業を増やすことで受託業務依存からの脱却を実現した。
 また、そのために多様な経験や知見を持つ社員が必要であったため、育児・介護等の「時間に制約のある社員」の戦力化を目標に掲げ、全社員で取り組む働き方改革の取組みを促進。「ワークイノベーション委員会」の設置やリモートワークの導入などを実施した。

■進和ラベル印刷(山形県上山市、従業員62人)
 世界が認める印刷技術とデザイン力を有するシール・ラベル印刷の特化企業。独自商品の開発も手がける。その一つが、ワインの瓶などボトル状の物に貼り付けることで立体的に商品PRができる「ボトルネッカー」。県内のワインメーカー等に採用されている。
 デザインは6名の社員で構成された「デザイン制作室」が担う。幅広い年齢層の知恵を結集。OB・OGの多い東北芸術工科大学の学生と話をする機会を設け、若い感性を取り入れている。

■ウエマツ(東京都豊島区、従業員160人)
 印刷ファンドリー(受託専門業者)として「高品質・低価格・短納期」を強みとし、最新の設備増強により高付加価値化・生産効率向上に努めてきている。生産管理体制については、独自に開発したウエマツ基幹業務システム(UMIS)で運用している。顧客管理・受注管理・生産管理・財務会計・ラック倉庫管理・就業管理まですべてを統合したもので、外販も可能なほど完成度は高い。印刷機の状態をリアルタイムで把握できるほか、正確な個別原価管理や顧客へ作業の進捗状況をいつでも知らせられる仕様となっている。

■大川印刷(神奈川県横浜市、従業員41人)
 国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)に着目、印刷業を通じた社会課題解決に注力している。自社の印刷事業で使用する電気・水道・ガス・車両燃料によって排出されるCO2を、政府のJ-クレジットを活用しゼロ化した「ゼロカーボンプリント」、FSC森林認証紙やノンVOCインキの使用など、環境負荷低減に特化した「環境印刷」を行うことで、高付加価値・適正価格のサービスを提供。ESGに関心の高い外資系企業等からの新規受注獲得を実現している。

■ミヤギパッケージ(沖縄県豊見城市、従業員98人)
 60年以上にわたって沖縄の包装・梱包資材を扱ってきたパッケージ会社。箱だけに限定せず、包装関連全般を手がけ、すべてをトータルプロデュースし、顧客の商品の個性を最大限に引き出すデザインと機能性で、段ボールやシール、ポスター等の数多くの商品を取り扱っている。
 長く培ってきたパッケージ技術と、ものづくり補助金で導入した3D加飾加工機により高付加価値商品の開発に成功。国内はもとより、海外展開にも挑戦し、「ORiGAMi SAMURAi」(鎧兜をモチーフにした甲冑型ペーパークラフト)を自社開発した。欧州を中心に美術博物館や有名百貨店など世界5ヵ国で販路を開拓した。















【印刷新報2019年6月20日付掲載】
その他掲載記事
・改正 RoHS 指令を学ぶ 東京製本工組
・Think Smart Factory 2019 IN KYOTO
 来場者登録を開始
・印刷のいろはフェスタ 印刷業の職業経験楽しむ など

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2019年6月13日付
紙不足が新聞折込に打撃
J-NOAが製紙連に要望書 広告主減少拡大に危機感


 一般社団法人日本新聞折込広告業協会(土橋誠志理事長、略称J-NOA)は6月12日、新聞折込広告の印刷用紙不足の解消を求める要望書を日本製紙連合会に提出した。新聞折込広告市場が大幅に縮小している中、印刷用紙の供給不足を背景に、電子メディア、インターネット広告へのシフトに拍車を掛けかねないとして、早期解消を訴えている。J-NOAが他業界・団体に対して要望書を出すのは今回が初めて。
 5月に開かれたJ-NOAの理事会の中で議題に上がり、日本製紙連合会会長宛てに要望書を郵送で提出することを決めた。
 要望書では、折込広告枚数の減少に加えて、広告主の減少が進んでいることに危機感を示している。
 J-NOAの首都圏新聞折込広告出稿統計・折込広告モニタリングによる2010年〜2018年のデータ結果をベースに、「2010年を基準にすると、2018年は折込総枚数が2割減に対して広告主数は4割減にまで達し、広告主の減少幅が拡大している」と指摘する。
 一方、この間、ナショナルブランドなど折込広告の配布枚数が多い上位15%の大手の広告主が市場を占める割合は87%程度と変わっていない。「地域生活情報を発信する要となっている地元の中小広告主が減少傾向にある」(飯島博専務理事兼事務局長)と分析する。
 要望書では「新聞折込広告市場全体が縮小している中で、印刷用紙が調達できず、新聞折込広告の中止を余儀なくされる広告主が後を絶たない。このような負の連鎖により、広告主の急減による市場のダウンサイジングが加速する可能性が大きい」と危惧している。
 飯島専務理事兼事務局長は「新聞折込広告費は、わが国の広告費においてテレビ、インターネット、新聞に次ぐ4番目の規模となっている。首都圏では36ヵ月連続で前年を割り込むなど、新聞折込広告市場の縮小傾向が続く中、今回の印刷用紙不足は折込広告業界各社を逼迫させている。負の連鎖を断ち切るためにも、早期解消をお願いしたい」と訴えている。
■「仕事があっても紙がない」─常態化に懸念
 印刷会社は今年1月からの印刷用紙の値上げに加えて、一部用紙の品薄状態に苦しんでいる。
 紙不足の問題では、2月頃から大手印刷通販各社でも注文に制限を設けるなど、影響が広がってきた。輸入紙の在庫を増やし、一部用紙で国産紙と輸入紙を併用する措置を採った印刷通販会社もある。
 「仕事があっても、紙がない」。折込チラシをメインとする地方のあるオフ輪会社では「紙が確保できずに、月に数百万円単位で失注している」と頭を抱える。
 一方、製紙各社はデジタル化による印刷需要の低迷を理由に、減産路線を打ち出している。
 王子ホールディングスは5月22日、新たに製造設備の停止と改造などを決め、印刷用紙の年約40万トンの生産能力削減を発表した。
 北越コーポレーションでは4月26日、停機していた新潟工場6号機抄紙機を再稼働すると発表したが、「他社で工場トラブルなどがあり、要請を受けて対応」(同社広報室)したもので、あくまで5月と6月に限定した代替の再稼働である。
 「オイルショック以来の混乱」と話す業界関係者もいる今回の紙不足問題。「秋頃には解消するのではないか」、「今年いっぱいは無理ではないか」。さまざまな憶測が行き交っているが、今のところ先行きが見通せない。最終生活者に情報を提供するという印刷・紙メディアの役割が果たせない事態に陥っており、問題が常態化することが懸念される。














【印刷新報2019年6月13日付掲載】
その他掲載記事
・特集・ジャグラ文化典栃木大会
・水性フレキソ促進協議会、発足
・兵庫県工組 60周年を祝う など

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2019年6月6日付
水上印刷、新本社屋を来年7月に竣工
機能集約で新たなステージへ


 水上印刷株式会社(河合克也社長)は、現在の東京都新宿区西新宿5丁目の本社屋を建て替え、同じ敷地内に地上4階建の新社屋を建設する。竣工は2020年7月を予定。同社は事業が順調に発展する中で、本社周辺だけでも複数の事業拠点を構える状況となっており、効率性や人材確保などの観点から建替えを決めた。

新本社完成図を前に河合社長(左)と水上会長

 ◆新本社は右脳と左脳の拠点
 水上印刷の現本社は1985年に建てられた。当時の事業規模と現在とでは格段に違い、また事業内容も、「ものづくり」中心の業態から、フルフィルメント、デザイン、ICTなど多方面に拡大している。
 より多様な人材、オフィスが必要となり、状況の変化に対応してきた結果、本社周辺だけでも5ヵ所、そのほか東京の田町などにスタッフが分散する現状となっている。また、生産拠点である多摩工場(東京都西多摩郡)のほか、ピッキング・梱包・配送などフルフィルメント関連のセンターだけでも3ヵ所を有するまでになった。
 本社屋は老朽化というには早いが、業務効率やコミュニケーションに難があることや、さらに人材確保などを考えた時、自社ブランディングの強化も必要であると判断し、オフィスを集約、外観も一新した新社屋の建設を決めた。
 建設地は、現在の新宿区西新宿5─14─3の本社所在地と同じ敷地となる。地上4階建、高さ約19.5m、敷地面積約436u、建築面積約350u、延べ面積1310u。今夏から着工し、竣工は2020年7月を予定している。設計・施工は類設計室、三和建設が担当。工費は約10億円。
 完成後は、本社の間近にある現在の水上印刷ANNEXと合わせて創造的な本社機能を発揮することとなる。
 「右脳(クリエイティブ)と左脳(ICT)と体(ものづくり)をつくる」ことを理想の業態バランスと考える河合社長は、新社屋について、「2020年に右脳と左脳の基幹となる拠点をしっかり新宿に立ち上げ、次のステージへ進んでいきたい」と抱負を述べる。
 また、水上会長は「会社は人が命であり、本社というのは、その大切な人の採用機能も担っている。若い人たちに魅力的に感じてもらえる新本社を持ち、採用にさらに力を注ぎたい」と話す。
 ◆360°フルサービス支える人材投資
 新本社屋の建設にあたり、水上印刷の水上光啓会長と河合克也社長は5月28日、会社の現状と事業展開について本社ANNEXで語った。
 同社が謳う経営ビジョン「MIC WAY」では、1946年からのMIC1.0(印刷業創成期)、その後のMIC2.0(人と品質の進化)、MIC3.0(フルサービス実現)の段階を経て、2019年にMIC4.0へと進化、飛躍しようとしている。2007年に宣言した「フルサービスカンパニー」の取組みをさらに推進し、クリエイティブ、ICTの領域を含む全方位でのサービス提供を目指す。
 大きな転機は、2007年にわずか60坪のスペースから始めたフルフィルメント事業だった。2017年4月には新拠点「るのパレット」(東京都あきる野市)が完成し、4500坪の規模に拡大した。
 同時に、2014年からはクリエイティブチーム、ICTチームの拡大を図り、100名規模でスタッフの積極的な採用を行った。
 リーマンショック後は苦戦した-時期もあったが、直近では7期連続の増収を果たし、2012年ベースで約2.5倍の売上高となっている。
 同社の成長を支えているのは、優秀な人材の採用と徹底した教育だ。2014年に就任した河合社長は、「日本で一番勉強する会社になる」と目標を掲げ、実践してきた。
 10%未来活動では、自分の未来につながる活動を「未来時間」と呼び、就業時間の10%(年間約200時間)をそのために充ててよいとしている。また、研修費用・資格取得にかかる費用はすべて会社負担だ。
 店舗コミュニケーション支援等で取引のある楽天には現在、社員20人が出向するなど、顧客からも高く評価されている。  河合社長は今後の事業展開として、「右脳と左脳と体をつくる」ことを掲げ、「印刷にプライドを持ちながらも、デジタル(ICT、クリエイティブ、コンテンツ)を強化し、フィジカル(ものづくり、オペレーション)と融合させていきたい」と話す。その右脳、左脳の拠点が来年完成する新本社だ。営業部門、管理部門を含め、ANNEXと合わせて200人強の人員でスタート、最大300人まで勤務が可能だという。
 河合社長は「オープンスペース、かつスタッフが混ざり合いイノベーションを起こす設計を考えている。学ぶ場としての機能も重視し、1階は勉強・研修のためのスペースにする」と構想を話す。
 また、同社の成長の原動力である「フルサービス」について水上会長は「お客様の仕事の周辺には、われわれがお手伝いできることがエンドレスにある。『フル』を言葉で定義することは難しく、サービスの提供には大変なエネルギーが要るが、印刷業は便利な位置にいる。それをやり遂げてきたことで、当社のビジネスモデルは3分の2が入れ替わった。何もしなければ3分の1に縮小していたはずだ」と語った。













【印刷新報2019年6月6日付掲載】
その他掲載記事
・都内初、水なしLED-UVを運用 日精ピーアール
・春の叙勲・褒章伝達式
・AIの校正サービス実用化へ 大日本印刷 など

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2019年5月30日付
〈全日本印刷工業組合連合会通常総会〉
産業の再定義で永続を
商取引自主行動計画の作成も


 全日本印刷工業組合連合会(臼田真人会長)は5月23日、通常総会を東京・竹芝のホテルインターコンチネンタル東京ベイで開催した。議事に先立ってあいさつした臼田会長は、令和元年に抱く新しい期待とともに、今年が大きな節目の年であるとして、20年前の1999年に国の中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業が終了、中小企業経営革新支援法が始まったことを指摘し、以来、全印工連が実施してきた施策を振り返った。そして、「今年はいま一度20年前の原点に立ち戻り、改めてこの先の20年、30年に向けて印刷産業を再定義する締めくくりの年としたい」と述べた。

臼田会長

 また、業界の現状について、「なんとも単価が上がってこない。需要の低下に対して相変わらず供給過多の状態にあると私自身は見ている。この時代に合った適正価格が必要だ。現状をしっかり調査し分析した上で、20年、30年と永続していくための、まさに創造的な破壊を綿密な計画を立てていよいよ執行する時期に来ていると思う。この一年、みなさんのご意見を拝聴しながら、中小・小規模印刷業が進むべき道の研究、そして、何らかのビジョンの発表への準備期間としたい」と展望を示した。
 2019年度は、Happy Industryに向けた中心事業となる「幸せな働き方改革」の仕上げとしてSTEP4(就業規則)・STEP5(人事考課・給与規程)の実行を着実に進める。
 対外広報戦略では、多くのメディアに取り上げられ反響を呼んだCMYKプロジェクト「大喜利印刷」の第2弾をはじめ斬新な情報発信を続け、産業発展の最も大切な基盤となる人材確保のプラットフォーム構築を目指していく。
 経営革新マーケティング事業では、全印工連「事業承継支援センター」の啓発と利用促進に力を入れるとともに、中小企業庁「印刷業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の研究・考察に基づき、新たに中小印刷業の立場から見た商取引の自主行動計画の作成に着手する。
 2019年度収支予算は、2年連続で5億円を超える約5億6644万円。4月1日現在の組合員数は4460社。
 ◆懇親会に議連幹部も出席
 懇親会では細井俊男副会長が「批難を受けることがあるかもしれないが、遠慮することなく、改革に向けて共に力を合わせていきたい」と呼びかけた。また、水上光啓顧問は、変革にかける経営者の情熱、そして一社ではできないことを実現可能にする組合の連帯こそが何より重要であることを改めて強調した。
 中小印刷産業振興議員連盟の中曽根弘文会長はじめ、伊藤達也幹事長、宮下一郎事務局長、関芳弘事務局長代理も懇親会に加わり、それぞれあいさつ。用紙不足問題への対応など、中小印刷業の置かれた立場に寄り添い、より全印工連と一体となって対策を強く推進していく旨を述べた。












【印刷新報2019年5月30日付掲載】
その他掲載記事
・枚葉特集2019
・第62回GCJ名古屋大会
 次世代の懸け橋となる一歩に
・令和元年度スタート 各地で総会 など

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2019年5月23日付
〈日本の世帯数の将来推計〉
単独世帯の割合がさらに増加 65歳以上世帯主は40%超


 長期にわたる印刷需要の動向を考えるにあたり、人口減少および少子高齢化は、コミュニケーション手段のデジタル化と並んで最大の要因となる。
 65歳以上人口の割合が50%以上を占める市区町村数の割合は、2015年の約1%から2045年には約28%に増加する(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。30年間の変化は劇的だ。
 人口推移とともに、世帯数および家族類型の変化も将来のマーケットを見通すうえで重要。
 国立社会保障・人口問題研究所がこのほど公表した「日本の世帯数の将来推計」によると、世帯数が減少する都道府県数は今後次第に増え、2035年までには沖縄県を除く46都道府県で世帯数が減少する。2040年の世帯数は、42道府県で2015年よりも少なくなる。
 平均世帯人員は、2015年から2040年にはすべての都道府県で減少。2015年に平均世帯人員が1.99人となった東京都に続き、2040年までに北海道や高知県で平均世帯人員が2人を下回る。
 2015年に41都道府県で最大の割合を占めていた単独世帯は、2025年にはすべての都道府県で最大の割合を占めるようになる。
 全国の家族類型別の推移予測を見ると、2040年に「単独世帯」が1994万4000(2015年比8.3%増)、「夫婦のみ」1071万5000(同0.4%減)、「夫婦と子」1182万4000(同17.6%減)、「ひとり親と子」492万4000(同3.2%増)、「その他」335万(同33.6%減)。単独世帯の割合は全体の39.3%に達する。
 世帯主の高齢化も急速に進む。65歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2030年にはすべての都道府県で30%以上となり、2040年には45道府県で40%を超える。75歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2040年には東京都を除く46道府県で20%以上となる。
 さらに、65歳以上の世帯主に占める単独世帯の割合は、2040年にはすべての都道府県で30%以上となり、15都道府県では40%を超える。また、65歳以上人口に占める単独世帯主の割合は、すべての都道府県で上昇し、特に東京都では2040年に29.2%に達すると推計されている。
 生活困難者、孤独死、詐欺行為の増加などが増えることは避けられない。ソリューション・プロバイダーとして地域の印刷会社が自治体や地元企業、学校、住民などと連携して何ができるのかが問われていくだろう。












【印刷新報2019年5月23日付掲載】
その他掲載記事
・印刷大手2019年3月期連結決算
 軟包装が堅調に推移
・令和元年 春の叙勲・褒章
・JP2019 ICTと印刷展

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